JP2007229579A - 消泡装置 - Google Patents

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【課題】液体から気泡を除去すると共に液面の波立ちを抑制する消泡装置を提供する。
【解決手段】消泡装置10は、仕切壁12によって二室に仕切られたタンク14を備えている。流入室16には、流入された油中の気泡を除去する4枚の消泡板24a,24b,24c,24dが配置されている。各消泡板24a,24b,24c,24dは、流入室16内の油面にほぼ直交する方向に延びる凹凸が形成されている。また、各消泡板24a,24b,24c,24dはタンク14の底面から立ち上がっており、その高さは、タンク14に貯められる油の油面よりも高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、流入された液体から気泡を除去する消泡装置に関し、例えば、流入された油(オイル)から気泡を除去する際に使用される消泡装置に関する。
各種の機器に用いる油をタンクに貯めておき、このタンクから油をポンプ等に送る装置が広く使用されている。このタンクに貯められた油には気泡が混入していることがあり、この気泡を油から除去する消泡装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この消泡装置では、上部に大きな孔が形成されると共に下部に小さな孔の形成された複数枚の消泡板をタンク内に配置しておき、これら複数枚の消泡板に油を通過させて気泡を除去する構造になっている。
特開平11−057306号公報
上記した複数枚の消泡板に形成された多数の孔はこの消泡板に対して傾斜しており、また、消泡板の上部と下部では孔の大きさが相違する。さらに、複数枚の消泡板はほぼ平行に並べられると共に対向する部分の孔は同じ大きさになるように配置される。従って、消泡装置は複雑な構造となっている。また、タンクに流入した油は(油面は)波立っていることがある。油面が波立っているときはこの油面の高さ、即ち、油の量を正確には測定できないことがある。
本発明は、上記事情に鑑み、液体から気泡を除去すると共に液面の波立ちを抑制する消泡装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の消泡板は、
(1)仕切壁によって複数の部屋に仕切られた、液体が流入されるタンクと、
(2)前記複数の部屋のうち液体が流入される流入室に配置された、流入された液体中の気泡を除去する消泡板と、
(3)前記消泡板によって気泡の除去された液体が通過する、前記仕切壁に取り付けられたフィルタとを備え、
(4)前記消泡板は、前記流入室内の液面に交差する方向に延びる凹凸が形成された複数のものであり、
(5)これら複数の消泡板は、前記仕切壁から前記タンクの側壁の手前まで広がる仕切壁側消泡板と、前記タンクの側壁から前記仕切壁の手前まで広がるタンク側壁側消泡板とが、前記流入室内の液体が流れる方向に交互に配置されたものであることを特徴とするものである。
ここで、
(6)前記消泡板は、前記タンクに貯められる液体の液面よりも高いものであってもよい。
また、
(7)前記消泡板は、その横断面はW字状を連続させた形状のものであってもよい。
さらに、
(8)前記消泡板は前記仕切壁および前記タンクの前記側壁に対して50度から70度の角度を有したものであり、前記横断面のW字状の挟角は80度以上であってもよい。
さらにまた、
(9)前記タンクは、前記流入室のうち前記フィルタとは反対側の部分に、液体が流入される流入口が配置されたものであってもよい。
さらにまた、
(10)前記フィルタは、10メッシュから22メッシュの複数枚の金網が間隔をおいて配置されているものであってもよい。
本発明の消泡装置では、タンクの流入室に流入した液体が複数の消泡板に順次に衝突する(ぶつかる)度に、この液体中の気泡が消泡板に沿って上方に移動して消える。各消泡板は、液面に交差する方向に延びる凹凸が形成されているので、これら凹凸の分だけ消泡板の面積が増えており、このため、液体の衝突する面積(液体と消泡板との接触面積)も広くなって気泡も消され易い。また、流入室に流入した液体は仕切壁側消泡板とタンク側壁との間及びタンク側壁側消泡板と仕切壁との間を順次に通過するので、蛇行しながら流れることとなって液体の流れる流路が実質的に長くなる。このため、液体の流れが緩やかになって、液面の波立ち(上下動)が抑制されることとなる。
本発明は、油を使用する機械装置試験機器のオイルタンクとして使用される消泡装置に実現された。
図1から図3までを参照して、本発明の消泡装置の一例を説明する。
図1は、本発明の消泡装置の一例の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の消泡装置の上面図である。図3は、一枚の消泡板を示す斜視図である。
消泡装置10は、仕切壁12によって二室(2つの部屋)に仕切られたタンク14を備えている。タンク14は直方体であり、仕切壁12はタンク14の中央部をその長手方向(矢印A方向)に延びている。2つの部屋は、油(本発明にいう液体の一例である)が流入される流入室16と、流入室16から流れ込んできた油を一時的に貯めて外部に流出する流出室18とから構成される。流入室16及び流出室18双方の容積はほぼ同じである。流入室16と流出室18は、後述するフィルタ22を除いて、仕切壁12によって水密に(油が漏れないように)保たれている。
流入室16の長手方向一端部(矢印A方向の上流側部分)には、油が流入される流入口20aが形成されている。流入口20aはタンク14の底面のやや上に位置しており、上から延びる流入パイプ20の下端に形成されている。このため、流入室16には、その底面のやや上から油が流入される。一方、流出室18の長手方向一端部(矢印A方向の上流側部分)の底壁には、油が外部に流出される流出口18aが形成されている。従って、流入口20aから流入された油は、図1及び図2の二点鎖線で示すように流入室16を流れて、後述するフィルタ22を通過して流出室18に流れ込み、二点鎖線で示すように流出室18を矢印B方向(矢印A方向とは反対方向)に流れて流出口18aから外部に流出(排出)される。
流入室16には、流入された油中の気泡を除去する4枚の消泡板24a,24b,24c,24dが配置されている。ここでは、消泡板を4枚としたが、2枚でも3枚でも4枚以上であってもよく、タンク14の長さや流入される油の種類や油中の気泡の状態に基づいて適宜に決められる。図3には、横断面がW字状(例えば、挟角αは90°、一辺の長さlが30mmから50mm)を連続させた製造しやすい形状の消泡板を示している。なお、図1、図2及び図3の凸部の数(山の数)は参考である。図1と図2では、横断面がW字状を連続させた形状の消泡板を示しているが、U字状を交互に連続させた形状(波状)であってもよい。
各消泡板24a,24b,24c,24dの下端は流入室16の底面に接触しており、その側端は流入室16の側壁又は仕切壁12に溶接(又はねじ止め)されている。各消泡板24a,24b,24c,24dは、タンク14の底面に対して垂直、油の流れAに対してやや受ける側(前傾)に立ち上がっている。その高さは、タンク14に貯められる油の油面よりも高い。油の流れAが消泡板24に衝突したときに波立って、消泡板24a,24b,24c,24dおよび/または仕切壁12を越えることを防止するために、消泡板24は流れAに対してやや前傾に立ち上がっており、その高さは油面(仕切壁12の壁の高さ)よりも高くなっている。
2枚の消泡板24b,24dは、仕切壁12からタンク14の側壁14a(流入室16を構成する壁であり、矢印A方向に延びている。)の手前まで広がっている。2枚の消泡板24b,24dが、本発明にいう仕切壁側消泡板の一例である。2枚の消泡板24b,24dは仕切壁12につながっており(接触しており)、消泡板24b,24dと仕切壁12の間からは油が漏れない。一方、消泡板24b,24dと側壁14aとの間には、油が滞らずに流れる間隔が保たれている。
2枚の消泡板24a,24cは、タンク14の側壁14aから仕切壁12の手前まで広がっている。2枚の消泡板24a,24cが、本発明にいうタンク側壁側消泡板の一例である。2枚の消泡板24a,24cは側壁14aにつながっており(接触しており)、消泡板24a,24cと側壁14aの間からは油が漏れない。一方、消泡板24a,24cと仕切壁12との間には、油が滞らずに流れる間隔が保たれている。
上記のように側壁14aから広がる消泡板24a,24cと、仕切壁12から広がる消泡板24b,24dとは、流入室16内の油が流れる方向(矢印A方向)に交互に配置されている。このため、例えば消泡板24aに衝突しなかった(接触しなかった)油は、次の消泡板24bには衝突することとなる。また、各消泡板24a,24b,24c,24dは側壁14a又は仕切壁12に直交して広がっているのではなくて、消泡板24aは矢印A方向下流側に傾斜して(傾斜角度θ)広がっている。他の消泡板24b,24c,24dは消泡板24aに略並行に設けられている。この傾斜角度θは、油の流れAが消泡板24に衝突する力を和らげて(分散させて)波立ちを減少させ、油の流れAは一箇所に滞ることなく円滑に流れる。
仕切壁12には、消泡板24a,24b,24c,24dによって気泡が除去された油が通過するフィルタ22が取り付けられている。このフィルタ22は、仕切壁12のうち流入口20aとは反対側の部分に取り付けられている。即ち、フィルタ22とは反対側に流入口20aが形成されている。フィルタ22は、流入室16と流出室18とで油面が同じ高さになるように、油の通過抵抗が小さくなるように10メッシュから22メッシュまでの範囲内の複数枚の金網が、適当な間隔(通常10mm)で並べた(網目が一致しない)構成になっている。フィルタ22は、タンク14の底面から30〜50mm離れた位置(上方の位置)に取り外しできるように配置されており、仕切壁12のうちフィルタ22の下の部分では、油に混入している比較的重い劣化した油等の懸濁物が堰き止められ、底部には金属粉等を含むスラッジが残留する。
ここで、図4を参照して、消泡板24aの傾斜角度θとW字状の凹凸(挟角α)の関係を説明する。
図4は、消泡板の傾斜角度とW字形状の凹凸の侠角の関係を示す一部平面図であり、(a)は、傾斜角度θと挟角αが小さい場合を示す平面図であり、(b)は、(a)の領域Xの拡大図であり、(c)は、傾斜角度θと挟角αが大きい場合を示す平面図である。他の消泡板24b、24c、24dについても同様である。
図4(a)では、油の流れAは消泡板24aの面Nに衝突して全方向に分けられる。横方向の流れA1は、面Nに沿って(図面では下側)次の凹凸部に流れる。他の横方向の流れA2(図面では上側)は、消泡板24aの面Nに衝突しさらに面Mに衝突して面Mに沿って矢印A方向と逆の方向に流れる。この流れは再び流れAと合流して消泡板24aの面Nに衝突する。このように流れA2は繰り返される。このような渦状の流れA2は、消泡板24aに振動を与えて異常音の発生の原因となり望ましくない。また流れが滞るため気泡の除去の点からも好ましくない。なお、上方(図面に対して垂直)への流れは、油面を盛上げる。侠角αが小さい場合は、油の流れAが凹部に向かって集中するので、湯面の盛上りは大きくなる。
図4(b)に示すように傾斜角度θと挟角αが大きい場合では、油の流れA’は、図4(a)の油の流れAとは異なって渦状の流れA2が発生しない。このため、油が一箇所に滞ることなく円滑に流れる。この場合、油が消泡板24aに衝突する際の力を分散させ、流路長を確保するために望ましい傾斜角度θが50度から70度までの範囲内、及び侠角αが80度以上の場合は、渦状の流れがなく油面の盛上りも少ないので好ましい。
上記したタンク14に流入された油(気泡)の挙動を説明する。
流入口20aから流入室16に流入された油は、流出口18aに接続されたポンプ(図示せず)の吸引(吸引力)によって矢印A方向に流れる。この流れの途中で、先ず、油は消泡板24aに衝突する。この衝突によって、油中の気泡の一部(比較的大きな気泡)は消泡板24aに沿って上方に移動して空中に消える。また、小さな気泡は衝突により集合し気泡は大きくなり、2枚目以降の消泡板で除去され易くなる。一部の気泡の消えた(除去された)油は、消泡板24aと仕切壁12との間を通過して2枚目の消泡板24bに衝突する。なお、油の一部は消泡板24aに衝突せずに、消泡板24aと仕切壁12との間を通過することもある。このように1枚目の消泡板24aを通過した油は、2枚目の消泡板24bに衝突することとなる。1枚目の消泡板24aの衝突と同様に、消泡板24bに衝突した油からも気泡の一部が消泡板24bに沿って上方に移動して空中に消える。2枚目の消泡板24bを通過した油は、消泡板24bとタンク14の側壁14aとの間を通過して3枚目の消泡板24cに衝突する。上記と同様にして油中の気泡が除去されて油は4枚目の消泡板24dに衝突し、同様に気泡が除去される。このように消泡板24a,24b,24c,24dを通過するたびに油の中の気泡は徐々に消失される。
各消泡板24a,24b,24c,24dは、上記のようにW字状を連続させた形状となっているので、この凹凸の分だけ消泡板の面積が増えており、このため、油の衝突する面積(油と消泡板との接触面積)も広くなって気泡も消され易い。また、流入室16に流入した油は、消泡板24aと仕切壁12の間、消泡板24bと側壁14aの間、消泡板24cと仕切壁12の間、消泡板24dと側壁14aの間を順次に通過するので、蛇行しながら流れることとなる。このため、油の流れる流路が実質的に長くなる。この結果、油の流れが緩やかになって、油面の波立ち(上下動)が抑制されることとなる。また、油の流れが緩やかになると除去されにくかった微小な気泡も浮き上がり消失する。
消泡板24dを通過した油はフィルタ22に到達し、消泡板や流路等で除去されなかった気泡はフィルタ22の金網への衝突や、複数枚の金網で流路が変化する間に消失する。このように残りの気泡や不純物等がフィルタ22によって濾過される。従って、フィルタ22を通過した油には気泡や不純物等がほとんど含まれておらず、また、油面も波立っていない。このため、流入室16から流出室18に流れ込んだ油は波立っていない。また、金網製のフィルタは通過抵抗が小さいため流入室16と流出室18との液面に差異がほとんどない。この結果、流出室18内に設置したフロート式の油面計26で油の量を測定しても誤差はほとんど無くなる。
以上説明したように本発明の消泡装置10によれば、油中の気泡を除去できるだけでなく油面の波立ちも抑制できるので、タンク14中の油量を正確に測定できる。
本発明の消泡装置の一例の概略構成を示す斜視図である。 図1の消泡装置の上面図である。 一枚の消泡板を示す斜視図である。 消泡板の傾斜角度とW字形状の凹凸の侠角の関係を示す一部平面図であり、(a)は、傾斜角度θと挟角αが小さい場合を示す平面図であり、(b)は、(a)の領域Xの拡大図であり、(c)は、傾斜角度θと挟角αが大きい場合を示す平面図である。
符号の説明
10 消泡装置
14 タンク
16 流入室
18 流出室
22 フィルタ
24a,24b,24c,24d 消泡板

Claims (6)

  1. 仕切壁によって複数の部屋に仕切られた、液体が流入されるタンクと、
    前記複数の部屋のうち液体が流入される流入室に配置された、流入された液体中の気泡を除去する消泡板と、
    前記消泡板によって気泡の除去された液体が通過する、前記仕切壁に取り付けられたフィルタとを備え、
    前記消泡板は、前記流入室内の液面に交差する方向に延びる凹凸が形成された複数のものであり、
    これら複数の消泡板は、前記仕切壁から前記タンクの側壁の手前まで広がる仕切壁側消泡板と、前記タンクの側壁から前記仕切壁の手前まで広がるタンク側壁側消泡板とが、前記流入室内の液体が流れる方向に交互に配置されたものであることを特徴とする消泡装置。
  2. 前記消泡板は、前記タンクに貯められる液体の液面よりも高いものであることを特徴とする請求項1に記載の消泡装置。
  3. 前記消泡板は、その横断面はW字状を連続させた形状のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の消泡装置。
  4. 前記消泡板は前記仕切壁および前記タンクの前記側壁に対して50度から70度の角度を有したものであり、前記横断面のW字状の挟角は80度以上であることを特徴とする請求項3に記載の消泡装置。
  5. 前記タンクは、前記流入室のうち前記フィルタとは反対側の部分に、液体が流入される流入口が配置されたものであることを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載の消泡装置。
  6. 前記フィルタは、10メッシュから22メッシュの複数枚の金網が間隔をおいて配置されているものであることを特徴とする請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載の消泡装置。
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