JP2007216282A - セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Yasunobu Shigemori
康伸 重森
Masao Kamata
政男 鎌田
Rikiya Takayama
力也 高山
Daisuke Watanabe
大祐 渡邊
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Abstract

【課題】 溶接作業性が良好で溶接欠陥がなく、さらに溶接金属性能が優れたセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、BaF2:7.5〜9.6%、金属AlまたはAl合金のAl換算値:1.5〜2.5%、金属MgまたはMg合金のMg換算値:1.0〜2.0%、LiF:0.20〜0.90%、Ni:0.4〜2.8%、アルカリ土類金属の複合酸化物:2.5〜4.5%含有し、さらに、フラックスおよび外皮成分の合計で、C:0.08〜0.20%(但し外皮成分としてC:0.06〜0.15%含む)、Si:0.10%以下、Mn:0.7〜2.0%を含有し、Al23:0.30%以下、MgO:0.30%以下で、残部は主に鋼製外皮およびフラックスのFeおよび不可避的不純物からなり、ワイヤ断面に継目が無いことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軟鋼、490〜590N/mm2級高張力鋼および低温用鋼などの溶接構造物を製造する際に使用するセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに係り、溶接作業性が良好で溶接欠陥がなく、さらに溶接金属性能が優れたセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの大きな特徴は、フラックス中に弗素化合物または炭酸化合物等のガス発生剤を大量に含むことにより、溶接中に溶融池をシールドガスにより大気から遮断する必要がないという点にある。ガスシールドアーク溶接方法のようにガスの供給や配管、ボンベの交換や運搬等が必要でない上、溶接装置構造もシンプルで持ち運びも容易である。
また、セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、溶接中に、ジュール熱によってワイヤ中のフラックスが分解してシールド性ガスを発生して溶融池が大気から保護されるため、ガスシールドアーク溶接方法に比べて強い耐風性を有する。これにより、ガスシールドアーク溶接方法では使用制限を受ける屋外のように風による影響を受け易い作業環境下での溶接も耐風処理を必要とせず、簡易に行うことができる。
しかし、セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、シールドガスを使用する通常のガスシールドアーク溶接用ワイヤに比べ、溶接作業性が悪く、さらに得られた溶接金属の靭性も低い。そのため、例えば特開平5−393号公報(特許文献1)、特開平10−180487号公報(特許文献2)、特開2000−301382号公報(特許文献3)および特開2002−321089号公報(特許文献4)などに記載されているように、溶接作業性や機械的性能を改善する技術の開示がある。
一方、セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、ガス発生剤を大量にフラックス中に含有させる必要があり、フラックス充填率は必然的に高くなるため、ワイヤ径が1.8〜2.2mmの細径のものは、ワイヤ断面形状として複雑な折り込み形状とすることが難しく、図1(a)に示すような単純な突合せ折り込み形状を採用しなければならず、前述の技術のみではワイヤの吸湿によるガス溝等の溶接欠陥やワイヤ継目部分からのフラックス溢れによる溶接作業性の劣化およびスラグ巻込み等の溶接欠陥が発生するなどの問題があった。
特開平5−393号公報 特開平10−180487号公報 特開2000−301382号公報 特開2002−321089号公報
本発明は、溶接作業性が良好で溶接欠陥がなく、さらに溶接金属性能が優れたセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨とするところは、鋼製外皮内にフラックスを充填してなるセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、BaF2:7.5〜9.6%、金属AlまたはAl合金のAl換算値:1.5〜2.5%、金属MgまたはMg合金のMg換算値:1.0〜2.0%、LiF:0.20〜0.90%、Ni:0.4〜2.8%、アルカリ土類金属の複合酸化物:2.5〜4.5%含有し、さらに、フラックスおよび外皮成分の合計で、C:0.08〜0.20%(但し外皮成分としてC:0.06〜0.15%含む)、Si:0.10%以下、Mn:0.7〜2.0%を含有し、Al23:0.30%以下、MgO:0.30%以下で、残部は主に鋼製外皮およびフラックスのFeおよび不可避的不純物からなり、ワイヤ断面に継目が無いことを特徴とする。また、ワイヤ中の水分量が、350ppm以下であることも特徴とするセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
本発明のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、全姿勢溶接での溶接作業性が良好で溶接欠陥がなく、さらに溶接金属性能が優れた溶接部が得られるセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供できる。
以下に、本発明のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの成分限定理由を述べる。
BaF2:7.5〜9.6質量%(以下、%という。)
BaF2は、主としてガス発生剤やスラグ生成剤、アーク安定剤として作用するほか、スラグの粘性を高めてメタル垂れ性を向上させる作用を有する。しかし、BaF2が7.5%未満では、ガス発生量が不十分となりシールド性が劣化してブローホールが生じるほか、アークが不安定となりスラグ生成量およびスラグ粘性が不足し、立向上進溶接や上向溶接におけるメタル垂れ性が劣化する。一方、BaF2が9.6%を超えると、ガス発生量が過剰となりガス気流の乱れによる大気巻込みが誘発されるほか、スラグ生成量が過多となり、スラグ剥離性が不良でスラグ巻込み等の溶接欠陥が生じる。したがって、BaF2は、7.5〜9.6%とする。
金属AlまたはAl合金のAl換算値:1.5〜2.5%
Alは、脱酸剤、窒素固定剤として作用するほか、溶融金属の粘性を適度に高め、立向上進溶接におけるメタル垂れ性を向上させる作用を有する。Al換算値が1.5%未満では、溶接金属での窒素固定が不十分となりピットおよびブローホールが多発するほか、立向上進溶接においてメタル垂れ性が劣化する。一方、Al換算値が2.5%を超えると、溶着金属中にフェライトフォーマーであるAlが大量に残存し、フェライト粒を粗大化させるため、靭性が著しく劣化する。したがって、金属AlまたはAl合金のAl換算値は、1.5〜2.5%とする。なお、Al合金は、Fe−Al、Al−Li、Ni−Alなどを用いることができる。
金属MgまたはMg合金のMg換算値:1.0〜2.0%
Mgは、脱酸剤として機能するほか、アークの吹き付け力を強めたり、高温のアーク中において金属蒸気となってシールド性を高めたりする作用を有する。しかし、金属MgまたはMg合金のMg換算値が1.0%未満では、アークの吹き付け力が弱く、またシールド性が不十分となり、ピットやブローホールが発生する。一方、Mg換算値が2.0%を超えると、過剰なアークの吹き付け力によって溶融地が乱れるためスパッタの発生量が増加する。したがって、金属MgまたはMg合金のMg換算値は、1.0〜2.0%とする。なお、Mg合金は、Fe−Mg、Ni−Mg、Li−Mgなどを用いることができる。
LiF:0.20〜0.90%
LiFは、ガス発生剤として機能し、大気雰囲気からのシールド性を高めるほか、溶融スラグの融点および粘性を下げ、スラグ被抱性を高める作用を有する。しかし、LiFが0.20%未満では、シールド効果が不十分で、ピットやブローホールが発生するほか、スラグ被包性も不十分でビード外観も不良となる。一方、LiFが0.90%を超えると、スラグの粘性が極端に低下し、立向上進溶接や上向溶接におけるメタル垂れ性が劣化し、溶接が不可能となる。したがって、LiFは、0.20〜0.90%とする。
Ni:0.4〜2.8%
Niは、オーステナイト安定元素の1つであり、δフェライトの残存を抑制して組織微細効果を促進し、溶接金属の靭性を高める効果を有する。しかし、Niが0.4%未満では、δフェライトの残存を抑制する効果が不十分であり、十分な靭性を確保することができない。一方、Niが2.8%を超えると、溶接金属の強度が過大となり、逆に靭性が低下するほか、溶融金属の粘性が下がりメタル垂れ性が劣化する。したがって、Niは、0.4〜2.8%とする。
アルカリ土類金属の複合酸化物:2.5〜4.5%
アルカリ土類金属の複合酸化物は、AlやMg等の強脱酸剤によって過剰に脱酸された溶接金属に酸素を供給し、溶融金属の粘性を下げ、ビードの外観および光沢を改善すると共に、スラグ被抱性を高める作用を有する。しかし、アルカリ土類金属の複合酸化物が2.5%未満では、酸素供給量として不十分であるためその効果が発揮されない。一方、アルカリ土類金属の複合酸化物が4.5%を超えると、酸素供給量が過剰となり、溶融金属の粘性が低下し溶融池が乱れるためスパッタ発生量が増加するとともにビード外観が不良となる。したがって、アルカリ土類金属の複合酸化物は、2.5〜4.5%とする。
なお、アルカリ土類金属の複合酸化物とは、CaZrO3、CaAl24、SrFe24、SrFe1219、SrO・6Fe23をいう。また、必要に応じてCaO、SrOなどの酸化物を添加しても良い。
フラックスおよび外皮の合計のC:0.08〜0.20%(但し外皮成分としてC:0.06〜0.15%含む)
Cは、脱酸剤として機能するほか、その脱酸反応で生成されるCOまたはCO2は大気雰囲気からのシールド性を高めたり、アークの吹き付け力を高めたり、溶滴の粘性を下げ懸垂溶滴の離脱をスムーズにする作用を有する。しかし、Cが0.08%未満では、シールド性が不足し、ピットおよびブローホールの発生が助長されるほか、アークの吹き付け力が低下しアークの安定性を欠く。一方、Cが0.20%を超えると、Cによる脱酸反応が過剰となりCO、CO2が大量に発生し溶融池を著しく乱し、さらにアークの集中性が高まってアークが強くなりすぎるため、スパッタ発生量が増加する。
また、溶接金属の強度が過大となり靭性が劣化する。さらに、前述の通りCには溶滴の粘性を下げて離脱をスムーズにする働きがあるが、フラックスからCを添加した場合は、溶融した外皮にCが固溶して初めて溶滴の粘性を下げるといった2次的プロセスを辿るのに対して、外皮からCを添加した場合は、溶融した外皮に直接影響することとなるので、溶滴移行がよりスムーズになる。しかしながら、外皮成分としてのCが0.06%未満では、その効果が認められずスパッタ発生量が多くなり、0.15%を超えると外皮硬度が高くなり、製造面で伸線性に問題が生ずる。したがって、フラックスおよび外皮の合計のCは、0.08〜0.20%とし、この内外皮のCは、0.06〜0.15%とする。
フラックスおよび外皮の合計のSi:0.10%以下
Siは、0.01%以上含有させることによって脱酸剤として機能するほか、溶融金属の粘性を高め、メタル垂れ性を向上させる作用を有する。しかし、Siが0.10%を超えると、溶融金属の粘性が高まり、ワイヤ先端の懸垂溶滴が離脱し難くなり溶滴移行が劣化し、大粒のスパッタ発生量が増加する。したがって、フラックスおよび外皮の合計のSiは、0.10%以下とする。
フラックスおよび外皮の合計のMn:0.7〜2.0%
Mnは、脱酸剤として機能し、溶接金属の強度や靭性を高める効果を有する。しかし、Mnが0.7%未満では、溶接金属の強度および靭性が不十分である。一方、Mnが2.0%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎ、靭性も低下する。したがって、フラックスおよび外皮の合計のMnは、0.7〜2.0%とする。
Al23:0.30%以下
Al23が0.30%を超えると、溶融金属の粘性が高くなり過ぎ、溶滴の離脱し難くなり、アークの安定性が損なわれる。したがって、Al23は、0.30%以下とする MgO:0.30%以下
MgOが、0.30%を超えると、アークが荒くなり大粒のスパッタ発生量が増加するほか、スラグの凝固速度が速まり溶融池の露出が極端に少なくなり、凝固したスラグを溶融させながら溶接することになるため、溶接自体の安定性が損なわれる。したがって、MgOは、0.30%以下とする。
ワイヤ断面形状:継目無し
図1(a)に示すようにワイヤ断面形状に継目がある場合、ワイヤ開封後、継目部分から充填フラックスが吸湿し、気孔発生の原因となるほか、溶接金属の拡散性水素量が増加して低温割れが発生するという問題がある。また、臨海での継手組立作業が主となるセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの使用環境下では、ワイヤ吸湿の影響が顕著となる。そのため、セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤワイヤを使用する場合、吸湿したフラックスをジュール熱によって蒸発させるために、ワイヤ突き出し長さを長く保つことが一般的である。
しかし、ワイヤ突き出し長さを長くすると、継目部分からのフラックスが溢れるといった問題のほか、狭開先内でのワイヤターゲット性が問題となるため、従来、セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤワイヤを用いた溶接は、高い溶接技能が求められてきた。ここで、断面形状を図1(b)に示す継目無しにすることによって、ワイヤの吸湿や継目部分からのフラックス溢れを防止することができるほか、狭開先内でのワイヤターゲット性も改善することが可能となるなど、溶接性能や溶接作業性を向上することができる。したがって、ワイヤ断面形状は、継目無しとする。
ワイヤ中の水分量:350ppm以下
ワイヤ中の水分量は、ピットやガス溝等の気孔による溶接欠陥の原因となるほか、溶接金属の拡散性水素量の増加による低温割れ等といった溶接欠陥の原因ともなる。ワイヤ中の水分量が350ppmを超えると、その悪影響が顕著になる。したがって、ワイヤ中に含まれる水分量は350ppm以下とする。
以上、本発明のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの構成要件の成分限定理由を述べたが、その他のワイヤ成分としては、Ti、B、Zr、Cu、Mo、Crなどの合金剤および脱酸剤の単体またはそれらの合金を含有することができ、残部は主に外皮およびフラックス中のFeと不可避不純物である。
本発明のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、フラックス充填後の伸線加工性が良好な軟鋼または低合金鋼の外皮内に、前記限定した成分のフラックスをワイヤ全質量に対して15〜24%程度充填後、孔ダイス伸線やローラ圧延加工により所定のワイヤ径(1.8〜2.2mm)に縮径して製造されるものである。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
各成分の軟鋼外皮(C:0.03〜0.16%、Si:0.01〜0.05%、Mn:0.25〜0.51%)内に、フラックス充填率15〜24%の範囲でフラックスを充填後、縮径したのち(外皮の歪除去および脱水素のための中間焼鈍を1回実施)、ワイヤ径2.0mmの鋼製外皮に貫通した隙間がない継目無しのセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを各種試作した。表1にそれぞれの試作ワイヤの詳細を示す。試作後防湿袋で保管し、開封直後のワイヤ水分量と開封後1ヵ月後のワイヤ水分量を測定した。その結果も表1に示す。
Figure 2007216282
表1に示す試作ワイヤの防湿袋を開封して1ヶ月大気中で保管したワイヤを、T字すみ肉試験体(鋼板板厚:12mm、長さ:350mm)を用いて、水平すみ肉溶接、立向上進溶接および上向溶接について半自動溶接での溶接作業性を確認した。また、JIS Z 3313に準ずる溶着金属試験を行い、溶接作業性、X線透過試験により溶接欠陥の有無および溶着金属中央部から衝撃試験片を採取して吸収エネルギーを調査した。さらに、JIS Z 3318に準じて拡散性水素量測定を行った。表2にこれらの溶接条件を示す。なお、溶接速度は溶接姿勢に応じて5〜15cm/minとした。
Figure 2007216282
各試験ワイヤにつき、各溶接姿勢で溶接状況(アークの安定性、スパッタ)、耐気孔性、耐スラグ巻込み性、スラグ被包性、スラグ剥離性、ビード外観を調査し、溶着金属試験板から溶接金属の0℃における吸収エネルギーを、さらに拡散性水素量を評価した。表3に溶接試験結果をまとめて示す。
Figure 2007216282
各試験の評価基準についての説明を以下に記す。
溶接状況は○:アークが安定し大粒のスパッタ発生量が少ない、△:アークがやや不安定で大粒のスパッタ量が若干増える、×:アークが不安定で大粒のスパッタ量が非常に多い、を示す。
耐気孔性および耐スラグ巻込み性は、○:X線等級1級以上、×:X線等級2級以下、を示す。スラグ被包性は○:良好、△:所々、被包むらが生じる、×:全線で被包むらが生じる、を示す。
スラグ剥離性は○:良好、△:除去しにくい、×:非常に除去しにくい、を示す。
ビード外観は○:良好、△:やや不良、×:不良(使用不可)を示す。
また、吸収エネルギーは0℃で47J以上を良好とし、拡散性水素量は7ml/100g以下を良好とした。総合評価は、○:良好、×:不良、を示す。
表1および表3中ワイヤ記号W1〜W5は本発明例、ワイヤ記号W6〜W22は比較例である。本発明例であるワイヤ記号W1〜W5は、ワイヤの成分組成が適量でワイヤ断面に継目が無いので、各姿勢溶接ともアークの安定性に優れ、スパッタ発生量が少なく、耐気孔性、耐スラグ巻込み性、スラグ被包性、スラグ剥離性およびビード外観のいずれも良好で、溶着金属試験での吸収エネルギーも良好であった。さらに、ワイヤ水分量および拡散性水素量も少なく極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤ記号W6は、BaF2が少ないので、各姿勢溶接ともアークの安定性およびシールド性が劣りブローホールが発生した。また、スラグ量が不足してスラグ被包性およびスラグ剥離性も不十分で上向姿勢においてビードが凸状となり、ビード外観が不良となった。さらに、Al換算値が多いので、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W7は、BaF2が多いので、各姿勢溶接ともビード重なり部分でのスラグ剥離性が困難で、ビード外観も不良となった。また、溶着金属試験ではスラグ巻込み欠陥が発生した。
ワイヤ記号W8は、Al換算値が少ないので、溶接金属での窒素固定が不十分となり、溶着金属試験で窒素によるブローホールが多発した。また、溶融金属の粘性も不足し、立向上進溶接におけるメタル垂れ性も劣化してビード外観がやや不良となった。
ワイヤ記号W9は、Mg換算値が少ないので、各姿勢溶接ともアークの吹き付け力が弱く、アークが若干不安定で、Mg金属蒸気によるシールド効果が不十分で溶着金属試験ではピットおよびブローホールが多発し、ビード外観が不良となった。
ワイヤ記号W10は、Mg換算値が多いので、各姿勢溶接ともアークの吹き付け力が強くなり過ぎ、スパッタが大量に発生し、ビード外観もやや不良となった。
ワイヤ記号W11は、LiFが少ないので、各姿勢溶接ともシールド効果が不足しピットおよびブローホールが発生し、スラグの粘性も高くスラグ被包にムラが生じ、ビード外観も不良となった。また、Niが少ないので、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W12は、LiFが多いので、立向上進および上向溶接においてスラグの粘性が低下し、メタル垂れ性が劣化して溶接が不安定で、溶接ビードが凸状となりビード外観が不良となった。
ワイヤ記号W13は、Niが多いので、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。また、立向上進および上向溶接で溶融金属の粘性が下がりメタル垂れ性が劣化し、ビードが凸状になりビード外観がやや不良となった。
ワイヤ記号W14は、アルカリ土類金属複合酸化物が少ないので、各姿勢溶接ともスラグ被包性が不十分で、溶融金属の酸素量が不足してビード止端部の馴染み性も悪くビード外観が不良となった。また、Mnが少ないで、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W15は、アルカリ土類金属複合酸化物が多いので、各姿勢溶接とも溶融金属への酸素供給量が過剰となり、溶融金属の粘性が著しく低下して溶融池が乱れスパッタ発生量が多く、ビード外観がやや不良となった。
ワイヤ記号W16は、フラックスと外皮の合計Cが少ないので、各姿勢溶接ともアークの吹き付け力が弱くアークの安定性が悪く、シールド性も不十分となりピットが発生し、ビード外観が不良となった。
ワイヤ記号W17は、フラックスと外皮の合計Cが多いので、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。また、各姿勢溶接ともアークの吹き付け力が過剰となり溶融地が乱れスパッタ発生量が多くなり、ビード外観がやや不良となった。さらに、外皮のC添加量が多いため、製造面での加工性も不良であった。
ワイヤ記号W18は、外皮のC添加量が少ないので、各姿勢溶接とも溶滴移行が劣化し溶滴が粗大で、大粒のスパッタが発生して、ビードがやや不良となった。
ワイヤ記号W19は、Siが多いので、各姿勢溶接とも溶融金属の粘性が高くなり溶滴移行が劣化したため、大粒のスパッタが発生して、ビードがやや不良となった。
ワイヤ記号W20は、Al23が高いので、各姿勢溶接とも溶融金属の粘性が高く溶滴移行が劣化し、アークの安定性が損なわれ、ビード外観がやや不良となった。また、Mnが多いので、溶着金属試験での吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号W21は、MgOが多いので、各姿勢溶接ともアークが荒くなり大粒のスパッタ発生量が増加し、ビード外観もやや不良となった。
ワイヤ記号W22は、ワイヤ断面に継目を有するもので、ワイヤ水分量が多く、各姿勢溶接ともピットおよびガス溝が生じた。また、溶接時にワイヤ先端部が振れてターゲット性が悪くビード外観が不良であった。さらに、拡散性水素量も高かった。
セルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤのワイヤ断面形状を示した模式図である。
符号の説明
1 鉄鋼外皮
2 内包フラックス


特許出願人 日鐵住金溶接工業株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1名

Claims (2)

  1. 鋼製外皮内にフラックスを充填してなるセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックスに、BaF2:7.5〜9.6%、金属AlまたはAl合金のAl換算値で1.5〜2.5%、金属MgまたはMg合金のMg換算値で1.0〜2.0%、LiF:0.20〜0.90%、Ni:0.4〜2.8%、アルカリ土類金属の複合酸化物:2.5〜4.5%を含有し、さらに、フラックスおよび外皮成分の合計で、C:0.08〜0.20%(但し外皮成分としてC:0.06〜0.15%含む)、Si:0.10%以下、Mn:0.7〜2.0%を含有し、Al23:0.30%以下、MgO:0.30%以下で、残部は主に鋼製外皮およびフラックスのFeおよび不可避的不純物からなり、ワイヤ断面に継目が無いことを特徴とするセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ中の水分量が、350ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のセルフシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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