JP2007234191A - 記録メディアカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を、持続的な衝撃が加わる環境下においても確保できるようにした記録メディアカートリッジの提供を課題とする。
【解決手段】記録メディアTと複数の樹脂製部品14、50、70とを備えた記録メディアカートリッジ10において、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品50、70同士の界面74A又は相対的に所定距離摺動する樹脂製部品14、70同士の界面66A、68Aに、金属体90を介在させる。
【選択図】図7
【解決手段】記録メディアTと複数の樹脂製部品14、50、70とを備えた記録メディアカートリッジ10において、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品50、70同士の界面74A又は相対的に所定距離摺動する樹脂製部品14、70同士の界面66A、68Aに、金属体90を介在させる。
【選択図】図7
Description
本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープが巻装された単一のリールをケース内に収容してなる記録テープカートリッジなどの記録メディアカートリッジに関する。
従来から、コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ用)として使用されている磁気テープ等の記録テープを単一のリールに巻装し、そのリールを合成樹脂製のケース内に回転可能に収容してなる記録テープカートリッジが知られている。このような記録テープカートリッジにおいて、不使用時(ドライブ装置に装填しないとき)におけるリールの制動は、回転方向のみ機構化され、回転軸方向はコイルバネ等の付勢手段で付勢されるだけという構成が一般的であった。
しかしながら、これでは、不使用時において、ユーザーのハンドリングや落下等により記録テープカートリッジに衝撃が加えられると、その衝撃によって、リールが回転軸方向に容易に移動してしまい、場合によっては、リールの回転方向の制動が解除されて、記録テープに皺等が生じてしまう問題があった。そのため、近年では、不使用時において、リールが回転軸方向に移動しないように規制し、使用時には、その規制が簡単に解除されるように構成した記録テープカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の記録テープカートリッジでは、不使用時において、リールの上フランジとケースの天板との間に、ロック部材が入り込む構成とされており、これによって、リールが回転軸方向に移動しないように規制されている。つまり、ロック部材により、リールが回転軸方向へ移動する余地が無くなるように構成されており、使用時には、リールの回転方向を規制するブレーキ部材がドライブ装置の解除部材によって上昇させられる解除動作を利用して、そのロック部材がリールの径方向へスライドして退避する(ロック部材の規制が解除される)構成になっている。
したがって、このロック部材は、リールの回転方向を規制するブレーキ部材や、ケースの天板に対して摺動するため、これら部材との動摩擦係数が重要となる。例えば、ケースにポリカーボネート(PC)を選択し、ロック部材にポリアミド(PA)を選択した場合、PAのPCに対する動摩擦係数は、本出願人の実験では0.1である。ポリアセタール(POM)にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を20%添加して摺動性を向上させたロック部材が0.09であることから、PAの摺動性は優れたものであると言える。
しかしながら、実際の使用では、合成樹脂材料の摺動性を考慮するだけでは不充分であることが、近年になって判明してきた。すなわち、記録テープカートリッジをドライブ装置に装填し、ドライブ装置の解除部材がブレーキ部材に対する解除動作を開始したとき、例えばPAを使用したブレーキ部材の場合は、その上昇に対して加わる荷重のピークは、図10で示すように、0.1sec後であって、約10N(ニュートン)程度である(点線αで示す)。
しかしながら、輸送時やライブラリー装置に装填するときなどには、記録テープカートリッジに対して約30G(G:重力加速度)の加速度衝撃が加わることがあり、その加速度衝撃が、例えば20000回程度与えられた記録テープカートリッジでは、上記荷重の上昇率が、その約40%にも達する(約14N程度になる:実線βで示す)。このように、動摩擦係数が低く、摺動性に優れていても、持続的に加速度衝撃が加わる環境下では、その合成樹脂材料の動摩擦係数だけでは、摺動性の良・不良を判断できないことがある。
動摩擦係数は、一定の荷重を加えながら相手材に摺り付けるテストを行って測定するが、このときに加速度衝撃が加わると、瞬間的には、例えばPAを使用したブレーキ部材の場合、50Gを超える衝撃が伝わることがあり、その荷重でロック部材がケースに対して接触しながら僅かに移動しようとするため、スティックスリップ現象に近い現象が起こることがある。この現象は、PAがPCとの間で僅かに削られて粉状体を発生させ、その粉状体をPAが更に押し潰すために引き起こされると考えられる。
つまり、記録テープカートリッジのドライブ装置への装填動作や、ライブラリー装置への装填動作等を繰り返す度に、ロック部材がブレーキ部材や天板との間で30G以上の圧力が加えられた状態で僅かに摺接するので、それによってロック部材が摩耗し、粉状体を発生させてしまう問題がある。そして、この粉状体により、いわゆる凝着現象が生じ、ロック部材の摺動抵抗が増加して、リールを不使用時の状態から解除するときの解除力(いわゆるブレーキ解除力)が増大してしまう問題がある。このような問題が起きると、ロック部材の破損やドライブ装置の故障等が誘発されてしまう。
特開2005−276416号公報
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ロック部材とケース又はロック部材とブレーキ部材のように、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を、持続的な衝撃が加わる環境下においても確保できるようにした記録メディアカートリッジを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の記録メディアカートリッジは、記録メディアと複数の樹脂製部品とを備えた記録メディアカートリッジにおいて、前記複数の樹脂製部品のうち、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の界面に、金属体が介在していることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を向上させることができる。すなわち、例えば30G以上の加速度衝撃が持続的に加わる環境下でも、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を充分に確保することができる。
また、請求項2に記載の記録メディアカートリッジは、請求項1に記載の記録メディアカートリッジにおいて、前記界面の少なくとも一方に、前記金属体を収容可能な凹部が形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、金属体を好適に保持できるので、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を確保することができる。
また、請求項3に記載の記録メディアカートリッジは、請求項1又は請求項2に記載の記録メディアカートリッジにおいて、前記金属体の表面粗さが、中心線平均粗さで、8μm以下とされていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を好適に確保することができる。
また、請求項4に記載の記録メディアカートリッジは、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の記録メディアカートリッジにおいて、前記金属体に対して所定距離摺動する樹脂製部品は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンの中から少なくとも1つを主成分として含む材料で成形されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、上記樹脂材料は、動摩擦係数が一般的に低いため、摺動性が良好となる。したがって、金属体に対する荷重の上昇を防ぐことができる。
なお、請求項5に記載の記録メディアカートリッジは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の記録メディアカートリッジにおいて、前記樹脂製部品が、それぞれ一方向で、かつ互いに異なる方向へ付勢されていることを特徴としている。
以上のように、本発明によれば、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を、持続的な衝撃が加わる環境下においても確保できる記録メディアカートリッジを提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、記録メディアカートリッジの一例として、記録テープカートリッジ10を採用して説明する。また、図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで表し、それを前方向とする。また、矢印Bを右方向とし、それらを基準に前後・左右・上下の表現をする。また、以下において「径方向」と言う場合は、ケースに収容されたリールの軸心(中心)線から放射状に外方へ向かう方向と平行な方向を指している。
図1〜図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状ケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)やアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)を主成分として含む合成樹脂材料、例えばPCにガラスファイバー(GF)が混合された合成樹脂材料で成形された上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やビス止め等によって接合されて構成されている。
ケース12の内部には、リール30が1つだけ回転可能に収容されている。このリール30には、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻装されている。また、ケース12の右前隅角部には開口20が形成されている。この開口20は、リール30に巻装された記録テープTを外部へ引き出すためのものである。記録テープTの端部には、リーダーブロック22が取り付けられている。すなわち、リーダーブロック22の凹部24に記録テープTの先端を挟み込んだ状態で弾性ピン26が嵌め込まれている。
このリーダーブロック22は、記録テープカートリッジ10の不使用時には、開口20の周縁部に係止されて、開口20を閉塞する。また、このリーダーブロック22は、記録テープカートリッジ10の使用時には、先端に形成された係合部28に、ドライブ装置側に設けられた引出部材(図示省略)が係合することにより、開口20から引き出される。なお、記録テープTの端部に取り付けられるリーダー部材は、リーダーブロック22に限定されるものではなく、例えば開口20を閉塞するドアを別途設けて、リーダーテープやリーダーピン(共に図示省略)等にしてもよい。
一方、リール30は合成樹脂材料で成形され、有底円筒状のリールハブ32と、リールハブ32の上端部に一体に延設された上フランジ34と、リールハブ32の下端部に溶着等によって取り付けられた下フランジ36とで構成されている。したがって、リールハブ32と下フランジ36は、互いに相溶性がある合成樹脂材料を用いて成形され、超音波等で容易に溶着可能とされている。なお、上フランジ34と下フランジ36の間隔は、記録テープTの幅と略同一とされており、リールハブ32に巻回された記録テープTの幅方向の位置が規制されるようになっている。
また、図2、図3で示すように、リールハブ32の下フランジ36側には底壁38が設けられており、その底壁38の軸心(中心)部分には貫通孔38Aが穿設されている。そして、その底壁38の下面側にはリールギア40が環状に形成されている。このリールギア40は、リール30が圧縮コイルスプリング48の付勢力によって下ケース16側に押し付けられることにより、下ケース16の略中央に設けられた円形のギア開口18から露出するようになっており、ドライブ装置側の回転シャフト100に備えられた駆動ギア102と噛合して、リール30に回転動力を伝達するようになっている。
また、リールギア40の径方向内側には、磁性材より成る環状のリールプレート42がインサート成形等により一体的に固着されている。このリールプレート42は、駆動ギア102とリールギア40とが完全に噛合した状態で、駆動ギア102と後述する解除突起104との間に設けられた環状のマグネット106の磁力により吸着され、リール30と回転シャフト100との芯ずれ(軸ずれ)を防止するとともに、リールギア40と駆動ギア102との噛合状態を保持可能としている。このような構成により、回転シャフト100がその軸心廻りに回転すると、リール30がこれと一体にケース12内で回転する。
また、リールハブ32の底壁38の上面側には、係合ギア44が環状に形成されており、ブレーキ部材50の下面外周部に環状に設けられた制動ギア52と噛合可能になっている。このブレーキ部材50は、図4でも示すように、リールハブ32内において上下動可能に(リール30の回転軸方向に移動可能に)収容される略円板状に、例えばポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)を主成分として含む合成樹脂材料で成形されている。
また、上ケース14の天板14A内面の略中央には、底面視略「L」字状とされた4個の回転規制壁部46が、互いにその直角部分を、所定間隔を隔てて対向させた状態に所定高さで突設されており、ブレーキ部材50の上面中央には、その回転規制壁部46間に挿入される平面視略「十」字状の係合壁部54が所定高さで突設されている。また、ブレーキ部材50の上面で、かつ係合壁部54の外側には、細長い円柱状の係合突起56が、等間隔に複数(図示のものは3つ)所定高さで突設されている。
この係合突起56は、後述する複数(図示のものは3つ)のロック部材70のカム溝部74内に、それぞれ進入・当接可能になっている。また、図2、図3で示すように、ブレーキ部材50の上面において、係合壁部54の外側で、係合突起56の内側には、平坦面50Aが環状に形成されており、記録テープカートリッジ10(ケース12)を組み立てたとき、付勢部材としての圧縮コイルスプリング48の下端が当接するようになっている。なお、圧縮コイルスプリング48の上端は、回転規制壁部46の外側において、天板14A内面に当接するようになっており、ブレーキ部材50は常時下方へ向かって付勢されるようになっている。
更に、ブレーキ部材50の下面中央には、貫通孔38Aに挿通可能な略円柱状の操作突起58が突設されており、ドライブ装置側の回転シャフト100の軸心部に突設された解除突起104と当接可能とされている(図2、図3参照)。なお、不使用時(ドライブ装置へ装填されないとき)において、この操作突起58は、図2で示すように、貫通孔38Aから(底壁38から)下方へは突出しない程度の高さ(貫通孔38A内に位置するような高さ)に突設されており、これによって、ブレーキ部材50が不用意に上方へ移動しないようになっている。
また、図4〜図9で示すように、この記録テープカートリッジ10には、不使用時において、リール30が不用意に回転軸方向(上下方向)へ移動しないように規制するロック部材70を備えている。このロック部材70は、上ケース14の天板14Aやブレーキ部材50の係合突起56に対する摺動性を良好とするために、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)を主成分として含む合成樹脂材料、例えばPOMにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が混合された合成樹脂材料や、PAにモリブデン(Mo)が混合された合成樹脂材料、更にはPOMにPEが混合された合成樹脂材料で成形されている。
ロック部材70は、リールハブ32の上縁部にリールハブ32の内周面側から係合して、天板14A内面と上フランジ34上面との間に介在し、リール30の回転軸方向(上下方向)の移動を阻止する係合部72を径方向外側に有しており、係合部72と反対側(径方向内側)の端部が天板14A内面に枢支されて、リール30に対する係合位置と、リール30の回転軸方向(上下方向)の移動を許容する退避位置とに回動可能となるように構成されている。
すなわち、上ケース14の天板14A内面で、リールハブ32の軸心部と同心円周上(図6参照)には、取付ピン60が複数個(図示のものは3個)、等間隔に突設されており、その取付ピン60には、ロック部材70を一方向へ付勢するトーションバネ80のコイル部82と、ロック部材70の一端部に穿設された貫通孔71が、この順に挿嵌されるようになっている(図7参照)。そして、これらを挿嵌した後、取付ピン60の先端をかしめる(潰す)ことにより、ロック部材70が取付ピン60から脱落防止に、かつ回動可能に取り付けられるようになっている。
また、図7、図9で示すように、天板14A内面の所定位置には、係止孔62が穿設されており、トーションバネ80の一端部84がその係止孔62内に挿入されることにより固定されるようになっている。そして、トーションバネ80の他端部86は、ロック部材70に係止され、ロック部材70を常時係合位置方向(図6で示す矢印方向とは反対の方向であり、ブレーキ部材50の付勢方向と直交する方向)に付勢するようになっている。更に、図4、図5で示すように、天板14A内面には、トーションバネ80の付勢力によるロック部材70の所定位置以上の回動を阻止するストッパー64が、リール30の上フランジ34上面に干渉しない高さで突設されている。
また、ロック部材70の略中央部分には、係合位置方向側(ストッパー64側)へ下り傾斜した傾斜面74Aを有するカム溝部74が形成されており、ブレーキ部材50の係合突起56が進入・当接可能になっている。したがって、図5で示すように、ブレーキ部材50の上昇に伴い、係合突起56がカム溝部74内に進入すると、そのカム溝部74における傾斜面74Aの頂部を係合突起56の先端面56Aが押圧するので、ロック部材70は、トーションバネ80の付勢力に抗して、図6で示す矢印方向(退避位置方向)へ回動し、係合部72がリールハブ32の上縁部から退避する。
このように、ロック部材70は、取付ピン60を中心にストッパー64で規制された係合位置から、リールハブ32の上縁部から退避する退避位置まで回動可能となる構成である。なお、カム溝部74の傾斜面74A及び係合突起56の先端面56Aが、本発明における「界面」であり、上記合成樹脂材料で成形された傾斜面74A及び先端面56Aの動摩擦係数μは0.1以下となっている。
また、ロック部材70の係合部72の厚さD(図9参照)は、ケース12内において、リール30が最下位置に位置したときの上フランジ34上面と天板14A内面との距離W(図2参照)と略同一に形成されており、係合部72よりも径方向内側に形成され、リールハブ32の内周面に当接する係合面73は、平面視でリールハブ32の内周面と合致する円弧面とされている(図6参照)。したがって、ロック部材70は、記録テープカートリッジ10を組み立てるときに(上ケース14を下ケース16に被せるときに)、その動作に伴って、係合部72及び係合面73がリールハブ32の上縁部に係合しやすい構成である。
また、図7、図8で示すように、ロック部材70の天板14A内面に対向する下面には、所定間隔を隔てて2つの突部76、78が所定高さで突設されており、天板14A内面には、その突部76、78がそれぞれ摺動可能に挿入される所定深さの2つの凹部66、68が形成されている。突部76、78は、ロック部材70の幅とほぼ同じ幅とされ、凹部66、68にガイドされるようにして摺動する。したがって、凹部66、68は、ロック部材70の回動距離に相当する長さの円弧状に形成されている。
また、ロック部材70は、その突部76、78の表面76A、78Aのみが凹部66、68の内面66A、68Aに摺接する摺動面とされ、突部76、78以外の下面は、天板14A内面に接触しない構成になっている(図9参照)。したがって、ロック部材70の下面全面を摺動面とした場合と比較して、ロック部材70と天板14A内面との接触面積を小さくすることができ、ロック部材70の摺動抵抗を低減することが可能になっている。
なお、突部76、78の表面(摺動面)76A、78A及び凹部66、68の内面66A、68Aが、本発明における「界面」であり、上記合成樹脂材料で成形された内面66A、68A及び表面(摺動面)76A、78Aの動摩擦係数μは0.1以下となっている。そして更に、この凹部66、68の内面66A、68Aには、突部76、78の表面(摺動面)76A、78Aとの摺動性を向上させるための金属体90が固着されている。
この金属体90は、凹部66、68内にそれぞれ収容可能なように、凹部66、68の内面66A、68Aとほぼ同じ形状の薄板状に形成されており、その表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)で、8μm以下とされている。Raが8μmより大きいと、所望とする摺動性が確保できず、場合によっては、突部76、78との摺動により、逆にその突部76、78が削れて粉状体を発生させてしまう原因となる。なお、金属体90の材質(種類)は、特に限定されないが、SUS等の錆び難い金属であることが望ましい。
また、凹部66、68の深さは、突部76、78だけではなく、薄板状の金属体90も収容可能な深さとされており、その上限は天板14Aの板厚によって(天板14Aの剛性が損なわれない程度に)適宜決められる。なお、金属体90は、ロック部材70の突部76、78によって脱落防止に押さえられる構成になるため、凹部66、68内に載置するだけでもよい。また、金属体90は、凹部66、68の内面66A、68Aではなく、突部76、78の表面76A、78Aにそれぞれ固着してもよい。更に、金属体90は、カム溝部74の傾斜面74A又は係合突起56の先端面56Aにも固着することが望ましい。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10において、次に、その作用について説明をする。不使用時(ドライブ装置に装填しないとき)、記録テープカートリッジ10は、開口20がリーダーブロック22によって閉塞されている。そして、リール30が圧縮コイルスプリング48によりブレーキ部材50を介して下方へ付勢されている。つまり、圧縮コイルスプリング48の付勢力により、ブレーキ部材50の制動ギア52がリールハブ32内の係合ギア44に強固に噛合し、かつ係合壁部54が回転規制壁部46に挿入されていることにより、リール30の不用意な回転が阻止されている。
また、ロック部材70が、トーションバネ80の付勢力により、係合位置方向へ回動するように付勢されており、ストッパー64に当接している。そして、この状態で、係合部72及び係合面73がリールハブ32の上縁部に係合している。すなわち、係合面73が、リールハブ32の内周面に当接し、係合部72が、上フランジ34上面と天板14A内面との間に介在している。
ここで、ロック部材70の係合部72の厚さDは、ケース12内において、リール30が最下位置に位置したときの上フランジ34上面と天板14A内面との距離Wと略同一に形成されている。したがって、そのロック部材70により、リール30の不用意な上昇が阻止されている。つまり、落下等により記録テープカートリッジ10に衝撃が加わっても、ブレーキ部材50により、リール30の回転が阻止されるとともに、ロック部材70により、リール30の回転軸方向(上下方向)の移動が阻止されている。
さて、記録テープカートリッジ10の記録テープTにデータを記録、又は記録テープカートリッジ10の記録テープTに記録されたデータを再生する際には、その記録テープカートリッジ10をドライブ装置(図示省略)へ装填する。すなわち、ドライブ装置の装填口(図示省略)に記録テープカートリッジ10を前壁12A側から矢印A方向に沿って挿入する。
記録テープカートリッジ10がドライブ装置内に装填(挿入)されると、記録テープカートリッジ10が所定高さ下降するか、又は回転シャフト100が上昇して、解除突起104が貫通孔38Aから挿入される。そして、操作突起58を解除突起104が上方へ押し上げ、ブレーキ部材50の制動ギア52とリールハブ32内の係合ギア44との噛合を解除する。そして更に、回転シャフト100の解除突起104が操作突起58を介してリール30の高さ方向の位置決めをし、リールプレート42がマグネット106に吸着される。これにより、記録テープカートリッジ10(リール30)がドライブ装置内において、精度よく位置決めされ、この状態で駆動ギア102がリールギア40と噛合する。
また、解除突起104が操作突起58を上方向へ押圧すると、ブレーキ部材50が圧縮コイルスプリング48の付勢力に抗して上昇し、係合突起56の先端面56Aがロック部材70のカム溝部74における傾斜面74Aの頂部を押圧する。すると、ロック部材70がトーションバネ80の付勢力に抗して、取付ピン60を中心に退避位置方向へ回動する。これにより、係合面73がリールハブ32の内周面から離隔するとともに、係合部72が上フランジ34上面と天板14A内面との間から退避して、リールハブ32内に収容される。つまり、ロック部材70がアンロック状態に保持され、ケース12内において、リール30が所定高さ上昇可能となり、その所定高さ位置において、回転駆動可能とされる。
なお、このとき、カム溝部74の傾斜面74Aには、薄板状の金属体(図示省略)が固着されているので、係合突起56はスムーズに摺動できる。つまり、カム溝部74の傾斜面74Aに対する係合突起56の先端面56Aの摺動性が向上されている。また、このとき、天板14A内面に形成された凹部66、68の内面66A、68Aには、薄板状の金属体90がそれぞれ固着されているので、ロック部材70の突部76、78はスムーズに摺動できる。
すなわち、ロック部材70は、突部76、78の表面76A、78Aのみが天板14A内面との摺動面とされ、その天板14A内面には、突部76、78が挿入されて摺接する凹部66、68が形成されている。そして、その凹部66、68の内面66A、68Aには、薄板状の金属体90がそれぞれ固着されている。したがって、凹部66、68の内面66A、68Aに対する突部76、78の表面76A、78Aの摺動性が向上されている。
このように、ブレーキ部材50(係合突起56)とロック部材70(カム溝部74)、ロック部材70(突部76、78)と天板14A(凹部66、68)との摺動性が向上されていると、ドライブ装置への装填動作やライブラリー装置への装填動作など、持続的に加速度衝撃が加えられる環境下でも、それらの摺動性が損なわれないようにできるので、ブレーキ解除力が増大するような不具合は発生しない。つまり、このような構成にしたことにより、数万回の使用に耐えられる記録テープカートリッジ10が得られ、ロック部材70の破損やドライブ装置の故障等の発生を防止することができる。
一方、ドライブ装置の引出部材(図示省略)が、リーダーブロック22(図1参照)の係合部28に係合して、そのリーダーブロック22をケース12から引き出す。このとき、記録テープカートリッジ10はドライブ装置内において精度よく位置決めされているので、引出部材は確実にリーダーブロック22の係合部28と係合できる。こうして、記録テープカートリッジ10から引き出されたリーダーブロック22はドライブ装置側の巻取リールのハブ(図示省略)に形成された嵌入部に収容される。
リーダーブロック22が巻取リールの嵌入部に収容されると、回転シャフト100によりリール30と巻取リールとが同期して回転駆動する。これにより、記録テープTは、巻取リールに巻き取られつつ順次記録テープカートリッジ10内から引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)によって、その記録テープTへデータの記録又はその記録テープTに記録されたデータの再生が行われる。
さて、記録テープカートリッジ10をドライブ装置から排出する際には、まず、記録テープTがリール30に巻き戻され、リーダーブロック22が開口20(図1参照)を閉塞する。そして、記録テープカートリッジ10が上昇するか、又は回転シャフト100が下降することにより、圧縮コイルスプリング48の付勢力によって、リール30が下降し始め、ブレーキ部材50が下降し始める。
そして、これに伴い、ロック部材70がトーションバネ80の付勢力により、取付ピン60を中心に係合位置方向へ回動し始める。つまり、係合突起56の先端面56Aが、カム溝部74における傾斜面74Aの頂部へ向かって摺動し始める。そして、更に回転シャフト100が下降すると、リールプレート42からマグネット106が離隔し、リールギア40に対する駆動ギア102の噛合が解除され始める。そして、リールギア40と駆動ギア102との噛合量が歯高にして略半分程度にまで減少した時点で、ロック部材70の係合部72が上フランジ34上面と天板14A内面との間に介在し始める。
つまり、リールギア40に対する駆動ギア102の噛合が完全に解除される前に(回転シャフト100でリール30を支持している間に)、ロック部材70が上フランジ34上面と天板14A内面との間に介在して、リール30を下ケース16との間で保持し、その上昇を阻止する。したがって、記録テープカートリッジ10を縦置きされたドライブ装置から排出する場合でも、リール30は、その上面がロック部材70によって上昇不能に押さえられるので、リール30が鉛直下方向へずれることがなく、ロック部材70によるロックが確実に行われるとともに、ケース12に対する位置ずれ(芯ずれ)が防止される。
その後、更に回転シャフト100が下降して、リールギア40に対する駆動ギア102の噛合が完全に解除されると、係合部72と係合面73がリールハブ32の上縁部に係合する。すなわち、トーションバネ80の付勢力により、ロック部材70がストッパー64に当接する係合位置まで回動し、係合面73がリールハブ32の内周面に当接するとともに、係合部72が上フランジ34上面と天板14A内面との間に完全に介在する。
そして、カム溝部74の傾斜面74Aから係合突起56の先端面56Aが離隔し、操作突起58から解除突起104が離隔すると、圧縮コイルスプリング48の付勢力によって、ブレーキ部材50が最下位置まで下降し、制動ギア52が係合ギア44に強固に噛合する。これにより、リール30の不用意な回転及び回転軸方向への移動が再び阻止された状態となる。こうして、ギア開口18から回転シャフト100が抜き出されると、記録テープカートリッジ10が装填口から排出される。
以上、説明したように、本発明に係る記録テープカートリッジ10によれば、ロック部材70とブレーキ部材50、ロック部材70と天板14Aのように、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の摺動性を向上させることができる。したがって、例えば30G以上の加速度衝撃が持続的に加わる環境下でも、それらの摺動性を充分に確保・維持することができる。なお、ロック部材70は、回動して係合位置から退避する構成とされているので、径方向に直線移動して係合位置から退避する従来のロック部材に比べて、リールハブ32の内径が小さくても、そのロック部材70をリールハブ32の内側に配置できる利点がある。そして更に、ブレーキ部材50の係合突起56が当接するカム溝部74の傾斜面74Aを急勾配に形成できるので、ロック部材70を容易に動かすことができる。
また、上記実施例では、ロック部材70をブレーキ部材50との係合によって摺動させる構成としたが、ロック部材70を回動させる構成は、これに限定されるものではなく、例えばロック部材70を昇降ロック位置(リール30の回転軸方向の移動を阻止する位置)と昇降許容位置(リール30の回転軸方向の移動を許容する位置)とに切り替える切替部材等をブレーキ部材50とは別に設ける構成としてもよい。但し、この場合、その切替部材等はブレーキ部材50と連動して作動する構成とすることが好ましい。更に、記録テープカートリッジ10は、本発明に係る記録メディアカートリッジのあくまでも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
10 記録テープカートリッジ(記録メディアカートリッジ)
12 ケース
14 上ケース(樹脂製部品)
14A 天板
16 下ケース
16A 底板
30 リール
32 リールハブ
34 上フランジ
36 下フランジ
50 ブレーキ部材(樹脂製部品)
56 係合突起
56A 先端面(界面)
60 取付ピン
64 ストッパー
66 凹部
66A 内面(界面)
68 凹部
68A 内面(界面)
70 ロック部材(樹脂製部品)
72 係合部
73 係合面
74 カム溝部
74A 傾斜面(界面)
76 突部
76A 表面(界面)
78 突部
78A 表面(界面)
80 トーションバネ
90 金属体
T 記録テープ(記録メディア)
12 ケース
14 上ケース(樹脂製部品)
14A 天板
16 下ケース
16A 底板
30 リール
32 リールハブ
34 上フランジ
36 下フランジ
50 ブレーキ部材(樹脂製部品)
56 係合突起
56A 先端面(界面)
60 取付ピン
64 ストッパー
66 凹部
66A 内面(界面)
68 凹部
68A 内面(界面)
70 ロック部材(樹脂製部品)
72 係合部
73 係合面
74 カム溝部
74A 傾斜面(界面)
76 突部
76A 表面(界面)
78 突部
78A 表面(界面)
80 トーションバネ
90 金属体
T 記録テープ(記録メディア)
Claims (5)
- 記録メディアと複数の樹脂製部品とを備えた記録メディアカートリッジにおいて、
前記複数の樹脂製部品のうち、相対的に所定距離摺動する樹脂製部品同士の界面に、金属体が介在していることを特徴とする記録メディアカートリッジ。 - 前記界面の少なくとも一方に、前記金属体を収容可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録メディアカートリッジ。
- 前記金属体の表面粗さが、中心線平均粗さで、8μm以下とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録メディアカートリッジ。
- 前記金属体に対して所定距離摺動する樹脂製部品は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンの中から少なくとも1つを主成分として含む材料で成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の記録メディアカートリッジ。
- 前記樹脂製部品は、それぞれ一方向で、かつ互いに異なる方向へ付勢されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の記録メディアカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006057491A JP2007234191A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 記録メディアカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006057491A JP2007234191A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 記録メディアカートリッジ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007234191A true JP2007234191A (ja) | 2007-09-13 |
Family
ID=38554613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006057491A Pending JP2007234191A (ja) | 2006-03-03 | 2006-03-03 | 記録メディアカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007234191A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010061769A (ja) * | 2008-09-05 | 2010-03-18 | Fujifilm Corp | 記録テープカートリッジ |
-
2006
- 2006-03-03 JP JP2006057491A patent/JP2007234191A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010061769A (ja) * | 2008-09-05 | 2010-03-18 | Fujifilm Corp | 記録テープカートリッジ |
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