JP2007242445A - マイクロヒータ及びそれを用いたフローセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的特性の信頼性や耐久性が高く、簡易な製造工程で得ることができるマイクロヒータ及びそれを用いたフローセンサを提供すること。
【解決手段】マイクロヒータ1は、一対の主面11a,11bを有するガラス基板11と、このガラス基板11の一対の主面11a,11bで露出するように埋め込まれた断面略U字形状のシリコン部材12とから主に構成されている。シリコン部材12は、一対の柱部12aと、この一対の柱部12aを連接する薄肉部12bとを有する。柱部12aの端部12cがガラス基板11の主面11aで露出し、薄肉部12bがガラス基板11の主面11bで露出している。このような構成を有するマイクロヒータ1においては、柱部12aの端部12cが端子を構成し、薄肉部12bが発熱体を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロヒータ1は、一対の主面11a,11bを有するガラス基板11と、このガラス基板11の一対の主面11a,11bで露出するように埋め込まれた断面略U字形状のシリコン部材12とから主に構成されている。シリコン部材12は、一対の柱部12aと、この一対の柱部12aを連接する薄肉部12bとを有する。柱部12aの端部12cがガラス基板11の主面11aで露出し、薄肉部12bがガラス基板11の主面11bで露出している。このような構成を有するマイクロヒータ1においては、柱部12aの端部12cが端子を構成し、薄肉部12bが発熱体を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、マイクロヒータ及びそれを用いた流量計に関する。
近年、マイクロセンサの開発が進められてきており、種々のマイクロセンサが普及してきている。例えば、気体の質量流量を検出する熱線式と称されるフローセンサは、ヒータにより気体を加熱し、気体中の温度差を測定して質量流量を検出する方式を採用している。このため、フローセンサには、マイクロヒータが必要となる。
このようなマイクロヒータとしては、例えば特許文献1に開示されているものがある。このマイクロヒータは、微細基板上に括れ部を有する酸化物高温超電導セラミックス製ヒータを形成し、このヒータの端部にそれぞれ外部電源接続用パッドを形成してなるものである。また、特許文献2には、シリコン基板上に絶縁膜を介してグリッド状の発熱体を形成し、その上に保護膜を形成してなる発熱素子が開示されている。特許文献3には、マイクロヒータをフローセンサに応用した例が開示されている。
特開平8−69859号公報
特開2005−149751号公報
特開2005−55317号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたマイクロヒータは、酸化物高温超電導セラミックス製ヒータに外部電源接続用パッドを形成しているので、すなわち発熱体と配線部とを接続しているので、接続部において凹凸に起因する断線などの問題が生じ、接続部における信頼性や耐久性が低い。また、特許文献2に開示されたマイクロヒータは、ヒータ部を絶縁膜で保護することにより電気絶縁性、耐久性の向上を図ったものであるが、成膜工程やパターニング工程が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電気的特性の信頼性や耐久性が高く、しかも簡易な製造工程で得ることができるマイクロヒータ及びそれを用いたフローセンサを提供することを目的とする。
本発明のマイクロヒータは、一対の主面を有するガラス基板と、前記ガラス基板の両主面で露出するように埋め込まれた第1シリコン部材と、を具備し、前記第1シリコン部材は、前記ガラス基板を厚み方向に切断した面において略U字形状の断面となる、一対の柱部と、前記一対の柱部を連接する薄肉部とを有し、前記柱部の端部が前記ガラス基板の一方の主面で露出し、前記薄肉部が前記ガラス基板の他方の主面で露出しており、前記柱部の端部が端子を構成し、前記薄肉部が抵抗体を構成することを特徴とする。
この構成によれば、発熱体として機能する薄肉部がガラス基板の面と略同一面となるように露出しているので、平滑な発熱体を実現することができる。これにより、被加熱体に薄肉部(発熱体)を密着させることができ、加熱効率が向上する。また、端子として機能する柱部の端部も、薄肉部と同様にガラス基板面と面一に露出している。端部上に電極を形成する場合において、端部が平滑であるので、端部と電極との間の密着性が向上する。また、シリコン部材がガラス基板に埋め込まれているので、シリコン部材の絶縁性が良好である。また、柱部と薄肉部とがシリコン部材で一体に構成されているので、すなわち発熱体と端子とが一体に構成されているので、発熱体と素子との間に接続部分がなく、電気抵抗を小さくすることが可能であり、電気的な信頼性や耐久性を向上させることができる。
本発明のマイクロヒータにおいては、前記ガラス基板の他方の主面で露出した前記薄肉部上に保護膜が形成されていることが好ましい。この構成によれば、薄肉部の耐久性を向上させることができる。
本発明のマイクロヒータにおいては、前記第1シリコン部材を構成するシリコンは、抵抗値調整用のドーパントを含むことが好ましい。この構成によれば、シリコン部材の抵抗値を、薄肉部がヒータとして適当な発熱量を持ち、かつ、柱部での熱抵抗が小さくなる、適当な値に設定することができる。すなわち、シリコン部材における熱伝導性が上がり、熱効率が向上する。
本発明のフローセンサは、上記マイクロヒータと、前記ガラス基板の両主面で露出するように前記ガラス基板に埋め込まれた少なくとも2つの第2シリコン部材と、前記ガラス基板の他方の主面で露出した第2シリコン部材上に個別に搭載された温度センサと、を具備することを特徴とする。
本発明のマイクロヒータの製造方法は、シリコン基板に、一対の柱部及び前記一対の柱部を連接する薄肉部を形成する工程と、加熱下において前記柱部及び前記薄肉部をガラス基板に埋め込んで前記シリコン基板と前記ガラス基板とを接合する工程と、前記ガラス基板及び前記シリコン基板を研磨して、前記柱部の端部を前記ガラス基板の一方の主面で露出させ、前記薄肉部を前記ガラス基板の他方の主面で露出させる工程と、を具備することを特徴とする。
この方法によれば、成膜工程やパターニング工程が不要となり、比較的に簡易な工程でマイクロヒータを製造することができる。
本発明によれば、一対の主面を有するガラス基板と、前記ガラス基板の一対の主面で露出するように埋め込まれた断面略U字形状の第1シリコン部材と、を具備し、前記第1シリコン部材は、一対の柱部と、前記一対の柱部を連接する薄肉部と、を有し、前記柱部の端部が前記ガラス基板の一方の主面で露出し、前記薄肉部が前記ガラス基板の他方の主面で露出しており、前記柱部の端部が端子を構成し、前記薄肉部が抵抗体を構成するので、電気的特性の信頼性や耐久性が高く、しかも簡易な製造工程で得ることができるマイクロヒータ及びそれを用いたフローセンサを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロヒータを示す図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線に沿う断面図である。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロヒータを示す図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線に沿う断面図である。
図1(a),(b)に示すマイクロヒータ1は、一対の主面11a,11bを有するガラス基板11と、このガラス基板11の一対の主面11a,11bで露出するように埋め込まれた断面略U字形状のシリコン部材12とから主に構成されている。シリコン部材12は、一対の柱部12aと、この一対の柱部12aを連接する薄肉部12bとを有する。そして、柱部12aの端部12cがガラス基板11の主面11aで露出し、薄肉部12bがガラス基板11の主面11bで露出している。このような構成を有するマイクロヒータ1においては、柱部12aの端部12cが端子を構成し、薄肉部12bが抵抗体(発熱体)を構成する。
ガラス基板11に埋め込まれたシリコン部材12の薄肉部12bの幅Dは、発熱効果を考慮して、約50μmから約100μmであることが好ましい。また、シリコン部材12の長さL1は、約1mm程度であることが好ましい。また、マイクロヒータ1の厚さtは、約100μmから約500μmであることが好ましい。
このような構成のマイクロヒータ1は、発熱体として機能する薄肉部12bがガラス基板11の主面11bで露出しているので、平滑な発熱体を実現することができる。これにより、被加熱体に薄肉部12b(発熱体)を密着させることができ、加熱効率が向上する。また、薄肉部12b上に保護膜を形成する場合においても、薄肉部12bが平滑であるので、薄肉部12bと保護膜との間の密着性が向上する。また、端子として機能する柱部12aの端部12cがガラス基板11の主面11aで露出しているので、端部12c上に電極を形成する場合において、端部12cが平滑であるので、端部12cと電極との間の密着性が向上する。また、シリコン部材12がガラス基板11に埋め込まれているので、シリコン部材12の絶縁性が良好である。また、本実施の形態においては、シリコン部材12はバルク状であるので、通常用いられる薄膜ヒータに比較して強度の点で優れる。さらに、柱部12aと薄肉部12bとがシリコン部材で一体に構成されているので、すなわち発熱体と端子とが一体に構成されているので、発熱体と素子との間に接続部分がなく、電気抵抗を小さくすることが可能であり、電気的な信頼性や耐久性を向上させることができる。
シリコン部材12を構成するシリコンはドーパントを含むことが好ましい。これにより、シリコン部材12における熱伝導性が上がり、熱効率が向上する。ドーパントとしては、ホウ素、インジウム、ガリウムなどのアクセプタや、リン、アンチモン、ヒ素のようなドナーなどが挙げられる。ドーパントのドープ量については、熱伝導性を考慮して適宜設定する。
図2は、本発明の実施の形態に係るマイクロヒータのアレイを示す図であり、図2(a)は平面図であり、図2(b)は図2(a)のIIb−IIb線に沿う断面図であり、図2(c)は側面図である。
図2(a)〜(c)に示すマイクロヒータのアレイ2は、ガラス基板11に、図1(a),(b)に示すシリコン部材12を複数埋め込んで構成されている。シリコン部材12の構造については、上記と同じである。そして、図2(c)に示すように、ガラス基板11の主面11bで露出した薄肉部12b上に保護膜13が形成されている。
保護膜13の材料としては、SiON、SiO2、Si3N4などを挙げることができる。また、保護膜13の厚さは、薄肉部の耐久性と被加熱物への熱伝達のバランスなどを考慮して、約2μm以下であることが好ましい。このように、発熱体として機能する薄肉部12b上に保護膜13を形成することにより、薄肉部12bの耐久性を向上させることができる。
ガラス基板11に埋め込まれたシリコン部材12の薄肉部12bの幅Dは、発熱効果を考慮して、約50μmから約100μmであることが好ましい。特に、薄肉部12bのライン&スペースが約30μmであることが好ましい。また、シリコン部材12の長さL1は、約1mm程度であることが好ましい。また、アレイの長さL2は、例えば、約40mm〜約60mmであることが好ましい。また、マイクロヒータ1の厚さtは、約100μmから約500μmであることが好ましい。
上述したマイクロヒータ1やアレイ2は、シリコン基板に、ドライエッチングなどにより一対の柱部及び一対の柱部を連接する薄肉部を形成し、加熱下において前記柱部及び薄肉部をガラス基板に埋め込んでシリコン基板とガラス基板とを接合し、ガラス基板を研磨して柱部の端部をガラス基板の一方の主面で露出させ、薄肉部の厚さまでシリコン基板を研磨して、薄肉部をガラス基板の他方の主面で露出させることにより製造することができる。このような工程によれば、成膜工程やパターニング工程が不要となり、比較的に簡易な工程でマイクロヒータを製造することができる。
この場合において、研磨したシリコン基板側の表面を所望の抵抗体形状や所望の電極形状にエッチングしても良い。その後、エッチングにより凹部が形成された部分に絶縁性材料(例えばSiO2など)を埋め込み、その部分を研磨して平坦化しても良い。あるいは、エッチングにより凹部が形成された部分に絶縁性材料(例えばSiO2など)をスパッタリングなどにより被着しても良い。このように絶縁性材料を抵抗体や電極上に形成することにより、この絶縁層を保護膜として利用することができる。
次に、上記マイクロヒータを用いたフローセンサについて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るフローセンサを示す図であり、図3(a)は側面図であり、図3(b)は平面図である。
図中21はガラス基板を示す。ガラス基板21は、対向する一対の主面21a,21bを有する。ガラス基板21には、シリコン部材22a,22b,22cが埋め込まれている。これらのシリコン部材22a,22b,22cは、それぞれガラス基板21の両主面21a,21bで露出している。シリコン部材22aは、マイクロヒータ用のシリコン部材であり、シリコン部材22b,22cは、温度センサの外部引き出し用のシリコン部材である。
マイクロヒータ用のシリコン部材22aは、上述したマイクロヒータ1と同様の構造を有しており、一対の柱部22a−1と、この一対の柱部22a−1を連接する薄肉部22a−2とを有する。そして、柱部22a−1の端部がガラス基板21の主面21aで露出し、薄肉部22a−2がガラス基板21の主面21bで露出している。このようなマイクロヒータにおいては、柱部22a−1の端部が端子を構成し、薄肉部22a−2が抵抗体(発熱体)を構成する。
ガラス基板21の主面21a上には、シリコン部材22aの露出部分(端子)と電気的に接続するように引き出し電極23aが形成されており、シリコン部材22bの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極23bが形成されており、シリコン部材22cの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極23cが形成されている。このように引き出し電極23a,23b,23cがそれぞれ主面21a上に設けられていることにより、外部への取り出し電極を一つの面上に形成できるので、表面実装に適したデバイスとすることができる。
ガラス基板21の主面21b上には、シリコン部材22bの露出部分と電気的に接続するように温度センサ24aが形成されており、シリコン部材22cの露出部分と電気的に接続するように温度センサ24bが形成されている。温度センサ24a,24bは抵抗体を形成することにより構成することができるが、これに限定されない。
このような構成のガラス基板21の主面21b側には、所定の間隔をおいてガラス基板25が配置される。この所定の間隔が流路26を構成して、図中の矢印方向に流体が流れる。
ガラス基板21とシリコン部材22a,22b,22cとの間の界面は、高い密着性を有することが好ましい。後述するように、これらの界面は、加熱下においてシリコン部材22a,22b,22cをガラス基板21に押し込むことにより形成される。このような方法により得られた界面でも高い密着性を発揮できるが、シリコン部材22a,22b,22cをガラス基板21に押し込んだ後に、陽極接合処理を施すことにより、密着性をより高くすることができる。その結果、流路26内の気密性を高く保つことが可能となる。
ここで、陽極接合処理とは、所定の温度(例えば400℃以下)で所定の電圧(例えば300V〜1kV)を印加することにより、シリコンとガラスとの間に大きな静電引力が発生して、界面で共有結合を起こさせる処理をいう。この界面での共有結合は、シリコンのSi原子とガラスに含まれるSi原子との間のSi−Si結合又はSi−O結合である。したがって、このSi−Si結合又はSi−O結合により、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮する。このような陽極接合を効率良く行うために、ガラス基板11のガラス材料としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラス材料(例えばパイレックス(登録商標)ガラス)であることが好ましい。
このような構成を有するフローセンサにおいては、マイクロヒータで加熱された流体が流路26内を通過して温度センサ24aで計測されて温度T1が得られる。そして、温度センサ24bで計測されて温度T2が得られる。これらの温度情報は、引き出し電極23b,23cから外部の制御回路(図示せず)に出力され、制御回路において、温度差ΔT(T2−T1)が算出される。流体がマイクロヒータから得る熱量QはQ=α×S×ΔT(S:流路26内の面積(流体の面積)、α:熱伝達率)で求められる。αをレイノズル数Reの関数で表すと、α=0.023×(Re)0.8×(Pr)0.4×λ/D(Re:レイノズル数、Pr:プラントル数、λ:熱伝導率)となる。以上のことから、ΔTとλが一定であれば、熱量Qはαに比例する。αはReの関数であることから、熱量Qは流速に比例することになる。したがって、この流体に伝熱される熱量Qを測定することによって流体の流量を計測することができる。
このフローセンサにおいては、マイクロヒータにシリコン部材を用いているので、マイクロヒータの腐食を抑制することができる。このため、フローセンサの耐久性を向上させることができる。また、シリコン部材22aがガラス基板21に埋め込まれているので、シリコン部材22の絶縁性が良好である。また、柱部22a−1と薄肉部22a−2とがシリコン部材で一体に構成されているので、すなわち発熱体と端子とが一体に構成されているので、発熱体と素子との間に接続部分がなく、電気抵抗を小さくすることが可能であり、電気的な信頼性や耐久性を向上させることができる。
次に、本実施の形態のフローセンサの製造方法について説明する。図4(a)〜(h)は、本発明の実施の形態に係るフローセンサの製造方法を説明するための断面図である。
まず、不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板27を準備する。不純物としては、n型不純物でも良く、p型不純物でも良い。抵抗率としては、例えば0.01Ω・cm程度とする。図4(a)に示すように、このシリコン基板27の一方の主面をエッチングしてマイクロヒータ用の突出部27a及び引き出し電極用の突出部27b,27cを形成する。なお、突出部27aについては、段差部27dに対応する領域のレジスト膜の厚さを変えておき、その状態でエッチングすることにより、突出部27aに段差部27dを設けることができる。
次いで、図4(b)に示すように、突出部27a,27b,27cを形成したシリコン基板27上に突出部27a,27b,27cと当接するようにガラス基板21を置き、さらに、真空下で、このシリコン基板27及びガラス基板21を加熱して、シリコン基板27をガラス基板21に押圧して突出部27a,27b,27cをガラス基板21の主面21bに押し込んで、シリコン基板27とガラス基板21とを接合する。このときの温度は、シリコンの融点以下であって、ガラスが変形可能である温度(例えば、ガラスの軟化点温度以下)が好ましい。例えば加熱温度は約800℃である。このとき、シリコン基板27の突出部27a,27b,27cとガラス基板21との界面での密着性をより高めるために、陽極接合処理をすることが好ましい。この場合、シリコン基板27及びガラス基板21にそれぞれ電極をつけて、約400℃以下の加熱下で約300V〜1kVの電圧を印加することにより行う。これにより両者の界面での密着性がより高くなり、フローセンサの流路26の気密性を向上させることができる。
次いで、図4(c)に示すように、ガラス基板21及びシリコン基板27を研磨処理して、シリコン部材22a,22b,22cをガラス基板21の両主面21a,21bで露出させる。なお、シリコン基板27側については、研磨処理の代わりに、エッチング処理を用いても良い。
次いで、図4(d)に示すように、ガラス基板21の主面21a上に、シリコン部材22a,22b,22cと電気的に接続するように、それぞれ引き出し電極23a,23b,23cを形成する。この場合、ガラス基板21の主面21a上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、引き出し電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図4(e)に示すように、ガラス基板21の主面21b上に、シリコン部材22b,22cと電気的に接続するように、それぞれ温度センサ24a,24bを形成する。この場合、ガラス基板21の主面21b上に抵抗体材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、温度センサ形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして抵抗体材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図4(f)に示すように、ガラス基板25の一方の主面をエッチングして凹部25bを形成する。この凹部25bの深さは、流路26の間隔に相当する。この場合、ガラス基板25に突起部25aを残すようにガラス基板25に機械加工を施しても良く、フォトリソグラフィ及びエッチングにより凹部25bを形成しても良い。
次いで、図4(g)に示すように、図4(e)に示すガラス基板21(埋め込み基板)の主面21b上に、図4(f)に示すガラス基板25の突起部25aが当接するようにして、ガラス基板21とガラス基板25とを接合する。この場合、フリットガラスを用いて両ガラス基板21,25を接合しても良く、間にシリコン部材を介在させた状態で陽極接合により両ガラス基板21,25を接合しても良い。そして、図4(h)に示すように、ダイシングにより流路26を形成する。このようにして本発明に係るフローセンサを得ることができる。
このようにして得られたフローセンサは、温度センサ24aが引き出し電極23bと電気的に接続され、温度センサ24bが引き出し電極23cと電気的に接続されている。したがって、温度センサ24a,24b間で検知された温度差の信号は、引き出し電極23b,23cから取得することができる。この信号に基づいて流体の流量を算出することができる。
このようなフローセンサは、流路26の気密性を確保しつつ流体の流量を測定することができる。また、マイクロヒータがシリコンで構成されているので、腐食を抑えることができ、それによりマイクロヒータの耐久性を向上させることができる。さらに、発熱体と端子とが一体に構成されているので、発熱体と素子との間に接続部分がなく、電気抵抗を小さくすることが可能であり、電気的な信頼性や耐久性を向上させることができる。
次に、フローセンサの他の例について説明する。図5は、フローセンサの他の例を示す図であり、図5(a)は側面図であり、図5(b)は平面図である。
図中31はガラス基板を示す。ガラス基板31は、対向する一対の主面31a,31bを有する。ガラス基板31には、シリコン部材32a,32b,32c,32dが埋め込まれている。これらのシリコン部材32a,32b,32c,32dは、それぞれガラス基板31の両主面31a,31bで露出している。シリコン部材32a,32bは、マイクロヒータ用のシリコン部材であり、シリコン部材32c,32dは、温度センサの外部引き出し用のシリコン部材である。
ガラス基板31の主面31a上には、シリコン部材32aの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極33aが形成されており、シリコン部材32bの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極33bが形成されており、シリコン部材32cの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極33cが形成されており、シリコン部材32dの露出部分と電気的に接続するように引き出し電極33dが形成されている。このように引き出し電極33a,33b,33c,33dがそれぞれ主面31a上に設けられていることにより、外部への取り出し電極を一つの面上に形成できるので、表面実装に適したデバイスとすることができる。
ガラス基板31の主面31b上には、シリコン部材32a,32bの露出部分と電気的に接続するようにマイクロヒータ35が形成されており、シリコン部材32cの露出部分と電気的に接続するように温度センサ34aが形成されており、シリコン部材32dの露出部分と電気的に接続するように温度センサ34bが形成されている。温度センサ34a,34bは抵抗体を形成することにより構成することができるが、これに限定されない。
このような構成のガラス基板31の主面31b側には、所定の間隔をおいてガラス基板36が配置される。この所定の間隔が流路37を構成して、図中の矢印方向に流体が流れる。このようなフローセンサは、上記原理にしたがって流体の流量を測定することができる。
ガラス基板31とシリコン部材32a,32b,32c,32dとの間の界面は、高い密着性を有することが好ましい。後述するように、これらの界面は、加熱下においてシリコン部材32a,32b,32c,32dをガラス基板31に押し込むことにより形成される。このような方法により得られた界面でも高い密着性を発揮できるが、シリコン部材32a,32b,32c,32dをガラス基板31に押し込んだ後に、陽極接合処理を施すことにより、密着性をより高くすることができる。その結果、流路37内の気密性を高く保つことが可能となる。
次に、このフローセンサの製造方法について説明する。図6(a)〜(j)は、図5に示すフローセンサの製造方法を説明するための断面図である。
まず、不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板38を準備する。不純物としては、n型不純物でも良く、p型不純物でも良い。抵抗率としては、例えば0.01Ω・cm程度とする。図6(a)に示すように、このシリコン基板38の一方の主面をエッチングしてマイクロヒータ用の突出部38a,38b及び引き出し電極用の突出部38c,38dを形成する。
次いで、図6(b)に示すように、突出部38a,38b,38c,38dを形成したシリコン基板38上に突出部38a,38b,38c,38dと当接するようにガラス基板31を置き、さらに、真空下で、このシリコン基板38及びガラス基板31を加熱して、シリコン基板38をガラス基板31に押圧して突出部38a,38b,38c,38dをガラス基板31の主面31bに押し込んで、シリコン基板38とガラス基板31とを接合する。このときの温度は、シリコンの融点以下であって、ガラスが変形可能である温度(例えば、ガラスの軟化点温度以下)が好ましい。例えば加熱温度は約800℃である。このとき、シリコン基板38の突出部38a,38b,38c,38dとガラス基板31との界面での密着性をより高めるために、陽極接合処理をすることが好ましい。この場合、シリコン基板38及びガラス基板31にそれぞれ電極をつけて、約400℃以下の加熱下で約300V〜1kVの電圧を印加することにより行う。これにより両者の界面での密着性がより高くなり、フローセンサの流路37の気密性を向上させることができる。
次いで、図6(c)に示すように、ガラス基板31及びシリコン基板38を研磨処理して、シリコン部材32a,32b,32c,32dをガラス基板31の両主面31a,31bで露出させる。なお、シリコン基板38側については、研磨処理の代わりに、エッチング処理を用いても良い。
次いで、図6(d)に示すように、ガラス基板31の主面31a上に、シリコン部材32a,32b,32c,32dと電気的に接続するように、それぞれ引き出し電極33a,33b,33c,33dを形成する。この場合、ガラス基板31の主面31a上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、引き出し電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図6(e)に示すように、ガラス基板31の主面31b上に、シリコン部材32a,32bと電気的に接続するように、マイクロヒータ35を形成する。この場合、ガラス基板31の主面31b上に抵抗体材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、マイクロヒータ形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして抵抗体材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図6(f)に示すように、ガラス基板31の主面31b上に、シリコン部材32c,32dと電気的に接続するように、それぞれ温度センサ34a,34bを形成する。この場合、ガラス基板31の主面31b上に抵抗体材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、温度センサ形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして抵抗体材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。
次いで、図6(g)に示すように、ガラス基板36の一方の主面をエッチングして凹部36bを形成する。この凹部36bの深さは、流路37の間隔に相当する。この場合、ガラス基板36に突起部36aを残すようにガラス基板36に機械加工を施しても良く、フォトリソグラフィ及びエッチングにより凹部36bを形成しても良い。
次いで、図6(h)に示すように、ガラス基板36の凹部36bの底面上に、マイクロヒータ35を形成する。この場合、ガラス基板36の凹部36bの底面上に抵抗体材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、マイクロヒータ形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして抵抗体材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。なお、このマイクロヒータ35は、ガラス基板31側のマイクロヒータとの間で位置合わせされる。
次いで、図6(i)に示すように、図6(f)に示すガラス基板31(埋め込み基板)の主面31b上に、図6(h)に示すガラス基板36の突起部36aが当接するようにして、ガラス基板31とガラス基板36とを接合する。この場合、フリットガラスを用いて両ガラス基板31,36を接合しても良く、間にシリコン部材を介在させた状態で陽極接合により両ガラス基板31,36を接合しても良い。そして、図6(j)に示すように、ダイシングにより流路37を形成する。このようにして本発明に係るフローセンサを得ることができる。
このようにして得られたフローセンサは、温度センサ34aが引き出し電極33cと電気的に接続され、温度センサ34bが引き出し電極33dと電気的に接続されている。したがって、温度センサ34a,34b間で検知された温度差の信号は、引き出し電極33c,33dから取得することができる。この信号に基づいて流体の流量を算出することができる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における数値、材質、大きさなどは一例であり、適宜変更して実施することが可能である。また、製造プロセスにおいても、当業者がなし得る範囲で適宜変更することができる。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
1 マイクロヒータ
2 アレイ
11,21,25,31,36 ガラス基板
12,22a,22b,22c,32a,32b,32c,32d シリコン部材
12a,22a−1 柱部
12b,22a−2 薄肉部
12c 端部
13 保護膜
23a,23b,23c,33a,33b,33c,33d 引き出し電極
24a,24b,34a,34b 温度センサ
26,37 流路
27,38 シリコン基板
2 アレイ
11,21,25,31,36 ガラス基板
12,22a,22b,22c,32a,32b,32c,32d シリコン部材
12a,22a−1 柱部
12b,22a−2 薄肉部
12c 端部
13 保護膜
23a,23b,23c,33a,33b,33c,33d 引き出し電極
24a,24b,34a,34b 温度センサ
26,37 流路
27,38 シリコン基板
Claims (5)
- 一対の主面を有するガラス基板と、前記ガラス基板の両主面で露出するように埋め込まれた第1シリコン部材と、を具備し、前記第1シリコン部材は、前記ガラス基板を厚み方向に切断した面において略U字形状の断面となる、一対の柱部と、前記一対の柱部を連接する薄肉部とを有し、前記柱部の端部が前記ガラス基板の一方の主面で露出し、前記薄肉部が前記ガラス基板の他方の主面で露出しており、前記柱部の端部が端子を構成し、前記薄肉部が抵抗体を構成することを特徴とするマイクロヒータ。
- 前記ガラス基板の他方の主面で露出した前記薄肉部上に保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロヒータ。
- 前記第1シリコン部材を構成するシリコンは、抵抗値調整用のドーパントを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマイクロヒータ。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロヒータと、前記ガラス基板の両主面で露出するように前記ガラス基板に埋め込まれた少なくとも2つの第2シリコン部材と、前記ガラス基板の他方の主面で露出した第2シリコン部材上に個別に搭載された温度センサと、を具備することを特徴とするフローセンサ。
- シリコン基板に、一対の柱部及び前記一対の柱部を連接する薄肉部を形成する工程と、加熱下において前記柱部及び前記薄肉部をガラス基板に埋め込んで前記シリコン基板と前記ガラス基板とを接合する工程と、前記ガラス基板及び前記シリコン基板を研磨して、前記柱部の端部を前記ガラス基板の一方の主面で露出させ、前記薄肉部を前記ガラス基板の他方の主面で露出させる工程と、を具備することを特徴とするマイクロヒータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006064032A JP2007242445A (ja) | 2006-03-09 | 2006-03-09 | マイクロヒータ及びそれを用いたフローセンサ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009238732A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-15 | Samsung Electronics Co Ltd | マイクロヒーターアレイ及びマイクロヒーターアレイを備えたpn接合、並びにその形成方法 |
JP2010170976A (ja) * | 2009-01-23 | 2010-08-05 | Samsung Electronics Co Ltd | マイクロヒーター及びその製造方法 |
CN104734659A (zh) * | 2013-12-24 | 2015-06-24 | 精工爱普生株式会社 | 发热体、振动器件、电子设备以及移动体 |
-
2006
- 2006-03-09 JP JP2006064032A patent/JP2007242445A/ja not_active Withdrawn
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