JP2007250637A - Iii族窒化物半導体光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】劈開による端面発光部の形状異常を抑制して安定した高CODレベルを有し、かつ低電圧動作可能な半導体レーザを提供する。
【解決手段】p型クラッド層309と活性層305との間に電流注入用ストライプ状開口部が形成された電流狭窄層308を有し、電流狭窄層308は、劈開によって形成される端面近傍において発光部上部にも形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体光素子に関し、特に、高出力で所望の素子特性を安定して得られるIII族窒化物半導体光素子する。
窒化ガリウムに代表されるIII族窒化物半導体は、高効率で青紫色に発光することから発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザダイオード(Laser Diode:LD)の材料として注目されている。中でも、III族窒化物半導体を用いたLD(以下、半導体レーザとも言う)は大容量光ディスク装置の光源として期待されており、近年では書き込み用光源として用いるための高出力LDの開発が精力的に進められている。
窒化物系青紫色LDの代表的な構造を図9に示す。図示する構造の半導体レーザは、ドライエッチングによりリッジ101が形成されている。リッジ101の上部はストライプ状開口部を有する絶縁膜102によって覆われており、開口部にはp型電極103が設けられてストライプ状電極を形成している。
電流狭窄はストライプ状電極でなされ、横モードの制御はリッジの幅及び高さを調整することによって行われている。
しかしながら、こうしたリッジ型の半導体レーザには、以下のような課題があった。
半導体レーザを光ディスク装置の光源として用いるためには、レーザビームをスポット状に効率よく絞り込む必要があり、そのためにビーム形状を整えることが求められる。このためには、レーザビームの遠視野像(ファーフィールドパターン)がガウシアン状の強度プロファイルとなるように横モードを制御する必要がある。
このため、高出力青色LDでは、リッジ幅を1.7μm程度まで狭くする必要があるが、リッジ幅が狭くなると電極面積も狭くなるためコンタクト抵抗が増大してしまう。また、高出力LDでは動作電流密度も高いため、コンタクトでの発熱により素子が劣化してしまう場合もある。
このような問題に鑑み、AlNや(Al)GaNを電流狭窄層201とした図10に示すようなインナーストライプ型LDが提案されている(特許文献1、2、3参照)。これらのインナーストライプ型LDは、コンタクト面積が広くとれるため、ストライプ幅の狭い高出力LDにおいてもコンタクト抵抗を低減できる。特に、低温成長AlNを電流狭窄層201に用いたインナーストライプ構造(特許文献1参照)は、電流狭窄層201の開口部形成時におけるダメージや不純物汚染の影響が少ないという利点があるため、低電圧動作高出力LDとして期待されている。
特開2001−15860号公報 特開平10−93192号公報 特開2003−78215号公報
ところが、インナーストライプ型LDを実際に作製した場合、確かに電流注入効率は改善できるものの、所望の素子特性や高信頼性を安定的に得ることは必ずしも容易ではない。特に、クラッド層と電流狭窄層との歪みに起因した劈開面の異常を反映して、得られる素子の非可逆的光損傷(Catastrophic Optical Damage:COD)レベルがばらつくなどの現象が確認される。
GaN系の半導体レーザでは六方晶系の結晶構造やAlGaNクラッドの格子歪に起因して、均一な劈開面を安定的に得ることが困難であるが、インナーストライプ型構造ではさらに電流狭窄層とストライプ状開口部とを設けている部分でも歪が不均一となる。このため、この境界領域においては、劈開における形状異常(以下、劈開異常と表記する。)をかなりの確率で生じる。このような劈開異常が端面における活性層のうちレーザ光出射領域内に位置する部分(以下、活性層発光部と表記する。)にまで達している場合、ビーム形状やスロープ効率といった特性に影響を及ぼすだけでなく、光電界の集中によって局所的な端面損傷を引き起こすためにCODレベルが低下しやすい。
このように、従来は、高出力の半導体レーザを形成しようとすると、所望の素子特性を安定して得ることが難しいという問題があった。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、高出力で所望の素子特性を安定して得られるIII族窒化物半導体光素子を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、III族窒化物半導体からなる活性層と、活性層よりも上層側に形成され電流注入領域に開口部が設けられた電流狭窄層と、電流狭窄層及び開口部よりも上層側に設けられたクラッド層と、クラッド層の上に設けられたコンタクト層と、コンタクト層の表面に設けられた電極とを備え、電流狭窄層がAlxGayIn1-x-y(ただし、0.4≦x≦1、0≦y≦0.6、x+y≦1)を主成分として形成されており、電流狭窄層が端面近傍において活性層発光部の上部に形成されていることを特徴とするIII族窒化物半導体光素子を提供するものである。
以上の構成においては、電流狭窄層は、Alの組成比率が前記クラッド層よりも高いことが好ましい。
上記のいずれの構成においても、電流狭窄層が低温成長AlNからなることがより好ましい。また、電流狭窄層は、厚さが50nm以上200nm以下であることが好ましい。また、電流狭窄層は、前記クラッド層の下面と接していることが好ましい。また、クラッド層が、GaN/AlGaNからなる超格子構造を有することが好ましい。また、コンタクト層の表面に設けられた前記電極が、端面近傍に形成された前記電流狭窄層の上部に位置する前記コンタクト層表面を含む領域に設けられていることが好ましい。また、電流狭窄層は、前記開口部から離れた領域において、その一部が除去されていることが好ましい。
本発明によれば、高出力で所望の素子特性を安定して得られるIII族窒化物半導体光素子を提供できる。
〔発明の原理〕
Al組成の高い窒化物半導体からなる電流狭窄層をクラッド層とIII族窒化物からなる活性層との間に配置した場合、電流狭窄層とその上部のクラッド層との界面で顕著な劈開異常が生じるが、その劈開異常は電流狭窄層の下層には伝播しにくい。
劈開異常が電流狭窄層の下層に伝播しにくいのは、高Al組成の電流狭窄層において格子歪が緩和されているためと考えられる。すなわち、格子定数が基板とは極端に異なる電流狭窄層には、その格子不整合により転位が生じ、歪が緩和される。その結果、電流狭窄層の上層では電流狭窄層表層とその上部のクラッド層との間の格子歪により劈開異常が発生するものの、電流狭窄層内で歪が緩和されるため、その下方には劈開異常が伝播しない。
本発明にかかるIII族窒化物半導体光素子(半導体レーザ)は、このような原理に基づいたものであり、具体的には以下の構成を有する。
すなわち、本発明にかかる半導体レーザは、III族窒化物半導体からなる活性層と、活性層よりも上層に設けられた電流狭窄層と、電流注入領域として電流狭窄層に設けられている電流注入用開口部と、電流狭窄層及び電流注入用開口部よりも上層に設けられたクラッド層と、クラッド層の上層に設けられたコンタクト層と、コンタクト層の表面に設けられた電極とを備え、電流狭窄層がAlxGayIn1-x-yN(ただし、0.4≦x≦1、0≦y≦0.6、0≦x+y≦1。)からなり、電流狭窄層がレーザ端面において活性層発光部の上部にも形成されている。
このような高いAl組成の電流狭窄層を用いた場合、基板との格子不整合に起因して完全に良好な劈開面を得ることは困難であるが、層厚や組成、成長条件を適切に選ぶことによって歪を緩和し、電流狭窄層よりも上層で生じた劈開異常が下層へ伝播することを防げる。
上記構成においては、レーザ端面における活性層発光部の上層に高Al組成の電流狭窄層を配置することにより、活性層発光部における劈開異常の発生を抑制している。
また、電流狭窄層の上層は劈開異常が発生しやすいため、電流注入用開口部を設けた箇所を劈開した場合、上層で生じた劈開異常が開口部を介して活性層発光部にまで到達してしまうことがあり、CODレベルの低下を招く。そこで、本発明にかかる半導体レーザは、端面近傍には電流注入用開口部を設けないことにより、この劈開異常の伝播を防ぎ、高いCODレベルを安定的に得ている。
活性層発光部の上部に電流狭窄層を形成することにより、半導体レーザは端面非注入構造となり、端面近傍領域には電流を注入しない構造となる。端面近傍に形成する電流狭窄層は、短すぎるとこれが存在している部分で劈開させることが精度上困難となる。一方、長すぎると電流を注入しない領域(以下、非注入領域)の吸収が大きくなるため、特性が悪化してしまう。よって、端面近傍に形成する電流狭窄層の長さは5μm以上50μm以下が好ましい。
電流狭窄層の厚さは、薄い方がその上部に形成されるクラッド層の制御性(層厚や組成の制御)や平坦性が向上するため、なるべく薄いこと、具体的には200nm以下であることが好ましい。一方、電流狭窄層は、Alの組成比率が高いほど薄い膜厚でも安定して劈開異常防止効果が得られる。これは、Al組成が高いほど薄い膜でも格子緩和が起こるためであり、AlxGayIn1-x-y(ただし、0.4≦x≦1、0≦y≦0.6、0≦x+y≦1)からなる電流狭窄層を用いることにより、50〜150nmの膜厚で安定した劈開異常防止効果が得られる。
本発明では、電流狭窄層のAl組成が高く、格子緩和のためにその上部に設けられたクラッド層にも多数の転位が混入する。この転位によってクラッド層の抵抗が高くなるため、より確実な電流狭窄を行える。
本発明にかかる半導体レーザは、端面における活性層発光部の上層に高Al組成窒化物半導体からなる電流狭窄層を設ける構成としているため、活性層発光部における劈開異常の発生を抑制することができ、高いCODレベルを安定して得られる。
〔発明の実施の形態〕
本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1、2に、本実施形態にかかる半導体レーザの構成を示す。図1(a)は、半導体レーザの斜視図、図1(b)は平面図である。また、図2(a)は、図1(a)におけるA−A断面図、図2(b)は、図1(a)におけるB−B断面図である。
この半導体レーザは、n型GaN基板301上にSiドープn型GaN層302、Siドープn型Al0.1Ga0.9Nからなるn型クラッド層303、Siドープn型GaNからなるn型光閉じ込め層304(n型ガイド層304ともいう)、In0.15Ga0.85N井戸層とSiドープIn0.01Ga0.99Nバリア層とからなる3周期多重量子井戸(MQW:Multi-Quantum Well)層305(活性層305ともいう)、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nからなるキャップ層306、Mgドープp型GaNからなるp型GaNガイド層307(p型ガイド層307ともいう)を積層させた構造を有する。
そして、上記積層構造の上に、電流狭窄層308、GaN/Al0.1Ga0.9N130周期構造からなる超格子構造のp型クラッド層309、Mgドープp型GaNからなるp型コンタクト層310をさらに積層させている。なお、p型コンタクト層310の上面は、半導体製造プロセスにおける不良発生を抑制するために好ましい平坦面となっている。この積層構造の上部(p型コンタクト層310の上)にp型電極311が、n型GaN基板301の下にn型電極312が、それぞれ設けられている。
電流狭窄層308は、高抵抗なAlxGayIn1-x-yN(0.4≦x≦1、0≦y≦0.6、0≦x+y≦1)からなり、端面近傍の領域を除いてストライプ状の電流注入用開口部313が設けられている。電流狭窄層308は層厚方向に電流が流れることを阻止する機能を有し、電流注入用開口部313に電流を集中させることによりレーザ発振の閾値電流を下げる役割を果たすと同時に、端面近傍においてキャリアを注入しないことによりCODレベルを向上させる。
電流狭窄層308のうち端面近傍に形成された部分(以下、電流狭窄層端面部308a)は、劈開による端面形成時において、電流狭窄層端面部308aよりも下層側に位置する活性層305での劈開異常の発生を抑制する。これは、電流狭窄層308において格子緩和が起こることを利用したものであるため、少なくとも電流狭窄層端面部308aにはある程度の膜厚が必要となるが、厚すぎるとその上部に形成するp型クラッド層309の制御性や表面平坦性が悪化するため、200nm以下とすることが望ましい。
また、劈開異常の発生を抑制する効果は、電流狭窄層308のAl組成が高いほど、電流狭窄層端面部308aの膜厚を比較的薄くしても十分に得られる。よって、電流狭窄層308のAl組成は0.4以上とすることが好ましい。電流狭窄層308がAl0.4Ga0.56In0.04Nから成る場合、150nm程度の膜厚でも十分な劈開異常防止効果が得られる。さらに好ましいのは、低温成長AlNを用いることであり、この場合には50nm程度の膜厚でも十分な劈開異常防止効果が得られる。電流狭窄層308のAl組成を0.4以上とした場合、その膜厚は200nm以下とすることが、電流狭窄層におけるクラック発生を抑制する上で望ましい。また、電流狭窄層端面部308aの長さはプロセス精度と電流非注入領域による吸収等の観点から、5μm以上50μm以下とすることが好ましい。
高Al組成の電流狭窄層308を用いることにより、電流注入用開口部313の両脇部分(以下、電流狭窄層本体部)308bは上述した電流ブロック機能のみならず、水平方向に屈折率差を形成して閾値を低減する効果をも奏する。電流狭窄層308に高Al組成のAlxGayNIn1-x-yNを用いると、電流狭窄層308の屈折率は、p型ガイド層307の屈折率及びp型クラッド層309の実効屈折率よりも小さくできる。活性層305の屈折率をn1、p型ガイド層307の屈折率をn2、p型クラッド層309の屈折率をn3、電流狭窄層308の屈折率をn4とした場合、n1>n2>n3>n4の条件を満足するように、例えば、n1−n2≧0.06、n2−n3≧0.03、n3−n4≧0.02とすればよい。従って、電流注入領域(ストライプ形状の電流注入用開口部313)と、その両側の電流狭窄層本体部308bが設けられた領域とを比較すると、両者の間に実効的な屈折率差Δneffが形成され、電流狭窄層本体部308bを設けた領域への光染み出しを抑制する作用が得られる。
電流狭窄層308は、p型クラッド層309と活性層305との間に設置すれば良く、p型ガイド層307中に(p型ガイド層307を二つに分けてその間に挟み込むように)形成しても良い。ただし、電流狭窄層308の上部には劈開異常が生じやすく、活性層305に近接してなるp型ガイド層307に劈開異常が発生すると、CODレベルの低下といった問題が生じる。従って、少なくとも電流狭窄層端面部308aはp型クラッド層309の下部に接するように設けることが好ましい。
本実施形態にかかる半導体レーザでは、端面近傍においてp型クラッド層309の直下に高Al組成の窒化物半導体からなる電流狭窄層308を配しているため、レーザ光強度が最も強い活性層発光部305aとその近傍では良好な劈開面を安定して得ることができる。これにより、高いCODレベルを安定して実現できる。
また、高Al組成の窒化物半導体を用いて電流狭窄層308を形成することにより、横方向の屈折率分布が形成されており、水平方向の屈折率差によって閾値電流が低減される。さらに、広いコンタクト面積と電流注入効率とによる低閾値、低電圧動作というインナーストライプ型半導体レーザ本来の利点を損なうことなく、安定した高出力特性を得られる。
さらに、電流狭窄層308として高Al組成の窒化物半導体を用いるため、その上部に形成されるp型クラッド層309やコンタクト層310の結晶性が悪化して高抵抗となり、電流狭窄層端面部308aによる電流ブロック効果が向上している。これによってもCODレベルが向上する。
また、電流狭窄層端面部308aが存在することによって端面非注入構造となるため、非注入領域の真上の表面の全域、もしくは一部にp型電極311を形成することも可能となる。これによって端面近傍の放熱性が向上するため、例えば、pサイドダウン融着する場合にCODレベルを顕著に向上させられる。
電流狭窄層308は、Al組成が高い窒化物半導体によって形成されているため結晶性が悪い。このため、電流狭窄層308の直上領域と電流注入用開口部313の直上領域とで転位密度を比較すると、電流狭窄層308の直上領域では相対的に高く、電流注入用開口部313の直上領域では相対的に低くなっている。
図3に、本実施形態にかかる半導体レーザの転位密度分布及び電流注入経路の概念を示す。下記の実施例では、電流狭窄層308の直上領域における転位密度は、電流狭窄層308に設けられている電流注入用開口部313の直上領域における転位密度の100倍以上である。こうした構造は、電流狭窄層308の組成及び成膜条件、p型クラッド層309の成長条件(成膜速度やV/III比など)を適切に制御することによって実現できる。
こうした構造とすることによって、電流狭窄層308の直上領域においては、高抵抗の半導体層となり、良好な電流ブロック効果が得られるため、電流狭窄層本体部308bは端面部308aに比して薄くすることも可能である。電流狭窄層308に高Al組成の窒化物半導体を用いた場合、電流狭窄層本体部308bの厚さは50nm程度でも十分な電流ブロック効果を得ることが可能である。また、電流狭窄層本体部308bの厚さを200nm以下とすることによって、電流狭窄層本体部308bにおけるクラックの発生を抑制し、かつその上部に形成するp型クラッド層309を制御性良く形成することができるため、最終的にウエハ全体にわたって平坦な表面を得ることができる。
電流狭窄層308としては、アンドープのAlxGayIn1-x-yNが用いられるが、これにシリコンや酸素などのn型不純物をドーピングしても良い。電流狭窄層308には、p型クラッド層309の埋め込み成長時にp型不純物であるMgが拡散して、無効電流が増大することが懸念されるが、電流狭窄層308にn型不純物をドーピングすることによって、これを補償して無効電流を低減できる。加えて、電流狭窄層308とp型クラッド層309との界面にpn接合による空乏層が形成されるため、より完全な電流狭窄が行われて、例えば、レーザ発振の閾値電流が低減される。
また、p型クラッド層309に面する電流狭窄層308の表面にはアンドープGaN層を設けることができる。なお、電流狭窄層308の表面に設けるアンドープGaN層には、p型クラッド層309の埋め込み成長時にp型不純物であるMgが拡散して、p型クラッド層309に接する部分は、p型導電性を示すGaNへと変換される。一方、このアンドープGaN層を越えて電流狭窄層308に達するp型不純物の拡散は効果的に抑制される。上記の機能を果たすアンドープGaN層の厚さは、電流狭窄層308の厚さに対して1/10〜1/2程度で良いが、p型クラッド層309の制御性や表面平坦性の観点から、アンドープGaN層と電流狭窄層308との厚さの合計は200nm以下であることが好ましい。
また、低温成長のアンドープAlxGayIn1-x-yNを用いた電流狭窄層308の表面に、予め高温成長により形成されるアンドープGaN層を設けることにより、p型クラッド層309の埋め込み成長が容易になる。
p型クラッド層309は、Mgドープしたp型AlGaNを用いて形成できるが、GaN層及びAlGaN層が交互に積層された超格子構造とした方がより好ましい。例えば、GaN/Al0.1Ga0.9N(厚さ2.5nm/2.5nm;Mg濃度0/1×1019cm-3)130周期構造からなる超格子構造(総厚さ0.65μm)のような構造とすると良い。超格子構造とすることによって、p型クラッド層309の格子歪が層全体に分配され、p型クラッド層309における劈開異常の発生を抑制する効果が得られる。また、層方向の抵抗が低減して低電圧動作が可能となるほか、平坦性が増すなどといった効果も得られる。超格子の周期数は50周期以上であることが好ましく、100周期以上であることがより好ましい。
上記周期数の超格子構造の層をp型クラッド層309の一部に挿入することにより、動作電圧の低減が顕著となる。その際、電流狭窄層308が設けられていない領域では超格子構造の層は、p型GaNガイド層307及びp型コンタクト層310と直に接していなくても良いが、p型GaNガイド層307との界面に挿入する方が低電圧化及びクラック抑制の点で好ましい。
なお、超格子構造を含むp型クラッド層309の層厚は、電流狭窄層308よりも厚くする必要がある。特に、p型GaNガイド層307との界面に超格子構造の層を挿入する際、p型クラッド層309が有する超格子構造の層の厚さを、電流狭窄層308の厚さよりも厚くすることがクラック抑制及び低電圧化の点でより好ましい。また、この場合、p型クラッド層309のp型不純物ドーピングは、超格子構造を構成するAlGaN層及びGaN層の少なくとも一方に行えば良い。
また、層面方向の抵抗低減を図るためには、GaN/AlGaN超格子構造においてAlGaN層のみにMgをドープした変調ドープ超格子構造を採用することが望ましい。また、AlGaN層のみにMgをドープする変調ドープ超格子構造を採用することにより、埋め込み成長の平坦性が向上する効果も得られる。
p型電極311は、素子全面に亘って形成することが可能であるが、例えば、SiO2による絶縁層をp型コンタクト層310上に形成してp型電極311の幅や長さを制限しても良い。
この場合、p型電極311は、電流注入用開口部313に対して対称に配置することが好ましい。また、低電圧化の観点からp型電極311の電極幅は、電流注入用開口部313の幅の10倍以上であることが好ましい。
電流狭窄層本体部308bは、電流注入用開口部313から離れた領域において、その一部が除去されていても良い。電流狭窄層308が電流注入用開口部313を除く素子全面に形成された半導体レーザでは、基板301と電流狭窄層308との格子定数差に起因する大きな歪の影響で、素子分離、ワイヤ・ボンディング、ヒート・シンクへの融着などの工程で素子が破壊される恐れがあるほか、電流狭窄層308を成長させる際にもピットや異常成長が起こりやすい。
電流注入用開口部313から離れた領域において電流注入用開口部308bの一部を除去することによって、電流狭窄層308のチップ面積(活性層面積)に占める被覆率を低減できる。これにより、素子全体に内在する応力が低減され、長期信頼性が改善されるとともに、外部からの応力への耐性が向上する。
特に、ワイヤ・ボンディングや融着の際にかかる局所的な応力に対しては、電流狭窄層本体部308bが除去された領域(以下、ダミー開口部と表記する。)にボンディング・パッドを設けるなどすることにより、電流狭窄層本体部308bへの応力集中を避けることができ、素子へのダメージを最小限に抑えることが可能となる。
なお、電流注入用開口部313の両側にある電流狭窄層本体部308bの一部を除去する際、ダミー開口部への電流リークを抑制する必要があるため、絶縁層の形成などによりp型電極311の電極幅を制限する構造を選択する。この際、電流注入用開口部313の幅と、その両脇に位置する電流狭窄層本体308bの幅との合計が、p型電極311の電極幅よりも広くなるように選択する。p型電極311を電流注入用開口部313に対して対称に配置する際、各電流狭窄層本体部308bの幅は、上記電極幅の少なくとも0.5倍以上、より好ましくは0.7倍以上に選択する。なお、前記構造において、電流狭窄層308のチップ面積(活性層面積)に占める被覆率は、50%以下、2.5%以上の範囲で選択可能である。
また、電流狭窄層端面部308aの一部を除去することも可能である。この際、電流狭窄層端面部308aの幅は、電流注入用開口部313の幅とその両脇に位置する電流狭窄層本体部308bの幅との合計と等しくする必要は無いが、電流注入用開口部313の幅に対して4倍以上に選択し、電流注入用開口部313に対して対称に配置することが望ましい。こうすることにより、活性層発光部305aにおける劈開異常を抑制できる。
なお、電流狭窄層端面部308aの幅が、電流注入用開口部313の幅と電流狭窄層本体部308bの幅との合計よりも小さい場合には、p型電極311の構造もこれに応じて電流狭窄層端面部308aの上部で電極幅を小さくする必要があり、p型電極311の幅を電流狭窄層端面部305aの幅の1/2以下とするか、又は電流狭窄層端面部308aの上部にはp型電極311を設けない構造とする。
以下、本実施形態にかかる半導体レーザの具体的な実施例について説明する。
本実施例にかかる半導体レーザの構造は、図1、図2に示した通りである。基板としてn型GaN(面方位0001)基板を用いた。素子構造の形成には、MOVPE装置を用いた。キャリアガスとして水素と窒素との混合ガスを用い、Ga、Al、Inソースとしてそれぞれトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、n型ドーパントとしてシラン(SiH4)、p型ドーパントとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いた
はじめに、活性層305、n型クラッド層303、n型及びp型ガイド層304及び307、電流狭窄層308のために低温でAlNを成長させる。以下、この工程を「活性層成長工程」と表記する。
n型GaN基板301を成長装置に投入後、NH3を供給しながら基板を昇温させ、成長温度まで達した時点で成長を開始した。Siドープn型GaN層302(Si濃度4×1017cm-3、厚さ1μm)、SiドープAl0.1Ga0.9N(Si濃度4×1017cm-3、厚さ2μm)からなるn型クラッド層303、Siドープn型GaN(Si濃度4×1017cm-3、厚さ0.1μm)からなるn型光閉じ込め層304、In0.15Ga0.85N(厚さ3nm)井戸層とSiドープIn0.01Ga0.99N(Si濃度1×1018cm-3、厚さ4nm)バリア層からなる3周期多重量子井戸(MQW)層305、Mgドープp型Al0.2Ga0.8N(Mg濃度2×1019cm-3、厚さ10μm)からなるキャップ層306、Mgドープp型GaN(Mg濃度2×1019cm-3、厚さ0.1μm)からなるp型ガイド層307を順次積層した。GaN成長は基板温度1080℃、TMG供給量58μmol/min、NH3供給量0.36mol/min、AlGaN成長は、基板温度1080℃、TMA供給量36μmol/min、TMG供給量58μmol/min、NH3供給量0.36mol/minにて行った。InGaNMQW成長は、基板温度800℃、TMG供給量8μmol/min、NH30.36mol/minにおいて、TMIn供給量は井戸層で48μmol/min、バリア層で3μmol/minとした。これらの構造を堆積させた後、引き続いて基板温度を400℃まで降下させ、低温AlN層(厚さ100nm、後に電流狭窄層308となる)を堆積させた。
上記のように、電流狭窄層本体部308bは端面部308aに比して薄くすることも可能であり、本実施例においては50nm程度の薄層とすることもできる。
次に、低温成長AlN層にストライプ状の電流注入用開口部313を形成する。以下、この工程を「ストライプ形成工程」と表記する。
AlN上にSiO2を100nm堆積させ、レジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって幅2μm、長さ580μmのストライプパターンをレジスト上に形成した。次に、レジストをマスクとしてバッファードフッ酸でSiO2をエッチングした後、レジストを有機溶媒によって除去し、水洗した。次に、SiO2をマスクとして低温AlNをエッチングした。エッチング液にはリン酸と硫酸とを体積比1:1の割合で混合した溶液を用いた。SiO2マスクでカバーされていない領域のAlN層は80℃に保持した上記溶液中での10分間のエッチングによって除去され、ストライプ状の電流注入用開口部313が得られた。さらに、マスクとしたSiO2をバッファードフッ酸で除去し、AlN層に幅2μm、長さ580μmのストライプ状の電流注入用開口部313を有する構造を得た。
以上の「ストライプ形成工程」によって得られた電流注入用開口部313を有する試料に対し、GaN/MgドープAlGaNSLSクラッド層を埋め込み再成長させる。以下、この工程を「pクラッド再成長工程」という。
電流注入用開口部313を有する試料をMOVPE装置に投入後、NH3供給量0.36mol/minという条件の下で成長温度である950℃まで昇温させた。950℃に達した後、GaN(厚さ2.5nm)井戸層とMgドープAl0.1Ga0.9N(Mg濃度1×1019cm-3、厚さ2.5nm)バリア層とを140周期成長させてなるp型クラッド層309を堆積させ、Mgドープp型GaN(Mg濃度1×1020cm-3)、厚さ0.02μm)からなるp型コンタクト層310を堆積させた。
以上の各工程によって、p型コンタクト層310、電流狭窄層308、p型及びn型クラッド層309及び303、p型及びn型ガイド層307及び304、及び活性層305を備えたLDウエハが得られた。
次に、このLDウエハに対しp型及びn型電極311、312を形成する。以下、この工程を「電極工程」と表記する。
n型GaN基板301裏面にTi5nm、Al20nmをこの順で真空蒸着し、次に、p型コンタクト層310上にNi10nm、Au10nmをこの順で真空蒸着した。上記試料を、RTA装置に投入し、600℃、30秒間のアロイを行って、オーミック・コンタクトを形成する。基板301の裏面側のTiAl膜及び表面側のNiAu膜上に、Auを500nm真空蒸着し、n型電極312及びp型電極311とする。
以上のようにしてn型電極312とp型電極311とを形成したウエハを、ストライプ状の電流注入用開口部313に垂直な方向でバー状に劈開し、劈開面に垂直な600μm長の共振器を形成した。また、この際、劈開位置は電流注入用開口部313に対して対称となるようにし、両端面における電流狭窄層端面部308aの長さは共に10μmとした。
バー状態のまま劈開面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察して、劈開異常が活性層発光部305aに到達している素子の割合を劈開不良率と定義した。これを上記の工程によって得られたバーについて測定したところ、劈開不良率1%未満という良好な結果が得られた。
共振器端面にTiO2とAl23とからなる誘電体多層膜を形成し、前面の反射率Rf=5%、背面の反射率Rb=90%とし、最後に、劈開面に垂直な方向でバーを切断して、図1、図2に示したような半導体レーザ素子とした。なお、共振器長は600μm、素子幅は400μmとした。
以上の工程によって得られた半導体レーザを、Pサイド・アップの配置でヒート・シンク上に融着し、それぞれの電極をワイヤ・ボンディングして発光特性を調べたところ、ヒート・シンク温度25℃、CW(連続発振)における閾値条件として、電流密度(電流Iをストライプ状の電流注入用開口部(2μm(W)×580μm(L))面積Sで除した値(I/S)で示す)3kA/cm2以下、半導体レーザに印加する電圧4.0V以下にてレーザ発振させ、注入電流I=60mA付近におけるスロープ効率が、1.5W/A以上という良好な特性を有する素子(以下、良品素子)が80%以上の確率で得られることを確認した。これらの良品素子各々について、ヒート・シンク温度25℃、CWにおけるCODレベルを評価したところ、平均CODレベル540mW、標準偏差40mWであった。
なお、本実施例においては、活性層305、p型GaNガイド層307、厚さ100μmの低温成長AlN層を形成した後に、AlN層においてレーザ端面近傍を除いてストライプ状の電流注入用開口部313を形成した後、GaN/MgドープAlGaN超格子構造からなるp型クラッド層309の埋め込み再成長を行った。また、p型電極311は素子全面に形成している。
得られた半導体レーザは、電流注入効率に優れ、低電圧動作であり、安定した高いCODレベルを有する素子が得られた。
このように、本実施例にかかる半導体レーザは、その端面において活性層発光部305aの上部に高Al組成の電流狭窄層308を設けることにより、p型クラッド層309で生じた劈開異常が活性層発光部305aまで伝播することを防ぐ構造となっているため、高いCODレベルを安定的に得られる。
図4、図5に、本実施例にかかる半導体レーザの概略構造を示す。図4(a)は、半導体レーザの構造を示す斜視図であり、図4(b)は、図5(a)に示す電流狭窄層308の平面図であり、図5(a)、(b)は、それぞれ図4(a)におけるA−A断面図、B−B断面図である。この半導体レーザは、電流狭窄層本体部308b及び電流狭窄層端面部308aの一部が除去され、ダミー開口部501が形成されている点と、p型電極311の接触面積が絶縁膜502によって制限されている点で上記実施例1の半導体レーザと相違する。以下、その製造方法について説明する。
まず、実施例1と同様の「活性層成長工程」を経た後、幅40μm、長さ600μmのAlN層に電流注入領域として幅2μm、長さ580μmのストライプ状開口部が形成された電流狭窄層308を有する構造を、上記「ストライプ形成工程」で説明した方法によって得ている。下地膜(p型GaNガイド層307/活性層305)に対する電流狭窄層308(低温成長AlN層)の被覆率、すなわち、幅400μm、長さ600μmのp型GaNガイド層307全体の面積に対して電流狭窄層308の面積が占める割合は、10%程度となっている。
その後、実施例1と同様の「pクラッド再成長工程」を経て、n型クラッド層303、n型ガイド層304、活性層305、キャップ層306、p型ガイド層307、電流狭窄層308、p型クラッド層309、及びp型コンタクト層310を備えたLDウエハを得る。
さらにその後、p型コンタクト層310上に絶縁層として7000ÅのSiO2膜(後に、絶縁膜502となる)をCVD法によって堆積させたあと、フォトリソグラフィーにより20μm幅のストライプ状開口部を形成する。ストライプ状開口部は、電流狭窄層308に設けた電流注入用開口部313の直上に位置するように形成されている。その後、実施例1と同様の「電極工程」を経て、p型電極311及びn型電極312を形成する。
以上の工程によって得られたウエハを、電流狭窄層308に設けるストライプ状電極注入用開口部313に垂直な方向でバー状に劈開し、劈開面に垂直な共振器を形成した。上記の各工程によって得られたバーについて劈開面をSEMによって観察したところ、劈開不良率は1%未満であった。
共振器端面にTiO2とAl23とからなる誘電体多層膜を形成して、前面の反射率Rf=5%、背面の反射率Rb=90%とした。最後に劈開面に垂直な方向でバーを切断して図4、図5に示したような半導体レーザ素子を形成した。なお、共振器長は600μm、素子幅は400μmとした。
以上の工程によって得られた半導体レーザを、Pサイド・アップの配置でヒート・シンク上に融着し、それぞれの電極をワイヤ・ボンディングした。この際、p側のボンディングはダミー開口部501の上部に形成されたp型電極311上に行った。
発光特性を調べたところ、ヒート・シンク温度25℃、CW条件において、閾値電流密度3kA/cm2以下、閾値電圧4.0V以下、注入電流I=60mA付近におけるスロープ効率1.5W/A以上という良品素子が95%以上の確率で得られることを確認した。
これらの良品素子各々について、ヒート・シンク温度25℃、CW条件におけるCODレベル(25℃CW)を評価したところ、平均CODレベル530mW、標準偏差30mWであった。また、実施例1にかかる半導体レーザと比較して長期信頼性が大幅に改善された。
本実施例では、活性層305、p型GaNガイド層307、厚さ100μmの低温成長AlN層を形成した後、AlN層においてレーザ端面近傍を除き、ストライプ状の電流注入用開口部313を形成するとともに、電流注入用開口部313から隔たった領域において、その一部を除去することにより、チップ面積(活性層面積)に対する電流狭窄層308の被覆率を低減した上で、GaN/MgドープAlGaN超格子構造からなるp型クラッド層309の埋め込み再成長を行っている。
得られた半導体レーザは、電流注入効率に優れ、ワイヤ・ボンディング等による破損の起きにくいものであった。また、高いCODレベルと長期信頼性を有する低電圧動作LD素子をウエハ全体で安定して得られる。
本実施例にかかる半導体レーザは、p型コンタクト層310表面に開口部を有する絶縁膜502を設けるとともに、電流注入用開口部313から離れた領域で電流狭窄層308にダミー開口部501を設けているため、電流狭窄層308による歪みの発生を抑制しつつ、発光部における劈開異常の発生を防ぐことができ、その結果、高いCODレベルと長期信頼性とをウエハ全体で安定的に得られる。
(比較例1)
電流狭窄層308において、電流注入用開口部313が端面に達していること、及び端面近傍領域において絶縁層502を設けることによって端面非注入構造としていること以外は、実施例2と同様にして半導体レーザを作製し、評価した。本実施例にかかる半導体レーザの概略構造を図6、7に示す。図6(a)は、本比較例にかかる半導体レーザの構造を示す斜視図であり、図6(b)は図6(a)に示す電流狭窄層308の平面図であり、図7(a)、(b)はそれぞれ図6(a)におけるA−A断面図、B−B断面図である。
このような構造では、端面近傍、すなわち劈開位置における電流狭窄層308に開口部が形成されているため、図8(a)に示すように、電流狭窄層308上部に形成されたp型クラッド層309で生じた劈開異常が電流狭窄層308下部に位置する活性層305まで開口部を介して伝播してしまい、劈開不良率が高くなる。また、図8(b)に示すように、絶縁層502の作用により端面近傍ではp型電極311を電極として機能させないことにより、上記実施例1、2と同等な電流非注入領域を設けているものの、p型電極311から注入されたキャリアがp型クラッド層309、p型GaNガイド層307中で端面近傍まで広がってしまう。このような理由により、本例の構造ではCODレベルが低下しばらつきも増大する。
得られたウエハを、電極狭窄層308に設けるストライプ状の電流注入用開口部313に垂直な方向でバー状に劈開し、劈開面に垂直な共振器を作製した。上記の工程によって得られたバーについて、劈開面をSEMによって観察したところ、劈開不良率は約20%であった。
共振器端面にTiO2とAl23とからなる誘電体多層膜を形成し、前面の反射率Rf=5%、背面の反射率Rb=90%とした。最後に、劈開面に垂直な方向でバーを切断して図7、8に示したような半導体レーザとした。なお、共振器長は600μm、素子幅は400μmとしている。また、p型電極311の幅は20μm、長さは580μmとし、両端面における非注入領域長は上記第2の実施例にかかる半導体レーザと同じ10μmとしている。
得られた半導体レーザをPサイド・アップの配置でヒート・シンク上に融着し、それぞれの電極をワイヤ・ボンディングした。この際、p側のボンディングはダミー開口部501の上部に形成されたカバー電極上に行った。発光特性を調べたところ、ヒート・シンク温度25℃、CW条件において、閾値電流密度3kA/cm2以下、閾値電圧4.0V以下、注入電流I=60mA付近におけるスロープ効率1.5W/A以上という良品素子が95%以上の確率で得られることを確認した。これらの良品素子各々について、ヒート・シンク温度25℃、CW条件におけるCODレベル(25℃CW)を評価したところ、平均CODレベル480mW、標準偏差90mWであった。
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記実施形態では400℃で成長させた厚さ100nmのAlNを電流狭窄層308として用いたが、電流狭窄層308は、600℃以下の比較的低温で成長させた窒化物半導体であれば適用可能である。低温で成長させることによって電流狭窄層308の開口部形成等の加工をウエットエッチングによって良好に行えるようになる。また、この場合、電流狭窄層308の結晶性は高温で成長させた場合に比べて悪化するが、50nmまで薄層化しても十分な劈開異常防止効果が得られる。
また、上記の実施例ではプロセスの簡便性の点から電流狭窄層308の膜厚は端面部308a、本体部308bともに100nmとしたが、それぞれの機能は独立であるため、異なる膜厚とすることもできる。
このよう、上記実施形態は一例で様々な変形が可能であり、本発明はそうした変形実施も包含するものである。
は様々な変形が可能である。
本発明の好適な実施の形態の第1の実施例にかかる半導体レーザの構造を示す図である。 第1の実施例にかかる半導体レーザの構造を示す図である。 転位密度及び電流経路を模式的に示す図である。 本発明の好適な実施の形態の第2の実施例にかかる半導体レーザの構成を示す図である。 第2の実施例にかかる半導体レーザの構成を示す図である。 比較例にかかる半導体レーザの構成を示す図である。 比較例にかかる半導体レーザの構成を示す図である。 比較例にかかる半導体レーザの劈開異常を模式的に示す図である。 従来のリッジ型半導体レーザの構造を示す図である。 従来のインナーストライプ型半導体レーザの構成を示す図である。
符号の説明
301 基板
302 Siドープn型GaN層
303 n型クラッド層
304 n型光閉じ込め層(n型ガイド層)
305 活性層
305a 活性層発光部
306 キャップ層
307 p型GaNガイド層(p型ガイド層)
308 電流狭窄層
308a 電流狭窄層端面部
308b 電流狭窄層本体部
309 p型クラッド層
310 p型コンタクト層
311 p型電極
312 n型電極
313 電流注入用開口部
501 ダミー開口部
502 絶縁膜

Claims (8)

  1. III族窒化物半導体からなる活性層と、前記活性層よりも上層側に形成され電流注入領域に開口部が設けられた電流狭窄層と、前記電流狭窄層及び前記開口部よりも上層側に設けられたクラッド層と、前記クラッド層の上に設けられたコンタクト層と、前記コンタクト層の表面に設けられた電極とを備え、
    前記電流狭窄層がAlxGayIn1-x-y(ただし、0.4≦x≦1、0≦y≦0.6、x+y≦1)を主成分として形成されており、
    前記電流狭窄層が端面近傍において前記活性層発光部の上部に形成されていることを特徴とするIII族窒化物半導体光素子。
  2. 前記電流狭窄層は、Alの組成比率が前記クラッド層よりも高いことを特徴とする請求項1記載のIII族窒化物半導体光素子。
  3. 前記電流狭窄層が低温成長AlNからなることを特徴とする請求項1又は2記載のIII族窒化物半導体光素子。
  4. 前記電流狭窄層は、厚さが50nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のIII族窒化物半導体光素子。
  5. 前記電流狭窄層は、前記クラッド層の下面と接していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のIII族窒化物半導体光素子。
  6. 前記クラッド層が、GaN/AlGaNからなる超格子構造を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のIII族窒化物半導体光素子。
  7. 前記コンタクト層の表面に設けられた前記電極が、端面近傍に形成された前記電流狭窄層の上部に位置する前記コンタクト層表面を含む領域に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のIII族窒化物半導体光素子。
  8. 前記電流狭窄層は、前記開口部から離れた領域において、その一部が除去されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のIII族窒化物半導体光素子。
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