以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら幾つかの実施例をもとに説明する。
(実施例1)
図1は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の一例を示す一部概略断面図である。本表示装置は光の透過光量を調節することで画像を表示する液晶パネル200とその背面に配置した照明装置100とから構成される。
液晶パネル200としては入射する光の透過光量を調節することで画像を表示する表示パネルを用いることができ、特に長寿命でマトリクス表示が可能な液晶パネルを用いることができる。
液晶パネル200の表示モードとしてはGH(Guest Host)モード,PC(Phase Change)モード,TN(Twisted Nematic )モード,STN(Super Twisted Nematic)モード,ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード,PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等を用いることができるが、低い駆動電圧で高いコントラスト比が得られる表示モードとして偏光板を用い、液晶層に入射する光の偏光状態を変調することで表示を行うモードを用いることが画質の良い表示装置を実現する上で望ましい。
また、液晶パネル200は大別してTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス駆動による液晶パネルと、マルチプレックス駆動の液晶パネルとの2方式があり、液晶層に入射する光の偏光状態を変調して表示を行うものとしては、TN(Twisted Nematic )液晶パネルや、広視野角を実現したIPS(In Plane Switching)液晶パネル,MVA(Multi-domain Vertical Aligned)液晶パネル等のアクティブマトリクス駆動による液晶パネル、或いはSTN(Super Twisted Nematic)液晶パネル等のマルチプレックス駆動の液晶パネルを用いることができる。
ここでは、以下TN液晶パネルの場合について説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
液晶パネル200は、図示しないカラーフィルター,透明電極及び配光膜が積層形成された第1の透明ガラス基板204と、図示しない配光膜及び、画素を形成する透明電極及びこれと接続される電極や薄膜トランジスタ等のスイッチング素子を有する第2の透明ガラス基板202と、これら2枚の透明ガラス基板204,202の間に枠状のシール剤203を介して封入された誘電異方性が正のネマチック液晶からなる液晶層208とを有する。液晶層208の液晶分子長軸の方向は2枚の透明ガラス基板204,202上に形成された配向膜にラビング等の配向処理を行うことで配向方向が規定され、透明ガラス基板間で連続的に90°ねじれた状態となっている。透明ガラス基板202の照明光入射面と、透明ガラス基板204の光出射面にはそれぞれ偏光板201及び偏光板205が互いに直交する直線偏光を透過するように配置され、透明ガラス基板202及び透明ガラス基板204での液晶分子長軸の配向方向は偏光板201及び偏光板205の直線偏光の透過軸に対して共に平行、もしくは共に直交するように構成する。
偏光板201,205としては例えば延伸させたポリビニルアルコールにヨウ素を吸収させて偏光機能を付与した膜の両面にトリアセチルセルロースの保護層を施したものを用いることができ、それぞれ透明ガラス基板202及び透明ガラス基板204にアクリル系の接着剤により光学的に結合されるよう接着される。
上記構成により、液晶パネル200背面から入射した光のうち偏光板201を透過した直線偏光は、液晶層208を通過して偏光板205に入射するが、この際、液晶層208を透過する光の偏光状態は液晶層208に印加する電圧によって変化させることができる。このため画像情報に対応した電圧を透明ガラス基板202,204上の透明電極に印加し、液晶層208に電界を印加することで、液晶層208を通過する光の偏光状態を変え、偏光板205を透過する光量を制御して光学画像を形成することができる。
次に照明装置100について説明する。照明装置100は、整列配置した複数の導光体103(図中では103a,103b,103c)と、複数の導光体103の一側面(端面)にそれぞれ配置され、その側面(端面)長さに対応した発光長を有する複数の光源101(図中では101a,101b,101c)と、複数の光源101の導光体103方向を除く部分を覆うようにそれぞれ配置した複数のランプカバー102(図中では102a,102b,102c)と、複数の導光体103の裏面(液晶パネル200と反対側の面)に空気層を介してそれぞれ配置した複数の反射板104(図中では104a,104b,104c)と、複数の導光体103(103a〜103c)の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置した拡散板105とから構成される。
すなわち、照明装置100は、導光体103と、導光体103の一側面(端面)に配置した光源101と、ランプカバー102と、導光体103の裏面に配置した反射板104とから構成される単位照明装置1000(図中では1000a,1000b,1000c)を複数個、整列配置し、その表面側にその全面を覆うように配置した拡散板105とから構成される。
ここで、照明装置100からの照明光の面内輝度分布の均一性を高めるために、単位照明装置は個々の単位照明装置の照明光の面内輝度分布の均一性が高いことはもちろんのこと、複数の単位照明装置を整列配置した際に得られる照明光の面内輝度分布の均一性も高いことが重要である。
これを実現するため、本発明の照明装置は単位照明装置を複数整列配置した際、単位照明装置を構成する複数の導光体の表面側(液晶パネル200側)の段差、及び継ぎ目を実質的になくすよう構成した。
すなわち、単位照明装置を構成する導光体を一対の向かい合う端面の厚さが異なる板状の透明体から構成し、複数の導光体を整列配置する際に、厚さが大きい端面と厚さが小さい端面とを接合するようにする。また、光源は導光体の厚さが異なる一対の向かい合う端面のうち、厚さが大きい方の端面に近接する位置であって、かつ隣合う導光体の裏面となる位置に配置する。このようにすれば、光源は複数の導光体を整列配置する際の障害とならないので、複数の導光体は、その表面側に段差、及び隙間がない状態で整列配置できる。
さらに、導光体どうしの継ぎ目は光学的に結合するように接続する。ここで、光学的に結合するとは、導光体どうしの界面を導光体を構成する透明体と実質的に同じ屈折率の透明体で満たすことで界面での屈折率差を実質的になくすことを意味し、例えばアクリル系の接着剤により導光体どうしを接着することで実現できる。
本構成によれば単位照明装置を構成する導光体どうしの表面側(液晶パネル200側)の段差がなく、継ぎ目は光学的にはなくなるので面内輝度分布がより均一な照明装置が実現できる。
次に本照明装置100を構成する単位照明装置についてより具体的に説明する。図2は照明装置100を構成する単位照明装置1000の概要を示す斜視図である。
単位照明装置1000は導光体103と、導光体103の1側面(端面)1031に配置され、その側面(端面)長さに対応した発光長を有する光源101と、光源101の導光体103端面方向を除く部分を覆うように配置したランプカバー102と、導光体103の裏面(液晶パネル200と反対側の面)に空気層を介して配置した反射板104とから構成される。導光体103は上述の通り、一対の向かい合う端面1031と端面1032での厚さが異なる断面形状が長方形をした板状の透明体から構成される。また、光源101は導光体103の厚さの異なる一対の向かい合う端面のうち、厚さが大きい方の端面1301に近接した位置であって、複数の導光体103を接合した際、障害とならない位置、すなわち端面1031の下部領域(液晶パネル200とは反対側の領域)に配置する。
光源101は小型,高発光効率,低発熱といった条件を満たすものを用いるとよく、例えば冷陰極管や熱陰極管等の蛍光ランプ、或いはLED(Light Emitting Diodes)を複数個整列配置したものを使用することができる。ここでは、まず管径φ2.6mm の冷陰極蛍光ランプを用いる場合を説明する。ここで使用する冷陰極蛍光ランプとしては、液晶パネル200のカラーフィルタの透過スペクトルに対応した発光ピーク波長を有する、いわゆる3波長管を用いればよく、例えば波長453nm,544nm,611nmに発光ピーク波長を有する冷陰極蛍光ランプを用いることができる。
ここで、上述の通り、光源101は導光体103の端面1031の下部領域に配置する。これは、単位照明装置1000を複数個整列配置した際、複数の導光体どうしの継ぎ目や、導光体表面側(液晶パネル200側)の段差をなくすために、光源を隣り合う単位照明装置を構成する導光体の裏面側に配置できるようにするためである。
従って、光源の大きさ(ここでは冷陰極蛍光ランプの直径)をdとし、導光体103の端面1031と端面1032の厚さをそれぞれt1 ,t2 とすると、以下の関係を満たすことが望ましい。
t1>d+t2 …(数1)
また、光源101から出射する光の導光体103への入射効率を高めるには、光源発光部の大きさが導光体の光源側の端面1301の断面積よりも小さいことが望ましい。
図3は、光源として管径2.6mm の蛍光ランプを用いた場合の、導光体の光源側端面の有効厚さt(=t1−t2)と、導光体から出射する照明光輝度との関係の一例を示す図である。図3から明らかな通り、導光体端面の有効厚さが光源の管径よりも大きければ大きいほどより明るい照明光が得られる。しかしながら、導光体を厚くすると照明装置の厚さや重量が増えるという問題がある。そこで、導光体端面の有効厚さが光源管径の約1.2〜1.5倍で照明光の輝度の上昇が飽和することを鑑みて、光源の大きさ(ここでは冷陰極蛍光ランプの直径)dと、導光体の端面1031の厚さt1と、端面1032の厚さt2とが以下の関係を満たすようにすることがより望ましい。
1.5*d>t1−t2>1.2*d …(数2)
ここではt1 =4.5mm,t2 =1mm とし、光源101の中心位置が導光体の裏面からの高さ1.75mmに位置するように配置した。
ランプカバー102は光源101からの出射光を効率良く導光体103へ入射させるためのもので、光源101の周囲であって、導光体103端面部を除く部分に、光源101を覆うように間隙をもって配置した、円筒形、或いは楕円筒形等の一部に開口部を有する形状をした反射板、或いは反射フィルムを使用することができる。
具体的にはランプカバー102として高分子フィルムの表面に銀や、アルミニウム等の金属薄膜層を蒸着法、或いはスパッタリング法により成膜したものを、高分子フィルムシートやアルミニウム板等の支持板にラミネートしたものを用いることができる。ここでは、PET(ポリエチレンテレフタレート)に銀をスパッタリングしたものを厚さ0.2mm のアルミニウム板に接着し、成形したものを用いた。
反射板104は、導光体103の裏面全面を覆うように配置され、導光体103裏面からの光を導光体103側へ反射する機能を有する。反射板104としては、高い反射率を有する反射面をガラス板,金属板,樹脂板、或いは高分子フィルム等の支持基材上に形成したものを用いることができる。反射面は支持基材上にアルミニウム,銀等の反射率の高い金属薄膜を蒸着法、或いはスパッタリング法等により成膜したもの、或いは支持基材上に増反射膜となるように誘電体多層膜を形成したもの、或いは支持基材上に白色顔料をコートしたもの等を用いることができる。また、屈折率の異なる透明媒体を複数層積層することで反射板として機能するようにしたものを用いてもよい。
ここでは、装置の小型,軽量化のために、支持基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、反射面として銀の金属薄膜を成膜したものを用いた。
導光体103は上述の通り、一対の向かい合う端面1031と端面1032での厚さが異なる板状の透明なアクリル樹脂から構成され、端面1031から入射した光を全反射により内部に閉じ込める構成と、内部を伝播する光の反射角度を変えて、光を液晶パネル200側へ出射する構造を有するものを用いる。
ここでは、導光体内部を伝播する光の反射角度を変え、光を出射させる構造を、導光体の裏面側(液晶パネル200と反対側)の面に形成した微細な傾斜面を有する多数の凹凸面、または段差で構成した微小傾斜反射面で実現するものを用いた。
図4は導光体103の一例を示す一部断面図である。図4に例示する導光体103はその表面103Cが平坦な面で構成され、その裏面は略平坦な主面103B、及び複数の三角溝の一辺に形成された平坦な微小傾斜反射面103Aとで構成される。導光体103の裏面の主面103Bは光源101から出射し、導光体に入射した光300を導光体の表面103Cとの間で全反射により伝播し、内部に閉じこめるよう構成される。また、導光体103の裏面の微小傾斜反射面103Aは導光体103内を伝播する光の一部を、その反射角度を変えることで導光体103の表面103Cから出射させる機能を有する。微小傾斜反射面103Aはアルミニウム,銀等の金属薄膜、或いは誘電体多層膜により鏡面反射面を構成してもよいが、格別な反射部材を付加して反射面を構成しなくても、空気とアクリル樹脂との屈折率差による反射により十分に機能を果たすことができる。
ここでは、導光体103として屈折率1.49 のアクリル樹脂を用い、導光体裏面の微小傾斜反射面103Aはその長軸方向を光源101の長軸方向と平行となるように形成し、微小傾斜反射面103Aの平均ピッチP=200μm,平均高さh=10μm,導光体103の表面103Cに対する平均傾斜角度θ=40°とした。
また、導光体103裏面の主面103Bを導光体103の表面103Cに対して傾斜させることで、導光体103の光源101側の端面1031の厚さに対し、これと向かい合う端面1032の厚さを薄くなるように構成した。
尚、傾斜反射面103Aの高さhを光源101に近いところでは低く、光源101から遠い場所では高くなるよう連続的に変化させる、或いは傾斜反射面101AのピッチP、もしくは傾斜角度θを光源101からの距離により連続的に変化させる、或いは導光体103の厚さ、即ち導光体の表面103Cと裏面の主面103Bとの距離を光源からの距離に応じて非直線的に薄くなるよう構成するなどして、導光体103から出射する光の均一性を高めるようにすると良い。この際、複数の導光体を接合したときに、隣り合う導光体から伝播する光も考慮して、輝度の面内均一性が高くなるように構成すると良い。
また、導光体103に入射した光を有効に利用するために、導光体103の表面と裏面、及び光源側の端面1031と、これと対向する端面1032を除く側面(端面)には、図示しない反射面を形成し、導光体内に入射した光が漏れないようにすると良い。
本構成によれば、導光体103に入射した光源101からの出射光300は導光体103の表面103C及び導光体裏面の主面103Bとの間を全反射を繰り返しながら伝播するが、導光体内を伝播する光のうち、傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。導光体103から出射した光は傾斜反射面103Aを構成する三角溝状の傾斜部の長手方向(稜線)には広がりを持った光になるが、傾斜反射面103Aの長手方向と垂直な方向には半値角が±10°程度の略平行化された光が得られる。
尚、導光体103の形状は上記機能を満たせば本形状に限定されるものではなく、図5、或いは図6に例示するとおり、その裏面が表面103Cとの間で導光体に入射した光を全反射により伝播し、閉じこめる構造をなす主面103Bと、複数の微小傾斜反射面103Aとからなる微細で連続的な波形、或いは階段状の構造となっていても良い。
拡散板105は複数の単位照明装置1000(1000a〜1000c)の導光体103(103a〜103c)の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置する。
拡散板105は導光体103(103a〜103c)から出射した光の角度分布や、輝度分布を変えて、液晶パネル200へ照射される照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性を高める機能を有するものである。
拡散板105としてはPET,PC(ポリカーボネート)等の透明な高分子フィルムの表面に凹凸を形成したもの、或いは高分子フィルムの表面に透明体中に透明体とは屈折率の異なる微粒子を混合した拡散層を形成したもの、或いはフィルム内部に気泡を混入して拡散性を持たせたもの、或いはアクリル等の透明部材中に白色顔料を分散させた乳白色部材等が使用できる。
尚、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化は、拡散板105と導光体表面との距離を大きくすればするほど視認できなくなる。具体的には拡散板105の拡散性にもよるが、効率を低下させない現実的な透過率を有する拡散板であれば、拡散板105と導光体103表面との距離を0.1mm 〜15mm程度とすれば、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化が視認できなくなり、面内輝度分布の均一性がより高い照明光が得られる。
尚、拡散板105はこれがなくても照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性が高ければ必ずしも配置する必要はないが、通常は必要となるものである。
次に本表示装置の動作を説明する。光源101(101a〜101c)から出射した光は、直接、或いはランプカバー102(102a〜102c)で反射した後、導光体103(103a〜103c)に入射する。導光体103(103a〜103c)に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播するが、導光体内を伝播する光のうち、導光体裏面の傾斜反射面に至った光は反射角度が変わり導光体表面で全反射条件をはずれて出射する。導光体103(103a〜103c)から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。
液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、画像が表示される。
ここで、本発明の照明装置では、導光体の幅、すなわち導光体の光源側端面と、これと対向する端面までの距離を液晶パネル表示部の大きさによらず短く設定することができる。一般に導光体の幅が短くなれば、照明光の面内輝度分布の均一性を高くすることが容易になり、さらに一つの導光体から出射される照明光の輝度を高くすることができる。
つまり、導光体の幅を小さくすることで単位照明装置当たりの照明光の輝度を高くすれば、面内輝度分布の均一性が高く、より高輝度な光を出射する照明装置が実現できる。
さらに、複数の単位照明装置1000を整列配置した状態、すなわち、照明装置100としても単位照明装置1000(1000a〜1000c)を構成する複数の導光体の表面側の段差はなく、継ぎ目は光学的にない状態で整列配置されているので輝度の面内均一性が高い照明光を得ることができる。
また、画面サイズが大きくなっても単位照明装置の数を増やすことで対応できるため、照明装置の厚さが厚くなることはない。
従って、本発明の照明装置では光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数個整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型軽量で、高輝度、かつ面内輝度分布が均一な照明光を出射することができる。さらにこの照明装置を用いることで薄型軽量、かつ高輝度で面内輝度分布が均一な高品位表示が得られる表示装置が実現できる。
尚、本実施例に係る照明装置を用いる場合は、以下の理由から図7に示す構成とすることが望ましい。図7は本実施例の照明装置、及びこれを用いた表示装置を示す概略斜視図である。本実施例に係る導光体は微小傾斜反射面に金属薄膜等の格別な反射面を形成しない場合、導光体から出射する照明光の輝度が最も高くなる方向は導光体の表面垂線方向から数度傾いた方向となる。すなわち、図7に示す通り、単位照明装置を構成する導光体と光源の位置関係が、光源からの出射光が入射すべき導光体に対し、光源が表示面下方向に位置するように配置すると、表示輝度が最も高くなる方向が表示面垂線200Aに対して上方に5〜10°傾いた方向となる。このことは一般の表示装置、特にコンピュータ用のモニターでは、下方から観察することはほとんどなく、上方からの視認性の向上が求められている折り、限られた光を観察者の方向へ効率よく分配する上で非常に有効である。つまり、本実施例では限られた光を有効に配光し、効率良く利用できる。
尚、本実施例では単位照明装置の数が3つの場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく単位照明装置の数を任意に増やすことで幅広い画面サイズに対応可能となることはいうまでもないだろう。
また、上記実施例では導光体の裏面の構造として、微小傾斜反射面を形成する場合を説明したが、導光体の裏面に白色顔料インク等による拡散反射面をパターニングしたものを用いても良い。この際、拡散反射面の面積比率は液晶パネルに照射される光量の均一化のために、光源101からの距離に対応して変化させると良い。
この場合も上記実施例と同様な効果が得られる。
すなわち、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現でき、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示ができる表示装置を実現することができる。
(実施例2)
図8は本発明の照明装置、及び表示装置の他の実施例を示す一部概略断面図である。本実施例は上記実施例の一部を変形したもので、上記実施例と同様な機能を有する部分については同じ符号をつけ、同一部分については詳細な説明は省略する。
上記実施例では、単位照明装置を構成する複数の導光体を光学的に結合するようにしたが、本実施例では初めから単位照明装置を構成すべき複数の導光体を一体成形した導光体を用いる。
図9は本実施例の導光体の斜視図である。図9に示すとおり、はじめから複数の導光体を一体成形したような導光体103を用いれば、単位照明装置を実現すべき複数の導光体の表面側の段差、及び継ぎ目は完全になくなるため、面内輝度分布がより均一な照明光を得ることができる。さらに、部品点数が減るため、生産性が上がりコストが下がるといった効果も期待できる。
(実施例3)
次に本発明に係る照明装置、及び表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。
図10は本発明の照明装置、及び表示装置の他の実施例を示す一部概略断面図であり、図11は本実施例の照明装置100の一部概略断面図、図12は本実施例の単位照明装置1000を構成する導光体の概略斜視図である。
本実施例は(実施例1)で説明した照明装置100の一部を変形したもので、上記実施例と同様な機能を有する部分については同じ符号をつけ、同一部分については詳細な説明は省略する。
図10、及び図11に示すとおり、本実施例は実施例1(図1)で説明した照明装置において、単位照明装置1000(1000a〜1000c)を構成する複数の導光体103(103a〜103c)の光源光が入射する部分が、導光体接合部分よりも突出し、この突出部103L及び光源101(101b,101c)が隣り合う導光体の裏面に配置される構造となっている。
従って、単位照明装置1000を構成する導光体103は図12に示す通り、裏面側(液晶パネル200と反対側)の幅Lrが、表面側(液晶パネル側)の幅Lsよりも長くなっており、導光体103の光源光が入射する端面10311と、隣り合う導光体との接合端面10312とで段差が形成されている。
導光体103の突出部103Lは表面,裏面ともに略平坦面となっており、端面10311から入射する光源光が全反射を繰り返しながら伝播する構造となっている。また、突出部103Lを除いた部分は実施例1(図4〜図6)で説明した導光体と同様、その表面は平坦な面で構成され、裏面には複数の微小傾斜反射面が構成される。
ここで、一般に導光体から出射する照明光は光源に近い部分ではその光量が多くなり、輝度の面内分布の均一化を図る際の障害となることがある。本実施例ではこの輝度分布不均一の原因となる導光体の光源近傍部分を突出させ、隣り合う導光体の裏面に配置することで、実際の照明には輝度の面内均一性の高い部分のみを利用するようにして、輝度の面内分布の均一性がより高い照明光を得るようにしたものである。
上記の通り、光源101、及び導光体103の突出部103Lは隣り合う導光体の裏面に配置する。これは、単位照明装置1000を複数個整列配置した際、複数の導光体の継ぎ目や、導光体表面側(液晶パネル200側)の段差をなくし、さらに光源を導光体の実際に照明に寄与する部分から隔てることでより均一な照明光を得るためである。
ここで、導光体103は光源101を隣り合う導光体の裏面に配置しても、導光体表面側(液晶パネル200側)の段差が生じないようにするために、光源光の入射側の厚さに対して、これと向かい合う端面1032の厚さが薄くなるように構成する。つまり、導光体103裏面の主面は導光体103の表面に対して傾斜している。この端面10312近傍での傾斜角度をβとした場合、端面10312,端面1032の厚さをそれぞれt13,t2 、突出部103Lの突出長さをL1 とすると、導光体表面側(液晶パネル200側)の導光体どうしの継ぎ目に段差が生じないようにするためには以下の関係を満たすことが望ましい。
t13>L1*tanβ+t2 …(数3)
また、光源101から出射する光の導光体103への入射効率を高めるには、端面10311の厚さが光源の管径よりも大きければ大きいほどより明るい照明光が得られる。しかしながら、導光体を厚くすると照明装置の厚さや重量が増えるという問題がある。そこで、導光体端面の有効厚さが光源管径の約1.2〜1.5倍で、照明光の輝度の上昇が飽和してくることを鑑みて、光源の大きさ(ここでは冷陰極蛍光ランプの直径)dと、導光体の端面10311の厚さt12が以下の関係を満たすようにすることがより望ましい。
1.5*d>t12>1.2*d …(数4)
ここでは、光源101として管径d=2.6mmの蛍光ランプを用い、t12=3.5mm,t13=1.5mm,t2=1mmとし、光源101の中心位置が導光体の裏面からの高さ1.75mmに位置するように配置した。
また、突出部103Lの突出長さL1 は長いほど導光体から出射される照明光の面内輝度分布の均一性は高まるが、突出長さL1 が長くなると照明装置が厚くなる等して装置が大型化するという問題が生じる。このため本実施例ではL1 =8mm以上とすれば輝度の面内均一性がほぼ飽和してくることを鑑みて、ここではL1 =8mmとした。
本構成によれば、導光体103に入射した光源101からの出射光は導光体103の突出部103Lを全反射を繰り返しながら通過して、さらに導光体内を伝播していく。導光体内を伝播する光のうち、導光体裏面の微小傾斜反射面に至った光は反射角度が変わり導光体表面から出射する。
この際、導光体から出射し、実際に液晶パネルの照明に寄与する照明光には光源近傍の輝度が高く、輝度分布が不均一な部分は含まれないので、面内輝度分布が均一な照明光が得られる。
導光体から出射した光は、拡散板105で照明光の角度分布や、面内輝度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。
液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、画像が表示される。
本実施例においても上記実施例1と同様、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数個整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型,軽量で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現できる。また、このような照明装置を用いることで、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示が得られる様々な画面サイズの表示装置を実現することができる。
また、本実施例では、特に導光体の輝度が高くなってしまう光源近傍部分と、実際に液晶パネルの表示に寄与する照明光を出射する部分とが隔てられているため、単位照明装置からの照明光はより面内輝度分布の均一性が高くなる。
従って、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化は拡散板105と導光体103表面との距離が上記実施例1の場合より、短くても視認できなくなるのでより薄型の照明装置、及び表示装置が実現できる。
尚、上記説明では導光体表面側(液晶パネル200側)の導光体どうしの継ぎ目に段差が生じないようにするためには(数式3)の関係を満たすことが望ましいと述べた。
しかし、図13に示す通り、導光体130の端面10311から、端面10312へ至る面10313を、隣り合う導光体130裏面の傾斜形状と略等しくすべく、以下の関係を満たせば、導光体継ぎ目の段差をなくすことができるで、この条件を満たすようにしても良い。
tl3>tr+t2 …(数5)
ここで、tr は反射板104の厚さである。
ところで、図13に示す照明装置の導光体として、図9を参照して説明したような複数の導光体をはじめから一体成形した導光体を用いても良い。
この場合、単位照明装置を実現するべき複数の導光体どうしの表面側の段差、及び継ぎ目は完全にないため、面内輝度分がより均一な照明光を得ることができる。さらに部品点数が減るため、コストが下がるといった効果が期待できる。
しかし、図13に示す導光体の形状の場合、突出部や隙間を射出成形で一体成形することが難しく、生産性が悪くなるという課題がある。
ここで、図13に示した照明装置の別の実施形態を図32を用いて説明する。
図32に示す照明装置は導光体が一枚の平板状導光体3231と、突出部3233が付いた複数の楔状導光体3232から構成される。複数の楔状導光体3232は突出部3233が隣り合う楔状導光体の裏面に配置されるよう整列配置され、かつ平板状導光体3231に例えばアクリル系の透明接着剤により、光学的に結合されており、外観上は図13を参照して説明した照明装置と同じ形状となっている。
尚、符号3234は平板状導光体3231と突出部付き楔状導光体3232の接合面である。
本実施の形態では、特に導光体の表面側が一枚の平板状導光体3231で構成されるため、単位照明装置を実現する複数の導光体どうしの表面側の段差、及び継ぎ目はないので、面内輝度分がより均一な照明光を得ることができるという効果がある。
また、平板状導光体3231、及び楔状導光体3232は別個に作成すれば容易に成形できるため、一体成形する場合のように生産性が低下するということはない。
(実施例4)
次に本発明に係る照明装置、及び表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。
本実施例は(実施例1)で説明した照明装置、及び表示装置の構成部材の一部の機能をより限定することで新たな効果を得るもので、上記実施例と同様な機能を有する部分については同じ符号をつけ、同一部分については詳細な説明は省略する。
図14は本発明の照明装置、及び表示装置の他の実施例を示す一部概略断面図である。本表示装置は光の透過光量を調節することで画像を表示する表示パネル200とその背面に配置した照明装置100とから構成される。
表示パネルとしては実施例1と同様の液晶パネルを用いると良い。ここで、液晶パネル200には、電極やスイッチング素子、或いは画素間(画素と画素の隙間)が存在し、これらの部分は非表示部(非開口部206)となり、画像の明るさに寄与しない。つまり、このような液晶パネルでは光損失の原因となる非開口部206が必然的に存在する。
これら非開口部206は画像の明るさに寄与しないが、殆どが金属電極であるため光を反射する。一般に金属電極としてはCrを用いることが多いが、本実施例の液晶パネルではCr(クロム)合金の他にAl(アルミニウム)合金を用いることで非開口部206での光の反射率を高めた。具体的には本実施例に係る液晶パネル200ではCrとAlの液晶パネル200背面側から見た際の面積比率をCr:Al=1:1.4 とした。こうすることで金属電極としてCrのみを用いた場合の反射率54%を、反射率74%まで高めることができた。
照明装置100は、(実施例1)で説明した照明装置と同様、整列配置した複数の導光体103(図中では103a〜103c)と、複数の導光体103の一側面(端面)にそれぞれ配置され、その側面(端面)長さに対応した発光長を有する複数の光源101(図中では101a〜101c)と、複数の光源101の導光体103端面方向を除く部分を覆うようにそれぞれ配置した複数のランプカバー102(図中では102a〜102c)と、複数の導光体103の裏面(液晶パネル200と反対側の面)に空気層を介してそれぞれ配置した複数の反射板104(図中では104a〜104c)と、複数の導光体103(103a〜103c)の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置した拡散板105とから構成される。
すなわち、照明装置100は、導光体103と、導光体103の一側面(端面)に配置した光源101と、ランプカバー102と、導光体103の裏面に配置した反射板104とから構成される単位照明装置1000(図中では1000a〜1000c)を複数個、整列配置し、その表面側にその全面を覆うように配置した拡散板105とから構成される。
次に本実施例特有の部分について詳述する。
本実施例の反射板104は、実施例1と同様、導光体103の裏面全面を覆うように配置され、導光体103裏面からの光を導光体103側へ反射する機能を有する。本実施例では特に反射光の偏光状態が維持される反射面を有する反射板を用いる。ここで述べる偏光状態を維持する反射面とは少なくとも垂直入射光に対しては直線偏光は直線偏光のまま反射し、円偏光はその回転方向が逆の円偏光として反射する反射面のことである。
このような反射板104としては、ガラス板,金属板,樹脂板、或いは高分子フィルム等の支持基材上に偏光が維持される反射面を形成したものを用いることができる。反射面は支持基材上にアルミニウム,銀等の反射率の高い金属薄膜を蒸着法、或いはスパッタリング法等により成膜したもの、或いは支持基材上に増反射膜となるように誘電体多層膜を形成したもの、或いは屈折率の異なる透明媒体を複数層積層することで反射板として機能するようにしたものを用いることができる。
ここでは、装置の小型,軽量化のために、支持基材としてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、反射面として銀の金属薄膜を成膜したものを用いた。
導光体103としては(実施例1)で図4〜図6を参照して説明した導光体を用いることができる。すなわち、一対の向かい合う端面1031と、端面1032との厚さが異なる板状の透明体であって、端面1031から入射した光を全反射により内部に閉じ込める構成と、内部を伝播する光の方向を導光体の裏面(液晶パネル200と反対側)に形成した微細な傾斜面を有する多数の凹凸面、または段差により構成される微小傾斜反射面により変えて、液晶パネル200側へ出射する構成としたものを用いることができる。
この際、導光体103を構成する透明体は後述の理由から光学的に等方であることが重要である。光学的に等方な透明体としては、ガラスや、射出成形により形成したアクリル樹脂を用いることができる。ここで、ガラスは一般にアクリル樹脂よりも比重が大きいので、同じ体積であれば重くなり、さらに加工や成形がアクリル樹脂ほど容易ではないので、導光体としてはアクリル樹脂を用いるとよいだろう。
ここでは導光体103として屈折率1.49 のアクリル樹脂を射出成形により形成したものを用い、導光体裏面の微小傾斜反射面103Aはその長軸方向を光源101の長軸方向と平行となるように形成し、微小傾斜反射面103Aの平均ピッチP=200μm,平均高さh=10μm,導光体103の表面103Cに対する平均傾斜角度θ=40°とした。
また、導光体103裏面の主面103Bを導光体103の表面103Cに対して傾斜させることで、導光体103の光源101側の端面1031の厚さに対し、これと向かい合う端面1032の厚さを薄くなるように構成した。
尚、微小傾斜反射面103Aの高さhを光源101に近いところでは低く、光源101から遠い場所では高くなるよう連続的に変化させる、或いは微小傾斜反射面101AのピッチP、もしくは傾斜角度θを光源101からの距離により連続的に変化させる、或いは導光体103の厚さ、即ち導光体の表面103Cと裏面の主面103Bとの距離を光源からの距離に応じて非直線的に薄くなるよう構成するなどして、導光体103から出射する光の均一性を高めるようにすると良い。この際、複数の導光体を接合したときに、隣り合う導光体から伝播する光も考慮して、輝度の面内均一性が高くなるように構成すると良い。
拡散板105は複数の単位照明装置1000(1000a〜1000c)の導光体103(103a〜103c)の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置する。
拡散板105は導光体103(103a〜103c)から出射した光の角度分布や、輝度分布を変えて、液晶パネル200へ照射される照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性を高める機能を有するものである。
本実施例では特に、入射した光をその偏光状態を略維持した状態で拡散する機能を有するものを使用する。このような拡散板としては光学的に等方な透明基材上に、例えば複数の球状透明ビーズを面状に密に並べ、透明な樹脂で固定するなどした拡散層を形成したもの、或いは光学的に等方な透明基材上に形成したホログラム拡散板、或いはSPIE Vol.1536 Optical Materials Technology for Energy Efficiency and Solar Energy Conversion X(1991)pp138−148に記載のLCG(light control glass)等を使用することができる。
図15及び図16に偏光維持機能を有する拡散板105の一例を示す。図15は拡散板105の一部斜視図であり、図16は拡散板105の一部断面図である。
この拡散板105はガラス、或いはキャスティング法(溶液流延法)により成膜したポリカーボネートフィルムや、トリアセチルセルロースフィルム等のポリマーフィルム、或いは射出成形により形成した脂環式アクリル樹脂(商品名オプトレッツ:日立化成製)等からなる光学的に等方な透明基材1501の一表面に、ガラス或いは樹脂からなる光学的に等方な球状透明ビーズ1502を面状に密に一層分だけ並べ、アクリル系、或いはポリエステル系等の透明接着樹脂1503により、固定したものである。
透明ビーズ1502は直径数μm〜数百μmの物を使用することができるが、拡散性能の制御、及び面内での均一性を図るためにできるだけ粒径の揃ったものを使用することが望ましい。
図16に示すとおり、この偏光維持拡散板105は透明ビーズ1502に入射した光1504が透明ビーズ1502界面での屈折作用により収束,発散することで拡散板として機能するもので、その拡散性は透明ビーズ1502の屈折率を変えることで任意に設計することが可能である。
また、図示したものと異なり、透明ビーズ1502全体を透明接着樹脂1503で覆ったものを使用しても良い。この場合、透明ビーズ1502と透明樹脂1503の屈折率が異なることが必要であるが、透明ビーズ1502は屈折率1.5〜2.0のものが比較的容易に入手可能であり、透明接着樹脂1503は屈折率1.4 〜1.6 のものが比較的容易に入手できるので、これらを適当に組み合わせることで所望の拡散性が得られる偏光維持拡散板を構成することができる。
さらに、図17に示すように透明ビーズ1502の層を複数重ねることで所望の拡散性を得るようにした偏光維持拡散板105を使用することもできる。
上記偏光維持拡散板は従来の多重散乱による拡散板と異なり、屈折作用を利用し、少ない界面で散乱性を得ているため、光の損失が少なく、さらに偏光状態へ与える影響が少ないため、偏光状態を略維持する拡散板として機能する。
一方、ホログラム拡散板を偏光維持拡散板105として使用する場合は、ガラス、或いはキャスティング法(溶液流延法)により成膜したポリカーボネートフィルムや、トリアセチルセルロースフィルム等の光学的に等方な透明基材上にフォトポリマーを塗布し、公知の技術である2光束干渉によって所望の散乱特性となるように記録したものを用いることができる。また、所望のホログラムパターンを計算機によって算出し、電子ビーム等によって描画,作製するCGH(Computer Generated Hologram)を用いてもよい。
ホログラム材料としてはアクリル系のフォトポリマーを用いることが耐久性等の面から望ましく、また、高い回折効率が得られるという点で体積位相型のホログラムの使用が望ましい。
白色光に対応するためには、光源101からの出射光の3原色に対応した輝線スペクトルにホログラムの中心回折波長を対応させればよく、例えば露光光源として赤色用にはHe−Neレーザー、緑色用にはAr+Dyeレーザー、青色用にはArレーザーを用いて作製したホログラムを用いればよい。この際、各波長で個別に露光した複数のホログラムを積層して用いてもよいが、1枚に複数の波長で多重露光したものを用いてもよい。
また、光学的に等方な透明基材上に透明な紫外線硬化樹脂等によりホログラムパターンを形成するといった方法で作成したレリース型のホログラムにより量産性が高い偏光維持機能を有するホログラム拡散板を実現してもよい。
尚、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化は、拡散板105と導光体表面との距離を大きくすればするほど視認できなくなる。具体的には拡散板105の拡散性にもよるが、現実的な拡散板であれば、拡散板105と導光体103表面との距離を0.1mm 〜15mm程度とすれば、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化は視認できなくなり、面内輝度分布の均一性が高い照明光が得られる。
尚、拡散板105はこれがなくても照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性が高ければ必ずしも配置する必要はないが、通常は必要となるものである。
次に本表示装置の動作を図14を参照しながら説明する。光源101(101a〜101c)から出射した光は、直接、或いはランプカバー102(102a〜102c)で反射した後、導光体103(103a〜103c)に入射する。導光体103(103a〜103c)に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体内を伝播する光のうち、導光体裏面の微小傾斜反射面に至った光は反射角度が変わり導光体表面で全反射条件をはずれて出射する。導光体103(103a〜103c)から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。
液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、画像が表示される。
本実施例においても上記実施例と同様の効果が得られる。すなわち、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数個整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型軽量で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現でき、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示ができる表示装置を実現することができる。
また、上記の通り、液晶パネル200には電極やスイッチング素子、或いは画素間等の非表示部(非開口部)206が存在する。これら非開口部206は画像の明るさに寄与しないが、殆どが金属電極であるため光を反射する。
従って、液晶パネル200に照射された光のうち、その開口部207に入射した光301はそのまま表示に利用されるが、液晶パネル200の非開口部206に入射した光302は表示に寄与せず、反射して照明装置100に戻る。
照明装置100に戻った光302は拡散板105、及び導光体103を透過し、反射板104に向かう。反射板104に向かった光は反射して、導光体103、及び拡散板105を介して再び液晶パネル200に照射される。この際、本実施例では拡散板105,導光体103の透過、及び反射板104での反射では光の偏光状態は大きく変化しない。このため液晶パネル200に再び照射された光302は、初めに液晶パネル200の非開口部206で反射された時の偏光状態をほぼ維持しているため、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与できる。すなわち、本実施例の表示装置では、従来、液晶パネル200の非開口部206で遮光され表示に寄与できなかった光を大きな損失のない状態で再利用することができるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果がある。
具体的には開口率70%の液晶パネル200を用いたとき、反射板104及び拡散板105に偏光維持機能がない場合に対して約2%輝度が向上した。また、開口率40%の液晶パネル200を用いたときは、同じく約15%輝度が向上した。つまり、本実施例の照明装置及びこれを用いた表示装置では、液晶パネルとして開口率の低いものを用いた場合にその効果がより顕著に現れる。
尚、本実施例では金属電極としてCr合金とAl合金を併用したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち理想的には電極の少なくとも液晶パネル200の背面側はAl,Ag等の反射率の高い金属を用いる、或いは、非開口部206の液晶パネル背面側に誘電体多層膜等による反射面を形成するなどして、非開口部206に入射する光を高い反射率で照明装置側へ反射するようにして、非開口部206での光吸収による光損失を最小限に留めることが望ましい。
(実施例5)
次に本発明に係る照明装置、及び表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。
図18は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の他の実施例を示す一部概略断面図である。
本実施例は(実施例4)で説明した照明装置、及び表示装置において、液晶パネル200と、照明装置100を構成する導光体103(103a〜103c)との間に、偏光分離手段としてのコレステリック液晶層106と、位相差板(1/4波長板)107とを液晶パネル200側から位相差板107,コレステリック液晶層106の順に配置したもので、上記実施例と同一の部分には同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
コレステリック液晶層106は配向処理された2枚のガラス基板間に低分子コレステリック液晶を収めた液晶セルや、高分子コレステリック液晶層をガラス或いは透明性樹脂等の光学的に等方で透明な基板上に形成したものを使用する。コレステリック液晶層106はヘリカルな分子配列に基づく特異な光学特性を示すもので、ヘリカル軸に平行に入射した光がコレステリック螺旋の回転方向に応じて一方の回転方向の円偏光は反射し、他方は透過するという選択反射を示すものである。従って、コレステリック液晶層106に入射する主光束がヘリカル軸と平行となるようにするため、コレステリック液晶層106のヘリカル軸は、液晶パネル200の表示面に対して垂直となるように構成する。また、選択反射の波長域は分子配列のピッチによって決るので、白色に対応するためには可視波長域全域で選択反射が起こる、或いは光源101の3原色に対応した輝線スペクトル波長において選択反射が起こるようにするためピッチの異なる複数のコレステリック液晶層を積層して用いることが必要である。尚、可視波長域全域で選択反射を得るためにピッチの異なるコレステリック液晶層を複数層重ねる代わりに Asia Display 95 Digest p735 に記載されているようなピッチを連続的に変化させたコレステリック液晶層を用いてもよい。
位相差板107はコレステリック液晶層106を透過した円偏光を、液晶パネル200の背面側(照明光入射側)の偏光板201を透過する直線偏光、すなわち偏光板206の透過軸と電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光に変換するもので、可視波長域において1/4波長板として機能するものを用いる。位相差板107としては可視波長域において高い透過率を有する延伸した高分子フィルム、例えばポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリスチレン,ポリアリレート等を用いることができる。この他にも雲母や水晶または分子軸を一方向に揃えて配向した液晶層等を用いることができる。
尚、一般に位相差板を構成する材質の屈折率の波長依存性(波長分散)により、一種類の位相差板で可視波長の全域に対し1/4波長板として機能する位相差板を構成することは困難であるが、波長分散の異なる少なくとも2種類の位相差板をその光学軸を直交するように貼り合わせることで広い波長域で1/4波長板として機能する位相差板を構成して使用するようにすればよい。
次に本実施例の照明装置、及びこれを用いた表示装置の動作を説明する。
光源101(101a〜101c)から出射した光は、直接、或いはランプカバー102(102a〜102c)で反射した後、導光体103(103a〜103c)に入射する。導光体103(103a〜103c)に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体内を伝播する光のうち、導光体裏面の微小傾斜反射面に至った光は反射角度が変わり導光体表面で全反射条件をはずれて出射する。導光体103(103a〜103c)から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、コレステリック液晶層106に入射する。
上記の通り、コレステリック液晶層106はコレステリック螺旋の回転方向に対応して一方の回転方向の円偏光は反射し、他方は透過するという選択反射を示すもので、ここでは右回り円偏光(以下、右円偏光)は透過し、左回り円偏光(以下、左円偏光)は反射する場合を説明する。
光源101(101a〜101c)から出射し、導光体103(103a〜103c)を介して、コレステリック液晶層106に入射した光は非偏光であるが、このうち、右円偏光成分はコレステリック液晶層106を透過し、左円偏光成分は反射する。コレステリック液晶層106を透過した光301Aは位相差板107の作用により、偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光に変換された後、液晶パネル200に入射する。一方、コレステリック液晶層106で反射した光301Bは拡散板105、及び導光体103(103a〜103c)を通過し、反射板104で反射して、再びコレステリック液晶層106へ向かう。この際、拡散板105、及び導光体103(103a〜103c)を通過する光は偏光の状態に大きな影響を受けることがなく、さらに反射板104で反射した光は円偏光の回転方向が逆の円偏光となる。このため、初めにコレステリック液晶層106で反射した光301Bは、反射板104での反射の際、右円偏光となり、今度はコレステリック液晶層301Bを透過し、位相差板107の作用により、偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光に変換された後、液晶パネル200に入射する。
従って、光源101からの非偏光である出射光は効率よく所望の直線偏光に変換された後、液晶パネル200に照射されることになる。ここで、所望の直線偏光とは液晶パネル200の照明光入射側の偏光板201を透過する直線偏光のことをいう。
液晶パネル200では画像情報に応じて照明光の透過光量が制御され、画像が表示される。この際、液晶パネル200に入射した光301A,301Bは偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。つまり、従来、液晶パネル200の偏光板201で吸収され、無駄となっていた光を有効に利用することができるため、明るく低消費電力な表示装置が実現できる。実際にはコレステリック液晶層106及び位相差板107を有しない照明装置を用いた場合に対して、同じ消費電力で表示面の輝度は約45%向上した。
尚、言うまでもないが、本実施例においても上記実施例と同様の効果が得られる。すなわち、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数個整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型軽量で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現でき、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示ができる表示装置を実現することができる。
ところで、液晶パネル200に照射された光のうち、液晶パネル200の非開口部206に入射した光302Aは初めは表示に寄与せず、反射して照明装置100に向かう。照明装置106に向かった光は位相差板107を透過する際、その作用を受けて右円偏光となり、コレステリック液晶層106を透過する。コレステリック液晶層106を透過した光は拡散板105及び導光体103(103a〜103c)を通過し、反射板104(104a〜104c)で反射して左円偏光となる。左円偏光となった光302Aはコレステリック液晶層106で反射され、再び拡散板105及び導光体103(103a〜103c)を通過し、反射板104(104a〜104c)で反射して、右円偏光になる。右円偏光となった光302Aは今度はコレステリック液晶層106を透過し、位相差板107の作用により、偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光に変換された後、液晶パネル200に再入射する。液晶パネル200に再入射した光302Aは偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。従って、初め液晶パネル200の非開口部206で反射して表示に寄与できなかった光も再利用できるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果もある。
尚、上記説明では拡散板105はコレステリック液晶層106の背面に配置したが、拡散板105の位置は液晶パネル200と、導光体103(103a〜103c)との間であればどこでも良く、上記実施例に限定されるものではない。
(実施例6)
次に本発明に係る他の照明装置及びこれを用いた表示装置の実施例を図面を用いて説明する。図19は本発明の照明装置、及びこれを用いた液晶表示装置の一例を示す一部概略断面図である。本実施例は(実施例5)で説明した照明装置、及びこれを用いた表示装置において、コレステリック液晶層106と、位相差板107の代わりに、位相差板108と、直線偏光分離素子109を液晶パネル200側から直線偏光分離素子109,位相差板108の順に配置したもので、上記実施例と同一の部分には同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
直線偏光分離素子109は、これに入射する光のうち特定の直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は反射する機能を有するもので、その構成は種々考えられる。
例えば、国際出願の国際公開番号:WO95/27919に記載の異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルムや、SID92 Digest p427 に記載の頂角が略90度のプリズムアレイを2枚重ね、その重ね合わせ部に誘電体多層膜による偏光分離面を形成したものを使用することができる。
尚、直線偏光分離素子109の直線偏光の透過軸は、液晶パネル200の背面側の偏光板201の直線偏光の透過軸と一致するように配置する。
位相差板108は直線偏光分離素子109で反射、或いは透過した直線偏光を円偏光に変換する機能を有するもので、可視波長域において1/4波長板として機能するものである。位相差板108としては可視波長域において透明で透過率の高い延伸した高分子フィルム、例えばポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリスチレン,ポリアリレート等を用いることができる。この他にも雲母や水晶または分子軸を一方向に揃えて配向した液晶層等を用いることができる。
尚、一般に位相差板を構成する材質の屈折率の波長依存性(波長分散)から、一種類の位相差板で可視波長の全域に対し1/4波長板として機能する位相差板を構成することは困難であるが、波長分散の異なる少なくとも2種類の位相差板をその光学軸を直交するように貼り合わせることで広い波長域で1/4波長板として機能する位相差板を構成することができる。
次に本実施例の照明装置、及びこれを用いた表示装置の動作を説明する。
光源101(101a〜101c)から出射した光は、直接、或いはランプカバー102(102a〜102c)で反射した後、導光体103(103a〜103c)に入射する。導光体103(103a〜103c)に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体内を伝播する光のうち、導光体裏面の傾斜反射面に至った光は反射角度が変わり導光体表面で全反射条件をはずれて出射する。導光体103(103a〜103c)から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、位相差板108を透過して、直線偏光分離素子109に入射する。上記の通り、直線偏光分離素子109は、液晶パネル200の背面側の偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は反射するものである。
従って、導光体103(103a〜103c)から出射し、拡散板105及び位相差板108を通過して、直線偏光分離素子109に入射した光のうち、偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光成分は直線偏光分離素子109を透過し、これと直交する直線偏光成分は反射する。直線偏光分離素子109を透過した光301Cはそのまま液晶パネル200に照射される。一方、直線偏光分離素子109で反射した光301Dは位相差板108の作用により円偏光(ここでは以下、左円偏光と成る場合について説明する)となり、拡散板105、及び導光体103(103a〜103c)を通過し、反射板104で反射して、再び位相差板108へ向かう。この際、拡散板105,導光体103を通過する光は偏光の状態に大きな影響を受けることがなく、さらに反射板104で反射した光は円偏光の回転方向が逆の円偏光となる。
このため、直線偏光分離素子109で反射して、位相差板108を透過した光301D(左円偏光)は、反射板104での反射の際、右円偏光となり、再び位相差板108を透過する際、その作用により、直線偏光分離素子109を透過する直線偏光となるため、今度は直線偏光分離素子109を透過して液晶パネル200に照射される。
従って、光源101からの非偏光である出射光は効率よく所望の直線偏光に変換された後、液晶パネル200に照射されることになる。ここで、所望の直線偏光とは液晶パネル200の照明光入射側の偏光板201を透過する直線偏光のことをいう。
液晶パネル200では画像情報に応じて照明光の透過光量が制御され、画像が表示される。この際、液晶パネル200に入射した光301C,301Dは偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。つまり、従来、液晶パネル200の偏光板201で吸収され、無駄となっていた光を有効に利用することができるため、明るく低消費電力な表示装置が実現できる。実際には位相差板108及び直線偏光分離手段109を有しない照明装置を用いた場合に対して、同じ消費電力で表示面の輝度は約49%向上した。
尚、言うまでもないが、本実施例においても上記実施例と同様の効果が得られる。すなわち、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数個整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型軽量で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現でき、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示ができる表示装置を実現することができる。
ところで、液晶パネル200に照射された光のうち、液晶パネル200の非開口部206に入射した光302Bは初めは表示に寄与せず、反射して照明装置100に向かう。照明装置100に向かった光は直線偏光分離素子109を透過し、位相差板108を透過する際、その作用を受けて右円偏光となる。位相差板108を透過した光は拡散板105及び導光体103(103a〜103c)を透過し、反射板104(104a〜104c)で反射して左円偏光となる。左円偏光となった光302Bは位相差板108を透過する際、その作用を受けて、直線偏光分離素子109で反射する直線偏光となり、直線偏光分離素子109で反射する。直線偏光分離素子109で反射した光302Bは、位相差板108を通過する際、その作用を受けて左円偏光となり、再び拡散板105、及び導光体103(103a〜103c)を透過して、反射板104で反射する際、右円偏光になる。右円偏光となった光302Bは、再び導光体103(103a〜103c)、及び拡散板105を透過し、位相差板108を透過する際、その作用により、今度は直線偏光分離素子109を透過する直線偏光となるため、直線偏光分離素子109を透過して液晶パネル200に照射される。液晶パネル200に再入射した光302Bは偏光板201の直線偏光透過軸と、電気ベクトルの振動方向が一致した直線偏光であるため、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。つまり、液晶パネル200の非開口部206で反射して表示に寄与できなかった光を大きな損失のない状態で再利用できるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果もある。
尚、上記説明では拡散板105は位相差板108の背面に配置したが、偏拡散板105の位置は液晶パネル200と、導光体103(103a〜103c)との間であればどこでも良く、上記実施例に限定されるものではない。
(実施例7)
次に本発明に係る他の照明装置及びこれを用いた表示装置の実施例を図面を用いて説明する。図20は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の一例を示す一部概略断面図である。本実施例は(実施例4)で説明した単位照明装置1000を構成する光源101と、光源101が隣接配置される導光体103の端面との間に直線偏光分離素子701を配置したものであり、上記実施例と同一の部分には同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
照明装置100は、(実施例4)で説明した照明装置と同様、整列配置した複数の導光体103と、複数の導光体103の一側面(端面)にそれぞれ配置され、その側面(端面)長さに対応した発光長を有する複数の光源101と、複数の光源101の導光体103方向を除く部分を覆うようにそれぞれ配置した複数のランプカバー102と、複数の導光体103の裏面(液晶パネル200と反対側の面)に空気層を介してそれぞれ配置した複数の反射板104と、複数の導光体103の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置した拡散板105とを有する。本実施例ではさらに、光源101が隣接配置される導光体103の端面と、光源101の間に直線偏光分離素子701を配置した。
つまり、照明装置100は、導光体103と、導光体103の一側面(端面)に配置した光源101と、ランプカバー102と、導光体103の裏面に配置した反射板104と、直線偏光分離素子701とから構成される単位照明装置1000を複数個整列配置し、その表面側にその全面を覆うように配置した拡散板105とから構成される。
単位照明装置1000はこれを構成する導光体を一対の向かい合う端面の厚さが異なる板状の透明体から構成し、複数の導光体を整列配置する際には、厚さが大きい端面と厚さが小さい端面とを表面側の段差、及び光学的に継ぎ目がないように接合する。光源は導光体の厚さが異なる一対の向かい合う端面のうち、厚さが大きい方の端面に近接する位置であって、なおかつ隣合う導光体の裏面となる位置に配置する。また、導光体103の光源光が入射する端面部分、すなわち、導光体の厚さが異なる一対の向かい合う端面のうち、厚さが大きい方の端面であって、導光体どうしの接合部を除く部分に直線偏光分離素子701を配置する。
本実施例の反射板104は、導光体103の裏面全面を覆うように空気層を介して配置され、導光体103の方向から来る光を導光体103側へ反射する機能を有し、さらに反射光の偏光状態が維持される反射面を有する反射板を用いる。
ここで述べる偏光状態を維持する反射面とは少なくとも垂直入射光に対しては直線偏光は直線偏光のまま反射し、円偏光はその回転方向が逆の円偏光として反射する反射面のことである。
反射板104としては(実施例4)で説明した反射板104を用いることができ、例えばPETフィルムからなる支持基材上に銀薄膜をスパッタリング法により成膜したものものを用いることができる。
導光体103は(実施例4)と同様で図4〜図6を参照して説明した導光体を用いることができる。すなわち、一対の向かい合う端面の厚さが異なる板状の透明体であって、厚さが厚い端面から入射した光を全反射により内部に閉じ込める構成と、内部を伝播する光の方向を導光体の裏面(液晶パネル200と反対側)に形成した微細な傾斜面を有する多数の凹凸面、または段差により構成される微小傾斜反射面により変えて、液晶パネル200側へ出射する構成としたものを用いることができる。
この際、導光体103を構成する透明体は後述の理由から光学的に等方であることが必要である。光学的に等方な透明体としては、ガラスや、射出成形により形成したアクリル樹脂を用いることができる。ここで、ガラスは一般にアクリル樹脂よりも比重が大きいので、同じ体積であれば重くなり、さらに加工や成形がアクリル樹脂ほど容易ではないので、導光体としてはアクリル樹脂を用いるとよい。
ここでは導光体103として、特に低複屈折性の材料である脂環式アクリル樹脂(商品名オプトレッツ:日立化成製)を射出成形により形成したものを用いた。導光体裏面の微小傾斜反射面103Aはその長軸方向を光源101の長軸方向と平行となるように形成し、微小傾斜反射面103Aの平均ピッチP=200μm,平均高さh=10μm,導光体103の表面103Cに対する平均傾斜角度θ=40°とした。
また、導光体103は光源101側の端面1031の厚さに対し、これと向かい合う端面1032の厚さが連続的に薄くなるように構成した。
尚、微小傾斜反射面103Aの高さhを光源101に近いところでは低く、光源101から遠い場所では高くなるよう連続的に変化させる、或いは微小傾斜反射面101AのピッチP、もしくは傾斜角度θを光源101からの距離により連続的に変化させる、或いは導光体103の厚さ、即ち導光体の表面103Cと裏面の主面103Bとの距離を光源からの距離に応じて非直線的に薄くなるよう構成するなどして、導光体103から出射する光の均一性を高めるようにすると良い。
拡散板105は複数の単位照明装置1000を構成する複数の導光体103の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置する。
拡散板105は導光体103から出射した光の角度分布や、輝度分布を変えて、液晶パネル200へ照射される照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性を高める機能を有するものである。
本実施例では特に、入射した光をその偏光状態を略維持した状態で拡散する機能を有するものを使用する。このような拡散板としては(実施例4)で説明した拡散板を用いれば良い。例えば、トリアセチルセルロースフィルムの上にガラス或いは樹脂からなる光学的に等方な球状透明ビーズを面状に並べ、アクリル系の透明接着樹脂により、固定したものを用いることができる。
尚、単位照明装置の接合部分での照明光の面内輝度分布の変化は、拡散板105と導光体表面との距離を大きくすればするほど視認できなくなる。具体的には拡散板105の拡散性にもよるが、現実的な拡散板であれば、拡散板105と導光体103表面との距離を0.1mm 〜15mm程度とすれば、単位照明装置を接合した継ぎ目での照明光の面内輝度分布の変化は視認できなくなり、面内輝度分布の均一性が高い照明光が得られる。また、拡散板105はこれがなくても照明光の角度分布や、面内輝度分布の均一性が高ければ必ずしも配置する必要はないが、通常は必要となるものである。
直線偏光分離素子701は、これに入射した光のうち特定の直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は反射する機能を有するものである。その構成は種々考えられ、例えば、国際出願の国際公開番号:WO95/27919に記載の異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルムや、SID92 Digest p427 に記載の頂角が略90度のプリズムアレイを2枚重ね、その重ね合わせ部に誘電体多層膜による偏光分離面を形成した板状のものを使用することができる。
また、この他に、コレステリック液晶層と、位相差板を積層配置したものも直線偏光分離素子701として使用することができる。この場合、光源101側から導光体103の端面に向かって、コレステリック液晶層,位相差板の順に積層配置する。
コレステリック液晶層は上述の通り、これに入射した光のうち一方の回転方向の円偏光は反射し、他方は透過するという選択反射を示すものである。白色に対応するために可視波長域全域で選択反射が起こる、或いは光源101の3原色に対応した輝線スペクトルの波長において選択反射が起こるようにするためピッチの異なる複数のコレステリック液晶層を積層して用いる。或いはAsia Display 95 Digest p735に記載されているようなピッチを連続的に変化させたコレステリック液晶層を用いるとよい。
位相差板はコレステリック液晶層を透過した円偏光を、直線偏光に変換するもので、可視波長域において1/4波長板として機能するものを用いる。位相差板としては可視波長域において高い透過率を有する延伸した高分子フィルム、例えばポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリスチレン,ポリアリレート等を用いることができる。この他にも雲母や水晶または分子軸を一方向に揃えて配向した液晶層等を用いることができる。
直線偏光分離素子701の直線偏光の透過軸は、これを透過した直線偏光が導光体103の裏面に形成された微小傾斜反射面に対してs偏光成分となるように配置する。すなわち、図20において、導光体103裏面の微小傾斜反射面を構成する三角溝の長手方向が紙面垂線方向であれば、直線偏光分離素子701の直線偏光の透過軸も紙面垂線方向となるように配置する。
次に本実施例の照明装置の動作を図20を参照しながら、本照明装置を構成する一単位照明装置100に着目して説明する。
光源101から出射した光3000は、直接、或いはランプカバー102で反射した後、直線偏光分離素子701に入射する。この際、光源101からの出射光3000は非偏光であるため、直線偏光分離素子701に入射した光のうち、約半分に相当する特定の直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は反射する。
直線偏光分離素子701で反射した光3002は、光源101、或いはランプカバー102で反射して再び直線偏光分離素子701に入射する。直線偏光分離素子701に再入射した光は、光源101、或いはランプカバー102での反射の際、偏光状態が変化、或いは偏光が解消しているので、その約半分に相当する特定の直線偏光成分が透過し、これと異なる偏光成分は再び反射する。この動作を繰り返す間に光源101から出射した光の65%程度が特定の直線偏光となって直線偏光分離素子701を通過する。
直線偏光分離素子701を透過した光3001は導光体103に入射する。導光体103に入射した光3001は導光体103内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体103内を伝播する光のうち、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。
この際、導光体103に入射する光は直線偏光分離素子701を透過した光なので、その大部分が導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光、或いはs偏光成分が多い光であり、さらに導光体103は光学的に略等方であるため、導光体103内を伝播する光は偏光状態が維持されるので、微小傾斜反射面103Aに対してs偏光、或いはs偏光成分が多い光である。
ここで、一般に誘電体、或いは導体からなる反射面に対して斜めに入射する光は、その光が反射面に対してs偏光、或いはp偏光の直線偏光であれば、反射光は入射光と同じ直線偏光である。
従って、導光体103内を伝播し、微小傾斜反射面103Aに至る光のうち、微小傾斜反射面に対してs偏光である光は、s偏光のまま光の進行方向が変わり、導光体103から出射する。
つまり、導光体103から出射する光は導光体103裏面の傾斜反射面103Aに対して、s偏光成分が多い光、つまり、電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜面103Aの長手方向と平行な略直線偏光の照明光が得られる。
ここで、導光体内を伝播する光を微小傾斜反射面103Aに対してs偏光となる直線偏光とすることで以下の効果が得られる。
図21は微小傾斜反射面103Aに格別な反射面を形成しない場合の光入射角度と反射率の関係をp偏光とs偏光について示した図である。すなわち、微小傾斜反射面103Aでの反射が導光体と空気との屈折率差により生じる場合を示す。
図21より明らかな通り、p偏光に対して、s偏光の反射率は高く、例えば入射角度30°ではs偏光の反射率がp偏光の反射率に対して10%,入射角度40°では30%程度高くなる。つまり、微小傾斜反射面103Aで反射し、導光体から出射する照明光はs偏光の反射率が高いため、初めから導光体に入射する光をs偏光とすることで、より効率良く特定の直線偏光が得られる。
導光体103から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。この際、拡散板105は偏光状態を維持するため、液晶パネル200には所定の直線偏光が照射される。
尚、本実施例の照明装置では、導光体の幅、すなわち導光体の光源側端面と、これと対向する端面までの距離を液晶パネル表示部の大きさによらず短く設定することができる。導光体の幅が短くなれば、導光体内部を伝播する光の伝播距離は短くなる。このため、アクリル樹脂のように微量の屈折率異方性がある透明体を導光体として用いた場合でも、本発明の照明装置であれば光の伝播距離が短くできるため、偏光状態の変化が小さくすみ、所定の直線偏光成分が多い照明光を効率良く出射する照明装置が実現できる。
次に液晶パネル200について説明する。上述の通り、本実施例の照明装置では電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜反射面103A(を構成する三角溝)の長手方向と平行な電気ベクトルの振動方向を有する直線偏光成分が多い照明光が得られる。従って、照明装置を構成する際、光源101の長手方向を液晶パネル200の表示面左右方向と平行な方向に配置し、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aを構成する三角溝の長手方向もこれと平行となるよう構成すると、照明装置からの照明光は表示面左右方向に平行な方向に振動方向を有する直線偏光となる。
液晶パネル200としては上記実施例と同様、TN液晶パネルを用いることができる。しかし、一般にTN液晶パネルでは視野角の左右対称性を得るために、偏光板201、及び偏光板205の直線偏光の透過軸を表示面左右方向に対し、45°(或いは135°)傾けて配置する。このため、折角特定の直線偏光、すなわち表示面左右方向に平行な方向に振動方向を有する直線偏光を出射する照明装置100を用いても照明光が効率よく利用できない。
従って、本実施例では偏光板201を直線偏光の透過軸を表示面左右方向と一致させても視野角等に悪影響を与えない表示モードを用いることが必要である。
このような表示モードを用いた液晶パネルとしては、くの字電極により配向分割を実現するIPS(In Plane Switching)液晶パネルや、MVA(Multi-domain Vertical Aligned)液晶パネルを用いることができる。
本実施例では以下、図20、及び図22を参照しながら液晶パネル200としてIPS液晶パネルを用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図22は本実施例の液晶パネル200の1画素の構成を示す正面図である。液晶パネル200の1画素は透明ガラス基板202上に形成したアルミナ膜が被覆されたAl合金からなる共通電極2003及び走査信号電極2004と、これらの上層に図示しないSiNからなるゲート絶縁膜を介して形成されたAl/Crからなる映像信号電極2001及び画素電極2002と、これら電極と図示しない非晶質Si(a−Si)膜,n型a−Si膜、等により形成したスイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)2006を有する。
さらにこれらの上層にはSiNからなる保護層が形成され、その上に配向膜を介して液晶層208が形成される。
また、画素電極2002は共通電極2003と一部重なり合い、保持容量を形成する。
共通電極2003、及び画素電極2002は一画素を4つの領域に分割しており、互いに略一定の間隙を保ちながら、くの字型をつなげた形、すなわちジクザク型になっている。共通電極2003、および画素電極2002の液晶パネル200表示部上下方向に対するくの字の傾き角度αは+10°と、−10°とする。
液晶層208を構成する液晶としては、ここでは正の誘電異方性を有する液晶を用い、2枚の透明ガラス基板202,204上に形成された配向膜に配向処理を行うことで液晶分子長軸の方向を規定した。液晶層208の液晶配向方向は、2枚の透明ガラス基板202,204間で捩じれのない、いわゆるホモジニアス配向であり、液晶分子長軸の方向を液晶パネル200表示部左右方向と直交するように配向した。
図23は液晶パネル200表示部左右方向を基準とした場合の各部材の条件を示す図であり、本実施例の偏光板205,偏光板201の直線偏光の透過軸,液晶層208の液晶分子長軸の配向方向、及び導光体103裏面の微小傾斜反射面103A(を構成する三角溝)の長手方向を示す。
図示の通り、本実施例の表示装置では、液晶パネル200の観察者側の偏光板205の直線偏光の透過軸は、表示面左右方向と90°を成し、液晶層208の液晶分子長軸の方向も表示面左右方向と90°を成すよう配置する。液晶パネル200の照明光入射側の偏光板201の直線偏光の透過軸は、表示面左右方向と平行とし、照明装置を構成する導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aの長手方向も表示面左右方向と平行となるよう構成した。
本構成により、本実施例の液晶パネル200は、液晶層208へ電圧が印加されないとき、暗表示となり、液晶層208への印加電圧を高くすると明表示となる、いわゆるノーマリークローズの表示特性が得られる。
ここで、液晶パネル200には、電極やスイッチング素子等が存在し、これらの部分は非表示部(非開口部206)となり、画像の明るさに寄与しない。これら非開口部206は画像の明るさに寄与しないが、殆どが金属電極であるため光を反射する。本実施例の液晶パネルではCr(クロム)合金の他にAl(アルミニウム)合金を用いることで非開口部206での光の反射率を高めた。具体的には本実施例に係る液晶パネル200ではCrとAlの液晶パネル200背面側から見た際の面積比率をCr:Al=1:1.4 とした。こうすることで金属電極としてCrのみを用いた場合の反射率54%を、反射率74%まで高めることができた。
次に本表示装置の動作を図20を参照しながら説明する。
本実施例の照明装置100では、上述の通り、非偏光である光源101からの出射光の65%程度が特定の直線偏光となって直線偏光分離素子701を通過し、導光体103に入射する。導光体103に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播し、そのうち導光体103裏面の傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。導光体103から出射した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対して、s偏光成分が多い光、つまり、電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜面103Aの長手方向と平行な直線偏光成分の多い照明光が得られる。
導光体103から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。この際、拡散板105は偏光状態を維持するため、導光体103からの出射光の偏光状態は維持されたまま液晶パネル200に到達する。液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、観察者に画像が表示される。
この際、液晶パネル200の照明光入射側の偏光板201の直線偏光の透過軸は、照明装置を構成する導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aの長手方向と平行となるよう構成したので、照明光の大部分は液晶パネル200の照明装置側の偏光板201でほとんど吸収されることなく表示に寄与する。
つまり、光源101からの非偏光である出射光は効率よく所望の直線偏光に変換された後、液晶パネル200に照射され、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。従って、従来、液晶パネル200の偏光板201で吸収され、無駄となっていた光を有効に利用することができるため、明るく低消費電力な表示装置が実現できる。
尚、上記の通り、液晶パネル200には電極やスイッチング素子等の非開口部206が存在する。これら非開口部206は画像の明るさに寄与しないが、殆どが金属電極であるため光を反射する。
従って、液晶パネル200に照射された光のうち、その開口部207に入射した光30001Aはそのまま表示に利用されるが、液晶パネル200の非開口部206に入射した光3001Bは表示に寄与せず、反射して照明装置100に戻る。
照明装置100に戻った光3001Bは拡散板105、及び導光体103を透過し、反射板104で反射して、再び導光体103、及び拡散板105を透過して液晶パネル200に照射される。この際、本実施例では拡散板105と導光体103の透過、及び反射板104での反射では光の偏光状態は維持され大きく変化しない。このため液晶パネル200に再び照射された光3001Bは、初めに液晶パネル200の非開口部206で反射された時の偏光状態をほぼ維持しているため、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与できる。すなわち、本実施例の表示装置では、従来、液晶パネル200の非開口部206で遮光され表示に寄与できなかった光を大きな損失のない状態で再利用することができるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果がある。
ここで、(実施例5)、及び(実施例6)で説明した照明装置では、本実施例と同様、非偏光である光源光を所望の直線偏光に変換する機能を有するが、液晶パネル200の非開口部206からの戻り光は、導光体103裏面の反射板104での2回の反射、及び導光体103及び拡散板105を2往復透過した後、液晶パネルに照射される。
一方、本実施例では、非偏光である光源光を所望の直線偏光に変換する機能を有するとともに、液晶パネル200の非開口部206からの戻り光は、導光体103裏面の反射板104で一回反射した後、導光体103及び拡散板105を1往復透過しただけで、再び液晶パネル200に照射される。
このため、非開口部206からの戻り光の反射板104、及び導光体103や拡散板105での損失や、偏光状態の乱れは小さくなり、非開口部206からの戻り光をより効率良く再利用することができる。
つまり、本実施例の照明装置及びこれを用いた表示装置では、液晶パネルとして開口率の低いものを用いた場合にその効果がより顕著に現れるので、液晶パネルとしてIPS液晶パネル等の比較的開口率の低い液晶パネル、或いは高精細化により低開口率となった液晶パネルとの組み合わせが好適である。
尚、本実施例では金属電極としてCr合金とAl合金を併用したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち理想的には電極の少なくとも液晶パネル200の背面側はAl,Ag等の反射率の高い金属を用いる、或いは、非開口部206の液晶パネル背面側に誘電体多層膜等による反射面を形成するなどして、非開口部206に入射する光を高い反射率で照明装置側へ反射するようにして、非開口部206での光吸収による光損失を最小限に留めることが望ましい。
ところで、(実施例6)では液晶パネル表示部と同程度以上の面積の直線偏光分離素子が必要であった。これに対し、本実施例で使用する直線偏光分離素子は、導光体の特定端面を覆う分だけで良いので、導光体の構成にもよるが(実施例6)に比べてその使用面積は1/5〜1/20と少なくなる。直線偏光分離素子は一般に高価なため、直線偏光分離素子の使用量を減らすことで装置が低コスト化できるといった効果もある。
また、述べるまでもないが、本実施例においても上記実施例と同様の効果が得られる。すなわち、光源,導光体,ランプカバー,反射板からなる単位照明装置を複数整列配置することにより、大型化(大画面化)を図った場合でも、薄型で、かつ面内輝度分布が均一で、高輝度な光を出射する照明装置が実現でき、より明るく、輝度の面内均一性が高い高品位な表示ができる表示装置を実現することができる。
(実施例8)
次に本発明に係る他の照明装置及びこれを用いた表示装置の実施例を図面を用いて説明する。図24は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の一例を示す一部概略断面図である。
本実施例は(実施例7)で説明した照明装置において、光源101と、これが隣接配置される導光体103の端面に配置した直線偏光分離素子701との間に光収束部103Mを配置したものであり、上記実施例と同一の部分には同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
光収束部103Mは光源101からの発散光を収束する機能を有し、光源光をより平行光に近い状態にして直線偏光分離素子701に入射させるための手段である。
光収束部103Mは光源101と直線偏光分離素子701との間であって、隣合う導光体の裏面となる位置に配置される。光収束部103Mはアクリル樹脂,ガラス等の透明体から構成され、光源101側から、導光体103側へ向かってその断面積が大きくなる、テーパー形状となっている。
また、光収束部103Mの光源側の端面と、直線偏光分離素子701側の端面を除く面には空気層を介して反射板1041を配置する。
光収束部103Mの設計は既に熟知されているためその詳細は省略するが、光収束部103Mの光源側の端面は光源光の入射効率を高くするために、光源101の管径の1.2〜1.5倍程度の厚さとすれば良いだろう。
次に本実施例の照明装置の動作を図24を参照しながら、本照明装置を構成する一単位照明装置100に着目して説明する。
光源101から出射した光3000は、直接、或いはランプカバー102で反射した後、光収束部103Mに入射する。光収束部103Mに入射した光は、光収束部103Mの表面,裏面、及び側面での反射により収束され、直線偏光分離素子701に入射する。
ここで、直線偏光分離素子701は、これに入射した光のうち特定の直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は反射する機能を有するものである。直線偏光分離素子701としては上記の通り、国際出願の国際公開番号:WO95/27919に記載の異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルムや、SID92 Digest p427 に記載の頂角が略90度のプリズムアレイを2枚重ね、その重ね合わせ部に誘電体多層膜による偏光分離面を形成したもの、或いはコレステリック液晶層と、位相差板を積層配置したものを用いることができる。
これらはいずれも垂直、或いは垂直に近い角度で入射する光に対しては効率よく機能を果すが、斜めから入射する光に対しては機能が低下する。
本実施例では光源から出射した光を光収束部103Mで収束することで、直線偏光分離素子701に垂直に入射する光の割合を増やして直線偏光分離素子701が有効に機能する光の割合を高めたものである。
非偏光である光源101からの出射光3000は光収束部103Mで収束された後、直線偏光分離素子701に入射する。直線偏光分離素子701に入射した光は、直線偏光分離素子701に垂直に入射する光の割合が多いので、効率良く特定の直線偏光成分として透過し、これと異なる偏光成分は反射する。
直線偏光分離素子701で反射した光3004は、光収束部103Mの外側に配置した反射板1041、或いは光源101やランプカバー102で反射して再び直線偏光分離素子701に向かう。
直線偏光分離素子701に再入射する光は、反射板1041,光源101、或いはランプカバー102での反射の際、偏光状態が変化、或いは偏光が解消しているので、その約半分に相当する特定の直線偏光成分は透過し、これと異なる偏光成分は再び反射する。この動作を繰り返す間に光源101から出射した非偏光の70%程度が特定の直線偏光となって直線偏光分離素子701を通過する。
直線偏光分離素子701を透過した光3003は導光体103に入射する。導光体103に入射した光3003は導光体103内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体103内を伝播する光のうち、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。
この際、導光体103内を伝播する光は直線偏光分離素子701を透過した光なので、その大部分が導光体103裏面の傾斜反射面103Aに対してs偏光、或いはs偏光成分が多い光であり、導光体103から出射する光も導光体103裏面の傾斜反射面103Aに対して、s偏光成分が多い光、つまり、電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜面103Aの長手方向と平行な直線偏光成分が多い光となる。
次に本表示装置の動作を図24を参照しながら説明する。
本実施例の照明装置100では、上述の通り、非偏光である光源101からの出射光の70%程度が特定の直線偏光となって直線偏光分離素子701を通過し、導光体103に入射する。導光体103に入射した光は導光体内を全反射を繰り返しながら伝播し、そのうち導光体103裏面の傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。導光体103から出射した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対して、s偏光成分が多い光なので、電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜面103Aの長手方向と平行な直線偏光成分の多い照明光が得られる。
導光体103から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。この際、拡散板105は偏光状態を維持するため、導光体103からの出射光の偏光状態は維持されたまま液晶パネル200に到達する。液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、観察者に画像が表示される。
この際、液晶パネル200の照明装置側の偏光板201の直線偏光の透過軸は、照明装置を構成する導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aの長手方向と平行となるよう構成したので、照明光の大部分は液晶パネル200の照明装置側の偏光板201でほとんど吸収されることなく表示に寄与する。
つまり、光源101からの非偏光である出射光は効率よく所望の直線偏光に変換された後、液晶パネル200に照射され、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。従って、従来、液晶パネル200の偏光板201で吸収され、無駄となっていた光を有効に利用することができるため、明るく低消費電力な表示装置が実現できる。
尚、液晶パネル200に照射された光のうち、その開口部207に入射した光3003Aはそのまま表示に利用されるが、液晶パネル200の非開口部206に入射した光3003Bは表示に寄与せず、反射して照明装置100に戻る。
照明装置100に戻った光3003Bは拡散板105、及び導光体103を透過し、反射板104で反射して、再び導光体103、及び拡散板105を透過して液晶パネル200に照射される。この際、本実施例では拡散板105と導光体103の透過、及び反射板104での反射では光の偏光状態は維持され大きく変化しない。このため液晶パネル200に再び照射された光3003Bは、初めに液晶パネル200の非開口部206で反射された時の偏光状態をほぼ維持しているため、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与できる。すなわち、本実施例の表示装置では、従来、液晶パネル200の非開口部206で遮光され表示に寄与できなかった光を大きな損失のない状態で再利用することができるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果がある。
本実施例においても非偏光である光源光を所望の直線偏光に変換する機能を有するとともに、液晶パネル200の非開口部206からの戻り光は、導光体103裏面の反射板104で一回反射した後、導光体103及び拡散板105を1往復透過しただけで、再び液晶パネル200に照射される。このため、非開口部206からの戻り光の反射板104、及び導光体103や拡散板105での吸収や、偏光状態の乱れが小さく、非開口部206からの戻り光をより効率良く再利用することができる。
従って、本実施例の照明装置及びこれを用いた表示装置では、液晶パネルとして開口率の低いものを用いた場合にその効果がより顕著に現れるので、液晶パネルとしてIPS液晶パネル等の比較的開口率の低い液晶パネル、或いは高精細化により低開口率となった液晶パネルとの組み合わせが好適である。
また、本実施例では特に光源と、導光体との間に光収束部を設けたため、以下の効果が得られる。すなわち、光源近傍の輝度が高い部分と、液晶パネルの表示に寄与する照明光を出射する部分とが光収束部により隔てられているため、単位照明装置からの照明光の面内輝度分布の均一性はより高くなる。
さらに、光収束部によって光源から出射し、直線偏光分離素子に入射する光を収束することで、直線偏光分離素子の機能が高められるため、所定の直線偏光をより効率の良く出射する照明装置が実現できるので、より明るく低所費電力の表示装置が実現できる。
(実施例9)
次に本発明に係る他の照明装置及びこれを用いた表示装置の実施例を図面を用いて説明する。図25は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の一例を示す一部概略断面図である。
本実施例は(実施例7)で説明した照明装置において、導光体103の近傍に配置した光源と、光源を覆うように配置したランプカバーと、導光体103の端面に配置した直線偏光分離素子701の代わりに、複数の整列配置したLED(Light Emitting Diodes)501と、LED501からの出射光を収束し、平行化するレンズ502と、LED501からの出射光を所定の直線偏光に変換する偏光変換手段510を配置したものであり、上記実施例と同一の部分には同じ符号をつけ、詳細な説明は省略する。
照明装置100は、整列配置した複数の導光体103と、複数の導光体103の裏面(液晶パネル200と反対側の面)に空気層を介して配置した複数の反射板104と、複数の導光体103の表面(液晶パネル200側の面)側にその全面を覆うように配置した拡散板105とを有し、さらに導光体103の一端面に複数の整列配置したLED501と、LED501からの出射光を平行化するレンズ502と、LED501からの出射光を所定の直線偏光に変換する偏光変換手段510とを配置したものである。
図26は照明装置を液晶パネル側から観たときの、複数の整列配置したLED501と、LED501からの出射光を平行化するレンズ502と、LED501からの出射光を所定の直線偏光に変換する偏光変換手段510の概略構成を示す一部断面図である。
本実施例の照明装置では光源として白色発光のLEDを用いる。
白色発光のLEDとしてはGaN系青色発光LEDチップの表面にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を塗布し、青色発光と、青色光により発生する蛍光とが混ざりあい白色光となるもの、或いは、ZnSe基板にZnxCd1−xSを活性層にした青色発光LEDを形成し、青色発光と青色光によりZnSe基板で発生する黄色の蛍光とが混ざり合い白色光となるもの等を用いることができる。
或いは、赤色,緑色,青色に発光する3つの単色発光LED素子の発光色の混ざり合いにより白色光を実現したものを用いることができる。
レンズ502はLED501から出射する拡散光を収束し、平行化する機能を有するもので複数のLED501に対し、1対1に対応して配置する。
尚、市販の透明レンズを備えたLEDランプの中には指向性が強い、すなわち平行性の高い出射光が得られるものがあるので、これをLED501とレンズ502を一体化したものとして使用しても良い。
具体的には品名NSPW500BS(日亜化学工業製)等を用いることができる。この場合、半値角が約±10°の指向性が高い出射光が得られる。
偏光変換手段510は、偏光分離プリズムアレイ509と、偏光分離プリズムアレイ509から出射する光の偏光状態を揃える位相差板504とから構成される。
偏光分離プリズムアレイ509はLED501から出射した光を反射と透過により電気ベクトルの振動方向が互いに直交する2種類の直線偏光に分離する偏光分離面503と、偏光分離面503で反射した光を偏光分離面503を透過した光の方向と同じ方向へ反射する反射面505とを断面形状が平行四辺形の柱状の透光性部材506を介して交互に複数配列したものである。
透光性部材506は光源の発光スペクトルに対して透明で複屈折性のない材料、例えばBK−7等の硝材、或いはアクリル樹脂等から構成される。透光性部材506はその断面形状が内角45°の平行四辺形である柱状の透明体であり、これを順次接合することで板状の外観を形成するもので、透光性部材506の接合界面には偏光分離面503、及び反射面505が交互に形成される。
偏光分離面503は透光性部材506に形成した誘電体多層膜、或いは国際出願の国際公開番号:WO95/27919に記載されている様な異なる複屈折性高分子フィルムを交互に複数層積層した複屈折反射型偏光フィルムを透光性部材506の接合界面に挟み込むことで実現すれば良い。本実施例の偏光分離面503は偏光分離面503に対してp偏光となる直線偏光は透過し、s偏光となる直線偏光は反射するよう構成する。
反射面505は偏光分離面503で反射した光を偏光分離面503を透過した光と同じ方向に反射するもので、偏光分離面503と同じ誘電体多層膜、或いはAl,Ag等の金属薄膜等の鏡面反射面により実現すれば良い。
位相差板504は偏光分離プリズムアレイ509から出射する光を、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光となる直線偏光に揃える機能を有する。本実施例では、偏光分離プリズムアレイ509の偏光分離面503を透過した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光であり、偏光分離面503で反射し、さらに反射面504で反射した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してp偏光である。
このため、位相差板504として、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してp偏光である直線偏光をs偏光に変換する機能を有するものを用い、偏光分離プリズムアレイ509の光出射面のうち、偏光分離面503及び反射面505で反射した光が通過する部分に配置する。
つまり、位相差板504としては、光源の発光スペクトルに対し1/2波長板として機能するものを用いる。1/2波長位相差板としては光源の発光スペクトルに対して高い透過率を有する延伸した高分子フィルム、例えばポリビニルアルコール,ポリカーボネート,ポリサルフォン,ポリスチレン,ポリアリレート等を用いることができる。この他にも雲母や水晶または分子軸を一方向に揃えて配向した液晶層等を用いることができる。
尚、一般に位相差板を構成する透明体には屈折率の波長依存性(波長分散)があり、白色光のように波長帯域が広い光に対しては一種類の位相差板では十分な性能が得られない。そこで、2種類の波長分散が異なる位相差板をその光学軸をずらして張り合わせることで、広い波長帯域に対応した1/2波長板を実現するようにするとよい。
図示のとおり、LED501、及びコリメートレンズ502は偏光分離プリズムアレイ509を構成する複数の透光性部材506の光入射面の中心位置であって、LED501から出射する光の進行方向に対応した接合界面に偏光分離面503が形成されている位置に配置する。つまり、複数のLED501、及びコリメートレンズ502は透光性部材506の光入射面の幅ひとつ分の間隔をあけながら列状に配置される。また、位相差板504は、偏光分離プリズム501の光出射面のうち、偏光分離面503で反射し、さらに反射面505で反射した光が通過する透光性部材506の光出射面に透光性部材506の光出射面ひとつ分の幅の間隔をあけながら配置される。
偏光変換手段510は導光体103の端面に光学的に結合するように接続される。すなわち、偏光変換手段510と導光体103を、導光体103及び偏光分離プリズム501を構成する透光性部材506の屈折率に近い透明接着剤により結合する。
液晶パネル200は、照明光入射側の偏光板201の直線偏光透過軸が導光体103裏面の微小傾斜反射面103A(を構成する三角溝)の長手方向と平行になるように配置した液晶パネルを用いるとよい。本実施例では(実施例7)で説明した配向分割したIPS(In Plane Switching)液晶パネルを用いる。
次に図面を参照しながら本表示装置の動作を説明する。
LED501から出射した発散光3005はレンズ502の作用により収束し、平行化された後、偏光分離プリズムアレイ509に入射する。偏光プリズムアレイ509に入射した光は偏光分離面503において、電気ベクトルの振動方向が直交する異なる2種類の直線偏光に、それぞれ反射光と透過光として分離される。
偏光分離面503を透過した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光であり、偏光分離面503で反射した光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してp偏光である。
偏光分離面503を透過した光3005Aは導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光のまま導光体103に入射する。
一方、偏光分離面503で反射した光は、さらに反射面505で反射して、その進行方向が偏光分離面501を透過した光と同方向となり、位相差板504に入射する。位相差板504に入射した光3005Bは位相差板504を透過する際、位相差板504の作用を受けて、電気ベクトルの振動方向が90°回転した直線偏光、すなわち導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光となって導光体103に入射する。
つまり、光源であるLED501から出射した非偏光は、特定の直線偏光(導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光)に変換された後、導光体103に入射する。
導光体103に入射した光3005A及び3005Bは導光体103内を全反射を繰り返しながら伝播し、導光体103内を伝播する光のうち、導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに至った光は反射角度が変わり導光体表面103Cで全反射条件をはずれて出射する。
この際、導光体103内を伝播する光は導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aに対してs偏光、或いはs偏光成分が多い光であり、微小傾斜反射面103Aに対してs偏光である光は、s偏光のまま光の進行方向が変わり、導光体103から出射する。
つまり、導光体103から出射する光は導光体103裏面の傾斜反射面103Aに対して、s偏光成分が多い光であるため、照明装置100からは電気ベクトルの振動方向が導光体103裏面の微小傾斜面103Aの長手方向と平行な直線偏光成分が多い照明光が得られることになる。
導光体103から出射した光は、拡散板105で光量分布、及び照明光の角度分布が均一化された後、液晶パネル200に照射される。この際、拡散板105は偏光状態を維持するため、導光体103からの出射光の偏光状態は維持されたまま液晶パネル200に到達する。液晶パネル200に照射された光は画像情報に応じて透過光量が制御され、観察者に画像が表示される。
上記の通り、液晶パネル200の照明装置側の偏光板201の直線偏光の透過軸は、照明装置を構成する導光体103裏面の微小傾斜反射面103Aの長手方向と平行となるよう構成したので、照明光の大部分は液晶パネル200の照明装置側の偏光板201でほとんど吸収されることなく表示に寄与する。
つまり、光源501からの非偏光である出射光は効率よく所望の直線偏光に変換された後、液晶パネル200に照射され、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与する。従って、従来、液晶パネル200の偏光板201で吸収され、無駄となっていた光を有効に利用することができるため、明るく低消費電力な表示装置が実現できる。
尚、液晶パネル200に照射された光のうち、その開口部207に入射した光3005Cはそのまま表示に利用されるが、液晶パネル200の非開口部206に入射した光3005Dは表示に寄与せず、反射して照明装置100に戻る。
照明装置100に戻った光3005Dは拡散板105、及び導光体103を透過し、反射板104で反射して、再び導光体103、及び拡散板105を透過して液晶パネル200に照射される。この際、本実施例では拡散板105と導光体103の透過、及び反射板104での反射では光の偏光状態は維持され大きく変化しない。このため液晶パネル200に再び照射された光3005Dは、初めに液晶パネル200の非開口部206で反射された時の偏光状態をほぼ維持しているため、偏光板201で殆ど吸収されることなく表示に寄与できる。すなわち、本実施例の表示装置では、従来、液晶パネル200の非開口部206で遮光され表示に寄与できなかった光を大きな損失のない状態で再利用することができるため、開口率の低い液晶パネルであっても明るい表示が得られるという効果がある。
本実施例においても非偏光である光源光を所望の直線偏光に変換する機能を有するとともに、液晶パネル200の非開口部206からの戻り光は、導光体103裏面の反射板104で一回反射した後、導光体103及び拡散板105を1往復透過しただけで、再び液晶パネル200に照射される。このため、非開口部206からの戻り光の反射板104、及び導光体103や拡散板105での吸収や、偏光状態の乱れが小さく、非開口部206からの戻り光をより効率良く再利用することができる。
従って、本実施例の照明装置及びこれを用いた表示装置では、液晶パネルとして開口率の低いものを用いた場合にその効果がより顕著に現れるので、液晶パネルとしてIPS液晶パネル等の比較的開口率の低い液晶パネル、或いは高精細化により低開口率となった液晶パネルとの組み合わせが好適である。
また、本発明の照明装置では、導光体の幅、すなわち導光体の光源側端面と、これと対向する端面までの距離を液晶パネル表示部の大きさによらず短く設定することができる。導光体の幅が短くなれば、導光体内部を伝播する光の伝播距離は短くなる。このため、アクリル樹脂のように微量の屈折率異方性がある透明体を導光体として用いた場合でも、本発明の照明装置であれば光の伝播距離が短くできるため、偏光状態の変化が小さくてすみ、所定の直線偏光成分が多い照明光を効率良く出射する照明装置が実現できる。
また、本実施例では光源としてLEDを用いることで以下の効果が得られる。すなわち、LEDは発光部の大きさが蛍光ランプに比べて極めて小さいので、レンズ等の光学部材により光の指向性を高めることが容易である。ここで、一般に非偏光の光を所定の偏光状態に変換する効率は、指向性の高い光の方が高い。つまり、光源としてLEDを用いることで光源から出射した非偏光を所望の偏光(液晶パネル光入射側の偏光板で吸収されない直線偏光)に効率良く変換できるので、光源光の利用効率をより高めることができる。
また、LEDは蛍光ランプで必要となるインバーターが不要となり、機器本体の小型化に有利である。さらに、LEDは水銀をほとんど使用しないので環境にやさしいという特長もある。
(実施例10)
次に本発明に係る他の照明装置及びこれを用いた表示装置の実施例を図面を用いて説明する。図27は本発明の照明装置、及びこれを用いた表示装置の概略構成を示す一部斜視図であり、図28は本実施例の表示装置の全体構成を示したものである。
本実施例は液晶パネル200と、液晶パネル200の表示面を独立に面分割照明できる照明装置100とから構成される。すなわち、液晶パネル200の表示面を上下方向に3等分した領域a〜cを、照明装置100を構成する3つの単位照明装置1000a〜1000cによりそれぞれ独立に照明するよう構成し、液晶パネル200の表示動作に対応して、照明装置100を構成する3つの単位照明装置1000a〜1000cの点灯,消灯を個別に制御するように構成したものである。
本実施例の照明装置100は基本的に上記実施例で説明したものを用いると良い。ここでは以下、光源として冷陰極蛍光ランプを用いる場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、上記実施例と共通な部分については詳細な説明は省略する。
液晶パネル200には走査ドライバ(走査電極駆動回路)3,映像ドライバ(画素電極駆動回路)4が接続されており、照明装置100には電源回路5,照明ドライバ(照明制御回路)6が接続される。また、走査ドライバ(走査電極駆動回路)3,映像ドライバ(画素電極駆動回路)4、及び照明ドライバ(照明制御回路)6には液晶コントローラ1が接続される。
この構成において、液晶パネル200の表示動作に対応して、動画像のぼけ防止を目的として照明ドライバ6が照明装置100を構成する複数の単位照明装置1000a〜1000cを個別に制御して、液晶パネル200の表示面を面分割照明する。
液晶パネル200は、液晶の応答時間が9ms以下の応答速度の速いものを用いる。応答時間の速い液晶パネルとしては強誘電性液晶を用いたもの、或いはOCB(Optically Compensated Bend)モードを用いたものなどがある。また、TN液晶パネルや、IPS液晶パネルといったものでも、低粘度の液晶材料を用い、液晶層を狭ギャップ化することで、上記要件を満たすものが実現できる。
本実施例では、液晶パネル200として液晶層のギャップが約2μm、中間調での応答時間が9ms、ノーマリークローズ特性のIPS液晶パネルを用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶コントローラ1は外部から信号を取り込み、液晶パネル200に表示するデータと、水平同期信号HSYNC,垂直同期信号VSYNCを出力する。液晶コントローラ1は入力される信号によってその構成が異なる。ここではまず、液晶コントローラ1にアナログ信号が入力される場合について説明する。この場合、アナログ信号は液晶パネル200で表示すべき信号と、1画素毎の映像信号の開始を示す映像開始信号が重畳されている。液晶コントローラ1はA/D変換器を内蔵し、重畳されたアナログ信号から映像信号を取り出してA/D変換器でデジタル信号に変換してデータとして出力する。また、アナログ信号の映像開始信号を垂直同期信号VSYNCとして出力するとともに、A/D変換器でのサンプリングクロックを水平同期信号HSYNCとして出力する。
液晶コントローラ1に入力される信号がデジタル信号である場合は、この信号は外部の演算処理装置によって生成されたデータが入力される。この場合、外部の演算処理装置は垂直同期信号VSYNC、水平同期信号HSYNCに基づいて演算を実行するため、液晶コントローラ1はデータ,水平同期信号HSYNC,垂直同期信号VSYNCを入力とするので、この入力したデータ,水平同期信号HSYNC、垂直同期信号VSYNCをそのまま出力する。
液晶コントローラ1から出力された垂直同期信号VSYNC,水平同期信号HSYNCは走査ドライバ3に入力される。走査ドライバ3ではシフトレジスタ8によって液晶パネル200の走査電極毎の信号を生成し、レベルシフト回路9によってそれぞれの走査電極毎の信号のレベルを決定し、走査電極の信号を出力する。
映像ドライバ4は、液晶コントローラ1から出力されたデータと、水平同期信号HSYNC,垂直同期信号VSYNCを入力する。データはシフトレジスタ10に入力され1ライン分のデータとしてライン目盛り11に入力される。次にレベルシフト回路12によってレベルが決定され、D/A変換器13によってアナログ信号に変換される。変換されたアナログ信号は液晶パネル200のそれぞれの画素電極への信号として出力される。
次に照明装置100を構成する単位照明装置1000a〜1000cを個別に制御する照明ドライバ6について説明する。
照明ドライバ6は電源回路5、及び単位照明装置1000a〜1000cの光源101a〜101cに接続され、動画表示の場合に発生するぼけを防止するために、照明装置100を構成する単位照明装置1000a〜1000cの点灯,消灯を個別に制御するものである。
図29は照明ドライバ6の構成を示したものである。照明ドライバ6はカウンタ61,62,63、パルス発生器64,65,66、スイッチ67,68,69、インバーター70,71,72から構成される。カウンタ61〜63はそれぞれ水平同期信号HSYNCを入力し、この水平同期信号HSYNCのパルスの数をカウントする。また、カウンタ61は垂直同期信号VSYNCを、カウンタ62はカウンタ61の出力信号を、カウンタ63はカウンタ62の出力信号を、それぞれのカウントを開始するための信号として入力する。パルス発生器64〜66は、それぞれカウンタ61〜63の出力を受けとると予め定めた時間の間、Hiレベルの信号を出力する。スイッチ67〜69はパルス発生器64〜66からの信号がHiレベルのときにON状態となり、これにより電源回路からの電力がインバーター70〜72に入力され、光源101a〜101cが個別に点灯する。
図30は垂直同期信号VSYNC,水平同期信号HSYNC,インバーター70〜72の出力を示したものである。
ここでは、垂直同期信号VSYNCの周期を16.6ms 、水平同期信号HSYNCの周期を15μsとし、また、800×600画素の液晶パネル200の表示面全面を走査するのに9msかかる場合について説明する。
本実施例では照明装置100は液晶パネル200の表示面を3つの照明領域に分割して照明する3つの単位照明装置から構成されており、それぞれの照明領域を担当する単位照明装置は対応する液晶パネル200の表示面の走査が開始されてから、その領域の走査が終了し、かつ液晶が応答した後に照明光を照射するよう制御する。そのために液晶パネル200の領域cでは走査が開始されてから12ms後、4.6ms の間、照明光が照射される。また、領域bでは15ms後、4.6ms の間照明光が照射され、領域aでは18ms後、4.6ms の間照明光が照射される。
これを実現するためにカウンタ61は800個の水平同期信号をカウントしたときに出力信号を出力する。同様にカウンタ62はカウンタ61が出力信号を出力した後に200個の水平同期信号をカウントしたときに出力信号を出力し、カウンタ63はカウンタ62が出力信号を出力した後に200個の水平同期信号をカウントしたときに出力信号を出力する。また、各パルス発生器64〜66はそれぞれのカウンタの出力信号を受けて4.6ms の間、Hiレベルの信号を出力するようにする。
図31はこの場合の液晶パネル200表示面の透過率と、照明装置100の輝度との関係を示したものである。液晶パネルの透過率は各領域の平均値を示したものである。このように照明装置100を構成する単位照明装置1000a〜1000cは液晶パネルの照明光を照射すべき領域の液晶が応答し、所望の透過率となった後、点灯し、一定時間照明した後、消灯するように制御される。
このような条件で静止画を視角速度10°/sの速度で動かした動画を表示させても特に画像のぼけはまったく感じられないものとすることができる。すなわち、動画を違和感なく表示できる液晶表示装置を簡便に提供できる。
本実施例では特に液晶パネルの表示面が全面応答するまでの時間だけ照明装置の点灯を待つ必要がない。つまり、より小さな表示領域が応答するより短い待機時間で照明装置を点灯するため、より長い時間照明光が照射でき、より明るい画像が得られる。
1…液晶コントローラ、3…走査ドライバ、4…映像ドライバ、5…電源回路、6…照明ドライバ、8,10…シフトレジスタ、9,12…レベルシフト回路、11…ラインメモリ、13…D/A変換器、61,62,63…カウンタ、64,65,66…パルス発生器、67,68,69…スイッチ、70,71,72…インバータ、100…照明装置、101,101a,101b,101c…光源、102,102a,102b,102c…ランプカバー、103,103a,103b,103c…導光体、103A…導光体裏面の微小傾斜反射面、103B…導光体裏面の主面、103C…導光体表面、103L…導光体の突出部、103M…光収束部、104,104a,104b,104c…反射板、105…拡散板、106…コレステリック液晶層、107,108,504…位相差板、109…直線偏光分離素子、200…液晶パネル、200A…液晶パネルの表示面垂線、201,205…偏光板、202,204…透明ガラス基板、203…シール剤、206…非開口部、207…開口部、208…液晶層、501…LED、502…レンズ、503…偏光分離面、505…反射面、506…透光性部材、509…偏光分離プリズムアレイ、510…偏光変換手段、701…直線偏光分離素子、1000,1000a,1000b,1000c…単位照明装置、1031,1032…導光体の端面、1501…透明基材、1502…透明ビーズ、1503…透明接着樹脂、2001…映像信号電極、2002…画素電極、2003…共通電極、2004…走査信号電極、3231…平板状導光体、3232…突出部付き楔状導光体、3233…突出部、3234…接合面、10311…光源光が入射する導光体の端面、10312…隣り合う導光体との接合端面。