JP2007252304A - ナノゲルを用いたタンパク質の細胞内導入法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、新規なタンパク質の細胞内移行性のキャリアーを提供することである。
【解決手段】本発明は、疎水化高分子からなるナノゲル(疎水化多糖ナノゲル)とタンパク質を共存させ、タンパク質をナノゲル内に取り込むことを特徴とするタンパク質−ナノゲル複合体の調製方法、タンパク質−ナノゲル複合体の制御方法、タンパク質−ナノゲル複合体の動物細胞への取り込み率の制御方法を提供し、課題を解決した。
【解決手段】本発明は、疎水化高分子からなるナノゲル(疎水化多糖ナノゲル)とタンパク質を共存させ、タンパク質をナノゲル内に取り込むことを特徴とするタンパク質−ナノゲル複合体の調製方法、タンパク質−ナノゲル複合体の制御方法、タンパク質−ナノゲル複合体の動物細胞への取り込み率の制御方法を提供し、課題を解決した。
Description
本発明は、疎水化多糖ナノゲルの用途に関する。
タンパク質を細胞内で用いる系として、主にプラスミドを用いてタンパク質を発現させる系と直接タンパク質を導入する系がある。タンパク質を直接細胞へ導入する方法はタンパク質を導入直後から使用できるという利点がある。これまでに、タンパク質を細胞に取り込む方法として、cell-penetrating peptide(CPP)をタンパク質に修飾する方法や、マイクロインジェクション法、またcationic liposomeやペプチドベースのタンパク質キャリアを用いる方法があるが、導入効率の向上や細胞内局在制御など課題も残されている。マイクロインジェクションを用いた細胞導入は熟練な技術を有し、特別な機械を必要とする。また、CPPを修飾する方法ではタンパクとCPPを化学結合するため、タンパク質の活性の低下が懸念される。カチオニックリポソームを用いた方法では、無血清培地中で培養しなければならないという問題点がある。
一方で、ナノ微粒子とゲルの特性を併せ持つナノメーターサイズ(特に100nm以下)の高分子ゲル微粒子(ナノゲル)は、特にドラッグデリバリーシステムやナノテクノロジー分野で注目されるようになってきた。一般に化学架橋ナノゲルはマイクロエマルション重合法や高分子分子内での架橋反応により合成されてきた。本発明者らは、疎水化高分子の自己組織化による物理架橋ナノゲルの新規な調製法を報告した(非特許文献1)。すなわち、比較的疎水性の高い疎水基(コレステロール基)を部分的に導入した水溶性多糖類(CHP)が、希薄水溶液中で自己組織的に会合し、疎水基の会合領域を架橋点とする単分散なナノゲルを形成することを見出した。発明者らの知る限り、物理架橋点を有する50nm以下のサイズの揃ったナノゲルとしては、初めての報告であった。
通常のナノ微粒子は、その表面の特性を利用した研究がほとんどであるが、ナノゲルはさらにその内部の空間に疎水性の薬物やタンパク質といった物質を取り込めるスペースを有することが最大の特色である。さらに、ナノゲルはシクロデキストリンの添加により崩壊し、取り込んだ物質を放出することが可能である。
また、第2の利点は物理架橋点を有することから、架橋構造の動的構造制御が可能であることである。疎水基の構造を変えることでゲルネットワークの動的特性を制御しえることやシクロデキストリンとのホストーゲスト相互作用を利用することで、ナノゲルの生成と崩壊を動的に制御しえる。
本発明者は、CHPナノゲルがタンパク質をCHP内部に封入し分子シャペロンシステムやドラッグデリバリーのキャリアとして有用であることを報告している。最近では、カチオン性CHPがタンパク質の細胞内取り込みのキャリアとして有用であることも報告した。
Akiyoshi K. et.al.,(1993) J.Macromolecules, 26, 3062
Akiyoshi K. et.al.,(1993) J.Macromolecules, 26, 3062
本発明では、CHPはプルランに疎水基であるコレステロールを部分的に (1〜5mol%以下)置換した疎水化プルラン(CHP)を用いた細胞内新規タンパク質キャリアの開発を行った (図.1)。本発明者はタンパク質例えばFITCラベル化子牛血清アルブミン(FITC-BSA)及びFITCラベル化モノクローナル抗a-tubulin抗体(FITC-anti-a-tubulin)を用い、血清培地下におけるカチオン性CHPナノゲルの細胞内導入タンパク質キャリアとしての検討を行った(図.1)。
本発明は、疎水化多糖ナノゲルとタンパク質の複合化によるタンパク質−ナノゲル複合体の形成を主要な特徴とする。
つまり本発明は、
「1.疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質の複合体を調整することによるタンパク質の細胞内導入促進のための疎水化高分子からなるナノゲルの用途
2.ナノゲルが粒径(直径)5〜200nmである、前項1に記載の用途。
3.ナノゲルがコレステロール置換プルラン(CHP)である、前項2に記載の用途。
4.ナノゲルが糖鎖に官能基を導入したナノゲルである、前項1〜3のいずれか1に記載の用途。
5.ナノゲルが糖鎖に正電荷を有する官能基を導入したナノゲルである、前項4に記載の用途。
6.官能基がアミノ基である、前項5に記載の用途。
7.タンパク質がアルブミン又は抗体である、前項1〜6のいずれか一に記載の用途。
8.シクロデキストリンによりタンパク質−ナノゲル複合体からのタンパク質の解離を制御する前項1〜7の何れか一に記載の用途。
9.ナノゲルの正電荷の大きさを制御することにより、タンパク質−ナノゲル複合体の動物細胞への取り込み率が制御される前項1〜8の何れか一に記載の用途。
10.アミノ基の導入率によりナノゲルの正電荷の大きさが制御される、前項9に記載の用途。
11.疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質を共存させることでえられる細胞内導入促進機能を保持したタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。
12.前項1〜10の用途のための前項11に記載のタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。」
からなる。
つまり本発明は、
「1.疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質の複合体を調整することによるタンパク質の細胞内導入促進のための疎水化高分子からなるナノゲルの用途
2.ナノゲルが粒径(直径)5〜200nmである、前項1に記載の用途。
3.ナノゲルがコレステロール置換プルラン(CHP)である、前項2に記載の用途。
4.ナノゲルが糖鎖に官能基を導入したナノゲルである、前項1〜3のいずれか1に記載の用途。
5.ナノゲルが糖鎖に正電荷を有する官能基を導入したナノゲルである、前項4に記載の用途。
6.官能基がアミノ基である、前項5に記載の用途。
7.タンパク質がアルブミン又は抗体である、前項1〜6のいずれか一に記載の用途。
8.シクロデキストリンによりタンパク質−ナノゲル複合体からのタンパク質の解離を制御する前項1〜7の何れか一に記載の用途。
9.ナノゲルの正電荷の大きさを制御することにより、タンパク質−ナノゲル複合体の動物細胞への取り込み率が制御される前項1〜8の何れか一に記載の用途。
10.アミノ基の導入率によりナノゲルの正電荷の大きさが制御される、前項9に記載の用途。
11.疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質を共存させることでえられる細胞内導入促進機能を保持したタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。
12.前項1〜10の用途のための前項11に記載のタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。」
からなる。
本発明のタンパク質−ナノゲル複合体はタンパク質の大きさに関わらず、市販のカチオニックリポソームやペプチドベースキャリアよりも、血清培地条件下においても効率よくタンパク質を細胞内へ導入しえる。
本明細書中で使用されている技術的および科学的用語は、別途定義されていない限り、当業者により普通に理解される意味を持つ。以下、本発明について、発明の実施の態様をさらに詳しく説明する。以下の詳細な説明は例示であり、説明のためのものに過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
本発明に使用する疎水化高分子からなるナノゲル(疎水化多糖ナノゲル)は公知である。例えばWO00/12564(高純度疎水性基含有多糖類およびその製造方法)に開示がある。それによると、第1段階反応は、炭素数12〜50の水酸基含有炭化水素またはステロールと、OCN-R1 NCO(式中、R1は炭素数1〜50の炭化水素基である。)で表されるジイソシアナート化合物を反応させて、炭素数12〜50の水酸基含有炭化水素またはコレステロールが1分子反応したイソシアナート基含有疎水性化合物を製造する。
第2段階反応は、前記第1段階反応で得られたイソシアナート基含有疎水性化合物と多糖類とをさらに反応させて、疎水性基として炭素数12〜50の炭化水素基またはステリル基を含有する疎水性基含有多糖類を製造する。この第2段階反応の反応生成物をケトン系溶媒で精製して高純度疎水性基含有多糖類の製造が可能である。使用されうる多糖類としては、プルラン、アミロペクチン、アミロース、デキストラン、ヒドロキシエチルデキストラン、マンナン、レバン、イヌリン、キチン、キトサン、キシログルカンおよび水溶性セルロースからなる群より選択される1種以上である。
このうち好適なナノゲルとしてはコレステロール置換プルラン(CHP、分子量108,000のプルランに100単糖あたりコレステロールが1〜10個、好ましくは1〜数個置換)が例示される。疎水化高分子の性状は、タンパク質のサイズや疎水性の程度により、コレステロール置換量を変え変更可能である。疎水性をコントロールするためには、炭素数10〜30、好ましくは炭素数12〜20程度のアルキル基を導入することも好適である。本発明で使用するナノゲルは、粒径(直径)5〜200nm、好ましくは10〜40nm、より好ましくは20〜30nmである。ナノゲルは既に広く市販されており、本発明では、これら市販品を広く利用可能である。
本発明に使用するタンパク質は、酵素、生理活性タンパク質、抗体、抗原等が挙げられる。タンパク質は、市販品を利用可能である。市販品の具体例として、BSA(子牛血清アルブミン)及びFITC-抗体(anti-α-tubulin)を例示したがこれに限定されるものではない。
本発明に係るタンパク質−ナノゲル複合体は、ナノゲルとタンパク質を共存させ、相互作用させることにより、タンパク質をナノゲル内に取り込むことにより得られる。タンパク質とナノゲルの混合比は、用いるタンパク質およびナノゲルの種類に応じて適宜実験的繰り返しにより決定される。好ましくはタンパク質に対しCHPを1:1〜100、より好ましくは1:10のモル比で混合する。
タンパク質−ナノゲル複合体の好適な形成条件としては、タンパク質とナノゲルをバッファー中において混合し、5分間〜60分間、好ましくは10〜30分間、20〜70℃、好ましくは20〜30℃にて静置する。タンパク質−ナノゲル複合体の形成に用いるバッファーは、タンパク質とナノゲルの種類により適宜調製することができ、具体例としてTris HCl緩衝液(50mM、pH7.6)が好適に挙げられる。
調製されたタンパク質−ナノゲル複合体は、広く公知の方法により解析することが可能である。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)、原子間力顕微鏡(atomic force microscope、AFM)、蛍光顕微鏡および共焦点レーザー蛍光顕微鏡により解析できる。
本発明に係るタンパク質−ナノゲル複合体はシクロデキストリンを添加することにより、タンパク質−ナノゲル複合体からタンパク質を適宜解離させることができる。シクロデキストリンはCHPに対し、1:1000のモル比で添加する。シクロデキストリンとしてはシクロデキストリンのa、b、g、およびその誘導体等、好ましくはメチル−b−シクロデキストリンを用いることができる。ナノゲルとタンパク質を複合化することによりタンパク質のコロイド安定性を高めておき、必要時にシクロデキストリンを添加して、タンパク質の機能を発揮させる系の構築が可能である。
また、本発明に係るタンパク質−ナノゲル複合体の細胞への取り込み効率を向上させるため、正電荷を有する置換基、例えばアミノ基を導入したナノゲルも好適に用いられる。ナノゲルへのアミノ基の導入率はCHPのグルコース100単糖あたり1〜50、より好ましくは5〜30である。ナノゲルへのアミノ基の導入方法としては、以下のような手法が好適に挙げられる。
減圧乾燥したCHP 1 gおよびジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.035 gをジメチルスルホキシド(DMSO)/ピリジン(v:v=1:1)混合溶媒20mlに溶解し、これに10mlの0.25g/ml 4-ニトロフェニルクロロギ酸/(DMSO/ピリジン(v:v=1:1)混合溶媒)をゆっくり添加し、4時間攪拌する。これを、エタノール/ジエチルエーテル(v:v=1:1)混合溶媒を用いて再沈する。回収した沈殿物を300mlのDMSO/ピリジン(v:v=1:1)混合溶媒に溶解し、10 mlの28.5%エチレンジアミン/(DMSO/ピリジン(v:v=1:1)混合溶媒)にゆっくりと滴下し、4日間攪拌する。これを、エタノール/ジエチルエーテル(v:v=1:1)混合溶媒を用いて再沈する。沈殿物を減圧乾燥し、200mlのDMSOに溶解し、蒸留水により透析する。さらに1N NaOH水溶液により透析し、これをHClにより中和し、さらに蒸留水により透析する。これを凍結乾燥し、乳白色の固体を得る。アミノ基の具体例としてはNH2が好適に挙げられる。導入する置換基の数は適宜変えることができ、導入する置換基の数を変えることにより正電荷の大きさを制御し、タンパク質−ナノゲル複合体の細胞への取り込み効率を制御することが可能である。
本発明に用いる細胞は、一般に使用されている細胞を使用可能である。具体例として、HeLa細胞、Hep2細胞が挙げられる。タンパク質−ナノゲル複合体の細胞への取り込みは、タンパク質−ナノゲル複合体と細胞を共存させ、接触させることにより可能である。
細胞に添加するタンパク質−ナノゲル複合体の培地中の濃度は細胞、タンパク質、およびナノゲルの種類等に応じて適宜実験的繰り返しにより決定されるが、終濃度で0.25〜10nMを添加するのが好適である。
細胞へタンパク質−ナノゲル複合体を取り込ませる好適な条件としては、タンパク質−ナノゲル複合体含有培地で細胞を少なくとも1〜3時間培養することにより、細胞にタンパク質−ナノゲル複合体が取り込まれる。本発明のタンパク質−ナノゲル複合体は、コロイド安定化しているため、タンパク質の細胞内への取り込み率が良い。したがって、本発明のタンパク質−ナノゲル複合体を用いることにより、タンパク質による細胞内機能の解析の感度が上昇するという利点がある。
以下、本発明を実施例で説明するが、実施例は本発明の一例を示すものであって、その技術的範囲を限定するものではない。
実施例1
(材料の調製)
カチオン性CHPは100単糖あたりコレステロールが1.4及びエチレンジアミンが18置換されているものを使用した(CHPNH2ナノゲル)。FITC-BSA (MW:66 kDa)及びFITC-anti-α-tubulin (MW:150 kDa)はsigmaより購入した。コントロール試薬としてcationic liposomeであるpro-jectはPIRCEから購入した。さらにペプチドベースキャリアであるchariot kitはactivemotifから購入した。Ikarugamycin(IKA)はBIOMOLから購入した。 5-(N-Ethyl-N-isopropyl)amiloride(EIPA)はアルドリッチから購入した。
(材料の調製)
カチオン性CHPは100単糖あたりコレステロールが1.4及びエチレンジアミンが18置換されているものを使用した(CHPNH2ナノゲル)。FITC-BSA (MW:66 kDa)及びFITC-anti-α-tubulin (MW:150 kDa)はsigmaより購入した。コントロール試薬としてcationic liposomeであるpro-jectはPIRCEから購入した。さらにペプチドベースキャリアであるchariot kitはactivemotifから購入した。Ikarugamycin(IKA)はBIOMOLから購入した。 5-(N-Ethyl-N-isopropyl)amiloride(EIPA)はアルドリッチから購入した。
(CHPNH2ナノゲル-タンパク質の複合体の形成)
CHP誘導体もしくはカチオン性プルランを1mg/mlのリン酸緩衝溶液(PBS)に溶かした。CHPNH2ナノゲルに15分間のソニケーションを行った後、フィルター(0.22 mm)に通した。その後、CHPNH2ナノゲル溶液とタンパク質溶液とを室温、静置にて複合化を行った。
CHP誘導体もしくはカチオン性プルランを1mg/mlのリン酸緩衝溶液(PBS)に溶かした。CHPNH2ナノゲルに15分間のソニケーションを行った後、フィルター(0.22 mm)に通した。その後、CHPNH2ナノゲル溶液とタンパク質溶液とを室温、静置にて複合化を行った。
(Flowcytometry)
細胞は10% FBS及び1% 抗生物質入りのMinimum Essential Medium(MEM)を用いて2.0×104 cells/dishの濃度で6穴プレートに巻き、37 ℃ 5%CO2条件下で48時間前培養を行った。MEMをプレートから取り除き、タンパク質-CHP複合体溶液及びMEMを1 ml加えた。細胞を4時間37℃、5% CO2において培養した。培養後、培地で洗浄をおこなった。細胞をトリプシン処理でプレートからはがし、stain bufferを用いて細胞を薄めた。Flow cytometryはFACScaliburを用いて測定を行った。FL1 バンドパスエミッション(530/30)のシグナルが、FITCについて使用された。
細胞は10% FBS及び1% 抗生物質入りのMinimum Essential Medium(MEM)を用いて2.0×104 cells/dishの濃度で6穴プレートに巻き、37 ℃ 5%CO2条件下で48時間前培養を行った。MEMをプレートから取り除き、タンパク質-CHP複合体溶液及びMEMを1 ml加えた。細胞を4時間37℃、5% CO2において培養した。培養後、培地で洗浄をおこなった。細胞をトリプシン処理でプレートからはがし、stain bufferを用いて細胞を薄めた。Flow cytometryはFACScaliburを用いて測定を行った。FL1 バンドパスエミッション(530/30)のシグナルが、FITCについて使用された。
(共焦点レーザー顕微鏡観察)
細胞はMEMを用いて2.0×104 cells/dishの濃度でガラスベースディッシュに巻き、37 ℃ 5%CO2条件下で24時間前培養を行った。MEMをプレートから取り除き、タンパク質-CHP複合体溶液及びMEMを1 ml加えた。細胞を37℃、5% CO2下において4時間培養を行った。培養後、MEMで洗浄をおこなった。レーザー共焦点顕微鏡を用いて細胞の観察を行った(CLSFM) (LSM510META, Carl Zeiss)。FITCをアルゴンレーザー(488nm)を用い、励起を行った。また、蛍光は503-503 nmのバンドパスフィルターを用いて観察を行った。
細胞はMEMを用いて2.0×104 cells/dishの濃度でガラスベースディッシュに巻き、37 ℃ 5%CO2条件下で24時間前培養を行った。MEMをプレートから取り除き、タンパク質-CHP複合体溶液及びMEMを1 ml加えた。細胞を37℃、5% CO2下において4時間培養を行った。培養後、MEMで洗浄をおこなった。レーザー共焦点顕微鏡を用いて細胞の観察を行った(CLSFM) (LSM510META, Carl Zeiss)。FITCをアルゴンレーザー(488nm)を用い、励起を行った。また、蛍光は503-503 nmのバンドパスフィルターを用いて観察を行った。
(結果)
1.CHPNH2ナノゲルの細胞内導入効率の検討
タンパク質としてFITC-BSAとCHPNH2ナノゲルの複合化時間の条件検討を行った。それぞれ、FITC-BSA (0.7μg:2.0μM)とCHPNH2ナノゲル(0.7μg:2.0μM)を5 min,30 min, 4 h, 24 hにて複合化を行った。その後、Flow Cytometryを用いてHeLa細胞内への導入量の測定を行った。その結果、複合化時間は5分で効率よく細胞内へ導入されていることがわかった(図2)。次に、FITC-BSA: CHPNH2ナノゲルのモル比の検討を行った。1:1、1:2、1:3で行ったところ1:1で効率よく細胞内へ導入された。同様の実験をFITC-抗体(FITC-anti-α-tubulin)においても行った。複合化時間は1時間、モル比は1:1で効率よく細胞内へ導入された(図3)。
1.CHPNH2ナノゲルの細胞内導入効率の検討
タンパク質としてFITC-BSAとCHPNH2ナノゲルの複合化時間の条件検討を行った。それぞれ、FITC-BSA (0.7μg:2.0μM)とCHPNH2ナノゲル(0.7μg:2.0μM)を5 min,30 min, 4 h, 24 hにて複合化を行った。その後、Flow Cytometryを用いてHeLa細胞内への導入量の測定を行った。その結果、複合化時間は5分で効率よく細胞内へ導入されていることがわかった(図2)。次に、FITC-BSA: CHPNH2ナノゲルのモル比の検討を行った。1:1、1:2、1:3で行ったところ1:1で効率よく細胞内へ導入された。同様の実験をFITC-抗体(FITC-anti-α-tubulin)においても行った。複合化時間は1時間、モル比は1:1で効率よく細胞内へ導入された(図3)。
2.CHPNH2ナノゲルと市販のタンパク質キャリアとの比較
CHPNH2ナノゲルとカチオニックリポソーム及びペプチドベースキャリアとの細胞内取り込み効率の比較を行った。FITC-BSA (0.7μg:2.0 mM)をそれぞれのキャリアと複合化させた後、血清培地条件下で培養を行った。FITC-BSAの細胞内への導入量はFlow Cytometryを用いて測定を行った。その結果、CHPNH2ナノゲルがもっとも多くのFITCBSAを細胞内へ導入していることがわかった(図2)。FITC-BSAの細胞内での局在を観察するために、レーザー共焦点顕微鏡をもちいて観察した。その結果、CHPNH2ナノゲルが効率よく細胞内へ導入していることがわかった(図3)。より、大きいタンパク質であるFITC-抗体(1.5μg:2.0 mM)においても細胞内導入効率の比較を行った。先ほど同様に、細胞内への導入量はFlow Cytometryを用い測定し、細胞内での局在をレーザー共焦点顕微鏡を用いて観察を行った(図4)。その結果、FITC-BSAと同様にCHPNH2ナノゲルがもっとも多くのFITC-抗体を細胞内へ導入していることがわかった。また、CHPNH2ナノゲルが効率よく細胞内へ導入していることがわかった(図5)。
CHPNH2ナノゲルとカチオニックリポソーム及びペプチドベースキャリアとの細胞内取り込み効率の比較を行った。FITC-BSA (0.7μg:2.0 mM)をそれぞれのキャリアと複合化させた後、血清培地条件下で培養を行った。FITC-BSAの細胞内への導入量はFlow Cytometryを用いて測定を行った。その結果、CHPNH2ナノゲルがもっとも多くのFITCBSAを細胞内へ導入していることがわかった(図2)。FITC-BSAの細胞内での局在を観察するために、レーザー共焦点顕微鏡をもちいて観察した。その結果、CHPNH2ナノゲルが効率よく細胞内へ導入していることがわかった(図3)。より、大きいタンパク質であるFITC-抗体(1.5μg:2.0 mM)においても細胞内導入効率の比較を行った。先ほど同様に、細胞内への導入量はFlow Cytometryを用い測定し、細胞内での局在をレーザー共焦点顕微鏡を用いて観察を行った(図4)。その結果、FITC-BSAと同様にCHPNH2ナノゲルがもっとも多くのFITC-抗体を細胞内へ導入していることがわかった。また、CHPNH2ナノゲルが効率よく細胞内へ導入していることがわかった(図5)。
CHPNH2ナノゲルのタンパク質キャリアとしての評価をFITC-BSA及びFITC-抗体を用いて行った。CHPNH2ナノゲルはタンパク質の大きさに関わらず、カチオニックリポソームやペプチドベースキャリアよりも効率よく細胞内へ導入されていることがわかった。CHPNH2ナノゲルは、タンパク質の細胞内輸送におけるキャリアーとして非常に有用である
。
。
Claims (12)
- 疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質の複合体を調整することによるタンパク質の細胞内導入促進のための疎水化高分子からなるナノゲルの用途
- ナノゲルが粒径(直径)5〜200nmである、請求項1に記載の用途。
- ナノゲルがコレステロール置換プルラン(CHP)である、請求項2に記載の用途。
- ナノゲルが糖鎖に官能基を導入したナノゲルである、請求項1〜3のいずれか1に記載の用途。
- ナノゲルが糖鎖に正電荷を有する官能基を導入したナノゲルである、請求項4に記載の用途。
- 官能基がアミノ基である、請求項5に記載の用途。
- タンパク質がアルブミン又は抗体である、請求項1〜6のいずれか一に記載の用途。
- シクロデキストリンによりタンパク質−ナノゲル複合体からのタンパク質の解離を制御する請求項1〜7の何れか一に記載の用途。
- ナノゲルの正電荷の大きさを制御することにより、タンパク質−ナノゲル複合体の動物細胞への取り込み率が制御される請求項1〜8の何れか一に記載の用途。
- アミノ基の導入率によりナノゲルの正電荷の大きさが制御される、請求項9に記載の用途。
- 疎水化高分子からなるナノゲルとタンパク質を共存させることでえられる細胞内導入促進機能を保持したタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。
- 請求項1〜10の用途のための請求項11に記載のタンパク質−ナノゲル複合体の製造方法。
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2006
- 2006-03-24 JP JP2006082647A patent/JP2007252304A/ja not_active Withdrawn
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