JP2007254528A - 芳香族ポリエステル重合用触媒及びそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエステル重合用触媒及びそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 異物が少なく、良好な色調を有する芳香族ポリエステルを与える重合用触媒およびそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法を提供すること。
【解決手段】 アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属Mを含む金属化合物と、1つの窒素原子が1つの炭素原子と二重結合を有するイミノ基およびフェノール性の水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物L、とを反応させて得られる化合物Cを含有することを特徴とする芳香族ポリエステル重合用触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、異物が少なく、色調が良好な芳香族ポリエステルを得ることができる芳香族ポリエステル重合用触媒および芳香族ポリエステルの製造方法に関する。
芳香族ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しない芳香族ポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。
これに対し重合触媒としてチタン化合物とリン化合物、あるいはチタン化合物と含窒素化合物とからなるチタン錯体を芳香族ポリエステル重合用触媒として用いる提案がなされている(特許文献1〜3参照)。これらの方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるものの十分ではなく、得られるポリマーの色調も十分なものではない。
また、重合触媒としてアルカリ土類金属化合物と含窒素化合物からなる化合物を芳香族ポリエステル重合用触媒として用いる提案がなされている(特許文献4と5参照)。この方法によればポリマーの色調および触媒に起因した異物量を改善できるものの、やはり十分ではない。
そこで、本発明では上記の問題点を改良し、糸切れの少ない芳香族ポリエステルを鋭意検討した結果、重合用触媒として特定の構造を有するマグネシウムと窒素の化合物を用いることにより本発明の目的を達成できるという知見を得た。
特表2001−524536号公報(特許請求の範囲) 特開2001−316463号公報(特許請求の範囲) 特開2004−250588号公報(特許請求の範囲) 特開2000−191764号公報(特許請求の範囲) 特開平01−287133号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は上記従来の問題を解消し、製糸性や製膜性が良好であり、かつ従来品に比べて異物が少なく、芳香族ポリエステルの色調に優れた芳香族ポリエステルを得ることが可能な芳香族ポリエステル重合用触媒およびそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法を提供することにある。
アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属Mを含む金属化合物と、1つの窒素原子が1つの炭素原子と二重結合を有するイミノ基およびフェノール性の水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物L、とを反応させて得られる化合物Cであることを特徴とする触媒を用いて、芳香族ポリエステルを製造する。
本発明の芳香族ポリエステル重合用触媒およびそれを用いた芳香族ポリエステルの製造方法によれば、異物が少なく、色調の良好な芳香族ポリエステルを得ることができる。
本発明の芳香族ポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。繊維、フィルム、ボトル等の成形品として用いることができるものが好ましい。
このような芳香族ポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含む芳香族ポリエステル共重合体において好適である。
また、これらの芳香族ポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体等が全酸成分に対して5モル%以内で共重合されていてもよい。
本発明の芳香族ポリエステル重合用触媒は、アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属Mを含む金属化合物と、1つの窒素原子が1つの炭素原子と二重結合を有するイミノ基およびフェノール性の水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物L、とを反応させて得られる化合物Cであることが必要である。
金属Mはマグネシウムまたはカルシウムであることが好ましいが、中でもマグネシウムが好ましい。マグネシウムを含む金属化合物としてはマグネシウムジエトキシド、マグネシウムジプロポキシド、マグネシウムジブトキシド、マグネシウムビス(ビス(トリメチルシリル)アミド)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でもマグネシウムジエトキシド単独が好ましい。
また、化合物Lとしては、1つのイミノ基および1つのフェノール性の水酸基を有する化合物が好ましく、例えば式1で表され、
Figure 2007254528
(式1中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
、R、R、R、Rが全て水素、Rがフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが4−メチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが4−メチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが4−メチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが4−メチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが4−メチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが4−メチルフェニルであるもの、
、R、R、R、Rが全て水素、Rがフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが4−エチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが4−エチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが4−エチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが4−エチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが4−エチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが4−エチルフェニルであるもの、
、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが3,5−ジメチルフェニルであるもの、
、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれエチル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれイソプロピル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、R、R、Rが全て水素、R、Rがそれぞれt−ブチル、Rが3,5−ジエチルフェニルであるもの、
が挙げられ、中でもR、R、R、R、Rが全て水素、RがフェニルであるN−サリチリデンアニリンがポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。
本発明の化合物Cの合成方法は、例えば(1)金属化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に化合物Lを溶媒に溶解または希釈させ滴下する。(2)多価カルボン酸系化合物もしくはヒドロキシカルボン酸系化合物等の金属化合物の配位子を用いる場合は、金属化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合溶液に配位子化合物または金属化合物を原液または溶媒に溶解希釈させ滴下し、その後、この混合溶液にさらに化合物Lを加えることにより得られる。
上記(1)と(2)の反応条件は0〜200℃の温度で5分以上、中でも30〜100℃の温度で1〜20時間加熱することによって行うことが好ましい。この際の反応圧力に特に制限はなく、常圧でも良い。また、ここで用いる溶媒は、金属化合物、化合物L、及び配位子化合物の一部または全部を溶解し得るものから選択することができるが、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、n−ヘキサン、n―ヘプタン等が挙げられる。
なお、本発明の触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体およびジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
従って、無機粒子として一般的に用いられているアルカリ土類金属の酸化物は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の触媒として用いることができる化合物Cとは異なる。
本発明における化合物C(アルカリ土類金属の酸化物を除く)は得られるポリマーに対してアルカリ土類金属原子換算で0.5〜500ppm添加することが好ましい。1〜300ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは5〜150ppmである。
本発明で用いる化合物Cは、芳香族ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予めエチレングリコールやプロピレングリコール等の芳香族ポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、必要に応じて化合物Cの合成時に用いた溶媒の内の低沸点成分を固形分が析出しない程度に除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。反応系へ添加する液に含まれる固形分量としては、0.2μmのフィルターで濾過した際、濾上物重量の化合物Cの全重量に対する割合が20%以下であることが異物抑制の観点から好ましい。添加時期は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは反応終了後、重縮合反応が開始される前に添加してもよい。さらに、色調改善および熱安定性の観点から、リン化合物を別途添加してもよい。この場合、化合物Cとリン化合物が接触することによる触媒の失活を抑制するために、異なる反応槽に添加する方法や、同一の反応槽において本発明の化合物Cとリン化合物の添加間隔を1〜15分とする方法や添加位置を離す方法を用いてもよい。
また、上記の別途添加するリン化合物は、リン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスファイト系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸系化合物としてはリン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等が挙げられ、ホスホン酸系化合物としては亜リン酸、亜リン酸のナトリウム塩、亜リン酸のカリウム塩、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等が挙げられ、ホスフィン酸系化合物としては次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、およびビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等が挙げられ、ホスファイト系化合物としてはトリフェニルホスファイト、トリス(4−モノノニルフェニル)ホスファイト、トリ(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトモノオクチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、フェニル−ネオペンチレングリコール−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
特に異物抑制および色調改善の観点から、ホスファイト系化合物であることが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトが好ましい。
リン化合物は得られるポリマーに対してリン原子換算で0.5〜250ppm添加することが好ましい。1〜200ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは5〜150ppmである。
本発明の芳香族ポリエステルの製造方法において任意の時点でコバルト化合物またはマンガン化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。この場合に用いるコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。また、マンガン化合物についても特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン四水塩、酢酸マンガン二水塩等が挙げられる。
また、本発明の触媒の重合活性を補助する目的で、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
さらに、二酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等を添加しても差支えない。
本発明の芳香族ポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。また、エステル交換反応においては、マンガン、カルシウム、マグネシウム(重合触媒中のアルカリ土類金属とは異なる)、亜鉛、リチウム等の化合物を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われるプロセスのいずれかである。
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、艶消し剤として二酸化チタン粒子や、コバルト化合物、マンガン化合物等の添加物を添加した後、重縮合触媒として前述の化合物Cを添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーの色調
得られたポリマーを溶融状態から急冷し、チップ状に成形してから、石英ガラス製の容器に充填した状態でハンター型色差計(スガ試験機(株)製SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて測定し、ハンターのL、b値を得た。
(3)溶液ヘイズ
測定する試料2.0gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、光路長10mmの石英セルおよびヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。
実施例1
A.化合物Cの調製
攪拌機、塩化カルシウム管、還流冷却管を備えた300mlの三口ナスフラスコにマグネシウムジエトキシド2.37g(20.7mmol、和光純薬(株)製)、トルエン140mlを入れ、さらにN−サリチリデンアニリン4.08g(20.7mmol、アクロス社製)を添加し、18時間、80℃で反応させた。25℃まで冷却すると白色固体が析出した。濾別した白色固体を少量のn−ヘキサンで洗浄し、50℃、減圧下乾燥させることで反応生成物(化合物C)3.7gを得た。生成物のマグネシウム原子濃度は4.7重量%。この固体0.5gを乳鉢にて粉状にし、エチレングリコール3ml中25℃で12時間撹拌させた。この液を0.2μmのフィルターで濾過した際の濾上物重量は0.013g、化合物Cの全重量中の濾上物の重量割合は2.68%であった。
B.ポリエチレンテレフタレートの製造方法
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)1.0kgとエチレングリコール((株)日本触媒製)0.45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約1.23kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を完結させた。次に、このエステル化反応生成物の1.23kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酸化チタン粒子(富士チタン工業(株)製)のエチレングリコールスラリーを、得られるポリマーに対して粒子濃度が0.3重量%となるように添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト(アルドリッチ社製)および酢酸マンガン(アルドリッチ社製)のエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppm、マンガン原子換算で15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、上記化合物C2.46gを(マグネシウム金属量0.116g)を150mlのエチレングリコールに分散させて添加した(得られるポリマーに対してマグネシウム原子換算で100ppm)。更に5分間撹拌した後、事前にビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化工業(株)製、アデカスタブPEP−36)をエチレングリコールに1重量%濃度で分散させた液を、得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
得られたポリマーのIVは0.67、溶液ヘイズは0.5%と、異物が少なく、色調L値74、b値1.0と、色調が良好であった。
比較例1、2
化合物Cの調製で金属化合物を用いない、あるいは代わりにトリメチルアルミニウム(東京化成工業(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。金属原子が欠けている場合は重合が進行せず、アルミニウムでは溶液ヘイズが高い、すなわちポリマー中の異物が非常に多かった。
比較例3〜5
化合物Cの調製で化合物Lを用いない、あるいは化合物Lの代わりにフェノール基を有しないN−ベンジリデンアニリン(東京化成工業(株)製)、もしくはイミノ基を有しない2−ジメチルアミノメチルフェノール(東京化成工業(株)製)を用いること以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。いずれもポリマーの色調が不良であった。
比較例6
マグネシウム化合物などからなる化合物Cの代わりに、三酸化アンチモン(住友金属社製)とリン酸を、それぞれポリマーに対して300ppmと60ppmとなるように添加したこと以外は実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマー中の異物が非常に多かった。
なお、表1記載の化合物Lの構造A、B、Cはそれぞれ式2、3、4であり、リン化合物1はビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化工業(株)製、アデカスタブPEP−36)である。
Figure 2007254528
Figure 2007254528
Figure 2007254528
Figure 2007254528
実施例2
化合物Lを、触媒調製の工程から除き、代わりに重合工程に添加する3分前に25℃、常圧下で化合物Cのエチレングリコール分散液と混ぜたこと以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。異物が少なく、良好な色調のポリマーを与えた。
実施例3、4
重合工程で添加するリン化合物が異なること以外は実施例1と同様に触媒調製および重合を行った。いずれも異物が少なく、良好な色調のポリマーを与えた。
なお、表2記載の構造Aは式2であり、リン化合物1はビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化工業(株)製、アデカスタブPEP−36)、リン化合物2はビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化工業(株)製、アデカスタブPEP−24)である。
Figure 2007254528
Figure 2007254528

Claims (5)

  1. アルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属Mを含む金属化合物と、1つの窒素原子が1つの炭素原子と二重結合を有するイミノ基およびフェノール性の水酸基を少なくとも1つずつ有する化合物L、とを反応させて得られる化合物Cであることを特徴とする芳香族ポリエステル重合用触媒。
  2. 金属化合物の金属Mがマグネシウムであることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリエステル重合用触媒。
  3. マグネシウムを含む金属化合物が、マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジプロポキシド、マグネシウムジブトキシド、マグネシウムビス(ビス(トリメチルシリル)アミド)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の芳香族ポリエステル重合用触媒。
  4. 化合物Lが式1で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の芳香族ポリエステル重合用触媒。
    Figure 2007254528
    (式1中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の炭化水素基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  5. 芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体を原料とする芳香族ポリエステルの製造方法において、請求項1〜4のいずれか1項記載の重合用触媒を用い、工程の任意の段階において、反応系にリン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスファイト系化合物から選ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とする芳香族ポリエステルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113754535A (zh) * 2021-09-08 2021-12-07 中国科学院青岛生物能源与过程研究所 一种镁催化体系催化解聚聚乳酸及其类似物的方法

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