JP2007224449A - 衝撃吸収用の緩衝構造体及びこれを備えたヒッププロテクター - Google Patents

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Abstract

【課題】 重い・硬い・嵩張るという従来の不都合を解消する衝撃吸収用緩衝構造を提供し、高齢者の転倒骨折予防のために着用促進を図り得るヒッププロテクターを提供する。
【解決手段】 段ボールを所定幅で切断して得られる帯状細片3,3,…を基板4上に並列に並べて接合し、中しん51の波形が表れる側を前面とする単位緩衝体3を多数形成する。身体の腰部外側領域の曲面に添うように、基布の平面上に多数の収容部を碁盤の目状の配置で形成し、各収容部に単位緩衝体を収容させて、緩衝構造体を形成する。前面に薄肉の骨組構造壁の端面が露出することになる緩衝構造体を、ズボン、ストール、ウエストポーチ等に対し着用者の腰部外側領域を覆うように縫い付け、面ファスナ装着、ポケット収納等の手段により装着させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転倒等により身体が受ける衝撃を吸収し身体を保護するために用いられる衝撃吸収用の緩衝構造体、及び、この緩衝構造体を備えたヒッププロテクターに関し、特に、高齢者の転倒に起因する骨折の発生を防止するために用いられるものに係る。
高齢化社会への進展に伴い、高齢者の転倒に伴う骨折(転倒骨折)が増加しつつある。かかる転倒骨折の多くが大腿骨頚部の骨折であるため、これを予防する上で、転倒してもその衝撃を吸収し得るようにヒッププロテクターの着用が提案されている(例えば特許文献1参照)。このものは、下着としての長めのパンツに衝撃吸収用パッドを着脱可能に装着してヒッププロテクターを構成したものであり、その衝撃吸収用パッドとして、発泡ポリウレタンエラストマーにより形成した弾性を有するプレート状の外側部分と、その内面側に埋め込んで芯として機能させる布地製のシートと、軟質低反発ポリウレタンフォームにより形成した軟らかい内側部分との積層構造を採用したものである。これにより、転倒時の外的衝撃を外側部分で受け、内側部分でその衝撃力を緩衝して着用者の身体を保護することを意図している。
又、面ファスナを用いたオムツ型のパンツを対象にしたヒッププロテクターにおいて、衝撃吸収用パッドを着脱可能に装着したものも知られている(例えば特許文献2参照)。このものの衝撃吸収用パッドとしては、芯材としてABS樹脂を用いてドーム状に形成して所望の硬度を確保しながら身体との接触感を良くすることを意図している。
さらに、身体が受ける衝撃を吸収して身体を保護するものとして、スポーツ用のヒッププロテクターも各種提案されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3には、スポーツウェアとしての半長パンツの全面を衝撃吸収部材で覆うために、その衝撃吸収部材を多数の分割パーツにし、かつ、その分割パーツを身体の曲面に沿わすために多種類の独特な形状に形成している。
特開2001−123311号公報 特開2004−124344号公報 特開2004−277967号公報
ところが、上記のヒッププロテクターにおいては、着用者に対し、重い、硬い、嵩張るという悪環境下での動作を強制する傾向にあり、積極的な着用を躊躇させて着用の促進を十分に図ることができない状況にある。スポーツ用であれば着用は競技の間だけとなる上に、着用の必要性を着用者自身が欲している場合が殆どであるため、むしろ積極的に着用される傾向にあるものの、高齢者に対し転倒骨折防止のために着用を勧めても、上記の事情により着用促進はなかなか難しい面があると考えられる。特に、衝撃吸収用の緩衝体として上記の各種パッドでは合成樹脂を用いているため、上記の重い、硬い、嵩張るという悪環境を招く上に通気性も劣ることになることは避けがたいと発明者らは考えた。又、このような衝撃吸収用の緩衝体を適用する衣服(着用物)として、特に、下着形式のものでは、上記の悪環境に加え、衝撃吸収用パッドを身体の所定位置に保持させる必要性を重視して、全体が身体に対し比較的タイトにフィットするように構成されているため、通常の下着よりも締め付けが強くて着脱に手間がかかり、特に転倒骨折発生のおそれの高い夜間の用便時等における着脱が困難になるなどの不都合もある。このため、高齢者における着用促進はなかなか進まず、転倒骨折の増加に対し実効性ある対策となり得ないと考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の不都合を可及的に解消し得る衝撃吸収用の緩衝体を提供し、これを用いて高齢者の転倒骨折予防のために着用促進を図り得るヒッププロテクターを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、衝撃吸収用の緩衝構造体として、波形の中しんとライナとが互いに貼り合わされてなる段ボールをライナと中しんの波形段頂との接合線が延びる方向に対し直角な方向に延びる互いに平行な2本の切断線に沿って切断して帯片を形成し、さらにこの帯片を長手方向に所定長さ毎に切断して複数の帯状細片を形成し、2以上の帯状細片を上記切断線により切断された切断端面が前面に露出して平面を構成するように並列に並べて接合することにより得られる扁平ブロック状の単位緩衝体を用いてなるものとする。そして、1又は2以上の所望数の単位緩衝体が上記前面に衝撃力を受けるように保護対象の外側領域に対し添わせて配設されてなるものとした。
又、請求項2に係る発明では、波形の中しんとライナとが互いに貼り合わされてなる段ボールを、ライナと中しんの波形段頂との接合線が延びる方向に対し直角な方向に延びる互いに平行な2本の切断線により切断して帯片を形成し、さらにこの帯片をその一端を始点にして、上記切断線により切断された切断端面が前面に露出して平面を構成するように巻き付けて接合することにより得られる扁平ブロック状の単位緩衝体を用いてなるものとする。そして、1又は2以上の所望数の単位緩衝体が上記前面に衝撃力を受けるように保護対象の外側領域に対し添わせて配設されてなるものとした。
以上の請求項1又は請求項2に係る発明の場合、単位緩衝体の形成態様や形状は互いに異になるものの、構造上、両者共に同様の作用が得られることになる。すなわち、単位緩衝体の前面に切断端面が露出して平面を構成するようになるため、単位緩衝体の前面には各帯状細片を構成する中しんやライナの薄肉壁の端面が露出し、その薄肉壁が単位緩衝体の厚さ方向に向けて上記2本の切断線間の切断幅に対応する寸法だけ延びることになる。つまり、薄肉壁の中しんやライナにより壁式の骨組構造壁が構成され、前面から衝撃力を受けると、その骨組構造壁が押し潰されることによりその衝撃力を吸収しつつ、後方への衝撃力の伝達を遮断するという効率の良い緩衝機能を発揮することになる。又、この単位緩衝体は紙製であるため軽量でかつ硬質合成樹脂と比べ硬くはない。さらに、上記の骨組構造壁の圧潰により衝撃吸収機能を発揮することになるため、転倒時に受ける程度の衝撃力であればさほど分厚くすることなく吸収してその伝達を遮断させ得る。従って、ヒッププロテクター等に適用する緩衝構造体として、重く、硬く、嵩張るという従来の不都合を解消したものを提供し得ることになる。
上記の請求項1又は請求項2の緩衝構造体においては、上記単位緩衝体が着脱可能に収容される1又は2以上の収容部をさらに備えるようにしてもよい(請求項3)。このようにすることにより、単位緩衝体を保護対象の外側領域に添わせて配設する上で便宜となる。すなわち、単位緩衝体が収容された状態の収容部をそのまま縫い付けたり、接着したり、あるいは、仮止めしたりすることで容易に配設し得ることになる上に、保護対象の外側領域が曲面により構成されているとしても、単位緩衝体が各収容部で区切られて収容されているため、容易にその曲面に添わせて配設することが可能になる。
又、請求項4に係る発明では、ヒッププロテクターとして、上記の請求項1〜請求項3のいずれかに記載の衝撃吸収用の緩衝構造体を、ヒッププロテクター本体に対し、そのヒッププロテクター本体が着用された場合に着用者の腰部外側領域が覆われることになるように直接又は間接に設けることとした。
この請求項4に係る発明の場合、ヒッププロテクターを着用することにより、着用者の腰部外側領域が上記の緩衝構造体により覆われることになるため、その着用者が万一転倒等して腰部外側領域に対し衝撃力が加わったとしても、その衝撃力は上述の如き単位緩衝体を構成する中しんやライナ等の薄肉壁が押し潰されるという骨組構造壁の圧潰による衝撃吸収機能が発揮されて確実に吸収され、着用者の腰部に対する衝撃力の伝達も遮断されることになる。これにより、転倒骨折を有効に予防し得る上に、重く、硬く、嵩張るという従来の不都合が解消されるため、特に高齢者の着用促進を図り得ることになる。
かかる請求項4の発明においては、そのヒッププロテクター本体をズボンにより構成したり(請求項5)、ストールにより構成したり(請求項6)、ウエストポーチにより構成したり(請求項7)、することができる。換言すると、ヒッププロテクターとして、ズボン形にしたり、ストール形にしたり、ウエストポーチ形にしたり、することができる。このようにすることにより、従来の下着形の場合と異なり、それぞれの機能に基づき着用しようとする動機付けが得られ、これにより、着用促進が図られることになる。
以上、説明したように、請求項1〜請求項3のいずれかの衝撃吸収用の緩衝構造体によれば、単位緩衝体を構成する薄肉壁の中しんやライナによって壁式の骨組構造壁を形成することができ、前面から衝撃力を受けると、その骨組構造壁が押し潰されることによりその衝撃力を吸収しつつ、後方への衝撃力の伝達を遮断するという効率の良い緩衝機能を発揮させることができるようになる。しかも、ヒッププロテクター等に適用する緩衝構造体として、重く、硬く、嵩張るという従来の不都合を共に解消することができることになる。
特に請求項3によれば、単位緩衝体を保護対象の外側領域に添わせて配設することを、容易にかつ確実に行うことができるようになる。
又、請求項4〜請求項7の衝撃吸収用緩衝構造体を備えたヒッププロテクターによれば、ヒッププロテクターの着用者が万一転倒等して腰部外側領域に対し衝撃力が加わったとしても、その衝撃力を単位緩衝体を構成する中しんやライナ等の薄肉壁が押し潰されるという骨組構造壁の圧潰に基づく衝撃吸収機能の発揮により確実に吸収して、着用者の腰部に対する衝撃力の伝達を確実に遮断することができるようになる。これにより、転倒骨折を有効に予防することができることになる。その上に、重く、硬く、嵩張るという従来の不都合が解消されるため、特に高齢者の着用促進を図って、高齢者の転倒骨折発生を回避することができるようになる。
特に、請求項5〜請求項7のいずれかによれば、ヒッププロテクター本体をズボン、ストールあるいはウエストポーチにより構成しているため、従来の下着形の場合と異なり、それぞれの機能に基づき着用しようとする動機付けを付与して、より一層の着用促進を図ることができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る衝撃吸収用の緩衝構造体を構成する単位緩衝体を示す。この単位緩衝体2は、平面視で矩形(例えば正方形)の扁平なブロック状に形成され、図2にも示すように平面方向(図2(a)の紙面方向)に拡がる骨組と骨組み間の空間とが厚さ方向に延びるように構成される薄肉壁の骨組構造壁を備え、厚さ方向(図2(a)の紙面に直交する方向)に圧潰することにより衝撃吸収するように所定厚さの衝撃吸収代を備えたものである。
具体的には、上記単位緩衝体2は平面視で矩形の扁平ブロック(例えば縦3.5cm×横3.5cm×厚さ1cmの扁平ブロック)として形成されたものである。この単位緩衝体2の縦×横のサイズは、後述するようにヒッププロテクターの緩衝構造体として用いる場合にはその緩衝構造体を配置すべき身体腰部の大腿骨の付け根あたりの外側領域(大腿骨の大転子部分を覆う領域)をその曲面にほぼ沿って覆い得る程度であってかつ身体腰部の屈曲等の動作に支障を与えない程度に設定し、単位緩衝体2の厚さは、その厚さ方向に衝撃を受けてそれ自体が押し潰されることにより転倒時に受ける程度の衝撃力を吸収し得るように設定する。上記衝撃力としては、対象となる高齢者が不注意・よろけ等に起因して転倒した場合における加速度及びその高齢者の体重等に基づいて設定すればよい。望ましいサイズを例示すると、上記の縦(X)×横(Y)のサイズとしては3cm〜5cm×3cm〜5cmで選択される正方形もしくは長方形等であり、又、単位緩衝体2を後述の帯状細片3により構成する場合であれば上記厚さ(H)としては1cm〜1.5cmである。Hが1cmよりも小さいと衝撃吸収機能としては不足気味となり、逆に、Hが1.5cmよりも分厚くなると衝撃吸収機能が増大して過剰性能となる一方、逆に嵩張ってしまい装着感が低下すると考えられる。なお、上記の例示した数値は1mm単位の厳密な臨界値ではなくて0.5cm単位での実質的な値である。従って、0.9cmであれば本発明の衝撃吸収機能が得られない、ということではなく、又、1.6cmであれば本発明による衝撃吸収機能と装着感との両立が得られない、ということでもなく、両者共、本発明の作用効果を発揮し得る。従って、Hの最大範囲としては0.5cm〜2cm、あるいは、1cm〜2cmが挙げられる。
上記の単位緩衝体2の圧潰による衝撃吸収機能を発揮する薄肉壁の骨組構造壁を実現する上で、本実施形態では段ボールを用いた帯状細片3,3,…を用い、これを順次貼り合わせることにより扁平ブロック形状の単位緩衝体2を形成している。すなわち、まず、図3に示すように段ボール5を上記の厚さHに相当する切断幅(=H)毎に切断、つまり切断線h,h,…に沿って切断して、波状に段を付けた中しん51の波形状が繰り返される方向に延びる長い帯片3aとし、この帯片3aを長手方向に対し上記の横寸法Y毎に切断して帯状細片3,3,…を得る。ここで同図中の符号50は中しん51の段頂とライナ52との接合線を示し、この接合線に直角になるように上記切断線hが設定される。なお、上記段ボール5として、図例では上記の中しん51の両側にそれぞれライナ52を貼り合わせた両面段ボール(波形の段として例えばB段のもので段ボール厚さがほぼ3mmのもの)を用いているが、これに限らず、ライナが片面だけに貼り合わされた片面段ボールを用いてもよい。次に、形成した帯状細片3,3,…を基板4上に対して中しん51の波形状が前面(図1の上面)に露出するように基板4の端から順に隣接して平行に並ぶように貼り付けていく(図1参照)。この際、各帯状細片3の中しん51及び両ライナ52,52の板紙肉厚部分を上記基板4に接着剤により貼り付けていくことになるが、もちろん隣接する帯状細片3,3において相対向して重ね合わされるライナ52,52同士を接着剤により貼り付けるようにしてもよい。基板4を省略して所定数(例えば9本)の帯状細片3,3,…だけで単位緩衝体2を形成する場合には、上記のライナ52,52同士の貼り付けにより全体の帯状細片3,3,…を一体化するようにすればよい。
上記基板4としては形状保持性能さえあれば樹脂シート等を用いることもできるが、用済み後の廃棄処理の観点からは板紙等の紙製が望ましく、中でも例えば手芸用の紙バンド(太さ1mm程度のこより状の紙紐を12〜13本以上横一列に一体接合してベルトのように成形したもの)を所定長さ毎に切断したものを用いればよい。図1では紙バンドを用いた場合の基板4を図示している。図1及び図2では、所定数の帯状片3,3,…を基板4の上に貼り付けて保形性(形状を保持する性能)を高めた例を図示している。基板4を用いることで個々の単位緩衝体2の保形性をより高めることができると同時に、基板4にかかる衝撃力を分散することができる。なお、かかる基板4は上記単位緩衝体2を構成する上では必ずしも必須ではない。
図4は、ある衣服Tのある領域Rに対し、上記の単位緩衝体2を用いて緩衝構造を構築する手段を示している。この緩衝構造は、領域Rに対応する形状の基布6に対し、上記単位緩衝体2を収容・保持するために上記基布6の全面にわたり多数の収容部7,7,…を形成し、その収容部7,7,…の内から緩衝機能を発揮させたい領域に属する収容部7,7,…に対しそれぞれ上記単位緩衝体2を差し入れて収容させることにより構成されるものである。上記の領域Rの全体で緩衝機能を発揮させたいのであれば、領域Rに形成された収容部7,7,…の全てに単位緩衝体2を差し入れて収容させることになる。なお、以上の単位緩衝体2の差し入れの際は、基板4が衣服Tの外側に位置するように単位緩衝体2を差し入れる。又、図4では上記の領域Rの例として楕円形のものを示しているが、この領域Rの形状は自由に設定することができる。
上記の各収容部7は次のようにして形成される。上記の基布6に対し単位緩衝体2がすっぽり入る程度の深さの収容部7を碁盤の目状に配設した状態にするために、図5に示すように、先ず、基布6を深さ方向に対し幅k毎に分割したような帯布8a〜8nを用意し、次に、この帯布8a〜8nを僅かな隙間を隔てて基布6上に並列させる(図5の基布6上の一点鎖線参照)。そして、単位緩衝体2を差し入れることができる程度の横方向間隔(図4の左右方向間隔)毎に縦方向の縦縫い線9,9,…が入るようにミシン縫製し、かつ、横方向の横縫い線10,10,…が入るようにミシン縫製する。上記の幅kは、単位緩衝体2の縦(X)寸法か横(Y)寸法かよりも上記の各横縫い線10を入れるための余裕代だけ大きい位の寸法とする。以上で例えば帯布8i(図4参照)においては、縦縫い線9,9,…と、1本の横縫い線10とでそれぞれ区画されて9個の収容部7,7,…が形成されることになる。要するに、帯布8a〜8nを並べて配置した状態で格子状に縦縫い線9,9,…及び横縫い線10,10,…を入れることにより、各帯布8a〜8nの上側に開口する収容部7,7,…が領域Rを碁盤の目状に分けた状態でその略全てを覆うように形成されるようにしたものである。そして、帯布8a〜8nにより多数の収容部7,7,…が形成された基布6を衣服Tの緩衝機能を発揮させたい部位に当て、基布6の外縁部に沿って一周する外周縫い線11をミシン縫製により入れて衣服Tに取り付ける。しかる後、収容部7,7,…内に単位緩衝体2を個別に入れて収容させる。以上で、単位緩衝体2と、緩衝機能を付与すべき所定の領域Rを碁盤の目状に分割した状態でそれぞれに上記単位緩衝体2を収容し得る多数(少なくとも2以上)の収容部7,7,…とにより構成される緩衝構造が完成する。
なお、この場合の基布6を衣服Tに取り付ける手段として、上記の外周縫い線11によるものの他に、固定方式としては例えば接着による直接的な手段等、着脱可能な方式としては例えば面ファスナを用いた間接的な手段等が採り得る。又、固定方式の場合、上記の基布6を省略することもできる。例えば、帯布8a〜8nを対象の衣服Tの所定部位に対し縦縫い線9,9,…及び横縫い線10,10,…により直接に縫い付けるようにしてもよい。要するに衣服Tを構成する布地を、基布6として代用するのである。
以上の単位緩衝体2を用いた緩衝構造体によれば、単位緩衝体2が紙により形成されているため軽く、又、交換等で取り外した後の廃棄処理も容易でかつ有害物質の生成も回避することができる。しかも、単位緩衝体2が多数の微小空間を薄肉壁で囲むという骨組構造壁を備えているため、衝撃を前方から受けると(図2(b)の矢印方向参照)、各帯状細片3の中しん51やライナ52,52が押し潰されることにより、その衝撃力を吸収することができる。要するに、このようなクラッシャブル構造を採用したことにより、衝撃力を十分に吸収した上に収束させることができ、着用者もしくは装着者の身体に対する衝撃力の伝達を可及的に遮断することができる。この点、例えばポリウレタンフォーム製等の弾性を利用する緩衝体と比べ、身体の保護機能として極めて有効なものとなる。なお、上記の衝撃を前方から受けた際に、前面の基板4が衝撃を分散させた状態で後側の各帯状細片3に伝達させることになる。加えて、かかる骨組構造壁間に多数の空隙が存するため、極めて高い通気性が確保され衣服等に適用しても夏期に蒸れ等の弊害を招くこともなく、又、冬期には保温のための空気層にもなって保温性も得ることができるようになる。
しかも、単位緩衝体2を比較的小さいサイズに形成し、緩衝機能により保護したい領域Rを覆うように碁盤の目状に配置した多数の収容部7,7,…に対し個別に入れて収容させるという緩衝構造体を採用しているため、その領域Rが身体形状に対応して曲面領域であっても、確実にその曲面に沿って上記の単位緩衝体2で覆うことができ、又、上記領域Rが身体動作により屈曲運動等するものであっても、上記の単位緩衝体2をその屈曲に追随させることができる。そして、かかる単位緩衝体2が紙により形成されているため、上記のポリウレタンフォーム製パッドやプレートを緩衝体として利用するものと比べ軽く、着用者もしくは装着者に対しその重さゆえに負担になる事態を回避することができる。
さらに、各収容部7に対する単位緩衝体2の出し入れを容易に行うことができ、圧潰又は破損した単位緩衝体2を取り出して新たな単位緩衝体2を差し入れるという交換作業も容易に行うことができる。その際、単位緩衝体2自体も段ボール素材を利用して形成しているため、単位緩衝体2を安価に提供することが可能である。
<第2実施形態>
図7に、第2実施形態に係る緩衝構造体として、第1実施形態と同様の段ボール素材を用いながらも、第1実施形態の単位緩衝体2とは異なる形状・構成の単位緩衝体12を用いたものを示している。
この単位緩衝体12は、第1実施形態において段ボール5(図3参照)を所定幅(H)で切断して得た帯片3aを用いて略長方形もしくは略長円形に形成したものである。すなわち、帯片3aの一端301を始点として所定長さだけ一直線状に延ばして折返し、始点301位置まで添わせて一直線状に延ばし、始点301を巻き込むようにして折返し、以後同様にして順に外側のライナに添わせて周囲に巻き付けて行く。この巻き付けの際に、互いに接触することになる一方のライナ52と他方のライナ52とを順次互いに貼り付けていく。そして、所定の縦寸法(X1)と横寸法(Y1)のサイズになれば、帯片3aを切断して末端302とする。なお、上記の貼り付けを省略して、上記の横寸法(Y1)方向に外周囲を例えば粘着剤付きのクラフトテープ等で巻き締めるようにしてもよい。
一方、この単位緩衝体12を収容させる収容部13としては、基布14に対し帯布15をあてがい、上記の横寸法Y1よりも僅かに広い間隔毎に縦縫い線16,16,…をミシン縫製により入れ、下縁部に添って横縫い線17を同様に入れることにより形成する。これにより、隣接する2本の縦縫い線16,16と、下方の横縫い線17とにより区画されて、上方に開口する収容部13,13,…が形成される。
なお、上記の基布14を省略して、緩衝構造体を適用する衣服に対し上記帯布15を上記の縦縫い線16,16,…や横縫い線17によって直接に縫い付けるようにしてもよいし、緩衝構造体を構築する領域に応じて上記の収容部13,13,…を上下方向に2段以上にわたり形成するようにしてもよい。
以上の第2実施形態は緩衝構造体を構築する領域が、横方向の方が縦方向よりも大きく屈曲する曲面であったり、屈曲動作したりするような場合に好適に適用することができ、この第2実施形態においても第1実施形態で説明したものと同様の作用効果が得られる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る緩衝構造体として、第1実施形態と同様の段ボール素材を用いながらも、第1実施形態の単位緩衝体2又は第2実施形態の単位緩衝体12とは異なる形状・構成の単位緩衝体18を用いたものを示している。
この単位緩衝体18は、第1実施形態において段ボール5(図3参照)を所定幅(H)で切断して得た帯片3aを用いて略円形(略円盤形状)に形成したものである。すなわち、帯片3aの一端303を始点としかつ中心にして渦巻状に順次巻き込んでいき、所定の外径(W)になればそこで帯片3aを切断して末端304とする。この巻き込んでいく際に内側に位置する帯片3aの外周側ライナ52に対し外側に位置する帯片3aの内周側ライナ52を貼り付けていくことにより一体化しても、その貼り付けを省略して、上記の外径(W)まで巻き込んだ上で直径方向に粘着剤付きのクラフトテープ等を掛け渡して一体化するようにしてもよい。
一方、この単位緩衝体18を収容させる収容部19としては、基布20に対し帯布21,21をあてがい、例えば下半部を上記外径Wよりも僅かに大きい半円状に上半部の左右両側に上方に立ち上がるような縫い線22,22,…をミシン縫製により入れることにより形成すればよい。これにより、各縫い線22の内側位置に、この縫い線22により区画されて、上方に開口する収容部19,19,…が形成される。
この第3実施形態の緩衝構造体においても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、上記の基布20を省略して、緩衝構造体を適用する衣服に対し上記帯布21,21を上記の縫い線22,22,…によって直接に縫い付けるようにしてもよいし、上記の収容部19,19,…を上下方向に千鳥状に配置したり、碁盤の目状に配置したりしてもよい。
<第4実施形態>
図9又は図10は本発明による緩衝構造体を適用したヒッププロテクターとしてズボン(外着のパンツ)形に構成したものである。以下、このズボン形に構成したヒッププロテクターを緩衝機能付きズボン20,21という。この緩衝機能付きズボン20,21を構成するズボン本体20a,21aとしては、外着のズボンの他に寝間着のズボンを用いてもよい。又、特に高齢者が着用することを意図してズボン外側部分を構成する外面生地22(図9参照)として伸縮素材を用い、より動き易くなるようにしてもよい。そして、緩衝機能付きズボン20,21を構成するズボン本体20a,21aに対し、ズボン着用者の腰部の両外側領域(大腿骨の大転子部分の両外側領域)に相当する領域R1,R1に緩衝構造体を適用したものである。
具体的には、図9に示すものではズボン本体20aとは別に緩衝構造体23,23を形成し、これをズボン本体20aに取り付けるようにしたものである。すなわち、緩衝構造体23として例えば第1実施形態の緩衝構造体を適用する場合を例にして説明すると、基布6(図4,図5参照)に対し帯布8a〜8nを縦縫い線9,9,…及び横縫い線10,10…を入れて縫い付け、碁盤の目状に配設された各収容部7に対し単位緩衝体2を差し入れて収容・保持させ、その状態で外面を覆い布231で覆って緩衝構造体23を形成する。しかる後、各緩衝構造体23をズボン本体20aの所定領域を覆うように配置して、縫い付けもしくは接着等により固定的に取り付けるか、面ファスナにより着脱可能に取り付ける。
図10に示すズボン本体21aでは、図9の場合と同様の領域R1,R1を覆うようにポケット24,24を形成し、各ポケット24の内部に緩衝構造体25を取り付けたものである。この緩衝構造体25のズボン本体21aへの取り付けは、そのズボン本体21aの外面生地に対し直接に縫い付けもしくは接着等の手段により固定的に取り付けてもよいが、図10では上記各ポケット25内にさらに内ポケット26を形成し、この内ポケット26に緩衝構造体25を着脱可能に収容させている。この緩衝構造体25として第1実施形態の緩衝構造体を適用した場合を例にすると、図11(a)に示すように、基布6aの全体形状・サイズを上記内ポケット26の内空間に合致するように設定し、かかる形状の基布6aに対し帯布81,81,…をあてがって縦縫い線9,9,…と横縫い線10,10,…とで両者を縫い合わせると同時に収容部7,7,…を区画形成し、各収容部7に単位緩衝体2を収容させる。図例では、横に5個の収容部7,7,…を縦に6列形成し、合計で30個の単位緩衝体2を収容している。
又、緩衝構造体25として第2実施形態の緩衝構造体を適用した場合を例にすると、図11(b)に示すように、上記の基布6aと同様に形状・サイズを設定した基布14aに対し帯布15,15をあてがって縦縫い線16,16,…と横縫い線17,17,…とで両者を縫い合わせると同時に収容部13,13,…を区画形成し、各収容部13に単位緩衝体12を収容させる。この例であると、横に5個の収容部13,13,…が縦に2列形成され、合計で10個の単位緩衝体12が収容・保持されたものとなる。
なお、上記の緩衝構造体23又は25として、第2実施形態の緩衝構造体又は第3実施形態の緩衝構造体を適用して形成し、上記のズボン本体20a,21aに適用してもよい。
以上の緩衝機能付きズボン20,21の場合であると、緩衝構造体23,25を構成する単位緩衝体2等が紙により形成されているため、従来の合成樹脂製パッドもしくはプレートを用いた緩衝材を装着する場合よりも軽量化し得る上に、骨組構造壁の採用により多数の空隙を存するため、夏期の通気性及び冬期の保温性の確保も図り得る。このため、高齢者に対する緩衝構造体23,23又は25,25を適用した緩衝機能付きズボン20,21の着用促進を図り得ることになる。しかも、緩衝機構が薄肉壁の骨組構造壁を用いたクラッシャブル構造を採用しているため、緩衝機能付きズボン20,21の着用者が転倒した時において転倒に伴う衝撃力を確実に吸収して腰部(大腿骨の大転子)への衝撃力の伝達を抑制・遮断することができ、転倒骨折の防止を有効かつ確実に図ることができる。その上、緩衝構造体23,25にかかる衝撃吸収機能を発揮させる上で、その緩衝構造体23,25が分厚くなることを回避して1〜1.5cm程度と比較的薄肉にして嵩張らないようにし得るため、高齢者の着用促進を阻害する不都合を可及的に排除しつつも、併せて、転倒骨折防止のための衝撃吸収機能をも発揮させることができる。
<第5実施形態>
図12は本発明による緩衝構造体を適用したヒッププロテクターとして主として緩衝機能付きストール30により構成されたものであって、このストール30と、その仮保持のための手段を施したズボン31との組み合わせを示す。ズボン31としては、外着のズボンの他に寝間着のズボンも含まれる。特に、緩衝機能付きストール30に対し、昼間は外着のズボンと組み合わせ、夜間は寝間着のズボンを組み合わせるようにすることを意図している。又、上記のストール30は首に掛けた状態で両側端が腰部の外側を覆うことになる程度の長さを少なくとも有することが必須となる。この点で、ストール30に限らず、例えば、長さ方向の中央部を首に掛けた状態で両側端を下方に垂らせばその両側端がそれぞれ腰部の外側を覆うことになる程度に長いマフラーを用いて、以下の如き緩衝機能を付与するようにしてももちろんよい。要するに、「ストール」、「マフラー」もしくは「ショール」等の名称付けされているものであっても、本実施形態の構成を備えていれば、呼び名が相違するだけで本実施形態によるヒッププロテクターである。
具体的に説明すると、本実施形態のストール30は、着用者Pの首に掛けるか巻き付けた状態で両側端部301,301が着用者Pの腰部外側を覆う程度の長さと幅を有するものであり、その両側端部301,301に対し、第1実施形態の緩衝構造体、第2実施形態の緩衝構造体又は第3実施形態の緩衝構造体のいずれか1種以上を適用して形成した緩衝構造体32,32を付随させたものである。そして、緩衝構造体32,32が設けられた各端部301をズボン31の腰部外側領域に対し着脱可能に仮固定できるようにしている。仮固定の手段としては、面ファスナ33又はスナップボタン止め等を採用すればよい。例えば面ファスナ33を用いる場合には、図12に示すように緩衝構造体32,32が設けられた各端部301の裏面側に面ファスナ33の雄側・雌側の一方33aを取り付ける一方、ズボン31の腰部外側領域に面ファスナ33の雄側・雌側の他方33bを取り付けて、上記緩衝構造体32,32が設けられた各端部301をズボン31の上記所定領域に対し着脱可能に仮固定できるようにすればよい。
上記の緩衝構造体32をストール30の各端部301に設けるには、これまで説明したと同様に、固定的に設けるには縫い付けや、接着等の手段を用いればよく、着脱可能に設けるにはポケット内への収納や、面ファスナ等の手段を用いればよい。図12ではポケット内への収納を採用し、さらにファッション性や機能性を加味した例を示している。すなわち、ストール30の各端部301の表側の面に対し、ストール30形成素材か他の素材を用いて外ポケット34を形成し、その外ポケット34内にさらに1又は2以上の内ポケット35,35(図12には2つの場合を図示)を形成する。そして、各内ポケット35内に緩衝構造体32を差し入れて着脱可能に収容させている。なお、同図中の符号341は外ポケット34のフラップである。
上記緩衝構造体32については、例えば図11(a)又は図11(b)で説明した緩衝構造体25を用いればよい。
この第5実施形態の場合、上記ズボン31として外着用のズボンを用いる場合には首に掛けるか巻き付けた上記ストール30の各端部301を上記の面ファスナ33によりズボン31に仮固定するようにする。これにより、着用者Pの腰部外側領域が緩衝構造体32,32により覆われることになり、万一の転倒時に腰部外側に受ける衝撃を緩衝してその衝撃力が腰部に直接に伝達されることを回避することができる。これにより、特に大腿骨頚部における転倒骨折の発生を防止することができる。しかも、本実施形態の場合、緩衝構造体32,32をストール30に適用しているため、ファッション性に富むため、そのストール30の着用促進を図ることができ、高齢者の転倒骨折防止の促進に寄与することができるものとなる。一方、上記ズボン31として寝間着のズボンを用いる場合には、夜間において、就寝中に用便等のために布団から起き上がって便所に行く前に緩衝機能付きストール30を首に掛けて両側端部301,301を仮固定することで、冷え対策として保温に加え、転倒骨折予防対策としても有効となる。このため、着用又は装着に手間がかかると敬遠しがちとなる高齢者であっても、簡単な動作だけで着用が可能となるため、着用の促進を図ることができ、転倒骨折予防の促進を図ることができる。
<第6実施形態>
図13は本発明による緩衝構造体を適用したヒッププロテクターとして緩衝機能付きウエストポーチ形に構成した実施形態を示す。つまり、ヒッププロテクターを緩衝機能付きウエストポーチ40により構成したものである。なお、本実施形態では「ウエストポーチ」と名付けているが、同じ構成と機能を備えたものであれば、「ベルト」等の他の名称で呼ばれるものも本発明によるヒッププロテクターである。
このウエストポーチ40は、着用者Pの腰部周囲に巻回させて保持し得るベルト体41と、このベルト体41の少なくとも特定二箇所に設けたポーチ部42,42と、このポーチ部42,42のそれぞれの内部に個別に設けた緩衝構造体43とを備えている。
上記ベルト体41は好ましくはあめゴムを素材として形成したものであり、両側端411,412に仮保持のための手段として面ファスナ44の一方44aと他方44bとが設けられている。そして、図13(b)に示すように、着用者Pの腰部周囲に巻回させて両側端411,412を重ね合わせて面ファスナ44で結合させることにより着用者Pに保持させた状態で、2つのポーチ部42が着用者Pの腰部の両外側領域を覆うように上記ベルト体41に形成されている。詳しくは、着用者Pの腰部の両外側を所定領域にわたり覆い得る大きさにベルト体41自体も幅広とされた上、そこにポーチ部42を形成するためのポケット形成材421と、フラップ形成材422とが縫い込まれることにより、それぞれポーチ部42が形成されている。さらに、各ポーチ部42の内部に内ポケット45を形成し、この内ポケット45内に緩衝構造体43を差し入れて着脱可能に収納している。この内ポケット45と、内部に収容させる緩衝構造体43との位置と大きさとが着用者Pの腰部外側領域(特に大腿骨の大転子を覆う領域)を覆うように設定されている。
上記緩衝構造体43は、これまでの実施形態で説明したものと同様に、第1〜第3実施形態のいずれか1種以上の緩衝構造体を適用して構成されたものであり、例えば図11(a)又は図11(b)で説明した緩衝構造体25を用いればよい。
この実施形態の緩衝機能付きウエストポーチ40の場合、着用者Pが外出するときなどに腰部に装着することに対し何ら違和感がなく、むしろ、装着すれば、ポーチ部42,42内に小物を入れるなど使用価値が高くなるため、装着・着用の促進が図られる。そして、装着すれば、緩衝構造体43によって転倒骨折予防が図られるため、装着・着用の促進による転倒骨折予防の促進を図ることができる。
本発明の緩衝構造体(本項にては以下「本発明品」という)の衝撃吸収性能(緩衝性能)を確認するため、従来のヒッププロテクターで用いられている衝撃吸収用パッド(本項にては以下「従来品」という)との比較試験を行った。
具体的には、本発明品と、5種類の従来品1〜5とを試験対象として、主として衝撃吸収率と、最大衝撃時延長時間とについての比較を行った。
<供試体>
本発明品としては、第3実施形態の緩衝構造体18(図8参照)を採用した。詳しくは、厚み3mmの両面段ボールを切断幅1cm(緩衝構造体18の厚さに相当)で短冊状に切断した帯片3a(図3参照)を用いて外径Wが7cmになるように渦巻状に巻き込んで、供試体としての本発明品を形成した。
従来品の供試体としては、緩衝方式(衝撃吸収方式)の異なるものを用意した。すなわち、座布団方式(軟質のスポンジ状のもので外力を吸収する方式)のものとして従来品1,従来品2の2種類、ヘルメット方式(外層の硬質物質で外力を分散・拡散させる方式)のものとして従来品3,従来品4の2種類、及び、参考のためにエアーバッグ方式(エアーのクッションにより外力を吸収する方式)のものとして従来品5の1種類という5種類のものを用意した。このような従来品1〜5の詳細は次の通りである。
従来品1:「ヒッププロテクターこつこつ」(グンゼ株式会社商品名)から取り出した衝撃吸収用パッド(シリコーンゲルを用いて形成されたもの)
従来品2:「クッションパンツ」(株式会社東京エンゼル商品名)から取り出した衝撃吸収用パッド(ウレタンクッションパッド)
従来品3:「セーフヒップ」(帝三製薬株式会社商品名)から取り出した衝撃吸収用パッド(硬質ポリプロピレン製プロテクタ)
従来品4:「転ばぬ先のパンツ」(株式会社デアマイスター商品名)から取り出した衝撃吸収用パッド(外側に硬質層、内側に軟質の低反発性素材を使用)
従来品5:梱包用エアークッションを厚さ1cmにしたもの
<試験方法>
図14に示す試験装置を用いた。この試験装置は、床Fに埋め込まれた床反力計(アニマ社製床反力装置MA−800)60の上に上記の各供試体Sを載置し、この供試体Sの上に所定重量の錘61を落下させるようにしたものである。錘61はロッド62の先端に固定され、ロッド62の基端は支軸63を中心にして水平軸回りに回転するように床Fに支持されている。各供試体Sに衝突することになるロッド62の先端には直径3.5cmの半球状の衝突用のヘッド64が固定され、このヘッド64を加えた錘重量が所定値になるように上記の錘61が調整されている。又、上記錘61及びヘッド64は、ロッド62が起立した状態で床反力計60のレベル位置から80cm上の高さに位置するようにロッド62の長さが設定されている。そして、上記ロッド62を起立させた状態(図14に実線で示す状態)からロッド62を自由回転させて錘61と共にヘッド64を供試体Sに対し自由落下させて衝突させた(同図に一点鎖線で示す状態参照)。この衝突の際に、床Fに垂直方向に作用する衝撃荷重を1000回/秒の頻度(サンプリング周波数1000Hz)で測定した。この試験を、上記の従来品1〜5と本発明品とを供試体にして、1kgと3kgとの2種類の錘重量について、1の供試体につき5回ずつ実施した。
<試験結果>
1つの供試体につき5回ずつ実施して得た測定値に基づいて、次式で示す衝撃吸収率(%)と最大衝撃時延長時間との2種類の判定値を演算により求めた。
衝撃吸収率=[1−(供試体有りでの最大衝撃荷重/供試体無しでの最大衝撃荷重)]
×100
最大衝撃時延長時間=[(供試体有りで衝突させたときに最大衝撃荷重になるまでの時
間)−(供試体無しで衝突させたときに最大衝撃荷重になるまで
の時間)]
ここで、図15を用いて補足説明する。図15は、供試体無しの状態(床反力計60の上に供試体を載せない状態)でヘッド64を衝突させた場合(同図の破線参照)と、供試体有りの状態(床反力計の上に供試体を載せた状態)でヘッド64を衝突させた場合(同図の実線参照)とについて、衝撃波形(時間−衝撃荷重の関係)を示したものである。破線のピーク値(最大衝撃荷重値)と、実線のピーク値(最大衝撃荷重)との時間差が、上記の最大衝撃時延長時間を意味する。そして、両ピーク値の間の衝撃荷重値の差が供試体により衝撃が吸収された量を表し、それを比率で表したものが上記の衝撃吸収率となる。
図16(a)に本発明品と従来品1〜5とについて錘重量1kgのときにそれぞれ得られた衝撃吸収率の比較を示し、図16(b)に本発明品と従来品1〜5とについて錘重量3kgのときにそれぞれ得られた衝撃吸収率の比較を示す。各図の棒グラフは各供試体での[平均衝撃吸収率±平均誤差]を表示している。
これによれば、本発明品は、座布団方式の従来品1,2よりも衝撃吸収率が高く、しかも、ヘルメット方式の従来品3,4と有意差がなく実質的に同等の衝撃吸収率を発揮することが分かる。又、最大衝撃時延長時間については、エアーバッグ方式の従来品5を除き、座布団方式の従来品1,2、ヘルメット方式の従来品3,4、及び、本発明品との間に有意差は無かった。
なお、参考のために、図17に、錘重量が1kgの場合における本発明品(同図の実線の曲線参照)と従来品4(同図の一点鎖線曲線参照)とについての各衝撃波形を示し、図18に、錘重量が3kgの場合の本発明品(同図の実線の曲線参照)と従来品4(同図の一点鎖線曲線参照)とについての各衝撃波形を示す。
本発明の第1実施形態の緩衝構造における単位緩衝体を示す斜視図である。 図2(a)は図1の単位緩衝体の平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線における断面図である。 単位緩衝体を構成する帯状細片の形成過程を示す斜視図である。 収容部の例を示す正面図である。 図4の収容部を形成する手順を示す平面図である。 図6(a)は図4のB−B線における拡大断面説明図、図6(b)は図4のC−C線における拡大断面説明図である。 第2実施形態の緩衝構造を説明するための分解斜視図である。 第3実施形態の緩衝構造を説明するための分解斜視図である。 第4実施形態のズボン形ヒッププロテクターの斜視図である。 第4実施形態の他のズボン形ヒッププロテクターの斜視図である。 第4実施形態で用いる緩衝構造体の例を示し、図11(a)は第1実施形態のものを用いた例を、図11(b)は第2実施形態のものを用いた例を、それぞれ示す。 第5実施形態のストール形ヒッププロテクターの斜視図である。 第6実施形態のウエストポーチ形ヒッププロテクターを示し、図13(a)は展開した状態の平面図を、図13(b)は使用状態の斜視図を、それぞれ示す。 試験装置の側面説明図である。 供試体の有り・無しにおけるそれぞれの衝撃波形(時間−衝撃荷重関係)を示す図である。 衝撃吸収率についての対比結果を示し、図16(a)は錘重量が1kgの場合を、図16(b)は錘荷重が3kgの場合を、それぞれ示す。 錘荷重が1kgの場合の本発明品と従来品4との各衝撃波形を示す図である。 錘荷重が3kgの場合の本発明品と従来品4との各衝撃波形を示す図である。
符号の説明
2,12,18 単位緩衝体
3 帯状細片
3a 帯片
5 段ボール
7,13,19 収容部
20a,21a ズボン本体(ヒッププロテクター本体)
23,25,32 緩衝構造体
30 ストール(ヒッププロテクター本体)
40 ウエストポーチ(ヒッププロテクター本体)
50 接合線
51 中しん
52 ライナ
h 切断線

Claims (7)

  1. 波形の中しんとライナとが互いに貼り合わされてなる段ボールをライナと中しんの波形段頂との接合線が延びる方向に対し直角な方向に延びる互いに平行な2本の切断線により切断して帯片を形成し、さらにこの帯片を長手方向に所定長さ毎に切断して複数の帯状細片を形成し、2以上の帯状細片を上記切断線により切断された切断端面が前面に露出して平面を構成するように並列に並べて接合することにより得られる扁平ブロック状の単位緩衝体を用いてなり、
    1又は2以上の所望数の単位緩衝体が上記前面に衝撃力を受けるように保護対象の外側領域に対し添わせて配設されてなる
    ことを特徴とする衝撃吸収用の緩衝構造体。
  2. 波形の中しんとライナとが互いに貼り合わされてなる段ボールを、ライナと中しんの波形段頂との接合線が延びる方向に対し直角な方向に延びる互いに平行な2本の切断線により切断して帯片を形成し、さらにこの帯片をその一端を始点にして、上記切断線により切断された切断端面が前面に露出して平面を構成するように巻き付けて接合することにより得られる扁平ブロック状の単位緩衝体を用いてなり、
    1又は2以上の所望数の単位緩衝体が上記前面に衝撃力を受けるように保護対象の外側領域に対し添わせて配設されてなる
    ことを特徴とする衝撃吸収用の緩衝構造体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の衝撃吸収用の緩衝構造体であって、
    上記単位緩衝体が着脱可能に収容される1又は2以上の収容部を備えている、衝撃吸収用の緩衝構造体。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の衝撃吸収用の緩衝構造体が、ヒッププロテクター本体に対し、そのヒッププロテクター本体を着用した場合に着用者の腰部外側領域を覆うことになるように直接又は間接に設けられている
    ことを特徴とするヒッププロテクター
  5. 請求項4に記載のヒッププロテクターであって、
    ヒッププロテクター本体がズボンにより構成されている、ヒッププロテクター。
  6. 請求項4に記載のヒッププロテクターであって、
    ヒッププロテクター本体がストールにより構成されている、ヒッププロテクター。
  7. 請求項4に記載のヒッププロテクターであって、
    ヒッププロテクター本体がウエストポーチにより構成されている、ヒッププロテクター。
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