JP2007231737A - 駆動力伝達装置および燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料噴射装置の油圧式駆動力伝達装置において、摺動部品に燃料劣化物が付着することによる摺動性の低下を防止し、安定した作動を可能とする。
【解決手段】 大径のピエゾピストン31および小径のバルブピストン32間に作動油を充填してなる油密室33を設けて、ピエゾアクチュエータ2によるピエゾピストン31の変位を油密室33を介してバルブピストン32に伝達し、制御弁41を駆動する。油密室33を、シリンダ部材35の上部大径部と下部小径部の連結部に設け、大径部内周面をピエゾピストン31を案内する大径ガイド面35a、小径部内周面をバルブピストン32を案内する小径ガイド面35bとするとともに、バルブピストン32摺動部の油密室33側端面が、ピエゾアクチュエータ2の非作動時に、小径ガイド面35bの上端縁より下方に位置するようにして、燃料劣化物が付着しても、摺動隙間への噛み込みが生じない構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 大径のピエゾピストン31および小径のバルブピストン32間に作動油を充填してなる油密室33を設けて、ピエゾアクチュエータ2によるピエゾピストン31の変位を油密室33を介してバルブピストン32に伝達し、制御弁41を駆動する。油密室33を、シリンダ部材35の上部大径部と下部小径部の連結部に設け、大径部内周面をピエゾピストン31を案内する大径ガイド面35a、小径部内周面をバルブピストン32を案内する小径ガイド面35bとするとともに、バルブピストン32摺動部の油密室33側端面が、ピエゾアクチュエータ2の非作動時に、小径ガイド面35bの上端縁より下方に位置するようにして、燃料劣化物が付着しても、摺動隙間への噛み込みが生じない構成とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アクチュエータの駆動力を油圧を介して伝達する駆動力伝達装置、および駆動力伝達装置を用いて制御弁を駆動しノズルニードルを昇降させる燃料噴射装置に関する。
ディーゼルエンジンにおいて、各気筒に共通のコモンレールに高圧燃料を蓄圧するコモンレールシステムが知られている。コモンレールには燃料供給ポンプから高圧燃料が圧送されて所定圧に制御され、所定のタイミングで各気筒に燃料を噴射している。コモンレール用の燃料噴射装置は、一般に、ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御室と、制御室の圧力を制御する制御弁を有し、アクチュエータで制御弁を駆動して制御室の圧力を増減する構成となっている。
アクチュエータには、例えば、ピエゾアクチュエータが用いられ、応答性が良いことから高度な燃料噴射制御が期待できる。アクチュエータの駆動力を油圧を介して伝達する駆動力伝達装置は、2つのピストンの間に油密室を形成し、アクチュエータの変位を油圧を介して伝達するもので、径の異なる2つのピストンを使用すると、大径ピストンおよび小径ピストンの受圧面積比に応じて変位を拡大伝達する効果が得られる(例えば、特許文献1、2等)。
特開2004−176656号公報
特開2004−308479号公報
制御弁としては、例えば、制御室を高圧通路または低圧通路に選択的に連通させる3方弁構造が用いられ、低圧通路に至る低圧側シートおよび高圧通路に至る高圧側シートの間を移動し、シート位置を切り替える。ピエゾアクチュエータが通電により伸長すると、油圧式の駆動力伝達装置が制御弁を駆動して低圧側シートから離座させた後、高圧側シートに着座させる。これにより制御室の圧力が低下してノズルニードルがリフトし、燃料が噴射される。
ところで、燃料噴射装置は、その作動時に非常に高温となる(例えば150℃程度まで)。このため、高温作動中にエンジンが停止された場合には、高温の燃料噴射装置内に残された燃料が劣化し、さらに冷えることで周辺部品に付着する問題がある。特に、燃料が作動油として使用される駆動力伝達装置において、この燃料劣化物が摺動部品に付着すると摺動抵抗が大きくなり、摺動不能となるおそれがある。
そこで、本発明の目的は、燃料噴射装置に用いられる油圧式駆動力伝達装置において、摺動部品に燃料劣化物が付着することによる摺動性の低下を防止し、安定した作動を可能とすることにある。
本発明請求項1の駆動力伝達装置は、シリンダ内に摺動自在に保持された大径ピストンおよび小径ピストンと、両ピストン間に作動油を充填してなる油密室を備えており、アクチュエータによる上記大径ピストンの変位を上記油密室の作動油を介して上記小径ピストンに伝達する。上記油密室は、段付に形成した上記シリンダの上部大径部と下部小径部の連結部に設けられており、上記シリンダの大径部内周面を上記大径ピストンを案内する大径ガイド面、小径部内周面を上記小径ピストンを案内する小径ガイド面とするとともに、上記アクチュエータの非作動時に、上記小径ピストン摺動部の上記油密室側端面が上記小径ガイド面の上記油密室側端縁よりも反油密室側に位置するように構成される。
高温の装置内に残った燃料が劣化し、さらに冷やされて周辺部品に付着する場合がある。特に燃料が充填される油密室において燃料劣化物が摺動部品に付着すると、作動により摺動隙間に燃料劣化物が噛み込む懸念がある。これに対し、上記構成では、油密室に露出する小径ピストンの摺動部端面を、小径ガイド面の上端縁、すなわちシリンダ大径部と小径部の段差面よりも下方に配置したので、小径ピストンの摺動部外周に燃料劣化物が付着しにくい。また、小径ガイド面の露出面に燃料劣化物が付着しても、作動時に、下降する小径ピストンの摺動部との間に噛み込むことはない。
よって、油密室内の燃料劣化物が噛み込んで、小径ピストンの摺動性が低下するのを防止し、安定した作動を実現できる。
請求項2の発明のように、好適には、上記アクチュエータの非作動時に、上記小径ピストン摺動部の反油密室側端部が、上記小径ガイド面の反油密室側端縁よりも反油密室側に位置する構成とする。
さらに油密室と反対側においても、小径ピストンの摺動部が小径ガイド面の下端縁に位置するようにすれば、小径ガイド面に燃料劣化物が付着して摺動隙間に噛み込むのを防止できる。この時、小径ガイド面の下方に突出する小径ピストンの摺動部外周に燃料劣化物が付着しても、作動により摺動隙間に噛み込まない位置であり、摺動性への影響はない。このように小径ピストンと小径ガイド面の摺動部位置関係を、最適化することで、燃料劣化物の付着による摺動性の低下を防止して安定した作動が可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の駆動力伝達装置を用いた燃料噴射装置の発明であり、具体的には、駆動力伝達装置と、ノズルニードルの背圧を制御する制御弁を備える。
上記構成において、アクチュエータが作動すると、大径ピストンから油密室を介して伝達される駆動力により小径ピストンが制御弁を駆動し、ノズルニードルを開弁させる。このように油圧を利用することで、小さい駆動力で効率よく燃料噴射装置を駆動することができる。
請求項4の発明では、上記アクチュエータアクチュエータをピエゾアクチュエータとする。応答性のよいピエゾアクチュエータを本発明に適用することで、その駆動力を効率よく伝達し、制御性を向上することができる。
請求項5の発明のように、具体的には、上記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御室を備える。上記制御弁は、上記制御室と低圧通路との連通・遮断を切り替えて上記制御室の圧力を増減させることにより、ノズルニードルを昇降させる。
以下、図面に基づき本発明の駆動力伝達装置を備えた燃料噴射装置について説明する。図1は、本発明をディーゼルエンジンのコモンレール用ピエゾインジェクタに適用した第1の実施形態である。図1(a)において、1は燃料噴射装置としてのインジェクタで、駆動力伝達装置としての駆動力伝達部3を備え、図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けられる。インジェクタ1は、各気筒に共通に設けた図略のコモンレールに接続され、コモンレールから燃料の供給を受けて、対応する気筒燃焼室に燃料を噴射するようになっている。コモンレールは公知の構成で、高圧サプライポンプにより圧送される燃料が噴射圧力に相当する所定の高圧で蓄えられる。
図中、インジェクタ1は、インジェクタボデーB内に、アクチュエータとしてのピエゾアクチュエータ2、駆動力伝達部3、制御弁部4およびノズル部5を構成する各部材を収容し、噴射燃料または作動油となる燃料の通路を形成してなる。ピエゾアクチュエータ2、駆動力伝達部3、制御弁部4およびノズル部5は、上下方向にこの順に配設される。インジェクタボデーBの上部側壁には、コモンレールに連通する燃料導入口11が開口し、インジェクタボデーB内に軸方向に形成した高圧通路12に接続している。また、高圧通路12の側方には、軸方向に低圧通路13が形成され、インジェクタボデーBの上端面に開口する燃料導出口14を経て図略の燃料タンクへ連通している。
駆動源となるピエゾアクチュエータ2と駆動力伝達部3は、インジェクタボデーBの上半部に設けた縦穴B1に収容される。ピエゾアクチュエータ2を構成するピエゾスタック21は、PZT等の圧電セラミック層と電極層を交互に積層してなり、図示しない駆動回路により充放電されて、積層方向(上下方向)に伸縮するようになっている。縦穴B1内の空間は、通路22にて低圧通路13に連通している。
駆動力伝達部3は、縦穴B1内に設置したシリンダとしての筒状シリンダ部材35に、大径ピストンであるピエゾピストン31と、小径ピストンであるバルブピストン32を摺動自在に保持してなる。ピエゾピストン31は、フランジ状とした上端部がシリンダ部材35の上方に突出してピエゾスタック21の下端面に当接し、ピエゾスタック21と一体に変位可能となっている。ピエゾピストン31とバルブピストン32の間には、作動油となる燃料を充填した油密室33が形成される。
油密室33は、段付に形成されたシリンダ部材35の上部大径部と、その下方の下部小径部との連結部に設けられる。図1(b)に示すように、ピエゾピストン31が案内される大径部の内周面は、大径ガイド面35a、バルブピストン32が案内される小径部の内周面は、小径ガイド面35bとなっている。
図1(a)において、シリンダ部材35外周には、ピエゾピストン31の上端フランジ部とシリンダ部材35の下端フランジ部との間に、筒状のピエゾスプリング36が配設されている。ピエゾスプリング36は、筒壁に形成した多数のスリットにより軸方向に変形可能な公知のスリットスプリング構造を有し、ピエゾピストン31を上方に付勢してピエゾスタック21に密着させ、両者の接触を維持しながら、ピエゾスタック21に一定の初期荷重を印加している。
バルブピストン32は、下端部が外方に張り出すフランジ部321となっている。シリンダ部材35は、小径ガイド面35b下方の端部が段付きに拡径しており、この段面とバルブピストン32のフランジ部321の間に、バルブスプリング37が配設されている。バルブスプリング37はコイルスプリングよりなり、バルブピストン32を下方に付勢して、ピン部材である摺動ピン34に当接させている。
従って、ピエゾスタック21が伸長してピエゾピストン31を下方に押圧すると、その押圧力が油密室33において油圧変換されバルブピストン32に伝達される。この時、大径のバルブピストン32と小径のピエゾピストン31の受圧面積比に応じて、変位が拡大され、摺動ピン34を介して制御弁部4に伝達される。
制御弁部4は3方弁構造で、ノズル部5の制御室52と連通路46にて常時連通する弁室42と、弁室42内に収容される制御弁41を有している。弁室42は、頂面に低圧通路13に連通する低圧シート43を、底面に高圧通路12に連通する高圧シート44を有しており、制御弁41が、低圧シート43または高圧シート44に選択的に着座することにより、制御室52の圧力を増減するようになっている。
制御弁部4の制御弁41は、略半円球状の上半部と円柱状の下半部を有する形状となっている。上半部の略球面が低圧シート43に着座するシート面を構成し、下半部のフラットな底面が高圧シート43に着座するシート面を構成する。制御弁41の中間部外周に形成されるフランジ411と弁室42底面との間には、コイルスプリングよりなるバルブスプリング45が配設されて、制御弁41を上方に付勢している。初期状態において低圧シート43が閉鎖されていると、エンジン始動時に高圧サプライポンプにより速やかに昇圧を開始することができる。
制御弁41の頂面は、フラット面に形成されて摺動ピン34の下端面に当接している。摺動ピン34は一定径の円柱状ピンで、インジェクタボデーBに設けた摺動穴に摺動自在に支持されている。摺動穴の下半部は拡径されて摺動ピン34との間に低圧室16を形成している。低圧室16は、弁室42の頂面に開口するとともに、オリフィス17を介して低圧通路13と常時連通する。
本実施形態のように、シート部の一方を平面シートとすると、軸ずれ等によるシート不良が生じにくくなる。また、滑らかな球面ないし円錐面シートとすると異物の噛みこみ等を抑制でき、例えば低圧側を球面ないし円錐面シートとすることで、噛みこみによりノズル閉弁タイミングが遅れて噴射量が増加するのを防止する効果がある。
ノズル部5は、インジェクタボデーB内に設置した筒状シリンダ部材55に、ノズルニードル51の上端部を摺動自在に保持し、ノズルニードル51の上端面と筒状シリンダ部材55内壁面とで区画される空間を制御室52としている。ノズルニードル51周囲の空間は、高圧通路12に連通する油溜まり室54を構成している。また、油溜まり室54は、連通路15を介して制御弁部4の高圧シート44に連通している。ノズルニードル51の中間部外周に設けたフランジと筒状シリンダ部材55の間には、コイルスプリングよりなるニードルスプリング56が配設されている。
制御室52には制御油としての燃料が導入されて、ノズルニードル5の背圧を発生している。この背圧はノズルニードル51に下向きに作用し、ニードルスプリング56とともにノズルニードル51を閉弁方向に付勢している。一方、油溜まり室54の高圧燃料がノズルニードル51に上向きに作用している。
次に、上記構成のインジェクタ1の作動について説明する。図1(a)はインジェクタ1が無噴射の状態を示す。この時、ピエゾアクチュエータ2への通電はオフとなって作動せず、ピエゾスタック21は放電状態で収縮している。駆動力伝達装置3は駆動されず、ピエゾピストン31およびバルブピストン32は、図1(b)に示す上端位置にある。
本実施形態では、この初期位置において、バルブピストン32の摺動部と、これを案内する小径ガイド面35bとの位置関係を、摺動部の上端面32a(油密室33側端面)が、小径ガイド面35bの上端縁35c(油密室33側端縁)より下方に位置するように、さらに、摺動部の下端部32b(他端側端部)が、小径ガイド面35bの下端縁35d(他端側端縁)より下方に位置するように構成する。この摺動位置の限定により、燃料劣化物の噛み込みを防止し、安定した作動を可能にする。これについては、詳細を後述する。
この時、駆動力伝達装置3は制御弁部4を駆動せず、制御弁41は低圧シート43を閉鎖する上端位置となる。従って、高圧シート44が開放されて弁室2が高圧通路12と連通し、連通路46を介して弁室42と連通する制御室52が高圧となる。この制御室52の圧力とニードルスプリング56の付勢力によって、ノズルニードル51が着座し閉弁する。このため、油溜まり室54からインジェクタボデーBの先端に設けた噴孔53への燃料供給が遮断され、燃料は噴射されない。
一方、図2に示す噴射時には、ピエゾアクチュエータ2に通電することによりピエゾスタック21が充電されて伸長する。図に矢印で示すように(オン行程)、ピエゾスタック21の変位とともに駆動力伝達部3のピエゾピストン31が下方に移動し、油密室33の作動油(ここでは軽油)を圧縮する。この作動油の圧力でバルブピストン32が下方に移動し、変位を拡大して摺動ピン34および制御弁部4に伝達する。バルブピストン32が摺動ピン34を押し下げると、制御弁41が低圧シート43から離座し、さらに下方変位して高圧シート44に着座する。
これにより、弁室42が、低圧シート43、低圧室16、オリフィス17を介して低圧通路13に連通し、弁室42と連通する制御室52の圧力が降下する。制御室52の圧力降下により、ノズルニードル51に加わる上向き付勢力が下向き付勢力を上回ると、ノズルニードル5が上方へ移動して、噴孔53から燃料噴射が開始される。この時、低圧室16下流のオリフィス17により、制御室52の圧力降下は緩やかとなり、ノズル開弁速度は小さくなる。また、弁室42の圧力がアシスト力として、高圧シート44を閉鎖する方向に作用し、高圧シート閉弁に要する駆動力を小さくできる。
ピエゾアクチュエータ2への通電が終了すると、ピエゾスタック21が再び収縮し、図に矢印で示す逆の作動により(オフ行程)、ピエゾピストン31が上方へ移動し、油密室33の圧力が降下してバルブピストン32および摺動ピン34の押し下げ力が解除される。すると、制御弁41が高圧シート44から離座し、さらに低圧シート43に着座して、制御室52と低圧通路13の間が遮断される。これにより、制御室52圧力が再び上昇し、ノズルニードル51が閉弁する。
ここで、インジェクタ1が高温となった状態でエンジンが停止した場合などに、高温の装置内に残された燃料が劣化し、その後、さらに冷却されることで周辺部品に付着することがある。特に、燃料が充填された油密室33内において、摺動部品の露出面に燃料劣化物が付着することによる不具合が懸念される。図3(b)は、従来の駆動力伝達装置の一例を示す図で、ピエゾスタック21に通電しない初期状態において(図3(b)左半図)、バルブピストン32’の摺動部上端面が、油密室33’を構成するシリンダ部材35’の大径部内に突出する構成となっている。また、バルブピストン32’の摺動部下端面が小径ガイド面35b’の下端縁より上方に位置し、摺動部に続く下端小径部が、シリンダ部材35’の小径部内に位置している。
この構成では、油密室33’内の燃料劣化物6’がバルブピストン32’の突出する上端部外周に付着し、あるいは、小径ガイド面35b’の下端部内周面に燃料劣化物6’が付着する。この状態から、ピエゾスタック21に通電されると(図3(b)右半図)、下降するバルブピストン32’の摺動部外周面と小径ガイド面35b’の摺動隙間に、燃料劣化物6’を噛み込んでしまう。
ここで、バルブピストン32の移動時に作用する力は次のようになる。ピエゾアクチュエータ2への通電時、バルブピストン32には、ピエゾ発生力(例えば、約1500N)が作用して、これを下方に移動させる。これに対し、通電を終了した時には、制御弁41に作用する弁室42の油圧力と制御弁41を付勢するバルブスプリング45のスプリング力(例えば、約20N)により上方に移動する。油圧力はアイドル状態であれば、通常、約10Nであるので、バルブピストン32が上方に移動する力は、例えば、約30N(油圧力+スプリング力)となる。
ところが、図3(b)のように、バルブピストン32’に、燃料劣化物6’が付着し噛み込んだ場合、摺動抵抗が約30Nないしそれ以上となると、バルブピストン32’は上方に移動できなくなる。その結果、通電を停止してもバルブピストン32’が初期位置に戻れず、燃料噴射を終了できなくなる問題が生じる。なお、ピエゾピストン31’は、通電時はピエゾ発生力、通電終了時はピエゾスプリング(図略)のスプリング力(例えば、約500N)が作用し、バルブピストン32’と比較すると大きい。
そこで、本実施形態では、図3(a)左半図に示すように、バルブピストン32と小径ガイド35b面の摺動部位置関係を、バルブピストン32の摺動部上端面32aが、小径ガイド面35bの上端縁35cより下方に位置し、かつ、摺動部下端部32bが、小径ガイド面35bの下端縁35dより下方に位置させている。この時、油密室33内に生じた燃料劣化物6が、バルブピストン32上方の小径ガイド面35b上端部内周面に付着しても、噛み込みは生じにくい。あるいは、小径ガイド面35bの下方に突出するバルブピストン32の摺動部下端部32bの外周面に、周囲の低圧部にて生じた燃料劣化物6が付着した場合も同様である。
すなわち、この状態から、ピエゾスタック21に通電すると、図3(a)右半図に示すように、ピエゾピストン31の下降に伴い、バルブピストン32が下降するが、摺動部と小径ガイド面35bとの間に燃料劣化物6を噛み込んでしまうことがない。したがって、燃料劣化物6が付着した場合でも、作動を再開した時に燃料劣化物6を摺動隙間に噛み込むのを防止して、安定した作動を実現できる。
以上のように、上記構成によれば、バルブピストン32と小径ガイド35b面の摺動位置を限定することで、燃料劣化物の噛み込みによる摺動性の低下を防止し、油圧式の駆動力伝達装置を良好に作動させる。よって、インジェクタ1からの燃料噴射を安定して実施することができる。
また、ピエゾアクチュエータ2を用いることで、応答性よく燃料噴射が実施できる。この場合、ピエゾスタック21の変位が非常に小さいため、駆動力伝達部3を大径のピエゾピストン31と小径のバルブピストン32を組み合わせて構成し、変位を拡大して伝達することでより効率よく駆動力を伝達することができる。
アクチュエータとしては、通電により変位を発生する素子であれば、いずれを用いてもよく、上記各実施形態で使用したピエゾ素子の他、磁歪素子等を用いることもできる。
B インジェクタボデー
B1 縦穴
1 インジェクタ
11 燃料導入口
12 高圧通路
13 低圧通路
14 燃料導出口
15 連通路
16 低圧室
17 オリフィス
2 ピエゾアクチュエータ(アクチュエータ)
21 ピエゾスタック
22 連通路
3 駆動力伝達部
31 ピエゾピストン(大径ピストン)
32 バルブピストン(小径ピストン)
32a 摺動部上端面
32b 摺動部下端面
321 フランジ部
33 油密室
34 摺動ピン
35 シリンダ部材
35a 大径ガイド面
35b 小径ガイド面
35c 上端縁
35d 下端縁
36 ピエゾスプリング
37 バルブスプリング
4 制御弁部
41 制御弁
42 弁室
43 低圧側シート
44 高圧側シート
45 バルブスプリング
46 連通路
5 ノズル部
51 ノズルニードル
52 制御室
53 噴孔
54 油溜まり室
B1 縦穴
1 インジェクタ
11 燃料導入口
12 高圧通路
13 低圧通路
14 燃料導出口
15 連通路
16 低圧室
17 オリフィス
2 ピエゾアクチュエータ(アクチュエータ)
21 ピエゾスタック
22 連通路
3 駆動力伝達部
31 ピエゾピストン(大径ピストン)
32 バルブピストン(小径ピストン)
32a 摺動部上端面
32b 摺動部下端面
321 フランジ部
33 油密室
34 摺動ピン
35 シリンダ部材
35a 大径ガイド面
35b 小径ガイド面
35c 上端縁
35d 下端縁
36 ピエゾスプリング
37 バルブスプリング
4 制御弁部
41 制御弁
42 弁室
43 低圧側シート
44 高圧側シート
45 バルブスプリング
46 連通路
5 ノズル部
51 ノズルニードル
52 制御室
53 噴孔
54 油溜まり室
Claims (5)
- シリンダ内に摺動自在に保持された大径ピストンおよび小径ピストンと、両ピストン間に作動油を充填してなる油密室を備えており、アクチュエータによる上記大径ピストンの変位を上記油密室の作動油を介して上記小径ピストンに伝達する駆動力伝達装置であって、
上記油密室が、段付に形成した上記シリンダの上部大径部と下部小径部の連結部に設けられており、
上記シリンダの大径部内周面を上記大径ピストンを案内する大径ガイド面、小径部内周面を上記小径ピストンを案内する小径ガイド面とするとともに、
上記アクチュエータの非作動時に、上記小径ピストン摺動部の上記油密室側端面が、上記小径ガイド面の上記油密室側端縁よりも反油密室側に位置することを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1記載の駆動力伝達装置において、上記アクチュエータの非作動時に、上記小径ピストン摺動部の反油密室側端部が、上記小径ガイド面の反油密室側端縁よりも反油密室側に位置する駆動力伝達装置。
- 請求項1または2記載の駆動力伝達装置と、ノズルニードルの背圧を制御する制御弁を備え、上記アクチュエータの作動時に、上記大径ピストンから上記油密室を介して伝達される駆動力により上記小径ピストンが上記制御弁を駆動することを特徴とする燃料噴射装置。
- 上記アクチュエータがピエゾアクチュエータである請求項3記載の燃料噴射装置。
- 上記ノズルニードルに閉弁方向の圧力を作用させる制御室を備え、上記制御弁は、上記制御室と低圧通路との連通・遮断を切り替えることにより上記制御室の圧力を増減させる請求項3または4記載の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006050631A JP2007231737A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | 駆動力伝達装置および燃料噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006050631A JP2007231737A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | 駆動力伝達装置および燃料噴射装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP4670878B2 (ja) * | 2008-03-07 | 2011-04-13 | 株式会社デンソー | 制御弁およびインジェクタ |
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