JP2007238442A - 抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規の抗ウイルス剤を提供する。
【解決手段】前記抗ウイルス剤は、熱ショックタンパク質Hsp90に対する阻害剤を有効成分として含む。前記HSP阻害剤としては、例えば、17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン又はゲルダナマイシンを挙げることができる。前記抗ウイルス剤としては、例えば、抗C型肝炎ウイルス剤を挙げることができる。
【選択図】なし
【解決手段】前記抗ウイルス剤は、熱ショックタンパク質Hsp90に対する阻害剤を有効成分として含む。前記HSP阻害剤としては、例えば、17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン又はゲルダナマイシンを挙げることができる。前記抗ウイルス剤としては、例えば、抗C型肝炎ウイルス剤を挙げることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗ウイルス剤に関する。なお、本明細書において、抗ウイルス剤には、ウイルスに対する予防剤及び治療剤の両方が含まれる。
ゲルダナマイシン[geldanamycin;一般式(I)においてR1がメトキシ基である化合物]及び17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン[17-(allylamino)-17-demethoxygeldanamycin;一般式(I)においてR1がアリルアミノ基である化合物。以下、17−AAGと称する]は、熱ショックタンパク質Hsp90に対する阻害作用を有することが知られており、更に、抗がん剤として期待されている化合物である。両者の構造は、非常によく似ているが、17−AAGは、比較的細胞毒性が低く、水溶性も高い。
17−AAGが抗がん剤として期待されている理由は、その作用がHsp90を抑制する点にある。Hsp90は、細胞質内で最も多いタンパク質であり、通常の細胞の状態では細胞タンパク質の1〜2%を占めており、細胞にストレス又は37℃を超える熱刺激が加わった場合に大量に発現し、細胞質内で凝集又は変性しようとしているタンパク質の修正に働くタンパク質である。このHsp90は、細胞内の色々なタンパク質の成熟化に関わっており、その中には、アポトーシスなど細胞死に関わるもの、細胞周期(E1F2αK, PLK)を司るもの、シグナルの受け渡しをするステロイドホルモン受容体などに大きく関わっていることが知られている。このHsp90を一つ抑制するだけで、さまざまなシグナル伝達分子が抑制される。
Hsp90を抑制する17−AAGの機能としては、Hsp90はATP/ADP依存的にその活性を示すことが知られており、このHsp90のATP/ADP結合ポケット(binding pocket)に17−AAGが結合することでHsp90活性を抑制するものである(非特許文献1)。Hsp90の活性が失われると、Hsp90のクライアントタンパク質は、その形を保てなくなり、凝集してしまうか、あるいは、ユビキチン化され、最終的にプロテアソームによって分解されてしまう。このクライアントタンパク質の分解が前記抗がん作用をもたらすものと考えられている。
17−AAGは、抗がん剤として、現在臨床試験(Phase II)に入っている。しかしながら、17−AAGが抗ウイルス剤として使用可能であるとの報告はない。
「クリニカル・キャンサー・リサーチ(Clinical Cancer Research)」,(米国),2001年,7巻,p. 2076-2084
本発明の課題は、新規の抗ウイルス剤を提供することにある。
前記課題は、本発明による、熱ショックタンパク質Hsp90に対する阻害剤(以下、Hsp90阻害剤と称する)を有効成分として含む、抗ウイルス剤により解決することができる。
本発明の抗ウイルス剤の好ましい態様によれば、前記Hsp90阻害剤が、一般式(I):
[式中、基R1は、−O−アルキル基、−O−アリル基、アミノ基、アリルアミノ基、−S−アルキル基、−S−アリル基である]
で表される化合物であり、より好ましくは、式(II):
で表される17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシンである。
また、本発明の抗ウイルス剤の別の好ましい態様によれば、前記ウイルスがC型肝炎ウイルスである。
本発明の抗ウイルス剤の好ましい態様によれば、前記Hsp90阻害剤が、一般式(I):
で表される化合物であり、より好ましくは、式(II):
また、本発明の抗ウイルス剤の別の好ましい態様によれば、前記ウイルスがC型肝炎ウイルスである。
また、本発明は、Hsp90阻害剤と、薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる担体又は希釈剤とを含有する、医薬組成物(特には抗ウイルス剤)に関する。
本発明は、Hsp90阻害剤を、抗ウイルス治療又は予防の必要な対象に、有効量で投与することを含む、抗ウイルス治療又は予防方法に関する。
本発明は、抗ウイルス剤を製造するためのHsp90阻害剤の使用に関する。
本発明は、Hsp90阻害剤を、抗ウイルス治療又は予防の必要な対象に、有効量で投与することを含む、抗ウイルス治療又は予防方法に関する。
本発明は、抗ウイルス剤を製造するためのHsp90阻害剤の使用に関する。
本発明によれば、新規の抗ウイルス剤を提供することができる。
抗C型肝炎ウイルス剤として使用する場合、公知のHCV治療法、例えば、インターフェロン単独、リバビリン−インターフェロン併用よりも効果は高く、毒性も低く、副作用を伴わない。
また、ウイルスの増殖に直接関与する薬剤ではないことから、逆転写酵素又はプロテアーゼ阻害剤のような薬剤耐性ウイルスの出現はないものと期待される。
抗C型肝炎ウイルス剤として使用する場合、公知のHCV治療法、例えば、インターフェロン単独、リバビリン−インターフェロン併用よりも効果は高く、毒性も低く、副作用を伴わない。
また、ウイルスの増殖に直接関与する薬剤ではないことから、逆転写酵素又はプロテアーゼ阻害剤のような薬剤耐性ウイルスの出現はないものと期待される。
本発明の抗ウイルス剤は、その有効成分として、熱ショックタンパク質Hsp90に対する阻害剤(Hsp90阻害剤)を含有する。
本発明の抗ウイルス剤は、RNAウイルス又はDNAウイルスのいずれにも適用することができ、本発明の抗ウイルス剤を適用可能なウイルスとしては、例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)を挙げることができる。
C型肝炎ウイルスとしては、例えば、1a型、1b型、1c型、2a型、2b型、2c型、2k型、3a型、3b型、4a型、5a型、6a型、6b型の各C型肝炎ウイルス、並びにそれらの変異体を挙げることができる。
本発明で有効成分として用いることのできるHsp90阻害剤としては、例えば、前記一般式(I)で表される化合物を挙げることができる。一般式(I)において、基R1は、−O−アルキル基、−O−アリル基、アミノ基、アリルアミノ基、−S−アルキル基、−S−アリル基であり、アリルアミノ基又はメトキシ基であることが好ましく、アリルアミノ基であることが特に好ましい。一般式(I)において基R1がアリルアミノ基である化合物は、前記式(II)で表される17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシンである。また、一般式(I)において基R1がメトキシ基である化合物は、ゲルダナマイシンである。
−O−アルキル基又は−S−アルキル基におけるアルキル基は、一般式(I)で表される化合物がHsp90阻害活性を有する限り、特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4個の低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基であり、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
本発明の抗ウイルス剤は、有効成分であるHsp90阻害剤を単独で、あるいは、所望により薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる公知の担体又は希釈剤と共に、含有することができる。
本発明の抗ウイルス剤は、これに限定されるものではないが、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で、有効成分を含有することができる。
本発明の抗ウイルス剤の投与量は、治療対象動物(哺乳類、特にはヒト)の種及びその薬剤に対する個体の応答性、並びに選択される製剤の剤形及び投与時間や間隔などに応じて、適宜選択することができる。
本発明の抗ウイルス剤は、これに限定されるものではないが、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で、有効成分を含有することができる。
本発明の抗ウイルス剤の投与量は、治療対象動物(哺乳類、特にはヒト)の種及びその薬剤に対する個体の応答性、並びに選択される製剤の剤形及び投与時間や間隔などに応じて、適宜選択することができる。
本発明の抗ウイルス剤は、有効成分であるHsp90阻害剤以外に、場合により医薬的に許容することのできる公知の担体又は希釈剤との組合せで、経口、非経口、又は局所的な経路のいずれかにより、単回又は複数回で投与することができる。本発明の抗ウイルス剤は、種々の異なる剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディー、粉末剤、スプレー剤、クリーム剤、軟膏剤、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤、水性懸濁剤、注射用溶液剤、エリキシル剤、又はシロップ剤などにすることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:細胞毒性評価》
本実施例及び以下の実施例では、評価系として、NNC(Full length replicon)細胞(京都大学ウイルス研究所)を使用した。前記NNC細胞は、図1に示すように、HCV IRES(internal ribosomal entry site)でNeorとHCV全長のタンパク質を発現する細胞である。
本実施例及び以下の実施例では、評価系として、NNC(Full length replicon)細胞(京都大学ウイルス研究所)を使用した。前記NNC細胞は、図1に示すように、HCV IRES(internal ribosomal entry site)でNeorとHCV全長のタンパク質を発現する細胞である。
NNC細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)DMEM(GIBCO社)及びG418(Sigma社)でセレクションを行い、37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで培養した。
毒性評価実験は、以下の手順で実施した。すなわち、24ウェルプレートに、NNC細胞を1.5×105細胞/ウェルとなるように蒔き、17−アリルアミノ−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG;SIGMA社)で薬剤処理(0 nmol/L, 250 nmol/L, 500 nmol/L, 1μmol/L)を施した。37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで24時間又は48時間培養後、0.02%トリパンブルー(Trypan Blue Stain;GIBCO社)で細胞を染色して生細胞数及び死細胞数を測定し、細胞毒性評価を行った。
結果を図2(NNC細胞)に示す。
図2に示すとおり、NNC細胞では、コントロールの非薬剤処理と比較して、250nmol/L、500nmol/L、又は1μmol/Lの17−AAGで処理した場合の生存率(viability)は80%前後とほとんど細胞毒性が無いことが示された。また、24時間後及び48時間後の生存率の変化においても、ほとんど差が見られないことから、NNC細胞において細胞毒性は無いことが示唆された。
これらの結果より、17−AAGは、肝細胞由来のHCVレプリコンシステム細胞において非薬剤処理と薬剤処理サンプルとの間に生存率変化がほとんど無いことから、細胞毒性はほとんど無いことが示唆された。
図2に示すとおり、NNC細胞では、コントロールの非薬剤処理と比較して、250nmol/L、500nmol/L、又は1μmol/Lの17−AAGで処理した場合の生存率(viability)は80%前後とほとんど細胞毒性が無いことが示された。また、24時間後及び48時間後の生存率の変化においても、ほとんど差が見られないことから、NNC細胞において細胞毒性は無いことが示唆された。
これらの結果より、17−AAGは、肝細胞由来のHCVレプリコンシステム細胞において非薬剤処理と薬剤処理サンプルとの間に生存率変化がほとんど無いことから、細胞毒性はほとんど無いことが示唆された。
《実施例2:分子シャペロンと17−AAGの結合評価》
24ウェルプレートに、NNC細胞を1.5×105細胞/ウェルとなるように蒔き、17−AAGで薬剤処理(0 nmol/L, 0.25 nmol/L, 25 nmol/L, 50 nmol/L, 250 nmol/L, 500 nmol/L, 1μmol/L)を施した。37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで24時間又は48時間培養した後、培養上清を捨て、1×PBS(phosphate buffered saline)で2回細胞を洗浄し、市販の溶解液(1×CAT ELISA;Roche社)により細胞を4℃で30分間溶解した。細胞溶解液を1.5mLマイクロチューブに回収し、遠心操作(5000 r.p.m.、4℃、5分間)により上清を回収した。回収したサンプルを、市販キット(BCATM Protein Assay kit;PIERCE社)を用いて96ウェルプレート上で反応(37℃、30分間)させた後、プレートリーダーを用いてタンパク質濃度を測定した。
24ウェルプレートに、NNC細胞を1.5×105細胞/ウェルとなるように蒔き、17−AAGで薬剤処理(0 nmol/L, 0.25 nmol/L, 25 nmol/L, 50 nmol/L, 250 nmol/L, 500 nmol/L, 1μmol/L)を施した。37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで24時間又は48時間培養した後、培養上清を捨て、1×PBS(phosphate buffered saline)で2回細胞を洗浄し、市販の溶解液(1×CAT ELISA;Roche社)により細胞を4℃で30分間溶解した。細胞溶解液を1.5mLマイクロチューブに回収し、遠心操作(5000 r.p.m.、4℃、5分間)により上清を回収した。回収したサンプルを、市販キット(BCATM Protein Assay kit;PIERCE社)を用いて96ウェルプレート上で反応(37℃、30分間)させた後、プレートリーダーを用いてタンパク質濃度を測定した。
Hsp90に関するウエスタンブロッティングは、以下の手順で実施した。すなわち、タンパク質濃度測定後のサンプル15μg/μLと、サンプルバッファー3μLとを混ぜ、95℃で2分間変性後、氷上に移し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)でタンパク質の分離を行った。泳動後、タンパク質をメンブレンに転写し、5%スキムミルク(wako社)で1時間ブロッキングを行った後、一次抗体として、希釈(5%スキムミルク:抗体=1000:0.5)した抗Hsp90抗体(cell signaling社)を4℃で一晩反応させた。反応後、TBS/T(Tris-buffered saline/Tween)で3回洗浄し、二次抗体として、抗ウサギIgG抗体−HRPコンジュゲート(Amersham Biosciences社)[5%スキムミルク:抗体:抗ビオチンプロテインマーカー(Cell signaling)=1000:0.5:1]を室温で一時間反応させた。反応後、TBS/Tで3回洗浄し、市販キット(ECL Plus;Amersham Biosciences社)を使用し、タンパク質を化学発光させた後、現像液及び固定液を使用して暗室で現像を行った。
Hsp70に関するウエスタンブロッティングは、以下の手順で実施した。すなわち、タンパク質濃度測定後のサンプル15μg/μLと、サンプルバッファー3μLとを混ぜ、95℃で2分間変性後、氷上に移し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)でタンパク質の分離を行った。泳動後、タンパク質をメンブレンに転写し、5%スキムミルク(wako社)で1時間ブロッキングを行った後、一次抗体として、希釈(5%スキムミルク:抗体=5000:1)した抗Hsp70モノクローナル抗体(Sigma社)を4℃で一時間反応させた。反応後、TBS/T(Tris-buffered saline/Tween)で3回洗浄し、二次抗体として、抗マウスIgG抗体−HRPコンジュゲート(Amersham Biosciences社)[5%スキムミルク:抗体:抗ビオチンプロテインマーカー(Cell signaling)=1000:0.5:1]を室温で一時間反応させた。反応後、TBS/Tで3回洗浄し、市販キット(ECL Plus;Amersham Biosciences社)を使用し、タンパク質を化学発光させた後、現像液及び固定液を使用して暗室で現像を行った。
ウエスタンブロッティングの結果を図3(NNC細胞)に示す。図3において、レーン1及び5は、17−AAG濃度が0nmol/L(コントロール)である場合の結果であり、レーン2及び6は、17−AAG濃度が250nmol/Lである場合の結果であり、レーン3及び7は、17−AAG濃度が500nmol/Lである場合の結果であり、レーン4及び8は、17−AAG濃度が1μmol/Lである場合の結果である。
図3に示すとおり、NNC細胞では、17−AAG処理から24時間後では、Hsp90の発現及び分解には何も影響は見られなかったが、Hsp70では17−AAGを加えると若干発現が増加しているのが見られた。また、48時間後では、17−AAGを500nmol/L、1μmol/Lと濃度を増加させると、対照的にHsp90のタンパク質量は濃度依存的に減少しているのが見られた。一方、Hsp70では、24時間後と同様に、17−AAGを加えると濃度依存的に発現が増加しているのが見られた。
これらの結果より、17−AAGがHsp90のATP結合ポケットに結合することで起こる熱ショックタンパク質翻訳因子(Heart shock protein translation factor)HSF1の解離がおこり、Hsp70の発現を増加させていることが示唆され、このことから、HCVレプリコンシステム細胞において17−AAGの薬剤効果が示され、Hsp90を抑制していることが示唆された。
これらの結果より、17−AAGがHsp90のATP結合ポケットに結合することで起こる熱ショックタンパク質翻訳因子(Heart shock protein translation factor)HSF1の解離がおこり、Hsp70の発現を増加させていることが示唆され、このことから、HCVレプリコンシステム細胞において17−AAGの薬剤効果が示され、Hsp90を抑制していることが示唆された。
《実施例3:HCV RNA複製阻害効果の検討》
24ウェルプレートに、NNC細胞を1.5×105細胞/ウェルとなるように蒔き、17−AAGで薬剤処理を施した。37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで48時間培養後、RNAを、市販試薬(TRIZOL;Invitorogen社、1×CAT ELISA;Roche社)を用いて抽出した。
24ウェルプレートに、NNC細胞を1.5×105細胞/ウェルとなるように蒔き、17−AAGで薬剤処理を施した。37℃及び5%CO2濃度のインキュベーターで48時間培養後、RNAを、市販試薬(TRIZOL;Invitorogen社、1×CAT ELISA;Roche社)を用いて抽出した。
NNC細胞におけるHCV RNAの定量を、Taq−Man−PCR法を用いて解析することで、ウイルスの複製抑制効果の検討を行った。具体的には、抽出したRNAを50ng/μLに調製し、逆転写反応(55℃30分間、95℃10分間、及び4℃1分間)及びPCR反応(50℃2分間、及び95℃10分間の後、95℃15秒間及び62℃1分間からなるサイクルを60サイクル繰り返し、4℃で1分間)を実施した。
なお、逆転写反応におけるHCV RNAリバースプライマーとして、塩基配列:
5’-AGTACCACAAGGCCTTTCG-3’(配列番号1)
からなるオリゴヌクレオチドを使用した。また、PCR反応におけるHCV RNAフォワードプライマー及びHCV RNAリバースプライマーとして、塩基配列:
5’-CGGGAGAGCCATAGTGG -3’(配列番号2)
からなるオリゴヌクレオチド及び塩基配列:
5’-AGTACCACAAGGCCTTTCG-3’(配列番号3)
からなるオリゴヌクレオチドを、HCV RNAプローブとして、塩基配列:
5’-FAM-CTGCGGAACCGGTGAGTACAC-TAMRA-3’(配列番号4)
からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ使用した。
5’-AGTACCACAAGGCCTTTCG-3’(配列番号1)
からなるオリゴヌクレオチドを使用した。また、PCR反応におけるHCV RNAフォワードプライマー及びHCV RNAリバースプライマーとして、塩基配列:
5’-CGGGAGAGCCATAGTGG -3’(配列番号2)
からなるオリゴヌクレオチド及び塩基配列:
5’-AGTACCACAAGGCCTTTCG-3’(配列番号3)
からなるオリゴヌクレオチドを、HCV RNAプローブとして、塩基配列:
5’-FAM-CTGCGGAACCGGTGAGTACAC-TAMRA-3’(配列番号4)
からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ使用した。
結果を図4に示す。なお、比較のために、17−AAG処理に代えて、100U/mL濃度でインターフェロン(天然型インターフェロン−α製剤;持田製薬)処理を実施すること以外は、前記操作を繰り返した。
図4に示すとおり、HCV RNAの複製は、0nmol/L(すなわち、17−AAG非存在下)、0.25nmol/L、 25nmol/L、50nmol/L、250nmol/L、500nmol/L、若しくは1μmol/L濃度の17−AAGで、又は100U/mL濃度のインターフェロンで薬剤処理したところ、25nmol/Lの17−AAG処理で、ほぼ完全にHCVゲノムの複製を抑えた。一方、インターフェロン100IU/mLでHCV複製阻害をほぼ完全に抑制することが示された(図は示さず)。
最適薬剤濃度を求めるため、更に細かく薬剤濃度を分けて実験を行ったところ、0.25nmol/Lでも70%を超えるHCV RNA複製抑制効果があることがわかった。
以上の結果より、17−AAGは抗がん剤及びHsp90阻害剤であるとともに、HCV RNAの複製を99.8%抑制することが示された。
図4に示すとおり、HCV RNAの複製は、0nmol/L(すなわち、17−AAG非存在下)、0.25nmol/L、 25nmol/L、50nmol/L、250nmol/L、500nmol/L、若しくは1μmol/L濃度の17−AAGで、又は100U/mL濃度のインターフェロンで薬剤処理したところ、25nmol/Lの17−AAG処理で、ほぼ完全にHCVゲノムの複製を抑えた。一方、インターフェロン100IU/mLでHCV複製阻害をほぼ完全に抑制することが示された(図は示さず)。
最適薬剤濃度を求めるため、更に細かく薬剤濃度を分けて実験を行ったところ、0.25nmol/Lでも70%を超えるHCV RNA複製抑制効果があることがわかった。
以上の結果より、17−AAGは抗がん剤及びHsp90阻害剤であるとともに、HCV RNAの複製を99.8%抑制することが示された。
本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス(特には抗C型肝炎ウイルス)治療又は予防の用途に適用することができる。
配列表の配列番号1〜3の配列で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列であり、配列番号4の配列で表される塩基配列は、人工的に合成したプローブ配列である。
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