JP2007225637A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い視野角で高品位な画像を表示可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の基板(10、12);基板(10、12)に挟持された液晶層(14);液晶層(14)を挟持した一対の偏光層(16、18);及び一対の偏光層(16、18)の少なくとも一方と液晶層14との間に第1の位相差層(22)を有する液晶表示装置であって、第1の位相差層(22)の面内遅相軸と偏光層(18)の吸収軸とが直交し、且つ第1の位相差層(22)が下記関係式(I)及び(II)を満足する液晶表示装置である。(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5>0(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は 540nm ≦ Re(550nm)
【選択図】 図1
【解決手段】第1及び第2の基板(10、12);基板(10、12)に挟持された液晶層(14);液晶層(14)を挟持した一対の偏光層(16、18);及び一対の偏光層(16、18)の少なくとも一方と液晶層14との間に第1の位相差層(22)を有する液晶表示装置であって、第1の位相差層(22)の面内遅相軸と偏光層(18)の吸収軸とが直交し、且つ第1の位相差層(22)が下記関係式(I)及び(II)を満足する液晶表示装置である。(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5>0(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は 540nm ≦ Re(550nm)
【選択図】 図1
Description
本発明は電圧無印加状態において基板面に対して略平行配向(ホモジニアス配向)した液晶表示装置に関し、視野角特性を向上させる光学補償法に関するものである。
液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を有する。一般的に使用されている偏光板は保護膜と偏光膜とからなり、一般的には偏光膜は、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素にて染色、延伸して作製され、この偏光膜の両面に保護膜を貼り合せて偏光板が作製されている。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償膜を配置することもある。反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償膜、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板及び液晶性分子に電圧を加えるための電極層を有する。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、複屈折率を制御することで光学的なスイッチングを実現している。代表的な液晶の光学モードとしてはTN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
光学補償膜は、画像着色の解消、視野角の拡大を実現するために様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償膜としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。また、延伸複屈折フィルムからなる光学補償膜に代えて、透明支持体上に低分子もしくは高分子液晶性分子から形成された光学補償膜を有する光学補償膜を使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。さらに、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで、保護膜と光学補償膜を兼ねる構成も提案されている。
光学補償膜の光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償膜を製造することができる。液晶性分子を用いて製造された光学補償膜として、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償膜は、電圧印加により液晶性分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる(特許文献1参照)。平行配向液晶セル用光学補償膜は、電圧無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶性分子の光学補償及び偏光板の直交透過率の視野角特性向上を兼ねている(特許文献2参照)。しかし、例えば、ディスコティック液晶性化合物を均一にハイブリッド配向させた光学補償膜を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。例えば、TNモード液晶セルでは斜め方向から観察したときに、各階調での透過率が反転する階調反転現象が生じる。階調反転を生じさせないために、液晶セル中の液晶性分子のチルト角範囲を制限する方法が知られているがまだ不十分である(非特許文献1参照)。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、階調反転が著しく改善された、広い視野角で高品位な画像を表示可能な液晶表示装置、特に液晶層にねじれ構造を持たない平行配向型のホモジニアスECB型液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明の第一の態様は、互いに対向して配置され、且つ少なくとも一方が透明電極を有する第1の基板及び第2の基板;前記第1の基板と前記第2の基板とに挟持され、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に略平行配向し、前記基板間でツイスト角が45°以下の液晶層;前記液晶層を挟持し、且つ互いの吸収軸を直交して配置される一対の偏光層;及び前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に第1の位相差層;を有する液晶表示装置であって、前記第1の位相差層の面内遅相軸と前記第1の位相差層により近くに位置する偏光層の吸収軸とが直交し、且つ前記第1の位相差層が下記関係式(I)及び(II)を満足する液晶表示装置に関する。
(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0
(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は
540nm ≦ Re(550nm)
上記式中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。
前記第1の態様において、前記第1の位相差層が、下記関係式(III)を満足するのが好ましい。
(III) Rth(550nm) ≧ −200nm
(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0
(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は
540nm ≦ Re(550nm)
上記式中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。
前記第1の態様において、前記第1の位相差層が、下記関係式(III)を満足するのが好ましい。
(III) Rth(550nm) ≧ −200nm
また、本発明の第2の態様は、互いに対向して配置され、且つ少なくとも一方が透明電極を有する第1の基板及び第2の基板;前記第1の基板と前記第2の基板とに挟持され、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に略平行配向し、前記基板間でツイスト角が45°以下の液晶層;前記液晶層を挟持し、且つ互いの吸収軸を直交して配置される一対の偏光層;及び前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に第1の位相差層;を有する液晶表示装置であって、前記第1の位相差層の面内遅相軸と前記第1の位相差層により近くに位置する偏光層の吸収軸とが平行であり、且つ前記第1の位相差層が下記関係式(IV)及び(V)を満足する液晶表示装置に関する。
(IV) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 < 1
(V) 250nm ≦ Re(550nm) ≦ 550nm
上記式中のそれぞれは、前記式(I)中のそれぞれと同義である。
前記第2の態様において、前記第1の位相差層が、下記条件(VI)を満足するのが好ましい。
(VI) −1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nm
(IV) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 < 1
(V) 250nm ≦ Re(550nm) ≦ 550nm
上記式中のそれぞれは、前記式(I)中のそれぞれと同義である。
前記第2の態様において、前記第1の位相差層が、下記条件(VI)を満足するのが好ましい。
(VI) −1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nm
また、本発明は、前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に、ディスコティック構造単位を有する化合物を含有する第2の位相差層を有する前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;前記第1及び/又は第2の位相差層が、それぞれのより近くに位置する偏光層の保護フィルム又は透明支持体を兼ねる前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;前記第1及び/又は第2の位相差層が、複数の層からなる前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;前記第1及び/又は第2の位相差層が、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方と前記液晶層との間に配置されている前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;前記第1及び/又は第2の位相差層が、液晶性モノマーを含有する組成物を重合して形成した層を少なくとも一層含む前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;前記液晶層の厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dが、下記関係式(VII)200nm ≦ Δn・d ≦ 400nmを満足する前記第1及び第2の態様の液晶表示装置:電圧無印加時の透過率よりも低い透過率を最大諧調(白表示)に用いる前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;及び前記液晶層の電圧印加状態の液晶配向方位が、複数存在する前記第1及び第2の態様の液晶表示装置;に関する。
本発明によれば、所定の光学特性を満足する位相差層を、所定の配置で組み込むことにより、ホモジニアスECB型液晶表示装置の表示品位のみならず、視野角を大幅に改善することができる。即ち、本発明によれば、構造を複雑化することなく、従来の構造をほとんど変化させずに、表示品位のみならず、視野角が従来よりも格段に改善された液晶表示装置、特にホモジニアスECB型液晶表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーションの計3つの方向で測定したレターデーションと平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーションの計3つの方向で測定したレターデーションと平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
本明細書において、例えば、「45°」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する保護膜(「保護フィルム」ともいう)又は透明支持体を有する積層体のことを意味するものとする。また、偏光膜の透明支持体とは、偏光板の機械強度を上げるために偏光膜上に配置される支持体をいう。また、「光学補償膜」とは、光学異方性層又は光学補償フィルムと同義で使われることがある。
以下、図面を用いて、本発明の液晶表示装置について説明する。図1〜3に本発明の液晶表示装置の例の概略断面図を示す。
図1に示す液晶表示装置は、透明基板10及び12と、該透明基板10及び12間にホモジニアスECB液晶層14と、液晶層14を挟持して、互いの吸収軸を直交にして配置される偏光膜(偏光層)16及び18とを有する。液晶層14と偏光膜18との間に位相差板(第1の位相差層)22が配置され、位相差板22と透明基板12との間に、ディスコティック構造単位の化合物を含有する光学補償膜(第2の位相差層)26を有する。
図1に示す液晶表示装置は、透明基板10及び12と、該透明基板10及び12間にホモジニアスECB液晶層14と、液晶層14を挟持して、互いの吸収軸を直交にして配置される偏光膜(偏光層)16及び18とを有する。液晶層14と偏光膜18との間に位相差板(第1の位相差層)22が配置され、位相差板22と透明基板12との間に、ディスコティック構造単位の化合物を含有する光学補償膜(第2の位相差層)26を有する。
上側透明基板10及び下側透明基板12の内面には配向膜(不図示)及び電極膜(不図示)が形成されている。ホモジニアスECB液晶層14中の液晶性分子は、電圧無印加時には基板面に略平行配向し、基板間のツイスト角は、配向膜に施されたラビング処理等の方向に依存する。基板10及び12の内面に形成された配向膜に施されるラビング処理の方向を45°以下とするのが好ましく、略平行(±10°)とするのがより好ましい。かかる範囲とすることで、ツイスト構造を持たない略平行配向(ツイスト角が45°以下)を実現できる。電極膜は、液晶層14中の液晶分子に電圧を印加する機能を有する。電極膜は、通常、透明であり、例えば、酸化インジウム錫(ITO)からなる。上下基板10及び12間に封入される液晶の誘電率異方性Δεは正で、一般的に屈折率異方性Δn=0.06〜0.1(589nm、20°C)程度を用いる。液晶層の厚さdは2.5〜5μm程度を使用する。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化する。200nm≦Δn・d≦400nmの範囲になるように設定すると、本発明の効果がより顕著になるので好ましい。Δndは、260nm〜320nmであるのがより好ましい。
偏光膜16及び18は、互いの吸収軸の交差角を概略90°にした直交ニコル配置となっている。また、偏光膜16の吸収軸は、より近くに位置する透明基板10の近傍に位置する液晶性分子の配向方向(一般的には内面に形成された配向膜のラビング方向)と概略45°で交差し、偏光膜18の吸収軸は、より近くに位置する透明基板12の近傍に位置する液晶性分子の配向方向(一般的には内面に形成された配向膜のラビング方向)と概略45°(35〜55°)で交差して、配置されている。
第1の態様では、位相差板22は、その面内遅相軸を偏光膜18の吸収軸と直交にして配置されているとともに、それぞれ下記関係式(I)及び(II)を満足する光学特性を有する。
(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0
(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は
540nm ≦ Re(550nm)
本態様では、上記関係式(I)及び(II)を満足する位相差板22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板22は、Rth(550nm)≧−200nmを満足するのが好ましい。さらに位相差板22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で5≦Re(550nm)≦200が好ましく、20≦Re(550nm)≦100がさらに好ましい。
(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0
(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は
540nm ≦ Re(550nm)
本態様では、上記関係式(I)及び(II)を満足する位相差板22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板22は、Rth(550nm)≧−200nmを満足するのが好ましい。さらに位相差板22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で5≦Re(550nm)≦200が好ましく、20≦Re(550nm)≦100がさらに好ましい。
第2の態様では、位相差板22は、その面内遅相軸を偏光膜18の吸収軸と平行にして配置されているとともに、それぞれ下記関係式(IV)及び(V)を満足する光学特性を有する。
(IV) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 < 1
(V) 150nm ≦ Re(550nm) ≦ 550nm
本態様では、上記関係式(IV)及び(V)を満足する位相差板22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、前記第1の態様と同様、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板22は、−1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nmを満足しているのがより好ましい。さらに、位相差板22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で150≦Re(550nm)≦400が好ましく、150≦Re(550nm)≦200がさらに好ましい。
(IV) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 < 1
(V) 150nm ≦ Re(550nm) ≦ 550nm
本態様では、上記関係式(IV)及び(V)を満足する位相差板22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、前記第1の態様と同様、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板22は、−1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nmを満足しているのがより好ましい。さらに、位相差板22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で150≦Re(550nm)≦400が好ましく、150≦Re(550nm)≦200がさらに好ましい。
前記第1及び第2の態様の双方において、ディスコティック構造単位を有する化合物を含有する第2の位相差層を配置することによって、黒表示時の透過率をより低下させることができ、その結果、広い視野角で、より高いコントラストの画像を表示することができる。ECBモードの液晶セルでは、一般的に、電圧印加時(黒表示時)にセル基板近傍に位置する液晶性分子の立ち上がりが充分でなく、レターデーションが残留する。第2の位相差層は、この残留するレターデーションを相殺するものである。したがって、例えば、駆動電圧を高くして残留レターデーションの発生を抑制した態様では、第2の位相差層はなくてもよく、また、同様の作用を有する限り、ディスコティック構造単位を有する化合物以外の材料からなる、延伸ポリマーフィルム等や棒状液晶性分子の配向を利用した光学補償膜であってもよい。また、残留レターデーションを相殺するための第2の位相差層を、ディスコティック構造単位を有する化合物の配向を利用して作製する場合は、ディスコティック構造単位を有する化合物の分子の配向制御方向と、透明基板界面の液晶分子配向方位とが概略平行であることが好ましい。配向制御方向は、一般的には、光学補償膜等を作製する際に利用する配向膜のラビング処理方向で調整することができる。第2の位相差層は、図1に示す通り、一対の偏光層の一方と液晶層との間にのみ配置されていてもよいし(図中、光学補償膜26)、後述する図2〜図4に示す通り、一対の偏光層の双方と液晶層との間にそれぞれ配置されていてもよい(図2〜4中、光学補償膜24及び26)。また、第1の位相差層と第2の位相差層との配置については特に制限されず、液晶層に近い側から、第2の位相差層及び第1の位相差層の順に配置してもよいし、液晶層に近い側から、第1の位相差層及び第2の位相差層の順に配置してもよい。
本発明の液晶表示装置では、第1の位相差層を、偏光膜の一方の保護膜又は透明支持体として兼ねることができるので、例えば、保護膜、偏光膜及び第1の位相差層(保護膜又は透明支持体を兼ねる)をこの順に有する一体型偏光板を用いてもよい。また、第1の位相差層を、偏光膜の一方の保護膜又は透明支持体として兼ねるとともに、第2の位相差層の支持体として兼ねてもよい。例えば、保護膜、偏光膜、第1の位相差層(保護膜又は透明支持体、及び第2の位相差層の支持体を兼ねる)及び第2の位相差層をこの順に有する一体型偏光板を用いてもよい。前記一体型偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、該一体型偏光板は光学補償能を有する位相差層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。後者の一体型偏光板を液晶表示装置内に組み込む際は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、保護膜、偏光層、第1の位相差層(保護膜又は透明支持体、及び第2の位相差層の支持体を兼ねる)、及び第2の位相差層の順にして、配置することが好ましい。図1の液晶表示装置は、例えば、下側偏光板18Iとして、後者の一体型偏光板を液晶セル14Iに貼合して作製することができる。
本発明の液晶表示装置の他の構成例を、図2(A)及び(B)に示す。図2中、図1と同一の部材には、同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。図2(A)及び(B)に示す液晶表示装置は、透明基板10及び12と、該透明基板10及び12間にホモジニアスECB液晶層14と、液晶層14を挟持して、互いの吸収軸を直交にして配置される偏光膜(偏光層)16及び18とを有する。(A)及び(B)では、液晶層14と偏光膜18との間に位相差板(第1の位相差層)22が配置され、さらに(A)では、液晶層14と偏光膜16との間にも位相差板(第1の位相差層)20が配置されている。(A)及び(B)はさらに、位相差板20と透明基板10との間、及び位相差板22と透明基板12との間に、それぞれ、ディスコティック構造単位の化合物を含有する光学補償膜(第2の位相差層)24及び26を有する。
第1の態様では、(A)の構成において、位相差板20は、その面内遅相軸を偏光膜16の吸収軸と直交にして配置され、また、(A)及び(B)の構成において、位相差板22は、その面内遅相軸を偏光膜18の吸収軸と直交にして配置されているとともに、それぞれ上記関係式(I)及び(II)を満足する光学特性を有する。本態様では、上記関係式(I)及び(II)を満足する位相差板20及び22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板20及び22は、Rth(550nm)≧−200nmを満足するのが好ましい。さらに位相差板20及び22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で5≦Re(550nm)≦200が好ましく、20≦Re(550nm)≦100がさらに好ましい。
第2の態様では、(A)の構成において、位相差板20が、その面内遅相軸を偏光膜16の吸収軸と平行にして配置され、また、(A)及び(B)の構成において、位相差板22は、その面内遅相軸を偏光膜18の吸収軸と平行にして配置されているとともに、それぞれ上記関係式(IV)及び(V)を満足する光学特性を有する。本態様では、上記関係式(IV)及び(V)を満足する位相差板20及び22を、偏光膜の吸収軸との関係で所定の配置で組み込むことにより、前記第1の態様と同様、視野角特性、特に上下方向の視野角特性、を改善している。本態様では、位相差板20及び22は、−1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nmを満足しているのがより好ましい。さらに、位相差板20及び22としては製造の容易性あるいは実用上の観点で150≦Re(550nm)≦400が好ましく、150≦Re(550nm)≦200がさらに好ましい。
上記した通り、図2(A)及び(B)に示す液晶表示装置において、ディスコティック構造単位を有する化合物を含有する光学補償膜24又は26の支持体が、それぞれ偏光板保護層23や位相差板20又は22を兼ねていてもよく、かかる場合は、上側偏光板16a又は16b、及び下側偏光板18a又は18bとして、保護膜、偏光膜、第2の位相差層の支持体(偏光膜の保護膜もしくは透明支持体、又は第1の位相差層を兼ねる)、及び第2の位相差層をこの順に有する一体型偏光板を用いてもよい。
本発明の液晶表示装置の他の構成例を、図3(C)及び(D)に示す。図1及び2中の部材と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。(C)の液晶表示装置は、(A)の液晶表示装置において、液晶セル14aの外側に配置されていた位相差板20及び22を、液晶セル14cの内側に位相差層20’及び22’として配置した態様であり、また(D)の液晶表示装置は、(B)の液晶表示装置において、液晶セル14bの外側に配置されていた位相差板22を、液晶セル14dの内側に位相差層22’として配置した態様である。(C)及び(D)の液晶表示装置は、(A)及び(B)と同様の効果を奏するとともに、液晶セルの基板の内側、即ち、液晶層により近い位置に光学補償能を有する第1の位相差層が配置されているので、液晶層の光学補償がより正確になり、より広い視野角で、良好な画像表示が可能となる。
(C)及び(D)の液晶表示装置が有する液晶セル14d及び14cは、例えば、ガラス等からなる透明基板の表面に第1の位相差層を形成して作製したセル用基板を、一対の基板の一方の基板としてもしくは双方の基板として、該位相差層を内側にして対向配置させ、基板間に液晶材料を封入して作製することができる。
本発明の液晶表示装置の他の構成例を、図4(E)及び(F)に示す。図1〜図3中の部材と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。(E)の液晶表示装置は、(C)の液晶表示装置において、液晶セル14cの外側に配置されていたディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償膜24及び26を、液晶セル14eの内側に光学補償層24’及び26’として配置した態様であり、また、(F)の液晶表示装置は、(D)の液晶表示装置において液晶セル14dの外側に配置されていたディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償膜24及び26を、液晶セル14fの内側に光学補償層24’及び26’として配置した態様である。(E)及び(F)の液晶表示装置では、(C)及び(D)と同様の効果を奏するとともに、液晶セルの基板の内側、即ち、液晶層により近い位置に残留レターデーションの相殺に寄与する第2の位相差層が配置されているので、液晶層の黒表示時の透過率をより低下することができ、より高いコントラストの画像表示が可能となる。さらに、後述する様に、2以上の絵素領域を有する液晶層とする場合に、ディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償膜を液晶セル内に配置すると、光学補償膜を各絵素領域に対応して区画化し、ディスコティック液晶分子の配向方向を区画ごとに絵素領域に対応して最適化することができるので、より高品位の液晶表示装置を実現できる。
(E)の液晶表示装置が有する液晶セル14eは、例えば、ガラス等からなる透明基板の表面に、ディスコティック構造単位の化合物を含有する第2の位相差層、及び第1の位相差層を形成して作製したセル用基板を、一対の基板の双方として、位相差層を内側にして対向配置させ、基板間に液晶材料を封入して作製することができる。また、(F)の液晶表示装置は、ガラス等からなる透明基板の表面に、ディスコティック構造単位の化合物を含有する第2の位相差層を形成して作製したセル用基板と、ガラス等からなる透明基板の表面に、ディスコティック構造単位の化合物を含有する第2の位相差層、及び第1の位相差層を形成して作製したセル用基板とを、位相差層を内側にして対向配置させ、基板間に液晶材料を封入することで作製することができる。
本発明の液晶表示装置の駆動電圧については特に制限されず、ECBモードの液晶表示装置の一般的な駆動電圧の範囲で駆動させることができる。例えば、本発明の液晶表示装置は、電圧無印加状態で白表示、高電圧印加状態で透過率が低下して黒表示となるノーマリーホワイトモードとして駆動させることができる。黒表示は光学補償膜のRe値と電圧印加状態の液晶層のレターデーション値が一致した時に得られる。この構成では、高コントラストの広い範囲を得、かつ中間調表示の階調反転が生じないという有利な点がある。さらに、本発明では、電圧無印加時の透過率よりも低い透過率を示す印加電圧条件を、最大諧調(白表示)に用いると、さらに視野角特性を広げることができるので好ましい。
また、本発明の液晶表示装置を、一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすると、輝度や色調の視野角特性がより改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4又は8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
一画素内で液晶分子の配向方向が異なる領域を複数形成するには、例えば、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせる等の方法を利用することができる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割あるいは8分割以上とすることで、ほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
各ドメインの領域境界では、液晶分子が応答し難い傾向があり、ECBの場合、ノーマリーホワイトモードでは白表示状態が維持されるため、正面コントラストが低下する。そこで、その領域を覆うブラックマトリックスなどの遮光層を設けるとよい。
本発明の液晶表示装置は図1〜4に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間(液晶セルの内側であっても外側であってもよい)に、カラーフィルターを配置してもよい。また、液晶セルと偏光板との間に、別途他の光学補償膜を配置することもできる。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
次に、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[第1の位相差層]
前記第1の位相差層は、上記式(I)及び(II)、又は式(VI)及び(V)を満足する限り、特にその材料については制限されない。例えば、一般的に光学補償膜として液晶表示装置に用いられる、延伸複屈折ポリマーフィルム、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償膜のいずれも使用することができる。二層以上の光学異方性層の積層体をはじめ、積層構造の光学補償膜を用いることもできる。積層構造の光学補償膜については、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体からなる光学補償膜よりも、塗布型の積層体からなる光学補償膜が好ましい。また、前述した、一体型の偏光板を容易に作製可能である点では、前記第1の位相差層は、高分子フィルムからなる、又は含んでいるのが好ましい。
前記第1の位相差層は、上記式(I)及び(II)、又は式(VI)及び(V)を満足する限り、特にその材料については制限されない。例えば、一般的に光学補償膜として液晶表示装置に用いられる、延伸複屈折ポリマーフィルム、及び透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償膜のいずれも使用することができる。二層以上の光学異方性層の積層体をはじめ、積層構造の光学補償膜を用いることもできる。積層構造の光学補償膜については、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体からなる光学補償膜よりも、塗布型の積層体からなる光学補償膜が好ましい。また、前述した、一体型の偏光板を容易に作製可能である点では、前記第1の位相差層は、高分子フィルムからなる、又は含んでいるのが好ましい。
前記第1の位相差層として用いられる高分子フィルムは、延伸された高分子フィルムであっても、また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン系ポリマー、トリアセチルセルロース)が用いられる。
また、前記第1の位相差層は、液晶性化合物を含有する組成物からなる光学異方性層を有していてもよい。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、配向を制御することにより、上記条件を満足する光学特性を、単層で又は複数層の積層体により、発現し得る。前記第1の位相差層は、支持体と該支持体上に形成された、一層以上の前記光学異方性層との積層体として、前記条件を満足する光学特性を示していてもよい。かかる態様では、第1の位相差層の光学特性は、高分子フィルム等からなる支持体の光学特性、及び液晶性組成物から形成された光学異方性層の光学特性の双方によって調整することができる。また、液晶性化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。
本発明では、第1の位相差層は、その面内遅相軸を、より近くに位置する偏光層の吸収軸と直交又は平行にして配置される。第1の位相差層の面内遅相軸は、例えば、第1の位相差層が延伸ポリマーフィルムからなる場合は延伸方向によって、及び第1の位相差層が液晶性組成物からなる場合は液晶分子の配向を制御する例えばラビング軸等によって、その方向を調整することができる。
前記第1の位相差層は、例えば、特願2005−088467号明細書、特願2005−156147号明細書、特願2005−125356号明細書、特願2005−051750号明細書、特開平5−11115号公報、特開平10−48420号公報、特許第3459779号公報、特開平2005−156863号公報、WO03/062875A1号、特許第3165168号公報、特開2001−194530号公報、に開示されている公知技術を参考にして作製することができる。
[第2の位相差層]
前記第2の位相差層は、ディスコティック構造単位の化合物を含有する。前記第2の位相差層は、上記した通り、電圧印加時に基板近傍の液晶性分子の立ち上がりが充分でないために生じる残留レターデーションを相殺するものである。前記第2の位相差層の作製には、ディスコティック液晶性化合物を用いる。ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中において、層面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向した状態に固定されているのが好ましい。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを採用することができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載のものを採用できる。
前記第2の位相差層は、ディスコティック構造単位の化合物を含有する。前記第2の位相差層は、上記した通り、電圧印加時に基板近傍の液晶性分子の立ち上がりが充分でないために生じる残留レターデーションを相殺するものである。前記第2の位相差層の作製には、ディスコティック液晶性化合物を用いる。ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中において、層面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向した状態に固定されているのが好ましい。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されているものを採用することができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載のものを採用できる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物のディスコティックコアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(X)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(X) D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
式(X) D(−L−P)n
式中、Dはディスコティックコアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(X)中のディスコティックコア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
前記ディスコティック液晶性化合物の分子は、層中では、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることがさらに好ましい。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物の場合は、実質的に垂直配向させることが好ましい。実質的に垂直とは、ディスコティック液晶性化合物の分子の円盤面と、層面との平均角度(平均傾斜角)が50°〜90°の範囲内であることを意味する。ディスコティック液晶性化合物の分子を斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は50°〜90°であることが好ましい。
前記第2の位相差層は、少なくとも一種のディスコティック液晶性化合物、及び所望により下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
(液晶性化合物の配向状態の固定化)
配向させた液晶性化合物の分子は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号公報に記載のもの)、アクリジン及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報に記載のもの、米国特許4239850号公報に記載のもの)及びオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号公報に記載のもの)が含まれる。
配向させた液晶性化合物の分子は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(例えば、米国特許2367661号、同2367670号の各公報に記載のもの)、アシロインエーテル(例えば、米国特許2448828号公報に記載のもの)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許2722512号公報に記載のもの)、多核キノン化合物(例えば、米国特許3046127号、同2951758号の各公報に記載のもの)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許3549367号公報に記載のもの)、アクリジン及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60−105667号公報に記載のもの、米国特許4239850号公報に記載のもの)及びオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許4212970号公報に記載のもの)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。第2の位相差層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
(配向膜)
第2の位相差層の形成に際して液晶性化合物を配向させるためには、配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償膜について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
第2の位相差層の形成に際して液晶性化合物を配向させるためには、配向膜を利用するのが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償膜について種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して位相差層を形成し、位相差層のみをポリマーフィルム(又は透明支持体)上に転写してもよい。
第2の位相差層を支持する支持体については、特に制限されず、種々の高分子フィルム等を用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ノルボルネン樹脂等が挙げられる。前記第1の位相差層が高分子フィルムからなる場合は、第1の位相差層を第2の位相差層の支持体として利用してもよい。また、第2の位相差層の支持体が、偏光板の保護膜を兼ねていてもよい。かかる態様における支持体の材料の具体例については、偏光板の保護膜の材料の具体例と同一であり、後述する。
[偏光板]
本発明の液晶表示装置に用いられる偏光板について特に制限されない。一般的には、偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。上記した通り、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第1の位相差層を兼ねていてもよいし、前記第2の位相差を有する態様では、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第2の位相差層の支持体を兼ねていてもよく、さらに、前記第1の位相差層であり、且つ前記第2の位相差層の支持体であってもよい。
本発明の液晶表示装置に用いられる偏光板について特に制限されない。一般的には、偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。上記した通り、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第1の位相差層を兼ねていてもよいし、前記第2の位相差を有する態様では、一対の保護膜の一方又は双方が、前記第2の位相差層の支持体を兼ねていてもよく、さらに、前記第1の位相差層であり、且つ前記第2の位相差層の支持体であってもよい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、いずれであってもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光板の保護膜としては、透明なポリマーフィルムを用いるのが好ましい。例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)を用いてもよい。
偏光板の保護膜のレターデーション値は低いことが好ましい。偏光膜の吸収軸と保護膜の遅相軸が平行でない態様では、特に保護膜の面内レターデーション値Reが一定値以上であると、偏光軸と保護膜の遅相軸とが斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくないとされている。また、ECBモードの液晶表示装置では、中間調表示時に液晶性分子が基板面に傾斜配向しているために、厚さ方向のレターデーション値Rthが一定値以上あると階調反転が生じると好ましくないとされている。すなわち、保護膜のレターデーション値は、例えば632.8nmにおいて±10nm以下が好ましく、±5nm以下がさらに好ましい。レターデーション値の低い高分子フィルムとしては、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
本発明の効果をシミュレーションによって確認した。
図2(B)に示した構成の液晶表示装置をモデル(液晶層14はホモジニアスECB(Δnd=260nm))として、光学シミュレータ(シンテック社製のLCD Master Ver6.11)を用いて、第1の位相差層のReを変化させて、Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5=1の条件で、黒表示の漏れ光(極角度80度)の値を算出して、プロットした。Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5の値を種々変化させて、同様に計算した。結果を図5及び図7に示す。なお、黒表示の漏れ光(極角度80度)は、視野角の指標となり得、その値が低いほど、広い視野角にわたって、高いコントラストの画像を表示できることを意味する。なお、算出した黒表示の漏れ光の方位角は、90°である。
本発明の効果をシミュレーションによって確認した。
図2(B)に示した構成の液晶表示装置をモデル(液晶層14はホモジニアスECB(Δnd=260nm))として、光学シミュレータ(シンテック社製のLCD Master Ver6.11)を用いて、第1の位相差層のReを変化させて、Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5=1の条件で、黒表示の漏れ光(極角度80度)の値を算出して、プロットした。Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5の値を種々変化させて、同様に計算した。結果を図5及び図7に示す。なお、黒表示の漏れ光(極角度80度)は、視野角の指標となり得、その値が低いほど、広い視野角にわたって、高いコントラストの画像を表示できることを意味する。なお、算出した黒表示の漏れ光の方位角は、90°である。
本発明の第2の態様のシミュレーション結果を図5に示す。即ち、図2(B)中、第1の位相差層である位相差板22の遅相軸と偏光層18の吸収軸とを平行にして配置したモデルについてのシミュレーション結果を図5に示す。図5に示す結果から、位相差板22が、上記式(IV)、即ちRth(550nm)/Re(550nm)+0.5<1を満足し、且つ上記(V)式、即ち250nm≦Re(550nm)≦550nmを満足する場合に、位相差板22を設けない条件(図中Re=0)と比較して、黒の透過率を格段に減少させる効果(視野角を拡大する効果)があることが理解できる。また、位相差板22のRthが、−1375nm≦Rth(550nm)<275nmを満足すると、その効果がより顕著になることがわかった。
図2(B)の構成の液晶表示装置(液晶層14はホモジニアスECB(Δnd=260nm)に、第1の位相差層として、Re(550nm)=350nm、Rth=70nm及びRth(550nm)/Re(550nm)+0.5=0.7の位相差板22を、偏光層18の吸収軸に対して平行にして配置した液晶表示装置の視野角特性を計算により算出した結果を、図6に示す。図6に示す結果から、式(IV)及び(V)を満足する第1の位相差層を、所定の配置で組み込むことにより、液晶表示装置の視野角特性を大きく拡大できることがわかる。位相差板22を配置しなかった以外は、同一の構成の液晶表示装置について同様に視野角特性を算出した結果を図9に示すが、図9の結果と比較すると、本発明の第2の態様の効果をより明確に理解することができる。
本発明の第1の態様のシミュレーション結果を図7に示す。即ち、図2(B)中、第1の位相差層である位相差板22の遅相軸と偏光層18の吸収軸とを直交にして配置したモデルについてのシミュレーション結果を図7に示す。図7に示す結果から、位相差板22が、上記式(I)、即ち、Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0を満足し、且つ上記式(II)、即ち、Re(550nm) ≦ 400nm、又は540nm ≦ Re(550nm)を満足する場合に、位相差板22を設けない条件(図中Re=0)と比較して、黒の透過率を格段に減少させる効果(視野角を拡大する効果)があることが理解できる。さらに、位相差板22が、Rth(550nm)≧−200nmを満足すると、その効果がより顕著になる。
図2(B)の構成の液晶表示装置(液晶層14はホモジニアスECB(Δnd=260nm)に、第1の位相差層として、Re(550nm)=175nm、Rth=35nm及びRth(550nm)/Re(550nm)+0.5=0.7の位相差板22を、偏光層18の吸収軸に対して直交にして配置した液晶表示装置の視野角特性を、計算により算出した結果を、図8に示す。図8に示す結果から、式(I)及び(II)を満足する第1の位相差層を、所定の配置で組み込むことにより、液晶表示装置の視野角特性を大きく拡大できることが理解できる。位相差板22を配置しなかった以外は同一の構成の液晶表示装置について同様に視野角特性を算出した結果を図9に示すが、図9の結果と比較すると、本発明の第2の態様の効果をより明確に理解することができる。
図5〜図8の結果は、ホモジニアスECBの液晶層のΔndが260nmと仮定したモデルについての結果であるが、Δnd=200nm〜400nm、特にΔnd=260nm〜320nmにおいて広い視野角を実現できることを同様に確認している。
さらに、視野角特性の白電圧依存性を調査した。電圧無印加時の透過率よりも低い透過率を示す印加電圧条件を最大諧調(白表示)に用いた。具体的には、図2(B)の構成の液晶表示装置(液晶層14はホモジニアスECB(Δnd=260nm)に、第1の位相差層として、Re(550nm)=175nm、Rth=35nm及びRth(550nm)/Re(550nm)+0.5=0.7の位相差板22を、偏光層18の吸収軸に対して直交にして配置した液晶表示装置について、白電圧を1.6Vとして駆動した場合の視野角特性を、計算により算出した。結果を図10に示す。白電圧を0.4Vで駆動した場合の結果(図8)と比較すると明らかであるが、この結果から、本発明では、電圧無印加時の透過率よりも低い透過率を示す印加電圧条件を最大諧調(白表示)に用いると、さらに視野角特性を広げることができることが理解できる。
[実施例2]
実際に、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製して、本発明の効果を確認した。
(ECBモード液晶セルの作製)
液晶セルは、セルギャップ3.5μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層のΔn・dを300nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(例えばメルク社製のMLC−9100)を使用した。また、液晶セル14bの交差角(上下基板10及び12の内面に施されたラビング処理の方向の交差角)を0°とし、偏光板16b及び18bの吸収軸は、液晶セル14bの配向方向(ラビング方向)と概略45°交差し、かつ上下偏光板吸収軸16b及び18bの交差角は概略90°の直交ニコルとした。
実際に、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製して、本発明の効果を確認した。
(ECBモード液晶セルの作製)
液晶セルは、セルギャップ3.5μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層のΔn・dを300nmとした。液晶材料は誘電異方性が正で、屈折率異方性、Δn=0.0854(589nm、20°C)、Δε=+8.5程度の液晶(例えばメルク社製のMLC−9100)を使用した。また、液晶セル14bの交差角(上下基板10及び12の内面に施されたラビング処理の方向の交差角)を0°とし、偏光板16b及び18bの吸収軸は、液晶セル14bの配向方向(ラビング方向)と概略45°交差し、かつ上下偏光板吸収軸16b及び18bの交差角は概略90°の直交ニコルとした。
上記作製した液晶セルに、Re=175nm、Rth=35nm、Rth/Re+0.5=0.7のノルボルネン系ポリマーフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に直交にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。但し、ディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償膜24及び26は用いなかった。作製した液晶表示装置が、広い視野角で高品位の画像を表示できることを確認した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を大幅に改善できることが確認できた。
また、上記液晶セルにRe=390nm、Rth=250nm、Rth/Re+0.5=1.14のポリカーボネート系ポリマーフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に直交にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が改善できることを確認した。
また、上記液晶セルにRe=410nm、Rth=260nm、Rth/Re+0.5=1.13のポリカーボネート系ポリマーフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に直交にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなることを確認した。
また、上記液晶セルにRe=390nm、Rth=250nm、Rth/Re+0.5=1.14のポリカーボネート系ポリマーフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に直交にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が改善できることを確認した。
また、上記液晶セルにRe=410nm、Rth=260nm、Rth/Re+0.5=1.13のポリカーボネート系ポリマーフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に直交にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなることを確認した。
また、上記と同様にして作製した液晶セルに、Re=375nm、Rth=−75nm、Rth/Re+0.5=0.3のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製した。但し、ディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償膜24及び26は用いなかった。作製した液晶表示装置が、広い視野角で高品位の画像を表示できることを確認した。さらに、上記構成の液晶表示装置に、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を大幅に改善できることが確認できた。
また、上記と同様にして作製した液晶セルに、Re=160nm、Rth=30nm、Rth/Re+0.5=0.69のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を改善できることが確認できた。
また、上記と同様にして作製した液晶セルにRe=140nm、Rth=25nm、Rth/Re+0.5=0.68のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなり改善効果がないことを確認した。
また、上記と同様にして作製した液晶セルに、Re=540nm、Rth=200nm、Rth/Re+0.5=0.87のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を改善できることが確認できた。
また、上記と同様にして作製した液晶セルにRe=560nm、Rth=250nm、Rth/Re+0.5=0.95のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなり改善効果がないことを確認した。
また、上記と同様にして作製した液晶セルに、Re=160nm、Rth=30nm、Rth/Re+0.5=0.69のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を改善できることが確認できた。
また、上記と同様にして作製した液晶セルにRe=140nm、Rth=25nm、Rth/Re+0.5=0.68のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなり改善効果がないことを確認した。
また、上記と同様にして作製した液晶セルに、Re=540nm、Rth=200nm、Rth/Re+0.5=0.87のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、低電圧駆動において、視野角特性を改善できることが確認できた。
また、上記と同様にして作製した液晶セルにRe=560nm、Rth=250nm、Rth/Re+0.5=0.95のポリカーボネートフィルムを、位相差板22として、その遅相軸を、偏光板18bの吸収軸に平行にして配置し、図2(B)と同様の構成の液晶表示装置を作製し、ディスコティック光学補償板24及び26を配置したところ、前記位相差板22を付加していない条件より視野角が悪くなり改善効果がないことを確認した。
Δn・dが200nm及び400nmの液晶セルを用いた以外は、上記と同様にして液晶表示装置を作製したところ、いずれも広い視野角で高品位の画像を表示することを確認した。
また、図1と同様の構成の液晶表示装置を作製した。具体的には、Δn・dが270nmのホモジニアスECBモードの液晶セル14Iに、位相差板22(兼偏光板保護層)として、Re(550nm)=38nm、Rth(550nm)=173nm、Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5=5のセルロースアシレートフィルムを用い、該フィルムに、ディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償層26を形成し、該位相差板(兼偏光板保護層)22の遅相軸方位を偏光膜18の吸収軸と直交するように貼り合せた偏光板18Iと、偏光板保護層23としてRe(550nm)が1.5nm、Rth(550nm)が−6nmのセルロースアシレートフィルムを使用した偏光板18Iとを用い、図1と同様の構成の液晶表示装置を作製した。
作製した液晶表示装置は、大型LCDモニタに適用可能な、高透過率で、広視野角特性のホモジニアスECBモードの液晶表示装置を実現できた。
また、図1と同様の構成の液晶表示装置を作製した。具体的には、Δn・dが270nmのホモジニアスECBモードの液晶セル14Iに、位相差板22(兼偏光板保護層)として、Re(550nm)=38nm、Rth(550nm)=173nm、Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5=5のセルロースアシレートフィルムを用い、該フィルムに、ディスコティック構造単位からなる化合物を含有する光学補償層26を形成し、該位相差板(兼偏光板保護層)22の遅相軸方位を偏光膜18の吸収軸と直交するように貼り合せた偏光板18Iと、偏光板保護層23としてRe(550nm)が1.5nm、Rth(550nm)が−6nmのセルロースアシレートフィルムを使用した偏光板18Iとを用い、図1と同様の構成の液晶表示装置を作製した。
作製した液晶表示装置は、大型LCDモニタに適用可能な、高透過率で、広視野角特性のホモジニアスECBモードの液晶表示装置を実現できた。
特に、Δnd=300nmのホモジニアスECBモードに、位相差板22として、Re140nm、Rth70nm、Rth/Re+0.5=1;Re100nm、Rth100nm、Rth/Re+0.5=1.5;又はRe187.5nm、Rth37.5nm、Rth/Re+0.5=0.7の位相差板遅相軸を偏光板吸収軸に直交配置することで、いずれの条件においても大型LCDモニタに適用可能な、高透過率で、広視野角特性のホモジニアスECBモード液晶表示装置を実現できた。図11に、位相差板22として、Re140nm、Rth70nm、Rth/Re+0.5=1の位相差層を用いた例の視野角特性の計算結果を示す。
次に、アクティブマトリックス駆動の液晶表示装置に適用した場合の本発明の効果を確認した。具体的には、図2(B)において、透明基板12としてTFT基板を、透明基板10としてCF基板を用い、それぞれの基板の内面に水平配向膜(ポリイミド樹脂)を形成し、貼合わせた状態でホモジニアス配向するように各基板の配向膜をアンチパラレルラビング処理し、セル厚3.2μmになるように樹脂スペーサを介して熱硬化シール(エポキシ系樹脂)を用いて貼り合わせ、P型の液晶を真空注入してΔnd=270nmのホモジニアス配向TFT液晶パネル14bを作製した。CF基板10にはディスコティック光学補償(図中、24と23の積層体)のみを付加した偏光板16bを、TFT基板12にはディスコティック光学補償膜26、及びノルボルネン系ポリマーフィルムからなり、Re187.5nm、Rth37.5nm、Rth/Re+0.5=0.7である位相差板22を偏光板吸収軸に直交するように配置した偏光板18bを貼り合わせて、ホモジニアスECBモード液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置をアクティブマトリックス駆動させ、高透過率で、広視野角特性を示すことを確認した。
なお、上記実施例で用いたディスコティック構造単位光学補償フィルム(図2(B)中、支持体23と光学補償膜24との積層体、及び位相差板22(支持体を兼ねる)と光学補償膜26との積層体)は下記手法で作製した。
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成
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酢化度60.9%のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
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(マット剤分散液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を分散し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液組成
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平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL・R972、日本アエロジル
(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアセテート溶液 10.3質量部
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下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
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セルロースアセテート溶液組成
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酢化度60.9%のセルロースアセテート 100.0質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
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(マット剤分散液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を分散し、マット剤分散液を調製した。
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マット剤分散液組成
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平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL・R972、日本アエロジル
(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 11.4質量部
セルロースアセテート溶液 10.3質量部
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(レターデーション上昇剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加温しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
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レターデーション上昇剤溶液組成
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下記のレターデーション上昇剤 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.3質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液 12.8質量部
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下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加温しながら攪拌して、各成分を溶解し、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
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レターデーション上昇剤溶液組成
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下記のレターデーション上昇剤 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.3質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液 12.8質量部
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(セルロースアセテートフィルムの作製)
セルロースアセテート溶液94.75質量部、マット剤分散液1.30質量部、レターデーション上昇剤溶液3.95質量部をそれぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.8%であった。残留溶剤量が30質量%のフィルムをバンドから剥離した。140℃の温度で、フィルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後に延伸倍率を25%に緩め140℃で20秒間保持した。この時、最大拡幅点での残留溶剤量は14質量%であった。その後、クリップを外して130℃で45分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。製造されたセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は88μmであった。
セルロースアセテート溶液94.75質量部、マット剤分散液1.30質量部、レターデーション上昇剤溶液3.95質量部をそれぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。レターデーション上昇剤のセルロースアセテートに対する質量比は4.8%であった。残留溶剤量が30質量%のフィルムをバンドから剥離した。140℃の温度で、フィルムをテンターを用いて28%の延伸倍率で横延伸し、延伸後に延伸倍率を25%に緩め140℃で20秒間保持した。この時、最大拡幅点での残留溶剤量は14質量%であった。その後、クリップを外して130℃で45分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。製造されたセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2質量%であり、膜厚は88μmであった。
(セルロースアセテートフィルムのケン化処理)
作製したセルロースアセテートフィルムの一方の面に、1.5規定水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m2塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフィルムの一方の表面のみをケン化した。
作製したセルロースアセテートフィルムの一方の面に、1.5規定水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25ml/m2塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、セルロースアセテートフィルムの一方の表面のみをケン化した。
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアセテートフィルム(透明支持体)の一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルム(透明支持体)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
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配向膜塗布液組成
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下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
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ケン化処理したセルロースアセテートフィルム(透明支持体)の一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルム(透明支持体)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
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配向膜塗布液組成
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下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 2質量部
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(光学異方性層の形成)
下記の組成のディスコティック化合物を含む塗布液を上記作製した配向膜上に#3.2のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及びディスコティック化合物の配向熟成のために、100℃の温風で30秒、さらに130℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し光学異方性層を形成した。続いて、光学異方性層が形成された面の反対側のセルロースアセテートフィルム表面を連続的にケン化処理し、光学補償シートを作製した。
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光学異方性層塗布液組成
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ディスコティック化合物(1) 91質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 2質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 1質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー 0.3質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
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上記固形分をメチルエチルケトン(溶媒)に混合し、固形分濃度が20〜40%程度に調整した。
下記の組成のディスコティック化合物を含む塗布液を上記作製した配向膜上に#3.2のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗布液の溶媒の乾燥及びディスコティック化合物の配向熟成のために、100℃の温風で30秒、さらに130℃の温風で60秒間加熱した。続いて、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し光学異方性層を形成した。続いて、光学異方性層が形成された面の反対側のセルロースアセテートフィルム表面を連続的にケン化処理し、光学補償シートを作製した。
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光学異方性層塗布液組成
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ディスコティック化合物(1) 91質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 2質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 1質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー 0.3質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
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上記固形分をメチルエチルケトン(溶媒)に混合し、固形分濃度が20〜40%程度に調整した。
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償シートの透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
次に、作製した光学補償シートの透明支持体側を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の片側に貼り付けた。透明支持体の遅相軸と偏光膜の透過軸とが平行になるように配置した。市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80U、富士写真フイルム(株)製)を透明支持体と同様にケン化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の反対側(光学補償シートを貼り付けなかった側)に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
上記作製した光学補償シートにおけるディスコティック化合物の分子の、その円盤面と層面とのなす角度(傾斜角)を、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、観察角度を変えてレターデーション値を測定し、屈折率楕円体モデルと仮想し、「Design Concepts of the Discotic Negative Birefringence Compensation Films SID98 DIGEST」に記載されている手法で算出した。傾斜角は、支持体から空気界面に向かって、11°〜66°で増加していた。
偏光板18bの作製においては、偏光膜の吸収軸と光学補償膜の支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とは、直交又は平行になるように配置した。また、偏光板16bの作製においては、偏光膜の吸収軸と光学補償膜の支持体の遅相軸(流延方向と平行方向)とは、平行になるように配置した。
このようにして偏光板16b及び18bを作製した。また上側偏光板16bの偏光膜の吸収軸の軸角度を表示装置の水平方向を基準にして、45°とし、上側光学補償膜24の配向制御方向(ラビング方向)を45°、液晶セル上基板10の配向制御方向(ラビング方向)を90°とし、同様に下側偏光板18bの軸角度を135°、下側光学補償膜26の配向制御方向を135°、液晶セル下基板12の配向制御方向(ラビング方向)を270°とした。
このようにして偏光板16b及び18bを作製した。また上側偏光板16bの偏光膜の吸収軸の軸角度を表示装置の水平方向を基準にして、45°とし、上側光学補償膜24の配向制御方向(ラビング方向)を45°、液晶セル上基板10の配向制御方向(ラビング方向)を90°とし、同様に下側偏光板18bの軸角度を135°、下側光学補償膜26の配向制御方向を135°、液晶セル下基板12の配向制御方向(ラビング方向)を270°とした。
10、12 透明基板
14 液晶層
16、18 偏光膜(第1及び第2の偏光層)
20、22 位相差板(第1の位相差層)兼偏光板保護層
23 偏光板保護層兼光学補償膜用透明支持体
24、26 ディスコティック構造単位光学補償膜(第2の位相差層)
14 液晶層
16、18 偏光膜(第1及び第2の偏光層)
20、22 位相差板(第1の位相差層)兼偏光板保護層
23 偏光板保護層兼光学補償膜用透明支持体
24、26 ディスコティック構造単位光学補償膜(第2の位相差層)
Claims (12)
- 互いに対向して配置され、且つ少なくとも一方が透明電極を有する第1の基板及び第2の基板;前記第1の基板と前記第2の基板とに挟持され、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に略平行配向し、前記基板間でツイスト角が45°以下の液晶層;前記液晶層を挟持し、且つ互いの吸収軸を直交して配置される一対の偏光層;及び前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に第1の位相差層;を有する液晶表示装置であって、前記第1の位相差層の面内遅相軸と前記第1の位相差層により近くに位置する偏光層の吸収軸とが直交し、且つ前記第1の位相差層が下記関係式(I)及び(II)を満足する液晶表示装置:
(I) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 > 0
(II) Re(550nm) ≦ 400nm 又は
540nm ≦ Re(550nm)
上記式中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。 - 前記第1の位相差層が、下記関係式(III)を満足する請求項1に記載の液晶表示装置:
(III) Rth(550nm) ≧ −200nm。 - 互いに対向して配置され、且つ少なくとも一方が透明電極を有する第1の基板及び第2の基板;前記第1の基板と前記第2の基板とに挟持され、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に略平行配向し、前記基板間でツイスト角が45°以下の液晶層;前記液晶層を挟持し、且つ互いの吸収軸を直交して配置される一対の偏光層;及び前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に第1の位相差層;を有する液晶表示装置であって、前記第1の位相差層の面内遅相軸と前記第1の位相差層により近くに位置する偏光層の吸収軸とが平行であり、且つ前記第1の位相差層が下記関係式(IV)及び(V)を満足する液晶表示装置:
(IV) Rth(550nm)/Re(550nm)+0.5 < 1
(V) 150nm ≦ Re(550nm) ≦ 550nm
上記式中、Re(λ)及びRth(λ)は、請求項1中のそれぞれの定義と同義である。 - 前記第1の位相差層が、下記条件(VI)を満足する請求項3に記載の液晶表示装置:
(VI) −1375nm ≦ Rth(550nm) < 275nm。 - 前記一対の偏光層の少なくとも一方と前記液晶層との間に、ディスコティック構造単位を有する化合物を含有する第2の位相差層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び/又は第2の位相差層が、それぞれのより近くに位置する偏光層の保護フィルム又は透明支持体を兼ねる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び/又は第2の位相差層が、複数の層からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び/又は第2の位相差層が、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方と前記液晶層との間に配置されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1及び/又は第2の位相差層が、液晶性モノマーを含有する組成物を重合して形成した層を少なくとも一層含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶層の厚さdと複屈折率Δnの積であるΔn・dが、下記関係式(VII)を満足する請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
(VII) 200nm ≦ Δn・d ≦ 400nm。 - 電圧無印加時の透過率よりも低い透過率を最大諧調(白表示)に用いる請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶層の電圧印加状態の液晶配向方位が、複数存在する請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006043336A JP2007225637A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | 液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006043336A JP2007225637A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | 液晶表示装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007225637A true JP2007225637A (ja) | 2007-09-06 |
Family
ID=38547558
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006043336A Pending JP2007225637A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | 液晶表示装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2007225637A (ja) |
-
2006
- 2006-02-21 JP JP2006043336A patent/JP2007225637A/ja active Pending
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