JP2004504356A - C型肝炎ウイルスのプロセシングおよび複製の抑制 - Google Patents
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Abstract
本発明は、熱ショックタンパク質90(HSP90)を標的とすることによる、HCVの複製およびプロセシングを抑制するための方法に関する。HSP90は、NS2/3自己切断における必須因子であることが判明している細胞シャペロンタンパク質である。NS2/3切断を促進するHSP90の能力を抑制する化合物を使用して、HSP90を標的とすることができる。
【選択図】図2
【選択図】図2
Description
【0001】
(発明の背景)
本明細書中に引用されている参考文献は本発明の先行技術であると認められるものではない。
【0002】
世界中で推定1億7,000万人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。この感染は通常は持続的であり、しばしば何年も続く無症候期の後、多数の患者は、肝硬変および肝細胞癌を含む慢性肝疾患を発症する。
【0003】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである(Chooら,(1989)Science 244,362−364;およびChooら,(1989)Science 244,359−362)。HCVゲノムは、C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5Bの順序でウイルスタンパク質を含有する約3000アミノ酸の単一のポリタンパク質をコードしている。該NSタンパク質は非構造的であると考えられており、該ウイルスポリタンパク質のプロセシングおよびウイルスの複製の酵素機能に関与している。該ポリタンパク質前駆体からの個々のタンパク質の遊離は、細胞およびウイルスの両方のプロテアーゼにより媒介される(Chooら,(1991)P.N.A.S.USA 88,2451−2455;Takamizawaら,(1991)J.Virol.65,1105−1113;Neddermannら,(1997)Biol.Chem.378,469−476;Lohmannら,(1996)J.Hepatol.24,11−19;およびHoughtonら,(1991)Hepatology 14,381−388)。
【0004】
成熟NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bのタンパク質分解遊離は、NS3のN末端ドメイン内に含まれているキモトリプシン様セリンプロテアーゼにより触媒され、一方、宿主細胞プロテアーゼがC、E1、E2およびp7を遊離し、アミノ酸810にNS2のN末端を生成する(Mizushimaら,(1994)J.Virol.68,2731−2734、およびHijikataら,(1993)P.N.A.S.USA 90,10773−10777)。
【0005】
NS2とNS3との間の切断はNS2/3プロテアーゼにより触媒される。NS2/3活性はヒトにおけるHCVの複製に必須であるらしい(Kolykhalovら,(2000)Journal of virology 74,2046−51)。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、熱ショックタンパク質90(HSP90)を標的とすることによる、HCVの複製およびプロセシングを抑制するための方法に関する。HSP90は、NS2/3自己切断における必須因子であることが判明している細胞シャペロンタンパク質である。NS2/3切断を促進するHSP90の能力を抑制する化合物を使用して、HSP90を標的とすることができる。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様は、HCVに感染した細胞においてHCVの複製またはプロセシングを抑制する方法であって、HSP90インヒビターの有効量を該細胞に与える工程を含んでなる方法を記載する。該有効量は、HCV複製における検出可能な減少を引き起こすのに十分な量である。好ましくは、複製は、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%抑制される。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、NS2/3活性を含むポリペプチドにおけるNS2/3切断を抑制する方法を記載する。該方法は、該ポリペプチドにHSP90インヒビターの有効量を与えることを含む。該有効量は、NS2/3切断における検出可能な減少を引き起こすのに十分な量である。好ましくは、NS2/3切断は、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%抑制される。
【0009】
「NS2/3活性を含む」ポリペプチドは、全体的または部分的に、天然に存在するNS2/3領域に由来しNS2/3自己触媒活性を有するアミノ酸領域から構成される。天然に存在する領域に由来するアミノ酸領域は、天然に存在するNS2/3領域の配列を含有するか、または天然に存在する領域に基づいて設計される。該NS2/3自己触媒活性は、より長い長さのポリペプチド上に存在しうる。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、HCVに感染した患者においてHCVの複製を抑制する方法に関する。該方法は、HSP90インヒビターの有効量を該患者に投与する工程を含む。HCVに感染しうる患者には、ヒトおよびチンパンジーが含まれる。好ましくは、該対象はヒトである。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、(a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および(b)該化合物がNS2/3切断を抑制する能力を測定する工程を含んでなる、NS2/3プロセシングのインヒビターを同定する方法を記載する。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、(a)HSP90活性を化合物が抑制する能力を測定する工程、(b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法を記載する。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、(a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および(b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法を記載する。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、種々の実施例を含む本明細書に記載の追加的な説明から明らかである。記載している実施例は、本発明の実施に有用な種々の成分および方法を例示するものである。該実施例は本発明を限定するものではない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用な他の成分および方法を同定し使用することが可能である。
【0015】
(図面の簡単な記載)
図1.HSP90とのNS2/3の物理的会合。(A)HSP90特異的抗体とのNS2/3の免疫共沈降。網状赤血球ライセート中で合成された[35S]メチオニン標識NS2/3(810−1615BK)、Ubi−849−1207J−BLAまたはホタルルシフェラーゼは、抗HSP90 mAb 3G3で又は対照IgM TEPC−183で免疫沈降した。(B)ゲルダナマイシンは、NS2/3とHSP90との会合を妨げる。10μM ゲルダナマイシンの不存在下(レーン1)または存在下(レーン4)で網状赤血球ライセート中で合成された[35S]メチオニン標識NS2/3は、抗HSP90 mAb 3G3(レーン3および6)または対照IgM TEPC−183(レーン2および5)で免疫沈降した。
【0016】
図2.HSP90インヒビターは、細胞に基づくアッセイにおいてNS2/3切断を抑制する。β−ラクタマーゼ活性がNS2/3切断の達成の指標となるNS2/3の融合タンパク質を発現するジャーカット細胞を、ゲルダナマイシンまたはラディシコール(radicicol)で処理した。インヒビター処理は5時間にわたり、ついでシクロヘキシミドを加えてタンパク質合成を停止させ(30分間)、ついでβ−ラクタマーゼ基質CCF2を加えた。2時間後、β−ラクタマーゼ活性を蛍光測定(460nm/530nmの比率)により定量した。より低い460nm/530nm比率はNS2/3切断の抑制を示す。ゲルダナマイシン(三角形)のIC50は40nMであり、ラディシコール(円形)のIC50は13nMである。
【0017】
(発明の詳細な記載)
HSP90は、HCVの複製およびプロセシングを抑制するための標的として本発明で同定されたシャペロンタンパク質である。HSP90の標的化は、NS2/3切断を促進するHSP90の能力を抑制する化合物を使用して達成されうる。
【0018】
シャペロンタンパク質は、非天然タンパク質内および間の誤った相互作用を妨げうる。該タンパク質は、多数の新たに合成されたタンパク質のフォールディング反応の速度ではなく収率を増加させると考えられる(Hartl,(1996)Nature 381,571)。また、タンパク質のフォールディングへのその関与に関連したメカニズムにより、シャペロンタンパク質は、種々のシグナリングタンパク質、例えばチロシンキナーゼ、例えばp60src(Whitesellら,(1994)P.N.A.S.USA 91,8324)、ステロイドホルモン受容体(総説としては、Prattら,(1997)Endocr.Rev.18,306を参照されたい)および一酸化窒素シンターゼ(Garcia−Cardenaら,(1998)Nature 392,821,Benderら,(1999)J.Biol.Chem.274,1472)の活性を調節するのを助ける。
【0019】
HSP90は、種々のタンパク質の活性の調節に関与するシャペロンタンパク質である(Scheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682.)。少なくともいくつかの場合には、HSP90は、細胞性タンパク質フォールディングを補助する、パートナータンパク質が関わり不可逆的副反応を妨げるシャペロン複合体の一部として機能する(Scheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。
【0020】
HSP90インヒビター
HSP90インヒビターは、HSP90と物理的に会合し、NS2/3切断および/またはHCV複製を抑制する。HSP90との間の会合は直接的な会合であるか、またはパートナータンパク質のような他の因子により媒介されうる。好ましいHSP90インヒビターは、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%の抑制レベルを達成する。
【0021】
HSP90の活性は、当技術分野でよく知られた種々の化合物を使用して抑制することができる。そのような化合物は、NS2/3切断および/またはHCV複製を抑制するための方法において使用することができる。
【0022】
後記の実施例は、ゲルダナマイシンおよびラディシコールのような当技術分野でよく知られた化合物がNS2/3切断を抑制する能力を例示する。ゲルダナマイシンおよびラディシコールは、HSP90活性のインヒビターとして記載されている化合物である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの多種多様な誘導体が当技術分野でよく知られている。そのような誘導体がNS2/3切断およびHCV複製を抑制する能力は、標準的な技術を用いて測定することができる。
【0023】
ゲルダナマイシンは、抗腫瘍活性を有するアンサマイシン抗生物質である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。ゲルダナマイシンは、HSP90のN末端ドメインに存在するATP結合部位に結合することにより抗腫瘍薬効果を発揮すると種々の参考文献に記載されている(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682,1998)。
【0024】
抗腫瘍活性を有することが示されたゲルダナマイシンの誘導体は種々の参考文献に記載されている(例えば、共に参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,261,989号および米国特許第5,932,566号を参照されたい)。これらの誘導体は、NS2/3切断および/またはHCV複製の抑制における活性を有すると予想されるメンバーを含有する化合物のクラスを与える。個々の化合物がNS2/3切断またはHCV複製を抑制する能力は、当技術分野でよく知られた技術を用いて測定することができる。
【0025】
ラディシコールも、N末端ドメインATP結合部位においてHSP90に結合することにより抗腫瘍薬効果を発揮する(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266)。抗腫瘍活性を有することが示されたラディシコールの誘導体は種々の参考文献に記載されている(例えば、共に参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,597,846号および米国特許第5,977,165号を参照されたい)。これらの誘導体は、NS2/3切断および/またはHCV複製の抑制における活性を有すると予想されるメンバーを含有する化合物のクラスを与える。個々の化合物がNS2/3切断またはHCV複製を抑制する能力は、当技術分野でよく知られた技術を用いて測定することができる。
【0026】
NS2/3切断
NS2/3切断は、活性NS3プロテアーゼの産生につながるHCVポリタンパク質プロセシングの一部である。天然に存在するHCVポリペプチドにおいては、NS2をNS3から分離するアミノ酸1026と1027との間の切断は、該切断部位に隣接するNS2およびNS3の両方のタンパク質領域に左右されることが判明している(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;およびKomodaら,(1994)Gene 145,221−226)。突然変異研究により示されているとおり、該切断はNS3プロテアーゼの触媒活性には左右されない(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;およびHijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675)。
【0027】
NS2/3切断は、NS2/3触媒活性を含むポリペプチドを使用して種々の系において測定することができる。そのようなポリペプチドの具体例には、切断に十分な量のNS2/3を有する天然に存在するNS2/3領域およびその誘導体が含まれる。該NS2/3切断領域は、他のポリペプチド領域(HCVポリペプチド中に存在するもの又はHCVポリペプチド中には存在しないもの)と共に存在しうる。NS2/3活性を得るために、また、例えば、NS2/3活性に関するアッセイを補助するマーカーを付与するために、NS2/3切断領域を含有する融合タンパク質を使用することができる。
【0028】
NS2/3切断反応は、細菌細胞、哺乳類細胞および昆虫細胞ならびに以下の該タンパク質のインビトロ翻訳において研究されている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;Selbyら,(1993)J.Gen.Virol.74,1103−1113;Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461−7471;D’Souzaら,(1994)J.Gen.Virol.75,3469−3476;およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373−6380)。NS2/3切断活性に必須のタンパク質領域は、HCVオプンリーディングフレームのアミノ酸893−1207にほぼ位置づけされている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;およびSantoliniら,(1995)J.Virol.69,7461−7471)。
【0029】
NS2/3切断の触媒メカニズムは未知であるが、メタロプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼであると推測されており(Wuら,(1998)Trends Biochem.Sci.23,92−94;およびGorbalenyaら,(1996)Perspect.Drug Discovery Design,64−86)、NS2のN末端は膜貫通ポリペプチドであると考えられている(Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461)。インビトロ翻訳されたNS2/3の切断活性はEDTAにより抑制され、この活性は金属イオンの再添加により回復する(Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373−6380)。
【0030】
NS2/3プロセシングおよびHCV複製のインヒビターの特定
NS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制するHSP90標的化化合物を特定するためには、種々のアッセイ形態を用いることができる。一般的なアッセイ形態の一例は、まず、HSP90と相互作用する化合物を特定し、ついで、そのような化合物がNS2/3切断またはHCV複製をも抑制するか否かを判定することを含む。
【0031】
HSP90と相互作用する化合物は、HSP90に直接的に結合するか、またはHSP90のパートナータンパク質(例えば、シャペロン複合体中に存在するもの)と相互作用しうる。化合物がHSP90と相互作用する能力は、結合アッセイおよび物理的会合アッセイの実施のような種々の方法で測定することができる。
【0032】
結合アッセイは、HSP90またはHSP90シャペロン複合体への化合物の結合能を測定するものである。HSP90またはHSP90シャペロン複合体への化合物の結合能を測定するためには、種々の結合アッセイ形態を実施することができる。種々のアッセイ形態の具体例には、競合的および非競合的なものが含まれる。結合アッセイのための好ましい標的はATP結合部位である。
【0033】
HSP90またはHSP90シャペロン複合体に結合すると特定された化合物を、検出可能部分で標識し、HSP90またはHSP90シャペロン複合体への他の化合物の結合能の評価に使用することができる。適当な検出可能部分には、放射性同位体および蛍光団が含まれる。好ましくは、個々の検出可能部分は、該部分がHSP90またはHSP90シャペロン複合体への結合に実質的に影響を及ぼさないように選択され化合物上に配置される。
【0034】
物理的会合アッセイは、HSP90またはHSP90シャペロン複合体が作用するNS2/3断片を含むポリペプチドに対するHSP90の会合を測定するものである。HSP90とNS2/3との会合を測定するための技術には、HSP90またはNS2/3に特異的な結合剤を使用するものが含まれる。そのような結合剤は、例えば、ゲルまたはカラム画分中のHSP90およびNS2/3の存在を示すために使用することができる。
【0035】
特異的結合剤の一例として、抗体が挙げられる。HSP90およびNS2/3に特異的な抗体は、標準的な免疫学的技術を用いて産生させることができる。抗体を産生させ使用するための一般的技術は、Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、およびHarlowら,Anitibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されている。
【0036】
HSP90またはHSP90シャペロン複合体と相互作用すると確認された化合物を更に、NS2/3プロセシングまたはHCV複製に対する効果に関して試験することができる。NS2/3プロセシングの抑制は、NS2/3自己切断を測定することによりアッセイすることができる。HCV複製の抑制は、HCVに感染した対象におけるHCVレベルの変化を測定することによりアッセイすることができる。HCV感染に感受性の対象には、チンパンジーが含まれる(Majorら,(1999)Journal of Virology 73,3317−3325)。
【0037】
NS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制するための好ましい標的は、HSP90 ATP結合部位である。他の部位、例えば、HSP90の三次構造または他のHSP90活性に影響を及ぼす部位に結合する化合物を標的化し、それがNS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制する能力を試験することができる。
【0038】
アッセイは、個々の化合物を使用して又は種々の化合物を含有する調製物を使用して行うことができる。HSP90との相互作用、NS2/3切断の抑制またはHCV複製の抑制のような所望の効果を1以上の化合物が達成する種々の化合物を含有する調製物を、より小さなグループに分けて、所望の効果を有する特定の化合物を特定することができる。本発明の実施形態の1つにおいては、試験調製物は、HSP90との相互作用、NS2/3切断の抑制またはHCV複製の抑制を測定するアッセイにおいて、少なくとも10個の異なる化合物を含有する。
【0039】
投与
HSP90を標的化する化合物は、当技術分野でよく知られた技術と共に本明細書に記載の指針を用いて製剤化し患者に投与することができる。好ましい投与経路は、化合物の有効量が標的に到達することを保証する。一般的な医薬投与のための指針は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版,Gennaro編,Mack Publishing,1990、およびModern Pharmaceutics 第2版,BankerおよびRhodes編,Marcel Dekker,Inc.,1990(それらの両方を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
【0040】
適当な官能基を有する化合物は、酸性または塩基性塩として製造することができる。医薬上許容される塩(水溶性、油溶性または分散性産物の形態)には、例えば無機または有機性の酸または塩基から形成される通常の無毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。そのような塩の具体例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩のような酸付加塩;およびアンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩およびアミノ酸(例えばアルギニンおよびリシン)との塩のような塩基塩が含まれる。
【0041】
化合物は、経口、鼻腔内、注射、経皮および経粘膜経路を含む種々の経路により投与することができる。懸濁剤として経口投与する有効成分は、医薬製剤の分野でよく知られた技術に従い製造することが可能であり、かさ高さを付与するための微晶質セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および甘味剤/香味剤を含有しうる。即時放出錠剤としては、これらの組成物は、微晶質セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース、および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤を含有しうる。
【0042】
鼻腔内エアゾールまたは吸入により投与する場合、組成物は、医薬製剤の分野でよく知られた技術に従い製造することができる。そのような組成物は、例えば、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤を使用して、フルオロカーボンを使用して、および/または他の可溶化剤または分散剤を使用して製造することができる。
【0043】
また、該化合物は、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、局所(閉鎖(occlusion)の存在下または不存在下)または筋肉内形態で投与することが可能であり、すべて、製薬分野の当業者によく知られた形態を用いることができる。注射により投与する場合には、注射溶液または懸濁剤は、適当な無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤、例えばリンゲル液または等張塩化ナトリウム溶液、あるいは適当な分散または湿潤および懸濁化剤、例えば無菌無刺激性不揮発性油、例えば合成モノまたはジグリセリド、および脂肪酸、例えばオレイン酸を使用して製剤化することができる。
【0044】
坐剤の形態で直腸内に投与する場合、これらの製剤は、該薬物を、常温では固体であるが直腸腔内では液化および/または溶解して該薬物を放出する適当な無刺激性賦形剤(例えば、ココア脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコール)と混合することにより製造することができる。
【0045】
本発明の治療用途のための適当な投与計画は、患者の年齢、体重、性別および医学的状態;治療する状態の重傷度;患者の腎および肝機能;および使用する個々の化合物を含む当技術分野でよく知られた因子を考慮して選択される。
【0046】
毒性を伴うことなく効力を与える範囲内の薬物濃度を最適に正確に得るためには、標的部位に対する薬物のアベイラビリティーの速度論に基づく計画が必要である。これは、薬物の分布、平衡および消失の考慮を含む。患者に対する1日量は、0.01〜1,000mg/成人患者/日と予想される。
【0047】
(実施例)
本発明の種々の特徴を更に例示するために、以下に実施例を記載する。該実施例は、本発明を実施するための有用な方法をも例示する。これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0048】
実施例1:NS2/3の製造
NS2の全て及びNS3のほとんどを含むBK株のHCV残基810−1615(810−1615BKと称される)はプラスミドpCITE810−1615BK(Nicola La Monica博士から贈られた)から製造され、Pieroniら,(1997)J.Virol.71,6373に既に記載されている。BLP1でのプラスミドの線状化の後、RNAをT7 RNAポリメラーゼで転写し、精製した。タンパク質の翻訳は、標識として[35S]−メチオニンを使用してウサギ網状赤血球ライセート中、30℃で40分間にわたり行った。ついで、シクロヘキシミド(最終的には250μM)の添加により翻訳を阻止し、該サンプルを直ちにドライアイス上で凍結した。
【0049】
プロセシング実験の前に、翻訳されたNS2/3のアリコートを氷上で融解した。Pieroniら,(1997)J.Virol.71,6373に記載のとおり、1%のTriton X−100を含有する室温の溶液への添加により、810−1615BKのプロセシングを開始した。乾燥ゲル上の[35S]標識タンパク質の分布をホスホルイメージャー(Phosphorimager)(Molecular Dynamics)で測定した。産物のバンドを定量し、該ゲルレーン中の全シグナルに対する比率として表して、ゲルレーンのローディングにおけるばらつきが正規化されるようにした。インヒビターのIC50の計算のために示されるデータを得るためには、810−1615BKからの産物NS2を使用した。なぜなら、そのゲル上の移動は、より高い分子量のNS3断片より小さなバックグラウンドを有する領域におけるものであったからである。
【0050】
実施例2:NS2/3融合タンパク質の発現
pCDNA(Invitrogen)に由来するプラスミドpM3Aは、Ubi−849−1207J−BLAと称される融合タンパク質をコードしており、該融合タンパク質は、ユビキチンをそのN末端に含有し、それに続いて、細菌性TEM−1 β−ラクタマーゼにC末端で連結したNS2/3残基849−1207(J株)を含有する。この構築物中のNS3プロテアーゼドメインは不活性化性突然変異S1165Aを有し、これはNS2/3プロセシング活性には影響を及ぼさない。この構築物のRNA合成はT7プロモーターにより駆動される。実施例1に記載のとおり、翻訳するために、RNAを別に調製した。ウサギ網状赤血球ライセート中での翻訳に際して、該ユビキチンは細胞性ユビキチンヒドロラーゼにより該タンパク質から直ちに切断される(Hochstrasser,(1996)Annual Review of Genetics 30,405)。
【0051】
切断可能な連結(配列番号1)が、ユビキチン↓ArgHisGlySerGluPhe−NS2/3として存在する。この構築物の翻訳は、いくつかのプロセシングされたNS2およびNS3産物を不可避的に産生した。なぜなら、J株のNS2/3プロセシングは、BK株からのNS2/3のようには界面活性剤も膜も必要としないからである。そのため、翻訳は30分間に限定された。室温でのプロセシングの定量は、シクロヘキシミドの添加の直後に調製したサンプルと、より後の時点のサンプルとの比較によるものであった。
【0052】
実施例3:再構成実験
実施例1に記載のとおりに、ウサギ網状赤血球ライセート中、[35S]−Met標識を行いながらNS2/3(810−1615BK)を合成した。翻訳された[35S]−メチオニン標識NS2/3 810−1615BKを含有するライセートを、20mM Tris−HClバッファー(pH7.5)中で平衡化されたP−6ポリアクリルアミドゲル(Bio−Rad;排除限界6000Da)を含有する遠心カラムを介して遠心分離した。ウサギ網状赤血球ライセート(Promega)をAmicon Microcon−10ユニットで濾過して、10kDaの濾液を得た。
【0053】
10,000Da未満の溶質を含有するウサギ網状赤血球ライセート濾液(10kDa濾液)中への該標識ライセート画分の10倍希釈は、既に記載されている未希釈ライセート中で観察されたもの(Darkeら,(1999)J.Biol.Chem.274,34511)に類似した度合のNS2/3切断を支持した。水またはバッファー中に希釈された同じ物質はNS2/3をプロセシングしなかった。
【0054】
細胞成分に加えて、市販のウサギ網状赤血球ライセートは、DTT、KOAc、GTPおよびクレアチンリン酸で補足される。該濾過ライセートを、該カラムバッファー中に、または1mM ATP、1.5mM Mg(OAc)2、2mM DTTおよび79mM KOAcの組合せを含有するバッファー中に、10倍希釈した。いくつかのサンプルにおいては、KOAcの量が様々であり(20mM〜237mM)、あるいはATPの代わりにATPγSが使用された。プロセシングを、1%までのTriton X−100の添加により開始し、等容積のSDSサンプルバッファーで30分後に停止した。結果を表1に示す。表1においては、活性は、該10kDa濾液対照の存在下で達成されたプロセシングの量に対する割合(%)として表されている。
【0055】
【表1】
【0056】
プロセシングを支持する該10kDa濾液の成分は熱またはトリプシンでの処理に対して安定であり(熱処理は100℃で3分間であり、トリプシン処理は0.1mg/mlで2時間、ついで2倍過剰の膵トリプシンインヒビターで処理した)、このことは非タンパク質性を示唆している。ウサギ網状赤血球ライセート中に存在することが知られている低分子量化合物を、個々に又は組合せて、それらがプロセシングを支持する能力に関して調べた。
【0057】
単独で又はペアではプロセシングを完全に支持した成分はなかったが、表1に示すとおり、ATPと塩の組合せとを含有する溶液は、該10kDa濾液で達成されたものと比較しうるレベルでプロセシングを可能にした。この組合せにおいてATPの代わりにATPγSを使用すると、プロセシングの喪失が生じた。このことは、該ATP寄与がADPへの加水分解を要することを示唆している。
【0058】
実施例4:ATPの枯渇またはATP類似体の使用によるNS2/3プロセシングの抑制
NS2/3プロセシングにおけるATPの役割を示す再構成実験を補足するために、1%までのTriton X−100の添加によりプロセシングを開始する前にグルコース+ヘキソキナーゼで処理することにより、翻訳された[35S]標識NS2/3(810−1615BK)を含有するウサギ網状赤血球ライセートからATPを枯渇させた。グルコースもヘキソキナーゼも単独では有意な影響を及ぼさなかったが、グルコースのリン酸化においてATPを消費するそれらの2つの組合せは、プロセシングを60%抑制した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
別法として、ATPγSまたはAMP−PNP(ATPの非加水分解性類似体である)の添加で、抑制が観察された(表2)。該抑制の力価測定は、ATPγSまたはAMP−PNPに関してそれぞれ2mMおよび4mMのIC50値を与え、試験した最大濃度(5mM)における抑制はそれぞれ77%および60%であった(これらの反応内には残留ATPも約1mMの濃度で存在するため、完全な抑制は予想されない)。ATPγSによる抑制は、ユビキチン−NS2/3−βラクタマーゼよりなる融合タンパク質(Ubi−849−1207J−BLA)として発現されるHCVのJ株由来のNS2/3でも観察された。
【0061】
実施例5:NS2/3活性の抑制
ATPの関与は、該プロセシングの段階におけるATP依存性細胞シャペロンの関与と符合する。2つの関連ベンゾキノンアンサマイシンであるゲルダナマイシンおよびハービマイシンA、ならびに大環状抗生物質であるラディシコールは、ATP部位での結合によりHSP90を特異的に抑制する化合物の具体例である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260)。
【0062】
インビトロ合成前駆体810−1615BKに添加したゲルダナマイシン、ハービマイシンAおよびラディシコールで、NS2/3プロセシングの抑制が観察された(50%まで)。該実験の合成期中に及びNS2/3プロセシングにおいて化合物を含有させた場合には、いくらか大きなプロセシング抑制が用量依存的に観察された(表3)。該化合物はタンパク質合成の全体的な効率には何ら影響を及ぼさず、NS2/3融合タンパク質Ubi−849−1207J−BLAを使用して同様の抑制効力が観察された。
【0063】
【表3】
【0064】
NS2/3プロセシング反応を810−1615BKで行った。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの抑制効果を、ペプチド抑制滴定に関して既に記載されている技術(Darkeら,(1999)J.Biol.Chem.274,34511)を用いて滴定した。インヒビターをDMSOに溶解し、光から防護した。DMSOの最終濃度がインビトロ実験では2%、細胞に基づくアッセイでは1%となるよう、DMSO中で希釈を行った。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの滴定は、HSP90が作用する他のタンパク質の類似インビトロ研究(Huら,(1996)P.N.A.S.USA93,1060;Thulasiramanら,(1996)Biochemistry 35,13443(1996),Schneiderら,(1996)P.N.A.S.USA 93,14536)で観察されているのと同様の低いマイクロモル範囲のEC50を与えた(表4)。
【0065】
【表4】
【0066】
実施例6:NS2/3とHSP90との間の物理的会合
インビトロ翻訳されたNS2/3とHSP90との物理的会合に関する証拠を免疫沈降により得た。モノクローナルIgM抗体3G3(抗HSP90、Affinity Bioreagents)およびTEPC−183(対照、Sigma)は、HSP90の免疫沈降における使用に関して既に記載されている(McGuireら,(1994)Molecular and Cellular Biology 14,2438)。ルシフェラーゼRNAをPromegaから入手した。架橋抗体により該一次抗体を固体支持体に結合させることにより、イムノアフィニティービーズを調製した。
【0067】
プロテインG−アガロース(Boehringer)を使用して、ヤギ抗マウス免疫グロブリンM(IgM)(5mg/mlゲル)を4℃で一晩固定化した。ついで該モノクローナル抗HSP90抗体3G3または等濃度の対照マウスIgM抗体TEPC−183を該固定化抗マウスIgMと一緒にした。HSP90およびいずれかの会合タンパク質を免疫沈降させるために、翻訳された[35S]標識NS2/3を含有するライセートを、実質的には文献記載(McGuireら,(1994)Molecular and Cellular Biology 14,2438)のとおりに、該ビーズと共にインキュベートした。4℃で2時間の結合の後、該ビーズを洗浄し、SDSサンプルバッファーに懸濁させ、95℃に加熱した。免疫沈降物をSDS/14% ポリアクリルアミドゲル上で分離した。
【0068】
図1に示すとおり、モノクローナルIgM抗体でのHSP90の免疫沈降は、BKまたはJ株に由来するNS2/3(810−1615BKおよびUbi−849−1207J−BLA)を免疫共沈降させた。対照IgM抗体TEPC−183は、関心のあるタンパク質の最小量を免疫沈降させたに過ぎなかった。一方、対照タンパク質である翻訳されたホタルルシフェラーゼでは、HSP90との会合は観察されなかった(図1)。この結果は、de novo合成されたNS2/3が溶液中でHSP90と安定な複合体を形成することを示している。
【0069】
実施例7:NS2/3とHSP90との会合の抑制
NS2/3でのHSP90の免疫沈降をゲルダナマイシンが妨げる能力を調べた。[35S]標識NS2/3を、網状赤血球ライセート中、10μM ゲルダナマイシンの不存在下または存在下で合成した。ゲルダナマイシンの存在下では、該抗HSP90 mAbと共に免疫共沈降するNS2/3の量は60%減少した(図1B)。したがって、ゲルダナマイシンによるNS2/3プロセシングのいくらかの抑制は、翻訳中または翻訳直後のNS2/3とのHSP90の会合の妨害に帰されうる。
【0070】
実施例8:NS2/3切断の細胞に基づく抑制
生きた細胞においてHSP90がNS2/3プロセシングに必須であるという概念の証明が、NS2/3を発現する細胞をHSP90インヒビターで処理することにより得られた。ネオマイシンで選択可能なトランスフェクションベクターの使用により、ジャーカット細胞におけるNS2/3の安定発現が得られた。ネオマイシン(G418)耐性を付与するプラスミドpUbBla3X−NS2/3−3Aは、N末端に結合した3つのユビキチンドメインおよびC末端におけるβ−ラクタマーゼとNS2/3タンパク質との融合体を発現する。その完全な未切断タンパク質は、5〜10分と推定されるインビボ半減期を有する。
【0071】
プラスミドpUbBla3X NS2/3−3Aをジャーカット細胞内にトランスフェクトした。該プラスミドのCMVプロモーター駆動性ORFは、91kDaのタンパク質、ユビキチン−ユビキチン−ユビキチン−NS2/3−β−ラクタマーゼをコードしており、その3つのユビキチンドメインのC末端はユビキチンC末端ヒドロラーゼに対して非切断性となっている(ユビキチンC末端配列ArgLeuArgGlyVal、配列番号2)。該NS2/3領域はHCV残基849−1207を含む。該β−ラクタマーゼドメインは大腸菌(E.coli)由来のTEM−1である。該β−ラクタマーゼ部分の発現は、発蛍光性で細胞透過性の基質であるCCF2で容易に検出される(Zlokarnikら,(1998)Science 279,84)。
【0072】
β−ラクタマーゼの発現を示すために、CCF2での処理により、トランスフェクタントをFACSにより選別し(Zlokarnikら,(1998)Science 279,84)、個々のクローンをG418選択下で増殖させた。発現された完全な融合タンパク質は、そのユビキチンN末端タグのため、ユビキチン指向性プロテオソーム分解に非常に不安定であり、一方、NS2/3切断のC末端産物であるNS3−β−ラクタマーゼは数時間にわたり安定である。したがって、CCF2加水分解(高い460nm/530nm比率)により示されるβ−ラクタマーゼ活性の細胞内での増加はNS2/3切断の達成を示し、β−ラクタマーゼ活性の抑制はNS2/3抑制を示す。
【0073】
これに関連して、プロセシングをなし得ないNS2/3突然変異体C993Aは、該細胞のβ−ラクタマーゼ活性を約8倍減少させる。NS2/3切断活性に必須のタンパク質領域は、HCVオープンリーディングフレームのアミノ酸989−1207にほぼ位置づけされている。保存された切断部位配列はArgLeuLeu↓AlaProIle(配列番号3)である。Cys993およびHis952は必須残基とされている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.USA 90,10583,Selbyら,(1993)J.Gen.Virol.74,1103,Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665,Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461,D’Souzaら,(1994)J.Gen.Virol.75,3469およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373を参照されたい)。
【0074】
NS2/3自己切断は、N末端における不安定化性ユビキチン分解シグナルをNS3−β−ラクタマーゼC末端産物から分離して、細胞内のβ−ラクタマーゼ活性を安定化する。この系を用いて、図2に示すとおり、哺乳類細胞内でのNS2/3プロセシングに対するHSP90インヒビターの抑制効力を測定した。ゲルダナマイシンおよびラディシコールは、この関連におけるNS2/3切断の強力なインヒビターであり、それぞれ40nMおよび13nMのIC50値を有する。また、抑制は、試験した最高濃度においてはほぼ完全である(図2)。この結果は、細胞内のHSP90活性を抑制するのに要するゲルダナマイシンの濃度が、インビトロで要するものより遥かに低い点で、他のHSP90活性に関して他の研究者が見出しているもの(Huら,(1996)P.N.A.S.USA 93,1060,Holtら,(1999)Genes Dev.13,817)と比較しうるものである。
【0075】
アフィニティー標識(Chavanyら,(1996)J.Biol.Chem.271,4974)およびアフィニティークロマトグラフィー(Schneiderら,(1996)P.N.A.S.USA 93,14536,Whitesellら,(1994)P.N.A.S.USA 91,8324,およびSchulteら,(1998),Cell Stress and Chaperones 3,100)により示されるとおり、ゲルダナマイシンは細胞内でHSP90と特異的に相互作用する。したがって、NS2/3切断に関する観察された抑制はHSP90により媒介されるものである。
【0076】
他の実施形態も特許請求の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の修飾を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HSP90とのNS2/3の物理的会合を示す図である。
【図2】HSP90インヒビターが、細胞に基づくアッセイにおいてNS2/3切断を抑制することを示す図である。
(発明の背景)
本明細書中に引用されている参考文献は本発明の先行技術であると認められるものではない。
【0002】
世界中で推定1億7,000万人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。この感染は通常は持続的であり、しばしば何年も続く無症候期の後、多数の患者は、肝硬変および肝細胞癌を含む慢性肝疾患を発症する。
【0003】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである(Chooら,(1989)Science 244,362−364;およびChooら,(1989)Science 244,359−362)。HCVゲノムは、C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5Bの順序でウイルスタンパク質を含有する約3000アミノ酸の単一のポリタンパク質をコードしている。該NSタンパク質は非構造的であると考えられており、該ウイルスポリタンパク質のプロセシングおよびウイルスの複製の酵素機能に関与している。該ポリタンパク質前駆体からの個々のタンパク質の遊離は、細胞およびウイルスの両方のプロテアーゼにより媒介される(Chooら,(1991)P.N.A.S.USA 88,2451−2455;Takamizawaら,(1991)J.Virol.65,1105−1113;Neddermannら,(1997)Biol.Chem.378,469−476;Lohmannら,(1996)J.Hepatol.24,11−19;およびHoughtonら,(1991)Hepatology 14,381−388)。
【0004】
成熟NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bのタンパク質分解遊離は、NS3のN末端ドメイン内に含まれているキモトリプシン様セリンプロテアーゼにより触媒され、一方、宿主細胞プロテアーゼがC、E1、E2およびp7を遊離し、アミノ酸810にNS2のN末端を生成する(Mizushimaら,(1994)J.Virol.68,2731−2734、およびHijikataら,(1993)P.N.A.S.USA 90,10773−10777)。
【0005】
NS2とNS3との間の切断はNS2/3プロテアーゼにより触媒される。NS2/3活性はヒトにおけるHCVの複製に必須であるらしい(Kolykhalovら,(2000)Journal of virology 74,2046−51)。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、熱ショックタンパク質90(HSP90)を標的とすることによる、HCVの複製およびプロセシングを抑制するための方法に関する。HSP90は、NS2/3自己切断における必須因子であることが判明している細胞シャペロンタンパク質である。NS2/3切断を促進するHSP90の能力を抑制する化合物を使用して、HSP90を標的とすることができる。
【0007】
したがって、本発明の第1の態様は、HCVに感染した細胞においてHCVの複製またはプロセシングを抑制する方法であって、HSP90インヒビターの有効量を該細胞に与える工程を含んでなる方法を記載する。該有効量は、HCV複製における検出可能な減少を引き起こすのに十分な量である。好ましくは、複製は、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%抑制される。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、NS2/3活性を含むポリペプチドにおけるNS2/3切断を抑制する方法を記載する。該方法は、該ポリペプチドにHSP90インヒビターの有効量を与えることを含む。該有効量は、NS2/3切断における検出可能な減少を引き起こすのに十分な量である。好ましくは、NS2/3切断は、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%抑制される。
【0009】
「NS2/3活性を含む」ポリペプチドは、全体的または部分的に、天然に存在するNS2/3領域に由来しNS2/3自己触媒活性を有するアミノ酸領域から構成される。天然に存在する領域に由来するアミノ酸領域は、天然に存在するNS2/3領域の配列を含有するか、または天然に存在する領域に基づいて設計される。該NS2/3自己触媒活性は、より長い長さのポリペプチド上に存在しうる。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、HCVに感染した患者においてHCVの複製を抑制する方法に関する。該方法は、HSP90インヒビターの有効量を該患者に投与する工程を含む。HCVに感染しうる患者には、ヒトおよびチンパンジーが含まれる。好ましくは、該対象はヒトである。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、(a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および(b)該化合物がNS2/3切断を抑制する能力を測定する工程を含んでなる、NS2/3プロセシングのインヒビターを同定する方法を記載する。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、(a)HSP90活性を化合物が抑制する能力を測定する工程、(b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法を記載する。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、(a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および(b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法を記載する。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、種々の実施例を含む本明細書に記載の追加的な説明から明らかである。記載している実施例は、本発明の実施に有用な種々の成分および方法を例示するものである。該実施例は本発明を限定するものではない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用な他の成分および方法を同定し使用することが可能である。
【0015】
(図面の簡単な記載)
図1.HSP90とのNS2/3の物理的会合。(A)HSP90特異的抗体とのNS2/3の免疫共沈降。網状赤血球ライセート中で合成された[35S]メチオニン標識NS2/3(810−1615BK)、Ubi−849−1207J−BLAまたはホタルルシフェラーゼは、抗HSP90 mAb 3G3で又は対照IgM TEPC−183で免疫沈降した。(B)ゲルダナマイシンは、NS2/3とHSP90との会合を妨げる。10μM ゲルダナマイシンの不存在下(レーン1)または存在下(レーン4)で網状赤血球ライセート中で合成された[35S]メチオニン標識NS2/3は、抗HSP90 mAb 3G3(レーン3および6)または対照IgM TEPC−183(レーン2および5)で免疫沈降した。
【0016】
図2.HSP90インヒビターは、細胞に基づくアッセイにおいてNS2/3切断を抑制する。β−ラクタマーゼ活性がNS2/3切断の達成の指標となるNS2/3の融合タンパク質を発現するジャーカット細胞を、ゲルダナマイシンまたはラディシコール(radicicol)で処理した。インヒビター処理は5時間にわたり、ついでシクロヘキシミドを加えてタンパク質合成を停止させ(30分間)、ついでβ−ラクタマーゼ基質CCF2を加えた。2時間後、β−ラクタマーゼ活性を蛍光測定(460nm/530nmの比率)により定量した。より低い460nm/530nm比率はNS2/3切断の抑制を示す。ゲルダナマイシン(三角形)のIC50は40nMであり、ラディシコール(円形)のIC50は13nMである。
【0017】
(発明の詳細な記載)
HSP90は、HCVの複製およびプロセシングを抑制するための標的として本発明で同定されたシャペロンタンパク質である。HSP90の標的化は、NS2/3切断を促進するHSP90の能力を抑制する化合物を使用して達成されうる。
【0018】
シャペロンタンパク質は、非天然タンパク質内および間の誤った相互作用を妨げうる。該タンパク質は、多数の新たに合成されたタンパク質のフォールディング反応の速度ではなく収率を増加させると考えられる(Hartl,(1996)Nature 381,571)。また、タンパク質のフォールディングへのその関与に関連したメカニズムにより、シャペロンタンパク質は、種々のシグナリングタンパク質、例えばチロシンキナーゼ、例えばp60src(Whitesellら,(1994)P.N.A.S.USA 91,8324)、ステロイドホルモン受容体(総説としては、Prattら,(1997)Endocr.Rev.18,306を参照されたい)および一酸化窒素シンターゼ(Garcia−Cardenaら,(1998)Nature 392,821,Benderら,(1999)J.Biol.Chem.274,1472)の活性を調節するのを助ける。
【0019】
HSP90は、種々のタンパク質の活性の調節に関与するシャペロンタンパク質である(Scheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682.)。少なくともいくつかの場合には、HSP90は、細胞性タンパク質フォールディングを補助する、パートナータンパク質が関わり不可逆的副反応を妨げるシャペロン複合体の一部として機能する(Scheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。
【0020】
HSP90インヒビター
HSP90インヒビターは、HSP90と物理的に会合し、NS2/3切断および/またはHCV複製を抑制する。HSP90との間の会合は直接的な会合であるか、またはパートナータンパク質のような他の因子により媒介されうる。好ましいHSP90インヒビターは、少なくとも約20%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%の抑制レベルを達成する。
【0021】
HSP90の活性は、当技術分野でよく知られた種々の化合物を使用して抑制することができる。そのような化合物は、NS2/3切断および/またはHCV複製を抑制するための方法において使用することができる。
【0022】
後記の実施例は、ゲルダナマイシンおよびラディシコールのような当技術分野でよく知られた化合物がNS2/3切断を抑制する能力を例示する。ゲルダナマイシンおよびラディシコールは、HSP90活性のインヒビターとして記載されている化合物である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの多種多様な誘導体が当技術分野でよく知られている。そのような誘導体がNS2/3切断およびHCV複製を抑制する能力は、標準的な技術を用いて測定することができる。
【0023】
ゲルダナマイシンは、抗腫瘍活性を有するアンサマイシン抗生物質である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682)。ゲルダナマイシンは、HSP90のN末端ドメインに存在するATP結合部位に結合することにより抗腫瘍薬効果を発揮すると種々の参考文献に記載されている(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266;およびScheibelら,(1998)Biochemical Pharmacology 56,675−682,1998)。
【0024】
抗腫瘍活性を有することが示されたゲルダナマイシンの誘導体は種々の参考文献に記載されている(例えば、共に参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,261,989号および米国特許第5,932,566号を参照されたい)。これらの誘導体は、NS2/3切断および/またはHCV複製の抑制における活性を有すると予想されるメンバーを含有する化合物のクラスを与える。個々の化合物がNS2/3切断またはHCV複製を抑制する能力は、当技術分野でよく知られた技術を用いて測定することができる。
【0025】
ラディシコールも、N末端ドメインATP結合部位においてHSP90に結合することにより抗腫瘍薬効果を発揮する(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260−266)。抗腫瘍活性を有することが示されたラディシコールの誘導体は種々の参考文献に記載されている(例えば、共に参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,597,846号および米国特許第5,977,165号を参照されたい)。これらの誘導体は、NS2/3切断および/またはHCV複製の抑制における活性を有すると予想されるメンバーを含有する化合物のクラスを与える。個々の化合物がNS2/3切断またはHCV複製を抑制する能力は、当技術分野でよく知られた技術を用いて測定することができる。
【0026】
NS2/3切断
NS2/3切断は、活性NS3プロテアーゼの産生につながるHCVポリタンパク質プロセシングの一部である。天然に存在するHCVポリペプチドにおいては、NS2をNS3から分離するアミノ酸1026と1027との間の切断は、該切断部位に隣接するNS2およびNS3の両方のタンパク質領域に左右されることが判明している(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;およびKomodaら,(1994)Gene 145,221−226)。突然変異研究により示されているとおり、該切断はNS3プロテアーゼの触媒活性には左右されない(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;およびHijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675)。
【0027】
NS2/3切断は、NS2/3触媒活性を含むポリペプチドを使用して種々の系において測定することができる。そのようなポリペプチドの具体例には、切断に十分な量のNS2/3を有する天然に存在するNS2/3領域およびその誘導体が含まれる。該NS2/3切断領域は、他のポリペプチド領域(HCVポリペプチド中に存在するもの又はHCVポリペプチド中には存在しないもの)と共に存在しうる。NS2/3活性を得るために、また、例えば、NS2/3活性に関するアッセイを補助するマーカーを付与するために、NS2/3切断領域を含有する融合タンパク質を使用することができる。
【0028】
NS2/3切断反応は、細菌細胞、哺乳類細胞および昆虫細胞ならびに以下の該タンパク質のインビトロ翻訳において研究されている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;Selbyら,(1993)J.Gen.Virol.74,1103−1113;Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461−7471;D’Souzaら,(1994)J.Gen.Virol.75,3469−3476;およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373−6380)。NS2/3切断活性に必須のタンパク質領域は、HCVオプンリーディングフレームのアミノ酸893−1207にほぼ位置づけされている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.90,10583−10587;Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;およびSantoliniら,(1995)J.Virol.69,7461−7471)。
【0029】
NS2/3切断の触媒メカニズムは未知であるが、メタロプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼであると推測されており(Wuら,(1998)Trends Biochem.Sci.23,92−94;およびGorbalenyaら,(1996)Perspect.Drug Discovery Design,64−86)、NS2のN末端は膜貫通ポリペプチドであると考えられている(Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461)。インビトロ翻訳されたNS2/3の切断活性はEDTAにより抑制され、この活性は金属イオンの再添加により回復する(Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665−4675;およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373−6380)。
【0030】
NS2/3プロセシングおよびHCV複製のインヒビターの特定
NS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制するHSP90標的化化合物を特定するためには、種々のアッセイ形態を用いることができる。一般的なアッセイ形態の一例は、まず、HSP90と相互作用する化合物を特定し、ついで、そのような化合物がNS2/3切断またはHCV複製をも抑制するか否かを判定することを含む。
【0031】
HSP90と相互作用する化合物は、HSP90に直接的に結合するか、またはHSP90のパートナータンパク質(例えば、シャペロン複合体中に存在するもの)と相互作用しうる。化合物がHSP90と相互作用する能力は、結合アッセイおよび物理的会合アッセイの実施のような種々の方法で測定することができる。
【0032】
結合アッセイは、HSP90またはHSP90シャペロン複合体への化合物の結合能を測定するものである。HSP90またはHSP90シャペロン複合体への化合物の結合能を測定するためには、種々の結合アッセイ形態を実施することができる。種々のアッセイ形態の具体例には、競合的および非競合的なものが含まれる。結合アッセイのための好ましい標的はATP結合部位である。
【0033】
HSP90またはHSP90シャペロン複合体に結合すると特定された化合物を、検出可能部分で標識し、HSP90またはHSP90シャペロン複合体への他の化合物の結合能の評価に使用することができる。適当な検出可能部分には、放射性同位体および蛍光団が含まれる。好ましくは、個々の検出可能部分は、該部分がHSP90またはHSP90シャペロン複合体への結合に実質的に影響を及ぼさないように選択され化合物上に配置される。
【0034】
物理的会合アッセイは、HSP90またはHSP90シャペロン複合体が作用するNS2/3断片を含むポリペプチドに対するHSP90の会合を測定するものである。HSP90とNS2/3との会合を測定するための技術には、HSP90またはNS2/3に特異的な結合剤を使用するものが含まれる。そのような結合剤は、例えば、ゲルまたはカラム画分中のHSP90およびNS2/3の存在を示すために使用することができる。
【0035】
特異的結合剤の一例として、抗体が挙げられる。HSP90およびNS2/3に特異的な抗体は、標準的な免疫学的技術を用いて産生させることができる。抗体を産生させ使用するための一般的技術は、Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、およびHarlowら,Anitibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されている。
【0036】
HSP90またはHSP90シャペロン複合体と相互作用すると確認された化合物を更に、NS2/3プロセシングまたはHCV複製に対する効果に関して試験することができる。NS2/3プロセシングの抑制は、NS2/3自己切断を測定することによりアッセイすることができる。HCV複製の抑制は、HCVに感染した対象におけるHCVレベルの変化を測定することによりアッセイすることができる。HCV感染に感受性の対象には、チンパンジーが含まれる(Majorら,(1999)Journal of Virology 73,3317−3325)。
【0037】
NS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制するための好ましい標的は、HSP90 ATP結合部位である。他の部位、例えば、HSP90の三次構造または他のHSP90活性に影響を及ぼす部位に結合する化合物を標的化し、それがNS2/3プロセシングまたはHCV複製を抑制する能力を試験することができる。
【0038】
アッセイは、個々の化合物を使用して又は種々の化合物を含有する調製物を使用して行うことができる。HSP90との相互作用、NS2/3切断の抑制またはHCV複製の抑制のような所望の効果を1以上の化合物が達成する種々の化合物を含有する調製物を、より小さなグループに分けて、所望の効果を有する特定の化合物を特定することができる。本発明の実施形態の1つにおいては、試験調製物は、HSP90との相互作用、NS2/3切断の抑制またはHCV複製の抑制を測定するアッセイにおいて、少なくとも10個の異なる化合物を含有する。
【0039】
投与
HSP90を標的化する化合物は、当技術分野でよく知られた技術と共に本明細書に記載の指針を用いて製剤化し患者に投与することができる。好ましい投与経路は、化合物の有効量が標的に到達することを保証する。一般的な医薬投与のための指針は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版,Gennaro編,Mack Publishing,1990、およびModern Pharmaceutics 第2版,BankerおよびRhodes編,Marcel Dekker,Inc.,1990(それらの両方を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
【0040】
適当な官能基を有する化合物は、酸性または塩基性塩として製造することができる。医薬上許容される塩(水溶性、油溶性または分散性産物の形態)には、例えば無機または有機性の酸または塩基から形成される通常の無毒性塩または第四級アンモニウム塩が含まれる。そのような塩の具体例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩のような酸付加塩;およびアンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような有機塩基との塩およびアミノ酸(例えばアルギニンおよびリシン)との塩のような塩基塩が含まれる。
【0041】
化合物は、経口、鼻腔内、注射、経皮および経粘膜経路を含む種々の経路により投与することができる。懸濁剤として経口投与する有効成分は、医薬製剤の分野でよく知られた技術に従い製造することが可能であり、かさ高さを付与するための微晶質セルロース、懸濁化剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および甘味剤/香味剤を含有しうる。即時放出錠剤としては、これらの組成物は、微晶質セルロース、リン酸二カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトース、および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤を含有しうる。
【0042】
鼻腔内エアゾールまたは吸入により投与する場合、組成物は、医薬製剤の分野でよく知られた技術に従い製造することができる。そのような組成物は、例えば、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤を使用して、フルオロカーボンを使用して、および/または他の可溶化剤または分散剤を使用して製造することができる。
【0043】
また、該化合物は、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下、局所(閉鎖(occlusion)の存在下または不存在下)または筋肉内形態で投与することが可能であり、すべて、製薬分野の当業者によく知られた形態を用いることができる。注射により投与する場合には、注射溶液または懸濁剤は、適当な無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤、例えばリンゲル液または等張塩化ナトリウム溶液、あるいは適当な分散または湿潤および懸濁化剤、例えば無菌無刺激性不揮発性油、例えば合成モノまたはジグリセリド、および脂肪酸、例えばオレイン酸を使用して製剤化することができる。
【0044】
坐剤の形態で直腸内に投与する場合、これらの製剤は、該薬物を、常温では固体であるが直腸腔内では液化および/または溶解して該薬物を放出する適当な無刺激性賦形剤(例えば、ココア脂、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコール)と混合することにより製造することができる。
【0045】
本発明の治療用途のための適当な投与計画は、患者の年齢、体重、性別および医学的状態;治療する状態の重傷度;患者の腎および肝機能;および使用する個々の化合物を含む当技術分野でよく知られた因子を考慮して選択される。
【0046】
毒性を伴うことなく効力を与える範囲内の薬物濃度を最適に正確に得るためには、標的部位に対する薬物のアベイラビリティーの速度論に基づく計画が必要である。これは、薬物の分布、平衡および消失の考慮を含む。患者に対する1日量は、0.01〜1,000mg/成人患者/日と予想される。
【0047】
(実施例)
本発明の種々の特徴を更に例示するために、以下に実施例を記載する。該実施例は、本発明を実施するための有用な方法をも例示する。これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0048】
実施例1:NS2/3の製造
NS2の全て及びNS3のほとんどを含むBK株のHCV残基810−1615(810−1615BKと称される)はプラスミドpCITE810−1615BK(Nicola La Monica博士から贈られた)から製造され、Pieroniら,(1997)J.Virol.71,6373に既に記載されている。BLP1でのプラスミドの線状化の後、RNAをT7 RNAポリメラーゼで転写し、精製した。タンパク質の翻訳は、標識として[35S]−メチオニンを使用してウサギ網状赤血球ライセート中、30℃で40分間にわたり行った。ついで、シクロヘキシミド(最終的には250μM)の添加により翻訳を阻止し、該サンプルを直ちにドライアイス上で凍結した。
【0049】
プロセシング実験の前に、翻訳されたNS2/3のアリコートを氷上で融解した。Pieroniら,(1997)J.Virol.71,6373に記載のとおり、1%のTriton X−100を含有する室温の溶液への添加により、810−1615BKのプロセシングを開始した。乾燥ゲル上の[35S]標識タンパク質の分布をホスホルイメージャー(Phosphorimager)(Molecular Dynamics)で測定した。産物のバンドを定量し、該ゲルレーン中の全シグナルに対する比率として表して、ゲルレーンのローディングにおけるばらつきが正規化されるようにした。インヒビターのIC50の計算のために示されるデータを得るためには、810−1615BKからの産物NS2を使用した。なぜなら、そのゲル上の移動は、より高い分子量のNS3断片より小さなバックグラウンドを有する領域におけるものであったからである。
【0050】
実施例2:NS2/3融合タンパク質の発現
pCDNA(Invitrogen)に由来するプラスミドpM3Aは、Ubi−849−1207J−BLAと称される融合タンパク質をコードしており、該融合タンパク質は、ユビキチンをそのN末端に含有し、それに続いて、細菌性TEM−1 β−ラクタマーゼにC末端で連結したNS2/3残基849−1207(J株)を含有する。この構築物中のNS3プロテアーゼドメインは不活性化性突然変異S1165Aを有し、これはNS2/3プロセシング活性には影響を及ぼさない。この構築物のRNA合成はT7プロモーターにより駆動される。実施例1に記載のとおり、翻訳するために、RNAを別に調製した。ウサギ網状赤血球ライセート中での翻訳に際して、該ユビキチンは細胞性ユビキチンヒドロラーゼにより該タンパク質から直ちに切断される(Hochstrasser,(1996)Annual Review of Genetics 30,405)。
【0051】
切断可能な連結(配列番号1)が、ユビキチン↓ArgHisGlySerGluPhe−NS2/3として存在する。この構築物の翻訳は、いくつかのプロセシングされたNS2およびNS3産物を不可避的に産生した。なぜなら、J株のNS2/3プロセシングは、BK株からのNS2/3のようには界面活性剤も膜も必要としないからである。そのため、翻訳は30分間に限定された。室温でのプロセシングの定量は、シクロヘキシミドの添加の直後に調製したサンプルと、より後の時点のサンプルとの比較によるものであった。
【0052】
実施例3:再構成実験
実施例1に記載のとおりに、ウサギ網状赤血球ライセート中、[35S]−Met標識を行いながらNS2/3(810−1615BK)を合成した。翻訳された[35S]−メチオニン標識NS2/3 810−1615BKを含有するライセートを、20mM Tris−HClバッファー(pH7.5)中で平衡化されたP−6ポリアクリルアミドゲル(Bio−Rad;排除限界6000Da)を含有する遠心カラムを介して遠心分離した。ウサギ網状赤血球ライセート(Promega)をAmicon Microcon−10ユニットで濾過して、10kDaの濾液を得た。
【0053】
10,000Da未満の溶質を含有するウサギ網状赤血球ライセート濾液(10kDa濾液)中への該標識ライセート画分の10倍希釈は、既に記載されている未希釈ライセート中で観察されたもの(Darkeら,(1999)J.Biol.Chem.274,34511)に類似した度合のNS2/3切断を支持した。水またはバッファー中に希釈された同じ物質はNS2/3をプロセシングしなかった。
【0054】
細胞成分に加えて、市販のウサギ網状赤血球ライセートは、DTT、KOAc、GTPおよびクレアチンリン酸で補足される。該濾過ライセートを、該カラムバッファー中に、または1mM ATP、1.5mM Mg(OAc)2、2mM DTTおよび79mM KOAcの組合せを含有するバッファー中に、10倍希釈した。いくつかのサンプルにおいては、KOAcの量が様々であり(20mM〜237mM)、あるいはATPの代わりにATPγSが使用された。プロセシングを、1%までのTriton X−100の添加により開始し、等容積のSDSサンプルバッファーで30分後に停止した。結果を表1に示す。表1においては、活性は、該10kDa濾液対照の存在下で達成されたプロセシングの量に対する割合(%)として表されている。
【0055】
【表1】
【0056】
プロセシングを支持する該10kDa濾液の成分は熱またはトリプシンでの処理に対して安定であり(熱処理は100℃で3分間であり、トリプシン処理は0.1mg/mlで2時間、ついで2倍過剰の膵トリプシンインヒビターで処理した)、このことは非タンパク質性を示唆している。ウサギ網状赤血球ライセート中に存在することが知られている低分子量化合物を、個々に又は組合せて、それらがプロセシングを支持する能力に関して調べた。
【0057】
単独で又はペアではプロセシングを完全に支持した成分はなかったが、表1に示すとおり、ATPと塩の組合せとを含有する溶液は、該10kDa濾液で達成されたものと比較しうるレベルでプロセシングを可能にした。この組合せにおいてATPの代わりにATPγSを使用すると、プロセシングの喪失が生じた。このことは、該ATP寄与がADPへの加水分解を要することを示唆している。
【0058】
実施例4:ATPの枯渇またはATP類似体の使用によるNS2/3プロセシングの抑制
NS2/3プロセシングにおけるATPの役割を示す再構成実験を補足するために、1%までのTriton X−100の添加によりプロセシングを開始する前にグルコース+ヘキソキナーゼで処理することにより、翻訳された[35S]標識NS2/3(810−1615BK)を含有するウサギ網状赤血球ライセートからATPを枯渇させた。グルコースもヘキソキナーゼも単独では有意な影響を及ぼさなかったが、グルコースのリン酸化においてATPを消費するそれらの2つの組合せは、プロセシングを60%抑制した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
別法として、ATPγSまたはAMP−PNP(ATPの非加水分解性類似体である)の添加で、抑制が観察された(表2)。該抑制の力価測定は、ATPγSまたはAMP−PNPに関してそれぞれ2mMおよび4mMのIC50値を与え、試験した最大濃度(5mM)における抑制はそれぞれ77%および60%であった(これらの反応内には残留ATPも約1mMの濃度で存在するため、完全な抑制は予想されない)。ATPγSによる抑制は、ユビキチン−NS2/3−βラクタマーゼよりなる融合タンパク質(Ubi−849−1207J−BLA)として発現されるHCVのJ株由来のNS2/3でも観察された。
【0061】
実施例5:NS2/3活性の抑制
ATPの関与は、該プロセシングの段階におけるATP依存性細胞シャペロンの関与と符合する。2つの関連ベンゾキノンアンサマイシンであるゲルダナマイシンおよびハービマイシンA、ならびに大環状抗生物質であるラディシコールは、ATP部位での結合によりHSP90を特異的に抑制する化合物の具体例である(Roeら,(1999)J.Med.Chem.42,260)。
【0062】
インビトロ合成前駆体810−1615BKに添加したゲルダナマイシン、ハービマイシンAおよびラディシコールで、NS2/3プロセシングの抑制が観察された(50%まで)。該実験の合成期中に及びNS2/3プロセシングにおいて化合物を含有させた場合には、いくらか大きなプロセシング抑制が用量依存的に観察された(表3)。該化合物はタンパク質合成の全体的な効率には何ら影響を及ぼさず、NS2/3融合タンパク質Ubi−849−1207J−BLAを使用して同様の抑制効力が観察された。
【0063】
【表3】
【0064】
NS2/3プロセシング反応を810−1615BKで行った。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの抑制効果を、ペプチド抑制滴定に関して既に記載されている技術(Darkeら,(1999)J.Biol.Chem.274,34511)を用いて滴定した。インヒビターをDMSOに溶解し、光から防護した。DMSOの最終濃度がインビトロ実験では2%、細胞に基づくアッセイでは1%となるよう、DMSO中で希釈を行った。ゲルダナマイシンおよびラディシコールの滴定は、HSP90が作用する他のタンパク質の類似インビトロ研究(Huら,(1996)P.N.A.S.USA93,1060;Thulasiramanら,(1996)Biochemistry 35,13443(1996),Schneiderら,(1996)P.N.A.S.USA 93,14536)で観察されているのと同様の低いマイクロモル範囲のEC50を与えた(表4)。
【0065】
【表4】
【0066】
実施例6:NS2/3とHSP90との間の物理的会合
インビトロ翻訳されたNS2/3とHSP90との物理的会合に関する証拠を免疫沈降により得た。モノクローナルIgM抗体3G3(抗HSP90、Affinity Bioreagents)およびTEPC−183(対照、Sigma)は、HSP90の免疫沈降における使用に関して既に記載されている(McGuireら,(1994)Molecular and Cellular Biology 14,2438)。ルシフェラーゼRNAをPromegaから入手した。架橋抗体により該一次抗体を固体支持体に結合させることにより、イムノアフィニティービーズを調製した。
【0067】
プロテインG−アガロース(Boehringer)を使用して、ヤギ抗マウス免疫グロブリンM(IgM)(5mg/mlゲル)を4℃で一晩固定化した。ついで該モノクローナル抗HSP90抗体3G3または等濃度の対照マウスIgM抗体TEPC−183を該固定化抗マウスIgMと一緒にした。HSP90およびいずれかの会合タンパク質を免疫沈降させるために、翻訳された[35S]標識NS2/3を含有するライセートを、実質的には文献記載(McGuireら,(1994)Molecular and Cellular Biology 14,2438)のとおりに、該ビーズと共にインキュベートした。4℃で2時間の結合の後、該ビーズを洗浄し、SDSサンプルバッファーに懸濁させ、95℃に加熱した。免疫沈降物をSDS/14% ポリアクリルアミドゲル上で分離した。
【0068】
図1に示すとおり、モノクローナルIgM抗体でのHSP90の免疫沈降は、BKまたはJ株に由来するNS2/3(810−1615BKおよびUbi−849−1207J−BLA)を免疫共沈降させた。対照IgM抗体TEPC−183は、関心のあるタンパク質の最小量を免疫沈降させたに過ぎなかった。一方、対照タンパク質である翻訳されたホタルルシフェラーゼでは、HSP90との会合は観察されなかった(図1)。この結果は、de novo合成されたNS2/3が溶液中でHSP90と安定な複合体を形成することを示している。
【0069】
実施例7:NS2/3とHSP90との会合の抑制
NS2/3でのHSP90の免疫沈降をゲルダナマイシンが妨げる能力を調べた。[35S]標識NS2/3を、網状赤血球ライセート中、10μM ゲルダナマイシンの不存在下または存在下で合成した。ゲルダナマイシンの存在下では、該抗HSP90 mAbと共に免疫共沈降するNS2/3の量は60%減少した(図1B)。したがって、ゲルダナマイシンによるNS2/3プロセシングのいくらかの抑制は、翻訳中または翻訳直後のNS2/3とのHSP90の会合の妨害に帰されうる。
【0070】
実施例8:NS2/3切断の細胞に基づく抑制
生きた細胞においてHSP90がNS2/3プロセシングに必須であるという概念の証明が、NS2/3を発現する細胞をHSP90インヒビターで処理することにより得られた。ネオマイシンで選択可能なトランスフェクションベクターの使用により、ジャーカット細胞におけるNS2/3の安定発現が得られた。ネオマイシン(G418)耐性を付与するプラスミドpUbBla3X−NS2/3−3Aは、N末端に結合した3つのユビキチンドメインおよびC末端におけるβ−ラクタマーゼとNS2/3タンパク質との融合体を発現する。その完全な未切断タンパク質は、5〜10分と推定されるインビボ半減期を有する。
【0071】
プラスミドpUbBla3X NS2/3−3Aをジャーカット細胞内にトランスフェクトした。該プラスミドのCMVプロモーター駆動性ORFは、91kDaのタンパク質、ユビキチン−ユビキチン−ユビキチン−NS2/3−β−ラクタマーゼをコードしており、その3つのユビキチンドメインのC末端はユビキチンC末端ヒドロラーゼに対して非切断性となっている(ユビキチンC末端配列ArgLeuArgGlyVal、配列番号2)。該NS2/3領域はHCV残基849−1207を含む。該β−ラクタマーゼドメインは大腸菌(E.coli)由来のTEM−1である。該β−ラクタマーゼ部分の発現は、発蛍光性で細胞透過性の基質であるCCF2で容易に検出される(Zlokarnikら,(1998)Science 279,84)。
【0072】
β−ラクタマーゼの発現を示すために、CCF2での処理により、トランスフェクタントをFACSにより選別し(Zlokarnikら,(1998)Science 279,84)、個々のクローンをG418選択下で増殖させた。発現された完全な融合タンパク質は、そのユビキチンN末端タグのため、ユビキチン指向性プロテオソーム分解に非常に不安定であり、一方、NS2/3切断のC末端産物であるNS3−β−ラクタマーゼは数時間にわたり安定である。したがって、CCF2加水分解(高い460nm/530nm比率)により示されるβ−ラクタマーゼ活性の細胞内での増加はNS2/3切断の達成を示し、β−ラクタマーゼ活性の抑制はNS2/3抑制を示す。
【0073】
これに関連して、プロセシングをなし得ないNS2/3突然変異体C993Aは、該細胞のβ−ラクタマーゼ活性を約8倍減少させる。NS2/3切断活性に必須のタンパク質領域は、HCVオープンリーディングフレームのアミノ酸989−1207にほぼ位置づけされている。保存された切断部位配列はArgLeuLeu↓AlaProIle(配列番号3)である。Cys993およびHis952は必須残基とされている(Grakouiら,(1993)P.N.A.S.USA 90,10583,Selbyら,(1993)J.Gen.Virol.74,1103,Hijikataら,(1993)J.Virol.67,4665,Santoliniら,(1995)J.Virol.69,7461,D’Souzaら,(1994)J.Gen.Virol.75,3469およびPieroniら,(1997)J.Virol.71,6373を参照されたい)。
【0074】
NS2/3自己切断は、N末端における不安定化性ユビキチン分解シグナルをNS3−β−ラクタマーゼC末端産物から分離して、細胞内のβ−ラクタマーゼ活性を安定化する。この系を用いて、図2に示すとおり、哺乳類細胞内でのNS2/3プロセシングに対するHSP90インヒビターの抑制効力を測定した。ゲルダナマイシンおよびラディシコールは、この関連におけるNS2/3切断の強力なインヒビターであり、それぞれ40nMおよび13nMのIC50値を有する。また、抑制は、試験した最高濃度においてはほぼ完全である(図2)。この結果は、細胞内のHSP90活性を抑制するのに要するゲルダナマイシンの濃度が、インビトロで要するものより遥かに低い点で、他のHSP90活性に関して他の研究者が見出しているもの(Huら,(1996)P.N.A.S.USA 93,1060,Holtら,(1999)Genes Dev.13,817)と比較しうるものである。
【0075】
アフィニティー標識(Chavanyら,(1996)J.Biol.Chem.271,4974)およびアフィニティークロマトグラフィー(Schneiderら,(1996)P.N.A.S.USA 93,14536,Whitesellら,(1994)P.N.A.S.USA 91,8324,およびSchulteら,(1998),Cell Stress and Chaperones 3,100)により示されるとおり、ゲルダナマイシンは細胞内でHSP90と特異的に相互作用する。したがって、NS2/3切断に関する観察された抑制はHSP90により媒介されるものである。
【0076】
他の実施形態も特許請求の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態を示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の修飾を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HSP90とのNS2/3の物理的会合を示す図である。
【図2】HSP90インヒビターが、細胞に基づくアッセイにおいてNS2/3切断を抑制することを示す図である。
Claims (18)
- C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した細胞においてHCVの複製またはプロセシングを抑制する方法であって、HSP90インヒビターの有効量を該細胞に与える工程を含んでなる方法。
- 該HSP90インヒビターがHSP90へのATPの結合を抑制する、請求項1記載の方法。
- 該HSP90インヒビターがゲルダナマイシンである、請求項1記載の方法。
- 該HSP90インヒビターがハービマイシンAである、請求項1記載の方法。
- 該HSP90インヒビターがラディシコールである、請求項1記載の方法。
- 該方法をインビトロで行う、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- HCVのプロセシングを抑制する、請求項1記載の方法。
- HCVの複製を抑制する、請求項1記載の方法。
- NS2/3活性を含むポリペプチドにHSP90インヒビターの有効量を与える工程を含んでなる、NS2/3の切断を抑制する方法。
- 該HSP90インヒビターがゲルダナマイシン、ハービマイシンAまたはラディシコールである、請求項9記載の方法。
- 該HSP90インヒビターがHSP90へのATPの結合を抑制する、請求項9記載の方法。
- 患者においてHCVの複製を抑制する方法であって、HSP90インヒビターの有効量を該患者に投与する工程を含んでなる方法。
- 該HSP90インヒビターがHSP90へのATPの結合を抑制する、請求項12記載の方法。
- 該HSP90インヒビターがゲルダナマイシン、ラディシコールまたはハービマイシンAである、請求項12記載の方法。
- a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および
b)NS2/3の切断を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、NS2/3プロセシングのインヒビターを同定する方法。 - a)HSP90活性を化合物が抑制する能力を測定する工程、および
b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法。 - 該工程(a)が、HSP90がATPに結合するのを該化合物が抑制する能力を測定する、請求項16記載の方法。
- a)NS2/3活性を含むポリペプチドへのHSP90の会合を化合物が抑制する能力を測定する工程、および、
b)HCVの複製を該化合物が抑制する能力を測定する工程を含んでなる、HCV複製のインヒビターを同定する方法。
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