JP2007228225A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

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JP2007228225A JP2006046457A JP2006046457A JP2007228225A JP 2007228225 A JP2007228225 A JP 2007228225A JP 2006046457 A JP2006046457 A JP 2006046457A JP 2006046457 A JP2006046457 A JP 2006046457A JP 2007228225 A JP2007228225 A JP 2007228225A
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Masahiro Oshio
政宏 押尾
Satoru Fujii
知 藤井
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秀逸 河野
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Abstract

【課題】表面波の変位が表層部に集中することによる不具合を低減することができる弾性
表面波デバイスの新規な構造を提供する。
【解決手段】本発明の弾性表面波デバイス10は、基体層12と、該基体層上に配置され
た圧電体層14と、該圧電体層の表裏いずれかの面上に形成された電極構造15とを含む
弾性表面波デバイスにおいて、前記基体層と前記圧電体層の間に、前記基体層よりも音響
インピーダンスが小さく、しかも、前記圧電体層よりも音響インピーダンスが大きい音響
緩和層13が介在していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は弾性表面波デバイスに係り、特に、高周波フィルタ等の高周波回路素子として
好適に用いられる弾性表面波を利用した素子の構造に関する。
一般に、携帯電話機などの通信機器では高周波化や小型化が進展しつつあり、このため
に、RF回路部の高性能化や小型化が要求されるようになってきている。この中で、通信
機器の送受信部に用いられる高周波フィルタや発振器に用いられる共振子等の電子素子と
して、弾性表面波(SAW)素子が用いられている。このような弾性表面波デバイスは、
圧電体層の表面に沿った音響波(弾性表面波)を利用するものであり、高周波化や小型化
が可能といった利点を備えている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。特に、図4
に示す弾性表面波デバイス20のように、基板21上にダイヤモンド薄膜22を形成し、
この上にZnO等からなる圧電体層24を形成し、この圧電体層24上に電極構造25を
形成してなる弾性表面波デバイスは、ダイヤモンド薄膜22が高い弾性定数を備えている
ことから、位相速度が9000m/s以上の表面波を励振させることが可能であるため、
高周波化が容易であるという利点を有している。
特許文献1及び2においては、ダイヤモンド層の上に圧電体層を有する弾性表面波デバ
イスにおいて、短絡用電極を導電性酸化物で設ける構成、SiOからなる温度補償膜を
設ける構成などが開示されている。帯域透過フィルタを構成する弾性表面波デバイスの場
合、くし形電極(IDT)の電極間隔をλo、弾性表面波の伝播速度をv、帯域通過特性
の中心周波数をfoとしたとき、fo=v/λoの関係があるため、デバイスを高周波化
するためには電極間隔λoの低減と伝播速度vの増大のいずれかを図る必要がある。とこ
ろが、電極間隔λoはパターニング精度により制約を受けるため、上記文献では、ダイヤ
モンド層を用いることによって弾性表面波の伝播速度vを高めるようにしている。
特開平6−232677号公報 特開平9−98059号公報
上記のように、ダイヤモンド層上に圧電体層を形成してなる弾性表面波デバイスでは、
高周波化が容易になるという利点があるが、圧電体層の音響インピーダンスは一般に低い
反面、ダイヤモンド層の音響インピーダンスは高いため、圧電体層とダイヤモンド層との
間に音響インピーダンスの不整合が生じ、圧電体層とダイヤモンド層の界面で音響波が反
射することにより、圧電体層の内部に弾性波が閉じ込められ、これによって振動変位が圧
電体層の表面に極端に集中する場合がある。
例えば、ダイヤモンド層の上にZnO膜(圧電体層)とSiO膜(温度補償層)を積
層した構造においては、一般的に、波長4μmの表面波に対してZnO膜とSiO膜を
合わせた厚みが1μm程度であるので、表面波の振動エネルギーが表面から1/4波長程
度の領域に集中することになる。これは、通常の単結晶や厚膜の表面に励振された表面波
の変位が表面から1波長程度の深さ内に存在するのと比較すると、通常よりも表層部に著
しく変位が集中した状態であることがわかる。
そして、上記のように表面波の変位が表層部に集中すると、圧電体表層部の破壊(変位
が増大することによるストレスマイグレーションによる破断)が発生する虞があるため、
デバイスの耐電力性が悪化するという問題点がある。
また、表面波が電極に入射したときに電極端部で一部がバルク波に変換されることによ
るバルク波変換損が増大し、デバイス性能が悪化するという問題点もある。
さらには、表面波が表層部に集中することにより電極の反射係数が増大するため、デバ
イスの設計自由度が低下するという問題点もある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、表面波の変位が表層
部に集中することによる不具合を低減することができる弾性表面波デバイスの新規な構造
を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の弾性表面波デバイスは、基体層と、該基体層上に配置され
た圧電体層と、該圧電体層の表裏いずれかの面上に形成された電極構造とを含む弾性表面
波デバイスにおいて、前記基体層と前記圧電体層の間に、前記基体層よりも音響インピー
ダンスが小さく、しかも、前記圧電体層よりも音響インピーダンスが大きい音響緩和層が
介在していることを特徴とする。
この発明によれば、基体層と圧電体層の間に音響緩和層が介在していることにより、弾
性波の位相速度が高い基体層を用いて高周波化を図る場合でも、圧電体層の内部を伝搬す
る弾性表面波が基体層と圧電体層の境界で反射されて圧電体層に閉じ込められるといった
状況が発生しにくくなるため、圧電体層の表裏いずれかの面に対する変位の集中が抑制さ
れ、その結果、デバイスの耐電力性を向上させることができ、また、圧電体層の表裏いず
れかの面上に構成された電極構造におけるバルク波変換損が低減されるとともに、当該電
極構造の反射係数が低減されるためにデバイスの設計自由度が向上する。
本発明において、前記圧電体層から前記基体層までに存在する各層の音響インピーダン
スが順次に増加するように構成されていることが好ましい。このように構成すると、上記
のように基体層と圧電体層の中間の音響インピーダンスを持つ音響緩和層及びその他の層
がいずれも弾性表面波の変位成分の基体層への浸透を阻害しないので、基体層による弾性
表面波の位相速度の向上効果を確保することができ、デバイスの高周波化を妨げない。
ここで、例えば、隣接する層の界面に対して入射側の音響インピーダンスをZ1、出射
側の音響インピーダンスをZ2とした場合、上記界面での音響反射比(入射波と反射波の
音圧の比)はR=(Z2−Z1)/(Z1+Z2)となり、Z1<Z2であればRは正と
なり反射波の位相は正転し、Z1>Z2であればRは負となり反射波の位相は反転する。
したがって、圧電体層から基体層までの各層の音響インピーダンスが順次に増加し、かつ
、上記界面における音響インピーダンスの差が小さいほど、音響振動が基体層の内部にも
侵入しやすくなり、基体層の音響特性による影響(位相速度の向上効果)が大きくなる。
本発明において、前記基体層はダイヤモンド若しくはダイヤモンド状炭素で構成されて
いることが好ましい。基体層がダイヤモンド若しくはダイヤモンド状炭素で構成されるこ
とにより、弾性表面波の位相速度の向上効果がきわめて高くなる。ただし、基体層として
は、立方晶窒化ホウ素(c−BN)、立方晶炭化珪素(c−SiC)、サファイア(Al
)などの硬質で音響波の位相速度が高い他の素材を用いてもよい。
本発明において、前記基体層と前記圧電体層の間に複数の音響緩和層が介在し、該複数
の音響緩和層は前記基体層に向けて音響インピーダンスが漸次増加するように配置されて
いることが好ましい。これによれば、基体層と圧電体層との間に複数の音響緩和層が介在
することで、各層の界面における音響インピーダンスの差を低減できるため、弾性表面波
の振動変位が基体層内部にも生じやすくなり、位相速度の向上を図ることができるととも
に、弾性表面波の界面反射に起因する閉じ込め効果をさらに低減することが可能になる。
本発明において、隣接する前記圧電体層と前記音響緩和層が格子整合していることが好
ましい。これによれば、音響緩和層上に圧電体層を形成することで、格子整合によって圧
電体層の結晶性が向上するので、弾性表面波の伝播損失を低減することが可能になる。こ
のような音響緩和層と圧電体層の組み合わせとしては、例えば、AlNとZnOが挙げら
れる。
本発明において、前記圧電体層と前記音響緩和層の間、前記圧電体層と前記電極構造と
の間、或いは、前記電極構造上のいずれかに温度補償層が形成されていることが好ましい
。これによれば、温度補償層を設けることにより、温度に対する弾性表面波の周波数の変
動量を小さくすることができるため、高精度の高周波デバイスを構成できる。
[第1実施形態]
次に、添付図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。図1は本実
施形態の弾性表面波デバイスの構造を模式的に示す概略縦断面図である。なお、以下に説
明する各実施形態では、弾性表面波デバイスとして、帯域通過フィルタ(SAWフィルタ
)を構成した場合を前提として説明する。ただし、本発明としては、フィルタに限らず、
遅延線、発振器、共振器(レゾネータ)、相関器(コンボルバ)などといった各種の機能
素子としての応用が可能である。
この弾性表面波デバイス10は基板11上に形成されている。この基板11は、シリコ
ン基板等の半導体基板、ガラス基板、サファイア基板、セラミックス基板等の各種の基板
を用いることができる。特に、シリコン基板等の半導体基板を用いることによって、基板
11内に各種の半導体回路を作り込むことができるため、弾性表面波デバイスと回路(集
積回路)とを一体化することができる。この中でも、シリコン基板を用いることが一般的
な半導体製造技術を利用できる点で有利である。
基板11上にはダイヤモンドやダイヤモンド状炭素(不定形炭素)等からなる基体層1
2が形成されている。この基体層12は、弾性表面波の伝播速度を高めるためのものであ
り、弾性波の伝播速度が後述する圧電体層の伝播速度よりも高いものであることが好まし
い。基体層12の伝播速度としては、一般には5000m/s以上であり、7000m/
s以上であることが好ましく、特に10000m/s以上であることが望ましい。
伝播速度が5000m/s以上であるものとしては、AlN、ダイヤモンド、ダイヤモ
ンド状炭素(DLC)、SiN、AlO(サファイア)、c−BN(立方晶窒化ホウ素)
、c−SiC(立方晶シリコンカーバイト)などが挙げられる。これらの中でも、特に伝
播速度が高い素材としてはダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素(DLC)が望ましい。ダ
イヤモンド膜やダイヤモンド状炭素膜は、一般的に、半導体基板や無機酸化物基板上に、
プラズマCVD、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法などの気相プロセスで形成する
ことができる。
基体層12の厚みは、弾性表面波の伝播速度を高めるために、伝播する弾性表面波の波
長λの0.4倍以上であり、0.6倍以上であることが好ましい。特に、λの1倍以上で
あることが望ましく、典型的には3〜4λ程度であることがより望ましい。なお、本実施
形態では基体層12を基板11上に形成しているが、基体層12そのものを基板(例えば
ダイヤモンド基板、サファイア基板)とし、上記の基板11を省略することも可能である
上記基体層12上には音響緩和層13が形成される。この音響緩和層13は、上記基体
層12よりも音響インピーダンスが低く、後述する圧電体層よりも音響インピーダンスが
高い材料で構成される。例えば、基体層12としてダイヤモンドを用いるとき、その音響
インピーダンスはZ=ρ・VL=61.6[Pa・s/m]であるので、音響緩和層13
としてはそれよりも低い音響インピーダンスを備えたものを用いる。音響緩和層13を誘
電体(圧電体を含む。)で構成する場合、圧電体層がZnO(Z=34.6[Pa・s/
m])であれば、音響緩和層13の素材としては、AlN(Z=35.0[Pa・s/m
])、Si(Z=52.0[Pa・s/m])、Al(Z=43.3[Pa
・s/m])、SrTiO(Z=40.3[Pa・s/m])などが挙げられる。
音響緩和層13の厚みは、圧電体層の表面の振動変位を低減するという観点からは或る
程度厚い方が好ましいが、特に、音響緩和層内の弾性波の波長をλとしたとき、λ/4に
近いものであることが好ましい。これは、基体層12と圧電体層との音響インピーダンス
の不整合量をより小さくすると同時に、圧電体層により励振された振動変位を基体層2内
にも生じやすくするためである。具体的には、音響緩和層3の厚みtを0.8×λ/4以
上、1.2×λ/4以下とすることが好ましく、0.9×λ/4以上、1.1×λ/4以
下とすることがさらに望ましい。ただし、本発明においては、音響緩和層13の厚みがλ
/4以下であることを妨げない。これは、音響緩和層13の機能は圧電体層との界面の音
響インピーダンスの差を小さくすることにあるからであり、基体層12と圧電体層の境界
での弾性波の反射を低減できる厚みであればよい。
上記音響緩和層13上には圧電体層14が形成される。圧電体層14は、圧電性を示す
素材であれば如何なるものであってもよいが、例えば、AlN、ZnO、PZT(Z=3
1.8[Pa・s/m])、KNbO(Z=29.3[Pa・s/m])、PB(Zr
,Ti)O、(Pb,La)(Zr,Ti)O、LiTaO、LiNbOなどが
挙げられる。これらの圧電体層は一般的にCVD法やスパッタリング法等で形成できる。
圧電体層14の厚みは、機能的には特に限定されないが、弾性表面波の波長をλとした
場合、λ/2未満であることが好ましい。これは、後述する電極構造が圧電体層14の基
体層12及び音響緩和層13とは反対側の表面上に形成される場合、圧電体層14が厚く
なりすぎると弾性波が基体層12に到達しにくくなり、基体層2の高い伝播速度に起因す
る高周波化を図ることができなくなるからである。また、圧電体層14と音響緩和層13
の界面での弾性波の反射を低減し、しかも、基体層2の効果を確保するためには、特に、
0.8×λ/4以上、1.2×λ/4以下であることが好ましく、特に0・9×λ/4以
上、1.1×λ/4以下であることが望ましい。
圧電体層14は、音響緩和層13と格子整合する薄膜で構成することが好ましい。これ
により、音響緩和層13上に形成される圧電体層14の結晶性を向上させることができる
。例えば、AlNとZnOは共にc軸配向を有する薄膜として形成できる素材であるため
、いずれか一方を音響緩和層13として、他方を圧電体層14として用いることによって
、圧電体層14の結晶性を向上させ、伝播損失の低減により弾性表面波デバイスの性能を
高めることができる。この他に用いることができるc軸配向を有する薄膜材料としては、
CdS、CdSe、ZnSなどがある。また、C軸配向は一般に最密充填方向なので、面
心立方体の(111)配向であってもよい。具体的には、白金(Pt)、モリブデン(Mo)
、Ti、Wなどの金属でも良い。
圧電体層14上には、図10に示す櫛状(すだれ状)の平面パターンを備えた、くし形
電極、すだれ状電極、或いは、IDT(Inter Digital transducer)と呼ばれる電極構造
15が形成される。この電極構造15は、一般的には、Al、Cr、W等の金属層を適宜
のパターニング処理を施すことによって形成される。図10に示す電極構造15の平面パ
ターンは、相互に異なる電位が供給され、或いは、相互に異なる電位を出力可能な一対の
電極ストリップ15Aと15Bが交互に一つずつ配列されたシングル電極構造を備えてい
る。ただし、例えば、一対の電極ストリップ15aと15bが二本ずつ交互に配列された
構造(ダブル(スプリット)電極)など、弾性表面波の励振や受信が可能なものであれば
、他の構造を備えていてもよい。
図10に示すように、図示例の場合、相互に離間した一対の電極構造15が設けられ、
一方の電極構造15の端子15X、15Yに入力信号を与えることにより、電極ストリッ
プ15aと15bの電位差に基づいて圧電体層14の圧電効果により電極ストリップの配
列ピッチの2倍の波長を有する弾性表面波が励振される。この弾性表面波は圧電体層14
の表面を伝播し、やがて、他方の電極構造15で検出され、その端子15X、15Yに出
力信号が出力される。なお、一対の電極構造15の両側にそれぞれ図示点線で示す振動吸
収帯(吸音材)16をエポキシ系樹脂やシリコーンゴム等で設けてもよい。
図示例の構成は弾性表面波デバイスの一構成例に過ぎず、本発明はこのような構成に限
定されるものではない。例えば、共振器を構成する場合には、一つの電極構造15とその
両側に配置された反射器(同電位の複数の電極ストリップが周期的に配列されたもの)を
設ければよい。
本実施形態の具体的構成としては、基体層12をダイヤモンド、音響緩和層13をSi
、圧電体層14をZnOで形成する。また、他の音響緩和層13及び圧電体層14
の組み合わせとしては、SrTiOとZnO、AlとZnO、SrTiOとA
lN、AlとAlN、SiとAlN、SrTiOとPZT、Al
PZT、SiとPZT、SrTiOとKNbO、AlとKNbO、S
とKNbOなどが挙げられる。
Si、AlN、Al、SiCなどを素材として音響緩和層13を形成する
場合には、プラズマCVDやスパッタリング法で形成することができる。また、音響緩和
層13としてAlを用いる場合には、市販のサファイア基板をダイヤモンド基板に
直接接合等により貼り付け、化学研磨によってサファイア基板の厚みを薄くする方法で、
音響緩和層13を形成することができる。この場合、貼り付けるべき基板表面を共に表面
粗さRaを10nm以下とし、加熱処理等を行うことによって直接接合を行うことができ
る。
本実施形態では、基体層12と圧電体層14の間に音響緩和層13が介在していること
により、基体層12と圧電体層14が直接に接する構造に比べて界面の音響インピーダン
スの差を低減することができる。したがって、界面における弾性波の反射が低減されるこ
とから、圧電体層14の表面近傍に弾性表面波の振動変位が集中することを抑制できるた
め、圧電体層14の表面の破壊を防止することができ、その結果、耐電力性を向上させる
ことができる。また、圧電体層14の表面近傍における振動変位の集中を抑制できるため
、電極構造15におけるバルク波変換損を低減してデバイス性能を向上させることができ
るとともに、電極構造15の反射係数が小さくなるため、デバイスの設計自由度を高める
ことが可能になる。
特に、圧電体層14から音響緩和層13を経て基体層12に至る範囲において、圧電体
層14から基体層12へ向けて順次に音響インピーダンスが増加する構成を有するので、
圧電体層14で生ずる弾性表面波の振動成分の一部が音響緩和層13を経て基体層12の
内部にも実質的に存在するようになるため、基体層12を弾性波の伝播速度が高い素材で
構成することによって弾性表面波デバイスの高周波化を図ることが可能になる。
なお、本実施形態においては、圧電体層14上に電極構造15が形成されている、すな
わち、圧電体層14の表裏両面のうち、基体層12とは反対側の面上に電極構造15が形
成されているが、これとは逆に、圧電体層14の下面上、すなわち、圧電体層14と音響
緩和層13の間に電極構造15が形成された構造とすることも可能である。
図2は、上記実施形態の変形例を示す概略縦断面図である。これは、狭帯域なフィルタ
や発振器を構成する場合などのように、温度に対する周波数の変動量が小さい(温度特性
が平坦である)ことが要求される場合に適した弾性表面波デバイス10′を構成した例で
ある。この弾性表面波デバイス10′では、上記圧電体層14及び電極構造15上にSi
からなる温度補償層17を形成している。この温度補償層17は、例えば、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法、CVD法、電子ビーム蒸着法等によって形成するこ
とができる。
温度特性を平坦化するためには、温度補償層17を図示例のように圧電体層14上に形
成する場合に限らず、例えば、圧電体層14の基体層12(音響緩和層13)側の面上に
配置してもよい。ただし、SiOの音響インピーダンスは圧電体層4を構成する圧電体
よりも一般的に小さいので、温度補償層17を圧電体層14の音響緩和層13とは反対側
の面上に形成することが好ましい。
[第2実施形態]
次に、図3を参照して、本発明に係る第2実施形態について説明する。この第2実施形
態の弾性表面波デバイス10″は、基本的な構成については上記第1実施形態と同様であ
るが、基体層12と圧電体層14の間に複数の音響緩和層13A、13Bが配置されてい
る点で第1実施形態とは異なる。
音響緩和層13Aは基体層12側に配置され、音響緩和層13Bは圧電体層14側に配
置される。そして、音響緩和層13Aの音響インピーダンスは音響緩和層13Bのそれよ
りも大きい。
本実施形態の構成においても、圧電体層14、音響緩和層13B、音響緩和層13A、
ダイヤモンド層12の順で、音響インピーダンスが順次に増加している。このようにする
ことで、第1実施形態と同様に、圧電体層14に生じた音響振動がダイヤモンド層12の
内部にも存在し、これによって共振周波数の高周波化を図ることができる。
複数の音響緩和層13A、13Bの具体例としては、Si、Al、SrT
iOをこの順序で2層若しくは3層積層させる場合等が挙げられる。
特に、本実施形態では、圧電体層14と基体層12の間に2つの(複数の)音響緩和層
13A,13Bが形成されているので、圧電体層14からダイヤモンド層12に至る積層
範囲における各層間の音響インピーダンスの差を小さくすることができる。したがって、
各層間の界面における音響振動の反射を抑制することができることから、さらに高周波化
を図ることが容易になるとともに、圧電体層14の表面近傍における振動変位の集中を抑
制できるためバルク波変換損を低減することができる。
なお、この実施形態においても、第1実施形態と同様に上記温度補償層17を形成して
もよい。また、圧電体層14の表裏いずれの面上に電極構造15を形成しても構わない。
[作用効果]
次に、第1実施形態の弾性表面波デバイスの作用効果について詳細に説明する。図5乃
至図8は、シリコンからなる基板上にダイヤモンドからなる基体層を形成し、この基体層
上にZnOからなる圧電体層を形成してなる弾性表面波デバイスについて、圧電体層およ
び基体層の振動変位と表面からの深さx(弾性表面波の波長λで規格化されたもの)との
関係を示すグラフである。これらのグラフにおいて、u1は進行方向の変位を示し、u3
は深さ方向の変位を示す。
ここで、進行方向の変位u1はストレスマイグレーションを引き起こす主原因となるも
のであるが、深さ方向の変位u3についてはストレスマイグレーションへの影響が比較的
小さい。また、圧電体層の厚みはいずれも0.2λ(λは弾性表面波の波長)で一定とし
てある。さらに、変位u1,u3はいずれも進行方向の変位u1の最大値を1とする規格
化された表示スケールで示してある。そして、上記基体層と圧電体層の間に音響緩和層を
形成する場合には、音響緩和層の材質をAl(サファイア)とし、その厚みを変え
た複数のケースを示してある。
ここで、図5に示す特性は、音響緩和層を用いない構造(従来例)に関するものである
。この場合、圧電体層の振動変位u1のピーク位置は表面にきわめて近く、しかも、ピー
ク幅が狭いため、表面に振動変位が極端に集中していることがわかる。
図6に示す特性は、厚み0.1λの音響緩和層を設けた場合のものである。この場合に
は、音響緩和層を設けることで、振動変位u1のピーク位置が図5に示すものよりも深い
方向に移動し、ピーク幅も広がっているため、圧電体層の表面の相対的な振動変位u1が
やや低下し、振動変位u1の集中も緩和されていることがわかる。また、表面における振
動変位u3も大きく減少している。
図7に示す特性は、厚み0.2λの音響緩和層を設けた場合のものである。この場合に
は、振動変位u1のピーク位置はさらに深くなり、ピーク幅もさらに広がり、圧電体層の
表面の振動変位u1はピーク量に対して1割程度減少し、図6に示す場合よりもさらに振
動変位の集中が緩和されている。
図8に示す特性は、厚み0.3λの音響緩和層を設けた場合のものである。振動変位u
1のピーク位置はさらに深くなり、ピーク幅もさらに増大し、圧電体層の表面の振動変位
u1はピーク量に対して2割近く減少している。
上記のように、音響緩和層を設けることで、圧電体層の表面近傍の振動変位の集中は緩
和され、その結果、耐電力性が向上し、バルク波変換損が低減される。また、弾性表面波
の波長より薄い領域であれば、音響緩和層の厚みを増加させるほど、振動変位の集中は緩
和されることもわかる。
次に、図9には、上記の図5乃至図8に示す各ケースにおける電極指一本あたりの反射
係数をそれぞれ示す。反射係数は音響緩和層の厚みが増すにつれて減少している。これは
、上記と同様に、圧電体層の表面の振動変位u1の集中が緩和された結果である。反射係
数が減少すると、内部反射等に起因する電極構造による放射特性や受信特性への影響が低
減されるため、デバイスの設計自由度が高められるという利点がある。
尚、本発明の弾性表面波デバイスは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更し得ることは勿論である。
第1実施形態の弾性表面波デバイスの構造を模式的に示す概略断面図。 変形例の弾性表面波デバイスの構造を模式的に示す概略断面図。 第2実施形態の弾性表面波デバイスの構造を模式的に示す概略断面図。 従来の弾性表面波デバイスの構造を示す概略断面図。 従来例の弾性表面波デバイスの振動変位u1,u3の深さ方向の分布を示すグラフ。 実施例1の弾性表面波デバイスの振動変位u1,u3の深さ方向の分布を示すグラフ。 実施例2の弾性表面波デバイスの振動変位u1,u3の深さ方向の分布を示すグラフ。 実施例3の弾性表面波デバイスの振動変位u1,u3の深さ方向の分布を示すグラフ。 従来例及び実施例1−3の反射係数と音響緩和層の厚みとの関係を示すグラフ。 第1実施形態の弾性表面波デバイスの平面構造を示す概略平面図。
符号の説明
10、10′、10″…弾性表面波デバイス、11…基板、12…基体層、13、13A
、13B…音響緩和層、14…圧電体層、15…電極構造

Claims (6)

  1. 基体層と、該基体層上に配置された圧電体層と、該圧電体層の表裏いずれかの面上に形
    成された電極構造とを含む弾性表面波デバイスにおいて、
    前記基体層と前記圧電体層の間に、前記基体層よりも音響インピーダンスが小さく、し
    かも、前記圧電体層よりも音響インピーダンスが大きい音響緩和層が介在していることを
    特徴とする弾性表面波デバイス。
  2. 前記圧電体層から前記基体層までに存在する各層の音響インピーダンスが、前記圧電体
    層から前記基体に向けて順次に増加するように構成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の弾性表面波デバイス。
  3. 前記基体層はダイヤモンド若しくはダイヤモンド状炭素で構成されていることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイス。
  4. 前記基体層と前記圧電体層の間に複数の音響緩和層が介在し、該複数の音響緩和層は前
    記基体層に向けて音響インピーダンスが漸次増加するように配置されていることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイス。
  5. 隣接する前記圧電体層と前記音響緩和層が格子整合していることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイス。
  6. 前記圧電体層と前記音響緩和層の間、前記圧電体層と前記電極構造との間、或いは、前
    記電極構造上のいずれかに温度補償層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5
    のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイス。
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