JP2007248203A - 切断性評価方法及び回転刃の寿命評価方法並びに切断性試験機 - Google Patents

切断性評価方法及び回転刃の寿命評価方法並びに切断性試験機 Download PDF

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寿一 永柳
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Abstract

【課題】タイル等の被切断材の切断され易さを的確に評価することができる切断性評価方法及びそのための切断性試験機と、回転刃の寿命を的確に予測することができる回転刃の寿命評価方法とを提供する。
【解決手段】 回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、切り進んだ距離Lと切断面の面積Sとの少なくとも一方を測定し、この測定結果に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とする切断性評価方法。例えば、L/P・t又はS/P・tを計算し、この計算値に基づいて評価を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイルなどの被切断材の切断され易さを評価する方法と、タイルなどを切断する回転刃の寿命を評価する方法とに関する。また、本発明は、上記切断性評価方法に採用するのに好適な切断性試験機に関する。
タイルや石材、サイディングなどを現場で施工する場合、現場寸法に応じて切断することが行われるのが通常である。
なお、特開平6−47732号には、石材を回転刃で切断する場合に、モータの電流値が一定値以上になったならば回転刃のドレッシングを行うことが記載されているが、石材の切断性や回転刃の寿命予測を行うことは開示していない。
特開平6−47732号
タイル、石材、サイディング等の切断性評価はコストや効率の点で重要な指標であるが、回転刃切断機においてその評価試験機や評価方法はなんら見あたらない。
タイル等の被切断物が切りやすいかどうかは、切る人の感覚的な評価に頼らざるを得なく、数値化できないため比較が難しい。また、評価精度を上げるためには多くの人の評価を聞く必要があり、時間が掛かる。
切断刃の評価としては切れ味については感覚評価に頼らざるを得ず、耐久性は刃が切れなくなるか、磨滅して刃がなくなるまで切断を繰り返す必要があった。
本発明は上記の問題点を解決し、タイル等の被切断材の切断され易さを的確に評価することができる切断性評価方法及びそのための切断性試験機と、回転刃の寿命を的確に予測することができる回転刃の寿命評価方法とを提供することを目的とする。
請求項1の切断性評価方法は、回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、切り進んだ距離Lと切断面の面積Sとの少なくとも一方を測定し、この測定結果に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とするものである。
請求項2の切断性評価方法は、請求項1において、L/P・t又はS/P・tもしくはこれらの逆数を算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とするものである。
請求項3の切断性評価方法は、回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、切り進んだ距離Lと切断に要した消費電力Wとを測定し、この測定結果に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とするものである。
請求項4の切断性評価方法は、請求項3において、消費電力Wは、切断時の通電電力Wと無負荷時の通電電力Wとの差であり、W/L又はL/Wを算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とするものである。
請求項5の切断性評価方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、被切断材がタイル、石材又はサイディングであることを特徴とするものである。
請求項6の回転刃の寿命評価方法は、回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、切断面の面積Sと切断に要した消費電力Wとを測定し、この測定結果に基づいて回転刃の寿命を評価することを特徴とするものである。
請求項7の回転刃の寿命評価方法は、請求項6において、消費電力Wは、切断時の通電電力Wと無負荷時の通電電力Wとの差であり、W/S又はS/Wを算出し、この算出値に基づいて回転刃の寿命を評価することを特徴とするものである。
請求項8の被切断材の切断性試験機は、モータと、該モータによって回転駆動される回転刃と、該回転刃に切り進み方向に所定圧力を加えるプッシャと、切断中における該モータの電圧及び電流値の表示又は出力手段とを備えてなるものである。
請求項1,3の切断性評価方法によると、タイル等の被切断材の切断され易さを定量的に評価することができる。
この場合、請求項2のように、L/P・t、S/P・tもしくはこれらの逆数を算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを正確に評価することができる。また、請求項4のようにW/L又はL/Wを算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを正確に評価することができる。
この方法は、請求項5の通り、タイル、石材又はサイディングの切断され易さの評価に好適である。
タイル、石材又はサイディング等のカタログやパンフレット、梱包体、施工要領書などに上記評価法に基づいた算出値を記載しておくと、このタイル、石材又はサイディングを用いた施工時の作業性を判断することができる。
請求項6の回転刃の寿命評価方法によると、回転刃の寿命を定量的に評価することができる。この場合、請求項7の通り、W/S又はS/Wを算出し、この算出値に基づいて回転刃の寿命を正確に評価することができる。
なお、被切断材の厚さが既知である場合には、面積Sを測定するに際し切断長さを測定すれば足りる。
これらの評価方法は、請求項8の切断性試験機を用いて容易に行うことができる。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る切断性評価方法及び回転刃の寿命評価方法を実施するのに好適な本発明の切断性試験機の一例を示す斜視図である。なお、以下の説明では被切断材をタイルとしているが、石材やサイディング等についても適用できる。
マシンテーブル1の上面にガイドレール2が取り付けられ、このガイドレール2に沿ってスライダ3が該マシンテーブル1上を往復移動可能に設置されている。このスライダ3上にモータ4が設置され、このモータ4の回転軸に回転刃5が取り付けられている。回転刃5の上側には、切削屑の飛散防止用のカバー6が設置されている。
マシンテーブル3の上面に、ガイドレール2と平行にスリット7が設けられており、回転刃5の下縁は、該スリット7内に入り込んでいる。
マシンテーブル1の一端から立上板8が立設され、スライダ3から立上板9が立設されている。これらの立上板8,9間に油圧シリンダ等よりなるプッシャ10が架設されている。プッシャ10のシリンダの後端が立上板8に固定され、ピストンロッド11の先端が固着されている。プッシャ10へは油圧ポンプ(図示略)から油圧が供給される。
モータ4には制御盤(図示略)を介して給電される。この制御盤にはモータ制御回路のほか、プッシャ10用の油圧ポンプの制御回路も設置されている。モータ制御回路からは、印加電圧と通電電流の表示信号の出力ラインが引き出されており、電圧計、電流計及び記録計に接続されている。
被切断材としてのタイルは、マシンテーブル1上に配置され、必要に応じ適宜のクランプによって固定される。回転刃5をモータ4によって回転させ、プッシャ10のピストンロッド11を定速で突出させることにより、被切断材を定速で切断する。
請求項1,2の方法では、プッシャ10によって所定圧力Pを回転刃5に与えて被切断材を切り進み、所定時間tの間に切り進んだ距離Lと切断面の面積Sとの少なくとも一方を測定し、被切断材の切断され易さを評価する。
請求項2の方法では、L/P・t又はS/P・tもしくはこれらの逆数を算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを評価する。被切断材が切断され易い程、L/P・t又はS/P・tの算出値は大きくなり、その逆数は小さくなるので、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを定量的に評価することができる。
請求項3,4の方法では、プッシャ10により回転刃5に所定圧力Pを与え、所定時間tの間、被切断材を切り進ませ、この間に切り進んだ距離Lと、切断に要した消費電力Wを測定する。この消費電力Wは、好ましくは、切断時の通電電力Wと、被切断材を切断せずに回転刃5を空転させたときの通電電力Wとの差、即ち、W=W−Wである。W/Lが小さいほど(又は、L/Wが大きいほど)、被切断材は切断され易いので、W/L又はL/Wの算出値に基づいて被切断材の切断され易さを定量的に評価することができる。
タイルの寸法と切断され易さから、タイル1枚当りの切断作業時間が特定されるから、多数のタイル(n枚)を切断するに要する切断作業時間を推定評価することができる。
また、例えば1軒の家にタイル張り施工する場合、タイル張り面積と、上記のタイル切断され易さとから、当該家のタイル張り施工に際して必要となるタイル切断作業時間も概略的に推定することもできる。
上記圧力Pを異ならせて検量関係を求めておくことにより、目標とする切断作業時間からプッシャの圧力を設定することもできる。
請求項6,7の回転刃寿命評価方法では、プッシャ10により回転刃5に所定圧のPを与え、所定時間tの間、被切断材を切り進み、W/S又はS/Wを算出し、この算出に基づいて回転刃5の寿命評価を行う。
この寿命評価方法を詳細に説明する。
まず、複数枚の同一のタイルAを回転刃5に圧力Pを加えて次々と切断して行く。そして、1枚の回転刃によって合計何枚のタイルAを切断することができたかカウントし、この枚数をNとする。この間の1枚のタイルAを切断するのに要した消費電力Wと1枚のタイルの切断面積S(タイルの切断方向の一辺の長さと厚みの積として求められる。)との比W/Sの平均値を求める。なお、この平均値は、例えばすべてのタイルの切断面積と、N枚のタイル切断に要した消費電力とから算出される。(このW/Sは、タイルAをこの品番の回転刃によって切断する場合における、単位切断面積当りの消費電力ということになる。)このようにして、タイルAを上記回転刃で切断する場合のW/SとNとの関係をまず求める。この場合のW/Sは、タイルAについてのものであるので、[W/S]と表記することにする。
次に、同様にして、別のタイルBを上記回転刃と同一品番の回転刃で何枚(N枚)切断できるか試験し、タイルBをこの回転刃で切断する場合の[W/S]とNとの関係を求める。
さらに、タイルC,D,……………を上記回転刃と同一品番の回転刃で何枚(N枚、N枚)切断できるか試験し、タイルBをこの回転刃で切断する場合の[W/S],[W/S],……………とN,N……………との関係を求める。これにより、W/SとNとの検量関係を求めておく。一般に、W/Sが小さいほどNは大きいことになる。
しかる後、評価対象となるタイルXの1枚又は複数枚をこの回転刃で切断し、[W/S]を算出する。この[W/S]を上記検量関係に当てはめることにより、このタイルXについてはこの品番の回転刃を用いるときに切断することができるタイルの総数(N)が求められる。この切断できるタイルの総数(N)が回転刃の寿命ということになる。
なお、タイルの厚みが既知であれば、この総数(N)から、何メートルの長さにわたってタイルを切断することができるかを算出することができ、この切断可能長さも回転刃の寿命とすることができる。
上記回転刃(回転刃Iとする。)とは別の品番の回転刃(回転刃IIとする。)を用いてタイルAを切断する場合には、この回転刃IIを用いて1枚又は複数の少数枚のタイルAを試験的に切断してみる。そして、この場合の[W/S]A,IIを回転刃Iのときの値[W/S]A,Iと対比し、両者の比率を前記N(回転刃IでタイルAを切断できる枚数)に乗じることにより、回転刃IIでタイルAを切断できる枚数が求まる。この値が回転刃IIの寿命ということになる。また、タイルAの厚みと一辺の長さから、回転刃IIでタイルAを何メートルの長さにわたって切断することができるかを算出することができ、この長さも回転刃IIの寿命として扱うことができる。
また、このような回転刃の寿命値は、回転刃の切れ易さの評価値として扱うこともできる。
実施例1
第1図に示す本発明の試験機での切断速度評価と官能試験評価の相関調査及び加工エネルギーの調査を行った。
あらかじめ官能試験で切断しやすさを評価したタイルを準備し、本評価試験機との相関関係を調べた。官能評価は10人に実際にカッターで切断した時の切りやすさを5点満点で評価してもらい、10人の平均点を切りやすさの官能指標とした。本試験機の条件は、プッシャ圧力3kgf/cm、切り込み時間5secとした。回転刃は直径105mmのダイヤモンドカッターであり、回転数は9000rpmである。
その結果を表1及び第2図(a),(b),(c)に示す。タイルの大きさは225×60×14mmである。なお、官能試験における評価の得点は次の通り設定した。
非常に切りやすい:5点
切りやすい :4点
普通 :3点
切りにくい :2点
非常に切りにくい:1点
表1及び第2図から明らかな通り、官能による切りやすさと本試験機での切断速度は高い相関があることが分かり、切りやすさの評価として本試験機で測定した単位圧力当りの切断速度(mm/(kg/cm)・secが有用であることを示している。また、加工エネルギー値も数値化して比較できる。
Figure 2007248203
実施例2
第1図に示す試験機において、回転刃5として直径105mmのダイヤモンドカッターを用い、上記タイルAを次々と切断し、1枚のタイルで合計何メートルの長さにわたってタイル切断可能であるか測定した。
なお、回転刃の回転数は9000rpm、プッシャ圧力は3kg/cmとした。切断時の消費電力Wを切断長さLで除したW/Lを算出した。
タイルB、C、D、Eについても同様の試験行った。
結果を表2及び第3図に示す。第3図の通り、当然ながら、W/Lが小さく切断され易いものほど1枚の回転刃で長い距離を切断することができることが認められた。
Figure 2007248203
実施例3
3個の回転刃F、G、Hを用意し、これらのうち上記タイルDを切断するのに最も適したものは何であるか選定する試験を行った。各回転刃の直径はいずれも105mmである。
第1図に示す試験機に回転刃F、G又はHを取り付け、回転数9000rpm、プッシャ圧力3kg/cm、切り込み時間5secとし、圧力1kg/cm当りの切断速度mm/(kg/cm)・secと単位長さの切断に要する消費電力W/L(W/cm)を算出した。
前記実施例2でタイルを切断する場合の寿命は〔寿命(m)〕=386.83/〔消費電力(W/L)〕1.8209であったので、この式にあてはめることにより、各回転刃F、G、HでタイルDの切断可能長さ(寿命)を推定してみた。その結果を表3に示す。
Figure 2007248203
その結果、表2,3の通り、切断速度は回転刃Hが最も速く、加工効率に優れるが、反面消費電力が大きく、また刃の磨滅も速いため経済性に欠けることが認められた。また、回転刃Fは切断速度が遅いが経済性に優れることが明らかになった。実際の施行に際しては、このデータを基にして、経済性を優先させるか、作業性を優先させるか勘案し、回転刃を適切に選択することができる。
切断性試験機の斜視図である。 実験結果を示すグラフである。 実験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 マシンテーブル
4 モータ
5 回転刃
10 プッシャ

Claims (8)

  1. 回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、
    切り進んだ距離Lと切断面の面積Sとの少なくとも一方を測定し、
    この測定結果に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とする切断性評価方法。
  2. 請求項1において、L/P・t又はS/P・tもしくはこれらの逆数を算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とする切断性評価方法。
  3. 回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、
    切り進んだ距離Lと切断に要した消費電力Wとを測定し、
    この測定結果に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とする切断性評価方法。
  4. 請求項3において、消費電力Wは、切断時の通電電力Wと無負荷時の通電電力Wとの差であり、
    W/L又はL/Wを算出し、この算出値に基づいて被切断材の切断され易さを評価することを特徴とする切断性評価方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、被切断材がタイル、石材又はサイディングであることを特徴とする切断性評価方法。
  6. 回転刃をモータで回転させると共にプッシャによって切り進み方向に所定圧力Pを加え、所定時間tの間、被切断材を切断し、
    切断面の面積Sと切断に要した消費電力Wとを測定し、
    この測定結果に基づいて回転刃の寿命を評価することを特徴とする回転刃の寿命評価方法。
  7. 請求項6において、消費電力Wは、切断時の通電電力Wと無負荷時の通電電力Wとの差であり、
    W/S又はS/Wを算出し、この算出値に基づいて回転刃の寿命を評価することを特徴とする回転刃の寿命評価方法。
  8. モータと、
    該モータによって回転駆動される回転刃と、
    該回転刃に切り進み方向に所定圧力を加えるプッシャと、
    切断中における該モータの電圧及び電流値の表示又は出力手段と
    を備えてなる被切断材の切断性試験機。
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