JP2007245944A - 転圧作業車の鉄輪 - Google Patents

Abstract

【課題】ビニールやプラスチック系のような廃棄物を、効率よく、破砕、転圧、減容、そして締め固めすることができる、転圧作業車の鉄輪を提供する。
【解決手段】鉄輪（８）が、円柱状の外周面（Ｆ）を有した鉄輪本体（１６）と、この外周面（Ｆ）に、鉄輪（８）の回転軸線（９）の方向に延び、周方向に所定の間隔で、半径方向に突設された複数個の矩形板歯（１８）とを備え、矩形板歯（１８）の外周面（Ｆ）から突出した高さ（Ｈ）が外周面（Ｆ）に当接した辺の長さである幅（Ｗ）に対し０．５〜０．６５の比率で形成される。
【選択図】図１

Description

本発明は、転圧作業車の鉄輪に関する。

家庭、企業などから排出される廃棄物の埋め立て処分場において、廃棄物の上を走行し、破砕し、転圧し、減容し、締め固めする作業車として、外周に複数個の突起を有した鉄輪を装備した周知の転圧作業車がある（例えば、特許文献１、２参照）。
実開平６−３２１０４号公報（第４図） 実開平６−７８００５号公報（第２図）

しかしながら、上述したとおりの形態の従来の転圧作業車には、鉄輪に関連して次のとおりの解決すべき課題がある。

すなわち、ゴミ、廃棄物の分別化が進み、ビニールやプラスチック系だけを扱う安定型最終処分場が増加傾向にあり、このような処分場においては、従来の突起、例えば三角断面のグローサを備えた鉄輪（例えば、特許文献１、２参照）では、ビニールやプラスチック系の廃棄物を切断しきれず、伸びただけになる状況が発生し、効率的な、破砕、転圧、減容、そして締め固めができない。

本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、ビニールやプラスチック系のような廃棄物を、効率よく、破砕、転圧、減容、そして締め固めすることができる、転圧作業車の鉄輪を提供することである。

本発明によれば上記技術的課題を解決する転圧作業車の鉄輪として、円柱状の外周面を有した鉄輪本体と、この外周面に、鉄輪の回転軸線の方向に延び、周方向に所定の間隔で、半径方向に突設した複数個の矩形板歯とを備え、矩形板歯の外周面から突出した高さが外周面に当接した辺の長さに対し０．５〜０．６５の比率で形成されている、ことを特徴とする転圧作業車の鉄輪が提供される。

本発明に従って構成された転圧作業車の鉄輪は、鉄輪本体の外周面に鉄輪の回転軸線の方向に延び周方向に所定の間隔で半径方向に突設した複数個の矩形板歯を備え、かつ矩形板歯の突出高さを外周面に当接した辺の長さに対して０．５〜０．６５の比率で形成することにより、ビニールやプラスチック系のような廃棄物を効率よく、破砕、転圧、減容、そして締め固めることができる。

以下、本発明に従って構成された転圧作業車の鉄輪について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。

図４を参照して本発明に係る鉄輪を装備した転圧作業車について説明する。番号２で示す転圧作業車は、前車体４と後車体６とが鉛直軸線５を中心に屈折自在に連結されている。後車体６には左右一対の鉄輪８，８、運転室１０、ならびにエンジン室１２が備えられている。前車体４には、左右一対の、後車体６の鉄輪８と同じでよい、鉄輪８，８、ならびに昇降作動自在なブルドーザ装置１４が備えられている。

前車体４および後車体６の４個の鉄輪８は、エンジン室１２の動力によって駆動される。転圧作業車２は前車体４と後車体６とが操向手段によって相対的に屈折され操向される。

図１を参照して鉄輪８について説明する。鉄輪８は、円柱状の外周面Ｆを有した鉄輪本体１６と、外周面Ｆに、鉄輪８の回転軸線９の延びる方向（図１（ａ）の紙面に垂直方向）に延び、周方向に所定の間隔で、半径方向に突設された複数個の矩形板歯１８を備えている。矩形板歯１８は、周方向に１２個、３０°の間隔で設置されている。

鉄輪本体１６は、円板状のハブ１６ａの回りに一体的に接合した円筒輪１６ｂを備えている。矩形板歯１８の外周面Ｆから突出した高さＨは、後に詳述するように、外周面Ｆに当接した辺の長さである幅Ｗに対して０．５〜０．６５の比率で形成されている。

図１とともに図２を参照して説明する。鉄輪本体１６の外周面Ｆには、複数個（１２個）の矩形板歯１８が周方向に延びた歯列である２個の歯列Ｘ１、Ｘ２が、回転軸線９の方向に並んで備えられている。

歯列Ｘ１、Ｘ２それぞれの矩形板歯１８は、回転軸線９に対して約１５°の角度θで互いに逆方向に傾斜されている。また、隣接する歯列Ｘ１、Ｘ２の矩形板歯１８は、周方向において互いに、他方の歯列の一対の矩形板歯１８、１８の間に位置付けられている。

さらに、歯列Ｘ１およびＸ２それぞれの周方向において隣接した矩形板歯１８は、回転軸線９の延びる方向に互いの間隔を、幅Ｗの約四分の一の寸法Ｌずらせて設置されている。

図１とともに図３を参照して矩形板歯１８の説明を続ける。矩形板歯１８は幅Ｗ高さＨの矩形の厚鋼板によって前述の、幅Ｗに対する高さＨの比率を０．５〜０．６５にして、実施例においては幅Ｗ４２０ｍｍ、高さＨ２４０ｍｍで、形成されている。

矩形板歯１８の鉄輪本体１６の外周面Ｆに当接する端部の一側には、鋼板を断面山形状に曲げその稜線を矩形板歯１８と外周面Ｆの間に斜め配置したガセット２０が、矩形板歯１８の側を高さＨの略半分に位置づけて、幅Ｗの中央に一体的に溶接されている。

この矩形板歯１８の幅Ｗ４２０ｍｍに対する高さＨ２４０ｍｍは、ビニール、プラスチック系の廃棄物に、効率よく食い込み圧砕でき、かつ矩形板歯１８の強度が、高さＨが高すぎて損なわれることのない、上記の範囲で設定されている。

矩形板歯１８とガセット２０は予め溶接されサブ組立され、サブ組立状態で鉄輪本体１６の外周面Ｆに溶接される。

転圧作業車２に、上記鉄輪８を装備した場合と、高さＨの異なる矩形板歯を備えた鉄輪を装備した場合との、ビニールやプラスチック系を扱う廃棄物処理場における比較試験結果について説明する。

試験は、転圧作業車２の鉄輪４個全部を、幅Ｗ４２０ｍｍの矩形板歯の高さＨを次の二種類にしたものに変えて比較した。使用した鉄輪本体の外周径は１３５０ｍｍである。
（１）鉄輪８ Ｈ２４０ｍｍ（幅Ｗ４２０ｍｍ×０．５７）
（２）比較鉄輪 Ｈ１６０ｍｍ（幅Ｗ４２０ｍｍ×０．３８）

比較試験の結果では、
（１）のＨ２４０ｍｍ（幅Ｗ４２０ｍｍ×０．５７）の鉄輪８は、ビニール、プラスチック系の廃棄物に対する、食い込み、破砕、転圧、減容、そして締め固めを、効率よく行うことができた。
（２）のＨ１６０ｍｍ（幅Ｗ４２０ｍｍ×０．３８）の鉄輪は、ビニール、プラスチック系の廃棄物に対して食い込みが足りず、廃棄物を切断しきれず、伸びただけになる状況が発生し、効率的な、破砕、転圧、減容、そして締め固めができなかった。

試験結果では、鉄輪の矩形板歯の高さＨを、幅Ｗに対して０．５〜０．６５の比率、具体例においては幅４２０ｍｍに対し２１０〜２７３ｍｍ程度にするのが、ビニールやプラスチック系を扱う廃棄物処分場に好適であった。高さＨ１６０ｍｍ、比率０．３８程度では低すぎた。そして、高さＨが幅Ｗに対して高すぎると、走行時における矩形板歯に加わる曲げ力が大きくなるなど、強度的に弱くなり不都合である。

上述したとおりの転圧作業車２の鉄輪８の作用効果について説明する。

本発明に従って構成された転圧作業車２の鉄輪８は、鉄輪本体１６の外周面Ｆに鉄輪８の回転軸線９の方向に延び周方向に所定の間隔で半径方向に突設した複数個の矩形板歯１８を備え、矩形板歯１８の突出高さＨが外周面Ｆに当接した辺の長さである幅Ｗに対して、０．５０〜０．６５の比率で形成されることにより、ビニールやプラスチック系のような廃棄物を、効率よく、破砕、転圧、減容、そして締め固めることができる。

以上本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。

本発明の実施例においては、鉄輪８の外周面Ｆに、複数個（１２個）の矩形板歯１８による周方向の歯列を２個（Ｘ１、Ｘ２）回転軸線９の延びる方向に並んで備えているが、鉄輪８の大きさなどによっては一列であってもよい。

本発明の実施例においては、矩形板歯１８は、回転軸線９に対して約１５°の角度θで傾斜されているが、角度θを設けないで回転軸線９方向に真直であってもよい。

本発明に従って構成された転圧作業車の鉄輪の（ａ）側面図、および（ｂ）（ａ）のＡ−Ａ矢印方向に見た部分図。 図１の矢印Ｂ方向に見て矩形板歯の配置を展開して示した図。 （ａ）図１（ｂ）の矢印Ｃで示した矩形板歯の拡大詳細図、および（ｂ）（ａ）のＤ−Ｄ矢印方向に見た図。 本発明に従って構成された鉄輪を備えた転圧作業車の概略側面図。

符号の説明

２：転圧作業車
８：鉄輪
９：回転軸線
１６：鉄輪本体
１８：矩形板歯
Ｈ：高さ
Ｗ：幅（辺の長さ）

Claims (1)

1. 円柱状の外周面を有した鉄輪本体と、
   この外周面に、鉄輪の回転軸線の方向に延び、周方向に所定の間隔で、半径方向に突設した複数個の矩形板歯と
   を備え、
   矩形板歯の外周面から突出した高さが、
   外周面に当接した辺の長さに対し０．５〜０．６５の比率で形成されている、
   ことを特徴とする転圧作業車の鉄輪。

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