JP2007248621A - 偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007248621A
JP2007248621A JP2006069440A JP2006069440A JP2007248621A JP 2007248621 A JP2007248621 A JP 2007248621A JP 2006069440 A JP2006069440 A JP 2006069440A JP 2006069440 A JP2006069440 A JP 2006069440A JP 2007248621 A JP2007248621 A JP 2007248621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
polarizing plate
film
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006069440A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Namikawa
均 並河
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006069440A priority Critical patent/JP2007248621A/ja
Publication of JP2007248621A publication Critical patent/JP2007248621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子を備える偏光板について、液晶表示装置に用いて光漏れ等の不具合がなく、薄形化が可能であり、しかも、液晶材料の配向のための配向処理を必要としない偏光板を提供すること。
【解決手段】保護層、リオトロピック液晶性化合物からなる偏光子、光学的に二軸である透明支持体、及び光学異方性層の順に配置される偏光板であって、光学的に二軸である透明支持体の光学異方性層に配置される面が親水化されており、光学異方性層が一般式(I)で表されるピリジニウム化合物を含むことを特徴とする偏光板。
(L1は2価の連結基、R1は、水素原子、無置換、置換のアミノ基、Y1は5員環又は6員環を部分構造として有する2価の連結基、Zは、ハロゲン等で置換されたフェニル基、アルキル基、アルキニル基、アルコキシ基等である。また、Xはアニオンである。)
【化1】
Figure 2007248621

【選択図】なし

Description

本発明は偏光板及び液晶表示装置の技術分野に関し、特にIPSモード等の液晶表示装置に好適な偏光板、及び偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、2枚の直交した偏光板の間に、ネマチック液晶をツイスト配列させた液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶性化合物による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性化合物がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性化合物を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるIPSモードやFFSモードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、テレビ用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSやFFSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示又は中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコティック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)や光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(特許文献7参照)が提案されている。
また、光学補償材料を作製する手段として、特許文献8〜14に記載の方法が提案されている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報 特開2004−264345号公報 特開2004−347698号公報 特開2005−62425号公報 特開2005−242322号公報 特開2005−274909号公報 特開2005−173410号公報 特開2005−258046号公報
しかし、延伸複屈折ポリマーフィルムからなる光学補償シートを用いてIPSモードやFFSモード液晶セルを光学補償する場合は、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、これらの問題を解決するために、液晶材料を配向させた光学異方性フィルムを用いることができるが、液晶材料を大面積で均一な膜厚で塗布し、均一に配向させることが難しく、ムラや表面凹凸が発生しやすく、歩留まりの低下を招いていた。また、液晶材料の配向性が不十分であると、液晶表示装置に用いた場合、偏光板を通過した入射偏光が偏光解消して正面に抜けやすく、黒表示時に光漏れが発生し、コントラスト低下等の不具合が発生していた。
また、光学フィルムを作製する際に広く用いられる、液晶層を配向するための配向膜付加やラビング処理等の工程数増加による光学フィルム得率低下も解決する課題であった。
一方、ヨウ素または二色性染料を含んだポリビニルアルコールの膜を延伸する従来の偏光子に代えて、支持体に塗布乾燥するだけで偏光子の機能を有するようになる、リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子を備える偏光板が、試みられている。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、リオトロピック液晶性化合物からなる偏光子を用いた偏光板について、光学的に二軸である透明支持体表面を親水化し、ピリジニウム化合物により液晶材料を配向させた光学異方性層を設けたフィルムを使用することで、液晶表示装置に用いて光漏れ等の不具合がなく、薄形化が可能であり、しかも、光学異方性層の液晶材料の配向のための配向処理を必要としない偏光板を提供することを課題とする。また、本発明は、さらに、工程数を減少することで低コスト化可能な偏光板を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)
保護層、リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子、光学的に二軸である透明支持体、及び光学異方性層の順に配置される偏光板であって、光学的に二軸である透明支持体の光学異方性層に配置される面が親水化されており、光学異方性層が下記一般式(I)で表されるピリジニウム化合物を含むことを特徴とする偏光板。
Figure 2007248621
(式中、L1は2価の連結基を表し、アルキレン基と−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NRa−(但し、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子である)、アルケニレン基、アルキニレン基又はアリーレン基との組み合わせからなる炭素原子数が1〜20の2価の連結基である。
1は、水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換基で置換された置換アミノ基である。
Xはアニオンである。
1は5員環又は6員環を部分構造として有する炭素数1〜30の2価の連結基である。
Zは、ハロゲン置換フェニル基、ニトロ置換フェニル基、シアノ置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基である。)
(2)
前記リオトロピック液晶性化合物が下記化合物の少なくとも1種類からなることを特徴とする、上記(1)に記載の偏光板。
Figure 2007248621
(式中、L1およびL3は、それぞれ独立に、単結合または炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であり;L2は、単結合、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基、−O−、−S−または−NH−であり;Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンであり;nは、0または1であり;そして、ベンゼン環A、B、CおよびDの少なくとも一つは、スルホまたはその塩を置換基として有する。)
Figure 2007248621
(式中、Rは無置換または置換されたフェニル基あるいは無置換または置換されたヘテロアリール基を表す。Xは無置換または置換されたフェニレン基を表す。)
Figure 2007248621
(式中、Mは、カチオンであり;R1およびR2は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、スルホまたはその塩であり;n1およびn2は、それぞれ独立に、0、1、2、3または4であり;R3は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基、炭素原子数が1乃至4のアルコキシ基またはハロゲン原子であり;mは、0、1、2、3または4であり;そして、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。)
Figure 2007248621
(式中、R1=HまたはClであり;R=H、Alk、ArNHまたはArCONHであり;Alkはアルキル基であり;Arは置換または無置換アリール基であり;MはH+、第一族の金属またはNH4 +である。)
Figure 2007248621
(式中、nは1〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、zは0〜6の整数であり、m、n及びzの値は式m+z+n≦10を満たし、X及びYは、それぞれ別個にCH3、C25、OCH3、OC25、Cl、Br、OH及びNH2からなる群より選ばれ、Mは対イオンであり、jは前記1,8−ナフトイレン−1’,2’−ベンゾイミダゾールスルホ誘導体の1分子中の異なる対イオン(M)の数である。)
(3)
前記光学異方性層が重合性棒状液晶性化合物を含むことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の偏光板。
(4)
前記光学異方性層が、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー、又は下記一般式(III)で表される含フッ素化合物を含むことを特徴とする、上記(1)から(3)のいずれかに記載の光学フィルム。
式(III)
(R0)mo−L0−(W)no
(式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、moは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(mo+no)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、noは1以上の整数を表す。)
(5)
前記光学異方性層の光学特性が、面内のレターデーションReが0〜10nmであり、厚さ方向のレターデーションRthが−400〜−80nmであることを特徴とする、上記(1)から(4)のいずれかに記載の光学フィルム。
(6)
前記光学的に二軸である透明支持体がセルロースアシレートを含むことを特徴とする、上記(1)から(5)のいずれかに記載の偏光板。
(7)
前記セルロースアシレートが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースエーテルアセテートの少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、上記(6)に記載の偏光板。
(8)
前記光学的に二軸である透明支持体の光学特性が、面内のレターデーションReが20〜150nmであり、厚さ方向のレターデーションRthが100〜300nmであることを特徴とする、上記(1)から(7)のいずれかに記載の偏光板。
(9)
前記光学的に二軸である透明支持体の前記光学異方性層と接する側の親水化された表面が、ESCAで測定した場合、炭素チャート上の290eVと288eVのピーク比が0.20から0.50であることを特徴とする、上記(1)から(8)のいずれかに記載の偏光板。
(10)
前記光学的に二軸である透明支持体と前記光学異方性層の間にポリマー層を有することを特徴とする、上記(1)から(9)のいずれかに記載の偏光板。
(11)
前記ポリマー層がポリビニルアルコール及びその置換体を含むことを特徴とする、上記(10)に記載の偏光板。
(12)
前記ポリマー層が更に多官能モノマーを含むことを特徴とする、上記(11)に記載の偏光板。
(13)
前記光学異方性層が実質的に垂直配向していることを特徴とする、上記(1)から(11)のいずれかに記載の偏光板。
(14)
前記保護層が環状ポリオレフィンからなるフィルムであることを特徴とする、上記(1)から(13)のいずれかに記載の偏光板。
(15)
前記保護層が紫外線硬化樹脂からなる硬化皮膜層であることを特徴とする、上記(1)から(13)のいずれかに記載の偏光板。
(16)
上記(1)から(15)のいずれかの偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
(17)
動作モードがIPS方式であることを特徴とする、上記(16)に記載の液晶表示装置。
本発明により、リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子を備える偏光板について、光学的に二軸である透明支持体表面を親水化し、ピリジニウム化合物により液晶材料を配向させた光学異方性層を設けたフィルムを使用することで、液晶表示装置に用いて光漏れ等の不具合がなく、薄形化が可能であり、しかも、光学異方性層の液晶材料の配向のための配向処理を必要としない偏光板を提供することができる。また、本発明は、さらに、工程数を減少することで低コスト化可能な偏光板を提供することができる。
以下において、本発明の光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置の実施形態について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光子」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光子」の少なくとも片面に該偏光子を保護する保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。
Figure 2007248621
…式(1)
注記:上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d …式(2)
(リオトロピック液晶性化合物)
ある種の物質を液体(溶媒)に溶かして、その濃度を適当に調節した時に液晶状態になるものをリオトロピック液晶という。
本発明のリオトロピック液晶性化合物は、それを溶媒に適当な濃度で分散し、適当な剪断力で支持体に塗布乾燥する場合、偏光子の機能を有するものである。その際、リオトロピック液晶性化合物自身が二色性色素であればそれだけで偏光子となり得るし、リオトロピック液晶性化合物が無色透明な材料であればさらに二色性色素を混入すればよい。
本発明のリオトロピック液晶性化合物は、国際公開第2002/048759号パンフレット、特開2002−90526号公報、特開2002−180052号公報、米国特許第5,739,296号明細書(特表平8−511109号公報)、特表2005−531636公報に記載の化合物、すなわち、下記の各式で表される化合物を用いることができる。
Figure 2007248621
(式中、L1およびL3は、それぞれ独立に、単結合または炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であり;L2は、単結合、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基、−O−、−S−または−NH−であり;Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンであり;nは、0または1であり;そして、ベンゼン環A、B、CおよびDの少なくとも一つは、スルホまたはその塩を置換基として有する。)
(国際公開第2002/048759号パンフレット 請求項4参照)
Figure 2007248621
(式中、Rは無置換または置換されたフェニル基あるいは無置換または置換されたヘテロアリール基を表す。Xは無置換または置換されたフェニレン基を表す。)
(特開2002−90526号公報 請求項1参照)
Figure 2007248621
(式中、Mは、カチオンであり;R1およびR2は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、スルホまたはその塩であり;n1およびn2は、それぞれ独立に、0、1、2、3または4であり;R3は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基、炭素原子数が1乃至4のアルコキシ基またはハロゲン原子であり;mは、0、1、2、3または4であり;そして、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。)
(特開2002−180052公報 請求項1参照)
Figure 2007248621
(式中、R1=HまたはClであり;R=H、Alk、ArNHまたはArCONHであり;Alkはアルキル基であり;Arは置換または無置換アリール基であり;MはH+、第一族の金属またはNH4 +である。)
(特表平8−511109公報(米国特許第5739296明細書) 請求項2参照)
Figure 2007248621
(式中、nは1〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、zは0〜6の整数であり、m、n及びzの値は式m+z+n≦10を満たし、X及びYは、それぞれ別個にCH3、C25、OCH3、OC25、Cl、Br、OH及びNH2からなる群より選ばれ、Mは対イオンであり、jは前記1,8−ナフトイレン−1’,2’−ベンゾイミダゾールスルホ誘導体の1分子中の異なる対イオン(M)の数である。)
(特表2005−531636公報 請求項1参照)
(光学異方性層)
本発明の偏光板に含まれる光学異方性層は面内のレターデーションReは、0〜10nmであることが好ましく、0〜5nmであることがさらに好ましく、0〜3nmであることが最も好ましい。さらに、該光学異方性層の厚さ方向のレターデーションRthは、−400〜−80nmであることが好ましく、−360〜−100nmであることがさらに好ましく、−320〜−120nmであることが最も好ましい。
光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成されていることが好ましい。前記液晶性化合物は棒状液晶性化合物であることが好ましい。棒状液晶性化合物を用いた場合は、前記光学異方性層において棒状分子が垂直配向しているのが好ましい。
液晶性化合物の種類については特に制限されない。光学異方性層は、例えば、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋や熱架橋によって固定化して作製してもよい。また、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して作製してもよい。なお本発明では、光学異方性層の作製に液晶性化合物が用いられるが、作製の過程で液晶性化合物は重合等によって固定された状態で光学異方性層に含有される場合が多く、最終的には液晶性を示す必要はない。重合性液晶性化合物は、多官能性重合性液晶でもよいし、単官能性重合性液晶性化合物でもよい。
光学異方性層において、液晶性化合物の分子は、所定の配向状態、好ましくは垂直配向の状態に固定されていることが好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に垂直とは、フィルム面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がさらに好ましい。
光学異方性層は、後述する光学特性を有する透明支持体上に形成することで光学補償フィルムとして機能する。そして、上記のリオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子を、この光学補償フィルムと他の保護層とで挟んで、本発明の偏光板を形成する。本発明の偏光板は、液晶表示装置等に組み込むことができる。
以下、光学異方性層の態様について、作製に用いられる材料、作製方法等を詳細に説明する。
光学異方性層は、棒状液晶性化合物等の液晶性化合物と、配向制御剤とを含み、所望により、下記の重合開始剤や他の配向制御剤や他の添加剤を含む組成物から形成することができる。
[棒状液晶性化合物]
本発明では、棒状液晶性化合物を用いて光学異方性層を形成することが好ましい。棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。液晶性化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報などに記載の化合物を用いることができる。
[液晶性化合物の垂直配向制御]
液晶性化合物を均一に垂直配向させるためには、液晶性化合物を含む光学異方性層と接する支持体側の膜(例:支持体、密着層、ポリマー層)との界面側及び空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、本発明では、支持体側の膜に対して、排除体積効果、静電気的効果又は表面エネルギー効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を添加した液晶性組成物を採用する。また、空気界面側の配向制御に関しては液晶性化合物の配向時に空気界面に偏在し、その排除体積効果、静電気的効果、又は表面エネルギー効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を配合した液晶性組成物を採用してもよい。このような支持体側界面で液晶性化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(支持体側垂直配向剤)として、本発明ではピリジニウム誘導体を用いる。空気界面側で液晶性化合物の分子を垂直に配向させるのを促進する化合物(空気界面側垂直配向剤)としては、該化合物が空気界面側に偏在するのを促進する、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含む化合物が好適に用いられる。また、これらの化合物を配合することによって、例えば、液晶性組成物を塗布液として調製した場合に、該塗布液の塗布性が改善され、ムラ、ハジキの発生が抑制される。以下に垂直配向剤に関して詳細に説明する。
[支持体側垂直配向剤]
本発明では支持体側垂直配向剤として、下記式(I)で表されるピリジニウム誘導体(ピリジニウム塩)を用いる。該ピリジニウム誘導体の少なくとも1種を前記液晶性組成物に添加することによって、棒状液晶性化合物の分子を支持体側の膜(例:支持体、密着層、ポリマー層)近傍で実質的に垂直に配向させることができる。
Figure 2007248621
式(I)において、L1は2価の連結基を表し、アルキレン基と−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NRa−(但し、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子である)、アルケニレン基、アルキニレン基又はアリーレン基との組み合わせからなる炭素原子数が1〜20の2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基は、直鎖であっても分岐であってもよい。
式(I)において、R1は、水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換基で置換された置換アミノ基である。R1が置換アミノ基である場合、脂肪族基によって置換されていることが好ましい。脂肪族基は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。また、R1が2置換アミノ基である場合、2つの脂肪族基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環又は6員環であることが好ましい。R1は水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が2〜12の置換アミノ基であることがより好ましく、水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が2〜8の置換アミノ基であることがさらに好ましい。R1がアミノ基である場合、ピリジニウム環の4位に置換されていることが好ましい。
式(I)において、Xはアニオンである。アニオンの例には、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。Xは、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。
式(I)において、Y1は5員環又は6員環を部分構造として有する炭素数1〜30の2価の連結基である。Y1に含まれる環状部分構造はシクロヘキシル環、芳香族環又は複素環であることがより好ましい。芳香族環としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ビフェニル環、及びピレン環を挙げることができる。ベンゼン環、ビフェニル環、及びナフタレン環がさらに好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環などを挙げることができる。複素環は6員環であることが好ましい。Y1で表される5員環又は6員環を部分構造として有する2価の連結基は置換基を有していてもよい。
式(I)において、Zは、ハロゲン置換フェニル基、ニトロ置換フェニル基、シアノ置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基であり、シアノ置換フェニル基、ハロゲン置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基又は炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基であるのが好ましい。
Zは、さらに置換基を有していてもよく、置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1〜16のアルキル基、炭素原子数が1〜16のアルケニル基、炭素原子数が1〜16のアルキニル基、炭素原子数が1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル置換カルバモイル基及び炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
本発明に用いられるピリジニウム化合物としては、下記式(Ia)で表されるピリジニウム化合物が好ましい。
Figure 2007248621
式(Ia)において、L3は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−又はO−CO−AL−CO−O−である。ALは、炭素原子数が1〜10のアルキレン基である。L3は、単結合、−O−、−O−AL−O−、−O−AL−O−CO−、−O−AL−CO−O−、−CO−O−AL−O−、−CO−O−AL−O−CO−、−CO−O−AL−CO−O−、−O−CO−AL−O−、−O−CO−AL−O−CO−又はO−CO−AL−CO−O−であるのが好ましく、単結合又はO−であるのがより好ましい。
式(Ia)において、L4は、単結合、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=CH−又はN=N−である。
式(Ia)において、R3は、水素原子、無置換アミノ基又は炭素原子数が2〜20のアルキル置換アミノ基である。R3がジアルキル置換アミノ基である場合、2つのアルキル基が互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。このとき形成される含窒素複素環は、5員環又は6員環が好ましい。R3は水素原子、無置換アミノ基又は炭素原子数が2〜12のジアルキル置換アミノ基がさらに好ましく、水素原子、無置換アミノ基又は炭素原子数が2〜8のジアルキル置換アミノ基が最も好ましい。Rが無置換アミノ基である場合、ピリジニウム環の4位がアミノ置換されていることが好ましい。
式(Ia)において、Y2及びY3は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい6員環からなる2価の基である。6員環の例は、脂肪族環、芳香族環(ベンゼン環)及び複素環が挙げられる。6員脂肪族環の例は、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環及びシクロヘキサジエン環が挙げられる。6員複素環の例は、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環が挙げられる。6員環に、他の6員環又は5員環が縮合していてもよい。
置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数が1〜12のアルキル基及び炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が挙げられる。アルキル基及びアルコキシ基は、炭素原子数が2〜12のアシル基又は炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。アシル基及びアシルオキシ基の定義は、後述する。
式(Ia)において、Xはアニオンである。X1は、一価のアニオンであることが好ましい。アニオンの例には、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)及びスルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルン酸イオン、ベンゼンスルン酸イオン)が含まれる。
式(Ia)において、Z1は水素原子、シアノ基、炭素原子数が1〜12のアルキル基又は炭素原子数が1〜12のアルコキシ基であって、アルキル基及びアルコキシ基は、それぞれ、炭素原子数が2〜12のアシル基又は炭素原子数が2〜12のアシルオキシ基で置換されていてもよい。
式(Ia)において、mは1又は2であって、mが2の場合、2つのL4及び2つのY3は、異なっていてもよい。
mが2の場合、Z1は、シアノ基、炭素原子数が1〜10のアルキル基又は炭素原子数が1〜10のアルコキシ基であることが好ましい。
mが1の場合、Z1は、炭素原子数が7〜12のアルキル基、炭素原子数が7〜12のアルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルキル基、炭素原子数が7〜12のアシル置換アルコキシ基、炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルキル基又は炭素原子数が7〜12のアシルオキシ置換アルコキシ基であることが好ましい。
アシル基は−CO−R、アシルオキシ基は−O−CO−Rで表され、Rは脂肪族基(アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基)又は芳香族基(アリール基、置換アリール基)である。Rは、脂肪族基であることが好ましく、アルキル基又はアルケニル基であることがさらに好ましい。
式(Ia)において、pは、1〜10の整数である。Cp2pは、分岐構造を有していてもよい鎖状アルキレン基を意味する。Cp2pは、直鎖状アルキレン基であることが好ましい。また、pは1又は2であることがより好ましい。
以下に、式(I)及び/又は(Ia)で表されるピリジニウム化合物の具体例を示す。ここで、Meはメチル基を表す。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
ピリジニウム誘導体は、一般にピリジン環をアルキル化(メンシュトキン反応)して得られる。
前記液晶性組成物中における前記ピリジニウム誘導体の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、液晶性組成物(塗布液として調製した場合は溶媒を除いた液晶性組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
[空気界面側垂直配向剤]
空気界面側垂直配向剤としては、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー(以下、「フッ素系ポリマー」という)、又は一般式(III)で表される含フッ素化合物が好適に用いられる。
(空気界面側垂直配向剤(1):フッ素系ポリマー)
まず、フッ素系ポリマーについて説明する。
フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有することを特徴とする。ポリマーの種類としては、「改訂 高分子合成の化学」(大津隆行著、発行:株式会社化学同人、1968)1〜4ページに記載があり、例えば、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリカーボナート類、ポリエーテル類、ポリアセタール類、ポリケトン類、ポリフェニレンオキシド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリアリレート類、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)類、ポリビニリデンフロライド類、セルロース誘導体などが挙げられる。前記フッ素系ポリマーは、ポリオレフィン類であることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーは、フルオロ脂肪族基を側鎖に有するポリマーである。前記フルオロ脂肪族基は、炭素数1〜12であるのが好ましく、6〜10であるのがより好ましい。脂肪族基は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状である場合は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。中でも、直鎖状の炭素数6〜10のフルオロ脂肪族基が好ましい。フッ素原子による置換の程度については特に制限はないが、脂肪族基中の50%以上の水素原子がフッ素原子に置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましい。フルオロ脂肪族基は、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、チオエーテル結合、芳香族環などを介してポリマー主鎖と結合した側鎖に含まれる。フルオロ脂肪族基の一つは、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれるものである。これらのフルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である(Scheme−1に例を示した)。
Figure 2007248621
得られた、末端ヨウ素化テロマーは通常、例えば[Scheme2]のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フッ素系ポリマーの製造に使用される。
Figure 2007248621
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの製造に利用可能なモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
本発明に使用可能なフッ素系ポリマーの一態様は、フルオロ脂肪族基含有モノマー(以下、「フッ素系モノマー」ということがある)より誘導される繰り返し単位と、下記式(II)で表される親水性基を含有する繰り返し単位とを有する共重合体である。
Figure 2007248621
上記式(II)において、R1、R2及びR33はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又は、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NRb−(Rbは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(ORf)−(Rfはアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
式(II)中、R1、R2及びR33は、それぞれ独立に、水素原子又は下記に例示した置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、さらに好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2及びR33はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、又は後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NRb−のRbは、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(ORf)−のRfはアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。Rb及びRfがアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NRb−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、−CO−、−O−、−NRb−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラブチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、さらに好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン基、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、さらに好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1、R2、R33における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示する。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
前記式(II)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基であり、特に好ましいのはカルボキシル基又はスルホ基である。
前記フッ素系ポリマーは、前記式(II)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、前記フッ素系ポリマーは、上記各繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。以下、他の繰り返し単位を誘導するモノマーの具体例を挙げる。前記フッ素系ポリマーは、下記モノマー群から選ばれる1種又は2種以上のモノマーから誘導される繰り返し単位を含有していてもよい。
モノマー群
(1)アルケン類
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど;
(2)ジエン類
1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジエン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサンなど;
(3)α,β−不飽和カルボン酸の誘導体
(3a)アルキルアクリレート類
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、tert−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ブロモエチルアクリレート、4−クロロブチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、2−クロロシクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、3−メトキシブチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアクリレート、1−ブロモ−2−メトキシエチルアクリレート、1,1−ジクロロ−2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなど);
(3b)アルキルメタクリレート類
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アリルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ポリオキシエチレンの付加モル数:n=2ないし100のもの)、2−アセトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど;
(3c)不飽和多価カルボン酸のジエステル類
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、タコン酸ジブチル、クロトン酸ジブチル、クロトン酸ジヘキシル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチルなど;
(3d)α、β−不飽和カルボン酸のアミド類
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルマレイミドなど;
(4)不飽和ニトリル類
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど;
(5)スチレン及びその誘導体
スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−tertブチルスチレン、p−ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−アセトキシスチレンなど;
(6)ビニルエステル類
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、メトキシ酢酸ビニル、フェニル酢酸ビニルなど;
(7)ビニルエーテル類
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、n−エイコシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロブチルビニルエーテル、フルオロブトキシエチルビニルエーテルなど;及び
(8)その他の重合性単量体
N−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトン、2−ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリンなど。
前記フッ素系ポリマー中、フルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーにおいて、前記式(II)で表される繰り返し単位の量は、該フッ素ポリマーの構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのがさらに好ましい。上記の質量百分率は使用するモノマーの分子量により好ましい範囲の数値が変動し易いため、ポリマーの単位質量当たりの官能基モル数で表す方が、式(II)で表される繰り返し単位の含有量を正確に規定できる。該表記を用いた場合、前記フッ素系ポリマー中に含有される親水性基(式(II)中のQ)の好ましい量は、0.1mmol/g〜10mmol/gであり、より好ましい量は0.2mmol/g〜8mmol/gである。
本発明に用いる前記フッ素系ポリマーの質量平均分子量は1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記フッ素系ポリマーの重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、又は、アニオン重合等の重合方法を採ることができ、これらの中ではラジカル重合が汎用に利用できる点で特に好ましい。ラジカル重合の重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤や、ラジカル光重合開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート等)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル重合方法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。典型的なラジカル重合方法である溶液重合についてさらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子科学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)等に記載されている。
溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを行うことが好ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
前記フッ素系ポリマーを好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。連鎖移動剤としてはメルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノール等)、ポリハロゲン化アルキル類(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され精密な制御が必要であるが、使用するモノマーの全モル数に対して好ましくは0.01モル%〜50モル%程度であり、より好ましくは0.05モル%〜30モル%、さらに好ましくは0.08モル%〜25モル%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
なお、本発明のフッ素系ポリマーは、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、フッ素系ポリマーとして本発明に好ましく用いられる具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはGPCにより測定されたPEO換算の質量平均分子量である。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
本発明に用いられるフッ素系ポリマーは、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフッ素系モノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
前記液晶性組成物(塗布液として調製した場合は、溶媒を除いた液晶性組成物)中における前記フッ素系ポリマーの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、液晶性組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フッ素系ポリマーの添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼす。
(空気界面側垂直配向剤(2):含フッ素化合物)
次に、同様に空気界面側垂直配向剤として使用可能な、下記式(III)で表される含フッ素化合物について説明する。
式(III)
(R0)mo−L0−(W)no
式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、moは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(mo+no)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、noは1以上の整数を表す。
式(III)中、R0は含フッ素化合物の疎水性基として機能する。R0で表されるアルキル基は置換もしくは無置換のアルキル基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは4〜16のアルキル基であり、特に好ましくは6〜16のアルキル基である。該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。
0で表される末端にCF3基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは4〜16であり、さらに好ましくは4〜8である。前記末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上を置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF2H基を有するアルキル基は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは4〜16であり、さらに好ましくは4〜8である。前記末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。アルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されていることが好ましく、60%以上が置換されていることがより好ましく、70%以上を置換されていることがさらに好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示する置換基によって置換されていてもよい。R0で表される末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH2)2
R5:n−C613−(CH2)2
R6:n−C49−(CH2)2
R7:H−(CF2)8
R8:H−(CF2)6
R9:H−(CF2)4
R10:H−(CF2)8−(CH2)−
R11:H−(CF2)6−(CH2)−
R12:H−(CF2)4−(CH2)−
式(III)において、L0で表される(mo+no)価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、ヘテロ環基、−CO−、−NRd−(Rdは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも2つ組み合わせた連結基であることが好ましい。
式(III)において、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表す。Wの好ましい範囲は、式(II)におけるQと同一である。
前記式(III)で表される含フッ素化合物の中でも、下記式(III)−a又は式(III)−bで表される化合物が好ましい。
Figure 2007248621
式(III)−a中、R4及びR5は各々アルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表すが、R4及びR5が同時にアルキル基であることはない。W1及びW2は各々水素原子、カルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルアミノ基を表すが、W1及びW2が同時に水素原子であることはない。
式(III)−b
(R6−L2−)m2(Ar1)−W3
式(III)−b中、R6はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、m2は1以上の整数を表し、複数個のR6は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L2は、アルキレン基、芳香族基、−CO−、−NR’−(R’は炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、複数個のL2は同一でも異なっていてもよい。Ar1は芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を表し、W3はカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有する、アルキル基、アルコキシ基もしくはアルキルアミノ基を表す。
まず、前記式(III)−aについて説明する。
4及びR5は前記式(III)におけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩は前記式(III)におけるWと同義でありその好ましい範囲も同一である。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、更に好ましくは1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは1〜3のアルキル基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキル基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、更に好ましくは1〜8のアルコキシ基であり、特に好ましくは1〜4のアルコキシ基である。前記置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルコキシ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。W1及びW2で表される置換基としてカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基であり、より好ましくは1〜8のアルキルアミノ基であり、さらに好ましくは1〜4のアルキルアミノ基である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、少なくとも一つのカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノキシ基を有していればよく、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基としては、前記式(III)中のWが表すカルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基と同義であり好ましい範囲も同一である。前記カルボキシル基、スルホ基、ホスホノキシ基を有するアルキルアミノ基は、これ以外の置換基によって置換されていてもよく、該置換基としては後述の置換基群Dとして例示する置換基のいずれかを適用できる。
1及びW2は、特に好ましくはそれぞれ水素原子又は(CH2)nSO3M(nは0又は1を表す。)である。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合は、Mはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
次に、前記式(III)−bについて説明する。
6は前記式(III)−bにおけるR0と同義であり、その好ましい範囲も同一である。L2は、好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12の芳香族基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜40の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、フェニル基、−CO−、−NR−、−O−、−S−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる総炭素数0〜20の連結基を表す。Ar1は、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環を表し、より好ましくはベンゼン環又はナフタレン環を表す。W3で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基は、前記式(III)−aにおけるW1及びW2で表されるカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基、スルホ基もしくはホスホノキシ基を有するアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基と同義でありその好ましい範囲も同一である。
3は、好ましくはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又は置換基としてカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩又はスルホ基(−SO3H)もしくはその塩を有するアルキルアミノ基であり、特に好ましくはSO3M又はCO2Mである。Mはカチオンを表すが、分子内で荷電が0になる場合は、Mはなくてもよい。Mで表されるカチオンとしては、例えばプロトニウムイオン、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなど)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオンなど)、アンモニウムイオンなどが好ましく適用される。このうち、特に好ましくはプロトニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
本明細書において、置換基群Dには、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、さらに好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜10のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)。
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、さらに好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、さらに好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、さらに好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
なお、本発明の含フッ素化合物は、ディスコティック液晶性化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
本発明に使用可能な式(III)にて表される含フッ素化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる含フッ素化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
前記液晶性組成物中における前記含フッ素化合物の含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、前記液晶性組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。
[重合性開始剤]
所望の配向状態(例えば、棒状液晶性化合物の場合は垂直配向)に配向させた液晶性化合物の分子を、その配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
[光学異方性層の他の添加剤]
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特開2005−62673号公報の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
[塗布]
本発明の光学異方性層は、例えば、液晶性化合物、配向制御剤及び所望により添加される重合開始剤等の添加剤を、溶媒に溶解及び/又は分散させて調製した塗布液を、支持体上に塗布することで形成することができる。支持体上にポリマー層や密着層を形成し、その表面に前記塗布液を塗布して形成するのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。中でも、前記光学異方性層を形成する際は、ワイヤーバーコーティング法を利用して塗布するのが好ましく、ワイヤーバーの回転数は下記式を満たすことが好ましい。
0.6<(W×(R+2r)×π)/V<1.4
[W:ワイヤーバーの回転数(rpm)、R:バーの芯の直径(m)、r:ワイヤーの直径(m)、V:支持体の搬送速度(m/min)]
(W×(R+2r)×π)/Vの範囲は、0.7〜1.3であることがより好ましく、0.8〜1.2であることがさらに好ましい。
前記光学異方性層の形成にはダイコーティング法が好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法が好ましい。例えば、特開2004−290775号公報、特開2004−290776号公報、特開2004−358296号公報、特開2005−13989号公報等に記載の塗布方法を用いることができる。
次に、上記の通り、支持体表面又はポリマー層表面又は密着層表面に前記組成物を塗布した後、液晶性化合物の分子を配向(棒状液晶性分子については好ましくは垂直配向)させて、分子をその配向状態に固定して光学異方性層を形成する。配向させる温度は、用いる液晶性化合物の転移温度、所望の配向状態等を考慮して、決定することができる。固定化は、液晶性分子や、組成物中に所望により添加される重合性モノマーの重合反応又は架橋反応により実施されるのが好ましい。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
形成される光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることがよりさらに好ましい。
(光学的に二軸である透明支持体)
重合性棒状液晶性化合物からなる光学異方性層を形成するための透明支持体、及びリオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子の透明支持体としては、光学的に二軸である透明支持体を用いる。後述する光学特性を有する支持体を用いることが好ましい。透明支持体は光透過率が80%以上であることが好ましい。
光学的に二軸である透明支持体とは、支持体の平面内に有する屈折率が最大のものをnx、同一平面内のnxに対して直角になる方向の屈折率をny、支持体の平面に対し垂直方向の屈折率をnzとする場合、nx,ny,nzが互いに等しくない支持体のことをいう。
光学的に二軸である透明支持体の面内のレターデーションReは、20〜150nmであることが好ましく、30〜130nmであることがさらに好ましく、40〜110nmであることが最も好ましい。さらに、厚さ方向のレターデーションRthは、100〜300nmであることが好ましく、120〜280nmであることがさらに好ましく、140nm〜260nmであることが最も好ましい。
透明支持体に用いるポリマーの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び環状ポリオレフィンが含まれる。セルロースアシレートエステルが好ましく、アセチルセルロース(セルロースアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースエーテルアセテートがさらに好ましく、トリアセチルセルロース(TAC)が最も好ましい。
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートによる支持体作製方法は特開2005−165650号公報に記載の方法を、セルロースエーテルアセテートを用いる支持体作製方法は特開2005−283997号公報に記載の方法を用いることが好ましい。環状ポリオレフィンとしては、特公平2−9619号公報記載のテトラシクロドデセン類の開環重合体又はテトラシクロドデセン類とノルボルネン類の開環共重合体を水素添加反応させて得られた重合体を構成成分とするポリマー、商品名としてはアートン(JSR(株)製)や、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン(株)製)のシリーズから使用することができる。
ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
透明支持体表面は一般式(I)で表されるピリジニウム化合物(支持体側垂直配向剤)が支持体側に移動することができるように親水化されていることが好ましい。透明支持体表面を親水化するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施することが好ましい。鹸化処理をすることがより好ましい。
鹸化処理は、特開2003−313326号公報、特開2004−354962号公報、特開2005−62799号公報、特開2005−115341号公報等に記載の方法を用いることが好ましい。
親水化処理後の光学異方性層に接する側支持体表面は、以下の方法で測定したA値(ESCAで測定した炭素チャート上の290eVと288eVのピーク比)が0.20から0.50であることが好ましい。0.50より大きい場合は「支持体側垂直配向剤」が十分に親水化表面側に移動せず、光学異方性層が望みの光学特性を得られないことがある。また、透明支持体と光学異方性層の間にポリマー層を有する場合は密着性が十分に得られない場合がある。
ポリマーフィルムを幅方向で9点サンプリングを行い、光電子分光スペクトロメーター{(株)島津製作所製、“ESCA750”型}を用いて、鹸化処理フィルム表面の炭素原子スペクトルを測定する。X軸に結合エネルギー(eV)、Y軸に強度(CPS)をプロットする場合、288eV付近にあるピークがC−O結合に由来するピークであり、290eVにあるピークがC=O結合に由来するピークである。C=O及びC−Oのピークは測定環境によりX軸上を移動することがある。しかし、親水化が十分になされた表面ではピークそのものがなくなってしまうため、そのような場合を想定して便宜上C=OのピークはX軸上を移動しないとし、290eVでの(シグナル−ベース)差をC=Oの強度とし、A=[peak C=O]/[peak C−O]すなわち炭素チャート上の290eVと288eVのピーク比を計算する。
透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分質量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[密着層]
本発明では、光学異方性層と支持体の間に密着性を付与するため、特開2005−274909号公報に開示されている下式の化合物を用いることができる。
Figure 2007248621
(式中、R1は、水素原子であるか、またはR3と結合して環を形成し、R2は、水素原子であるか、またはLと結合して環を形成し、R3は、水素原子、メチル基、もしくはエチル基であるか、またはR1と結合して環を形成し、Xは単結合または酸素原子であり、Yは、共有結合、カルボニル基、またはメチレン基であり、Zは、共有結合またはオキシ基(酸素原子)であり、Lは、共有結合または任意の原子団であり、R2と結合して環を形成しても良く、R4は、イソシアナト基(下記化学式(a)で表される原子団)または下記化学式(b)で表される原子団であり、
Figure 2007248621
化学式(b)中、R41、R42およびR43は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、またはアルコキシアルコキシ基であり、R41、R42およびR43のうち少なくとも一つは、ハロゲン、アルコキシ基、またはアルコキシアルコキシ基である。)
上記化合物の具体例としては、例えば、信越化学(株)製KBM−503、KBM−5103(いずれも商品名)およびその他種々のシランカップリング剤、ならびに昭和電工(株)製カレンズMOI(商品名)等が挙げられる。前記KBM−503は下記式(1)で、KBM−5103は下記式(2)で、カレンズMOIは下記式(3)でそれぞれ表される化合物である。
Figure 2007248621
前記密着層の形成には、バーコーティング法及びダイコーティング法が好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法が好ましい。例えば、特開2004−290775号公報、特開2004−290776号公報、特開2004−358296号公報、特開2005−13989号公報等に記載の塗布方法を用いることができる。
本発明の偏光板の光学異方性層を形成するには、前述したように液晶性化合物と「支持体側垂直配向剤」(更には「空気界面側垂直配向剤」)を含む液晶層(光学異方性層となる層)を親水化した支持体面上に存在させることにより液晶層の液晶性化合物を配向するため、「液晶層側」の支持体表面や密着層表面をラビング処理する必要がなく、また液晶層を配向するための処理をした支持体を液晶層に接触(貼合)する必要がない。よって、本発明の偏光板の光学異方性層の形成には、ラビング工程や接触(貼合)工程を含まないため、低コストで生産できる可能性や工程起因の欠陥を少なくできる可能性がある。また、透明支持体と光学異方性層の間にポリマー層が存在する場合でもラビング処理をする必要がなく、同様の効果を得られる。
(保護層)
本発明の偏光板には、リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子の透明支持体とは反対の面上に保護層を有することが好ましい。保護層は一般的な偏光板に用いられるものを用いることができる。例えば、セルロースアシレートからなるフィルム(例えば、富士タックTD80、富士写真フイルム(株)製)、環状ポリオレフィンからなるフィルム、特開2003−185841号公報に記載されている硬化皮膜層を用いることができる。
[環状ポリオレフィン]
以下、環状ポリオレフィンについて、詳述する。
環状ポリオレフィンポリマー(環状ポリオレフィン、あるいは環状ポリオレフィン系樹脂とも称する)とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。好ましい重合体は下記一般式(ろ)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンおよび必要に応じ、一般式(い)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(は)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
下記一般式(ろ)の内、X2、Y2の少なくとも1個がエステル結合を含有することが好ましく、必要に応じエステル結合以外の置換基を有する構成成分を含有させても良い。更に、必要に応じ、一般式(い)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンも好ましい。また、一般式(は)の内、X3、Y3の少なくとも1個がエステル結合を含有することが好ましく、必要に応じエステル結合以外の置換基を有する構成成分を含有させても良い。
エステル結合を含有する構成成分の量は、好ましくは、(共)重合体の100モル%〜10モル%、更に好ましくは、100モル%〜20モル%である。エステル結合を含有する構成成分の含有量がこれより少ないと鹸化後の親水性が不十分であり、水溶性樹脂との接着性改良効果を得ることができない。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1314、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、またはX1とY1あるいはX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 p3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子−OCOR16または−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
1〜X3、Y1〜Y3の置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、光学フィルムの厚さ方向レターデーション(Rth)を大きくし、面内レターデーション(Re)の発現性を大きくすることが出来る。Re発現性の大きなフィルムは、製膜過程で延伸することによりRe値を大きくすることができる。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−1159767号あるいは特開2004−309979号等の各公報に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。用いるノルボルネン系重合体において、R5〜R6は水素原子又は−CH3が好ましく、X3、及びY3は水素原子、Cl、−COOCH3が好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号、特表2002−504184号公報、米国特許出願公開第2004/229157号明細書あるいはWO国際公開第2004/070463号パンフレット等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
環状ポリオレフィンのガラス転移温度(Tg)に制限はないが、例えば200〜400℃というような高いTgの環状ポリオレフィンも用いることができる。
(溶剤)
次に、環状ポリオレフィンが溶解される溶剤について記述する。環状ポリオレフィンが溶解し流延,製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる溶剤は特に限定されない。用いられる溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ150℃以下である。使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状ポリオレフィンが溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
好ましい貧溶媒は使用するポリマー種により適宜選択することができる。良溶媒として塩素系有機溶剤を使用する場合は、アルコール類を好適に使用することができる。アルコール類としては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。貧溶媒のなかでも特に1価のアルコール類は、剥離抵抗低減効果があり、好ましく使用することができる。選択する良溶剤によって特に好ましいアルコール類は変化するが、乾燥負荷を考慮すると、沸点が120℃以下のアルコールが好ましく、炭素数が1〜6の1価アルコールが更に好ましく、炭素数1〜4のアルコール類が特に好ましく使用することができる。環状ポリオレフィン溶液を作成する上で特に好ましい混合溶剤は、ジクロロメタンを主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールあるいはブタノールから選ばれる1種以上のアルコール類を貧溶媒にする組み合わせである。
(添加剤)
環状ポリオレフィン溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、レタデーション(光学異方性)調節剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば融点20℃未満と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期は環状ポリオレフィン溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、環状ポリオレフィンフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
(劣化防止剤)
環状ポリオレフィン溶液には公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、環状ポリオレフィン100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
(紫外線吸収剤)
環状ポリオレフィン溶液には、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(レターデーション発現剤)
レターデーション値を発現するため、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物をレターデーション発現剤として用いることができる。レターデーション発現剤を使用する場合は、ポリマー100質量部に対して、0.05乃至20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2乃至5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5乃至2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250乃至400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
「芳香族環」には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがより好ましく、2乃至8であることがさらに好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション発現剤の分子量は、300乃至800であることが好ましい。
1,3,5−トリアジン環を用いた化合物の他に直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(に)で表される化合物が好ましい。
一般式(に): Ar1−L1−Ar2
上記一般式(に)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
一般式(に)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、より好ましくは1乃至15であり、さらに好ましくは1乃至10であり、さらに好ましくは1乃至8であり、最も好ましくは1乃至6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2乃至10であり、より好ましくは2乃至8であり、さらに好ましくは2乃至6であり、さらに好ましくは2乃至4であり、最も好ましくは2(ビニレンまたはエチニレン)である。アリーレン基は、炭素原子数は6乃至20であることが好ましく、より好ましくは6乃至16であり、さらに好ましくは6乃至12である。一般式(に)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(ほ)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(ほ):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(ほ)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(に)のAr1およびAr2と同様である。
一般式(ほ)において、L2およびL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至10であることが好ましく、より好ましくは1乃至8であり、さらに好ましくは1乃至6であり、さらに好ましくは1乃至4であり、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。L2およびL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。一般式(ほ)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。レタデーション発現剤の添加量は、環状ポリオレフィン量の0.1乃至30質量%であることが好ましく、0.5乃至20質量%であることがさらに好ましい。
(剥離促進剤)
環状ポリオレフィンフィルムの剥離抵抗を小さくする添加剤としては界面活性剤に効果の顕著なものが多くみつかっている。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離剤を例示する。
RZ−1 C817O−P(=O)−(OH)2
RZ−2 C1225O−P(=O)−(OK)2
RZ−3 C1225OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2
RZ−4 C1531(OCH2CH2)5O−P(=O)−(OK)2
RZ−5 {C1225O(CH2CH2O)5}2−P(=O)−OH
RZ−6 {C1835(OCH2CH2)8O}2−P(=O)−ONH4
RZ−7 (t−C49)3−C62−OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2
RZ−8 (iso−C919−C64−O−(CH2CH2O)5−P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C1225SO3Na
RZ−10 C1225OSO3Na
RZ−11 C1733COOH
RZ−12 C1733COOH・N(CH2CH2OH)3
RZ−13 iso−C817−C64−O−(CH2CH2O)3−(CH2)2SO3Na
RZ−14 (iso−C919)2−C63−O−(CH2CH2O)3−(CH2)4SO3Na
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−17 C1733CON(CH3)CH2CH2SO3Na
RZ−18 C1225−C64SO3・NH4
剥離促進剤の添加量は環状ポリオレフィンに対して0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。
(可塑剤)
環状ポリオレフィン系樹脂は、一般的に、セルロースアセテートに比較して柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、光学フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、光学フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良するため、可塑剤を添加することができる。具体的には、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物を挙げることができる。
使用できる可塑剤としては、常温、常圧、液状で、かつ沸点が200℃以上の化合物から選択することが好ましい。具体的な化合物名としては、以下を例示することができる。脂肪族二塩基酸エステル系としては、例えばジオクチルアジペート(230℃/760mmHg)、ジブチルアジペート(145℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(335℃/760mmHg)、ジブチルジグリコールアジペート(230〜240℃/2mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(220〜245℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(377℃/760mmHg)等;フタル酸エステル系としては、例えばジエチルフタレート(298℃/760mmHg)、ジヘプチルフタレート(235〜245℃/10mmHg)、ジ−n−オクチルフタレート(210℃/760mmHg)、ジイソデシルフタレート(420℃/760mmHg)等;ポリオレフィン系としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィンワックス類(平均分子量330〜600、融点45〜80℃)、流動パラフィン類(JIS規格K2231ISOVG8、同VG15、同VG32、同VG68、同VG100等)、パラフィンペレット類(融点56〜58℃、58〜60℃、60〜62℃等)、塩化パラフィン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、スクアラン等を挙げることが出きる。
可塑剤の添加量としては、環状ポリオレフィン系樹脂に対して、0.5〜40.0質量%、好ましくは1.0質量%〜30.0質量%、より好ましくは3.0%〜20.0質量%である。可塑剤の添加量がこれより少ないと可塑効果が不十分で、加工適性が向上しない。また、これ以上になると長時間経時した場合に、可塑剤ご分離溶出する場合が有り、光学的ムラ、他部品への汚染等が発生し、好ましくない。
(ドープ調製)
次に環状ポリオレフィン溶液(ドープ)の調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌してポリマーを膨潤させた後−20℃から−100℃まで冷却し再度20℃から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよいポリマーは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪いポリマーは密閉容器中で加熱溶解することが好ましい。ジクロロメタンを主溶剤に選んだときは、多くの環状ポリオレフィンは20℃〜100℃の加熱により溶解することが出来る。
環状ポリオレフィン溶液の粘度は25℃で1Pa・s〜500Pa・sの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは5Pa・s〜200Pa・sの範囲である。粘度の測定は次のようにして行った。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTAInstrumennts社製)を用いて測定した。試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。
更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液との間に温度差を与えて溶剤を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶剤をフラッシュ蒸発させるとともに、溶剤蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法(例えば、米国特許第2,541,012号、米国特許第2,858,229号、米国特許第4,414,341号、米国特許第4,504,355号各明細書等などに記載の方法)等で実施できる。
溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。環状ポリオレフィン溶液の濾過には好ましくは絶対濾過精度が0.1μm〜100μmのフィルターが用いられ、さらに好ましくは絶対濾過精度が0.5μm〜25μmであるフィルターが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1mm〜10mmが好ましく、更には0.2mm〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.6MPa以下、より好ましくは1.3MPa以下、更には1.0MPa以下、特に好ましくは0.6MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、またセラミックス、金属等も好ましく用いられる。
環状ポリオレフィン溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよく、通常5Pa・s〜1000Pa・sの範囲に調製されることが好ましく、15Pa・s〜500Pa・sがより好ましく、30Pa・s〜200Pa・sが更に好ましい。なお、この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5℃〜70℃であり、より好ましくは−5℃〜35℃である。
(環状ポリオレフィンフィルムの厚さ)
出来上がり(乾燥後)の環状ポリオレフィンフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常5μm〜500μmの範囲であり、30μm〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40μm〜110μmであることが好ましい。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さおよび厚さ分布になるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られた環状ポリオレフィンフィルムの幅は0.5μm〜3mが好ましく、より好ましくは0.6μm〜2.5m、さらに好ましくは0.8μm〜2.2mである。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
(光学異方性の発現)
環状ポリオレフィンフィルムは使用するポリマー構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで、面内のレタデーションおよび厚さ方向のレタデーションを制御することができる。例えば、剥離時の残留揮発分を40〜85wt%内で調節することによりRthを180〜300nmに幅広く制御することも可能である。一般に剥離時の残留揮発分が多いほど、Rthは小さくなり、剥離時の残留揮発分が少ないほどRthは大きくなる。例えば金属支持体上での乾燥時間を短くし、剥離時残留揮発分を多くすることで、面配向を緩和させてRthを低くすることが自在にでき、工程条件を調節することにより様々な用途に応じた様々なレタデーションを発現することが可能である。
環状ポリオレフィン系樹脂層を延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行なうのが好ましい。延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れたフィルムを得るため及び、(2)フィルムの面内レタデーションを大きくするために行なう。(1)の目的で延伸を行うときは、比較的高い温度で延伸を行い、延伸倍率も1%からせいぜい10%までの低倍率の延伸を行なう。2%〜5%の延伸が特に好ましい。(1)と(2)の両方の目的、あるいは(2)だけの目的で延伸する場合は、比較的低い温度で、延伸倍率も5%〜150%で延伸する。フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。
環状ポリオレフィン系樹脂層は延伸後更に乾燥し、残留揮発分を2%以下にして巻き取る。巻き取る前にフィルムの両端にナーリングを施すことが好ましい。これは片押しであっても両押しであっても良い。
(鹸化)
製造した環状ポリオレフィン系樹脂層の鹸化処理は、流延工程の後であれば、いずれの段階でも良いが、未延伸あるいは延伸工程の後、およびフィルム乾燥後に鹸化処理することが好ましい。鹸化処理としては、アルカリ溶液中に光学フィルムを浸漬する方法、又は光学フィルム表面にアルカリ溶液を吹き付けもしくは塗布する方法等のいずれの方法も用いることができる。光学フィルムの片面のみをムラなく均一に鹸化処理できる、塗布方式によるアルカリ鹸化処理がより好ましい。一方浸漬方法による鹸化処理は、特に有機溶媒を含むアルカリ鹸化では、有機溶媒を含まないものと比較し、格段に処理速度を早くすることが可能となる。
鹸化方法は、上述した透明支持体の親水化方法と同様の方法を用いることができる。
(微粒子)
上記環状ポリオレフィン系樹脂や硬化皮膜層に微粒子を添加することができる。微粒子の添加により、フィルム表面の動摩擦係数が低下することによりフィルムハンドリング時にフィルムに加わる応力を低減させることができる。本発明で使用できる微粒子としては、有機あるいは無機化合物の微粒子を使用することができる。
無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や金属酸化物であるが、フィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等があり、またそれらの粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物を用いることができる。
これらの微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、1〜20000nmであり、より好ましくは1〜10000nmであり更に好ましくは、2〜1000nmであり、特に好ましくは、5〜500nmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を平均粒径で求められる。購入した微粒子は凝集していることが多く、使用の前に公知の方法で分散することが好ましい。分散により二次粒子径を200〜1500nmにすることが好ましく、300〜1000nmが更に好ましい。微粒子の添加量は環状ポリオレフィン100質量部に対して0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましく、0.08〜0.12質量部が最も好ましい。
微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましいヘイズの範囲は2.0%以下であり、1.2%以下が更に好ましく、0.5%以下が特に好ましい。微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましい動摩擦係数は0.8以下であり、0.5以下が特に好ましい。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法に従い、鋼球を用いて測定できる。ヘイズは日本電色工業(株)製1001DP型ヘイズ計を用いて測定できる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、支持体と、該支持体上に形成された層状の光学異方性層とを有する積層体(「光学補償フィルム」という場合がある)とリオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子とを含む。
偏光子には、通常、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。本発明の偏光子は、二色性リオトロピック性液晶を保護層または透明支持体上に形成する際に、液晶に剪断を加えて形成する。この場合、偏光子の吸収軸は、液晶に剪断をかけた方向に相当する。通常、塗布により上記剪断力を与えることができる。
本発明の偏光板の好ましい製造方法は、偏光子と光学補償フィルムとをそれぞれ長尺の状態で連続的に積層される工程を含む。該長尺の偏光板は用いられる液晶表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
偏光子は一般に保護膜を有する。本発明において、光学異方性層を透明支持体上に形成した場合、該透明支持体を偏光膜の保護膜として機能させることができる。その支持体とは別に偏光膜の保護膜を用いる場合は、保護膜としてセルロースエステルフィルム、環状ポリオレフィンからなるフィルム、紫外線硬化樹脂からなる硬化皮膜層を用いることが好ましい。硬化皮膜層は、例えば、特開2003−185841公報に記載のものを用いることが出来る。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも含む。本発明の液晶表示装置は、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等のいずれであってもよい。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、及び必要に応じて位相差板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては前記光学異方性体を使用することを必須とする点を除いて特に制限は無い。また前記光学異方性体の使用位置は特に制限はなく、また、1カ所でも複数カ所でもよい。液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶性化合物、高分子液晶性化合物及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性化合物等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板及び液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(SuperTwisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、MVA(Multidomain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であっても良い。カラーフィルターを使用しないフィールドシーケンシャル方式であってもよい。
本発明における偏光板は、反射型、半透過型、及び透過型液晶表示装置に好ましく用いられる。反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セル及び偏光板を、この順に積層した構成を有する。位相差板は、反射板と偏光膜との間(反射板と液晶セルとの間又は液晶セルと偏光膜との間)に配置される。反射板は、液晶セルと基板を共有していてもよい。半透過反射型液晶表示装置は、液晶セルと、該液晶セルより観察者側に配置された偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間に配置される少なくとも1枚の位相差板と、観察者から見て前記液晶層よりも後方に設置された半透過反射層を少なくとも備え、さらに観察者から見て前記半透過反射層よりも後方に少なくとも1枚の位相差板と偏光板とを有す。このタイプの液晶表示装置では、バックライトを設置することで反射モードと透過モード両方の使用が可能となる。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1](偏光板P−1の作製)
(セルロースアセテートフィルムCF−1の製膜)
(1)セルロースアセテート
置換度2.81のセルロースアセテートを調製した。すなわち、セルロース100質量部に対し、触媒として硫酸9.2質量部を添加し、無水酢酸276質量部および酢酸551質量部を加えて常法によりセルロースをエステル化した。酢酸マグネシウムを中和して得られたセルロースアセテートを、62℃で40分間保持した。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
合成したセルロースアセテート100質量部をジクロロメタン800質量部と酢酸434質量部との混合液に溶解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテートの酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート100質量部に対して、酢酸1025質量部、水13質量部及び過塩素酸8.5質量部を添加した。酢酸(アセチル供与体)に対する水の量は、4.2モル%であった。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロースアセテートを熟成した。
熟成処理後、過塩素酸に対して1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の酢酸溶液として加え、10分間攪拌して反応を停止した。
(2)溶解
上記セルロースアセテート100質量部に対し、可塑剤(TPP:トリフェニルホスフェート7.8質量部、BDP:ビフェニルジフェニルホスフェート3.9質量部)、下記レターデーション発現剤(1)6.4質量部、を混合溶剤ジクロロメタン/メタノール(87/13質量部)に綿の質量濃度が15質量%となるように攪拌しながら投入して加熱攪拌し溶解させた。このとき、同時にセルロースアセテート100質量部に対して微粒子であるマット剤(AEROSIL R972、日本エアロジル(株)製)0.05質量部、下記染料(1)0.0009質量部を投入し、加熱しながら攪拌させた。
Figure 2007248621
Figure 2007248621
(3)流延・製膜
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が25から35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸温度が約Tg−5〜Tg+5℃(Tg:142℃)の範囲の条件で、剥ぎ取りからテンターまでに区間で3%の延伸倍率で縦方向に延伸し、ついでテンターを用いて32%の延伸倍率で幅方向に延伸し、横延伸直後に0〜10%の倍率で幅方向に収縮させた後にフィルムをテンターから離脱し、セルロースアセテートフィルムCF−1を製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。作製したセルロースアセテートフィルムCF−1について、25℃60%RHで波長590nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定したところ、それぞれ55nmおよび200nmであった。フィルムの平均屈折率を1.48としてRth(λ)を算出した。
(鹸化処理フィルムKF−1の作製)
上記で作製したセルロースアセテートフィルムCF−1を60℃に加熱した誘電式加熱ロールを通過させ、40℃まで昇温した後に、40℃に保温した下記アルカリ鹸化溶液をロッドコーターを用いて17mL/m2塗布した。110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に7秒滞留させた後に、同じくロッドコーターを用いて純水を1.4mL/m2塗布し、アルカリを洗い落とした。この時、フィルム温度は40〜45℃に維持し、純水塗布後の塗膜のKOH濃度は0.6規定となった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを4回繰り返し、アルカリを洗い落とした後に70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理フィルムKF−1を作製した。鹸化処理したフィルムKF−1表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.20であった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ鹸化溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、作製した鹸化処理フィルムKF−1の光学特性を測定した。波長590nmで測定したReは60nmであり、Rthは190nmであった。
(ポリマー層の形成)
鹸化処理フィルム(KF−1)の鹸化処理面上に、下記の組成の配向膜塗布液(O−1)をロッドコーターで24mL/m2の塗布量で塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポリマー層塗布液(O−1)組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記変性ポリビニルアルコール(PVA) 4質量部
クエン酸及び1,2,3エチルエステル混合物 0.06質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 700質量部
メタノール 300質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
変性PVA
Figure 2007248621
(光学補償フィルムWF−1の作製)
下記の組成の棒状液晶性化合物を含む塗布液を、上記鹸化処理フィルムKF−1上に作製したポリマー層上にワイヤーバーで8.6mL/m2となるよう連続的に塗布した。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を60℃に保持して、UV照射により液晶性化合物の配向を固定化し、光学異方性層を形成し、光学補償フィルムWF−1を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶性化合物を含む塗布液(S1)の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶性化合物(I) 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマー 0.4質量部
下記のピリジニム塩 1質量部
メチルエチルケトン 172質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2007248621
Figure 2007248621
Figure 2007248621
(光学補償フィルムWF−1の鹸化)
光学補償フィルムWF−1を、55℃の1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に作製したフィルムを2分間浸漬した後、水に浸漬し十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、35℃の5mmol/L硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(リオトロピック液晶性化合物の塗布/偏光板P−1の作製)
二色性色素として、下記化合物を6g秤量し、34mlの水に常温で溶解分散した。その後、超音波分散機(Ultra sonic homogenizer UH−50、SMT社製)を用いて10分間分散し、均一な二色性色素の凝集体溶解分散物を得た。この凝集体溶解分散物を適量秤取し、#3のロット棒にて、上記鹸化した光学補償フィルムWF−1の支持体側に手作業で塗布し、乾燥した。手作業による塗布操作で、十分な剪断力がかかり、塗布するだけで偏光素子が得られた。
引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−1を作製した。
実施例1〔偏光板P−1〕の化合物(特開2002−90526号公報の実施例1(段落番号[0092])に記載の二色性色素(化合物2))
Figure 2007248621
[実施例2](偏光板P−2の作製)
下記化合物を6g秤量し、室温の水34mlに溶解した。その後、超音波分散機(Ultra sonic homogenizer UH−50、SMT社製)を用いて10分間分散した。さらに、80℃で30分間攪拌し、均一な無色のミセル分散物を得た。得られたミセル分散物に、二色性色素(Direct Red 75,Aldrich社製)の10質量%水溶液を30質量%添加して、塗布液を調整した。
塗布液を適量秤取し、#3のロット棒にて、上記鹸化した光学補償フィルムWF−1の支持体側に手作業で塗布し、乾燥した。
引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−2を作製した。
実施例2〔偏光板P−2〕の化合物(国際公開第2002/048759号パンフレットの実施例7に記載の化合物(化合物(1))):
Figure 2007248621
[実施例3〜5](偏光板P−3〜5の作製)
実施例1で記載のように、鹸化した光学補償フィルムWF−1の支持体側の面上に、二色性色素として、下記化合物を、実施例1と同様の方法でそれぞれ塗布、乾燥した。引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−3〜5をそれぞれ作製した。
実施例3〔偏光板P−3〕の化合物(特表2005−531636号公報の実施例5(段落番号[0050])に記載の化合物)
1,8−ナフトイレン−1′,2′−ベンゾイミダゾール−6′−スルホン酸
実施例4〔偏光板P−4〕の化合物(特表平8−511109号公報の例1に記載の化合物(式I、R=H、R1=Cl))
Figure 2007248621
実施例5〔偏光板P−5〕の化合物(特開2002−180052号公報の実施例1(段落番号[0072])に記載の化合物(二色性色素(1)))
Figure 2007248621
[実施例6](偏光板P−6の作製)
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。固形分濃度が29%になるようにメチルエチルケトンで調製しゾル液aとした。
(密着層付与)
上記で作製したゾル液aを固形分濃度が、4.0質量%となるように、イソプロパノールで希釈し、実施例1で作製した鹸化処理フィルムKF−1のアルカリ鹸化した面に#3.0のワイヤーバーで連続的に塗布し、100℃で2分間乾燥し、密着層を付与した透明支持体を得た。フィルムの搬送速度は20m/分とした。
密着層を付与した鹸化処理フィルムKF−1の密着層上に実施例1記載の方法で光学異方性層を塗布し光学補償フィルムWF−1Mを作製した。次いで実施例1記載の方法で光学補償フィルムWF−1Mの鹸化した支持体側に実施例1で使用した二色性色素を実施例1記載の方法で塗布、乾燥した。引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−6を作製した。
[実施例7](偏光板P−7の作製)
偏光板P−1の保護フィルムTD80ULの代わりに、Z−TAC(富士写真フイルム(株)製)を使用し、偏光板P−7を作製した。
[実施例8](偏光板P−8の作製)
偏光板P−1の保護フィルムTD80ULの代わりに、ゼオノアZF−14(日本ゼオン(株)製)を使用し、偏光板P−8を作製した。
[比較例1](偏光板P−11の作製)
棒状液晶性化合物を含む塗布液(S1)の組成からピリジニウム塩を抜いた塗布液(S2)を用いたほかは、実施例1と同様に塗布を行い、光学フィルム11を作製した。その後、実施例1と同様にして偏光板P−11を作製した。
[比較例2](偏光板P−12の作製)
支持体CF−1のアルカリ鹸化条件を鹸化液温度25℃とし鹸化時の保温温度を25℃としたほかは、実施例1と同じ方法で光学フィルム12を作製した。その後、実施例1と同様にして偏光板P−12を作製した。このときの鹸化処理した支持体表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.52であった。
[比較例3](偏光板P−13の作製)
支持体をアルカリ鹸化処理しない支持体としたほかは、実施例1と同じ方法で光学フィルム13を作製した。その後、実施例1と同様にして偏光板P−13を作製した。このときの鹸化処理しない支持体表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.61であった。
(評価)
各偏光板P−1〜5,7に使用した光学補償フィルムWF−1、偏光板P−6に使用した光学補償フィルムWF−1M、偏光板P−11〜13に使用した光学フィルム11〜13について、下記の評価をした。
〈配向〉 光学異方性層の配向は、クロスニコルに配置された2枚の偏光板の間に、光学補償フィルムを置き、確認した。垂直配向している試料は、偏光板の面に対し平行に置いた場合は暗く、偏光板の面に対し傾けた場合はやや明るくなることが分かった。配向していない試料は、偏光板の間に置いた場合、光が乱反射し曇って観察された。
〈密着〉 光学異方性層の密着性は、光学異方性層上に粘着テープ(No31HR、日東電工株式会社製)を25mm四方に貼り、剥がすことにより確認した。密着あるものは、テープを剥がした後をクロスニコルに配置した偏光板の間に試料を置くと該当位置が剥がれていないことが分かる。密着ないものは、当該位置が剥がれていることがわかる。
光学補償フィルム1 〈配向〉する 〈密着〉する
光学補償フィルム1M 〈配向〉する 〈密着〉する
光学フィルム11 〈配向〉しない 〈密着〉−
光学フィルム12 〈配向〉する 〈密着〉しない
光学フィルム13 〈配向〉する 〈密着〉しない
<液晶表示装置視認側用偏光板Aの作製>([比較例4])
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、市販のセルロースアセテートフィルム(富士タックTD80UF、富士写真フイルム株式会社製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光板の片側に貼り付けた。さらに同様にしてTD80ULを一方の側に貼り付け、偏光板Aを作製した。
この偏光板Aは、液晶表示装置の視認者側に用いる。なお、この偏光板Aを液晶表示装置のバックライト側の偏光板の比較例としても用いた(比較例4)。
<液晶表示装置1〜8,Aの作製>
液晶テレビTH−32LX500(松下電器産業(株)社製)から、液晶セルを取り出し、視認者側及びバックライト側に貼られてあった偏光板及び光学フィルムを剥した。この液晶セルは、電圧無印加状態及び黒表示時では液晶分子はガラス基板間で実質的に平行配向しており、その遅相軸方向は画面に対して水平方向であった。
上記の平行配向セルの上下のガラス基板に、上記作製した偏光板を粘着剤を用いて貼り合わせた。このとき、バックライト側の偏光板に偏光板P1〜8およびAを配置し、視認者側に偏光板Aを配置し、偏光板P1〜8に含まれる光学異方性層がバックライト側のガラス基板に接するように貼り合わせた。また、バックライト側の偏光板の吸収軸と液晶セルの遅相軸が直交するようにし、上下の偏光板の吸収軸は直交するように配置した。このようにして偏光板を貼り合せた液晶セルを、再度、液晶テレビTH-32LX500に組み込みこんだ。このようにして液晶表示装置1〜8及びAを作製した。
(作製した液晶表示装置の漏れ光の測定)
作製した液晶表示装置1〜8及びAの漏れ光を測定した。測定機は(輝度計BM−5、トプコン社製)を用い、左斜め60°から観察した。光源輝度と漏れ光輝度の比を透過率とした。
上記測定結果と、前記評価結果を、実施例1〜8、比較例1〜4の偏光板についての他の項目とともに、表1にまとめて示した。
Figure 2007248621
以上のようにバックライト側の偏光板に本発明の偏光板P1〜8を用いた液晶表示装置1〜8の漏れ光は、バックライト側に従来からの偏光板Aを用いたの液晶表示装置Aと比較して良好なものであることが分かる。
また、本発明の偏光板では、光学補償フィルムの光学異方性層の配向及び密着が確認された。一方、本発明のピリジニウム化合物(支持体側垂直配向剤)を使用しない比較例1では、層が配向しないことが、また、鹸化処理がなされていないまたは十分行われていないためフィルム面が親水化されていない比較例2及び3では密着性がないことが、確認された。
実施例1で作製した光学補償フィルムWF−1から棒状液晶性化合物を含む光学異方性層のみを剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した光学異方性層のみのReは0nmであり、Rthは−260nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。
[実施例9](セルロースエーテルアセテートフィルム使用)
特開2005−283997号公報の合成例1に記載のセルロースエーテルアセテート100質量部に対し、可塑剤(TPP:トリフェニルホスフェート7.8質量部、BDP:ビフェニルジフェニルホスフェート3.9質量部)、前記レターデーション発現剤(1)6.4質量部、を混合溶剤ジクロロメタン/メタノール(87/13質量部)に綿の質量濃度が15質量%となるように攪拌しながら投入して加熱攪拌し溶解させた。このとき、同時に(セルロースエーテルアセテート100質量部に対して)微粒子であるマット剤(AEROSIL R972、日本エアロジル(株)製)0.05質量部、前記染料(1)0.0009質量部を投入し、加熱しながら攪拌させた。
(流延)
上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が25から35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸温度が約Tg−5〜Tg+5℃(Tg:138℃)の範囲の条件で、剥ぎ取りからテンターまでに区間で3%の延伸倍率で縦方向に延伸し、ついでテンターを用いて32%の延伸倍率で幅方向に延伸し、横延伸直後に0〜10%の倍率で幅方向に収縮させた後にフィルムをテンターから離脱し、セルロースエーテルアセテートフィルムCF−2を製膜した。巻取り部前で両端部を切り落とし幅2000mmとし、長さ4000mのロールフィルムとして巻き取った。作製したセルロースエーテルアセテートフィルムCF−2について、25℃60%RHで波長590nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値は、55nmおよび200nmであった。フィルムの平均屈折率を1.48としてRth(λ)を算出した。
上記で作製したセルロースエーテルアセテートフィルムCF−2の透明支持体上に、実施例1で行った鹸化処理、ポリマー層付与、光学異方性層付与を行って、実施例9の光学補償フィルムWF−2を作製した。作製したフィルムは、配向性に問題ないものであった。
なお、フィルムCF−2を鹸化処理したフィルムKF−2表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.25であった。
次いで実施例1記載の方法で光学補償フィルムWF−2の鹸化した支持体側に実施例1で使用した二色性色素を実施例1記載の方法で塗布、乾燥した。引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−9を作製した。
[実施例10](セルロースアセテートブチレートフィルム使用)
1.セルロースアセテートブチレートフィルムの製膜
(1)セルロースアセテートブチレート
セルロース100gに酢酸30gと酪酸313.8gを加え、54℃で30分間混合した。混合物を冷却した後、約−20℃に冷却した無水酢酸15.5g、無水酪酸245.6g、硫酸3.5gを加えてエステル化を行なった。エステル化における最高温度は40℃に調節した。エステル化反応を180分間行なった後、反応停止剤として酢酸95gと水32gの混合溶液を20分間かけて添加して過剰の無水物を加水分解した。反応液の温度を60℃に保ち、酢酸290gと水100gを加えた。1時間後、酢酸マグネシウム5.7gを含む水溶液を加えて系内の硫酸を中和した。得られたセルロースアセテートブチレートは、アセチル置換度(DSac)が0.2、ブチリル置換度(DSpr)が 2.3であった。
(2)ドープ調製
(2)−1 セルロースアセテートブチレート溶液
下記のセルロースアセテートブチレート組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、セルロースアセテートブチレート溶液を得た。
(セルロースアセテートブチレート溶液組成)
上記セルロースアセテートブチレート 100.0質量部
トリフェニルホスフェート 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 3.9質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
(2)−2 マット剤分散液
次に上記で作製したセルロースアシレート溶液を含む、下記のマット剤分散液組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
(マット剤分散液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子
{aerosil R972:日本アエロジル(株)製} 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液 10.3質量部
上記セルロースアセテートブチレート溶液を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部、可塑剤(TPP:トリフェニルホスフェート、BDP:ビフェニルジフェニルホスフェートの2/1(質量部)混合物)を5.8質量部の割合になるように混合し、製膜用ドープを調製した。
(3)流延製膜および評価
上述の製膜用ドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が25から35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、延伸温度が、約Tg−5〜Tg+5℃(Tg:120℃)の範囲の条件で、テンターを用いて20%の延伸倍率で幅方向に延伸して、セルロースアセテートブチレートフィルムCF−3(乾燥後膜厚:120μm)を製造した。
作製したセルロースアセテートブチレートフィルムCF−3について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、25℃60%RHで波長633nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定したところ、それぞれ53nmおよび196nmであった。
上記で作製したセルロースアセテートブチレートフィルムCF−3の透明支持体上に、実施例1で行った鹸化処理、密着層付与、光学異方性層付与を行って、実施例10の光学補償フィルムWF−3を作製した。作製したフィルムは、配向性に問題ないものであった。
なお、フィルムCF−3を鹸化処理したフィルム表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.20であった。
次いで実施例1記載の方法で光学補償フィルムWF−3の鹸化した支持体側に実施例1で使用した二色性色素を実施例1記載の方法で塗布、乾燥した。引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−10を作製した。
[実施例11](セルロースアセテートプロピオネートフィルム使用)
特開2005−134608号公報の段落番号[0136]から[0163]に記載の方法で、の光学補償フィルムNo.13のフィルム厚さを90μmにすることで、波長590nmにおけるReが53nm、Rthが198nmであるセルロースアセテートプロピオネートフィルムCF−4を得た。
上記で作製したセルロースアセテートプロピオネートフィルムCF−4の透明支持体上に、実施例1で行った鹸化処理、密着層付与、光学異方性層付与を行って、実施例10の光学補償フィルムWF−4を作製した。作製したフィルムは、配向性に問題ないものであった。
なお、フィルムCF−4を鹸化処理したフィルム表面のESCAで測定したC=O/C−Oの値は、0.21であった。
次いで実施例1記載の方法で光学補償フィルムWF−4の鹸化した支持体側に実施例1で使用した二色性色素を実施例1記載の方法で塗布、乾燥した。引き続き二色性色素を塗布した側にPVAよりなる粘着剤を塗布し、その上から保護フィルムとしてTD80UL(富士写真フイルム(株)製)を張り合わせ、偏光板P−11を作製した。
<液晶表示装置9〜11の作製>
液晶表示装置1〜8,14,Aの作製と同様にして、バックライト側の偏光板に偏光板P9〜11を配置し、視認者側に偏光板Aを配置した、液晶表示装置9〜11を作製した。
作製した液晶表示装置9〜11の漏れ光を測定した。
測定結果は、以下のようであった。
液晶表示装置9 0.07%
液晶表示装置10 0.06%
液晶表示装置11 0.06%
以上のように本発明の偏光板9〜11を用いた液晶表示装置9〜11の漏れ光は、比較例の液晶表示装置Aに対し良好なものであった。
[実施例12]
実施例1の保護膜(TD80UF)の代わりに、特開2003−185841公報の段落番号[0091]に記載の硬化皮膜要素を用い、偏光板を作製した。この偏光板を実施例1と同様に用いた液晶表示装置の漏れ光は、実施例1同様良好なものであった。

Claims (17)

  1. 保護層、リオトロピック液晶性化合物を用いた偏光子、光学的に二軸である透明支持体、及び光学異方性層の順に配置される偏光板であって、光学的に二軸である透明支持体の光学異方性層に配置される面が親水化されており、光学異方性層が下記一般式(I)で表されるピリジニウム化合物を含むことを特徴とする偏光板。
    Figure 2007248621
    (式中、L1は2価の連結基を表し、アルキレン基と−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NRa−(但し、Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子である)、アルケニレン基、アルキニレン基又はアリーレン基との組み合わせからなる炭素原子数が1〜20の2価の連結基である。
    1は、水素原子、無置換のアミノ基又は炭素原子数が1〜20の置換基で置換された置換アミノ基である。
    Xはアニオンである。
    1は5員環又は6員環を部分構造として有する炭素数1〜30の2価の連結基である。
    Zは、ハロゲン置換フェニル基、ニトロ置換フェニル基、シアノ置換フェニル基、炭素原子数が1〜10のアルキル基で置換されたフェニル基、炭素原子数が2〜10のアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が2〜20のアルキニル基、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基、炭素原子数が2〜13のアルコキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数が7〜26のアリールカルボニルオキシ基である。)
  2. 前記リオトロピック液晶性化合物が下記化合物の少なくとも1種類からなることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
    Figure 2007248621
    (式中、L1およびL3は、それぞれ独立に、単結合または炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であり;L2は、単結合、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基、−O−、−S−または−NH−であり;Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンであり;nは、0または1であり;そして、ベンゼン環A、B、CおよびDの少なくとも一つは、スルホまたはその塩を置換基として有する。)
    Figure 2007248621
    (式中、Rは無置換または置換されたフェニル基あるいは無置換または置換されたヘテロアリール基を表す。Xは無置換または置換されたフェニレン基を表す。)

    Figure 2007248621
    (式中、Mは、カチオンであり;R1およびR2は、それぞれ独立に、ヒドロキシル、スルホまたはその塩であり;n1およびn2は、それぞれ独立に、0、1、2、3または4であり;R3は、炭素原子数が1乃至4のアルキル基、炭素原子数が1乃至4のアルコキシ基またはハロゲン原子であり;mは、0、1、2、3または4であり;そして、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。)
    Figure 2007248621
    (式中、R1=HまたはClであり;R=H、Alk、ArNHまたはArCONHであり;Alkはアルキル基であり;Arは置換または無置換アリール基であり;MはH+、第一族の金属またはNH4 +である。)
    Figure 2007248621
    (式中、nは1〜4の整数であり、mは0〜4の整数であり、zは0〜6の整数であり、m、n及びzの値は式m+z+n≦10を満たし、X及びYは、それぞれ別個にCH3、C25、OCH3、OC25、Cl、Br、OH及びNH2からなる群より選ばれ、Mは対イオンであり、jは前記1,8−ナフトイレン−1’,2’−ベンゾイミダゾールスルホ誘導体の1分子中の異なる対イオン(M)の数である。)
  3. 前記光学異方性層が重合性棒状液晶性化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記光学異方性層が、フルオロ脂肪族基と、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}及びそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の親水性基とを含有するフルオロ脂肪族基含有ポリマー、又は下記一般式(III)で表される含フッ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の光学フィルム。
    式(III)
    (R0)mo−L0−(W)no
    (式中、R0はアルキル基、末端にCF3基を有するアルキル基、又は末端にCF2H基を有するアルキル基を表し、moは1以上の整数を表す。複数個のR0は同一でも異なっていてもよいが、少なくとも一つは末端にCF3基又はCF2H基を有するアルキル基を表す。L0は(mo+no)価の連結基を表し、Wはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩を表し、noは1以上の整数を表す。)
  5. 前記光学異方性層の光学特性が、面内のレターデーションReが0〜10nmであり、厚さ方向のレターデーションRthが−400〜−80nmであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記光学的に二軸である透明支持体がセルロースアシレートを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記セルロースアシレートが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースエーテルアセテートの少なくともいずれか一つからなることを特徴とする、請求項6に記載の偏光板。
  8. 前記光学的に二軸である透明支持体の光学特性が、面内のレターデーションReが20〜150nmであり、厚さ方向のレターデーションRthが100〜300nmであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 前記光学的に二軸である透明支持体の前記光学異方性層と接する側の親水化された表面が、ESCAで測定した場合、炭素チャート上の290eVと288eVのピーク比が0.20から0.50であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の偏光板。
  10. 前記光学的に二軸である透明支持体と前記光学異方性層の間にポリマー層を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の偏光板。
  11. 前記ポリマー層がポリビニルアルコール及びその置換体を含むことを特徴とする、請求項10に記載の偏光板。
  12. 前記ポリマー層が更に多官能モノマーを含むことを特徴とする、請求項11に記載の偏光板。
  13. 前記光学異方性層が実質的に垂直配向していることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の偏光板。
  14. 前記保護層が環状ポリオレフィンからなるフィルムであることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の偏光板。
  15. 前記保護層が紫外線硬化樹脂からなる硬化皮膜層であることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の偏光板。
  16. 請求項1から15のいずれかの偏光板を含むことを特徴とする液晶表示装置。
  17. 動作モードがIPS方式であることを特徴とする、請求項16に記載の液晶表示装置。
JP2006069440A 2006-03-14 2006-03-14 偏光板及び液晶表示装置 Pending JP2007248621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006069440A JP2007248621A (ja) 2006-03-14 2006-03-14 偏光板及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006069440A JP2007248621A (ja) 2006-03-14 2006-03-14 偏光板及び液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007248621A true JP2007248621A (ja) 2007-09-27

Family

ID=38593023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006069440A Pending JP2007248621A (ja) 2006-03-14 2006-03-14 偏光板及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007248621A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010033050A (ja) * 2008-06-30 2010-02-12 Fujifilm Corp 偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置
JP2010044283A (ja) * 2008-08-15 2010-02-25 Toppan Printing Co Ltd リターデイション基板、その製造方法及び液晶表示装置
JP2010066616A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Nitto Denko Corp 偏光膜およびその製造方法
JP2011008112A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nitto Denko Corp 偏光子用組成物、偏光子、偏光子の製造方法、及び画像表示装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010033050A (ja) * 2008-06-30 2010-02-12 Fujifilm Corp 偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置
JP2010044283A (ja) * 2008-08-15 2010-02-25 Toppan Printing Co Ltd リターデイション基板、その製造方法及び液晶表示装置
JP2010066616A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Nitto Denko Corp 偏光膜およびその製造方法
JP2011008112A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nitto Denko Corp 偏光子用組成物、偏光子、偏光子の製造方法、及び画像表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4907881B2 (ja) 液晶組成物、光学補償フィルム、及び液晶表示装置
WO2007037497A9 (en) Optical compensatory film, polarizing plate, and liquid crystal display device
JP2007279083A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP4583206B2 (ja) 液晶表示装置
KR101351151B1 (ko) 광학 보상 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
JP2005194451A (ja) 組成物、光学補償フィルム及び液晶表示装置
JP4619249B2 (ja) 光学異方性体、偏光板及び液晶表示装置
JP2007093864A (ja) 位相差板、偏光板および液晶表示装置
JP2007155972A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006276817A (ja) 位相差板、偏光板および液晶表示装置
JP2007101678A (ja) 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2007206207A (ja) 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2007248621A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2007045993A (ja) 液晶組成物、光学補償シート、及び液晶表示装置
JP4726740B2 (ja) 光学補償フィルム及び液晶表示装置
JP4444844B2 (ja) 位相差膜および液晶表示装置
JP2006085098A (ja) 配向膜、光学補償シートおよび液晶表示装置
JP2007206205A (ja) 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2007241011A (ja) 光学異方性膜、位相差板、及び液晶表示装置
KR20060051321A (ko) 광학 보상 시트 및 액정 표시 장치
JP2006133652A (ja) 位相差板、偏光板および液晶表示装置
JP4495012B2 (ja) 位相差板、偏光板および液晶表示装置
JP2007178680A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006301605A (ja) 光学異方性膜、位相差膜およびその製造方法ならびに位相差膜を用いた液晶表示装置
JP2007171362A (ja) 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071109

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071116

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071126