JP2007246993A - 酸化銅薄膜の形成方法 - Google Patents

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【課題】酸化銅薄膜が形成される基板と蒸発源との間の距離を変えることなく、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を形成する。
【解決手段】物理的気相成長法により基板8上に酸化銅薄膜を形成する方法であり、少なくともCuを蒸発源10として、真空チャンバ2内に酸素ガスを導入し、酸素プラズマ中で蒸発源10であるCuを蒸発させ、この酸素ガスの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を基板8上に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は酸化銅薄膜の形成方法に関し、より詳しくは、例えばP型半導体として熱電素子やトランジスタ等に有効に利用することのできる酸化銅薄膜の形成方法に関する。
酸化銅薄膜の形成方法として、例えば特許文献1に記載の酸化銅薄膜の成膜方法がある。これは、大気中および超高真空中において小さな摩擦係数を有する酸化銅薄膜を成膜することを目的として、ターゲットに酸化第2銅CuOを用いて成膜用基板にマグネトロンスパッタ蒸着を施すもので、成膜用基板とターゲットとの間の距離を変えることによって、CuO、CuOおよびCuの組成比が異なる酸化銅薄膜を成膜用基板上に形成するようにしたものである。
特開2003−277912号公報
このような特許文献1によれば、ターゲットと成膜用基板との間の距離を変えることから、プラズマ成膜装置の構成が複雑化するばかりでなく、装置のコスト高を招来する。また、ターゲットと成膜用基板との間の距離が近くなると、成膜用基板への熱的影響が大になるので基板材料が制限されるなどの問題がある。また、酸化銅は結晶粒径が大きくキャリアの移動度が小さいため、熱電素子やP型半導体として実用化するに至っていない。
そこで、本発明は、酸化銅薄膜が形成される基板と蒸発源との間の距離を変えることなく、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を基板上に形成することを目的とする。
本発明による第1の方法では、物理的気相成長法により基板上に酸化銅薄膜を形成する方法であって、少なくともCuを蒸発源として、真空チャンバ内に酸素ガスを導入し、酸素プラズマ中で前記蒸発源であるCuを蒸発させ、前記酸素ガスの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を前記基板上に形成する酸化銅薄膜の形成方法によって、上記目的を達成する。
これによれば、蒸発源と基板との間の距離を変えることなく、真空チャンバ内に導入される酸素ガスの流量を変えることによって、基板上に形成される酸化銅薄膜のゼーベック係数および抵抗率を制御することができ、例えば熱電素子として最適なゼーベック係数および抵抗率をもつ酸化銅薄膜を形成することが可能となる。蒸発源であるCuと基板との間の距離は例えば500mmに設定されるので、基板が熱的影響を受けるようなことはない。
本発明による第2の方法では、物理的気相成長法により基板上に酸化銅薄膜を形成する方法であって、少なくともCuを蒸発源として、真空チャンバ内に酸素ガスと共に窒素ガスを導入し、酸素ガスと窒素ガスとを混合させたプラズマ放電中で前記蒸発源であるCuを蒸発させ、前記酸素ガスの導入流量を所定値に維持しながら前記窒素ガスの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を前記基板上に形成する酸化銅薄膜の形成方法によって、上記目的を達成する。
これによれば、蒸発源と基板との間の距離を変えることなく、酸素ガスの導入流量を所定値に維持しながら窒素ガスの導入流量を変えることによって、基板上に形成される酸化銅薄膜のゼーベック係数および抵抗率を制御することができる。この場合、窒素ガスを導入することによって、ゼーベック係数および抵抗率は下がるが、パワーファクタPF(PF=(ゼーベック係数)/抵抗率)が大きくなり、熱電性能のよい酸化銅薄膜を形成することが可能となる。蒸発源であるCuと基板との間の距離は上述したように例えば500mmに設定されるので、基板が熱的影響を受けるようなことはない。
また、前記基板に形成された酸化銅薄膜がアニール処理される。このアニール処理は300℃程度の不活性ガス雰囲気中又は大気中で所定時間行われる。これによって、ゼーベック係数を上げることができると共に、キャリア移動度の改善すなわち抵抗率を下げることができる。
更に、前記物理的気相成長法として高周波イオンプレーティング法が用いられる。本発明者の実験によれば、上記第1の方法では、高周波電力として300W、酸素ガスの導入流量として15sccmすなわち15ml/min、基板温度として室温(強制的に基板を加熱することなく、真空チャンバ内に置かれている温度)、成膜レートとして5Å/s、目標膜厚として5000Åとして成膜を行った場合に、良好なゼーベック係数および抵抗率を有するアニール後の酸化銅薄膜を形成することができた。上記第2の方法では、第1の方法と同じ条件で窒素ガスの導入流量として2sccmおよび5sccmで成膜を行ったところ、第1の方法によって形成された酸化銅薄膜と比較して、大きなパワーファクタPFを有する酸化銅薄膜を形成することができた。
本発明によれば、蒸発源と基板との間の距離を変えることなく、真空チャンバ内への酸素ガスの導入流量を変えることによって、基板上に形成される酸化銅薄膜のゼーベック係数および抵抗率を制御することができ、最適なゼーベック係数および抵抗率を有する酸化銅薄膜を形成することが可能となる。
また、本発明によれば、蒸発源と基板との間の距離を変えることなく、酸素ガスの導入流量を所定値に維持しながら窒素ガスの導入流量を変えることによって、基板上に形成される酸化銅薄膜のゼーベック係数および抵抗率を制御することができ、しかも、パワーファクタPFを大きくすることができ、熱電性能のよい酸化銅薄膜を形成することが可能となる。
更に、基板に形成された酸化銅薄膜にアニール処理を施すことによって、ゼーベック係数を上げることができると共に、キャリア移動度の改善すなわち抵抗率を下げることができる。
図1は本発明に係る酸化銅薄膜の形成方法に用いられる高周波イオンプレーティング装置の概要図である。本発明では、物理的気相成長法(PVD : Physical Vapor Deposition)として高周波イオンプレーティング法が用いられるが、これに限定されるものではない。
図1において、高周波イオンプレーティング装置1は、真空チャンバ(真空槽)2内に、保持部材3、クォーツモニタ4、高周波コイル5、シャッタ6および電子銃7を備えている。保持部材3は例えばステンレス製で、その上部に、酸化銅薄膜が形成される基板8が保持されるようになっている。基板8としては、本例ではガラスが用いられる。クォーツモニタ4は基板8と略同一の高さ位置に設けられており、基板8に成膜される酸化銅薄膜の膜厚が水晶振動子の振動の大きさに基づいて検出すなわちモニタリングされるようになっている。高周波コイル5は基板8とシャッタ6との間に設けられている。シャッタ6は、高周波コイル5と坩堝9との間に設けられ、開閉されるようになっている。坩堝9には、蒸発源10として銅Cuが入れられている。電子銃7は坩堝9の近傍に設けられており、そこから放射される電子ビームが磁場による収束、偏向を介して坩堝9内の蒸発源10であるCuに当てられるようになっている。
また、酸素ガスOを真空チャンバ2内に導入するためのバルブ11を備えた導入路12が設けられていると共に、アルゴンガスArまたは窒素ガスNを真空チャンバ2内に導入するためのバルブ13を備えた導入路14が設けられている。また、シャッタ6の開閉およびバルブ11,13の開閉等のための駆動源15、真空チャンバ2内の真空度を検出するバキュームゲージ16、反射電力を最小限にするための整合器17、および高周波コイル5に高周波電力を供給する高周波電源18が設けられている。更に、真空チャンバ2内に連通する排気系19が設けられ、図示しない真空ポンプによって真空チャンバ2内を真空状態にすることができるようになっている。
このような高周波イオンプレーティング装置としては汎用の装置を用いることができ、本発明に係る酸化銅薄膜の形成方法では、一例として、以下の概要を有する装置が使用された。
型番:SIP−650(昭和真空株式会社製)
真空チャンバ:直径約650mm×高さ890mm SUS304製
電子銃:EBG−303(日本電子株式会社製)
電子銃電源:JST−16F(日本電子株式会社製 最大出力:16KW)
高周波コイル:直径280mm 線径6mm 2.5巻き SUS304製
本発明者は、成膜に際して、最適な高周波コイルとして上記特徴を有する高周波コイル5を実験的に見い出し、また、最適な高周波電力として300Wであることを実験的に見い出した。更に、成膜レートとして5Å/sで成膜する場合に、基板8への密着性がよく緻密性の高い酸化銅薄膜を形成することができることを実験的に見い出した。
基板8としては本例ではガラスが用いられるが、これに限定されるものではなく、例えばシリコンウエハやセラミックス等を用いることも可能である。基板8は、例えば、熱電性能が求められるような場合には絶縁性を有するものが用いられるが、耐摩耗性が求められるような場合には絶縁性を有するか否かは考慮する必要がなく、絶縁性のものか否かは用途に応じて選定される。基板8は、坩堝9の上方約500mmの位置に保持されている。蒸発源10であるCuの純度は、99.999%、99.99%、99.9%でも同じような結果が得られることが実験的に確かめられている。本例では蒸発源10としてCuのみが用いられているが、抵抗率の更なる低減を目的として、Cuに例えば亜鉛Zn等を混合させたものを蒸発源10としてもよい。
実施例1では、このような高周波イオンプレーテイング装置を用いて、導入路12およびバルブ11を介して真空チャンバ2内に酸素ガスOを導入し、酸素プラズマ中で蒸発源10であるCuを蒸発させ、Oの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜が基板8上に形成される。このような形成方法を以下に具体的に説明する。
先ず、排気系19の駆動により真空チャンバ2内が10−4Pa以下の真空度に真空引きされた後、アルゴンプラズマによる基板8表面の不純物の洗浄が行われる。本例では、排気系19の駆動下で、導入路14およびバルブ13を介してアルゴンガスArが10sccmで真空チャンバ2内に導入され、例えば高周波電力100Wおよびバイアス電圧100Vが高周波コイル5に印加され、アルゴンプラズマが発生・維持される。このとき、真空チャンバ2内は3〜4×10−2Pa程度で、シャッタ6は閉じられている。これと並行するように、電子銃7が起動され、電子ビームによって坩堝9内の蒸発源10であるCuが融解される。このような基板8の洗浄は例えば10分程度行われ、高周波コイル5への電力印加およびアルゴンガスArの導入が停止されると共に、蒸発源10の溶融で電子銃7の作動が停止され、基板8の洗浄を終了する。
次いで、高周波電力が300W、バイアス電圧が0V、成膜レートが5Å/s、目標膜厚が5000Åに設定され、基板8の温度が室温(強制的に基板8を加熱することなく、真空チャンバ2内に置かれている温度)の状態下で、酸素ガスOが真空チャンバ2内に導入され、高周波コイル5に300Wの高周波電力が印加されて酸素プラズマが発生・維持される。このような設定変更や酸素プラズマの発生の間に蒸発源10であるCuが固体化するので、電子銃7による蒸発源10の再度の溶し込み(成膜時の溶し込み)が開始される。なお、この段階では、シャッタ6は未だ閉じられたままである。
本発明者の実験によれば、300Wの高周波電力よりも低い例えば100Wの場合だと銅原子と酸素原子との反応が悪くなり、また、300W以上にあまり高く上げすぎても酸化第1銅CuOを多く含む酸化銅薄膜が得られなかった。このような実験から、本発明者は、300Wが最適な高周波電力であり、これを上述した構成の高周波コイル5に印加することが最良であることを見い出した。
図2は成膜時の蒸着源10の溶し込みにおける電子ビームの照射時間と電子ビーム電流との関係を示す図である。電子ビームの照射開始から電子ビーム電流を段階的に56mAまで上げ、坩堝9内のCuが完全溶融する60秒後にシャッタ6が開かれ、Cuの蒸発すなわち成膜が開始される。成膜開始当初は、電子ビーム電流は大きいが、膜厚レートである5Å/sに向かって本例では26mAに下がっていく。以後、成膜終了までこの状態が継続される。
このような酸化銅薄膜の形成において、本実施例では、酸素ガスOの導入流量を15sccm、30sccmおよび45sccmの夫々に変えた場合に、基板8上に形成された酸化銅薄膜のゼーベック係数、抵抗率およびX線回折スペクトルをアニール前およびアニール後で測定した。
アニールは、例えば電気炉を用いて、成膜された酸化銅薄膜を不活性ガス雰囲気中、例えば窒素ガス雰囲気中で、又は大気中で300℃で10分間加熱し、その後徐々に冷却することによって行われる。本発明者の実験によれば、アニール温度を200℃にした場合と比較して300℃の方がゼーベック係数が高くなり、400℃で行うと300℃の場合よりもゼーベック係数が小さくなった。このような実験により、本発明者は300℃が最適なアニール温度であることを見い出した。このようなアニール処理によって、ゼーベック係数を大きくし、抵抗率を小さくすることが可能となる。
酸素ガスOの導入流量が15sccmである場合、以下の表1に示す実験結果と共に、図3に示すX線回折スペクトルを得た。図3は酸素ガスの導入流量が15sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果であり、Aはアニール前、Bはアニール後である。なお、表における制御膜厚はクォーツモニタ4で検出された膜厚である。
Figure 2007246993
酸素ガスOの導入流量が30sccmである場合、以下の表2に示す実験結果と共に、図4に示すX線回折スペクトルを得た。図4は酸素ガスの導入流量が30sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果であり、Aはアニール前、Bはアニール後である。
Figure 2007246993
酸素ガスOの導入量が45sccmである場合、以下の表3に示す実験結果と共に、図5に示すX線回折スペクトルを得た。図5は酸素ガスの導入流量が45sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果であり、Aはアニール前、Bはアニール後である。
Figure 2007246993
これらの実験結果から明らかなように、酸素ガスの導入流量を変えることによって、含まれる酸化第1銅CuOの量が変わり、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を形成することができる。すなわち、酸素ガスの導入流量が15sccmの場合、ゼーベック係数が大きくなると共に抵抗率が小さくなり、また、図3のX線回折スペクトルの測定結果に示されるように、酸化第1銅CuOを多く含む酸化銅薄膜が形成される。これに対して、酸素ガスの導入流量を多くすると、ゼーベック係数が小さくり、また、抵抗率が大きくなる。これは、図4および図5のX線回折スペクトルから、酸素を多くすると、CuOではなくてCuO等が多く形成されたものと考えられる。すなわち、酸素ガスの導入流量を変えることによって、酸化銅薄膜の組成比を変えることができる。
実施例2では、導入路12およびバルブ11ならびに導入路14およびバルブ13を介して真空チャンバ2内に酸素ガスOと共に窒素ガスNを導入し、酸素ガスと窒素ガスとを混合させたプラズマ放電中で蒸発源10であるCuを蒸発させ、酸素ガスOの導入流量を所定値に維持しながら窒素ガスNの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜が基板8上に形成される。
本実施例では、酸素ガスOの導入流量を15sccmに維持し、窒素ガスNの導入流量を2sccmおよび5sccmの夫々に変えた場合に、基板8上に形成された酸化銅薄膜のゼーベック係数、抵抗率およびX線回折スペクトルをアニール前およびアニール後で測定した。
窒素ガスNの導入流量が2sccmである場合、以下の表4に示す実験結果と共に、図6に示すX線回折スペクトルを得た。図6は酸素ガスの導入流量が15sccmの下で窒素ガスの導入流量を2sccmとした場合におけるX線回折スペクトルを測定結果であり、Aはアニール前、Bはアニール後である。
Figure 2007246993
窒素ガスNの導入流量が5sccmである場合、以下の表5に示す実験結果と共に、図7に示すX線回折スペクトルを得た。図7は酸素ガスの導入流量が15sccmの下で窒素ガスの導入流量を5sccmとした場合におけるX線回折スペクトルを測定結果であり、Aはアニール前、Bはアニール後である。
Figure 2007246993
これらの実験結果から明らかなように、酸素ガスの導入流量を所定値本例では15sccmに維持しながら窒素ガスの導入流量変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を形成することができる。実施例1において良好なゼーベック係数および抵抗率が得られた表1の場合と比較して、ゼーベック係数は1/2以下に低下するが、抵抗率が二桁も下がり、この結果、パワーファクタPF(PF=(ゼーベック係数)/抵抗率)が一桁大きくなる。そのため、より良好な熱電性能をもつ酸化銅薄膜を形成することができる。
図8は窒素ガスの導入量とゼーベック係数および抵抗率との関係を示す実験結果である。酸化銅薄膜の形成条件は前述した通りである。図8から明らかなように、酸素ガスの導入流量を15sccmに維持しながら窒素ガスの導入流量を変えると、抵抗率が下がり、またゼーベック係数も下がっていく。
図9は図8の実験結果に基づいて計算されたパワーファクタPFと窒素ガスの導入量との関係を示す図である。図9から明らかなように、酸素ガスに加えて窒素ガスを導入することによりパワーファクタが大になる。すなわち、より良好な熱電性能が得られる。
以上述べた実施例では、酸素ガスの導入流量または窒素ガスの導入流量を変えることによって酸化銅薄膜のゼーベック係数および抵抗率を変えたが、酸化銅薄膜が形成される基板の温度を変えて成膜することによってもゼーベック係数および抵抗率を変えることが可能である。
本発明は、P型半導体として薄膜熱電素子、トランジスタ、ダイオード等の製造に有効に利用することができるばかりでなく、薄膜にすることにより強度が極めて向上するので、耐摩耗性材料の製造にも有効に利用することができる。
図1は本発明に係る酸化銅薄膜の形成方法に用いられる高周波イオンプレーティング装置の概要図である。 図2は成膜時の蒸着源の溶し込みにおける電子ビームの照射時間と電子ビーム電流との関係を示す図である。 図3は酸素ガスの導入流量が15sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果である。 図4は酸素ガスの導入流量が30sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果である。 図5は酸素ガスの導入流量が45sccmの場合におけるX線回折スペクトルの測定結果である。 図6は酸素ガスの導入流量が15sccmの下で窒素ガスの導入流量を2sccmとした場合におけるX線回折スペクトルを測定結果である。 図7は酸素ガスの導入流量が15sccmの下で窒素ガスの導入流量を5sccmとした場合におけるX線回折スペクトルを測定結果である。 図8は窒素ガスの導入量とゼーベック係数および抵抗率との関係を示す実験結果である。 図9は図8の実験結果に基づいて計算されたパワーファクタPFと窒素ガスの導入量との関係を示す図である。
符号の説明
1 高周波イオンプレーティング装置
2 真空チャンバ
5 高周波コイル
6 シャッタ
7 電子銃
8 基板
9 坩堝
10 蒸発源
11,13 バルブ
12,14 導入路
19 排気系

Claims (5)

  1. 物理的気相成長法により基板上に酸化銅薄膜を形成する方法であって、少なくともCuを蒸発源として、真空チャンバ内に酸素ガスを導入し、酸素プラズマ中で前記蒸発源であるCuを蒸発させ、前記酸素ガスの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を前記基板上に形成することを特徴とする酸化銅薄膜の形成方法。
  2. 物理的気相成長法により基板上に酸化銅薄膜を形成する方法であって、少なくともCuを蒸発源として、真空チャンバ内に酸素ガスと共に窒素ガスを導入し、酸素ガスと窒素ガスとを混合させたプラズマ放電中で前記蒸発源であるCuを蒸発させ、前記酸素ガスの導入流量を所定値に維持しながら前記窒素ガスの導入流量を変えることによって、ゼーベック係数および抵抗率が異なる酸化銅薄膜を前記基板上に形成することを特徴とする酸化銅薄膜の形成方法。
  3. 前記基板に形成された酸化銅薄膜がアニール処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化銅薄膜の形成方法。
  4. 前記アニール処理が300℃程度の不活性ガス雰囲気中又は大気中で所定時間行われることを特徴とする請求項3に記載の酸化銅薄膜の形成方法。
  5. 前記物理的気相成長法が高周波イオンプレーティング法であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の酸化銅薄膜の形成方法。
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