JP2005509160A - C型肝炎ウイルス侵入阻害剤のスクリーニング - Google Patents

C型肝炎ウイルス侵入阻害剤のスクリーニング Download PDF

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Abstract

本発明はHCVの細胞結合を阻害する化合物のスクリーニング方法、HCVの細胞侵入の阻害方法、及びHCV感染を積極的又は予防的に治療する方法に関する。各方法はスカベンジャー受容体クラスBタイプIがHCV E2の細胞結合のターゲット部位として同定されたことに基づく。

Description

本発明はC型肝炎ウイルス侵入阻害剤のスクリーニングに関する。
本明細書に引用する文献は本発明の先行技術とは認められない。
世界人口の約3%がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していると推定される(Wasleyら,Senzin.Liver Dis.20:1−16,2000.)。HCVに暴露されると、ごく一部の場合は顕在的急性疾患を発症するが、殆どの場合にウイルスは慢性感染となり、肝炎症を誘発し、ゆっくりと進行して肝不全や肝硬変に至る(Straderら,ILAR J.42:107−116,2001.)。疫学調査によると、HCVは肝細胞癌の発症に重要な役割を果たす(Straderら,ILAR J.42:107−116,2001.)。
HCVは多数の異なる遺伝子型(1〜6)とサブタイプ(a〜c)に分類することができる。遺伝子型とサブタイプの分布は地理的及び危険グループ間で異なる(Robertsonら,Arch Virol.143:2493−2503,1998.)。
HCVゲノムは約3000アミノ酸の前駆体ポリ蛋白質をコードする約9.5kbの1本鎖RNAから構成される(Chooら,Science 244:362−364,1989,Chooら,Science 244:359−362,1989.)。HCVポリ蛋白質はC−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5ANS5Bの順にウイルス蛋白質を含む。前駆体ポリ蛋白質が開裂されると、成熟構造及び非構造ウイルス蛋白質となる(Neddermannら,Biol.Chem.378:469−476,1997.)。
その感染サイクルの一部として、HCVは細胞に侵入する。LDL受容体とCD81分子は推定HCV受容体として同定されている。LDL受容体はウイルスに結合したLDL粒子と結合することによりウイルスインターナリゼーションを媒介することが示唆されている(Agnelloら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:12766−12771,1999.)。CD81分子はHCV遺伝子型1aに由来する組換えエンベロープ蛋白質E2に基づくHCV E2と結合する(Pileriら,Science 282:938−941,1998.)。
本発明はHCVの細胞結合を阻害する化合物のスクリーニング方法、HCVの細胞侵入の阻害方法、及びHCV感染を積極的又は予防的に治療する方法に関する。各方法はスカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR−BI)がHCV E2の細胞への結合の標的部位として同定されたことに基づく。
HCVの細胞侵入を阻害するためにSR−BIを標的とするには、(a)HCVのSR−BIへの結合に関連する活性、(b)SR−BIにより媒介されるHCVインターナリゼーションに関連する活性(SR−BIのHCVへの結合の下流の活性を含む)、及び(c)SR−BIの機能的表面発現に関連する活性の1種以上を阻害することにより達成することができる。
従って、本発明の第1の側面はHCV E2ポリペプチドの細胞への結合能を阻害する化合物のスクリーニング方法に関する。本方法は、SR−BI又はその機能的誘導体を、SR−BI HCV E2結合部位と結合するポリペプチド及び試験化合物と接触させる段階と、試験化合物がポリペプチドとSR−BI又はその機能的誘導体との結合を阻害する能力を測定する段階を含む。
「化合物」又は「試験化合物」とは個別の化学実体を意味する。化合物なる用語は異なる寸法と組成の分子を含む。化合物の例としては小分子、ペプチド、ポリペプチド、抗体及び核酸が挙げられる。
「SR−BI HCV E2結合部位」は少なくともHCV1aに由来するHCV E2ポリペプチドがSR−BIと結合する部位である。後記実施例ではこのようなHCV1a由来HCV E2ポリペプチドの1例を示す。HCV1aのSR−BI結合能と言う場合には、他のHCV株に由来するHCV E2のSR−BIへの結合を排除しない。例えば、HCV1b等の他のHCV株に由来するHCV E2が天然ヒトSR−BI HCV E2結合部位に結合する場合もある。
SR−BI及びSR−BIの機能的誘導体は、配列番号1に含まれる少なくとも20連続アミノ酸のSR−BIアミノ酸配列領域を含み、少なくともHCV1aに由来するHCV E2と結合することができる。
配列番号1はヒトSR−BI配列を示す。配列番号1に示すような少なくとも20連続アミノ酸の存在はSR−BI又はその機能的誘導体を他の蛋白質から区別する構造タグを提供する。
「阻害」又は「阻害する」と言う場合には、検出可能な活性低下を意味する。少なくとも約50%、少なくとも約75%、又は少なくとも約95%の活性低下が好ましい。
本発明の別の側面はSR−BI活性を阻害する化合物のスクリーニング方法に関する。本方法は(a)SR−BI又はその機能的誘導体を発現することが可能な細胞を、SR−BI HCV E2結合部位と結合するポリペプチド及び試験化合物と接触させる段階と、(b)試験化合物が(i)HCVとSR−BI又はその機能的誘導体の結合に関連する活性、(ii)HCVインターナリゼーションに関連する活性、及び(iii)SR−BI又はその機能的誘導体の機能的表面発現の1種以上を阻害する能力を測定する段階を含む。
本発明の1態様では、SR−BI HCV E2結合部位と結合するポリペプチドを加える前に試験化合物をSR−BIと共にプレインキュベートする。試験化合物の存在下のプレキュベーションはSR−BI機能的表面発現阻害剤の好適アッセイ方法である。
ポリペプチドを「発現することが可能」と言う場合には、発現阻害剤の不在下でポリペプチドが検出可能な量で発現され、HCV結合又はHCVインターナリゼーションに関連する検出可能な活性をもつことを表す。発現阻害剤としては、SR−BIをコードする核酸の活性を低下させることが可能なアンチセンス核酸やリボザイム等の化合物や、SR−BIの機能的表面発現を転写又は転写後レベルで調節することができる化合物が挙げられる。
機能的表面発現を転写後レベルで調節する化合物としては、脂質ラフト膜区画(「ラフトドメイン」と言う)に作用してSR−BI活性を変化させる化合物が挙げられる。このような化合物により変化させることができるSR−BI活性としてはHCV結合やインターナリゼーションが挙げられる。
本発明の別の側面はHCVの細胞侵入の阻害方法に関する。本方法は細胞をSR−BI E2結合アンタゴニストと接触させる段階を含む。
「SR−BI E2結合アンタゴニスト」は天然HCV E2と配列番号1のSR−BIの結合を少なくとも阻害することができる。SR−BI E2結合アンタゴニストは少なくともHCV1a由来HCV E2の結合を阻害することが好ましい。
本発明の別の側面はHCV感染患者の治療方法に関する。本方法はSR−BI活性又は機能的表面発現を低下させる段階を含む。
本発明の他の特徴と利点は各種実施例を含む以下の付加説明に明示される。後記実施例は本発明の実施に有用な各種要素と手法を例示する。実施例は特許請求の範囲に記載した発明を限定するものではない。本開示に基づき、当業者は本発明の実施に有用な他の要素と手法を認識し、利用することができる。
ここでSR−BIをHCV受容体と認定する。SR−BIとHCVとの結合はCD81に依存しない。特定理論に限定するものではないが、SR−BIはE2ウイルス糖蛋白質とラフトドメインとの相互作用を媒介することにより優先的HCV侵入部位を提供するものと思われる。
天然SR−BIは肝細胞とステロイド産生組織で高度に発現され、コレステロールとリン脂質の選択的細胞取込みを媒介する(Actonら,Science 271:518−520,1996,Urbanら,J.Biol.Chem.275:33409−33415,2000.)。SR−BI及び他のスカベンジャー受容体はアセチル化LDL及び酸化LDLの両者の修飾脂質粒子を認識する。他のスカベンジャー受容体とは対照的に、SR−BIは天然HDL及びLDLとも高親和性で結合する(Actonら,Science 271:518−520,1996.)。
SR−BIはラフトドメインに局在するとされている。ラフトドメインは脂質二重層の特殊物理状態である液体秩序相であると考えられる(Brownら,Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.14:11−136,1998,van der Gootら,Semin.Immunol.13:89−97,2001.)。ラフトドメインに局在する蛋白質は冷温非イオン界面活性剤抽出に耐性である(界面活性剤耐性膜)(Londonら,Biochim.Biophys Acta.1508:182−195,2000.)。
ラフトドメインに局在する蛋白質はGPI膜アンカー型又は脂肪アシル化型である(Brownら,Annu.Rev.Cell.Dev Biol.14:11−136,1998.)。SR−BIは脂肪アシル化型蛋白質である(Babittら,J.Biol.Chem.272:13242−13249,1997.)。
ラフトドメインは病原体の優先的侵入部位であり、病原体に通常の分解経路から逃れる道を提供しているようである(van der Gootら,Semin.Immunol.13:89−97,2001)。ラフトドメイン成分を標的とすることにより細胞に侵入すると思われる病原体の例としてはSV40、エコウイルス、HIV及びHTLV−1が挙げられる(Bergelsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:6245−6249,1994,Manesら,EMBO Rep.1:190−196,2000,Niyogiら,J.Virol.75:7351−7361,2001,Partonら,Immunol.Rev.168:23−31,1999,van der Gootら,Semin.Immunol.13:89−97,2001.)。
SR−BIがHCV E2結合の部位であるとわかったことにより、HCV感染サイクルを検討し、HCV複製又は感染を阻害するために調節可能な標的が提供される。試験化合物がSR−BIとHCV E2との相互作用を調節する能力は、例えば天然SR−BI又はHCV E2に結合するその誘導体、SR−BI HCV E2結合部位に結合する化合物、及び試験化合物を利用するアッセイを使用して評価することができる。
HCV E2とSR−BIの相互作用を阻害することが判明した試験化合物は、例えばSR−BI HCV E2相互作用の調節がHCV複製又は感染に及ぼす効果を検討するために使用することができる。薬効や許容不能な毒性の欠如等の適切な薬理特性をもつこのような試験化合物は患者のHCV感染を治療又は抑制するために使用することができる。
スカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR−BI)
SR−BIとHCV E2の相互作用のモジュレーターをスクリーニングするために使用されるSR−BIとその機能的誘導体は少なくともHCV1aに由来するHCV E2と結合することができる。SR−BI及びSR−BIの機能的誘導体は配列番号1に含まれる少なくとも20連続アミノ酸のSR−BIアミノ酸配列領域を含む。配列番号1に示すような少なくとも20連続アミノ酸の存在はSR−BIを他の蛋白質から区別するタグを提供する。
SR−BIはヒト、ハムスター、マウス及びラット等の哺乳動物起源から得ることができる。特定起源から得られるSR−BIがHCV E2と結合する能力は後記実施例に記載するような技術を使用して確認することができる。天然SR−BIアミノ酸及び核酸配列の例は配列番号1、配列番号2により示し、Acton,米国特許第5,998,141号、Calvoら,J.Biol.Chem.268:18929−18935,1993、Actonら,J.Biol.Chem.269:21003−21009,1994、Caoら,J.Biol.Chem.272:33068−33076,1997及びWebbら,J.Biol.Client.24:15241−15248,1998等の文献にも記載されている。
HCV E2ポリペプチドの細胞結合能を阻害するか又はSR−BI活性を阻害する化合物のスクリーニング方法はヒトSR−BI又はその機能的誘導体を利用することが好ましい。ヒトSR−BIは文献中でCLA−1とも呼ばれている。HCV E2と結合するSR−BIのスプライス変異体又はアイソフォーム、及び種々の多形も、少なくとも20アミノ酸タグの存在があれば、SR−BIの定義に含まれる。
当分野で公知のSR−BI配列に基づき、SR−BIをコードする付加天然核酸、好ましくはヒト起源の核酸を得ることができる。ブローブ、ブライマー並びに縮重ブローブ及びプライマーを利用する技術等の当分野で周知のクローニング技術を使用してSR−BIをクローニングすることができる。
縮重ブローブ及びプライマーセットは遺伝コードの縮重を考慮して作製することができる。ハイブリダイゼーション条件は類似配列をもつ核酸とのハイブリダイゼーションを可能とするようにブローブ又はブライマー特異性を制御するように選択することができる。
ハイブリダイゼーション検出及びPCRクローニングに使用する技術は当分野で周知である。核酸検出技術は例えばSambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989に記載されている。PCRクローニング技術は例えばWhite,Methods in Molecular Cloning,volume 67,Humana Press,1997に記載されている。
HCV E2と結合する天然SR−BIを使用して機能的変異体を生産することができる。変異体としては1箇所以上のアミノ酸変異をもつ天然SR−BIが挙げられる。アミノ酸変異は置換、付加及び欠失である。HCVとの結合、SR−BI機能発現及びHCVインターナリゼーション等のSR−BI活性は本明細書に記載する指針に基づいて測定することができる。
変異体の設計には天然アミノ酸R基の差異を考慮することができる。物理的寸法、電荷及び疎水性等のアミノ酸の種々の性質はR基に左右される。アミノ酸は中性疎水性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン及びメチオニン)、中性極性(グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、アスパラギン及びグルタミン)、塩基性(リジン、アルギニン及びヒスチジン)、及び酸性(アスパラギン酸及びグルタミン酸)等の種々の群に分類できる。
一般に、各種アミノ酸を置換する際には、類似性質をもつアミノ酸を交換することが好ましい。ロイシンをバリンに、リジンをアルギニンに及びグルタミンをアスパラギンに等の特定群内の各種アミノ酸の置換はポリペプチドの機能に変化を生じない良好な候補である。
各種アミノ酸群外の置換も可能である。このような置換は置換するアミノ酸のポリペプチド内の位置を考慮して行うことが好ましい。例えば、アルギニンは脂肪族側鎖が長いため、ポリペプチドの内部の非極性アミノ酸にグルタミン酸よりも自由に置換することができる(Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998,Supplement 33 Appendix 1C参照)。
配列番号1はSR−BI機能的変異体を含めたSR−BIの参照配列を示す。異なる態様において、SR−BI又はその機能的変異体は、配列番号1に存在する少なくとも連続50アミノ酸を含むか、配列番号1に存在する少なくとも連続75アミノ酸を含むか、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10箇所のアミノ酸変異をもつ配列番号1を含むか、あるいは配列番号1に実質的に類似する配列を含む。
「実質的に類似する配列」とは参照配列に対して少なくとも約65%の一致度を表す。従って、例えば配列番号1に実質的に類似するアミノ酸配列をもつポリペプチドは配列番号1に対して少なくとも約65%の総アミノ酸一致度をもつ。各種態様において、実質的に類似する配列とは少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約95%又は100%の配列一致度を意味する。
アミノ酸配列一致度は第1のポリペプチドのアミノ酸配列を第2のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して配列アラインメントを作成する当分野で周知の方法により測定することができる。アミノ酸一致度は同一アミノ酸をもつ整列残基対数を計数することによりアラインメントから計算することができる。
配列一致度の測定方法としては、Schuler,G.D.,Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Baxevanis,A.D.and Ouelette,B.F.F.,eds.,John Wiley & Sons,Inc,2001; Yonaら,Bioinformatics:Sequence,Structure and Databanks,Higgins,D.and Taylor,W.eds.,Oxford University Press,2000;及びBioinformatics:Sequence and Genome Azalysis,Mount,D.W.,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001に記載されている方法が挙げられる。アミノ酸配列一致度の測定方法はGAP(Wisconsin Package Version 10.2,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wise.)、BLAST(Altschulら,J.Mol.Biol.215(3):403−10,1990)及びFASTA(Pearson,Methods in Enzymology 183:63−98,1990,R.F.Doolittle,ed.)等の公共入手可能なプログラムで体系化されている。
本発明の1態様では、2種のポリペプチド間の配列一致度はGAPプログラム(Wisconsin Package Version 10.2,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisc.)を使用して測定される。GAPはNeedlemanとWunschのアラインメント法を使用する(Needlemanら,J.Mol.Biol.48:443−453,1970.)。GAPは2種の配列間の可能な全アラインメントとギャップ位置を考慮し、マッチ残基数が最大で且つギャップ数と寸法が最小になるような総合アラインメントを作成する。スコアリングマトリックスを使用してシンボルマッチに値を割り当てる。更に、ギャップのアラインメント挿入を制限するにはギャップ生成ペナルティとギャップ延長ペナルティが必要である。GAPを使用するポリペプチド比較のデフォルトプログラムパラメーターはBLOSUM62(Henikoffら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915−10919,1992)、アミノ酸スコアリングマトリックス(MATrix=blosum62.cmp)、ギャップ生成パラメーター(GAPweight=8)、及びギャップ延長パラメーター(LENgthweight=2)である。
ポリペプチドのSR−BI HCV E2結合部位への結合
SR−BI HCV E2結合部位と結合することが可能なポリペプチドは、HCV E2と同一部位に結合することが可能な領域を含む。SR−BIと結合するポリペプチド領域としては天然E2領域又はその結合フラグメント、このようなE2領域の誘導体又はその結合フラグメント、及びE2ミモトープか挙げられる。
SR−BI HCV E2結合部位と結合することが可能なポリペプチドは更にSR−BI結合に関与しない領域も含むことができる。非結合領域が存在している場合にもポリペプチドは少なくとも配列番号1のヒトSR−BIと結合できる。好適非結合領域は付加HCV領域と、結合の検出を容易にする領域である。
結合の検出を容易にする領域としては検出可能なラベルや、検出可能な領域が挙げられる。検出可能なラベルの例としては放射性ラベル、発光分子、ハプテン及び酵素基質等が挙げられる。検出可能な領域の例としては、抗体結合のエピトープを提供する領域や、他の型の化合物との特異的結合を提供する領域が挙げられる。
HCV E2結合ミモトープはHCV E2に無関係な一次構造をもつが、HCV E2と共通の結合特性をもつ。ミモトープの生産技術一般と各種HCV E2ミモトープについて記載した文献としてはFeliciら,米国特許第5,994,083とNicosiaら,国際出願WO 99/60132号が挙げられる.
ポリペプチド段がSR−BI E2結合部位と結合する能力は例えばSR−BIと結合することが既に示されているHCV E2ポリペプチドとの競合実験により測定することができる。このような実験は試験化合物としてSR−BI HCV E2結合部位と結合可能なポリペプチドを利用することにより実施することができる。
組換えSR−BI発現
HCV結合を阻害する化合物のスクリーニングはSR−BI又はその機能的誘導体を発現する組換え核酸を使用することにより容易になる。組換え発現させた受容体はポリペプチドに活性な化合物をスクリーニングするのにいくつかの利点、例えばポリペプチドの内因的発現が殆ど又は全くない細胞でポリペプチドを発現させることができ、組換え発現させたポリペプチドを含まない同一細胞を対照として使用する利点がある。例えば発現ベクターを使用してSR−BIをBHK−21又はCHO細胞で発現させることができ、発現ベクターを含まない同一細胞株を対照とすることができる。SR−BIを発現しない追加の細胞株はSR−BI抗体を利用する方法やSR−BI RNAを測定する方法等の技術を使用して特定することができる。
組換え「核酸」とは2箇所以上のヌクレオチド配列領域の人工的組み合わせをいう。人工的組み合わせは天然に存在しない。組換え核酸としては、第1のコーディング領域と調節因子又は第1のコーディング領域に天然に関連しない第2のコーディング領域をもつ核酸が挙げられる。組換えヌクレオチド配列は細胞ゲノム中に存在していてもよいし、発現ベクターの一部でもよい。
発現は発現ベクターを使用して宿主細胞で行うことが好ましい。発現ベクターはポリペプチドをコードする組換え核酸と、適正な転写及びプロセシングのための調節因子を含む。存在することができる調節因子としては、このポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に天然において伴われているものと、このヌクレオチド配列に天然において伴われていない外来調節因子が挙げられる。
一般に、発現ベクターに存在する調節因子としては転写プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、及び場合により存在するオペレーターが挙げられる。別の好適因子は真核細胞でのプロセシングを可能にするポリアデニル化シグナルである。発現ベクターは更に宿主細胞における自律複製のための複製起点、選択マーカー、制限数の有用な制限酵素部位、及び高コピー数の可能性を含むことが好ましい。発現ベクターの例はクローニングベクター、改変クローニングベクター、特殊設計プラスミド及びウイルスである。
組換え核酸を生産する代替手段は細胞ゲノムの改変である。細胞発現を増加できる改変の1種は極初期ヒトサイトメガロウイルスプロモーター等の強力プロモーターの使用である。細胞ゲノムの改変は例えばAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998に記載されている技術を使用して実施することができる。
特定アミノ酸配列と遺伝コードの既知縮重から出発し、多数の異なるコーディング核酸配列を得ることができる。遺伝コードの縮重が生じるのは、ほぼ全アミノ酸がヌクレオチドトリプレット即ち「コドン」の種々の組合せによりコードされるためである。アミノ酸は以下のようにコドンによりコードされる。
A=Ala=アラニン:コドンGCA,GCC,GCG,GCU
C=Cys=システイン:コドンUGC,UGU
D=Asp=アスパラギン酸:コドンGAC,GAU
E=Glu=グルタミン酸:GAA,GAG
F=Phe=フェニルアラニン:コドンUUC,UUU
G=Gly=グリシン:コドンGGA,GGC,GGG,GGU
H=His=ヒスチジン:コドンCAC,CAU
I=Ile=イソロイシン:コドンAUA,AUC,AUU
K=Lys=リジン:コドンAAA,AAG
L=Leu=ロイシン:コドンUUA,UUG,CUA,CUC,CUG,CUU
M=Met=メチオニン:コドンAUG
N=Asn=アスパラギン:コドンAAC,AAU
P=Pro=プロリン:コドンCCA,CCC,CCG,CCU
Q=Gln=グルタミン:コドンCAA,CAG
R=Arg=アルギニン:コドンAGA,AGG,CGA,CGC,CGG,CGU
S=Ser=セリン:コドンAGC,AGU,UCA,UCC,UCG,UCU
T=Thr=スレオニン:コドンACA,ACC,ACG,ACU
V=Val=バリン:コドンGUA,GUC,GUG,GUU
W=Trp=トリプトファン:コドンUGG
Y=Tyr=チロシン:コドンUAC,UAU。
所望配列をもつ核酸は化学及び生化学技術を使用して合成することができる。化学技術の例はAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998及びSambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989に記載されている。
生化学合成技術は核酸鋳型とDNA及び/又はRNAポリメラーゼ等の適当な酵素を使用する。このような技術の例としてはPCRや転写による増幅等のin vitro増幅技術とin vivo核酸複製が挙げられる。適切な技術の例はAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley,1987−1998、Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989及びKacianら,米国特許第5,480,784号に記載されている。
アッセイフォーマット
HCVとSR−BI又はその機能的誘導体の結合に関連する活性、HCVインターナリゼーションに関連する活性、及びSR−BI又はその機能的誘導体の機能的表面発現に関連する活性の測定には種々のアッセイフォーマットが利用できる。アッセイする活性に応じて全細胞、膜調製物及び精製SR−BIを使用してアッセイを行うことができる。
SR−BIとの結合を検出するための技術としては、検出可能なラベル又は領域を含むHCV E2ポリペプチドを利用する技術や、SR−BI HCV E2結合領域と異なる領域に対する二次抗体を利用する技術が挙げられる。利用可能なアッセイフォーマットとしてはFACS分析、シンチレーション近接アッセイ(「SPA」)、及び検出可能な抗体をSR−BI HCV E2結合領域と異なる領域に向けるサンドイッチ型アッセイが挙げられる。FACS分析に利用可能な技術の1例を後記実施例1に示す。
SPAを実施するための技術は当分野で周知である。SPAはシンチレーター液を被覆したビーズ又はプレートと放射性標識分子を使用して実施することができる。放射性標識分子をシンチレーター液と近接させて発光を刺激する。SPAを使用すると、例えばSR−BIをSPAビーズと結合するか又はSR−BIを発現する細胞をSPAプレート(cytostar)で増殖させ、HCV E2ポリペプチドを放射性標識し、試験化合物が放射性標識ポリペプチドからの発光を阻止する能力を測定することにより、SR−BIとの結合を測定することができる。
SR−BI HCV E2結合部位と異なる領域と結合する抗体を利用すると、キャプチャーアッセイフォーマットを使用して結合を検出することができる。例えば、SR−BIを発現する細胞膜又は精製SR−BI蛋白質を固相支持体に結合し、試験化合物の存在下にHCV E2ポリペプチドを固相支持体に加え、固相支持体を洗浄し、E2と結合する検出可能なラベルを付けた抗体を使用して支持体上のE2の存在を検出する。
HCVインターナリゼーションに関連する活性は例えば細胞をHCVウイルスと共に37℃でインキュベートし、細胞質内HCV RNAをin situハイブリダイゼーション(ISH)により測定することによりアッセイすることができる。ISH技術の例はAgnelloら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:12766−12771,1999に記載されている。
SR−BI又はその機能的誘導体の機能的表面発現に関連する活性は例えばSR−BIの表面発現を測定することによりアッセイすることができる。SR−BIの表面発現はSR−BI抗体やSR−BIと結合する標識ポリペプチド等のSR−BIと結合する化合物を使用して測定することができる。
SR−BI発現の阻害
SR−BI核酸活性は核酸の転写又は翻訳能に作用する化合物を使用して阻害することができる。SR−BI核酸活性の阻害は、HCV感染の試験及びHCV感染又は複製の阻害のためのツールとして、例えばターゲットバリデーション試験において使用することができる。
SR−BI翻訳を阻害するのに好適なターゲットはmRNAである。SR−BIをコードするmRNAが蛋白質に翻訳される能力はアンチセンス核酸や酵素核酸等の化合物により変化させることができる。
アンチセンス核酸はターゲットmRNAの相補的領域とハイブリダイズすることができる。アンチセンス核酸の構造に応じて、翻訳開始の阻止、mRNAのプロセシングの阻止、ハイブリッド阻止及びRNAse H活性によるmRNAの分解等の種々のメカニズムによりアンチセンス活性を成し遂げることができる。
酵素核酸は別の核酸分子を認識して開裂することができる。好適酵素核酸はリボザイムである。特定核酸モチーフに向うリボザイムが当分野で周知である。
修飾又は未修飾核酸をアンチセンス分子及びリボザイムとして使用することができる。種々の修飾がRNAse Hによる開裂能等の所定アンチセンス活性を変えたり、核酸安定性を変えることができる。種々のアンチセンス分子及びリボザイムとこれらの分子の使用について記載した文献の例は米国特許第5,849,902号、5,859,221号及び5,852,188号に記載されている。
投与
HCVを治療するための化合物は本明細書に記載する指針と当分野で周知の技術を使用して処方して、患者に投与することができる。好適投与経路は有効量の化合物がターゲットに到達させることができる。薬剤投与一般の指針は例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Gennaro編,Mack Publishing,1990及びModern Pharmaceutics,第2版,BankerとRhodes編,Marcel Dekker,Inc.,1990に記載されており、いずれも参考資料として本明細書に組込む。
「患者」とはHCVに感染する可能性のある哺乳動物を意味する。患者はHCVに感染していてもいなくてもよい。患者の例はヒト及びチンパンジーである。
特定化合物の構造に応じて化合物は酸性又は塩基性塩として製造することができる。(水溶性、油溶性、水分散性又は油分散性生成物形態の)医薬的に許容可能な塩としては例えば無機又は有機酸又は塩基から形成される慣用非毒性塩又は第4級アンモニウム塩が挙げられる。このような塩の例としては酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、蓚酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩等の酸付加塩と、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム及びマグネシウム塩)、有機塩基との塩(例えばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)及びアミノ酸(例えばアルギニンやリジン)との塩等の塩基性塩が挙げられる。
化合物は注射等の種々の経路を使用して投与することができる。注射により投与する場合には、適当な非経口的に許容可能な非毒性希釈剤又は溶媒(例えばリンゲル液及び等張塩化ナトリウム液)、又は適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤(例えば合成モノ又はジグリセリド等の無菌無刺激性不揮発性油や、オレイン酸等の脂肪酸)を使用して注射溶液又は懸濁液を処方することができる。
適切な投薬計画は投薬対象の型、対象の年齢、体重、性別及び症状、投与経路、対象の腎及び肝機能、所望効果並びに使用する特定化合物等の当分野で周知の因子を考慮して決定することが好ましい。
無毒性で効力を生じる範囲内の薬剤濃度を最適精度で達成するには、薬剤の標的部位送達動態に基づく投薬計画が必要である。このためには薬剤の分布、平衡及び排泄を考慮する必要がある。患者の1日用量は0.01〜1,000mg/日であると予想される。
以下、実施例により本発明の種々の特徴を更に例示する。以下の実施例は本発明の有用な実施方法も例示する。これらの実施例は特許請求の範囲に記載した発明を限定するものではない。
材料と方法
本実施例はHCV E2とSR−BIの結合を試験するために使用した種々の材料と方法について記載する。
細胞
Molt−4(ヒトT細胞白血病)細胞はMRC ADPバンクから入手した。HepG2(ヒト肝癌)、HEK−293(ヒト胎児腎)、BHK−21(仔ハムスター腎)及びCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株はATCCバンクから入手した。細胞は10%ウシ胎児血清の存在下に標準条件で増殖させた。
E2糖蛋白質のクローニングと発現
遺伝子型1a(H株)と遺伝子型1b(BK株)の代表的なHCV E2蛋白質をMeolaら,J.Virol.74:5933−5938,2000に記載されているようにVIJnsTPAにクローニングした。クローニングしたE2フラグメントはHCVポリ蛋白質のアミノ酸384〜アミノ酸661に相当するE2のコーディング配列と、C末端6Hisタグを含む。リン酸カルシウム法により293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクトしたHEK293細胞により産生された組換え蛋白質をトランスフェクションから48時間後に回収した培養上清から採取し、フィルター装置(Millipore Centricon Plus−80)を使用して40倍に濃縮し、プロテアーゼ阻害剤カクテルタブレット(Boehringer Mannheim)と10%グリセロールを加えた。Flintら,J.Virol.73:6782−6790,1999に記載されているようなGNA(マツユキソウ(Galanthus nivalis)由来レクチン)キャプチャーアッセイを使用することにより抽出液中のE2の量を定量した。
抗CD81及びE2糖蛋白質と細胞株の結合のFACS分析
細胞をリン酸緩衝塩類1%FCS,0.05%アジ化ナトリウム(洗浄緩衝液)で2回洗浄した。次に、細胞2x10個を室温で1時間E2濃縮上清又は対照としてVIJnsTPAプラスミド(モック)をトランスフェクトしたHEK293細胞の濃縮上清と結合させた。洗浄緩衝液で1回洗浄後、抗Hisマウスモノクローナル抗体(mAb,Quiagen)を濃度2μg/mlで1時間室温で加えた。200倍に希釈したマウスモノクローナル抗体(1.3.3.22 Santa Cruz Biotechnology)を使用することにより抗CD81との結合も室温で1時間実施した。
細胞に結合したmAbを抗マウスIgG1−フィコエリスリン(PE)コンジュゲート(Serotec)で可視化した。Becton−Dickinson FACS Vantageフローサイトメーターを使用してフローサイトメトリーデータ取得を行った。死細胞はSytox Green色素(Molecular Probes)染色陽性として検出し、分析から排除した。
E2結合能の高いHepG2亜集団の選択
HepG2細胞を飽和濃度の1a由来E2組換え蛋白質と共に2時間室温でインキュベートした。E2に結合した蛋白質を上述のように検出し、FACS Vantage(Becton Dickinson)フローサイトメーターで分析した。最高の蛍光強度を示した細胞を選別し、増殖させた。この操作を4回繰返した。
ダイナビーズへの抗His抗体の被覆
ダイナビーズM−450ラット抗マウスIgG1(Dynal,Oxoid)をPBS0.1%BSAで1回洗浄した後、PBS0.1%BSA4ml容量中抗His Mab15μgを加えた。1時間被覆後にビーズをPBS0.1%BSAで2回及び0.2Mトリエタノールアミン(pH9)で1回洗浄した。結合した抗体を架橋するために、ジメチルピメルイミデート二塩酸塩(DMP)を0.2Mトリエタノールアミン(pH9)10ml容量中20mM濃度でダイナビーズに加えた。0.2M TrisHCL(pH8)を加えることにより反応を停止した。ビーズをまずPBS0.5%Triton、次いでPBS0.1%BSAで洗浄した。ダイナビーズを調製したら、0.1%アジ化ナトリウムの存在下に4℃で保存した。
細胞表面ビオチン化
HepG2s4細胞(1x10)をトリプシン処理により回収し、冷PBS250ml容量で1回洗浄した。新たに調製した2mM過ヨウ素酸ナトリウム溶液と共に細胞を濃度1x10/mlで暗所で15分間インキュベートした。この温和な酸化後に細胞を2回洗浄し、5mMビオチン−LCヒドラジドと共に10分間室温で濃度5x10/mlでインキュベートした。ビオチン−LCヒドラジドはDMSOに50mM濃度で可溶化することにより新たに調製した。
ビオチン化後に冷PBS250ml容量で2回洗浄し、E2組換え蛋白質を含む濃縮上清又は対照としてモックトランスフェクションから得られた上清と共に細胞をインキュベートした。E2とのインキュベーションは1時間室温で行った。結合したE2を上述のように染色し、FACSにより分析した。
E2受容体架橋と複合体の免疫沈降
DTSSP(ジチオビス−スルホスクシンイミジルプロピオネート,Pierce)を架橋剤として使用した。DTSSPは水溶性架橋剤ホモ二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルであり、チオール開裂可能である。
HepG2s4細胞(5x10/ml)をE2と結合させた後に1回洗浄し、PBS中2mM濃度のDTSSPと共に20分間室温でインキュベートした。Tris HCl 50mM(pH7.5)と共にインキュベートすることにより反応を停止した。細胞をプロテアーゼ阻害剤カクテル(Boehringer Mannheim)の存在下に20分間37℃でPBS1%Tritonに溶解させた。E2−受容体複合体を4℃で一晩インキュベーションにより抗Hisダイナビーズで免疫沈降させた。PBS中1%Tritonで5回洗浄後、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)試料緩衝液中でビーズを直接煮沸するか又は50mMジチオスレイトール(DTT),50mMNaCl,50mM TrisHCl(pH8)中でビーズを30分間37℃でインキュベートすることにより溶出を行った。
ビーズの煮沸から得られた試料をSDS−Pageにロードし、ウェスタンブロットにより分析し、Tris Buffer Saline 0.05%Tween 20(TBST),2%ウシ血清アルブミン(BSA)で25000倍に希釈したストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(HRP;Pierce)を使用してビオチン化蛋白質を検出した。遺伝子型1aの組換えE2蛋白質を検出するために、ラットモノクローナル抗体6−1/a(Flintら,J.Virol.73:6782−6790,1990)を使用し、TBST5%低脂肪乳で50倍に希釈した後に抗ラットHRP(Dako)コンジュゲートの2000倍希釈液と共にインキュベートした。化学発光Super Signal West Pico(Pierce)基質を使用し、X線フィルム(Kodak Biomax ML)に露光することにより免疫反応性蛋白質を検出した。
E2受容体のCon−Aセファロース精製と酵素脱グリコシル化
抗Hisダイナビーズによる免疫沈降から得られた溶出液を1M NaCl,0.2%Tritonで2倍に希釈し、Con−Aビーズと共に2時間室温でインキュベートした。インキュベーション緩衝液で3回洗浄後に1%SDS,1%β−メルカプトエタノール及び100mMリン酸(pH7.5)で95℃で10分間変性条件下に溶出を行った。0.1%SDS,0.5%NP40,10mM EDTA及び100mMリン酸Na(pH7.5)を含むPNGase Fインキュベーション緩衝液で溶出液を10倍に希釈した。溶出液をアリコートに分け、その1つを酵素PNGase F(Bio−rad)で3時間37℃で処理した。
試料を7.5%SDSプレキャストゲル(Bio−rad)にロードし、銀染色した。まずTBST2%BSAで1500倍に希釈したウサギ抗SR−BI精製ポリクローナル抗体(Novus Biologicals NB 400−104)を使用し、次に20000倍に希釈した抗ウサギHRP(Pierce)を使用することにより精製試料の免疫反応性をウェスタンブロットで調べた。化学発光基質Super Signal West Pico(Pierce)を検出に使用した。
SR−BIをコードする配列のクローニングとBHK細胞株へのトランスフェクション
RNAをHepG2s4細胞からTRIzol試薬(Gibco BRL)で製造業者の指示に従って抽出した。全RNA(2μg)をアンチセンスブライマーSR−BI 5’−CCAGTCTAGACAGTTTTGCTTCCTGCAGCACAGAGCCC−3’(配列番号3)10pmolと混合することにより第1鎖cDNAを作成した(XbaIの制限部位を斜体で示す)。反応はMeolaら,J.Virol.74:5933−5938,2000に記載されているようにSuperscript II逆転写酵素(Gibco BRL)を使用することにより実施した。
Platinum Pfx DNAポリメラーゼ(Gibco BRL)を製造業者の指示に従って使用することによりcDNAのアリコートをPCR増幅した。使用したプライマーはアンチセンスSR−BIブライマーとセンスSR−BI5’−AGGCAAGCTTGCCGCCATGGGCTGCTCCGCCAAAGCGCGCTGGG−3’(配列番号4)とした(HindIIIの制限部位を斜体で示す)。Perkin−Elmer 2400サーモサイクラーで試料を4分間94℃で変性させた後に、94℃で30秒間、50℃で30秒間、及び68℃で2分間のインキュベーションを35サイクル行ってPCRを実施した。
PCR産物を制限酵素HindIII及びXbaIで消化し、ベクターpcDNA3に指向的にクローニングした。AmpliTaq(Applied Biosystems)とApplied Biosystem Model 373Aシーケンサーを使用してBig Dye Terminator Cycle Sequencing Kitでクローンを配列決定した。配列をVector NTIプログラムにより分析した。
BHK−21細胞株を一過的トランスフェクションのレシピエントとして使用した。プラスミドDNAをFuGENE 6トランスフェクション試薬(Roche)と混合することによりトランスフェクションを行った。トランスフェクションから24時間後に細胞を回収し、FACSによりE2結合を分析した。
E2受容体としてのSR−BIの同定
E2のHepG2細胞結合能を試験し、E2との結合能の高いHepG2細胞を集積し、SR−BIがE2と結合することを確かめることによりSR−BIをE2受容体として同定した。HepG2細胞はCD81を欠失していてかつHCV E2と結合する能力を維持していることが判明したので、HepG2細胞をE2受容体の探索に使用した。
E2糖蛋白質とのCD81非依存的結合の特性決定
HepG2細胞がCD81に依存せずにE2と結合する能力をFACS分析により調べた。抗CD81マウスモノクローナル抗体と二次抗体抗マウスIgG1−フィコエリスリンコンジュゲートを使用してHepG2細胞にCD81分子が存在していないことを確かめた。まず組換え蛋白質中に存在する6Hisタグに反応性の抗体を使用し、次に抗マウスIgG1−フィコエリスリンコンジュゲートと共にインキュベーションすることにより、遺伝子型1a及び1bに由来する組換えE2蛋白質の細胞結合を検出した。
HepG2細胞とMolt−4細胞を使用して実施例1に記載したようにCD81発現のFACS分析を行った。HepG2細胞はCD81発現陰性であった。他方、Molt−4細胞は細胞表面に高レベルのCD81を示した。
HepG2細胞とMolt−4細胞を使用して実施例1に記載したようにE2結合のFACS分析を実施した。試験した細胞株はいずれも遺伝子型1aに由来する組換えE2との結合を示した。しかし、1b遺伝子型に由来するE2組換え糖蛋白質はMolt−4細胞との結合が著しく低下し、HepG2細胞との結合は1a由来E2組換え蛋白質と同等であった。
組換えE2蛋白質と細胞受容体の架橋
その後、選別工程を4回行うことにより、高レベルのE2受容体を発現するHepG2細胞を集積した。HepG2細胞の亜集団であるHepG2s4はE2との結合後に元の細胞集団の平均3.5倍の蛍光強度値を示した。観察された表現型は数週間の細胞培養後に安定であった。
ビオチン−LC−ヒドラジド試薬を使用してHepG2s4の表面標識を実施した(Kahneら,J.Immunol.Methods.168:209−218,1994.)。ヒドラジドは糖蛋白質糖部分の水酸基を過ヨウ素酸ナトリウムで温和に酸化することにより得られるアルデヒド基に対して反応性である。このビオチン化法はNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)エステル架橋剤のターゲットとして第1級アミンを使用する後期架橋段階に適合可能である。
ビオチン化HepG2s4細胞をE2糖蛋白質1aと共にインキュベートした。結合E2の染色後のフローサイトメトリー分析により検出した処、推定受容体に対するE2の反応性はビオチン化処理により変化しなかった。
チオール開裂可能なDTSSP架橋剤の添加によりE2結合後に架橋を実施した。最終的に細胞をPBS1%Tritonに溶解させ、組換えE2のHisタグに反応性の抗体と共役したダイナビーズによりE2−受容体複合体を非還元条件下に免疫沈降させた。ビオチン化HepG2s4細胞を架橋前にモックトランスフェクト293細胞からの濃縮上清と共にインキュベートした対照試料と平行して実験を行った。
免疫沈降試料を還元及び非還元条件下に試料緩衝液で直接溶出させ、SDS−pageにロードした。まず遺伝子型1a蛋白質に特異的な抗E2ラットモノクローナル抗体6/1a(Flintら,J.Virol.73:6782−6790,1990)を使用し、次に化学発光検出を増強するためにペルオキシダーゼと共役した抗ラット二次抗体を使用してイムノブロットを実施した。
E2蛋白質は還元条件下ではモノマー種の予想分子量の拡散バンドとして検出された。非還元条件下では大半のE2蛋白質がE2受容体複合体と他のE2凝集形に相当すると思われる高分子量で検出された(図1A)。
ビオチン化種を検出するために、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼコンジュゲートを使用してウェスタンブロットを行った。E2/受容体複合体のチオール開裂により、ビオチン化受容体に対応すると思われる見かけ分子量82kDaの主要ビオチン化バンドを還元条件下のみで検出することができた(図1B)。
推定受容体の精製と酵素脱グリコシル化
架橋実験の結果、糖蛋白質しかビオチンヒドラジド試薬によりビオチン化できなかったので、E2結合に関与する受容体は82kd糖蛋白質であると思われた。過ヨウ素酸ナトリウムに関連する細胞毒性があることから表面ビオチン標識段階を介さずに架橋を実施することにより、E2結合に関与する蛋白質を同定した。過ヨウ素酸ナトリウム処理は細胞に極めて毒性であり、結合前に失われる細胞数が有意に増加した。
細胞(6x10)を回収してE2と結合させた後に架橋した。E2/受容体複合体を実施例1に記載したように抗Hisダイナビーズで溶解液から精製し、50mM DTT中で37℃で30分間インキュベートすることにより受容体分子を複合体から溶出させた。SDS pageで溶出液を銀染色により分析した処、数種の分子種が推定受容体と共に溶出することが分かった。
コンカナバリンAレクチン(Con−A)を使用して第2精製段階を実施した。Con−AはAsnに結合したグリカンと結合する糖蛋白質の精製に一般に使用されているレクチンである。抗Hisダイナビーズから溶出させた試料を第2の免疫沈降のためにCon−Aセファロースと共にインキュベートした。
インキュベーション緩衝液で数回洗浄した後に、PNGase Fの酵素活性に適合可能な変性条件下でCon−Aビーズからの溶出を実施した。PNGas Fは糖蛋白質からAsnに結合した全オリゴ糖を遊離する酵素である。
溶出させた試料をPNGase F酵素により酵素脱グリコシル化した。銀染色ゲルで試料を分析した処、見かけ分子量82kDaのグリコシル化受容体バンドと、10個の潜在的Asnグリコシル化部位の存在に一致する54kDaで泳動する脱グリコシル形が可視化された(図2)。
推定受容体の同定
予備データによると、SR−BIはHCV受容体ではないかと推測された。β−シクロデキストリンによるE2とHepG2細胞の結合の阻害に関する予備データは、観察された結合にコレステロールが関与しているらしいことを示唆している。β−シクロデキストリンは細胞膜からコレステロールを選択的に除去することができる(Yanceyら,J.Biol.Chem.271:16026−16034,1996.)。更に、グリコシル化及び脱グリコシル化受容体のSDS page泳動パターンはSR−BIと非常によく似ていた。
SR−BIはHCV E2に結合する受容体であることが抗SR−BI抗体を使用して確認された。ウェスタンブロットで抗SR−BI抗体に対する精製蛋白質の反応性を図3に示す。
SR−BIをコードする配列のBHK−21細胞株へのトランスフェクション
ヒトSR−BIをコードする配列をHepG2s4細胞のRNAから増幅し、トランスフェクションに適したベクターにクローニングした。E2結合陰性であることからBHK−21レシピエント細胞でトランスフェクションを行った。トランスフェクションから24時間後に細胞をFACS分析した処、SR−BIをトランスフェクトした細胞はE2結合を獲得していることが判明した(図4)。
ヒト及びマウスSR−BIをコードする配列のCHO細胞株へのトランスフェクション
実施例3のヒトSR−BIをコードする配列をセンスブライマー(配列番号4)とアンチセンスブライマー(配列番号3)で増幅した。この構築物の終止コドンはクローニングベクターによりSR−BIコーティング配列の36ヌクレオチド後に配置し、従って、SR−BI天然配列のカルボキシル末端に12アミノ酸を付加した。leu509を末端とするその天然寸法のヒトSR−BI蛋白質(配列番号1)を得るために、センスブライマー(配列番号4)と新規アンチセンスブライマー(配列番号5)を使用してヒトSR−BIをコードする配列をPCR増幅した。新規ブライマーはブライマー配列に終止コドンを含む。
センスブライマー(配列番号6)とアンチセンスブライマー(配列番号7)を使用することによりIMAGEクローンBC004656からマウスSR−BI配列を増幅させた。ヒト及びマウス配列をpcDNA3ベクターにクローニングし、得られたクローンを配列決定した。
リポフェクタミン2000試薬(Invitrogen)を使用してHCV E2蛋白質との結合に関して陰性のハムスターCHO細胞株にプラスミドをトランスフェクトした。CHO細胞とリポフェクタミン試薬の併用によりトランスフェクション効率が改善された。トランスフェクションから24時間後にトランスフェクトした細胞を回収し、受容体発現とE2結合能をFACSにより分析した。
その結果、ヒト及びマウス受容体は同等レベルで発現された(図5A〜C)が、HCV E2との結合能を獲得したのはヒトSR−BIをトランスフェクトした細胞のみであった(図5D〜F)。更に、ヒト受容体とアミノ酸レベルで80%の相同度を示すマウスSR−BIはHCV E2と結合せず、HCV感染の種特異性が見られた(図5D〜F)。
HCV E2糖蛋白質の超可変領域1(HVR1)に対するモノクローナル抗体はE2のSR−BI結合を阻害する。
超可変領域1に対する抗体がHCVウイルスを中和できるか否かも生物学上重要な問題である。E2の免疫後に得られ、H単離株に由来するE2のHVR1に対して反応性のモノクローナル抗体(9/27; Flintら,2000,J.Virol.,74,702−709)を使用してE2のSR−BI結合を阻害した。抗体はSR−BIを安定的にトランスフェクトしたHepG2細胞及びCHO細胞と遺伝子型1aに由来するE2蛋白質の結合に対して見かけIC50約500nMで用量依存的阻害活性を示した(図6)。抗体は遺伝子型1b(BK株)に由来するE2蛋白質の結合には有効ではなく、この変異体に対する反応性の欠如を裏付けた(図6)。
他の態様も特許請求の範囲に含まれる。数種の態様を示し、記載したが、本発明の精神と範囲から逸脱せずに種々の変更が可能である。
図1A及び1Bは遺伝子型1aから得られたHCV E2(図1A)とHCV E2と相互作用するビオチン化細胞表面蛋白質(図1B)のイムノブロット検出を示す。ビオチン化HepG2細胞をHCV E2組換え蛋白質の存在下(レーン1及び3)又は不在下(レーン2及び4)にインキュベートした。結合種をDTSSPで架橋し、複合体をHCV E2組換え蛋白質のHisタグに対する抗体で免疫沈降させた。試料を非還元条件(レーン1及び2)及び還元条件(レーン3及び4)下に溶出させ、架橋分子種間を開裂させ、10%SDS−PAGEにロードした。図1Aではまず抗E2ラットmAbを使用した後に抗ラットHRPコンジュゲートを使用し、HCV E2蛋白質は還元条件下(レーン3)でモノマー、非還元条件下(レーン1)でより高分子量で検出される。図1BではストレプトアビジンHRPコンジュゲートに対する反応性を調べ、還元条件(レーン3)で82kDaのビオチン化蛋白質バンドが検出される。 図1A及び1Bは遺伝子型1aから得られたHCV E2(図1A)とHCV E2と相互作用するビオチン化細胞表面蛋白質(図1B)のイムノブロット検出を示す。ビオチン化HepG2細胞をHCV E2組換え蛋白質の存在下(レーン1及び3)又は不在下(レーン2及び4)にインキュベートした。結合種をDTSSPで架橋し、複合体をHCV E2組換え蛋白質のHisタグに対する抗体で免疫沈降させた。試料を非還元条件(レーン1及び2)及び還元条件(レーン3及び4)下に溶出させ、架橋分子種間を開裂させ、10%SDS−PAGEにロードした。図1Aではまず抗E2ラットmAbを使用した後に抗ラットHRPコンジュゲートを使用し、HCV E2蛋白質は還元条件下(レーン3)でモノマー、非還元条件下(レーン1)でより高分子量で検出される。図1BではストレプトアビジンHRPコンジュゲートに対する反応性を調べ、還元条件(レーン3)で82kDaのビオチン化蛋白質バンドが検出される。 Con−Aセファロースによる精製段階とPNGase F酵素による脱グリコシル化段階後に得られた試料をロードした7.5%SDS−PAGEの銀染色を示す。矢印はPNGase処理前(−)に82kDa(レーン1)及び脱グリコシル化後(+)に54kDa(レーン2)で泳動する精製受容体を示す。対照試料では、HCV E2の不在下に架橋を行った(レーン3及び4)。PNGase F酵素活性の対照として脱グリコシル化前後(レーン5及びレーン6)にフェチュインをSDSPAGEにロードした。 Con−Aセファロースで精製し、PNGase Fで脱グリコシル化(+)したHCV E2受容体のウェスタンブロット分析を示す。まずウサギ抗SR−BIポリクローナル抗体を使用した後に抗ウサギHRPコンジュゲートを使用してインキュベートし、グリコシル化(レーン1)及び脱グリコシル化(レーン2)受容体蛋白質を検出した。レーン3及び4はHCV E2の不在下に架橋を行った対照実験を示す。 図4A及び4Bはモックトランスフェクト(図4A)又はSR−BIをトランスフェクトしたBHK−21細胞(図4B)とH株に由来するHCV E2組換え蛋白質の結合のFACS分析を示す。ドットプロット分析によると、pcDNA3−SR−BIをトランスフェクトした細胞の10%がHCV E2との結合を示す。 図4A及び4Bはモックトランスフェクト(図4A)又はSR−BIをトランスフェクトしたBHK−21細胞(図4B)とH株に由来するHCV E2組換え蛋白質の結合のFACS分析を示す。ドットプロット分析によると、pcDNA3−SR−BIをトランスフェクトした細胞の10%がHCV E2との結合を示す。 図5A〜FはプラスミドpcDNA3及びヒトSR−BI又はマウスSR−BIをコードするpcDNA3をトランスフェクトしたCHO細胞を示す。図5A〜Cは抗SR−BI(Novus Biologicals NB 400−104)とCHOトランスフェクト細胞の結合のFACS分析を示す。図5D〜FはE2蛋白質とトランスフェクト細胞の結合の分析を示す。 ヒトSR−BIをトランスフェクトしたHepG2細胞及びCHO細胞(CHO−SR−BI)とE2の結合の抗HVR1mAb 9/27による競合を示す。結合をFACS分析により検出し、競合物質の不在下で得られた中央蛍光強度の百分率として表す。H単離株に由来するE2とHepG2(白三角)及びCHO−SR−BI(白四角)の結合。BK単離株に由来するE2とHepG2(黒三角)及びCHO−SR−BI(黒四角)の結合。E2組換え蛋白質は飽和濃度の半量を使用した。
【配列表】
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Claims (18)

  1. a)ヒトスカベンジャー受容体クラスBタイプI(SR−BI)又はその機能的誘導体をSR−BI HCV E2結合部位と結合するポリペプチド及び試験化合物と接触させる段階、および
    b)前記試験化合物が前記ポリペプチドと前記SR−BIとの結合を阻害する能力を測定する段階
    を含むC型肝炎ウイルスE2ポリペプチドの細胞結合能を阻害する化合物のスクリーニング方法。
  2. 前記SR−BIが可溶性蛋白質として存在する請求項1に記載の方法。
  3. 前記SR−BIが膜調製物として存在する請求項1に記載の方法。
  4. a)ヒトSR−BI又はその機能的誘導体を発現することが可能な細胞をHCV SR−BI E2結合部位と結合するポリペプチド及び試験化合物と接触させる段階、および
    b)前記試験化合物が(i)前記ポリペプチドと前記SR−BI又はその機能的誘導体との結合、(ii)HCVインターナリゼーション、及び(iii)前記SR−BI又はその機能的誘導体の機能的表面発現の1種以上を阻害する能力を測定する段階
    を含むSR−BI活性を阻害する化合物のスクリーニング方法。
  5. 前記ポリペプチドを加える前に前記細胞を前記試験化合物と共にプレインキュベートする請求項4に記載の方法。
  6. 前記SR−BI又はその機能的誘導体が配列番号1に実質的に類似するアミノ酸配列をもつ請求項4に記載の方法。
  7. 前記段階(b)において前記試験化合物が前記ポリペプチドと前記細胞との結合を阻害する能力を測定する請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞が前記SR−BI又はその機能的誘導体を発現することが可能な組換え核酸を含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項8に記載の方法。
  10. 前記哺乳動物細胞が前記SR−BI又はその機能的誘導体を内因的に発現しない請求項9に記載の方法。
  11. 前記SR−BIが配列番号1のヒトSR−BIである請求項10に記載の方法。
  12. 前記ポリペプチドが天然E2領域を含む請求項11に記載の方法。
  13. 前記ポリペプチドがHCV1a又はHCV1bに由来するE2領域を含む請求項12に記載の方法。
  14. C型肝炎ウイルスの細胞侵入の阻害方法であって、前記細胞をSR−BI E2結合アンタゴニストと接触させる段階を含む、前記方法。
  15. 前記C型肝炎ウイルスの侵入を阻害する前に請求項1から13のいずれか1項に記載の方法で前記アンタゴニストを試験化合物として使用する段階を更に含む請求項14に記載の方法。
  16. HCV感染患者の治療方法であって、SR−BI活性又は機能的表面発現を低下させる段階を含む前記方法。
  17. 前記方法がSR−BIのHCV結合能を阻害する請求項16に記載の方法。
  18. SR−BI活性又は機能的表面発現を低下させる前記段階が、SR−BIもしくはその機能的誘導体との結合を阻害するか又はSR−BI活性を阻害するとして、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法を使用して、特定された化合物を使用して実施される請求項16に記載の方法。
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