JP2007245069A - 信頼性の高い膜の破断を検知する方法およびシステム - Google Patents
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Abstract
検出感度を落とすことなく、信頼性が向上し、迅速性であって、異常値を回避する新たな膜破断検知システムを提供すること。
【解決手段】
ろ過水中の濁度又は微粒子濃度を測定する手段と、その測定値から膜の破断を検知する手段を有する膜破断検知システムにおいて、該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出した時から、予め設定した時間T1の間に、該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する手段と、警報を発する手段を有する。
【選択図】 図1
Description
しかし、この方法では、測定対象の水の濁質濃度は非常に薄く、濁度計や微粒子計の検出下限値に近いところでの運用となると共に、測定対象水中の気泡や、配管から発生する微粒子、あるいは配管の汚染箇所から発生した微粒子などにより、膜は正常であるにもかかわらず、膜が破断したと判断され、誤警報が発生するレベルの異常値を検出する確率が高い、という問題点がある。
1. インパルス型の異常値
図6は、正常な膜を用いて原水を処理して得たろ過水の微粒子濃度を長時間継続して測定し、逆洗直後ではないときの結果を示すグラフである。ここでは、警報を発する閾値D0はろ過水中の微粒子濃度300個/mLとしている。なお、微粒子濃度の代わりに濁度を測定して破断検知を行った場合も、このグラフとほぼ同様な結果が得られる。
長時間のろ過運転中、膜は正常であるにもかかわらず、突発的にD0を超える高い測定値を検出している。これは、ろ過水中の気泡や、何らかの原因により配管などから剥離した微粒子を検出したためであると考えられる。突然高い値が出力され、その後速やかに正常なレベルに戻るのが特徴である。
図11のグラフは、正常膜を逆洗後、ろ過を開始した後のろ過水中の微粒子濃度を測定した結果を示す。ここでも図6と同様、ろ過水中の微粒子濃度300個/mLを、警報を発する閾値D0としている。
図11のグラフは、装置から濁度計、あるいは微粒子計へろ過水を送る配管、あるいは濁度計や微粒子計内部等が、何らかの微粒子発生源によって汚染されている場合の異常値の発生パターンである。微粒子発生源となっているのは、例えば配管内に侵入した微生物などである。これまでの研究の結果、微粒子の発生源の侵入は、特に装置にトラブルなどが生じて長時間、装置を停止させた場合や、メンテナンスのために膜のろ過水装置内に滞留した状態で、外気と接触した場合に発生しやすいことが分かっている。
膜は破断していないが、継続的にD0を超える値を示している。これは、測定系の配管が微粒子や微生物で汚染され、継続的に微粒子を発生させている場合の異常値の発生パターンである。図8に示すような、配管の汚染がない場合と異なり、D0を下回るまでの時間が非常に長くなることが特徴である。
3. 逆洗直後の異常値
図8は、正常膜を逆洗後、ろ過を開始した後のろ過水中の濁度の測定結果を示す。ここでは、原水濁度が0.0004度以上を、警報を出す閾値D0としている。
図8から、濁度の測定値が警報を出す閾値D0大きく超え、ピークを形成し、その後減少傾向をたどり、閾値D0よりも低い値をとり、やがて安定した状態となること、すなわち、膜が正常であれば、逆洗後一定時間経過すると、濁度の測定値が閾値D0よりも低い値で安定した状態となることが分かる。このタイプの場合、安定した状態になるまでの時間は、原水の性状、処理量、測定機器の設置環境などにより変動するが、図6のタイプの場合よりもやや長い傾向にある。その安定した状態になるまでの時間は、例えば10〜15分程度となるときが多い。このグラフから、0.0001〜0.0002度程度の値で安定するが、逆洗中及び逆洗直後は、0.0004度以上の値を検出する。図8のグラフを得るために用いたろ過水は、正常なろ過膜でのろ過水であることを確認しているので、グラフに示された値は膜の破断などの異常に起因するものではなく、他の要因に基づく異常値である。この異常値は、ろ過水中の濁質が、逆洗タンク内で凝集し、計測器で検出できる粒径まで成長し、逆洗時に膜のろ過水側の面に付着、ろ過運転開始直後にそれらが放出されたことによるものと考えられる。
なお、このグラフでは測定対象に濁度を用いているが、微粒子濃度を測定対象にした場合も、同様の傾向を示す。
また、逆洗直後とは、逆洗開始後に上記測定値が安定するまでの一定時間経過するまでの時間をいう。
さらに、濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることが望ましい。
請求項2の発明では、ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する手段を規定するが、請求項3の発明は、その規定の代わりに、ろ過水中の濁度又は微粒子濃度の測定値が低下傾向を示していないことを確認する手段を備えることを特徴とする。さらに、濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることが望ましい。
請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、前記予め設定した時間T0よりも所定時間だけ長い時間T01に予め設定すること、膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T01の以降で、予め設定した時間T1の間に該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出したときには、即座に警報を発すること、および濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることを特徴とする。
なお、請求項6の発明は、ろ過水中の濁度又は微粒子濃度を測定する手段と、その測定値から膜の破断を検知する手段を少なくとも備える膜破断検知システムにおいて、
膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T0以降であって、しかも、該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出した時から、予め設定した時間T1の間に、該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する手段と、警報を発する手段を少なくとも備えることを特徴とする膜破断検知システムであるとも記載できる。
発明9として、請求項5〜8の発明において、濁度又は微粒子濃度を測定するろ過水を、少なくとも濁度又は微粒子濃度を測定する前から濁度又は微粒子濃度測定機器を通過する間加圧処理する手段をさらに有する発明、及び、発明10として、加圧したろ過水を水槽に送り、水槽の上部と下部にろ過水の取り出し口を設け、上部のろ過水は捨て、下部のろ過水を濁度又は微粒子濃度の計測機器に送水する手段を有する発明がある。
発明11として、請求項5〜8の発明および上記9〜10の発明において、原水のろ過を停止した後、濁度又は微粒子濃度を測定するろ過水が通過する配管及び濁度又は微粒子濃度を測定する装置内を自動的に薬品洗浄する手段を有する発明がある。
さらに、発明12として、請求項1記載の膜破断検知方法と、請求項2〜4のいずれか1項記載の膜破断検知方法から選ばれる一つあるいは二つ以上の膜破断検知システムとを併用することを特徴とする膜破断検知方法の発明、及び、発明13として、上記12の発明において、原水のろ過を停止した後、濁度又は微粒子濃度を測定するろ過水が通過する配管及び濁度又は微粒子濃度を測定する装置内を自動的に薬品洗浄する工程をさらに有することを特徴とする発明がある。
発明14として、請求項5記載の膜破断検知システムと、請求項6〜8のいずれか1項記載の膜破断検知システムから選ばれる一つあるいは二つ以上の膜破断検知システムとを備えることを特徴とする膜破断検知システムの発明、及び、発明15として、上記14の発明において、原水のろ過を停止した後、濁度又は微粒子濃度を測定するろ過水が通過する配管及び濁度又は微粒子濃度を測定する装置内を自動的に薬品洗浄する手段をさらに有することを特徴とする発明がある。
本発明において、濁度や微粒子濃度を測定するろ過水は、ろ過膜を用いて一般的な方法により原水をろ過処理して得たろ過水である。このろ過水の全てを濁度や微粒子濃度の測定用としてもよいし、ろ過水の一部を抜き取り、濁度や微粒子濃度を測定してもよい。
ここで、ろ過膜は一般的な膜であれば全て使用できるのであり、たとえば精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)などが使用可能である。これらの膜の中ではとくにMF膜あるいはUF膜が好適である。
また、原水は、具体的には河川水、湖沼水、地下水などが好ましいが、下水、工場廃水などでもよく、これらに何ら限定されない。
本発明では、例えば、ろ過水中の濁度や微粒子濃度の測定値が突発的な異常値である場合、つまりインパルス型の異常値の場合にも、膜の破断の有無を適切に判断することができる。ここで、インパルス型の異常値の場合とは、例えば図6に示すような場合であって、原水を膜ろ過処理して得たろ過水の濁度や微粒子濃度の測定中、その測定値がほぼ一定の範囲内に収まるなか、ときに突発的な異常値を示す場合をいう。
また、本発明の膜破断検知方法は、原水の膜処理中、および逆洗処理後の原水処理に際して、膜の破断の有無を適切に判断することができる。
ろ過水中の濁度や微粒子濃度の測定値が、図6に示すように、予め設定した値D0を超える値を検出した場合、直ちに膜の破断などの異常があると判断せず、D0を超える値を検出した時から、一定時間T1の間に、D0以上の値を検出する時間、あるいは回数が、一定の割合以上を占めるかどうか検討し、一定時間T1の間に一定の割合以上を占める場合に、異常があると判断し、警報を発する設定とする。
これは、とくに逆洗直後以外のときに有効である。
ここで、ろ過水中の濁度や微粒子濃度の測定手段は公知の手段を採用すればよい。また、一定時間T1の間に一定の割合以上を占めるかどうか検討する手段、および異常があると判断し、警報を発する手段も公知の手段を採用すればよい。また、ろ過水中の濁度や微粒子濃度の測定は継続させておくことが好ましい。
予め設定する値D0や一定の割合も同様であり、測定する原水の性状、濁度や微粒子濃度の測定機器の特性、使用する膜、膜破断検知システムに求める性能などによって変動させる。なお、図6ではD0の値として300個/mLとしてあるが、この数値は一例であり、本発明がこの数値に限定するということではない。
これらの設定値を決定するには、測定機の特性も重要な因子になるので、最適な値を求めるには、装置を試運転し、使用する濁度計又は微粒子計の測定値の振幅や振動数を確認することが望ましい。
これらの設定値は、使用する測定機器、ろ過水の性状等の要因が関与するので一概に規定することができないが、例えば一般的な計測器を用いた場合、T1は3〜25分、Rは20〜100%と設定することができる。
最適な値の例としては、30秒に1回、測定値を発信する計測器の場合、(T1=5分、R=100%)から(T1=15分、R=30%)の範囲内として、測定の迅速性を重視する場合は(T1=5分、R=100%)を、安定性をより重視する場合は(T1=15分、R=30%)を選択する、という形態が挙げられる。
加圧するときの圧力は、測定するろ過水あるいはろ過水を得る原水の性状、濁度や微粒子濃度の測定機器の特性、使用する膜、膜破断検知システムに求める性能などによって変動するのであるが、通常、30kPa以上とすることが望ましい。但し、ろ過水が、飽和に近い量のガスを溶解している場合は、ろ過時の膜差圧以上の圧力を加えることが望ましい。また、少なくともろ過水の濁度や微粒子濃度の測定前、および測定中には、その加圧状態が保たれていることが望ましい。
この原水を加圧する手段は公知の手段を利用すればよい。
膜の逆洗直後の場合でも、上記説明と同様に、膜の破断の有無を検知することができる。すなわち、予め設定した値D0を超える値を検出した場合、直ちに膜の破断などの異常があると判断せず、D0を超える値を検出した時から一定時間T1の間に、D0以上の値を検出する時間、あるいは回数が、一定の割合以上を占めるかどうか検討し、一定時間T1の間に一定の割合以上を占める場合に、異常があると判断し、警報を発する設定とする。前記一定時間T1、および予め設定する値D0の決定手段や決定方法は既に説明したとおりである。
図9は、逆洗直後に原水をろ過して得たろ過水中の濁度の異常値の測定例の模式図である。
逆洗直後に予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値を検出した場合、その検出時の時間が予め設定した時間T0に満たないときには、その測定値はろ過膜の異常に基づくものではないとする。予め設定した時間T0を超えたときに予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値を検出した場合は、直ちにろ過膜の破断などの異常があると判断せず、一定時間T1の間にD0以上の値を検出する時間、あるいは回数が、一定の割合以上を占めるかどうか検討する。その検討結果により、一定時間T1の間に一定の割合以上を占めると結論した場合に、異常があると判断し、警報を発する設定とする。なお、警報を出した後でも、濁度又は微粒子濃度の測定は継続させる設定とすることが好ましい。また、濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることが好ましい。
前記一定時間T1、および予め設定する値D0やの決定手段や決定方法は既に説明したとおりである。
前記予め設定した時間T0は、測定する原水の性状、濁度や微粒子濃度の測定機器の特性、使用する膜などによって変動するのであって、一義的に規定することはできない。原水濁度や微粒子濃度を測定器具で実際に測定し、その測定結果に基づいて決定することが望ましい。なお、逆洗直後の原水濁度や微粒子濃度は、図9に示されるように、大きなピークを描いてやがて予め設定する値D0や以下に安定する傾向にあるので、時間T0は該大きなピークを経た後の時間となるように設定することが好ましい。とくに、原水濁度や微粒子濃度を測定器具で実際に測定し、その測定結果においてD0を下回る時間の最大の時間から、D0を下回る時間の最大の時間+2分程度が時間T0の設定値の目安とすると有利である。
逆洗直後に予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値を検出した場合、その検出時の時間が予め設定した時間T0に満たないときには、その測定値はろ過膜の異常に基づくものではないとする。予め設定した時間T0を超えたときに予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値を検出した場合は、直ちにろ過膜の破断などの異常があると判断しない。ここまでは上記膜破断検知システムと同じである。
膜の破断などの異常があるかどうかは、予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値の傾向を確認することによって判断する。すなわち、予め設定した値D0を超える微粒子濃度の測定値が減少傾向にあると結論されると、膜の異常があったとしない。しかし、当該測定値が減少傾向にあるとはいえないと結論されると、膜の異常があると判断し、警報を発する設定とする。なお、警報を出した後でも、濁度又は微粒子濃度の測定は継続させる設定とすることが好ましい。また、濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることが好ましい。
当該測定値よりも前に測定した複数個の測定値と、当該測定値とを比較し、それら複数個の測定値よりも当該測定値が低い値であると判断される場合、当該測定値は減少傾向にあると確認できる。複数個の測定値と、当該測定値とを比較する手段はとくに限定されないが、例えば、複数個の測定値を統計処理して一定の値を求め、その値と当該測定値とを比較する手段を示すことができる。すなわち、前記一定の値と当該測定値とを比較し、前記一定の値が当該測定値よりも低い場合には、当該測定値は減少傾向にあると確認できることになる。前記一定の値としては、複数個の測定値の相加平均値が例示できるが、それに限定されない。なお、複数個の測定値の代わりに、一つの値を用いてもよい。
その膜破断検知システムについて、図10および図8に基づいて説明する。
図10は、逆洗直後に原水をろ過して得たろ過水中の濁度の異常値の測定例の模式図であり、図8は膜の逆洗直後に原水をろ過して得たろ過水中の濁度の測定例である。
この膜破断検知システムにおいては、前記膜破断検知システムにおける時間T0よりも所定時間長く調整した時間T01を設定し、その時間T01を経過した時に、濁度又は微粒子濃度の測定値が設定値D0を超えている場合には即座に警報を発することとする。なお、濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とする。
逆洗直後では、経験上、濁度又は微粒子濃度の測定値は、最大値を経過した後に次第に減少し、設定値D0よりも低い一定の値に落ち着き、安定することが予測できる。したがって、前記前記時間T0は、前記濁度又は微粒子濃度の測定値での最大値を経過する時間よりも長く、かつ前記一定の値に落ち着く時間よりも短めの時間となるように設定することが好ましく、前記時間T01は、時間T0よりも長い時間であって、かつ前記一定の値に落ち着く時間よりも長めの時間となるように設定することが好ましい。
上記方法は、警報を発生させない時間が10分から15分位になるような設定とすることができるので、他の方法と比較しても性能面では大きな優劣はない。
図7のグラフは、装置から濁度計、あるいは微粒子計へサンプル水を送る配管、あるいは濁度計や微粒子計内部が、何らかの微粒子発生源によって汚染されている場合の異常値の発生パターンである。微粒子発生源となっているのは、例えば配管内に侵入した微生物などである。これまでの研究の結果、微粒子の発生源の侵入は、特に装置にトラブルなどが生じて長時間、装置を停止させた場合や、メンテナンスのために膜のろ過水装置内に滞留した状態で、外気と接触した場合に発生しやすいことが分かっている。
この対策は、定期的な洗浄を行なうとなお良い。
これらの洗浄で使用する薬品は、クエン酸や硫酸のような酸、あるいは苛性ソーダなどのアルカリ、あるいはそして次亜塩素酸ナトリウムのような殺菌剤を用いる事ができる。
また、請求項5記載の膜破断検知システムと、請求項2〜4のいずれか1項記載の膜破断検知システムから選ばれる一つあるいは二つ以上の膜破断検知システムとを備えた膜破断検知システムも、水処理における満足できる膜破断検知システムである。また、この膜破断検知システムに、ろ過水が通過する配管及び濁度又は微粒子濃度を測定する装置内を自動的に薬品洗浄する手段を備えると、水処理におけるさらに満足できる膜破断検知システムとなる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明はこの実施の形態によって制限されるものではない。
図2に膜ろ過システムの構成図を示す。取水された原水は、原水タンク(2)に一旦貯められ、ろ過ポンプにより膜モジュール(1)に送られる。原水は、膜モジュールでろ過された後、(5)の経路を通り逆洗タンク(7)に一時貯められる。逆洗タンクをオーバーフローしたろ過水(11)は次の工程(塩素消毒など)に送られ、配水される。
逆洗時は、逆洗タンク(7)に貯められた水を、逆洗ポンプで膜の透過水側から原水側に流し、逆洗排水バルブを通り排出される。
ろ過水の一部(以下、サンプル水ということがある)は、膜モジュールから逆洗タンクへ送られる途中で抜き取られ、濁度や微粒子濃度を測定するための濁度計、又は微粒子計のサンプル水(12)になる。
サンプル水(12)は送水ポンプ(図示されていない)により濁度や微粒子濃度の計測部に導入され、濁度計や微粒子計(15)などにより濁度や微粒子濃度が測定された後、流量コントローラー(16)を経て、排水される。濁度計や微粒子計(15)などにより測定された濁度や微粒子濃度に関する信号(17)は、異常値処理プログラム(18)に送られる。異常値処理プログラムは、信号(17)および膜処理システム運転データ(20)が入力された制御装置(21)からのデータおよび図12のフローチャートに従って、警報機(19)を作動させるかどうかを決める。
なお、濃度D0として、微粒子数が300個/mLを予め設定し、時間T1として、5分間予め設定し、微粒子数が300個/mL以上の回数の微粒子数測定回数の割合を30%以上と予め設定しておく。
なお、微粒子数の測定値(例えば5分間の測定)を表にまとめ、微粒子数の測定値が300個/mL以上を示すときの合計の時間が測定時間である5分に対して30%以上なら、膜は破断されたと判断し、直ちに警報を発する。この場合も、ろ過水の微粒子濃度の測定はさらに継続する。
このようにして、図6に示される異常値の影響は回避されることになる。
本発明の異なる膜検知方法を示す。
実施の形態1と同様なシステムを用い、図13のフローに従い膜検知システムを運転した。すなわち、実施の形態1とほぼ同様に操作する。
ろ過水の基準値であるD0として、微粒子数が300個/mLを予め設定し、時間T0として、5分間予め設定し、時間T1と予め設定し、微粒子数が300個/mL以上の回数の微粒子数測定回数の割合を30%以上と予め設定しておく。
逆洗処理直後のサンンプル水の微粒子濃度を測定し、その測定値が300個/mLを超えないかぎり、膜は破断されたと判断せず、原水の膜ろ過処理を続ける。ろ過水の微粒子濃度を測定し、その測定値が300個/mL以上のときには、その測定したときの時間が予め設定された5分間以内であれば、とくに警報を出すことなく、そのまま原水の膜ろ過処理を続ける。
ろ過水の微粒子濃度の測定時間が予め設定された5分間を超えたときに、ろ過水の微粒子濃度の測定値が300個/mL以上の値を検出したときには、 さらにろ過水の微粒子濃度を5分間測定する。その間の測定回数と、その測定値が300個/mL以上のときの回数をカウントし、その割合が30%未満なら膜は破断されたと判断せず、原水の膜ろ過処理を続ける。また、警報を出すことを中止する。
その割合が30%以上なら、膜は破断されたと判断し、直ちに警報を発する。ろ過水の微粒子濃度の測定はさらに継続する。
このようにして、図6に示される異常値の影響は回避されることになる。
本発明の異なる膜検知方法を示す。
実施の形態1と同様なシステムを用い、図14のフローに従い膜検知システムを運転した。すなわち、実施の形態1とほぼ同様に操作する。
ろ過水の濁度又は微粒子濃度の基準値であるD0として、微粒子数が300個/mLを予め設定し、時間T0として、5分間予め設定し、時間T1として、5分間予め設定しておく。
原水を膜処理し、所定時間経過後に、逆洗処理する。逆洗処理直後のろ過水の微粒子濃度を測定し、その測定値が300個/mLを超えないかぎり、膜は破断されたと判断せず、原水の膜ろ過処理を続ける。ろ過水の微粒子濃度を測定し、その測定値が300個/mL以上のときには、その測定したときの時間が予め設定された5分間以内であれば、とくに警報を出すことなく、そのまま原水の膜ろ過処理を続ける。ろ過水の微粒子濃度を測定し、その測定値が300個/mL以上のときには、その測定したときの時間が予め設定された5分間を超えるときには、さらに、その測定値が減少傾向であるかどうか知ることになる。すなわち、その測定値の直前の5つの測定値を選び、それら5つの測定値の相加平均値よりも前記測定値の方が低い場合には、その測定値は減少傾向であると判断し、とくに警報を出すことなく、そのまま原水の膜ろ過処理を続ける。測定値の直前の5つの測定値を選び、それら5つの測定値の相加平均値よりも前記測定値の方が高い場合あるいは同等の場合には、その測定値は減少傾向であるとはいえず、即座に警報を出す。ずれにせよ、ろ過水の微粒子濃度の測定はさらに継続する。
本発明の異なるシステムを用いたときの膜検知方法を示す。
図3にこのシステムの部分構成図を示す。図3に基づき説明する。
サンプル水は加圧送水ポンプ(13)により加圧され、微細な気泡を溶解させる。加圧ポンプのON、OFFや出力の調整は、制御装置(21)によって行なう。そのサンプル水は濁度計又は微粒子計(15)にて濁度又は微粒子数を測定後、流量コントラーラー(16)を経て、排水される(23)。濁度計又は微粒子計(15)にて測定されたサンプル水の濁度又は微粒子数に関するデータは検出信号(17)として、異常値処理プログラム(18)に送られる。一方、膜処理システム運転データ(20)は制御装置(21)から、異常値処理プログラム(18)に送られる。異常値処理プログラムは、予め定められたフローチャートに従って警報機(19)を作動させるかどうかを決める。ろ過水の濁度又は微粒子数の異常値の影響は回避された。
本発明の異なるシステムを用いた膜検知方法を示す。
図4にこのシステムの部分構成図を示す。図4に基づき説明する。
サンプル水は加圧送水ポンプ(13)により加圧され、微細な気泡の溶解と除去をより確実に行なうため気泡溶解槽(14)を経由する。気泡溶解槽は、水の出口を2つに分け、溶けきらない気泡を、槽上部からサンプル水の一部ごと排水する(23)構造になっている。加圧ポンプのON、OFFや出力の調整は、制御装置(21)によって行なう。そのサンプル水は濁度計又は微粒子計(15)にて濁度又は微粒子数を測定後、流量コントラーラー(16)を経て、排水される(23)。濁度計又は微粒子計(15)にて測定されたサンプル水の濁度又は微粒子数に関するデータは検出信号(17)として、異常値処理プログラム(18)に送られる。一方、膜処理システム運転データ(20)は制御装置(21)から、 常値処理プログラム(18)に送られる。異常値処理プログラムは、予め定められたフローチャートに従って警報機(19)を作動させるかどうかを決める。ろ過水の濁度又は微粒子数の異常値の影響は回避された。
本発明の異なるシステム膜検知方法を示す。
図5にこのシステムの部分構成図を示す。図5に基づき説明する。
ろ過水は加圧送水ポンプ(13)により加圧され、微細な気泡の溶解と除去をより確実に行なうため気泡溶解槽(14)を経由する。気泡溶解槽は、水の出口を2つに分け、溶けきらない気泡を、槽上部からサンプル水の一部ごと排水する(23)構造になっている。加圧ポンプのON、OFFや出力の調整は、制御装置(21)によって行なう。
ここでは制御装置(21)と、薬品タンク(24)、薬注バルブ(25)と薬注ポンプ(26)で構成されている。制御装置(21)は、加圧送水ポンプ(13)を動かすと共に、薬注バルブ(25)を開け、薬注ポンプ(26)を動かし、薬液を測定系の配管に導入する制御を行なう。
測定系配管の洗浄を有効に行うため、薬液を注入するポイントは、なるべく透過水をサンプリングするポイントに近い箇所に設置する。
2.原水タンク
3.ろ過ポンプ
4.原水入口バルブ
5.ろ過水経路
6.ろ過水出口バルブ
7.逆洗タンク
8.逆洗ポンプ
9.逆洗バルブ
10.逆洗排水バルブ
11.オーバーフロー水
12.サンプル水
13.加圧送水ポンプ
14.気泡溶解・除去槽
15.濁度計又は微粒子計
16.流量コントローラー
17.検出信号
18.異常値処理プログラム
19.警報装置
20.膜処理システム運転データ
21.制御装置
22.絞り弁
23.排水
24.薬品タンク
25.薬注バルブ
26.薬注ポンプ
27.逆洗排液
Claims (8)
- ろ過水中の濁度又は微粒子濃度を測定する工程と、その測定値から膜の破断を検知する工程を少なくとも有する膜破断検知方法において、
該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出した時から、予め設定した時間T1の間に、該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認したときに、
警報を発することを特徴とする膜破断検知方法。 - 膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T0以降であることをさらに確認したときに、警報を発することを特徴とする請求項1記載の膜破断検知方法。
- ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する代わりに、
ろ過水中の濁度又は微粒子濃度の測定値が低下傾向を示していないことを確認することを特徴とする請求項2記載の膜破断検知方法。 - 膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T0を、該時間T0よりも所定時間長い時間T01に予め設定すること、
前記逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T01の間に、ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出したときには、警報を発すること、
および濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることを特徴とする請求項2または3記載の膜破断検知方法。 - ろ過水中の濁度又は微粒子濃度を測定する手段と、その測定値から膜の破断を検知する手段を少なくとも備える膜破断検知システムにおいて、
該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出した時から、予め設定した時間T1の間に、
該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する手段と、
警報を発する手段を少なくとも備えることを特徴とする膜破断検知システム。 - 膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T0以降を検知する手段をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の膜破断検知システム。
- ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が前記D0以上の値である回数あるいは該ろ過水中の濁度又は微粒子濃度がD0以上の値であることを検出した合計の時間のいずれか一方が、一定の割合以上を占めることを確認する手段の代わりに、
ろ過水中の濁度又は微粒子濃度の測定値が低下傾向を示していないことを確認する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の膜破断検知システム。 - 膜の逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T0を、該時間T0よりも所定時間長い時間T0に予め設定すること、
前記逆流洗浄処理開始から予め設定した時間T01の間に、ろ過水中の濁度又は微粒子濃度が予め設定した値D0以上の値を検出したときには、警報を発すること、
および濁度や微粒子濃度の測定開始時期を逆流洗浄処理開始時から前記時間T0までの間とすることを特徴とする請求項6または7記載の膜破断検知システム。
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