JP2007242837A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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平田  義和
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Abstract

【課題】モノマー溶液の有効利用を可能とし、陽極体の中心部にも固体電解質層が十分に形成される固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、金属粉末の焼結体を陽極体3として用いたコンデンサ素子1を有する固体電解コンデンサを製造する方法であって、酸化剤を付着させた陽極体3の端面をモノマー溶液液面75に接触させた状態を、又は酸化剤を付着させた陽極体3の端部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、陽極体3に導電性高分子層9を形成する。また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、陽極体3に金属部材5が突設されており、陽極体3に酸化剤を付着させた後、金属部材5の一部51をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、導電性高分子層9を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、弁作用金属の粉末の焼結体を用いたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサの製造方法に関しており、より詳細には、このようなコンデンサ素子に、化学重合を用いて導電性高分子層を形成する方法に関する。
一般的に広く使用されているチップ型の固体電解コンデンサは、陽極体、固体電解質層等から構成されるコンデンサ素子を外装樹脂で被覆した構造を有しており、タンタル、アルミニウム又はニオブ等の弁作用金属の粉末を成形・焼結して作製された多孔質の焼結体が、コンデンサ素子の陽極体として用いられている。陽極体は直方体のブロック状に形成されて、その一面から突出するように、弁作用金属製の陽極引出線が設けられる。焼結体の表面には、陽極酸化(化成)によって誘電体酸化被膜が形成され、誘電体酸化被膜上には、化学(酸化)重合又は電解重合によって、ポリピロール又はポリチオフェン等の導電性高分子層が固体電解質層として形成される。
従来の固体電解コンデンサの製造法では、誘電体酸化被膜が形成された陽極体に酸化剤を付着させた後、ピロールやチオフェン等のモノマー溶液に陽極体を浸漬することで、モノマー溶液を陽極体に導入して化学酸化重合を起こさせている。電解重合を用いて導電性高分子層が形成される場合においても、同様な化学重合が前工程として行われて、誘電体酸化被膜上に導電性高分子で構成されるプレコート層が形成される。このような化学重合工程が行われる際、これら陽極体はモノマー溶液に完全に浸漬される。ちなみに、陽極体をモノマー溶液に浸漬すると、モノマー溶液が陽極引出線を這い上がって液面から上昇する現象が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、陽極体をモノマー溶液に浸漬する過程において、毛細管現象によって、モノマー溶液が陽極体に形成された細孔を通って上昇する現象も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−185456号公報 特開2001−210568号公報 特開2000−210061号公報
陽極体をモノマー溶液に浸漬させると、陽極体に付着した酸化剤の一部が流れ出て、槽内のモノマー溶液中にて導電性高分子が生成される。化学重合工程が行われる度にモノマー溶液中の導電性高分子の量は増加して、モノマー溶液は次第に劣化する。モノマー溶液の劣化が顕著になると、誘電体酸化被膜上に形成される導電性高分子層の膜質の低下が生じることから、固体電解コンデンサの製造工程において、化学重合工程に使用するモノマー溶液の交換が定期的に行われている。従って、モノマー溶液の寿命を延ばしてその交換頻度を少なくすることで、モノマー溶液の有効利用と、固体電解コンデンサの製造コストの低下が図られることになる。
固体電解コンデンサの電気容量を増加させるために、近年、所謂HighCVパウダーと呼ばれる細かい粉末が、コンデンサ素子の陽極体(焼結体)を構成する弁金属粉末に使用されている。陽極体を構成する粉末が細かくなると、陽極体の細孔は、より微少に、より長く、より複雑になる。従来の固体電解コンデンサの製造法では、化学重合工程において陽極体全体をモノマー溶液に浸漬しているが、このようにして陽極体にモノマー溶液を導入すると、HighCVパウダーのような細かい粉末を焼結した陽極体の場合、モノマー溶液が陽極体中心部に流入し難いことから、陽極体中心部の重合反応が進まない一方で、陽極体外縁部付近の重合反応は急速に進行してしまう。この結果、陽極体中心部において導電性高分子層が満足に形成されない事態が生じてしまい、コンデンサ素子への陰極材料の含浸率、つまり固体電解コンデンサの容量の出現率が低下してしまう。
本発明は、上記の問題を解決するものであって、モノマー溶液の劣化を抑制して、そのの有効利用を可能とする固体電解コンデンサの製造方法を提供し、さらに、細かい弁金属粉末を焼結して作製された陽極体の中心部にも、導電性高分子層が十分に形成されるような固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサの製造方法において、酸化剤を付着させた前記陽極体の端面をモノマー溶液の液面に接触させた状態を、又は酸化剤を付着させた前記陽極体の端部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、前記陽極体に導電性高分子層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサの製造方法において、前記陽極体には金属部材が突設されており、前記陽極体に酸化剤を付着させた後、前記金属部材の一部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、前記陽極体に導電性高分子層を形成する工程を含むことを特徴とする。前記金属部材は、前記陽極体の中心を貫通するように前記陽極体に埋設された金属線であるのが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサは、金属線が突設された金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有しており、前記陽極体には、誘電体被膜及び導電性高分子層が形成されており、前記陽極体には、前記金属線の突出部分に対して反対側に金属部材が突設されており、前記金属部材には、誘電体被膜及び導電性高分子層が形成されていることを特徴とする。前記金属線は、前記陽極体の中心を貫通するように前記陽極体に埋設されており、前記金属部材は前記金属線の一部であるのが好ましい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、モノマー溶液の這い上がり現象と毛細管現象を利用することで、モノマー溶液に陽極体全体を浸漬することなく化学重合を行う。これによって、陽極体から槽内のモノマー溶液中への酸化剤の流出が抑制されることから、一旦槽に入れたモノマー溶液を長期に亘って使用可能となる。また、従来方法と比較して、陽極体へのモノマー溶液の供給速度が遅くなり、その結果として重合反応が緩やかに進行することから、より緻密な導電高分子層が陽極体に形成される。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、モノマー溶液の這い上がり現象と毛細管現象を利用して陽極体にモノマー溶液を導入しているので、従来方法と比較して、陽極体中心部にもモノマー溶液が行き渡り易くなっている。また、陽極引出線である金属線を陽極体中心を貫通するように陽極体に埋設して、その一端側をモノマー溶液に浸けることで、陽極体中心部を重点的に化学重合を行うことが可能となる。なお、HighCVパウダーで陽極体が構成されている場合に本発明を用いることで、固体電解コンデンサの含浸率及びESRが改善されることは、発明者によって実際に確認されている。
以下、本発明を図を用いて説明する。なお、以下の図において、同一又は類似の部分は同一の符号を用いて示される。図1は、本発明の第1の方法を用いて製造される固体電解コンデンサの断面図である。コンデンサ素子(1)は、タンタル、アルミニウム又はニオブ等の弁作用金属の粉末を成形・焼結して作製された多孔質の焼結体を用いた陽極体(3)を具えている。陽極体(3)は直方体のブロック状に形成されており、その一面から突出するように、陽極引出線(5)が陽極体(3)に植設されている。陽極引出線(5)には、タンタルワイヤ等の弁作用金属製の金属線が使用される。図1の円で囲まれた部分は、陽極体(3)の断面の一部の拡大図であって、多孔質である陽極体(3)の表面には、陽極酸化によって誘電体酸化被膜(7)が形成される。誘電体酸化被膜(7)上には、ポリピロール又はポリチオフェン等の導電性高分子で構成される固体電解質層(9)が形成される。固体電解質層(9)上には、カーボン層(11)及び銀ペースト層(13)からなる陰極引出層(15)が形成される。
陽極引出線(5)には、導電性金属製(例えば銅やステンレス製)の陽極端子部材(17)が接続される。また、陰極引出層(15)には、同じく導電性金属製の陰極端子部材(19)が接続される。外装樹脂(21)は、コンデンサ素子(1)を覆うように直方体状にモールド成形されており、陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)は、相反する向きに延びて、外装樹脂(21)の外部に引き出されている。陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)は、外装樹脂(21)の外面に沿って屈曲されており、陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)の先端部は、外装樹脂(21)の下面に配置されて、陽極端子及び陰極端子として夫々機能する。外装樹脂(21)には、例えばエポキシ樹脂が用いられる。
次に、本発明の第1の方法である固体電解コンデンサの製造方法について説明する。まず、陽極引出線(5)が植設された複数の陽極体(3)が準備される。図2に示すように、これら陽極体(3)は、陽極引出線(5)の先端部をキャリアバー(71)に接合することで、水平に配置されたキャリアバー(71)の下側に一列に配置される。キャリアバー(71)は、アルミニウム等の導電性金属製の棒材であって、陽極引出線(5)の先端部は、例えばキャリアバー(71)に抵抗溶接される。なお、これら陽極体(3)の下面は、同一平面上に配置されるのが好ましい。
次に、キャリアバー(71)に装着された陽極体(3)に陽極酸化が施されて、陽極体(3)(と陽極引出線(5)の一部)の表面に、誘電体酸化被膜(7)が形成される。陽極酸化工程は、例えば、リン酸水溶液中に陽極体(3)全体を浸漬して、槽の底に配置された電極とキャリアバー(71)の間に所定の電圧を印加して行われる。
第1の方法では、電解重合を用いて固体電解質層(9)を完成させる。故に、陽極酸化工程の後に、導電性高分子で構成されたプレコート層を誘電体酸化被膜(7)上に形成する化学重合が行われる。まず、キャリアバー(71)に装着された陽極体(3)を酸化剤溶液に浸漬し、その後、陽極体(3)を室温で乾燥させることで、陽極体(3)に酸化剤が付着される。
次に、図3に示すように、キャリアバー(71)に装着された陽極体(3)の下面を、槽(73)に溜められたモノマー溶液の液面(75)に接触させて、その状態を所定の時間維持する工程が行われる。陽極体(3)の下面を、モノマー溶液の液面(75)に接触させると、モノマー溶液は、毛細管現象によって細孔を通って陽極体(3)内を上昇する。モノマー溶液は、図3における左右方向についてほぼ均一に陽極体(3)内を上昇し、陽極体(3)の上面に至る。このようにモノマー溶液が陽極体(3)に導入されることによって、陽極体(3)において緩やかに化学重合が行われて、緻密な導電性高分子層(プレコート層)が誘電体酸化被膜(7)上にほぼ一様に形成される。
モノマー溶液の液面(75)に陽極体(3)の下面を接触させる場合には、陽極体(3)の下端部を(陽極体(3)の下面を含む僅かの部分を)モノマー溶液に浸けた後に、陽極体(3)の下面の下で液面(75)が隆起するように(図3参照)、キャリアバー(71)を僅かに上昇させることが好ましい。これによって、モノマー溶液の液面(75)に陽極体(3)の下面が接触した状態が得られる。なお、陽極体(3)の下端部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、モノマー溶液を陽極体(3)に導入してもよい。
陽極体(3)の下面をモノマー溶液の液面(75)に接触させた状態は、モノマー溶液が陽極体(3)の上面を超えて陽極引出線(5)を若干這い上がるまて維持されるのが好ましい。接触状態が所定の時間維持された後、キャリアバー(71)を上昇させることによって、陽極体(3)の下面は、モノマー溶液の液面(75)から離される。このようにして化学重合がなされた後、陽極体(3)は水で洗浄されて、余分な酸化剤とモノマーとが陽極体(3)から除去される。なお、酸化剤の付着から陽極体(3)の洗浄に至る工程を複数回繰り返して行うことで、プレコート層が段階的に作製されるのが好ましい。
陽極体(3)にプレコート層が形成された後に電解重合が行われて、プレコート層上にさらに導電性高分子層が形成される。これによって、固体電解質層(9)が最終的に完成する。電解重合工程は、ピロール等のモノマーを含有する電解重合液中に陽極体(3)を完全に浸漬した状態で、陽極となる電極体をプレコート層に接触させて、電解重合液が入った槽の底面に配置された陰極板との間に電圧を印加することで行われる。
電解重合が行われて固体電解質層(9)が完成した後、洗浄及び乾燥、さらに、陰極引出層(15)(カーボン層(11)及び銀ペースト層(13))の形成が行われて、コンデンサ素子(1)が完成する。完成したコンデンサ素子(1)は、陽極引出線(5)を切断することで、キャリアバー(71)から分離される。その後、帯状の陽極端子部材(17)が、陽極引出線(5)に抵抗溶接され、同じく帯状の陰極端子部材(19)が、例えば導電性接着剤を用いて陰極引出層(15)に接合される。そして、コンデンサ素子(1)を被覆するように直方体状の外装樹脂(21)がモールド成形される。外装樹脂(21)が作製された後、陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)が屈曲されて、図1に示す固体電解コンデンサが完成する。
図4は、本発明の第2の方法を用いて製造される固体電解コンデンサの断面図である。この固体電解コンデンサの特徴は、陽極引出線(5)が陽極体(3)を貫通していることであって、陽極端子部材(17)側に加えて陰極端子部材(19)側でも、陽極引出線(5)の一部が、陽極体(3)の一面から突出している。図4の上方の円内は、突出部分(51)の端部付近の拡大図を示している。陰極端子部材(19)側の突出部分(51)の表面には、誘電体酸化被膜(7)、固体電解質層(9)及び陰極引出層(15)が形成されている。その他の事項に関しては、図1に示した固体電解コンデンサと同様である。
次に、本発明の第2の方法である固体電解コンデンサの製造方法について説明する。まず、図5に示すように陽極引出線(5)が埋設された複数の陽極体(3)が準備される。陽極引出線(5)は、直方体状の陽極体(3)の中央を長手方向に沿って貫通しており、一方の突出部分(51)は、他方の突出部分(53)と比較してかなり短くされている(なお、他方の突出部分(53)は、図4に示す状態よりも長くされる)。これら陽極体(3)は、他方の突出部分(53)をキャリアバー(71)に接合することで、図2と同様にして、水平に配置されたキャリアバー(71)の下側に配置される。キャリアバー(71)の下側に配置される複数の陽極体(3)について、一方の突出部分(51)の下端面は、同一平面上に配置されるのが好ましい。
キャリアバー(71)に装着された陽極体(3)に対して、第1の方法と同様に陽極酸化が行われて、陽極体(3)(と陽極引出線(5)の一部)の表面に、誘電体酸化被膜(7)が形成される。その後、プレコート層を誘電体酸化被膜(7)上に形成するための化学重合が行われる。まず、第1の方法と同様にして、陽極体(3)への酸化剤の付着が行われる。
次に、図6に示すように、陽極体(3)から突出した陽極引出線(5)の突出部分(51)の先端部を、槽(73)内のモノマー溶液に浸けて、その状態を所定の時間維持する工程が行われる。モノマー溶液は、突出部分(51)を這い上がって陽極体(3)に導入される。陽極引出線(5)が陽極体(3)を貫通していることから、陽極体(3)内において陽極引出線(5)の周辺には、陽極引出線(5)の外面に沿った(つまり、弁作用金属粒子の外面と陽極引出線(5)の外面とで規定される)多数の細孔が存在している。モノマー溶液は、毛細管現象によって陽極引出線(5)に沿って進み易くなっており、陽極体(3)の中心部から陽極体(3)の外側へと行き渡る。このようにモノマー溶液が陽極体(3)に導入されることによって、陽極体(3)の中心部を重点的に化学重合が行われて、緻密な導電性高分子層が誘電体酸化被膜(7)上に形成される。
図6の円内は、陽極引出線(5)の突出部分(51)付近の拡大図を示している。この拡大図に示すように、モノマー溶液の液面(75)に対する陽極体(3)の位置は、突出部分(51)を這い上がるモノマー溶液が上方に向かって先細りになるように調整されるのが好ましい。陽極引出線(5)の突出部分(51)の一部をモノマー溶液中に浸けた状態は、モノマー溶液が陽極体(3)の上面を超えて陽極引出線(5)を若干這い上がるまて維持されるのが好ましく、その後、キャリアバー(71)を上昇させて、突出部分(51)の一部をモノマー溶液から引き出す工程が行われる。このようにして化学重合がなされた後、第1の方法と同様に、陽極体(3)が水で洗浄されて、余分な酸化剤とモノマーとが除去される。なお、酸化剤の付着から陽極体(3)の洗浄に至る工程を複数回繰り返すことで、プレコート層を段階的に作製するのが好ましい。
上記の工程を繰り返してプレコート層を形成した後、第1の方法と同様に電解重合を行って、固体電解質層(9)を最終的に完成させる。図6に示すように化学重合工程を繰り返すことで、陽極体(3)の中心部を重点的に導電性高分子層を形成し、その後に電解重合を行って、その他の部分を重点的に導電性高分子層を形成することで、最終的に固体電解質層(9)が陽極体(3)にほぼ一様に形成される。固体電解質層(9)が完成した後、陰極引出層(15)の形成、陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)の接合、外装樹脂(21)の形成、陽極端子部材(17)及び陰極端子部材(19)の屈曲が行われて、図4に示す固体電解コンデンサが完成する。なお、陽極引出線(5)の突出部分(51)を必要以上に長くすることは、突出部分(51)が陰極端子部材(19)と干渉することがないように、その一部を除去する工程が必要となるから好ましくない。
上述した第2の方法では、陽極引出線(5)の突出部分(51)がモノマー溶液に浸けられていたが、図7Aに示すように、モノマー溶液導入用の1又は複数の金属部材(55)(弁作用金属製の短い金属線、例えば、短いタンタルワイヤ)を、陽極体(3)の一面に、陽極引出線(5)と別個に植設してよい。また、図7Bに示すように、図6に示す陽極体(3)の一面から突出するように、1又は複数の金属部材(55)を陽極体(3)に設けてもよい。また、本発明の第1及び第2の方法では、電解重合を行って固体電解質層(9)を完成しているが、従来の方法のような化学重合を行うことにより、電解重合を行うことなく固体電解質層(9)を完成させてもよい。
以下、本発明の第1及び第2の方法を用いて実際に固体電解コンデンサを作製して、従来方法を用いて作製した固体電解コンデンサと比較した結果について説明する。
[実施例1] 実施例1の固体電解コンデンサは、図1に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、本発明の第1の方法を用いて作製された。陽極体は、CV値が12万μF・V/gであるタンタル粉末を、焼結密度6.0g/ccで、高さ1.5mm、幅2.5mm、長さ3.6mmの直方体に成形及び焼結して作製した。陽極引出線にはタンタルワイヤが使用された。陽極酸化は、リン酸水溶液中にて陽極体に10Vの電圧を印加して行われた。酸化剤にはp−トルエンスルホン酸鉄(III)を使用し、20wt%p−トルエンスルホン酸鉄(III)エタノール溶液に浸漬した後、陽極体を室温で10分間乾燥した。そして、陽極体の下面を、モノマー溶液の液面、具体的には、ピロールを30wt%の割合で含むエタノール溶液の液面に接触させて、その状態を40分間維持することで、陽極体の誘電体酸化被膜上にポリピロール層を形成し、その後、陽極体の洗浄及び乾燥を行った。酸化剤の付着から陽極体の乾燥に至る工程は2度繰り返されて、陽極体にプレコート層が作製された。さらに、ピロールを含有する電解重合液(ピロール(0.3mol/l)とp−トルエンスルホン酸ナトリウム(0.1mol/l)とを含む水溶液)中に陽極体を浸漬し、外部電極を用いて給電して電解重合を行うことにより、ポリピロールで構成された固体電解質層を完成させた。そして、上述したように、図1に示すコンデンサ素子、さらには固体電解コンデンサを完成させた。
[実施例2] 実施例2の固体電解コンデンサは、図1に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、本発明の第1の方法を用いて作製された。但し、電解重合ではなく、従来の方法のような化学重合を行って最終的に固体電解質層を完成させた。酸化剤にはp−トルエンスルホン酸鉄(III)を使用し、20wt%p−トルエンスルホン酸鉄(III)エタノール溶液に浸漬した後、陽極体を室温で10分間乾燥した。本発明の特徴とする化学重合工程は、エチレンジオキシチオフェンを10wt%の割合で含むブタノール溶液の液面に陽極体の下面を接触させて、その状態を30分間維持することで行われた。酸化剤の付着から陽極体の乾燥に至る工程を4度繰り返した。そして、このモノマー溶液に陽極体を完全に浸漬した従来の化学重合工程を繰り返し行って、ポリチオフェンで構成された固体電解質層を完成させた。その他の事項については、実施例1と同様である。
[実施例3] 実施例3の固体電解コンデンサは、図4に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、本発明の第2の方法を用いて作製された。陽極体には、陽極引出線であるタンタルワイヤが陽極体の中心を貫通するように埋設された。モノマー溶液と接触する突出部分の長さは、1.5mmとされた。本発明の特徴とする化学重合工程では、突出部分の先端部1mm程度を、実施例1と同じモノマー溶液中に浸けて、その状態が40分間維持された。その他の事項については、実施例1と同様である。
[実施例4] 実施例4の固体電解コンデンサは、CV値が5万μF・V/gであるタンタル粉末を用いて陽極体を作製した以外は(焼結密度及び寸法は、実施例1と同じ)、実施例1の固体電解コンデンサと同様に作製された。
[比較例1] 比較例1の固体電解コンデンサは、図1に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、従来の方法を用いて作製された。化学重合工程では、実施例1と同じモノマー溶液に陽極体を完全に浸漬して、その後陽極体を引き上げた。その他の事項については、実施例1と同様である。
[比較例2] 比較例2の固体電解コンデンサは、図1に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、従来の方法を用いて作製された。化学重合工程では、実施例2と同じモノマー溶液に陽極体を完全に浸漬して、その後陽極体を引き上げた。その他の事項については、実施例2と同様である。
[比較例3] 比較例3の固体電解コンデンサは、図1に示した固体電解コンデンサと同じ構造を有しており、従来の方法を用いて作製された。化学重合工程では、実施例1と同じモノマー溶液に陽極体を完全に浸漬して、その後陽極体を引き上げた。その他の事項については、実施例4と同様である。
これら実施例及び比較例の各々について、100個の固体電解コンデンサが作製されて、含浸率及びESRが測定された。なお、含浸率とは、誘電体酸化被膜が形成された後の陽極体を電解液(硫酸水溶液)に含浸した場合における容量と、完成されたコンデンサ素子の容量との比である。また、ESRの測定周波数は100kHzである。含浸率及びESRの平均値を表1に示す。
Figure 2007242837
実施例1と比較例1を参照すると、本発明の第1の方法を用いることで、含浸率が向上し、ESRが低下することが理解される(含浸率は70%から82%に向上し、ESRは30mΩから23mΩに低下した)。ESRの低下は、実施例1の固体電解コンデンサが具える固体電解質層の総面積が比較例1の固体電解コンデンサのものよりも大きいことに起因していると考えられる。また、実施例2と比較例2を参照すると、本発明の第1の方法を用いることで、含浸率が向上し、ESRが低下することが同様に理解される(含浸率は74%から85%に向上し、ESRは35mΩから28mΩに低下した)。これらの結果から、形成される固体電解質層の種別に関係なく、さらに、最終的に固体電解質層を完成させる手法の違いに拘わらず、つまり電解重合法と化学重合法の両方において、本発明が有効であることも理解される。さらに、実施例3と比較例1を参照すると、本発明の第2の方法を用いることで、含浸率が向上し、ESRが低下することが理解される(含浸率は70%から79%に向上し、ESRは30mΩから21mΩに低下した)。
実施例4と比較例3とを参照すると、含浸率及びESRの値はほとんど同じである。故に、CV値が比較的小さいような(粒径が比較的大きい)金属粉末で作製された陽極体を使用する場合、本発明を用いても、含浸率及びESRの向上があまり期待できないと考えられる。しかしながら、このような陽極体を使用する場合であっても、本発明を用いることで、化学重合に用いるモノマー溶液の劣化を抑制する効果は得られることに留意すべきである。
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を減縮する様に解すべきではない。また、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
本発明の第1の方法を用いて製造される固体電解コンデンサの断面図である。 キャリアバーに陽極体が装着された模様を示す側面図である。 モノマー溶液の液面に陽極体の下面を接触させた状態を側方から見た側面図である。モノマー溶液と槽は、破断して示されている。 本発明の第2の方法を用いて製造される固体電解コンデンサの断面図である。 本発明の第2の方法で使用される陽極体の斜視図である。 陽極引出線の突出部分の一部をモノマー溶液に浸けた状態を側方から見た側面図である。モノマー溶液と槽は、破断して示されている。 図7Aは、陽極引出線を埋設した従来の陽極体に、モノマー溶液導入用の金属部材を追加した状態の断面図であり、図7Bは、図5に示す陽極体にモノマー溶液導入用の金属部材を追加した状態の断面図である。
符号の説明
(1) コンデンサ素子
(3) 陽極体
(5) 陽極引出線
(7) 誘電体酸化被膜
(9) 固体電解質層
(51) 陽極引出線の突出部分
(53) 金属部材
(71) キャリアバー
(73) 槽
(75) モノマー溶液の液面

Claims (6)

  1. 金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサの製造方法において、
    酸化剤を付着させた前記陽極体の端面をモノマー溶液の液面に接触させた状態を、又は酸化剤を付着させた前記陽極体の端部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、前記陽極体に導電性高分子層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記陽極体には金属部材が突設されており、
    前記陽極体に酸化剤を付着させた後、前記金属部材の一部をモノマー溶液に浸けた状態を維持することによって、前記陽極体に導電性高分子層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記金属部材は、前記陽極体の中心を貫通するように前記陽極体に埋設された金属線である、請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記工程を複数回繰り返す、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 金属線が突設された金属粉末の焼結体を陽極体として用いたコンデンサ素子を有しており、前記陽極体には、誘電体被膜及び導電性高分子層が形成されている固体電解コンデンサにおいて、
    前記陽極体には、前記金属線の突出部分に対して反対側に金属部材が突設されており、前記金属部材には、誘電体被膜及び導電性高分子層が形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  6. 前記金属線は、前記陽極体の中心を貫通するように前記陽極体に埋設されており、前記金属部材は、前記金属線の一部である請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
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