JP2007225315A - センサー用複合体 - Google Patents

センサー用複合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2007225315A
JP2007225315A JP2006044002A JP2006044002A JP2007225315A JP 2007225315 A JP2007225315 A JP 2007225315A JP 2006044002 A JP2006044002 A JP 2006044002A JP 2006044002 A JP2006044002 A JP 2006044002A JP 2007225315 A JP2007225315 A JP 2007225315A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
modulus
young
polymer
sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006044002A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomonori Hayakawa
知範 早川
Takenori Saito
雄紀 齋藤
Kazunobu Hashimoto
和信 橋本
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2006044002A priority Critical patent/JP2007225315A/ja
Publication of JP2007225315A publication Critical patent/JP2007225315A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】幅広い測定範囲(測定レンジ)の物理量を安定した測定結果でセンシングすることができ、形状設計の自由度が大きく、成型性に優れたセンサー用複合体を提供する。
【解決手段】ヤング率が異なる複数のポリマーのブレンド物を用いて形成された相分離構造1,3を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記複数のポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相1と,上記複数のポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(A)のヤング率の3倍以上であるポリマー(B)を主成分とする高ヤング率相3とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造1,3のうち、少なくともポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相1中に上記導電性フィラー2が分散含有されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、歪み等の外部刺激により、主に抵抗が変化することに基づいて電気特性等が変化するセンサー材料として用いられるセンサー用複合体に関するものであり、詳しくは、歪み印加によって体積抵抗が増加する抵抗増加型センサー用材料,もしくは歪み印加によって体積抵抗が減少する抵抗減少型センサー用材料等として用いられるセンサー用複合体に関するものである。
従来より、部材に作用する応力や加速度,振動,変形(歪み等)等を検出するセンサーとしては、ピエゾセラミックに代表される無機系材料を用いた無機系歪センサーが利用されている。しかしながら、このような無機系歪センサーは、一般に剛性の高い材料で形成されているため、加工形状の自由度に制限がある。また、目的とする面圧,歪み,加速度等の測定範囲に応じて、特定のセンサー材料系を決定して調製する必要があり、同一の材料系で幅広い測定範囲の物理量をセンシングできる歪センサーの出現が待望されていた。
上記のような事情に鑑み、無機系材料に代えてエラストマーを用い、これと導電性フィラーとを複合化させた感圧導電性エラストマーが提案されている(特許文献1参照)。
特開平3−93109号公報
上記特許文献1に記載のものは、無歪みの時は高抵抗を示すが、圧縮歪みを受けると、導電性フィラーがパーコレーションし、導電パスが生成するために抵抗が減少する、いわゆる抵抗減少型センサーに関するものである。しかし、この抵抗変化は必ずしも一定ではなく、歪みが大きくなると逆に抵抗が増加に転じる場合もあり、歪みと検出値(抵抗値)とのばらつきが大きく、安定した測定結果を得ることが困難であった。歪みと検出値とのばらつきは、センサー固体間だけではなく、同一のセンサーでも変形方向が異なると、大きなばらつきが発生する傾向がある。そのため、測定結果の信頼性が低く、産業界で要求される程の精度を得ることができなかった。
また、上記特許文献1に記載のものは、エラストマーに対する導電性フィラーの混合割合によって検出感度が顕著に異なるため、目的とする感度等の測定特性を付与することが難しく、設計や製造が非常に困難であった。さらには、上記特許文献1に記載のものは、単に直流電流の抵抗値変化で圧縮変形量を検出しているため、混合された導電性フィラーがある程度の接触状態となった後は、検出値が殆ど変化しなくなって、外力や応力の検出レンジが小さいという難点もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、幅広い測定範囲(測定レンジ)の物理量を安定した測定結果でセンシングすることができ、形状設計の自由度が大きく、成型性に優れた、センサー用複合体の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、ヤング率が異なる複数のポリマーのブレンド物を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記複数のポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(A)を主成分とする相と,上記複数のポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(A)のヤング率の3倍以上であるポリマー(B)を主成分とする相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともポリマー(A)を主成分とする相中に上記導電性フィラーが分散含有されているセンサー用複合体を第1の要旨とする。
また、本発明は、ヤング率が異なる複数のポリマーをブロック共重合させてなるブロック共重合体を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(a)を主成分とするブロック(α)からなる相と,上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(a)のヤング率の3倍以上であるポリマー(b)を主成分とするブロック(β)からなる相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともブロック(α)からなる相中に上記導電性フィラーが分散含有されているセンサー用複合体を第2の要旨とする。
本発明者らは、幅広い測定範囲(測定レンジ)の物理量を安定した測定結果でセンシングすることができ、形状設計の自由度が大きく、成型性に優れた、センサー用複合体を得るため、鋭意研究を重ねた。その結果、ヤング率が低いポリマーを主成分とする比較的柔らかい相(低ヤング率相)と、ヤング率が高いポリマーを主成分とする比較的硬い相(高ヤング率相)とに分離した相分離構造を持つポリマーマトリクスに、導電性フィラーを複合化してなるセンサー用複合体を用いると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。この理由は、明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、本発明のセンサー用複合体は、上記のように、ヤング率が低いポリマーを主成分とする比較的柔らかい低ヤング率相と、ヤング率が高いポリマーを主成分とする比較的硬い高ヤング率相とに分離した相分離構造を持つため、圧縮,引っ張り,剪断等のマクロな変形による歪みを受けると、高ヤング率相と高ヤング率相との間にある、低ヤング率相に大きな歪みが集中し、この部分に局所的に大きな歪み(応力集中)が誘起される。これにより、導電性フィラーが分散含有された低ヤング率相が大きな変形を起こすことで、導電性フィラーの接触状態が変化し、その電気特性(直流抵抗やインピーダンス等)が変化するため、センサー用複合体全体の導電性が変化するものと思われる。
この概念を検証するために、ヤング率が2MPaの低ヤング率ポリマーと、ヤング率が20MPaの高ヤング率ポリマーとからなる海島構造型モルフォロジーを仮定し、ここに10%の圧縮歪みを印加した際の歪み分布を、有限要素法(FEM)シミュレーションによって計算したところ、図1の歪み分布を得た。図において、黒色で表される部分5は、高ヤング率ポリマーからなる高ヤング率相(島相)に相当し、それ以外の部分6,7,8は、低ヤング率ポリマーからなる低ヤング率相(海相)に相当する。図1の歪み分布は、矢符A方向(図面上下方向)から10%の圧縮歪みを印加した際の、海相(6,7,8)の歪み分布が濃淡で示されており、白色で表される部分6は歪みが大きい部分、7は歪みが小さい部分、白色で表される部分6の中に存在する黒っぽい小さな部分8は、最も大きな歪みが集中した部分をそれぞれ示す。図1の結果から、高ヤング率相(島相)5に挟まれた部分(破線で囲んだ部分)4に、大きな歪みが集中(応力集中)することが確認された。なお、上記シミュレーションについては、導電性フィラーを複合化していない例について説明したが、上記の応力集中場の存在により、海相に含まれる導電性フィラー(球状カーボン等)間の接触状態が変化し、その電気特性(直流抵抗やインピーダンス等)が変化するため、センサー用複合体全体の導電性が変化すると考えられる。
本発明のセンサー用複合体によると、例えば、低ヤング率相と高ヤング率相とのヤング率差(弾性率差),高ヤング率相等の平均径,低ヤング率相に分散含有させる導電性フィラーの種類や充填量等によって、相分離構造(モルフォロジー構造)を制御することによって、高ヤング率相と高ヤング率相との間にある、低ヤング率相に局所的に大きな歪みを集中させることができる。これにより、無歪み状態における導電性(体積抵抗等)だけでなく、歪みに対する直流抵抗やインピーダンス等の電気特性の変化を安定かつ積極的に引き起こさせることができ、電気特性変化挙動(歪み応答感度)を高感度で安定に制御することができる。このように、本発明のセンサー用複合体によると、例えば、抵抗変化範囲を1桁から5桁以上まで高感度で安定に制御できることから、抵抗センサー性能のダイナミックレンジを選択することができるようになる。
また、本発明においては、汎用のポリマー(例えば、汎用のエラストマーや汎用の樹脂)を用いることができることから、成型加工の自由度が極めて高く、さらにエラストマーの材料物性(弾性率等)を自由に設計できるため、目的とするセンシング対象範囲に即したヤング率のセンサー材料を提供することもできる。
また、上記導電性フィラーが球状カーボンであると、アスペクト比が1に近く、球形であるため、形状の異方性がなく、高ヤング率相間に誘起された歪み集中に対して、球状カーボン粒子配置の変化が等方的に起こるため、歪みの印加方向に対する異方性がなく、歪みに対して安定した電気特性変化が実現可能となる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のセンサー用複合体は、相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるという構成をとる。
ここで、上記相分離構造とは、例えば、海島(マトリクス/ドメイン)構造型、シリンダー構造型,ラメラ構造型,ジャイロイド構造型,共連続相構造型等の相分離構造があげられる。
本発明のセンサー用複合体は、下記の第1の態様および第2の態様の2つに大別される。
〔第1の態様〕
ヤング率が異なる複数のポリマーのブレンド物を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記複数のポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(A)を主成分とする相と,上記複数のポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(A)のヤング率の3倍以上であるポリマー(B)を主成分とする相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともポリマー(A)を主成分とする相中に上記導電性フィラーが分散含有されているセンサー用複合体。
〔第2の態様〕
ヤング率が異なる複数のポリマーをブロック共重合させてなるブロック共重合体を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(a)を主成分とするブロック(α)からなる相と,上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(a)のヤング率の3倍以上であるポリマー(b)を主成分とするブロック(β)からなる相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともブロック(α)からなる相中に上記導電性フィラーが分散含有されているセンサー用複合体。
まず、上記第1の態様に係るセンサー用複合体について説明する。
上記第1の態様におけるポリマーマトリクスは、上記複数のポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(A)を主成分とする相(以下、「低ヤング率相」という)と,上記複数のポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(A)のヤング率の3倍以上であるポリマー(B)を主成分とする相(以下、「高ヤング率相」という)とに分離した相分離構造を有している。
上記ポリマー(A)は、ヤング率が0.1〜50MPaの範囲のものが用いられ、好ましくはヤング率が0.5〜10MPaの範囲のものが用いられる。すなわち、最もヤング率が低いポリマー(A)のヤング率が0.1MPa未満であると、ゲル状態に近く、機械的な歪みに対する耐久性に問題が生じるからであり、逆に50MPaを超えると、ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相が硬くなりすぎ、歪みによる電気特性(抵抗やインピーダンス)変化を安定かつ積極的に引き起こさせることができなくなるからである。
上記ポリマー(A)としては、低ヤング率相を弾性変形させることができ、上記ポリマー(B)と非相溶性のものが好ましく、例えば、エラストマーポリマーがあげられる。
なお、本発明において、エラストマーとは、熱可塑性エラストマー等の狭義のエラストマーに限定されるものではなく、ゴムをも含む広い概念である。
上記ポリマー(A)であるエラストマーポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR),イソプレンゴム(IR),ブタジエンゴム(BR),ニトリルゴム(NBR),スチレンブタジエンゴム(SBR),エチレン−プロピレン共重合ゴム〔エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM),エチレン−プロピレン共重合体(EPM)等〕,ブチルゴム(IIR),ハロゲン化ブチルゴム(Cl−IIR,Br−IIR等),水素化ニトリルゴム(H−NBR),クロロプレンゴム(CR),アクリルゴム(AR),クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM),ヒドリンゴム,シリコーンゴム(液状シリコーンゴムを含む),フッ素ゴム,ウレタンゴム、合成ラテックス等のゴムや、スチレン系,オレフィン系,ウレタン系,ポリエステル系,ポリアミド系,フッ素系等の各種熱可塑性エラストマーおよびこれらの誘導体等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記ポリマー(A)とともに用いられるポリマー(B)は、ポリマー(A)よりもヤング率が3倍以上高いものを用いる必要があり、好ましくはヤング率が5〜10000倍高いものが用いられる。すなわち、最もヤング率が高いポリマー(B)のヤング率が、最もヤング率が低いポリマー(A)のヤング率の3倍未満であると、(B)相(高ヤング率相)自身の歪みが無視できなくなり、(A)相(低ヤング率相)への歪み集中を誘起しにくくなるからである。
なお、上記ポリマー(B)のヤング率は、2〜10000MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜5000MPaの範囲である。
上記ポリマー(B)としては、ポリマー(A)と非相溶性のものが好ましく、例えば、ポリオレフィン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等があげられる。なお、上記ポリマー(B)としては、ポリマー(A)と非相溶性であれば、前記ポリマー(A)で例示したエラストマーポリマーを用いても差し支えない。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリマー(A)と、ポリマー(B)とのブレンド比は、体積比で、(A)/(B)=0.5〜19の範囲が好ましく、特に好ましくは(A)/(B)=1〜9の範囲である。すなわち、両者のブレンド比が0.5未満であると、(B)相(高ヤング率相)同士が接触しやすくなり、(A)相(低ヤング率相)への歪み集中を誘起しにくくなる傾向がみられ、逆に両者のブレンド比が19を超えると、(B)相(高ヤング率相)同士の距離が広がり、歪み集中が起こりにくくなる傾向がみられるからである。
ここで、上記ポリマーマトリクスは、必須成分であるポリマー(A)およびポリマー(B)以外に、任意成分であるポリマーのブレンド物により形成されていても差し支えない。この場合、任意成分であるポリマーは、上記ポリマー(A)のヤング率よりも大きく、かつ、ポリマー(B)のヤング率よりも小さいヤング率のものを選択する必要がある。
上記任意成分であるポリマーとしては、例えば、前述の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
なお、前記ポリマーマトリクスは、前記ポリマー(A),(B)等のポリマーに加えて、相溶化剤をブレンドさせたものであっても差し支えない。上記相溶化剤としては、上記ポリマー(A)およびポリマー(B)の双方と相溶性のあるものが好ましく、例えば、ポリマー(A)とポリマー(B)とからなるブロックコポリマーや、ポリマー(A)とポリマー(B)との中間のSP値(Solubility Parameter)を有するポリマーおよび低分子量化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
つぎに、上記ポリマーマトリクスの相分離構造中の少なくともポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中に分散含有される導電性フィラーとしては、導電性を有する粒子であれば特に限定はなく、例えば、カーボンブラック等の炭素材料や、微細な金属粒子等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、上記ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中においても、大部分が一次粒子として存在し、凝集して二次粒子体を形成しないフィラーが好ましい。
上記導電性フィラーの平均粒径(一次粒径)は、通常、0.05〜200μmの範囲であり、好ましくは0.5〜60μmの範囲、特に好ましくは1〜30μmの範囲である。すなわち、上記導電性フィラーの平均粒径(一次粒径)が、0.05μm未満であると、上記ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中で導電性フィラーが凝集する傾向がみられ、逆に、200μmを超えると、歪みによる導電性フィラーの並進運動(平行運動)が粒径に比べて相対的に小さくなり、歪みに対する導電性変化が緩慢となる傾向がみられるからである。
また、上記導電性フィラーの粒径の頻度分布におけるD90/D10は、30以下が好ましく、特に好ましくは1〜10の範囲である。すなわち、上記D90/D10が30を超えると、粒径分布が広がり、歪みに対する導電性変化が不安定化し、繰り返し再現性が悪化する傾向がみられるからである。なお、本発明においては、粒径分布が狭いこれらの導電性フィラーを複数組み合わせて用いることも可能であり、この場合、組み合わせた導電性フィラー全体の粒径の頻度分布におけるD90/D10は、100以下であればよい。
また、上記導電性フィラーは、長辺と短辺との比から定義されるアスペクト比は、1〜2の範囲が好ましく、形状が球状に近い方がより好ましい。
上記導電性フィラーとしては、球状カーボンが好ましい。この球状カーボンの具体例としては、大阪ガスケミカル社製のメソカーボンマイクロビーズ〔MCMB6−28(平均粒径約6μm),MCMB10−28(平均粒径約10μm),MCMB25−28(平均粒径約25μm)〕や、日本カーボン社製のカーボンマイクロビーズ・ニカビーズICB,ニカビーズPC,ニカビーズMC,ニカビーズMSB〔ICB0320(平均粒径約3μm),ICB0520(平均粒径約5μm),ICB1020(平均粒径約10μm),PC0720(平均粒径約7μm),MC0520(平均粒径約5μm)等〕や、日清紡社製のカーボンビーズ(平均粒径約10μm)等があげられる。
上記ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中における、導電性フィラーの体積分率は、30〜65%の範囲が好ましく、特に好ましくは35〜55%の範囲である。すなわち、導電性フィラーの体積分率が30%未満であると、大部分が一次粒子として分散している導電性フィラーが歪みによって、接触、非接触の構造変化を示さず、導電性の変化が乏しくなり、逆に65%を超えると、ポリマー(A)との混合が困難となり、成型加工性が悪化し、またゴム弾性を示しにくくなるからである。
なお、本発明においては、上記導電性フィラーは、少なくとも上記ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中に分散含有されているが、前記ポリマー(B)を主成分とする高ヤング率相中にも分散含有されていても差し支えなく、また、上記低ヤング率相および高ヤング率相以外の相中に分散含有されていても差し支えない。この場合、導電性フィラーの総重量の8割以上が、ポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相中に分散含有されていることが好ましい。
前記第1の態様に係るセンサー用複合体の製法について、海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体の製法について具体的に説明する。すなわち、液状シリコーンゴム等のポリマー(A)を必須成分とし、これに液状シリコーンゲル等の任意成分を必要に応じて適宜に添加し、これらをエアー撹拌機を用いて混合、攪拌して均一化する。つぎに、ここに導電性フィラーを必須成分として添加し、上記エアー撹拌機を用いて混合、分散させる。ついで、ここにアクリル樹脂等のポリマー(B)からなるビーズ(アクリル樹脂ビーズ等)を添加し、上記エアー撹拌機を用いて充分に攪拌、分散した後、約266Pa(約2torr)に減圧された真空チャンバーにて、室温で約1時間脱気する。つぎに、上記未架橋液状ゴムを、金型に充填し、所定の温度雰囲気下(例えば、170℃×30分)でプレス加硫することにより、目的とするセンサー用複合体(センサー用架橋エラストマー体)を作製することができる。
このようにして得られた、海島構造型の相分離構造を有する、前記第1の態様に係るセンサー用複合体の模式図を図2に示す。図2において、1は、液状シリコーンゴム等のポリマー(A)を主成分とする低ヤング率相(海相)を示し、2は、低ヤング率相(海相)中に分散含有されている導電性フィラーを示す。また、3は、アクリル樹脂ビーズ等からなる高ヤング率相(島相)を示す。このように、このセンサー用複合体は、低ヤング率相(海相)1と、高ヤング率相(島相)3とが分離した相分離構造を有し、上記低ヤング率相(海相)1中に導電性フィラー2が分散含有されている。
上記図2に示したセンサー用複合体に対して歪みを印加すると、高ヤング率相(島相)3と高ヤング率相(島相)3との間にある、低ヤング率相(海相)1の部分(図において破線で囲んだX部分)に、局所的に大きな歪み(応力集中)が誘起される。これにより、導電性フィラー2が分散含有された低ヤング率相(海相)1が大きな変形を起こすことで、導電性フィラー2の接触状態が変化し、その電気特性(直流抵抗やインピーダンス等)が変化するため、センサー用複合体全体の導電性が変化するものと思われる。
上記海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体において、センサー用複合体全体中の高ヤング率相(島相)3の体積分率〔島相/(海相+島相)〕は、10〜55%の範囲が好ましく、特に好ましくは20〜45%の範囲である。
なお、上記製法においては、低ヤング率相(海相)1が導電相で、高ヤング率相(島相)3が絶縁相となる例について説明したが、高ヤング率相(島相)3にも導電性フィラーを分散含有させて導電相としても差し支えない。
上記図2に示した、海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体において、高ヤング率相(島相)3の平均粒径は、低ヤング率相(海相)1中に分散含有されている導電性フィラー2の平均粒径よりも大きいことが好ましい。すなわち、高ヤング率相(島相)3の平均粒径が、前記導電性フィラー2の平均粒径よりも小さければ、高ヤング率相(島相)3同士の間に誘起される歪み集中場の空間スケールが小さくなり、低ヤング率相(海相)1に存在する導電性フィラーの粒径よりも小さく、導電性フィラーの並進運動(並行移動)を誘発しにくくなるため歪み応答感度が低下する傾向がみられるからである。具体的には、高ヤング率相(島相)3の平均粒径は、1〜500μmの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜200μmの範囲である。
本発明のセンサー用複合体は、圧縮歪みを印加した場合、圧縮方向に直行する2面間の直流抵抗またはインピーダンスが圧縮歪み量に応じて増加もしくは減少したり、また、引張り歪みを印加した場合、引張り方向に平行な2面間の直流抵抗またはインピーダンスが圧縮歪み量に応じて増加もしくは減少する、抵抗増加型センサー用材料もしくは抵抗減少型センサー用材料等として用いられる。
つぎに、前記第2の態様に係るセンサー用複合体について説明する。
上記第2の態様におけるポリマーマトリクスは、前記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(a)を主成分とするブロック(α)からなる相(以下、「低ヤング率相」という)と,上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(a)のヤング率の3倍以上であるポリマー(b)を主成分とするブロック(β)からなる相(以下、「高ヤング率相」という)とに分離した相分離構造を有している。
上記ブロック共重合体は、一般に、図3に示すような様々な相構造を形成し、その相構造はブロック共重合体のモノマー組成比〔φA 〕と、モノマー同士の相溶性(χパラメーター)および重合度(鎖長N)の積〔χN〕とに依存する。なお、φA は、上記ポリマー(a)のモノマーAの体積分率を示す。このような相構造形成をセンシング材料への機能付与に活用することが、本発明のセンサー用複合体の特徴である。図において、S,S′はスフェア(海島,Sphere) 、C,C′はシリンダー(Cylinder)、Lはラメラ(Lamellar)、G,G′はジャイロイド(Gyroid)、disorderは相溶状態(各ブロック成分が無秩序な溶融状態を呈し、ミクロ相分離していない様子)を示す。なお、S,C,G,L等の模式図において、黒色部は、ブロック共重合体におけるモノマーA成分を示し、その他の部分は、ブロック共重合体におけるモノマーA成分以外の成分を示す。
上記ポリマー(a)としては、低ヤング率相を弾性変形させることができるものが好ましく、例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリブチレン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、ガラス転移温度が低く、ヤング率が低いため、ポリイソプレン、ポリブタジエンが好適に用いられる。
また、上記ポリマー(b)は、ポリマー(a)よりもヤング率が3倍以上高いものを用いる必要があり、好ましくはヤング率が5〜10000倍高いものが用いられる。すなわち、最もヤング率が高いポリマー(b)のヤング率が、最もヤング率が低いポリマー(a)のヤング率の3倍未満であると、(b)相(高ヤング率相)自身の歪みが無視できなくなり、(a)相(高ヤング率相)への歪み集中を誘起しにくくなるからである。
なお、上記ポリマー(b)のヤング率は、2〜10000MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは5〜5000MPaの範囲である。
上記ポリマー(b)としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、ガラス転移温度が高く、運動性が拘束されたハードセグメントとして機能するポリスチレンが好適に用いられる。
前記第2の態様に係るセンサー用複合体において、ポリマー(a)を主成分とするブロック(α)からなる低ヤング率相と、ポリマー(b)を主成分とするブロック(β)からなる高ヤング率相との割合は、体積比で、低ヤング率相/高ヤング率相=0.5〜19の範囲が好ましく、特に好ましくは低ヤング率相/高ヤング率相=1〜9の範囲である。すなわち、両者の体積比が0.5未満であると、(b)相(低ヤング率相)同士が接触しやすくなり、(a)相(高ヤング率相)相への歪み集中を誘起しにくくなる傾向がみられ、逆に逆に両者の体積比が19を超えると、(b)相(低ヤング率相)同士の距離が広がり、歪み集中が起こりにくくなる傾向がみられるからである。
ここで、上記ブロック共重合体は、ポリマー(a)を主成分とするブロック(α),およびポリマー(b)を主成分とするブロック(β)以外の任意のブロックを有していても差し支えない。上記任意のブロックを構成するポリマーは、上記ポリマー(A)のヤング率よりも大きく、かつ、ポリマー(B)のヤング率よりも小さいヤング率のものを選択する必要がある。
つぎに、上記ポリマーマトリクスの相分離構造中の少なくともブロック(α)からなる低ヤング率相中に分散含有される導電性フィラーとしては、前記第1の態様で述べたものと同様のものが用いられる。
前記第2の態様に係るセンサー用複合体の製法について、海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体の製法について具体的に説明する。すなわち、ポリマー(a)を主成分とし(体積分率約85%)、ポリマー(b)を副成分として有するブロック共重合体(a−b)を密閉式の混練機(ラボプラストミル等)に投入し、ここにカーボンブラック、必要に応じて架橋剤等を添加し、機械的な剪断を加えながら、これらの混合物を均一に分散させた後、ロール混練機等を用いてゴムシート(厚み2mm等)を作製する。このシートを所定の大きさに切り出し、厚み方向の両面に銅箔(電極)を配置して、金型に充填し、プレス機を用いて加熱成型した後、徐冷することで(冷却速度:10℃/分以下)、ブロック共重合体の組成に応じた海島構造を有するセンサー用複合体を作製することができる。
なお、シリンダー構造型,ラメラ構造型,ジャイロイド構造型,共連続相構造型等の相分離構造を有するセンサー用複合体の製法についても、ポリマー(a)やポリマー(b)のモノマーの体積分率(モノマー組成比)や、モノマー同士の相溶性,重合度等を制御することによって特定の相構造を選択可能であり、上記海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体の製法に準じて作製することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
ヤング率が約0.8MPaである液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、KE103)47.5重量部(以下「部」と略す)(47.5g)と、液状シリコーンゴムKE103用架橋材(触媒)(信越化学工業社製、cat103)2.5部(2.5g)と、液状シリコーンゲル(信越化学工業社製、KE1151)50部(50g)とを、エアー撹拌機(中央理化社製、エアーモーター撹拌機1AM−G5)を用いて混合、攪拌して均一化した。つぎに、ここに球状カーボン(日本カーボン社製、ニカビーズICB0520、平均粒径:5μm、粒径の頻度分布:D90/D10=3.2)87.5部(87.5g)を添加し、上記エアー撹拌機を用いて混合、分散した。ついで、ここにヤング率が約3GPa(3000MPa)であるアクリル樹脂からなるアクリル樹脂ビーズ(綜研化学社製、MR−90G、平均粒径:90μm、比重:1.19)93.75部(93.75g)を添加し、上記エアー撹拌機を用いて充分に攪拌、分散した後、約266Pa(約2torr)に減圧された真空チャンバー(ESPEC社製、VAC−200)にて、室温で約1時間脱気した。なお、この際の島相(アクリルビーズ)の体積分率は約33%、球状カーボンの体積分率は約26%であった。
つぎに、上記未架橋液状ゴムを、縦10mm×横10mm×高さ3mmの直方体の金型に充填し、高さ方向両側端面に対して一対の銅板(電極)を配置して、170℃×30分の温度雰囲気下でプレス加硫して、電極が固着した架橋シリコーンゴム(複合体)を作製し、センサー本体を得た。交流電流や電圧の大きさに基づいて、電気回路におけるインピーダンスの値を測定するインピーダンス検出装置を用いて、センサー材料の評価を行った。このインピーダンス検出装置としては、誘電体テスト電極治具(ヒューレットパッカードカンパニー社製、HP−16451B)と、インピーダンスアナライザー(ヒューレットパッカードカンパニー社製、HP−4194A)とを採用した。そして、上記センサー本体の厚み方向に圧縮歪みを印加しながら、上記インピーダンス検出装置を用いて、インピーダンスの周波数特性(Z−f)を測定した。その結果を、図4および図5に示した。
図4の結果から、周波数0.1kHzにおけるインピーダンスは、無歪みのとき約200kΩであるが、歪み印加とともに指数関数的に増大し、200μm圧縮歪み(7%歪み)を印加すると約8MΩ(8000kΩ)となり、300μm圧縮歪み(10%歪み)を印加すると約100MΩ(105 kΩ)以上となった。すなわち、実施例1品の複合体(架橋シリコーンゴム)は、圧縮歪みの印加によって、歪み量に応じて抵抗Rが約200kΩの半導電体から絶縁体まで3桁程度変化することが示された。また、図5の結果から、実施例1品は、圧縮歪みに応じたインピーダンス変化を示すことがわかった。これらのことから、実施例1品は、歪み量に応じて直流抵抗やインピーダンスが変化するため、センサー材料として利用可能であると考えられる。
また、実施例1品のモルフォロジーを光学顕微鏡で観察し、その結果を図6に示した。図において、略中央部に存在している白色の大径の球状部分は、アクリル樹脂ビーズからなる高ヤング率相(島相)3を示し、この島相3以外の白くぼやけた部分は、液状シリコーンゴムを主成分とする低ヤング率相(海相)1を示し、この海相1中に多数分散している白色の小径部分は、導電性フィラー(球状カーボン)2を示す。図6から、液状シリコーンゴムを主成分とする低ヤング率相(海相)1と、アクリル樹脂ビーズからなる高ヤング率相(島相)3とが分離した海島構造型の相分離構造を有し、導電性フィラー(球状カーボン)2が上記海相1中に分散含有されたモルフォロジーが形成されていることが確認された。なお、低ヤング率相(海相)を構成する液状シリコーンゴムのヤング率は約0.8MPaで、アクリル樹脂ビーズ(島相)を構成するアクリル樹脂のヤング率は約3GPa(約3000MPa)であり、両ポリマーのヤング率は約4000倍異なるため、歪みに対してアクリル樹脂ビーズからなる高ヤング率相(島相)3の変形は無視できるほど小さく、柔らかい液状シリコーンゴムを主成分とする低ヤング率相(海相)1に歪みが集中するものと考えられる。
なお、実施例1においては、海島構造型の相分離構造を形成することによって、局所的な歪み集中を誘起し、歪みに対する電気特性変化(インピーダンスや直流抵抗等)が可能となる例を示したが、本発明はこのような海島構造型の相分離構造に限定されるものではなく、シリンダー構造型,ラメラ構造型,ジャイロイド構造型,共連続相構造型等の相分離構造を形成することによっても、実施例1と同様に、局所歪み集中を誘起でき、歪み検知センサー材料の高機能化に有効な手段であった。
〔比較例1〕
島相を形成するアクリル樹脂ビーズ(綜研化学社製、MR−90G)を添加しない、すなわち海島構造型の相分離構造を形成しない以外は、実施例1と同様にして、電極が固着した架橋シリコーンゴム(複合体)を作製し、センサー本体を得た。このセンサー本体を用いて、実施例1と同様にして、厚み方向に圧縮歪みを印加しながら、インピーダンスの周波数特性(Z−f)を測定した。その結果を、図7および図8に示した。
図7の結果から、0.1kHzにおけるインピーダンスは、無歪みのとき約100kΩであるが、歪み印加すると400μm圧縮歪み(13%歪み)程度までインピーダンスが減少し、さらに大きな歪みを印加するとインピーダンスが増加に転じ、約1MΩ〜10MΩの範囲まで変化した。比較例1品は、1500μm圧縮歪み(50%歪み)まで圧縮しても絶縁体とはならなかった。また、図8の結果から、比較例1品は、歪みに対するインピーダンス変化の振る舞いも複雑であった。これらのことから、比較例1品は、センサー材料としては適当ではないと考えられる。すなわち、比較例1品は、アクリル樹脂ビーズを添加していないため、実施例1品のような、液状シリコーンゴムを主成分とする低ヤング率相(海相)と,アクリル樹脂ビーズからなる高ヤング率相(島相)とに分離したモルフォロジー(海島構造)を形成していない。そのため、液状シリコーンゴムを主成分とする相に局所的な歪み集中が誘起されず、歪みに対するインピーダンス変化が鋭敏にならなかったと考えられる。
本発明のセンサー用複合体は、圧縮歪みを印加した場合、圧縮方向に直行する2面間の直流抵抗またはインピーダンスが圧縮歪み量に応じて増加もしくは減少したり、また、引張り歪みを印加した場合、引張り方向に平行な2面間の直流抵抗またはインピーダンスが圧縮歪み量に応じて増加もしくは減少する、抵抗増加型センサー用材料もしくは抵抗減少型センサー用材料等として用いられる。
有限要素法(FEM)シミュレーションによる歪み分布を示す図である。 海島構造型の相分離構造を有するセンサー用複合体の模式図である。 ジブロック共重合体のミクロ相分離の相図を示すグラフ図である。 実施例1品における静的圧縮歪みに対するインピーダンスの周波数特性(Z−f)を示すグラフ図である。 実施例1品における静的圧縮永久歪みと,各周波数におけるインピーダンス変化との関係を示すグラフ図である。 実施例1品のモルフォロジーの光学顕微鏡写真である。 比較例1品における静的圧縮歪みに対するインピーダンスの周波数特性(Z−f)を示すグラフ図である。 比較例1品における静的圧縮永久歪みと,各周波数におけるインピーダンス変化との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1 低ヤング率相(海相)
2 導電性フィラー
3 高ヤング率相(島相)

Claims (6)

  1. ヤング率が異なる複数のポリマーのブレンド物を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記複数のポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(A)を主成分とする相と,上記複数のポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(A)のヤング率の3倍以上であるポリマー(B)を主成分とする相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともポリマー(A)を主成分とする相中に上記導電性フィラーが分散含有されていることを特徴とするセンサー用複合体。
  2. 上記導電性フィラーが球状カーボンである請求項1記載のセンサー用複合体。
  3. 上記ポリマー(A)を主成分とする相が海相を構成し、上記ポリマー(B)を主成分とする相が島相を構成する海島構造型の相分離構造を形成している請求項1または2記載のセンサー用複合体。
  4. ヤング率が異なる複数のポリマーをブロック共重合させてなるブロック共重合体を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性フィラーとを複合化してなるセンサー用複合体であって、上記ポリマーマトリクスは、上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が低く、そのヤング率が0.1〜50MPaの範囲であるポリマー(a)を主成分とするブロック(α)からなる相と,上記ブロック共重合体の複数のブロックを構成するポリマーの中で最もヤング率が高く、そのヤング率が上記ポリマー(a)のヤング率の3倍以上であるポリマー(b)を主成分とするブロック(β)からなる相とに分離した相分離構造を有し、かつ、上記相分離構造のうち、少なくともブロック(α)からなる相中に上記導電性フィラーが分散含有されていることを特徴とするセンサー用複合体。
  5. 上記導電性フィラーが球状カーボンである請求項4記載のセンサー用複合体。
  6. 上記ブロック(α)からなる相が海相を構成し、上記ブロック(β)からなる相が島相を構成する海島構造型の相分離構造を形成している請求項4または5記載のセンサー用複合体。
JP2006044002A 2006-02-21 2006-02-21 センサー用複合体 Pending JP2007225315A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006044002A JP2007225315A (ja) 2006-02-21 2006-02-21 センサー用複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006044002A JP2007225315A (ja) 2006-02-21 2006-02-21 センサー用複合体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007225315A true JP2007225315A (ja) 2007-09-06

Family

ID=38547285

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006044002A Pending JP2007225315A (ja) 2006-02-21 2006-02-21 センサー用複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007225315A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009174993A (ja) * 2008-01-24 2009-08-06 Tokai Rubber Ind Ltd センサ用複合材料および変形センサ
WO2016072374A1 (ja) * 2014-11-05 2016-05-12 株式会社クラレ 曲げセンサ
CN106133509A (zh) * 2014-03-25 2016-11-16 宝洁公司 用于感测材料应变的设备
US10115496B2 (en) 2015-03-30 2018-10-30 Samsung Electronics Co., Ltd. Compositions for preparing electrically conductive composites, composites prepared therefrom, and electronic devices including the same
US10782261B2 (en) 2014-03-25 2020-09-22 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental humidity changes
US10788437B2 (en) 2014-03-25 2020-09-29 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental changes
US10788439B2 (en) 2014-03-25 2020-09-29 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental moisture changes
US10794850B2 (en) 2014-03-25 2020-10-06 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental pH changes
WO2023079966A1 (ja) * 2021-11-04 2023-05-11 Dic株式会社 架橋性樹脂組成物、及び、硬化物

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03122911A (ja) * 1989-10-04 1991-05-24 Osaka Gas Co Ltd 感圧導電性樹脂組成物
JPH04349301A (ja) * 1991-01-30 1992-12-03 Inaba Rubber Kk 変形導電性エラストマー
JP2000082608A (ja) * 1998-07-09 2000-03-21 Denso Corp 感圧抵抗体及び感圧センサ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03122911A (ja) * 1989-10-04 1991-05-24 Osaka Gas Co Ltd 感圧導電性樹脂組成物
JPH04349301A (ja) * 1991-01-30 1992-12-03 Inaba Rubber Kk 変形導電性エラストマー
JP2000082608A (ja) * 1998-07-09 2000-03-21 Denso Corp 感圧抵抗体及び感圧センサ

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009174993A (ja) * 2008-01-24 2009-08-06 Tokai Rubber Ind Ltd センサ用複合材料および変形センサ
US10788439B2 (en) 2014-03-25 2020-09-29 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental moisture changes
US10788437B2 (en) 2014-03-25 2020-09-29 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental changes
JP2017516077A (ja) * 2014-03-25 2017-06-15 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 材料の歪みを感知するための装置
US10914644B2 (en) 2014-03-25 2021-02-09 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing material strain
CN106133509A (zh) * 2014-03-25 2016-11-16 宝洁公司 用于感测材料应变的设备
US10794850B2 (en) 2014-03-25 2020-10-06 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental pH changes
US10782261B2 (en) 2014-03-25 2020-09-22 The Procter & Gamble Company Apparatus for sensing environmental humidity changes
US20170336190A1 (en) * 2014-11-05 2017-11-23 Nippon Mektron, Ltd. Bend sensor
WO2016072374A1 (ja) * 2014-11-05 2016-05-12 株式会社クラレ 曲げセンサ
TWI714539B (zh) * 2014-11-05 2021-01-01 日商日本美可多龍股份有限公司 彎曲感測器
CN107003191A (zh) * 2014-11-05 2017-08-01 日本梅克特隆株式会社 弯曲传感器
US10115496B2 (en) 2015-03-30 2018-10-30 Samsung Electronics Co., Ltd. Compositions for preparing electrically conductive composites, composites prepared therefrom, and electronic devices including the same
WO2023079966A1 (ja) * 2021-11-04 2023-05-11 Dic株式会社 架橋性樹脂組成物、及び、硬化物
JP7435920B2 (ja) 2021-11-04 2024-02-21 Dic株式会社 架橋性樹脂組成物、及び、硬化物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007225315A (ja) センサー用複合体
Yang et al. Ultrasoft liquid metal elastomer foams with positive and negative piezopermittivity for tactile sensing
JP2008069313A (ja) センサー用架橋エラストマー体およびその製法
US8451011B2 (en) Electrostatic capacity-type sensor
EP2743317A1 (en) Flexible conductive material
Narongthong et al. Ionic liquid enabled electrical-strain tuning capability of carbon black based conductive polymer composites for small-strain sensors and stretchable conductors
JP5411227B2 (ja) 櫛歯状の力スイッチ及びセンサー
Yang et al. Disclosed dielectric and electromechanical properties of hydrogenated nitrile–butadiene dielectric elastomer
Salaeh et al. Fabrication of a strain sensor from a thermoplastic vulcanizate with an embedded interconnected conducting filler network
KR101210937B1 (ko) 압력 감응 소자 및 이를 이용한 촉각 센서
JP2010109121A (ja) 誘電膜、およびそれを用いたアクチュエータ、センサ、トランスデューサ
JP2010255782A (ja) 免震装置用プラグ及びその製造方法
Kumar et al. Enhancement of electromechanical properties of natural rubber by adding barium titanate filler: An electro‐mechanical study
JP2000299016A (ja) 変形導電性エラストマー及びその製造方法
JP5662637B2 (ja) 荷重センサ
Guo et al. Piezoresistivities of vapor‐grown carbon fiber/silicone foams for tactile sensor applications
US10236139B2 (en) Switch and method for manufacturing the same
JP2008239746A (ja) エラストマー複合材料
Kim et al. Measuring true electromechanical strain of electroactive thermoplastic elastomer gels using synchrotron SAXS
JP2009139329A (ja) センサ用エラストマー複合材料および変形センサ
JP5085298B2 (ja) 導電複合粒子、エラストマー複合材料、および変形センサ
JP5263682B2 (ja) 感圧導電性材料
JP2004247185A (ja) 固体高分子型燃料電池用シール材
JP5577022B2 (ja) センサ用複合材料および変形センサ
JP2009231009A (ja) 感圧導電性材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20080820

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100716

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120131