JP2007214400A - 赤外線検出素子 - Google Patents

赤外線検出素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2007214400A
JP2007214400A JP2006033259A JP2006033259A JP2007214400A JP 2007214400 A JP2007214400 A JP 2007214400A JP 2006033259 A JP2006033259 A JP 2006033259A JP 2006033259 A JP2006033259 A JP 2006033259A JP 2007214400 A JP2007214400 A JP 2007214400A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
infrared
substrate
spot connection
gravity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006033259A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4779686B2 (ja
Inventor
Yoshimi Ota
最実 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006033259A priority Critical patent/JP4779686B2/ja
Publication of JP2007214400A publication Critical patent/JP2007214400A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4779686B2 publication Critical patent/JP4779686B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)

Abstract

【課題】外力に対する剛性が高く、かつ、赤外線検出感度が良好な赤外線検出素子を実現する。
【解決手段】赤外線を吸収した赤外線吸収部3の温度の検出手段をそれぞれに内蔵する少なくとも3本の梁2を、基板1の少なくとも3つの冷点接続部4それぞれから、赤外線吸収部3上の少なくとも1つの温点接続部5に当接させることにより、赤外線吸収部3を基板1から離隔して支え、さらに、各冷点接続部4を基板1の一直線上に配置せずに、かつ、梁2それぞれをあらかじめ定めた傾斜角度で基板1から斜めに立設させる。また、各冷点接続部4を基板1上で正多角形の頂点に配置し、梁2それぞれの軸線が、温点接続部5の1点で、または、温点接続部5を通って延長した1点で、結んだ交点と冷点接続部4とで正多角錐の頂点を形成させるようにしても良い。さらに、冷点接続部4が配置される正多角形の頂点の重心が、基板1の重心と一致させても良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線検出素子に関し、特に、機械的強度の向上、検出感度の向上を可能とする赤外線検出素子に関する。
熱型の赤外線検出素子では、赤外線吸収体を有した薄膜(受光部)にて赤外線を吸収し、一旦、吸収した赤外線を熱に変換した後、受光部と基板との温度差による抵抗変化や起電力などの電気信号に変換して赤外線検出信号の出力として取り出す焦電型、サーモパイル型と呼ばれるものがある。ここで、この受光部と基板との温度差の検出感度を高めるための従来技術として、特許文献1に示す特開平06−137943号公報「熱型赤外線センサ」に記載のような技術が用いられていた。
該特許文献1の技術は、受光部と基板との熱的な分離を行うために、受光部の周辺部を窒化膜で支えるようにして、受光部と基板との間に中空構造を設けるようにすることにより、赤外線受光による受光部の温度上昇幅を大きくして、赤外線センサとしての感度を上昇させようとするものである。
特開平06−137943号公報
ところが、このような従来技術では、窒化膜という上下方向の外力に対する剛性が弱い薄い膜によって受光部の周辺部を支えて、中央部が中空状態という構造とされている。このため、受光部の中央部が撓んだり、振動したりといった具合に、機械的な変形が必然的に発生してしまう。この受光部の中央部の変形が大きくなると、受光部が基板に接触したりすることによって、赤外線の受光により受光部で発生していた熱に拡散が生じて、赤外線検出感度が劣化し、さらには、外部の振動の影響によって、検出感度のバラツキが発生したり、ひいては、共振を起こして、赤外線検出素子が破壊してしまうといった問題点があった。
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、外力に対する剛性が高く、かつ、赤外線検出感度が良好な赤外線検出素子を実現することを目的としている。
本発明は、前述の課題を解決するために、赤外線吸収部と基板との間を離隔して形成させるために、温度検出手段をそれぞれに内蔵した3本以上の梁をあらかじめ定めた傾斜角度を持って斜めに基板から立設して、赤外線吸収部に当接させるとともに、3本以上の梁が立設される冷点接続部を基板上で一直線上に並ぶことがない位置に配置することを特徴としている。
本発明の赤外線検出素子によれば、赤外線吸収部(受光部)と基板との間を離隔して形成させるために、温度検出手段をそれぞれに内蔵した3本以上の梁をあらかじめ定めた傾斜角度を持って斜めに基板から立設して、赤外線吸収部に当接させるとともに、3本以上の梁が立設される冷点接続部を基板上で一直線上に並ぶことがない位置に配置することとしているので、以下のごとき効果を奏することができる。
すなわち、基板に対して上下方向の外力が加わった場合には、構造上、梁の曲げや捻りに比べて、最も変形しにくい梁の長手方向の軸方向に力が掛かることになるので、梁の変形が生じることがなく、赤外線吸収部(受光部)と基板との間の位置関係をほぼそのまま維持することが出来る。一方、基板平面に平行に外力が加わった場合であっても、梁を一直線上に配置していないので、いずれの方向に対しても、変形を抑制することが出来る。その結果、変形がほとんどなく、剛性が高い赤外線検出素子を実現することが出来、かつ、温度検出手段を内蔵した針を斜めに立設させているので、梁の長さに応じて検出感度の向上も図ることが可能となる。
以下に、本発明による赤外線検出素子の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明による赤外線検出素子の構造について、その一例を説明する。図1は、本発明による赤外線検出素子の構造の一例を示す模式図である。図1(A)が、本発明による赤外線検出素子10を斜め上から眺めた斜視図であり、図1(B)が、本発明による赤外線検出素子10を赤外線吸収部(受光部)3の上方向から眺めた平面図であり、図1(C)が、本発明による赤外線検出素子10を図1(B)の平面のM−M’面で切断した際の断面形状を示す断面図である。
以下、図1にしたがって、本実施形態における赤外線検出素子10の構造について詳細に説明する。
図1(A)の斜視図に示すように、赤外線検出素子10は、Siなどからなる基板1の上に、温度検出部であるサーモパイルを内蔵し、高さ方向にあらかじめ定めた傾斜角度で斜めに立設した複数(図1の例では4本)の直方体形状の梁2を形成している。さらに、これらの複数の梁2の上部が当接する位置に赤外線を受光して吸収する赤外線吸収部3を形成し、赤外線吸収部3を複数の梁2で支える構成とされている。ここで、基板1と梁2との接合部分を冷点接続部4、赤外線吸収部3と梁2との接合部分を温点接続部5と称する。
かくのごとく、赤外線吸収部3は、梁2によって支えられて、基板1から離隔した中空構造を形成しており、基板1とは熱的に分離された構造とされている。さらに、赤外線吸収部3上における温点接続部5と基板1上における冷点接続部4とが、正多角錐(図1の例では正四角錘)の各頂点を形成するような構造とされている。ここで、基板1上の冷点接続部4により形成される多角形の重心位置(すなわち、図1の場合、基板1上の冷点接続部4により形成される正多角形の重心位置)は、基板1の重心位置と一致するように配置されており、更に剛性を高めた構造とされている。
また、図1(B)に示すように、直方体形状の4本の梁2は、その延長線が互いに直交するような位置に配置されており、梁2それぞれが正四角錘の辺を形成するように、それぞれの角度が90°の等間隔とされて向き合った状態に配置されることになる。なお、一般に、複数の梁2を配置している場合には、正多角錐を形成するように、それぞれの配置角度が等間隔に配置された状態になっている。
また、M−M’面の断面形状を示す図1(C)の断面図に示すように、直方体形状の4本の梁2は、正四角錘の辺を形成しているので、梁2と赤外線吸収部3の鉛直方向の直線となす角度は、すべて角度θとして一定とされている。
このような構造を有する赤外線検出素子10の効果について、次の図2を用いて説明する。図2は、図1に示す赤外線検出素子10への外力に対する作用を説明するための説明図であり、図1(C)の断面図を用いて説明している。
一般に、中空構造を有する赤外線検出素子では、外部から衝撃や加速度が加わった場合に、必然的に曲げや撓みといった変形を伴う。特に、半導体微細加工を用いた構造物の場合、基板の高さ方向は、一般に薄く、せいぜい数μmの高さであり、基板の平面方向に比べて十分に薄い構造とされている。これは、赤外線検出素子が、基板垂直方向について、変形しやすい、つまり、弱い構造であることを示している。
しかし、本発明による赤外線検出素子10においては、図2に示すように、基板1上にあらかじめ定めた傾斜角度θを持って斜めに立設させた梁2は、直方体形状を成しており、当該梁2の厚さ(数μm)に比べて、十分に長い寸法(数十μm以上)とされている。さらに、赤外線検出素子10では、図1に示したように、傾きを持つ4本の梁2が、正四角錘を形成するので、基板1の上下方向に対して、衝撃、加速度、振動などの外力が加わった場合であっても、図2の反力ベクトルに示すように、梁2には、曲げやねじりではなく、軸方向に力が加わることになる。ここで、梁2のような直方体形状の構造物の場合は、曲がりはしても長手方向の軸方向には非常に強い剛性を有している。
したがって、上下方向の外力に対して機械的な剛性が強く変形しにくい梁構造を有する赤外線検出素子として形成することが出来、信頼性の高い赤外線検出素子を実現することが出来る。
また、基板1の横方向すなわち平面方向に衝撃や加速度などの外力が加わった場合についても、梁2が正四角錘を形成しているので、如何なる方向から外力が加わったとしても、ほとんどが梁2の軸方向の力に転化することが出来、結果として、機械的強度が強い梁構造を有する赤外線検出素子となり、信頼性の高い赤外線検出素子を実現することが出来る。
なお、図1(C)に示した傾斜角度θについては、上下、平面方向全ての外力に対して強くするために、例えば、30°〜60°の範囲であることが望ましい。
次に、赤外線検出素子10の機能について、図3に示す平面図を用いて説明する。図3は、図1に示す赤外線検出素子10の赤外線吸収部3を取り除いて上方向から眺めた平面図であり、赤外線検出素子10の内部構造を示している。
前述したように、梁2の内部には、温点接続部5と冷点接続部4との温度差を検出する温度検出手段となるサーモパイルが内蔵されている。このサーモパイルは、P型ポリシリコン21と、N型ポリシリコン22とから成っており、複数の梁2それぞれには、P型ポリシリコン21とN型ポリシリコン22とのいずれかのポリシリコンが内蔵されている。図3に示すように、各梁2に内蔵されている複数のP型ポリシリコン21とN型ポリシリコン22とは、それぞれのコンタクト23,24を通じて、配線25によって、P,N,P,N,…の順に直列に接続されている。
このような赤外線検出素子10の赤外線吸収部3に上方から赤外線が入射すると、赤外線吸収部3が赤外線を吸収して発熱する。この発熱によって、温点接続部5の温度が上昇し、温点接続部5と冷点接続部4との間で温度差が生じる。この温度差が、梁2に内蔵されたサーモパイルによって検出されて、出力P端子26と出力N端子27との電位差として出力される。
この温点接続部5と冷点接続部4との間の温度差が大きいほど、出力P端子26と出力N端子27とから出力される出力値が上昇し、赤外線検出素子10が検出感度の良い素子となる。温度差を大きくするには、赤外線吸収部3で赤外線を吸収した熱量が梁2を伝わって、基板1へ逃げる量を減らせば良い。つまり、梁2の熱抵抗を上昇させれば良い。ここで、図1に示すように、赤外線検出素子10においては、梁2が基板1と赤外線吸収部3との間で高さ方向に傾斜角度θを持って形成されている。
したがって、直方体形状の長手方向を斜めに傾斜させて立設した梁2の構造は、例えば前述した既存技術のように、窒化膜として基板1と赤外線吸収部3との平面上に横方向に形成されている薄い膜構造の場合よりも、温点接続部5と冷点接続部4との間の距離をより長く離隔して形成することができるので、梁2の熱抵抗が大きくなり、温点接続部5と冷点接続部4との間の温度差を大きくし、検出感度を上昇させることができる。また、機械的強度についても、薄い膜構造に比し、格段に強い構造とすることができる。
さらに、赤外線吸収部3は、梁2の上方に形成されているので、開口率をほぼ100%に保つことができ、入射してくる赤外線を感度良く吸収することができる。
なお、図1に示す実施形態では、基板1上の正四角形を形成する位置に4本の梁2の冷点接続部4を配置し、梁2それぞれの軸線が赤外線吸収部3上の1点で交わり、1つの温点接続部5を形成する例を示したが、本発明は、かかる場合に限るものではない。例えば、梁3は少なくとも3本あれば良く、3本以上複数本の梁2を配置するようにしても良い。これに伴い、基板1上の冷点接続部4を少なくとも3個あれば良いことになる。
また、温点接続部5についても、少なくとも1個あれば良く、複数存在していてもかまわない。温点接続部5が複数存在する場合は、冷点接続部4それぞれから傾斜角度を持って立設される梁2それぞれの軸線が、温点接続部5それぞれを通って延長した1点において、1つの交点を結び、該交点と冷点接続部4とで、正多角錐の頂点を形成するようにすれば、剛性が高い形状とすることができる。
さらには、基板1上の正多角形を形成する位置に複数本の梁2の冷点接続部4を配置するような場合のみに限るものではなく、赤外線検出素子10の剛性の強度が許容範囲に収まっている限り、一直線上に配置されない限り、如何なる位置に配置しても良い。
次に、図1に示した本実施形態の赤外線検出素子10を製造する製造方法について、図4〜図12に示す工程図を用いて以下説明する。ここで、図4〜図12の各図面は、それぞれ、赤外線検出素子10を製造する第1〜第9の製造工程の一例を示す工程図であり、各図面の(A)は平面図を、(B)は断面図を示している。
まず、図4に示す第1の製造工程においては、Si基板1の上にSiOやポリイミドなどの犠牲層101を堆積し、例えばグレースケール露光、ハーフトーン露光と称される、レジストの露光量の濃淡により、エッチング量を連続的に変化させることにより、図4(B)のように、犠牲層101を、傾斜面を有する台形状(4角錐の頂点部分を底面と平行な平面で切断した形状)に形成する。なお、図4(B)は、図4(A)の平面図のN−N’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図5に示す第2の製造工程においては、台形形状の犠牲層101の上にポリシリコン(poly Si)層102をLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:低圧化学的気相成長法)などにより堆積する。なお、図5(B)は、図5(A)の平面図のN−N’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図6に示す第3の製造工程においては、図6(B)に示すように、レジスト104−1をポリシリコン層102の上に堆積して平坦化した後、その上にSiO膜105−1を堆積する。その後、再び、レジスト106−1を堆積する。
しかる後、図6(B)に示すように、レジスト106−1を露光して、あらかじめ定めた所定の部位(図6(B)の左右方向の中央部)をパターニングした後、その形状をSiO膜105−1にRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)などにより転写する。なお、図6(B)は、図6(A)の平面図のN−N’面で切断した断面を示す断面図である。
そして、さらに、レジスト104−1にも転写して、該所定の部位のポリシリコン層102を露出させる。次いで、露出させたポリシリコン層102にボロンイオンを注入し(Bインプラ:B Implantation)、P型ポリシリコン層107を形成する。このように、多層のレジストを用いることによって、斜めに傾斜したポリシリコン層102上であっても、平坦化された最上部のレジスト106−1の解像度の精度でパターニングすることができる。
次の図7に示す第4の製造工程においても、図6に示した第3の製造工程と同様に、多層のレジストを用いる。なお、図7(B)は、図7(A)の平面図のM−M’面で切断した断面を示す断面図である。
図6の場合と同様に、まず、レジスト104−2をポリシリコン層102の上に堆積して平坦化した後、その上にSiO膜105−2を堆積する。その後、再び、レジスト106−2を堆積する。しかる後、図7(B)に示すように、レジスト106−2を露光して、あらかじめ定めた所定の部位(図7(B)の中央部を除く左右部分)をパターニングした後、その形状をSiO膜105−2にRIEなどにより転写する。さらに、レジスト104−2にも転写して、該所定の部位のポリシリコン層102を露出させる。しかる後、露出させたポリシリコン層102にリンイオンを注入し(Pインプラ:P Implantation)、N型ポリシリコン層108を形成する。
次に、図8に示す第5の製造工程においては、第3、第4の製造工程で用いた多層のレジストを用いてパターニングした方法と同じ方法を用いて、P型ポリシリコン層107とN型ポリシリコン層108とをエッチングして、P型ポリシリコン21と、N型ポリシリコン22とを形成する。なお、図8(B)は、図8(A)の平面図のM−M’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図9に示す第6の製造工程においては、図9(B)に示すように、P型ポリシリコン21、N型ポリシリコン22、犠牲層101の上に、SiO膜109を堆積し、周辺部分をエッチバックする。なお、図9(B)は、図9(A)の平面図のM−M’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図10に示す第7の製造工程においては、図10(A)に示すように、コンタクト23,24、および、出力P端子26、出力N端子27を形成し、その後、P型ポリシリコン21とN型ポリシリコン22とを配線25を通じて直列に接続する。なお、図10(B)は、図10(A)の平面図のM−M’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図11に示す第8の製造工程においては、図11(B)に示すように、SiO膜109上にSiN膜、金黒膜などからなる赤外線吸収部3を形成する。なお、図11(B)は、図11(A)の平面図のM−M’面で切断した断面を示す断面図である。
次に、図12に示す第9の製造工程においては、犠牲層101、SiO膜109を除去することにより、宙に浮いた状態の赤外線吸収部3を、あらかじめ定めた傾斜角度を持って基板1から斜めに立設した梁2(すなわち、P型ポリシリコン21、N型ポリシリコン22)で支えて、基板1と赤外線吸収部3とを離隔させた中空構造の赤外線検出素子10を形成することができる。
このような製造方法によって、衝撃が上下左右いずれの方向から加わった時においても、剛性の非常に高い赤外線検出素子10を製造することが出来る。
なお、図1や図11、図12に例示した赤外線吸収部3の形状は、かかる場合のみに限定するものではなく、赤外線に対する開口率を100%として吸収した赤外線による温度差を、梁2に内蔵したサーモパイルによって効率良く抽出可能であれば如何なる形状であっても構わない。
また、梁2の本数についても、前述したように、4本に限るものではなく、3本以上であれば如何なる本数であっても構わないし、また、梁2を配置する基板1上の冷点接続部4の位置についても、正方形や正多角形を形成する場合のみに限るものではなく、赤外線検出素子10の剛性の強度が許容範囲に収まっている限り、一直線上に配置されない限り、如何なる位置に配置しても良い。
また、梁2により支える赤外線吸収部3上の温点接続部5の位置についても、如何なる位置で支えるようにしても構わないが、安定した状態で支えるためには、図1に例示するように、複数の梁2が温点接続部5の重心位置の1点に集中する形式で支えるようにしても良いし、赤外線吸収部3から梁2の軸線を延長した線上に頂点を有する正多角錐を形成する複数の温点接続部5で支える(例えば、複数の温点接続部5は正多角形を形成する)ようにしても良い。ここで、赤外線吸収部3自体の剛性をより強くして変形しにくくするためには、複数の温点接続部5は赤外線吸収部3の周辺部に配置されるようにした方が望ましい。
また、温度検出手段としてサーモパイルを用いた熱型の赤外線検出素子10を例にとって説明したが、ボロメータや焦電型の温度検出手段を用いた赤外線検出素子であっても良く、直方体形状の梁2の長手方向によって受光部すなわち赤外線吸収部3が基板1から離隔して中空状態にされ、熱分離された構造の熱型赤外線検出素子であれば、いかなる形態であっても好適に適用することができる。
本実施形態で説明したように、梁2を基板1から斜めに傾斜させて立設する構造としているので、梁2の熱抵抗を拡大することができ、赤外線吸収部3で発熱した熱量が、基板1側に逃げてしまう危険性を、より減少させることができ、赤外線の検出感度をより向上させることができる。
図13は、梁2を配置する基板1上の冷点接続部4の位置についてのバリエーションの一例を示す赤外線検出素子の構造を説明するための説明図であり、バリエーション1,2,3の3種類を例示している。ここで、図13(A)は平面図、図13(B)は赤外線吸収部3を除いて眺めたときの斜視図を示している。図13(A)に示すように、梁2は、3本や4本で形成されていても良いし、さらに多くの本数で形成されていても良い。また、図13(B)に示すように、梁2が正三角錐や正四角錘などの正多角錘の辺を形成する構造となっていれば良い。
ただし、前述したように、赤外線吸収部3上に正三角錐や正四角錘などの正多角錘の頂点となる1点のみの温点接続部5が形成されるようにしなくても良く、赤外線吸収部3上に温点接続部5も複数存在するようにしても構わない。温点接続部5が複数存在する場合には、温点接続部5と冷点接続部4とを結ぶ梁2の軸線の延長線が、1点で交わり、正三角錐や正四角錘などの正多角錘を形成する構造となっていれば良い。
なお、前述したように、本実施形態における赤外線検出素子10は、複数の梁2が正多角錐の辺(または、辺の一部)を形成する場合のみに限るものではなく、赤外線検出素子10の剛性の強度が許容範囲に収まっている限り、基板1上の冷点接続部4や赤外線吸収部3上の温点接続部5がそれぞれで一直線上に並ばない配置にして、少なくとも3本の梁2を形成するようにすれば、如何なる配置であっても良いものとしている。
以上に詳細に説明したように、本発明の赤外線検出素子10によれば、赤外線吸収部(受光部)3と基板1との間を離隔して形成させるために3個以上の梁2をあらかじめ定めた傾斜角度θを持って基板1から斜めに立設して、赤外線吸収部3を支えるとともに、3個以上の梁2を基板1上で一直線上に並ぶことがない位置に配置することとしている。
したがって、基板1に対して上下方向の外力が加わった場合、構造上、梁の曲げや捩れに比べて、最も変形しにくい梁2の長手方向の軸方向に力が掛かることになり、梁の変形が生じることがなく、赤外線吸収部(受光部)3と基板1との間の位置関係をほぼそのまま維持することが出来る。一方、基板1平面に平行な外力が加わった場合であっても、梁2を一直線上に配置していないので、いずれの方向に対しても、変形を抑制することが出来る。その結果、変形がほとんどなく、剛性が高い赤外線検出素子10を実現することが出来、かつ、斜めに立設させた梁2の長さに応じて検出感度の向上も図ることが可能となる。
さらに、それぞれ梁2の軸線が正多角錘の辺を形成することも可能であるので、部分的に剛性が弱い部位が存在しなくなる。その結果、変形が少なく剛性の高い梁2を形成することが出来、機械的な強度を有する赤外線検出素子10を実現することが出来る。さらに、梁2は立体的にかつ斜めに形成しているので、赤外線吸収部3上に平面的に横方向に形成されている薄い膜構造の従来例よりも、赤外線吸収部3と基板1間の熱伝導距離を長くすることが出来る。この結果、梁の熱抵抗が上昇することになり、前述のごとく、赤外線吸収部(受光部)3の温度が赤外線の吸収により上昇し易くなり、赤外線の検出感度を向上させることが出来る。
(第2の実施形態)
次に、本発明による赤外線検出素子の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、前述した第1の実施形態とは異なり、少なくとも3本の梁2によって支えられる支点となる赤外線吸収部3上の温点接続部5が、赤外線吸収部3の重心の1点に集中して、正多角錐の頂点を形成するのではなく、少なくとも2つの支点で赤外線吸収部3を支える場合であり、少なくとも2つの温点接続部5は、赤外線吸収部3の重心を中心とする同一半径の円周上に形成されている場合を例示するものである。
図14は、本発明による赤外線検出素子の構造の図1とは異なる例を示す模式図である。図14(A)が、本発明による赤外線検出素子10Aを斜め上から眺めた斜視図であり、図14(B)が、本発明による赤外線検出素子10Aを赤外線吸収部(受光部)3の上方向から眺めた平面図であり、図14(C)が、本発明による赤外線検出素子10Aを図14(B)の平面のM−M’面で切断した際の断面形状を示す断面図である。
図14(B)の平面図に示すように、赤外線吸収部3上に複数個存在している温点接続部5は、赤外線吸収部3の重心を中心とした同一半径の円の円周上に位置している。
なお、赤外線検出素子10Aの構成材料、および、その製造方法は第1の実施形態の場合と同一でかまわないので、ここでのさらなる説明は省略する。
この結果、特に、上下方向の外力が加わった場合に、赤外線吸収部3が梁2によって対称的な位置を均等に支えられるので、曲げや撓みの力を受けにくくなり、赤外線吸収部3の変形を小さくすることができる。
ただし、本実施形態においても、赤外線吸収部3の重心を中心とする円周上に温点接続部5が形成されるようにしなくても良く、少なくとも3本の梁2をグループとしてそれぞれのグループにおける梁2によって形成される赤外線吸収部3の温点接続部5が複数存在しているようにしても構わない。それぞれのグループに温点接続部5が複数存在する場合には、それぞれのグループの複数の温点接続部5の重心位置、または、それぞれのグループの複数の温点接続部5同士を結ぶ直線の中心位置が、赤外線吸収部3の重心を中心とする円周上に配置される構造となっていれば良い。
以上のように、本実施形態によれば、赤外線吸収部3を複数の温点接続部5で支える形態であるので、赤外線吸収部3自身の撓みを抑制することが出来る。さらに、赤外線吸収部3の重心を中心とした同一半径の円の円周上に支持点が存在しているので、それぞれの梁2が均等に赤外線吸収部3を支持するため、赤外線吸収部3だけが傾いて基板1に接触することを防ぐことも出来る。
(第3の実施形態)
次に、本発明による赤外線検出素子の第3の実施形態について説明する。本実施形態においては、前述した第1、第2の実施形態とは異なり、基板1上の少なくとも3個の冷点接続部4それぞれから斜めに立設した少なくとも3本の梁2と、梁2によって支えられる赤外線吸収部3上の少なくとも1つの温点接続部5と、梁2に内蔵され、温点接続部5と冷点接続部4との温度差を検出する温度検出手段とを少なくとも備えたグループを複数個備える赤外線検出素子の場合を例示するものである。ここで、複数のグループの配置位置は、基板1や赤外線吸収部3の重心位置からの線分に対して線対称の位置になっていることが望ましいが、これに限るものではなく、一直線上に並ぶ配置にならなければ、如何なる位置に配置するようにしても構わない。
図15は、本発明による赤外線検出素子の構造の図1とはさらに異なる例を示す平面図であり、本実施形態の一例として赤外線吸収部3を除いて梁2の配置例の2つのケースについて、上方向から眺めた場合の平面図を用いて示している。図15(A)に示す赤外線検出素子10B、図15(B)に示す赤外線検出素子10Cのいずれも、第1グループから第4グループまでの4つのグループからなっている場合を示している。
ここで、図15(A)に示す赤外線検出素子10Bの場合は、4つのグループそれぞれについて、4本の梁2からなっており、4個の冷点接続部4が基板1上に配置され、一方、赤外線吸収部3には、1個の温点接続部5が形成されている。また、図15(B)に示す赤外線検出素子10Cの場合は、4つのグループそれぞれについて、3本の梁2からなっており、3個の冷点接続部4が基板1上に配置され、一方、赤外線吸収部3には、1個の温点接続部5が形成されている。
本実施形態における赤外線検出素子の構造について、さらに異なる例について説明する。図16は、図15に例示した本実施形態の赤外線検出素子の構造のさらに異なる例を示す模式図であり、図15(B)の赤外線検出素子10Cの構造と同様に、第1グループから第4グループまでの4つのグループからなっていて、それぞれのグループについては、3本の梁2からなっているものの、それぞれのグループの配置位置が、図15(B)の赤外線検出素子10Cとは異なっている例を示している。すなわち、図15(B)の赤外線検出素子10Cの構造とは異なり、図16の赤外線検出素子10Dは、それぞれのグループが基板1および赤外線吸収部3の4隅近傍に配置されており、それぞれのグループについては、図15(B)の赤外線検出素子10Cの場合と同様に、3個の冷点接続部4が基板1上に配置され、一方、赤外線吸収部3には、1個の温点接続部5が形成されている。
ここで、図16(A)が、本発明による赤外線検出素子10Dを斜め上から眺めた斜視図であり、図16(B)が、本発明による赤外線検出素子10Dを赤外線吸収部(受光部)3の上方向から眺めた平面図であり、図16(C)が、本発明による赤外線検出素子10Dを図16(B)の平面のN−N’面から矢視した断面図である。
図16(A)の斜視図に示すように、赤外線検出素子10Dの構造は、それぞれのグループについて、基板1上の冷点接続部4から赤外線吸収部3の温点接続部5に向かって延びる梁2が、それぞれのグループの温点接続部5を頂点とした正多角錘(図16の例では正三角錐)を形成した構造となっている。さらに、それぞれのグループの基板1上の冷点接続部4の重心位置は、基板1の重心からの線分に対して線対称の位置に配置されており、正多角形(図16の例では正四角形)を形成している。一方、赤外線吸収部3の温点接続部5も、赤外線吸収部3の重心からの線分に対して線対称の位置に配置されており、正多角形(図16の例では正四角形)を形成している。
本実施形態の赤外線検出素子10B,10C,10Dの構造のように、少なくとも3本の梁2と少なくとも1個の温点接続部と少なくとも3個の冷点接続部と梁2に内蔵した温度検出手段とを備えたグループを複数個形成することとし、それぞれのグループについて、梁2それぞれをあらかじめ定めた傾斜角度で基板1上の冷点接続部4から斜めに立設させて、当該グループに属する温点接続部5に当接させることにより、赤外線吸収部3上の温点接続部5が頂点となった正多角錐(本実施形態で例示した赤外線検出素子10Bの場合は、正四角錘、赤外線検出素子10C,10Dの場合は、正三角錘)を形成している。この結果、全体の梁構造も、個々のグループの強い正多角錘の集合となり、全体として、非常に剛性の高い赤外線検出素子を実現することができる。
なお、前述のように、赤外線吸収部3上には、それぞれのグループごとに、正三角錐や正四角錘などの正多角錘の頂点となる1点の温点接続部5が形成されるようにしても良いし、それぞれのグループごとに、赤外線吸収部3上に温点接続部5も複数存在するようにしても構わない。それぞれのグループごとに、温点接続部5が複数存在する場合には、温点接続部5と冷点接続部4とを結ぶ梁2の軸線の延長線が、1点で交わり、正三角錐や正四角錘などの正多角錘を形成する構造となっていれば良い。
また、各グループに属するそれぞれの温点接続部5により形成される多角形の重心位置、または、各グループに属するそれぞれの温点接続部5を結ぶ直線の中心位置が、赤外線吸収部3の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置されているようにしても良い。
ただし、第1の実施形態で説明した場合と同様に、本実施形態における赤外線検出素子10B,10C,10Dについても、それぞれのグループごとに、複数の梁2が正多角錐の辺(または、辺の一部)を形成する場合のみに限るものではなく、赤外線検出素子10B,10C,10Dの剛性の強度が許容範囲に収まっている限り、基板1上の冷点接続部4や赤外線吸収部3上の温点接続部5がそれぞれで一直線上に並ばない配置とされるように、すなわち、各グループそれぞれの冷点接続部4により形成される多角形の重心位置が、基板1上の一直線上に配置されないように、各グループの少なくとも3本の梁2を配置するようにすれば、如何なる配置であっても良いものとしている。
なお、基板1上に配置した各グループそれぞれの冷点接続部4により形成される多角形それぞれの重心位置を結んで形成した多角形の重心位置、または、基板1上の各グループそれぞれの冷点接続部4により形成される多角形の重心位置を結ぶ直線の中心位置が、基板1の重心位置と一致するように配置すれば、更に剛性が強い構造とすることができる。
また、赤外線検出素子10B,10C,10Dの構成材料、および、その製造方法は第1の実施形態の場合と同一で構わないので、ここでのさらなる説明は省略する。
以上のように、本実施形態においては、それぞれのグループごとの支持部分である温点接続部5を頂点として、そこから伸びる梁2を辺とした正多角錘などのグループが複数形成されるので、それぞれのグループの支持部分においても剛性が高い構造であり、赤外線検出素子10B,10C,10D全体としても、剛性の高い赤外線検出そしを作成することが出来る。
(第4の実施形態)
次に、本発明による赤外線検出素子の第4の実施形態について説明する。本実施形態においては、前述した第1から第3の実施形態とは異なり、基板1上の少なくとも2個の冷点接続部4それぞれから斜めに立設した少なくとも2本の梁2と、梁2によって支えられる赤外線吸収部3上の少なくとも1つの温点接続部5と、梁2に内蔵され、温点接続部5と冷点接続部4との温度差を検出する温度検出手段とを少なくとも備えたグループを複数個備える赤外線検出素子の場合を例示するものである。更に言えば、各グループについて、少なくとも1つの温点接続部5を形成するための複数の梁2の中線を考えたとき、各温点接続部5を形成するそれぞれの梁2の中線を赤外線吸収部3の面上に投影した直線は、赤外線吸収部3の重心から当該温点接続部5へ延長した直線と同一直線上にある場合を例示するものである。
なお、本実施形態においては、赤外線吸収部3上には、複数の梁2によってそれぞれ少なくとも1つの温点接続部5を形成すれば良く、少なくとも2本ずつの梁2のグループによって温点接続部5を1つずつ形成するようにしても良い。また、本実施形態の特殊ケースとして、赤外線吸収部3の重心の位置にすべてのグループの温点接続部5が集中するようにしても良い。
また、本実施形態においても、赤外線吸収部3の重心を中心とする同一半径の円の円周上に各グループの1つの温点接続部5が形成されるようにしても良い。あるいは、それぞれのグループにおける梁2によって形成される赤外線吸収部3の温点接続部5が複数存在しているような場合には、各グループそれぞれに属する温点接続部5により形成される多角形の重心位置、または、各グループそれぞれに属する温点接続部5を結ぶ直線の中心位置が、赤外線吸収部3の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置されているようにすれば良い。
さらには、それぞれのグループに複数の温点接続部5が存在しているような場合には、各グループそれぞれに属する複数の梁2の軸線を赤外線吸収部3の面上に投影した位置それぞれが、当該グループについて、複数の梁2それぞれの軸線が1点において交わる交点に向かって、赤外線吸収部3の重心から向かう直線を赤外線吸収部3の面上に投影した直線に対して、線対称となる位置に配置するような構造となっていても良い。
図17は、本発明による赤外線検出素子の構造のさらに異なる例を示す模式図であり、2本の梁2ずつからなる3つのグループによって赤外線吸収部3上に各グループごとに1個ずつ合計3個の温点接続部5が形成されており、それぞれのグループにおいて、赤外線吸収部3の重心から温点接続部5へ延長した直線に対して、それぞれのグループに属する2本の梁2の軸線を赤外線吸収部3の面上に投影した直線が、線対称の位置に配置されている赤外線検出素子10Eを一例として示している。
ここで、図17(A)が、本発明による赤外線検出素子10Eを斜め上から眺めた斜視図であり、図17(B)が、本発明による赤外線検出素子10Eを赤外線吸収部(受光部)3の上方向から眺めた平面図であり、図17(C)が、本発明による赤外線検出素子10Eを図17(B)の平面のL−L’面から矢視した断面図である。
図17(A)の斜視図に示すように、本実施形態においては、2本ずつの梁2を有する3つのグループが存在していて、各グループごとに2本ずつの梁2が、基板1の冷点接続部4からあらかじめ定めた所定の傾斜角度で斜めに傾斜して立設されて、赤外線吸収部3上で温点接続部5をそれぞれのグループで1個ずつ合計3個の温点接続部5が形成されている。
ここで、図17(B)の平面図に示すように、各グループごとに、1つの温点接続部5を形成する複数の梁2(図17においては2本の梁2)の中線lを考えたとき、3つのグループの各中線lは、赤外線吸収部3の重心位置で交点を結ぶように配置されている。すなわち、平面図で眺めた場合、赤外線吸収部3の重心からそれぞれのグループの温点接続部5へ向かう直線lに対しては、当該グループに属する複数の梁2は、線対称となる位置に配置されているとともに、該重心位置からは等間隔の位置に温点接続部5が配置されている。なお、基板1の冷点接続部4も基板1の重心から等間隔の位置に配置されている。
この結果、温点接続部5と、各グループごとの冷点接続部4の重心位置を集めた合計3つの重心位置とは、正三角錐を形成しており、赤外線検出素子10Eに対して、例えば、上下方向に外力が加わった場合には、梁2の軸方向の力となり、直方体形状の梁2の長手方向の強い剛性によって支えることが出来る。さらに、各温点接続部5には2本以上の複数の梁2が接続されるので、剛性の高い赤外線検出素子10Eとすることが出来る。
なお、図17の本実施形態では、3つのグループの場合について説明したが、本発明は、かかる場合のみに限るものではなく、3つ以上の複数のグループから形成するようにしても良い。すなわち、温点接続部5と各グループの冷点接続部4の重心位置とが形成する立体構造は、正三角錐、正四角錘に限定するものではなく、如何なる角数であっても正多角錘であれば良い。さらに、各グループの温点接続部5を形成する梁2の本数は、2本のみに限るものではなく、2本以上の複数の本数であれば良い。
また、基板1上の各グループそれぞれの冷点接続部4により形成される多角形それぞれの重心位置を結んで形成した多角形の重心位置、または、基板1上の各グループそれぞれの冷点接続部4により形成される多角形の重心位置を結ぶ直線の中心位置を、基板1の重心位置と一致するようにすれば、更に剛性が高い構造とすることが出来る。
さらに、各グループそれぞれに属する少なくとも2つ冷点接続部4の重心位置それぞれは、基板1上で、正多角形の各頂点の位置に配置され、かつ、各グループについて、あらかじめ定めた傾斜角度を持って立設される梁2それぞれの軸線が、当該グループに属する温点接続部5の1点において、あるいは、当該グループに属する温点接続部5を通って延長した1点において、結んでいる交点に向かって、当該グループの冷点接続部4の重心位置から延長した延長線が、すべてのグループについて、1点において交わった交点と、各グループの冷点接続部4それぞれの重心位置とで、正多角錐の頂点を形成するようにしても良い。
また、各グループに属する複数の温点接続部5が存在する場合、前述したように、それぞれの温点接続部5により形成される多角形の重心位置、または、それぞれの温点接続部5を結ぶ直線の中心位置が、赤外線吸収部3の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置するようにすれば、更に剛性が高い構造とすることが出来る。
さらには、第1の実施形態で説明した場合と同様に、本実施形態における赤外線検出素子10Eについても、温点接続部5と各グループの冷点接続部4の重心位置とが、正多角錐の辺(または、辺の一部)を形成する場合のみに限るものではなく、赤外線検出素子10Eの剛性の強度が許容範囲に収まっている限り、基板1上の冷点接続部4が一直線上に並ばない配置とされるように、すなわち、各グループそれぞれの冷点接続部4の重心位置、または、各グループそれぞれの冷点接続部4を結ぶ直線の中心位置が、基板1上の一直線上に配置されないようにすれば、如何なる配置であっても良い。
また、赤外線検出素子10Eの構成材料、および、その製造方法は第1の実施形態の場合と同一で構わないので、ここでのさらなる説明は省略する。
以上のように、本実施形態においては、各グループごとについて見ると、赤外線吸収部3のそれぞれの支持部分である温点接続部5から伸びる梁2だけでは、非対称であり、特定の方向の外力に対しては弱いが、全てのグループの梁2の軸方向についての合成ベクトルとしては、基板1の上下方向に対しても強い構造となり、赤外線検出素子10E全体としては、剛性が高い構造が得られる。
本発明による赤外線検出素子の構造の一例を示す模式図である。 図1に示す赤外線検出素子への外力に対する作用を説明するための説明図である。 図1に示す赤外線検出素子の赤外線吸収部を取り除いて上方向から見た平面図である。 赤外線検出素子を製造する第1の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第2の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第3の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第4の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第5の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第6の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第7の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第8の製造工程の一例を示す工程図である。 赤外線検出素子を製造する第9の製造工程の一例を示す工程図である。 梁を配置する基板上の冷点接続部の位置についてのバリエーションの一例を示す赤外線検出素子の構造を説明するための説明図である。 本発明による赤外線検出素子の構造の図1とは異なる例を示す模式図である。 本発明による赤外線検出素子の構造の図1とはさらに異なる例を示す平面図である。 図15に例示した第3の実施形態の赤外線検出素子の構造のさらに異なる例を示す模式図である。 本発明による赤外線検出素子の構造のさらに異なる例を示す模式図である。
符号の説明
1…基板、2…梁、3…赤外線吸収部、4…冷点接続部、5…温点接続部、10,10A,10B,10C,10D,10E…赤外線検出素子、21…P型ポリシリコン、22…N型ポリシリコン、23,24…コンタクト、25…配線、26…出力P端子、27…出力N端子、101…犠牲層、102…ポリシリコン(poly Si)層、104−1,104−2…レジスト、105−1,105−2…SiO膜、106−1,106−2…レジスト、107…P型ポリシリコン層、108…N型ポリシリコン層、109…SiO膜。

Claims (13)

  1. 赤外線を吸収する赤外線吸収部を基板から離隔して支えるための少なくとも3本の梁と、前記赤外線吸収部と前記梁との接続部を形成する少なくとも1つの温点接続部と、前記基板と前記梁との接続部を形成する少なくとも3つの冷点接続部と、前記梁に内蔵され、前記温点接続部と前記冷点接続部との温度差を検出する温度検出手段とを少なくとも備える赤外線検出素子において、前記基板上の前記冷点接続部それぞれを一直線上に配置せずに、かつ、前記梁それぞれがあらかじめ定めた傾斜角度で前記基板上の前記冷点接続部から斜めに立設されて前記赤外線吸収部上の前記温点接続部に当接していることを特徴とする赤外線検出素子。
  2. 少なくとも3つの前記冷点接続部は前記基板上で正多角形の頂点の位置に配置され、前記冷点接続部それぞれから前記傾斜角度を持って立設される前記梁それぞれの軸線が、前記温点接続部の1点において、あるいは、前記温点接続部を通って延長した1点において、1つの交点を結び、該交点と前記冷点接続部とで、正多角錐の頂点を形成していることを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出素子。
  3. 前記基板上の少なくとも3つの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置は、前記基板の重心位置と一致することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線検出素子。
  4. 前記赤外線吸収部上に、前記梁が当接する前記温点接続部を少なくとも2つ有し、それぞれの前記温点接続部は、前記赤外線吸収部の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の赤外線検出素子。
  5. 赤外線を吸収する赤外線吸収部を基板から離隔して支えるための少なくとも3本の梁と、前記赤外線吸収部と前記梁との接続部を形成する少なくとも1つの温点接続部と、前記基板と前記梁との接続部を形成する少なくとも3つの冷点接続部と、前記梁に内蔵され、前記温点接続部と前記冷点接続部との温度差を検出する温度検出手段とを少なくとも備えたグループを複数個備える赤外線検出素子において、少なくとも3つの前記冷点接続部が属する各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置を、前記基板上の一直線上に配置せずに、かつ、各グループそれぞれについて、前記梁それぞれがあらかじめ定めた傾斜角度で前記基板上の前記冷点接続部から斜めに立設されて、当該グループに属する前記赤外線吸収部上の前記温点接続部に当接していることを特徴とする赤外線検出素子。
  6. 各グループそれぞれに属する少なくとも3つの前記冷点接続部は、前記基板上で、それぞれの正多角形の頂点の位置に配置され、各グループそれぞれについて、前記冷点接続部それぞれから前記傾斜角度を持って立設される前記梁それぞれの軸線が、当該グループに属する前記温点接続部の1点において、あるいは、当該グループに属する前記温点接続部を通って延長した1点において、1つの交点を結び、該交点と当該グループに属する前記冷点接続部とで、正多角錐の頂点をそれぞれ形成していることを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出素子。
  7. 前記基板上の各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形それぞれの重心位置を結んで形成した多角形の重心位置、または、前記基板上の各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置を結ぶ直線の中心位置が、前記基板の重心位置と一致することを特徴とする請求項5または6に記載の赤外線検出素子。
  8. 前記赤外線吸収部上に、各グループそれぞれに属する前記梁が前記赤外線吸収部に当接する位置を当該グループに属する前記温点接続部として少なくとも2つ有し、各グループそれぞれに属する前記温点接続部により形成される多角形の重心位置、または、各グループそれぞれに属する前記温点接続部を結ぶ直線の中心位置が、前記赤外線吸収部の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置されていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の赤外線検出素子。
  9. 赤外線を吸収する赤外線吸収部を基板から離隔して支えるための少なくとも2本の梁と、前記赤外線吸収部と前記梁との接続部を形成する少なくとも1つの温点接続部と、前記基板と前記梁との接続部を形成する少なくとも2つの冷点接続部と、前記梁に内蔵され、前記温点接続部と前記冷点接続部との温度差を検出する温度検出手段とを少なくとも備えたグループを複数個備える赤外線検出素子において、少なくとも2つの前記冷点接続部が属する各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置、または、各グループそれぞれの前記冷点接続部を結ぶ直線の中心位置を、前記基板上の一直線上に配置せずに、かつ、各グループそれぞれについて、前記梁それぞれがあらかじめ定めた傾斜角度で前記基板上の前記冷点接続部から斜めに立設されて、当該グループに属する前記赤外線吸収部上の前記温点接続部に当接していることを特徴とする赤外線検出素子。
  10. 各グループそれぞれに属する複数の前記梁の軸線を前記赤外線吸収部の面上に投影した位置それぞれが、当該グループについて、複数の前記梁それぞれの軸線が1点において交わる交点に、前記赤外線吸収部の重心から向かう直線を前記赤外線吸収部の面上に投影した直線に対して、線対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の赤外線検出素子。
  11. 前記基板上の各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形それぞれの重心位置を結んで形成した多角形の重心位置、または、前記基板上の各グループそれぞれの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置を結ぶ直線の中心位置が、前記基板の重心位置と一致することを特徴とする請求項9または10に記載の赤外線検出素子。
  12. 前記赤外線吸収部上に、各グループそれぞれに属する前記梁が前記赤外線吸収部に当接する位置を当該グループに属する前記温点接続部として少なくとも2つ有し、各グループそれぞれに属する前記温点接続部により形成される多角形の重心位置、または、各グループそれぞれに属する前記温点接続部を結ぶ直線の中心位置が、前記赤外線吸収部の重心を中心とした同一半径の円の円周上に配置されていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の赤外線検出素子。
  13. 各グループそれぞれに属する少なくとも2つの前記冷点接続部により形成される多角形の重心位置、または、各グループそれぞれに属する前記冷点接続部を結ぶ直線の中心位置のそれぞれは、前記基板上で、正多角形の各頂点の位置に配置され、かつ、各グループについて、前記傾斜角度を持って立設される前記梁それぞれの軸線が、当該グループに属する前記温点接続部の1点において、あるいは、当該グループに属する前記温点接続部を通って延長した1点において、結んでいる交点に向かって、当該グループの前記冷点接続部の前記重心位置から延長した延長線が、すべてのグループについて、1点において交わった交点と、各グループの前記冷点接続部それぞれの前記重心位置とで、正多角錐の頂点を形成していることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の赤外線検出素子。
JP2006033259A 2006-02-10 2006-02-10 赤外線検出素子 Expired - Fee Related JP4779686B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006033259A JP4779686B2 (ja) 2006-02-10 2006-02-10 赤外線検出素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006033259A JP4779686B2 (ja) 2006-02-10 2006-02-10 赤外線検出素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007214400A true JP2007214400A (ja) 2007-08-23
JP4779686B2 JP4779686B2 (ja) 2011-09-28

Family

ID=38492552

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006033259A Expired - Fee Related JP4779686B2 (ja) 2006-02-10 2006-02-10 赤外線検出素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4779686B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2028542A1 (en) 2007-08-21 2009-02-25 Sony Corporation Imaging apparatus
JP2010185839A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Seiko Instruments Inc 赤外線センサ及び熱画像生成装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2028542A1 (en) 2007-08-21 2009-02-25 Sony Corporation Imaging apparatus
JP2010185839A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Seiko Instruments Inc 赤外線センサ及び熱画像生成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4779686B2 (ja) 2011-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10585002B2 (en) Micromechanical device for electromagnetic radiation sensing
JP4915555B2 (ja) 赤外線センサ
CN101859761A (zh) 图像传感器的、具有三维结构的单位像素及其制造方法
JP2006226891A (ja) 熱型赤外線検出素子
US7423270B2 (en) Electronic detection device and detector comprising such a device
US20030150269A1 (en) Acceleration sensor
CN106164741B (zh) 微驱动装置和使用其的微型器件
JP2011153871A (ja) 熱型光検出器、熱型光検出装置及び電子機器
JP4779686B2 (ja) 赤外線検出素子
JP4775128B2 (ja) 赤外線検出装置
CN104048764B (zh) 背面照射型的红外传感器
JPH11211558A (ja) センサ及びセンサアレイ
US9146254B2 (en) Dynamic sensor
JP3728916B2 (ja) 赤外線検出素子の製造方法
CN107402095B (zh) 应力隔离检测器元件和并有应力隔离检测器元件的微测辐射热计检测器
WO2019031235A1 (ja) 光検出器
JP4538862B2 (ja) 熱型変位素子及び放射検出装置
JP2010216842A (ja) 力学量検出センサ
JP4337239B2 (ja) 放射検出装置
JP2010032389A (ja) 物理量センサ及びその製造方法
CN109781267A (zh) 一种温度检测装置
JP2008175720A (ja) 赤外線センサおよび赤外線センサアレイ
CN219657031U (zh) 非制冷焦平面红外传感器
JP2004177220A (ja) 半導体加速度センサ
JP5401820B2 (ja) センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100730

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20101013

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20101028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110607

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110620

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140715

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4779686

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees