JP2007223586A - 自転車のクランク・アーム、その中間製品および該クランク・アームの製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】破損に対して耐性が高く、応力集中する点を有さない、中空の端部領域を有するクランク・アームの提供。
【解決手段】長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有する自転車用クランク・アームにおいて、中間部が、（ａ）構造強度を持たない内側部と、（ｂ）第１の補強構造部と、ならびに（ｃ）前記内側部と前記第１の補強構造部とに面し、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる第２の補強構造部と、を具備している自転車用クランク・アーム。このクランク・アームの中間部の前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記内側部は第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、前記第２の補強構造部は前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占めている。
【選択図】図１

Description

本発明は、自転車のクランク・アームに関する。

さらに本発明は、そのようなクランク・アームの製造に使用される中間製品およびコアに関する。さらに本発明は、上述のクランク・アームを製造するための方法に関する。

とりわけ競争用自転車についてであるが、自転車および／または自転車部品の製造者にとっての常なる要求は、自転車全体の重量を軽くすることにあり、すなわち自転車の種々の構成部品の重量を、それら構成部品の構造強度特性を確保し、可能であれば向上させつつ、可能な限り軽くすることにある。

この要件を満足するため、ポリマー材料中に組み入れられた、一方向の連続的な構造繊維、あるいは小片または小シート状で、ランダムに配置された繊維を含む複合材料から作られた自転車部品、とくにはクランク・アームが、開発されてきている。構造繊維は、実際に、クランク・アームの構造強度に大きく貢献している。

特許文献１は、２つのインサートの間に配置された、発泡ポリウレタンから作られたコアを備え、インサートとコアの周りをループ状に巻いた、一方向の構造繊維の巻束を有するクランク・アームを開示している。上記の一方向の繊維とは異なる配向を有する織成構造繊維の他の層が、クランク・アームの本体全体の周囲に巻き付けられている。
仏国特許第2 636 386号公報

本出願人は、上記特許文献１に記載のクランク・アームにおいては、曲げ、ねじり、および引張りに対する抵抗が、層の繊維が隣の層の繊維の配向と異なる配向を有している構造繊維の各層に割り当てられていることに気が付いた。結果として、繊維の種々の層が異なる剛性を有しており、ペダル漕ぎの際にクランク・アームに加わる種々の応力によって、互いに異なって変形する。このような変形の相違は、必然的に種々の層の剥離につながり、クランク・アームの使用寿命を短くする。

特許文献２は、樹脂が含浸された構造繊維の布地をエアチャンバーの周囲に巻き付け、このエアチャンバーをインサートの周囲に巻き付けて、樹脂の架橋処理およびエアチャンバーの除去の後にインサートを囲む空洞部が得られるようにした中空のクランク・アームを記載している。
米国特許第5,941,135号公報

本出願人は、上述の米国特許に記載されているクランク・アームが、その端部に応力集中の点、すなわちクランク・アームの弱点を構成する不均一な点を有することに気が付いた。そのような不連続な点は、とくには、布地のうちのインサートに貼り付く側に局在し、布地がそのような側において曲がり、他方の側で引き伸ばされるという事実によって生じる。

本出願人は、公知のクランク・アームよりも、破損に対して耐性が高いクランク・アームを提供するという課題を検討した。

さらに、本出願人は、応力集中する点を有さない、中空の端部領域を有するクランク・アームを提供するという課題を検討した。

したがって、本発明の第１の構成は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しており、前記本体が、
自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための第１の着座部を有する第１の端部、
ペダルとのカップリングのための第２の着座部を有する第２の端部、および
前記第１の端部と前記第２の端部との間を延びるとともに、構造強度を備えない内側部と、第１の補強構造部と、前記内側部と前記第１の補強構造部との間に配置された第２の補強構造部とを有しており、前記第２の補強構造部が、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる中間部を有している自転車のクランク・アームにおいて、
前記中間部は、前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記内側部が第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、前記第２の補強構造部が前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占めている断面形状を有していることを特徴とするクランク・アームである。

本発明のクランク・アームは、軽量さと構造強度との間に、優秀なバランスを有しているので好都合である。実際、第２の補強構造部が、クランク・アームのうちの動作時に最も応力にさらされる領域に配置され、残りの領域は中空であるか、あるいは構造上の能力を持たない材料から作られている。さらには、このようなクランク・アームにおいては、応力が第１の補強構造部から第２の補強構造部へとそれらの相互の接触面を介して伝達されるときに、第２の補強構造部が、クランク・アームの内側部の面において自由に変形できるので好都合である。実際、クランク・アームの内側部は構造上の能力を有していないため、第２の補強構造部と内側部との間の境界面において生じ、第２の補強構造部の変形応力と対照的に作用して、第２の補強構造部の第１の補強構造部からの分離を引き起こしうる応力が強制的に生じることがない。好都合なことに、内側部が空洞部によって形成されている場合には、強制的に生じる張力は完全にゼロになる。

第２の補強構造部は、前記直交する断面において、前記第２の補強構造部のうちの前記第１の補強構造部に面する各表面部分が、前記第２の補強構造部のうちの前記内側部に面するそれぞれの表面部分の反対側にあるように構成されているのが好ましい。

前記第２の補強構造部の繊維は、前記中間部において前記長手軸Ｘ‐Ｘにほぼ平行に延びている一方向の連続的な構造繊維であるのが好ましい。そのような繊維は、クランク・アームに引張応力に対する構造的抵抗をもたらすので好都合である。

前記第１の補強構造部の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して第１の所定の角度だけ傾けられた少なくとも１つの方向にほぼ沿って延びている一方向の連続的な構造繊維であるのが好ましい。なかでも、前記第１の所定の角度が約４５°に相当するのがさらに好ましい。本出願人は、実際に、クランク・アームに引張り、曲げ、およびねじりの応力に対する耐性を与えるために、この傾きが最適であることを確認している。

しかしながら、第１の補強構造部の繊維が、ランダムな配置を有する小片状の繊維または小シート状の繊維組織であってもよい。

前記構造繊維が、複合材料、好ましくはポリマーの複合材料に埋め込まれているのが好ましい。

クランク・アームの第１および第２の端部は、ランダムに配列されて、ポリマー材料に組み込まれている構造繊維を有する複合材料を含んでいるのが好ましい。例えば、小シート状の繊維組織または小片状の繊維の形態でランダムに配置された構造繊維は、金型内で圧力にさらされたときに流動することができ、したがって金型のキャビテイの隅まで最適に注入されて、クランク・アームの端部を形成することができるので好都合である。そのような端部は、いずれにせよ、構造繊維を含んでいる材料から作られているので、所望の構造強度特性を有している。

複合材料に含まれる構造繊維は、連続的であっても、ランダムに配置された小片であっても、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、およびこれらの組み合わせで構成されるグループから選択されるのが好ましく、なかでもカーボン繊維が最も好ましい。

複合材料に含まれるポリマー材料は、熱硬化性の材料であるのが好ましく、熱硬化性の材料がエポキシ樹脂であることがさらに好ましい。しかしながら、熱可塑性の材料の使用の可能性を排除するものではない。

クランク・アームの細長い本体が、自転車のフレームに面するように構成された第１の面と、前記第１の面と反対側の第２の面とを有しており、クランク・アームの中間部の第２の補強構造部が、前記第１の面よりも前記第２の面に近いのが好ましい。

本発明のクランク・アームの第１の実施形態においては、とくには左側のクランク・アームの場合であるが、第２の補強構造部が、前記端部の少なくとも一方にも延びており、該少なくとも一方の端部において、前記第２の面よりも前記第１の面に近い。

本発明のクランク・アームの第２の実施形態においては、とくには右側のクランク・アームの場合であるが、そのようなクランク・アームがさらに少なくとも１つの補強構造部を前記端部の少なくとも一方に有しており、この補強構造部が、該少なくとも一方の端部において、前記第１の面よりも前記第２の面に近い。

上述の両方の実施形態において、第２の補強構造部が、ペダル漕ぎの際に最も応力にさらされるクランク・アーム領域に配置されているので好都合である。そのような領域は、左側のクランク・アームにおいては、自転車のフレームに向かって面する側で、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための領域に位置するものであり、右側のクランク・アームにおいては、クランク・アームのうちの外側を向いた面である。

左側のクランク・アームの場合には、クランク・アームの端部の補強構造部は、クランク・アームの中間部の第２の補強構造部の延長部であってよい。しかしながら、クランク・アームの端部の補強構造部は、後でさらに詳しく説明するように、クランク・アームの中間部の補強構造部とは別個であるのが好ましい。

前記細長い本体の中間部の、前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記第２の補強構造部が前記内側部の高さの約半分に等しい高さを有しているのが好ましい。このようにして、第２の補強構造部がクランク・アームのうちの動作時に最も応力にさらされる部位に配置されている、中空であって軽いクランク・アームを得ることができる。

上述の内側部が、第１の空洞部を有することが好ましい。好ましさは劣るが、他の実施形態においては、内側部を、例えば発泡ポリウレタンなどといった構造的な能力を持たない材料から製作してもよい。

第２の補強構造部が、前記細長い本体に沿って長手方向に延びるとともに、前記第１および第２の端部ならびに前記中間部の周囲をループ状に巻いているのが好ましい。このようにして製作される補強構造部は、引張り荷重に対する高い耐性をクランク・アームにもたらすので好都合である。

クランク・アームの細長い本体が、前記端部の少なくとも一方に、前記第２の補強構造部の一部分のための少なくとも１つの保持部材をさらに有しているのがより好ましい。そのような保持部材は、クランク・アームの成型プロセスの際に、クランク・アームの端部において第２の補強構造部の繊維を引張りかつ所定の位置に保持するように寄与するので好都合である。したがって、とりわけ自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのためのクランク・アームの端部が存在する、ペダル漕ぎの際に最も応力にさらされる領域に、構造繊維が確実に存在するようになる。保持部材が、成型の際に、充填材料の流動によってクランク・アームの端部において繊維が曲がらないようにするのでさらに好都合である。本出願人は、実際に、構造繊維が過剰に曲げられた場合に切断しうることを確認している。したがって、曲がりが生じると、クランク・アームの本体の構造に弱点が生じると考えられる。

保持部材の厚さが、前記細長い本体中間部の内側部に面する外表面部分において、小さくなっているのが好ましい。これは、クランク・アームの軽量化された内側部を形成するように構成されたコアを、クランク・アームそのものの端部領域に近付けることができるようにし、したがって軽量化された内側部が長手方向により大きく延びているクランク・アームを得ることができるようになるので好都合である。

例えば、保持部材は、クランク・アームの端部の形成用部材に形成された雄ねじに、ねじ込まれるように構成されたリング・ナットであってよいが、他の種類のカップリングを排除するものではない。

保持部材は、仕上がりのクランク・アーム内に残存されるので、複合材料または金属合金など、軽量な材料から製作されるのが好ましい。このようにして、クランク・アームの重量が軽量に保たれる。

さらに好ましくは、保持部材が、ガラス繊維が入れられたフェノール樹脂から作られ、このガラス繊維の含有量が、好ましくは４０〜５０％に等しい。本出願人は、このようにして作られた保持部材が、優秀な性能結果ときわめて低いコストとを兼ね備えてもたらすことを確認した。

前記第１および第２の端部の少なくとも一方が、着座部に、それぞれのカップリング孔を有しているのが好ましい。

クランク・アームが、前記カップリング孔に、さらに前記端部の形成用部材のための複数の心出し要素を有しているのがさらに好ましい。

そのような心出し要素は、好ましくはクランク・アームと同じ材料から作られ、カップリング孔内の前記カップリングの着座部から片持ち式で延びているのがさらに好ましい。

クランク・アームが、前記カップリング孔周囲に広がる第２の空洞部をさらに有しているのが好ましい。カップリング孔周囲のこの空洞部は、さらに軽量化されたクランク・アームを得ることを可能にするので好都合である。

クランク・アームと自転車のボトム・ブラケット・アセンブリまたはペダルとのカップリングを可能にするように構成されたインサートが、カップリング孔に挿入されるのが好ましい。

第２の空洞部が、クランク・アームの中間部に形成された第１の空洞部の延長であるのが好ましい。しかしながら、クランク・アームの端部に形成される空洞部とクランク・アームの中間部に形成される空洞部とが、別個かつ分離していてもよいという可能性を排除するものではない。

第２の空洞部は、第１の空洞部の高さよりも小さい高さを少なくとも部分的に有しているのが好ましい。すなわち、クランク・アームが、ボトム・ブラケット・アセンブリおよびペダルとのカップリング領域において、所望の構造強度の確保に適した厚みが増した領域を有している。

しかしながら、第２の空洞部が第１の空洞部の高さに等しい高さ、またはクランク・アームの端部に形成されたそれぞれのカップリング着座部に挿入されるインサートの高さに等しい高さを有している他の実施の形態を排除するものではない。

本発明のクランク・アームの特定の実施形態においては、第１および第２の端部の両方が、それぞれの着座部の周囲に広がるそれぞれの第２の空洞部を有している。

すでに述べたように、本発明のクランク・アームは、左側のクランク・アームにも、右側のクランク・アームにも適用される。右側のクランク・アームである場合には、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための端部に、複数のスポークを有しており、これらのスポークが、クランク・アームの端部に設けられたカップリング着座部の周囲に形成された第２の空洞部から分岐するそれぞれの空洞部を有しているのが好ましい。このようにして、とくに軽量である右側クランク・アームが製作される。

クランク・アームが前記スポークにおいても確実に構造強度を有するよう、クランク・アームの中間部の第２の補強構造部を構成する一方向の繊維束が、それぞれの空洞部を巡って、スポークのプロファイルに従って、前記スポークに沿って延びているのが好ましい。

スポークの空洞部の高さは、クランク・アームの端部に形成されたカップリング着座部周囲の空洞部の高さよりも大きいのが好ましい。このようにして、クランク・アームにおいて、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための着座部の周囲に厚さの大きい領域が得られ、そのような大きな厚さが、ペダル漕ぎの際にとくに応力が加わるクランク・アームのこの領域に、所望の構造強度特性を確保する。特に、そのような領域は、外側に面する側におけるボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための領域である。

本発明のクランク・アームは、前記着座部周囲に螺旋状に巻かれた連続的構造繊維層を有しているのが好ましい。これにより、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための上述の領域において、クランク・アームの応力に対する耐性が向上する。

本発明の第２の構成は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しているコアと、第１の補強構造部と、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる第２の補強構造部と、を有している中間製品において、
前記中間製品は、完成品前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記コアが第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、
前記第２の補強構造部が、前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占めている断面形状を有することを特徴とする自転車のクランク・アームの製造のための中間製品である。

この中間製品は、本発明のクランク・アームを製造するために使用されることができ、得られるクランク・アームに関して上述した利点の達成が可能になるので好都合である。

本発明の中間製品は、クランク・アームに関して上述し、複合材料、場合により充填材料に組み込まれた一方向の構造繊維の存在、組成、および配置構成に関係しているすべての好ましい構造的特徴を、単独および／または組み合わせて、有しているのが好ましい。

前記直交する断面において、前記第２の補強構造部のうちの第１の補強構造部に面する各面部分が、該第２の補強構造部のうちのコアに面するそれぞれの面部分の反対側にあるように、第２の補強構造部が構成されているのが好ましい。

第２の補強構造部の繊維束の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘにほぼ平行に延びている一方向の連続的な構造繊維であり、第１の補強構造部の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して好ましくは４５°だけ傾けられた少なくとも１つの方向にほぼ沿って延びている一方向の連続的な構造繊維であるのが好ましい。

上述の中間製品が、コアと第２の補強構造部との間に配置された、加圧下で流動することができる充填材料の少なくとも１つの第１の層をさらに有しているのがさらに好ましい。充填材料の少なくとも１つの第２の層が、第１の補強構造部の外側において第１の補強構造部に組み合わせられるのがより好ましい。上述のように構成された中間製品に加圧成型操作を加えることによって、かかる充填材料が、クランク・アームの端部を形成する。

コアの細長い本体の対向する両長手面に、前記繊維束の繊維のそれぞれの部分のためのそれぞれの収容座が設けられているのが好ましい。

それぞれの収容座は、コアの細長い本体の側面と該側面から側面に沿って突き出す突出面によって形成されているのが好ましい。このような突出面は、中間製品がクランク・アームを製造すべく金型のキャビテイに導入されたときに、金型の加圧部材と上述の繊維束によって形成される第２の補強構造部の部位との間に位置するように設けられており、加圧部材が動かされるとき、この突出面が第２の補強構造部の部位に均一な圧力を加え、この構造部の繊維を引張られた状態に保って、充填材料の流動に起因する繊維の曲がりを防止するので好都合である。

これは、第２の補強構造部の繊維束がクランク・アームの端部の２つの形成用部材を囲んでいる場合にとくに好都合である。実際、コアの上述の突出面に押されることによって張力が生み出され、これが上述の形成用部材の対向する２つの側に充填材料が流れることによって生じる前記形成用部材における前記第２の補強構造部の繊維の曲がり、そのような曲がりは、仕上がりのクランク・アームに弱点を生じさせるが、を防止する。

クランク・アームが製造されたときに、コアを溶融によって取り除くことができるよう、コアは低い融点を有する金属材料から作られているのが好ましい。特に、低い融点を有する材料は、複合材料の架橋温度よりもわずかに高い温度で溶融できる材料である。このようにして、コアに非常に高い圧力がかけられて、複合材料および充填材料を、強力に脱気
して、最適にコンパクトにする。

ボトム・ブラケット・アセンブリおよび／またはペダルとのカップリングのための着座部周囲に空洞部を有するクランク・アームを製作したい場合には、コアが、中央本体部と、この中央本体部の両端において前記細長い本体に一体に組み合わせられた２つのリングとを具備するのが好ましい。２つのリングが、クランク・アームの端部に空洞部を生み出す一方で、コアの中央本体部は、クランク・アームの中間部の空洞部を生み出す。

前記１対のリングの中のリングが、少なくとも一部分において前記中央本体部の高さよりも小さい高さを有しているのが好ましい。そのような小さい高さのリングは、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための端部に、空洞部を生むように構成されている。このようなリングが、コアの中央本体部の高さよりも小さい高さを有することで、クランク・アームの成型の際に、保持部材によって支持された構造繊維束部分に圧力が加わることがないようにでき、そのような繊維に適正なテンションがかかるのを確保できるので好都合である。

前記リングの少なくとも一部分が、コアの中央本体部の突出面の高さよりも小さい高さを有しているのが好ましい。さらに、リングが、残りの本体部の高さよりも大きい高さを有する少なくとも１つの本体部を有してもよい。

前記１対のリングの他方のリングは、前記突出面の高さにほぼ等しい高さ、または他方のリングの高さにほぼ等しい高さを有することができる。

上述のリングは、該リングの内側に向かって延びるそれぞれの位置決め要素を有しているのが好ましい。そのような位置決め要素は、成型工程においてクランク・アーム端部の形成用インサートに当接して、コアが動かないようにするので好都合である。

好ましい実施形態において、コアは、前記２つのリングの一方に、中央孔および該中央孔から半径方向外向きに延びる複数のスポークを有している。そのようなコアは、クランク・アームのスポークが自転車のスプロケット・アセンブリの歯車を支持するために使用される右側クランク・アームの製造に好都合に使用される。

コアのスポークが、前記中央孔の位置におけるリングの高さよりも大きい高さを有しているのが好ましい。このようなコアを使用して得られるクランク・アームは、結果として、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのために、着座部周囲に厚さの大きい領域を有することになり、この厚さの大きい領域が、応力の強い集中が存在することでよく知られた領域に、高い構造強度を確保するので好都合である。

連続構造繊維からなる層が、前記中央孔の周囲に螺旋状に巻き付けられるのが好ましい。上記の構造繊維束がスポークのプロファイルに従って、スポークに沿って延びているのがさらに好ましい。このようにして、前記スポークにおいて、仕上がりのクランク・アームの構造強度が高められる。

右側クランク・アームを製作したい場合に、コアの細長い本体の側面に形成されている突出面が、コアの中央本体部の長さよりも短い長さ部分にわたって、前記軸Ｘ‐Ｘと平行に延びているのが好ましい。これは、中間部と自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための端部との間の接合領域、すなわち応力の強い集中が存在することでよく知られている領域において、クランク・アームの本体を厚くすることにつながる。

本発明の第３の構成は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有するコアにおいて、前記細長い本体が、対向する両長手面に、側面と、該側面に沿って側面から突き出す突出面とを有していることを特徴とする、中空の自転車用クランク・アームを製造するためのコアである。

上述のコアは、本発明のクランク・アームを製造するために使用されることができ、したがって、得られるクランク・アームに関する上述した利点を達成することができるので好都合である。

本発明のコアは、上述した本発明のクランク・アームを製造するために使用される中間製品のコアに関して説明したすべての好ましい構造的特徴を、個々に、かつ／または組み合わせで、具備しているのが好ましい。

本発明の第４の構成は、
クランク・アームの中間部の内側空洞部を形成するように構成され、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しているコアを用意する工程、
前記クランク・アームの両端部の２つの形成用部材を用意する工程、
前記コアと、第１の補強構造部と、前記コアと前記第１の補強構造部との間に配置され、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる第２の補強構造部とを有しており、さらに前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記コアが第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、前記第２の補強構造部が前記第１および第２の領域の間の差に等しい面の広がりを有する空間を占めている断面形状を有する中間製品を用意する工程、
前記形成用部材を、前記コアの両自由端において、前記コアと前記第２の補強構造部との間に配置して、前記中間製品に組み合わせる工程、
前記形成用部材を有する前記中間製品を、ポリマー材料を含んでおり加圧下で流動することができる少なくとも１つの充填材料の塊と一緒に、加圧部材が備えられている金型の当該クランク・アームの形状を有するキャビテイに導入する工程、
前記加圧部材に所定の圧力を加え、前記充填材料を前記キャビテイに流動させる工程、
前記金型を、前記ポリマー材料の架橋温度に相当する温度まで加熱する工程、および
前記金型を開いて形成済みのクランク・アームを取り出す工程、
を具備する自転車用のクランク・アームの製造方法である。

この方法によって、本発明のクランク・アームを好都合に製造することが可能である。

第２の補強構造部は、前記コアの対向する両長手面に形成された１対の収容座に収容されるのが好ましい。

それぞれの収容座が、前記コアの側面および側面に沿って側面から突き出す突出面によって形成されており、前記中間製品が前記金型の前記キャビテイに導入され、前記加圧部材が、前記突出面を介して前記第２の補強構造部の第１の部位に作用するのがさらに好ましい。

本発明の方法は、前記形成用部材の少なくとも一方に、前記第２の補強構造部の第２の部位のための保持部材を、前記保持部材が前記コアの前記突出面の反対側において前記第２の補強構造部に作用するように設ける工程をさらに具備しているのが好ましい。

中間製品を用意する工程が、一方向の連続構造繊維の少なくとも１つの束を、前記２つの形成用部材および前記コアの周囲にループ状に巻き付ける工程を含んでいるのが好ましい。

コアが、低い融点を有する金属材料で構成されており、本発明の方法が、前記金型を加熱する工程の後に、
前記クランク・アームの表面に少なくとも１つの孔を形成する工程、および
前記クランク・アームを前記低い融点を有する金属材料の融点まで加熱し、前記低い融点を有する金属材料を流出させることができるようにする工程
をさらに含んでいるのが、好ましい。

このようにして、コアによって占められていた空間に空洞部が得られ、所望の軽さの特徴を有するクランク・アームが製造されるので好都合である。

融点が、前記ポリマー材料の架橋温度よりも、約１℃〜約２５℃の値ΔＴだけ高いのが好ましい。さらに好ましくは、融点が、前記ポリマー材料の架橋温度よりも、約５℃に相当する値ΔＴだけ高い。

第１の補強構造部が、選択的な伸長方向に沿って延びる一方向の連続的な構造繊維を含んでおり、前記中間製品を用意する工程が、前記構造繊維の少なくとも１つの層を、前記選択的な伸長方向が前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して好ましくは約４５°に相当する所定の角度だけ傾くように配置する工程を含んでいるのが好ましい。

この方法がさらに、中間製品、および充填材料の塊を、金型のキャビテイに導入する工程の前に、または上記導入する工程の後であるが、所定の圧力を加える工程の前に、前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を予熱して、所定の予熱時間にわたって所定の予熱温度にする工程を含んでいるのが好ましい。この予熱の工程は、第１の補強構造部の複合材料、ならびに場合によってはコアおよび上述の形成用部材を巡ってループ状に巻かれた構造繊維層の複合材料を、成型の際により加工しやすいものにし、充填材料を加圧下でより容易に流動させることができるようにするために使用される。

予熱工程の各パラメータは、ポリマー成分を過度にエイジングさせることなく、均一な加熱を達成するように選択される。第１の好ましい値の範囲は、約６０℃〜約１００℃の温度によって与えられ、約５〜約７０分の時間にわたって保たれる。さらに好ましい値の範囲は、約８０℃〜約１００℃の温度によって与えられ、約５〜約６０分の時間にわたって保たれる。きわめて好ましい値の範囲は、約８５℃〜約９０℃の温度によって与えられ、約３５〜約５５分の時間にわたって保たれる。このようにして、金型に従属する予熱オーブンの数を抑えることができる。

中間製品を充填材料の少なくとも１つの塊と一緒に金型のキャビテイに導入する工程が、充填材料からなる少なくとも１つの第１の層を、コアと第１の補強構造部との間に設ける工程を含んでいるのが好ましい。

さらに充填材料の少なくとも１つの第２の層が、前記第１の補強構造の外側に導入されるのがさらに好ましい。

このようにして、金型のキャビテイ中で、充填材料の最適な分布を得ることができ、したがって構造および外観の両方の点で高い品質の最終製品を得ることができる。

上述の充填材料は、構造繊維部分、好ましくはポリマー材料に組み込まれたランダムに配置されて繊維の小片または小シートを含んでいる複合材料であるのが好ましい。

クランク・アームの成型時に加圧部材によって加えられる所定の圧力は、約５ｂａｒ〜４００ｂａｒであるのが好ましく、４０〜３００ｂａｒであるのがより好ましく、２００〜３００ｂａｒであるのがさらに好ましい。

複合材料の構造繊維（連続的でも、小片であっても）およびポリマー材料は、本発明のクランク・アームに関して上述したように選択される。

本発明のさらなる構成は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有し、前記本体が、
自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための第１の着座部を有している第１の端部、
ペダルとのカップリングのための第２の着座部を有している第２の端部、および
前記第１の端部と前記第２の端部との間を延びる中間部、
を有しており、
前記第１および第２の端部の少なくとも一方が、前記着座部に、カップリング孔および前記カップリング孔の周囲に広がる空洞部を有している自転車用クランク・アームである。

前記第１および第２の端部の少なくとも一方が、架橋前に加圧下で流動することができる架橋可能な複合材料で少なくとも部分的に作られているのが好ましい。

このようなクランク・アームは、それぞれのカップリング孔の周囲にそれぞれの空洞部が設けられている端部を有しており、そのような端部が、インサートの周囲を加圧下で流動できる架橋可能な複合充填材料を使用して、成型によって形成されると好都合である。充填材料が、応力集中点を構成しうる不均一な点、すなわち構造の弱点を生むことなく、金型のキャビテイ内に一様に分布する。

前記空洞部は、前記カップリング孔を連続的に囲んでいるのが好ましい。

このようなクランク・アームは、上述した好適な構造的特徴のすべてを有しているのが好ましい。

本発明のさらなる構成は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有し、前記細長い本体が、中央本体部と、前記中央本体部の両端において前記細長い本体に一体に組み合わせられた２つのリングと、を有していることを特徴とする、中空の自転車用クランク・アームを製造するためのコアである。

このようなコアは、上述のクランク・アームの製造に使用することが可能であり、上述した構造的特徴のすべてを有しているのが好ましい。

本発明のクランク・アームのさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ行われる本発明のいくつかの好ましい実施形態についての以下の説明（本発明を知らせるためのものであって、本発明を限定しようとするものではない）から、さらに明らかになるであろう。

図１を参照すると、本発明による自転車のクランク・アーム、とくには左側のクランク・アームの全体が、参照番号１で示されている。

クランク・アーム１は、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体２を有しており、本体２は、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリ（図示されていない）とのカップリングのための第１の着座部３８を有している第１の端部５、ペダル（図示されていない）とのカップリングのための第２の着座部３９を有している第２の端部１０、およびこのような端部５、１０の間を延びる中間部１５を有している。クランク・アーム１について、自転車に組み立てられた状態で、外側を向く前面９１と、自転車に組み立てられた状態で、当該自転車のフレームに向く後面９３とがある。

細長い本体２は、ポリマー材料に組み込まれた構造繊維を含む複合材料の単一部品として製作されている。典型的には、構造繊維は、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ボロン繊維、およびこれらの組み合わせで構成されるグループから選択されるが、なかでもカーボン繊維が好ましい。ポリマー材料は、典型的には熱硬化性の材料であるが、なかでもエポキシ樹脂を含む材料が好ましい。しかしながら、熱可塑性材料の使用の可能性を排除するものではない。

構造繊維は、異なる種類の応力に対応して異なる構造を形成するよう、細長い本体２の内に適切に配置される。

とくに、中間部１５は、実質的に構造強度を持たない内側部と、外側の補強構造部とを有している。図示されている好ましい実施形態では、内側部が空洞部２０で構成されている。

本発明によれば、外側の補強構造部は、空洞部２０の周囲に配置され、中間部１５の長さ（図１において２つの破線で大まかに定められている）を超えず、好ましくはそのような長さと等しい部分にわたって、長手方向に延びる筒状構造部３５を有している。どのような場合でも、筒状構造部３５がカップリングのための着座部３８、３９に達することはない。

筒状構造部３５の役割は、基本的には、曲げおよびねじりの応力に対して十分な耐性をもたらすことにある。

筒状構造部３５は、クランク・アーム１の製造方法に関する以下の説明でさらに明らかになるように、長手軸Ｘ‐Ｘの周囲に多数回巻き付けられる少なくとも１つの複合材料シート３６で構成されている。ここに示した好ましい実施形態においては、シート３６が、一方向の連続的な構造繊維からなる２つの層３３、３４を有しており、これらの層の構造繊維の選択的伸長方向は、それぞれ長手軸Ｘ‐Ｘに対して傾けられている（図３）。ねじりおよび曲げ応力に対する最適な耐性を確保するために、一方の層の構造繊維の選択的伸長方向が、他方の層の構造繊維の選択的伸長方向に対して約９０°傾けられ、かつそのような選択的伸長方向が、どちらも長手軸Ｘ‐Ｘに対して約４５°傾けられると好ましいことが、観察されている。

さらに、細長い本体２は、中間補強構造部を有している。ここに記載した好ましい実施形態においては、そのような中間補強構造部は、細長い本体２内を長手方向に延び、端部５、１０および中間部１５の周りをループ状に巻きつけている一方向の連続的な構造繊維の束２５で構成されている。このように、束２５は、基本的には引張荷重に耐えるという機能を有している。

中間部１５において、束２５は空洞部２０を２回横切り、空洞部２０と筒状構造部３５との間に配置されている。

上記に説明したことは、図６に示した中間部１５の断面に、詳細に見ることができる。内側から外側に向かうと、まずは空洞部２０および中間補強構造部があるが、中間補強構造部は、この断面においては、束２５の２つのブランチを有しており、空洞部２０に対してクランク・アーム１の前面９１により近く配置されている。

束２５の２つのブランチは、好ましくは空洞部２０の高さの約半分に相当する高さのほぼ矩形の断面を有している。とくに、空洞部２０は、ある面の広がりを有する第１の底部領域２０ａと、それより小さい面の広がりを有する第２の上部領域２０ｂ（これらの領域は、図４において、破線の分離線によって区分けされている）とによって形成される空間を占め、束２５の２つのブランチは、両領域、２０ａと２０ｂの差に相当する面の広がりを有する空間を占めている。

一般に、束２５の２つのブランチの断面は任意であるが、各ブランチのうちの外側補強構造部に面する面２６の各部が、たとえどのように構成されていようとも、空洞部２０、正確に言えば、一般に、中間部１５のうちの実質的に構造強度を持たない内側部に面するそれぞれの面部分２７の向かい側にあることが重要である。

中間部１５は、ほぼ矩形の断面を有しており、筒状構造部３５を形成すべく巻き付けられるシート３６の始まりおよび終わりが、図示とは異なり、断面の各辺のうちの１つの辺の中央領域に配置されているのが好ましい。実際に、本出願人は、断面の角部が応力集中点であることを見出し、破損の始点となる可能性を回避するため、シート３６の始まりおよび終わりをこれら角部から離して配置することを考えた。

外側に向かって進むと、空洞部２０と筒状構造部３５との境界に、充填材料の外側層３０および３０’がある。充填材料層は、空洞部２０と中間補強構造部２５との間および中間補強構造部と筒状構造部３５との間にも設けられるのが好ましく、したがって束２５が充填材料と接触し、筒状構造部とは接触しない。最も外側へと向かうと、最終的には、クランク・アーム１の外表面の一様性を確保する充填材料層４０が存在している。

上述の充填材料は、本出願人に係る特許文献１に記載（ここでの言及によって本明細書に取り入れられたものとする）されているように、例えば小片状の繊維または小シート状の繊維組織形態で、ポリマー材料に取り入れられている、ランダム分布の構造繊維を有する複合材料であるのが好ましい。充填材料は、詳しく後述するように、成型による製造の際にクランク・アーム１の所望箇所すべてに到達できるよう、いずれの場合も、加圧下での流動性を有していなければならない。

同じ充填材料が、端部５、１０をも形成するのが好ましい。

上述の代案として、束２５を筒状構造部３５の外側に配置することができ、あるいは筒状構造部３５のスパイラル間に組み入れてもよい。

好ましい実施形態の他の代案（図示されていない）では、空洞部２０が、カップリング用の着座部３８、３９を囲んでいる端部５、１０の一方または両方にも延びている。端部５、１０における空洞部２０の高さは、中間部１５における空洞部２０の高さと同じか、それ以下であってよい。高さの相違は、端部５、１０の一部分に関係することでよい。高さが小さい場合には、端部５、１０において、空洞部２０はクランク・アーム１の後面９３により近く形成される。

他の実施形態において、端部５、１０の一方または両方で、空洞部２０と連通していない空洞部をそれぞれ配置することが考えられる。

図４、５は、クランク・アーム１の製造に使用することができる中間製品６０の好ましい実施形態を示している。

中間製品６０は、コア４５、コア４５の周りを長手方向に延びる一方向の連続的な繊維からなる束２５、複合材料の少なくとも１つのシート３６をコア４５と束２５の周囲に軸方向に多数回巻き付けて構成されている筒状構造部３５、コア４５と筒状構造部３５の各面間に配置された充填材料の２つの層３０、３０’（図４では、一方のみを見て取ることができる）、および筒状構造部３５の外側に適用された充填材料の他の２つの層５５、５５’（図４では、一方のみを見て取ることができる）を有している。束２５が形成用部材５０、５１およびコア４５の周囲にループ状に巻き付くように、クランク・アームの両端の２つの形成用部材５０、５１が、コア４５の長手方向の両側に配置されている。

コア４５（図２）は、細長い本体４７で構成されており、この細長い本体４７の長手軸が、仕上がったクランク・アーム１の長手軸Ｘ‐Ｘとなるように構成されている。細長い本体４７は、２つの対向する長手面４７ａ、４７ｂに、束２５の２つのブランチを収容するように構成されたそれぞれの収容座４６を有している。収容座４６は、細長い本体４７の側面４８ａと、そのような側面４８ａから側面に沿って突き出している突出面４８ｂとによって形成されている。突出面４８ｂは、細長い本体４７の高さの約半分に等しい高さを有しているのが好ましい。

図７および７ａは、空洞部２０が端部５、１０にも延びているクランク・アーム１の製造にとくに適している、コア４５の他の実施形態を示している。これらの実施形態においては、コア４５は、中央の細長い本体１４５と、本体１４５の長手方向の両端に接続された２つのリング１４６および１４７とを有している。このようなリングは、形成用部材５０、５１を囲んで、仕上がりのクランク・アームにおいて、カップリング用の着座部３８、３９の周囲に空洞部を形成するように構成されている。

細長い本体１４５は、上述の実施形態の細長い本体４７と同様、２つの対向する長手面に、それぞれ側面方向に突き出す突出面１４８を有している。

リング１４６、１４７の高さは、形成用部材５０、５１の周囲に巻き付けられる束２５を成型作業の際に圧縮することがないよう、少なくとも一部分において中央の本体１４５の高さよりも小さいのが好ましい。

リング１４６、１４７の高さは、突出面１４８の高さと同じであっても、異なっていてもよい。図７の実施形態においては、詳細には、ペダルとのカップリングのための着座部３９の周囲に空洞部を形成するように構成されているリング１４６が、突出面１４８と同じ長手平面に位置する一方で、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための着座部３８の周囲に空洞部を形成するように構成されているリング１４７は、突出面１４８の平面と平行であるが距離Ｄだけずらされている平面に位置している。

一方、図７ａは、リング１４７が、厚さの異なる部位を有している実施形態（詳しくは、リング１４７の残りの部位に比べてより厚さが大きい）を示している。同様の構成が、リング１４６に存在してもよい。

リング１４６、１４７の一方または両方は、成型工程において形成用部材５０、５１を押して、コア４５が動かないようにする位置決め要素を有することができる。ここに示されている実施形態においては、位置決め要素は、リング１４６、１４７の内側に向かって半径方向に延びる一対の小さな歯１５０で構成されている。

コア４５の実施形態がいずれであっても、クランク・アーム１が形成されたときに溶融によってクランク・アーム１から取り除くことができるよう、コア１は、低い融点を有する（共晶の）金属合金、好ましくはスズ、アンチモン、および鉛から作られている。この合金は、クランク・アーム１の本体を製作するために使用される種々の複合材料中のポリマー材料の架橋温度Ｔｃにくらべ、わずかに高い融点Ｔｆを有するような組成を有している。詳しくは、以下の関係を遵守することが好ましい。
Ｔｆ＝Ｔｃ＋ΔＴ
ここで、Ｔｆは、約６５℃〜約１８５℃であり、複合材料を傷めることがないよう、いずれの場合も約２００℃を超えず、Ｔｃは、約６０℃〜約１８０℃であり、ΔＴは、約１℃〜約２５℃であるのが好ましく、約５℃が好ましい値である。

形成用部材５０、５１は、クランク・アームが形成されるときに取り除かれて、それぞれボトム・ブラケット・アセンブリおよびペダルとカップリングするためのカップリング用インサート７８および８０に置き換えられるプロファイル形成用インサートであってよく、あるいはカップリング用インサート７８、８０そのもので構成されてもよい。この後者の場合には、カップリング用インサート７８、８０は、本出願人に係る特許文献３に記載（ここでの言及によって本明細書に取り入れられたものとする）されているように、クランク・アームと一緒に成型される。
欧州特許出願第05425576.5号 （特開2007−76638号公報）

形成用部材５０、５１の一方または両方が、保持部材６３に組み合わせられ、結果として保持部材６３が、クランク・アームの成型の際に、コア４５の突出面４８ｂ（または、１４８）に対する反対側で、束２５に作用する。保持部材６３として、例えば形成用部材５０、５１に形成された外側のねじ山６５にねじ込まれるリング・ナットまたはワッシャを使用することができるが、他の種類のカップリングの可能性を排除するものではない。図４の実施形態においては、保持部材６３が、厚さの薄い外側表面部６４を有して、コア４５に面している。このような構成の利点は、コア４５をよりインサート５０の方に近づけることができる点にある。

図１に示したクランク・アームのように、左側のクランク・アームの場合には、クランク・アームの最大応力の領域は、フレームに向かって面する側のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための領域である。この理由のため、保持部材６３がこの領域において束２５を保持する一方で、中間部１５においては、コアの突出面４８ｂ（または、１４８）に押されて束２５は反対側に配置される。実際に、本発明によって製造される左側クランク・アームにおいては、クランク・アームの中間部１５から自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための端部５へと進む束２５が、ほぼＳ字形の配置構成を有している。

保持部材６３は、仕上がったクランク・アーム内に残存したままになるのが好ましく、このため、軽量であることが望ましく、したがって、クランク・アームの他の部分の製造のための複合材料から選択されるタイプの複合材料から作られるか、あるいはアルミニウム合金などの金属合金から作られるのが好ましい。４０〜５０％のガラス繊維が入れられたフェノール樹脂から作られたリング・ナットが、顕著な低コストを伴って、優秀な性能結果をもたらすことが、見出されている。

図８は、図１０において参照番号２００で示されている右側クランク・アームの製造にとくに適している、第１の端部５に歯車の支持スポーク２７０を有しているコア４５の実施形態を示している。

この実施形態において、コア４５は細長い本体２４５を有しており、本体２４５の一端は、仕上がったクランク・アームの支持スポークにそれぞれ空洞部を形成するように構成された４本のスポーク２７０を備える星形状２６０をしている。

細長い本体２４５は、２つの対向する長手側面から側面に沿って突き出す突出面２４８を有している。しかしながら、すでに説明した左側クランク・アーム１の製造のためのコア４５の実施形態と異なり、突出面２４８は、細長い本体２４５の全長にわたっては延在しておらず、星状の部位２６０と接合するよりも前に中断されている。これにより、仕上がったクランク・アームの複合材料製の本体を、応力の集中が存在することでよく知られた接合部において厚くすることができる。

スポーク２７０は、形成用部材５０（図９）の通過を可能にするような直径の孔２６６を中心として、放射状に突き出している。孔２６６の周囲２６５の高さは、スポーク２７０および細長い本体２４５の高さよりも小さい。詳しくは、孔２６６の周囲２６５の前面２６８が、細長い本体２４５およびスポーク２７０の前面２６９、２６９’それぞれに対して、ずらされた平面に位置して、凹部２６５を形成している。凹部２６５は、仕上がったクランク・アーム２００の前面２９１において、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリング用インサート７８の挿入のための着座部２９２の周囲に厚い領域２９０を作り出すという目的を有している。したがって、仕上がったクランク・アームのスポークは、着座部２９２の周囲の空洞部の高さよりも大きな高さの空洞部をそれぞれ有するであろう。

図８ａは、図８のコア４５の好ましい実施形態を示している。このコアは、中央の孔２６６の周囲２６５に結合されて、中央の孔２６６の内側に向かって半径方向に延びる４つの心出し要素２７１を有しているというただ１つの点で、図８に示したコアとは相違している。詳しくは、心出し要素２７１は、中央の孔２６６の内側に向かって半径方向に延びる、それぞれ厚くされた周囲領域２７２において、中央の孔２６６の周囲２６５に結合されている。

このような心出し要素２７１は、クランク・アームの他の部分の製造について記載したような複合材料から選択されるタイプの複合材料から作られるので好都合である。例えば、４０〜５０％のガラス繊維が入れられたフェノール樹脂、またはアルミニウム合金などの金属合金から製作することができる。心出し要素２７１は、仕上がったクランク・アームでは、その一部を構成するという意味で、その機能は消えてなくなる。心出し要素２７１の機能は、クランク・アームの成型時に形成用部材を中央の孔２６６の内側の中心位置に保つと同時に、コアがそのような形成用部材に当接することがないようにすることにある（右側クランク・アームでは、類似の機能が保持要素６３によって実行される）。実際、典型的には、クランク・アームの端部の形成用インサートは、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとカップリングするように構成されるクランク・アームの端部に製作されるカップリング用の着座部の孔に雌ねじを作成するために、対応する雄ねじを有している。このようなねじ山にコアが当接することがあると、仕上がったクランク・アームに形成されるねじ山に不連続な領域が生まれることにつながる。一方で、心出し要素２７１がクランク・アームと同じ材料から製作されるという事実は、成型時に、心出し要素２７１が仕上がりのクランク・アームを構成する他の材料と同様に挙動することを確保し、自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための着座部の連続的かつ一様なプロファイルの形成に寄与する。

図８ｂによりよく示されているように、それぞれの心出し要素２７１は、ほぼ円柱形の本体部２７３およびほぼ円錐台形の本体部２７４を有している。心出し要素２７１は、中央の孔２６６の周囲２６５のそれぞれの厚くされた領域２７２に、それぞれの円柱形の本体部２７３を介して結合され、円錐台形の本体部２７４は、中央の孔２６６の内側に片持ち梁のように延びている。円錐台形の本体部２７４を介して周囲２６５と結合することで、そのような結合領域における微細な割れまたは微細な欠けゆえに、心出し要素２７１がそれぞれの着座部２７２から滑り出る可能性をなくすことができるので、好都合である。このような滑りは、クランク・アーム内に自由に動く固形物が存在することにつながり、結果としてペダル漕ぎの際に雑音を発することになる。

図８ａに示した実施形態においては、４つの心出し要素２７１が、互いに９０°離れて配置されて使用されている。他の実施形態においては、３つの中心出し要素が１２０°離れて使用され、あるいは２つの心出し要素が、長手軸Ｘ‐Ｘに対して対称に配置され、コア４５の細長い本体２４５に最も近い半円に位置している。

図９は、特に、仕上がりのクランク・アームにおいて中間補強構造部を形成するように構成された一方向の連続的な構造繊維束が、右側クランク・アーム２００の製造用の中間製品を形成するために、どのようにコア４５に取り付けられるのが好ましいかを示している。詳しくは、第１の束２２５が、形成用部材５１の周囲を巡り、突出面２４８によって支持され、スポーク２７０の形状に従うようにコア４５を巡って巻き付けられ、第２の束２８５が、孔２６６の周囲に螺旋状に巻かれて凹部２６５に収容されている。あるいは、螺旋を束２２５の一部から構成してもよい。

右側クランク・アームの場合には、形成用部材５０に組み合わせられる保持部材６３は余分であり、省略することができる。実際、星状の構成のため、成型時に充填材料が形成用部材５０の周囲を放射状に流れるため、左側クランク・アーム１の成型時に典型的に生じうる束２２５および２８５の曲がりを生じることがないことが、明らかになっている。

右側クランク・アームの端部に保持部材が存在しないことで、クランク・アームの成型時にコア４５の突出面１４８、２４８に押されて、束２５が、まさに右側クランク・アームの最大応力の領域（実際に、ボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための領域の外側向きの面に位置する）において、クランク・アームの細長い本体の全長にわたって外側向きの面に配置される。図１０に示されている、スパイラル状に巻かれた束２８５も、こちら側に配置されるので好都合である。

次に、とくに図３、４、および１０を参照して、本発明によるクランク・アームの製造方法の好ましい実施形態を説明する。この方法の各工程を、とくに左側クランク・アーム１に関して例示するが、説明される内容は、実質的な変更を必要とせずに右側クランク・アーム２００の製造にも適用可能である。

この方法の第１工程において、仕上がりのクランク・アームにおいて得たい空洞部２０に対応する形状のコア４５が用意される。

次いで、仕上がりのクランク・アームの端部５、１０に、カップリング用の着座部３８、３９を形成するための２つの形成用部材５０、５１が用意される。

次いで、中間製品６０が形成される（図３および４）。

一方向の連続的な構造繊維の束２５が、収容座４６中で、コア４５を巡り、コア４５の長手方向の両端に配置された形成用部材５０、５１を巡ってループ状に巻き付けられる。充填材料層３０、３０’がコア４５に載せられ、この上にシート３６が、層３３、３４の一方向の連続的な構造繊維の選択的伸長方向がコア４５の長手軸Ｘ‐Ｘに対して約４５°の角度を形成するように巻き付けられる（図３）。次いで、充填材料層５０、５５’が、巻き付けられたシート３６の外側に適用される。

当業者であれば、どのような配置構成を取っても、充填材料層３０、３０’、５５、５５’は、圧力にさらされたときに、金型７０中のクランク・アーム１の端部５および１０が形成される領域に向かって流れる目的を有していることに気付くであろう。また、種々の可能性の中でもとりわけ、必要とされる充填材料を、前記領域に層として配置するのではなく、塊として設けることもできる。

この方法の次の工程において、複合材料中のポリマー材料を加圧下で流動できるようにするに充分なように、このようにして得られた中間製品６０が予熱され、所定の予熱時間にわたって所定の予熱温度とされる。中間製品を均一に加熱するための充分な時間にわたって、約８０℃〜約１００℃の予熱温度に中間製品６０を保つのが好ましい。最も外側の複合材料の層が過剰にエイジングされるよりも前に、コアがそのような温度に達することができるよう、約８５℃〜約９０℃の値に、約３５〜約５５分の時間にわたって保たれるのがさらに好ましい。

中間製品６０が、充分に高温であるときに、得ようとするクランク・アーム１の形状を有し、所定の加圧方向Ｐの加圧部材７２を有している金型７０（図１１）のキャビテイに導入される。詳しくは、束２５が仕上がりのクランク・アームの後面９３よりも前面９１に近くなり、コア４５の突出面４８が加圧方向Ｐにおいて束２５と加圧部材７２との間に配置されるやり方で、中間製品６０が導入される。保持部材６３（存在する場合）は、方向Ｐの加圧に対抗して束２５を保持するようなやり方で配置される。２つの形成用部材５０、５１は、孔７５に適用されるねじによって金型７０の底部に固定されるのが好ましい。

上述の代案として、中間製品６０を金型７０内で直接予熱してもよい。

この方法の続く工程において、約５〜約３５０ｂａｒの圧力が、加圧部材７２によって加えられる。好ましくは、加えられる圧力は、材料のコンパクト化およびガス抜きを促進するため、上記範囲の上方の領域にあるように選択される。詳しくは、好ましい圧力の値が、約５ｂａｒ〜約４００ｂａｒであり、より好ましくは約４０ｂａｒ〜約３００ｂａｒであり、さらに好ましくは約２００ｂａｒ〜約３００ｂａｒである。加えられる圧力により、充填材料は、クランク・アーム１の端部領域５、１０に相当する領域を満たすまで流動する。充填材料の流動の際、束２５は、コア４５の突出面４８によって加えられる圧力により、保持部材６３によって支えられて引張り下に保たれ、このようにして曲げが防止される。

成型工程が終了したとき、金型７０は充分な時間にわたって、クランク・アーム１を形成している複合材料中に存在するポリマー材料の架橋温度Ｔｃに相当する温度に保持される。

この方法の次の工程において、仕上がったクランク・アーム１が金型７０から取り出される。

続く冷却工程の後、自転車のフレームの方を向く後面９１において、束２５を横切ることがないように注意を払いつつ、クランク・アーム１に１つ以上の孔６１を形成するのが好ましい。孔６１が後面９３に位置し、前面９１に位置しているわけではないことを厳密に強調するために、図１において孔６１は破線で描かれている。次いで、クランク・アームがコア４５の融点Ｔｆまで加熱され、したがってコア４５が溶融して孔６１から流れ出て、空の空洞部２０が残される。

オプションではあるが、所定の温度の油による空洞部２０の洗浄が、内壁に付着して残る可能性がある溶融残留物を除去して、それらがクランク・アームの使用時に脱離して望ましくない雑音を生じることがないようにするために行われる。

次いで、フェノール樹脂のキャップを適用することによって、孔６１が閉じられるのが好ましい。

本発明による左側クランク・アームの部分断面斜視図である。 図１のクランク・アームを製造するためのコアの斜視図である。 図１のクランク・アームを製造するための中間製品の好ましい実施形態の準備工程を説明する斜視図である。 図１のクランク・アームを製造するための中間製品の好ましい実施形態の斜視図である。 図４の中間製品の線Ｖ‐Ｖに沿った断面図である。 図１のクランク・アームの線ＶＩ‐ＶＩに沿った断面図である。 図２のコアの他の実施形態の斜視図である。 図２のコアの他の実施形態の斜視図である。 本発明による右側クランク・アームを製造するためのコアの斜視図である。 図８のコアの好ましい実施形態の平面図である。 図８ａのコアの細部を示す説明図である。 本発明による右側クランク・アームを製造するための中間製品の好ましい実施形態の準備工程を説明する斜視図である。 図８のコアにて製作された右側クランク・アームの縦断面図である。 キャビテイ内に図４の中間製品を有している、図１のクランク・アームを製造するための金型の断面図である。

符号の説明

１ クランク・アーム
２ 細長い本体
５ 第１の端部
１０ 第２の端部
１５ 中間部
２０ 空洞部
２０ａ 第１底部領域
２０ｂ 第２上部領域
２５ 連続的構造繊維束
３５ 筒状構造
３６ 複合材料シート
３８ 第１着座部
３９ 第２着座部
４５ コア
４８ａ 側面
４８ｂ 突出面
５０ 形成用部材
５１ 形成用部材
６０ 中間製品
７０ 金型
７２ 加圧部材
１４５ コアの細長い本体
１４６ リング
１４７ リング

Claims (79)

1. 長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しており、前記本体が、
   自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための第１の着座部を有する第１の端部、
   ペダルとのカップリングのための第２の着座部を有する第２の端部、および
   前記第１の端部と前記第２の端部との間を延びるとともに、構造強度を備えない内側部と、第１の補強構造部と、前記内側部と前記第１の補強構造部との間に配置された第２の補強構造部とを有しており、前記第２の補強構造部が、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる中間部、
   を有している自転車のクランク・アームにおいて、
   前記中間部は、前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記内側部が、第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、前記第２の補強構造部が、前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占める断面形状を有していることを特徴とするクランク・アーム。
2. 請求項１において、前記第２の補強構造部が、前記直交する断面において、前記第２の補強構造部のうちの前記第１の補強構造部に面する各表面部分が、前記第２の補強構造部のうちの前記内側部に面するそれぞれの表面部分の反対側にあるように構成されているクランク・アーム。
3. 請求項１または２において、前記第２の補強構造部の繊維が、前記中間部において、前記長手軸Ｘ‐Ｘにほぼ平行に延びている一方向の連続的な構造繊維であるクランク・アーム。
4. 請求項１〜３の何れか一項において、前記第１の補強構造部の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して第１の所定の角度だけ傾けられた少なくとも１つの方向にほぼ沿って延びている一方向の連続的な構造繊維であるクランク・アーム。
5. 請求項４において、前記第１の所定の角度が約４５°に相当するクランク・アーム。
6. 請求項１〜３の何れか一項において、前記第１の補強構造部の繊維が、ランダムな配置を有する構造繊維であるクランク・アーム。
7. 請求項６において、前記構造繊維が、小片状の繊維または小シート状の繊維組織を含んでいるクランク・アーム。
8. 請求項１〜７の何れか一項において、前記構造繊維が複合材料に埋め込まれているクランク・アーム。
9. 請求項１〜８の何れか一項において、前記細長い本体が、自転車のフレームに面するように構成された第１の面、および前記第１の面と反対側の第２の面を有しており、前記第２の補強構造部が、前記第１の面よりも前記第２の面に近いクランク・アーム。
10. 請求項９において、前記第２の補強構造部が、前記端部の少なくとも一方に延びており、前記少なくとも一方の端部において、前記第２の補強構造部が、前記第２の面よりも前記第１の面に近いクランク・アーム。
11. 請求項９において、さらに少なくとも１つの補強構造部を、前記端部の少なくとも一方に有しており、前記少なくとも一方の端部において、前記補強構造部が、前記第１の面よりも前記第２の面に近いクランク・アーム。
12. 請求項１１において、前記補強構造部が、前記第２の補強構造部の延長であるクランク・アーム。
13. 請求項１１において、前記補強構造部が、前記第２の補強構造部とは別個であるクランク・アーム。
14. 請求項１〜１３の何れか一項において、前記細長い本体の前記中間部は、前記第２の補強構造部が前記内側部の高さの約半分に相当する高さを有する、前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面形状を有しているクランク・アーム。
15. 請求項１〜１４の何れか一項において、前記内側部には、第１の空洞部が形成されているクランク・アーム。
16. 請求項１〜１５の何れか一項において、前記第１および第２の端部が、ポリマー材料に組み入れられた、ランダムに配置された構造繊維を含む複合材料から構成されるクランク・アーム。
17. 請求項１〜１６の何れか一項において、前記構造繊維が、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、およびこれらの組み合わせで構成されるグループから選択されるクランク・アーム。
18. 請求項８〜１７の何れか一項において、前記複合材料が、熱硬化性のポリマー材料であるクランク・アーム。
19. 請求項１〜１８の何れか一項において、前記第２の補強構造部が、前記細長い本体に沿って長手方向に延びるとともに、前記第１および第２の端部ならびに前記中間部の周囲をループ状に巻いているクランク・アーム。
20. 請求項１９において、前記細長い本体が、前記端部の少なくとも一方に、前記第２の補強構造部の一部分のための少なくとも１つの保持部材をさらに有しているクランク・アーム。
21. 請求項２０において、前記少なくとも１つの保持部材が、前記細長い本体の前記中間部の前記内側部に面する外表面部分において、小さい厚さを有しているクランク・アーム。
22. 請求項２０または２１において、前記少なくとも１つの保持部材が、リング・ナットを含んでいるクランク・アーム。
23. 請求項２０〜２２の何れか一項において、前記少なくとも１つの保持部材が、複合材料および金属合金のいずれかで作られているクランク・アーム。
24. 請求項２３において、前記少なくとも１つの保持部材が、ガラス繊維が入れられたフェノール樹脂で作られているクランク・アーム。
25. 請求項２４において、前記フェノール樹脂中の前記ガラス繊維の含有量が、４０〜５０％に相当するクランク・アーム。
26. 請求項１〜２５の何れか一項において、前記第１および第２の端部の少なくとも一方が、前記着座部に、それぞれのカップリング孔を有しているクランク・アーム。
27. 請求項２６において、前記カップリング孔に、前記端部の形成用部材のための複数の心出し要素をさらに有しているクランク・アーム。
28. 請求項２７において、前記心出し要素が、前記クランク・アームと同じ材料から作られているクランク・アーム。
29. 請求項２７または２８において、前記心出し要素が、前記カップリング孔の内側の前記カップリング着座部から片持ち式で延びているクランク・アーム。
30. 請求項２６〜２９の何れか一項において、前記カップリング孔の周りに広がる第２の空洞部をさらに有しているクランク・アーム。
31. 請求項２６〜３０の何れか一項において、前記カップリング孔に挿入されたインサートを有しているクランク・アーム。
32. 請求項１〜３１の何れか一項において、右側のクランク・アームであって、前記第１の端部に複数のスポークを有しているクランク・アーム。
33. 請求項２６〜３１の何れか一項に従属する請求項３２において、前記スポークが、前記インサートの周囲に形成された前記第２の空洞部から分岐するそれぞれの空洞部を有しているクランク・アーム。
34. 請求項３３において、前記構造繊維の束が、前記それぞれの空洞部の周りを前記スポークに沿って延びているクランク・アーム。
35. 長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しているコアと、第１の補強構造部と、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる第２の補強構造部と、を有している中間製品において、
    前記中間製品は、前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記コアが第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、
    前記第２の補強構造部が、前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占める断面形状を有していることを特徴とする自転車のクランク・アームの製造のための中間製品。
36. 請求項３５において、前記第２の補強構造部が、前記直交する断面において、前記第２の補強構造部のうちの前記第１の補強構造部に面する各表面部分が、前記第２の補強構造部のうちの前記コアに面するそれぞれの表面部分の反対側にあるように構成されている中間製品。
37. 請求項３６において、前記第２の補強構造部の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘにほぼ平行に延びている一方向の連続的な構造繊維である中間製品。
38. 請求項３６または３７において、前記第１の補強構造部の繊維が、前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して第１の所定の角度だけ傾けられた少なくとも１つの方向にほぼ沿って延びている一方向の連続的な構造繊維である中間製品。
39. 請求項３８において、前記第１の所定の角度が約４５°に相当する中間製品。
40. 請求項３６〜３９の何れか一項において、前記コアの前記細長い本体は、対向する両長手面を有し、前記長手面には、前記第２の補強構造部のそれぞれの部分のためのそれぞれの収容座が設けられている中間製品。
41. 請求項３５〜４０の何れか一項において、クランク・アームが製造されたときに、前記コアを溶融によって取り除くことができるよう、前記コアは、低い融点を有する金属材料から作られている中間製品。
42. 中空の自転車用クランク・アームを製造するため、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しているコアにおいて、
    前記細長い本体は、対向する両長手面に、側面および前記側面から側方向に突き出す突出面を有していることを特徴とするコア。
43. 請求項４２において、中央本体部および前記中央本体部の両端において前記細長い本体に一体に組み合わせられた２つのリングを有しているコア。
44. 請求項４３において、前記１対のリングの中の1つのリングが、少なくとも一部分において前記中央本体部の高さよりも小さい高さを有しているコア。
45. 請求項４４において、前記リングの少なくとも一部分が、前記突出面の高さよりも小さい高さを有しているコア。
46. 請求項４５において、前記１対のリングの他方のリングが、前記突出面の高さにほぼ等しい高さを有しているコア。
47. 請求項４３〜４６の何れか一項において、前記１対のリングのうちの少なくとも一方のリングが、リングの残りの部分よりも大きい高さを有するリングの少なくとも一部分を有しているコア。
48. クランク・アームの中間部の内側空洞部を形成するように構成された、長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しているコアを用意する工程、
    前記クランク・アームの両端部の２つの形成用部材を用意する工程、
    前記コアと、第１の補強構造部と、前記コアと前記第１の補強構造部との間に配置され、第１の配向を少なくとも部分的に有している構造繊維の少なくとも１つの束を含んでいる第２の補強構造部とを有しており、さらに前記長手軸Ｘ‐Ｘに直交する断面において、前記コアが第１の面の広がりを有する第１の領域と第２の面の広がりを有する第２の領域とによって形成される空間を占め、前記第２の補強構造部が前記第１および第２の領域の間の差に相当する面の広がりを有する空間を占めている断面形状を有している中間製品を用意する工程、
    前記形成用部材を、前記コアの両自由端において、前記コアと前記第２の補強構造部との間に配置して、前記中間製品に組み合わせる工程、
    前記形成用部材を有する前記中間製品を、ポリマー材料を含んでおり加圧下で流動することができる少なくとも１つの充填材料の塊と一緒に、加圧部材が備えられている金型の前記クランク・アームの形状を有するキャビテイに導入する工程、
    前記加圧部材に所定の圧力を加え、前記充填材料を前記キャビテイ内に流動させる工程、
    前記金型を、前記ポリマー材料の架橋温度に相当する温度まで加熱する工程、および
    前記金型を開いて形成されたクランク・アームを取り出す工程、
    を具備している、自転車用のクランク・アームの製造方法。
49. 請求項４８において、前記第２の補強構造部が、前記コアの対向する両長手面に形成された１対の収容座に収容される方法。
50. 請求項４９において、それぞれの収容座が、前記コアの側面と前記側面から側面に沿って突き出す突出面とによって形成されており、前記中間製品が、前記金型の前記キャビテイに導入され、前記加圧部材が前記突出面を介して前記第２の補強構造部の第１の部位に作用する方法。
51. 請求項５０において、前記形成用部材の少なくとも一方に、前記第２の補強構造部の第２の部位のための保持部材を設け、前記保持部材が前記コアの前記突出面の反対側において前記第２の補強構造部に作用する工程をさらに有している方法。
52. 請求項４８〜５１の何れか一項において、前記中間製品を用意する工程が、一方向の連続的な構造繊維の少なくとも１つの束を、前記２つの形成用部材および前記コアの周囲にループ状に巻き付ける工程を含んでいる方法。
53. 請求項４８〜５２の何れか一項において、前記コアが、低い融点を有する金属材料で構成されており、
    前記方法が、前記金型を加熱する工程の後に、
    前記クランク・アームの表面に少なくとも１つの孔を形成する工程、および
    前記クランク・アームを前記低い融点を有する金属材料の融点まで加熱し、前記低い融点を有する金属材料を流出させることができるようにする工程をさらに含んでいる方法。
54. 請求項４８〜５３の何れか一項において、前記第１の補強構造部が、選択的な伸長方向に沿って延びる一方向の連続的な構造繊維を含んでおり、前記中間製品を用意する工程が、前記構造繊維の少なくとも１つの層を、前記選択的な伸長方向が前記長手軸Ｘ‐Ｘに対して所定の角度だけ傾けられるように配置する工程を含んでいる方法。
55. 請求項５４において、前記所定の角度が約４５°に相当する方法。
56. 請求項４８〜５５の何れか一項において、前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を金型のキャビテイに導入する工程の前、または前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を金型のキャビテイに導入する工程の後かつ前記所定の圧力を加える工程の前に、
    前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を予熱して、所定の予熱時間にわたって所定の予熱温度にする工程を含んでいる方法。
57. 請求項４８〜５６の何れか一項において、前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を金型のキャビテイに導入する工程が、前記充填材料の少なくとも１つの第１の層を、前記コアと前記第１の補強構造部との間に設ける工程を含んでいる方法。
58. 請求項５７において、前記中間製品および前記少なくとも１つの充填材料の塊を金型のキャビテイに導入する工程が、前記充填材料の少なくとも１つの第２の層を、前記第１の補強構造部の外側に設ける工程を含んでいる方法。
59. 長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有しており、前記本体が、
    自転車のボトム・ブラケット・アセンブリとのカップリングのための第１の着座部を有する第１の端部、
    ペダルとのカップリングのための第２の着座部を有する第２の端部、および
    前記第１の端部と前記第２の端部との間を延びる中間部を有しており、
    前記第１および第２の端部の少なくとも一方が、前記着座部に、カップリング孔および前記カップリング孔の周りに空洞部を有している自転車用クランク・アーム。
60. 請求項５９において、前記第１および第２の端部の前記少なくとも一方が、架橋前に加圧下で流動することができる、架橋可能な複合材料で少なくとも部分的に作られているクランク・アーム。
61. 請求項５９または６０において、前記空洞部が、前記カップリング孔を連続的に囲んでいるクランク・アーム。
62. 請求項５９または６０において、前記空洞部が、前記中間部に延在しているクランク・アーム。
63. 請求項６２において、前記空洞部が、前記第１および第２の端部の前記少なくとも一方において、前記中間部における前記空洞部の高さよりも小さい高さを少なくとも部分的に有しているクランク・アーム。
64. 請求項５９〜６３の何れか一項において、前記第１および第２の端部の両方が、それぞれのカップリング孔の周囲に広がるそれぞれの空洞部を有しているクランク・アーム。
65. 請求項６２に従属する請求項６４において、前記空洞部が、前記第１および第２の端部の一方において、前記中間部における前記空洞部の高さよりも小さい高さを少なくとも部分的に有しており、前記第１および第２の端部の他方において、前記中間部における前記空洞部の高さに相当する高さを有しているクランク・アーム。
66. 請求項６３〜６５の何れか一項において、前記小さい高さの空洞部が、前記第１の端部に形成されているクランク・アーム。
67. 請求項５９〜６６の何れか一項において、前記クランク・アームが、右側のクランク・アームであって、前記第１の端部に複数のスポークを有しているクランク・アーム。
68. 請求項６７において、前記スポークが、前記インサートの周囲に形成された前記空洞部から分岐するそれぞれの空洞部を有しているクランク・アーム。
69. 請求項６８において、前記スポークの前記空洞部の高さが、前記カップリング孔の周囲の前記空洞部の高さよりも大きいクランク・アーム。
70. 請求項５９〜６９の何れか一項において、前記カップリング孔の周囲に螺旋状に巻き付けられた、連続的な構造繊維からなる層を有しているクランク・アーム。
71. 請求項７０において、前記構造繊維の束が、それぞれの空洞部の周りに、前記スポークに沿って延びているクランク・アーム。
72. 請求項５９〜７１の何れか一項において、前記カップリング孔に挿入されたインサートを有しているクランク・アーム。
73. 長手軸Ｘ‐Ｘに沿って延びる細長い本体を有するコアにおいて、前記細長い本体が、中央本体部および前記中央本体部の両端において前記細長い本体に一体に組み合わせられた２つのリングを有していることを特徴とする、中空の自転車用クランク・アームを製造するためのコア。
74. 請求項７３において、前記１対のリングにおける1つのリングは、少なくとも一部分において前記中央本体部の高さよりも小さい高さを有しているコア。
75. 請求項７３または７４において、前記１対のリングのうちの少なくとも一方のリングの少なくとも一部分は、リングの残りの部分の高さよりも大きい高さを有するコア。
76. 請求項７３〜７５の何れか一項において、前記リングが、前記リングの内側に向かって半径方向に延びるそれぞれの位置決め要素を有しているコア。
77. 請求項７３〜７６の何れか一項において、前記２つのリングの一方が、中央孔と前記中央孔から半径方向外向きに延びる複数のスポークとを有しているコア。
78. 請求項７７において、前記スポークが、前記リングの高さよりも大きい高さを有しているコア。
79. 請求項７３〜７８の何れか一項において、前記細長い本体が、対向する両長手面に、側面と前記側面から側面に沿って突き出す突出面とを有しており、前記突出面は、前記中央本体部の長さよりも短い長さを有する部分にわたって、前記軸Ｘ‐Ｘと平行に延びているコア。

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