JP2007212363A - 撥液領域測定方法及び撥液領域測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズル開口の撥液領域の測定を容易に且つ高精度に行うことができると共に短時間で測定することができ、コストを低減した撥液領域測定方法及び撥液領域測定装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射する複数のノズル開口21を有すると共に、前記ノズルプレート20の一方面側に開口する前記ノズル開口21の開口側内面に撥液膜30が設けられた撥液領域が存在し、且つ前記ノズル開口21に連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレート20の前記撥液領域の深さを測定する撥液領域測定方法であって、前記ノズル開口21の前記ノズルプレート20の他方面に開口する開口側から検査液100を所定の圧力で供給し、該検査液100を前記ノズル開口21の前記撥液膜が設けられていない非撥液領域に充填すると共に、前記ノズルプレート20の一方面から前記検査液100の液面102までの深さを測定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ノズルプレートに設けられて液体を噴射するノズル開口の撥液領域を測定する撥液領域測定方法及び撥液領域測定装置に関する。
液体噴射ヘッドは、液体を噴射する多数の微細な噴射孔(ノズル開口)が微小間隔を隔てて形成されているノズルプレートを有する。この噴射孔からインクが噴射される際、噴射面にインクが付着することがある。このような場合、次に噴射されたインクが残存している付着インクと接触すると、付着インクの表面張力や粘性等の影響を受けて次に噴射されたインクの噴射軌道が曲げられてしまう。このように、付着インクが噴射面に残存していると、所定の箇所に印刷をすることができないという問題が生じる。このような問題を解消するものとして、噴射面に付着インクを残存させないためにノズルプレートの噴射面に共析メッキによって撥液膜を設けると共に、ノズル開口の開口部側の内面に撥液膜を入り込ませたものが提案されている(特許文献1参照)。
また、ノズルプレートに設ける撥液膜として、下地層と下地層上に設けられた金属アルコキシドとを用いた20nm以下の薄い膜厚のものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、厚膜の撥液膜が形成されたノズル開口の撥液領域は、例えば、顕微鏡等で直接観察して測定することができるものの、膜厚の薄い撥液膜が形成された撥液領域は、直接観察しても測定することができないという問題がある。
また、膜厚の薄い撥液膜の形成された撥液領域は、例えば、ノズルプレートのサンプルを切断して、ノズル開口にインクを塗布し、塗布されない撥液領域を測定するインク染色法や、切断したノズル開口の表面分析を行う飛行時間型二次イオン質量分析装置(ToF−SIMS)を用いた方法などの破壊検査によって測定することができるが、測定に時間がかかると共に、ノズルプレートのサンプルが必要になるため、高コストになってしまう。また、製品には破壊検査を用いることができず、製品の撥液領域の測定が行えないという問題がある。
特開平7−125220号公報(第2〜3頁、第1図) 特開2004−351923号公報(特許請求の範囲等)
本発明はこのような事情に鑑み、ノズル開口の撥液領域の測定を容易に且つ高精度に行うことができると共に短時間で測定することができ、コストを低減した撥液領域測定方法及び撥液領域測定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射する複数のノズル開口を有すると共に、前記ノズルプレートの一方面側に開口する前記ノズル開口の開口側内面に撥液膜が設けられた撥液領域が存在し、且つ前記ノズル開口に連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレートの前記撥液領域の深さを測定する撥液領域測定方法であって、前記ノズル開口の前記ノズルプレートの他方面に開口する開口側から検査液を所定の圧力で供給し、該検査液を前記ノズル開口の前記撥液膜が設けられていない非撥液領域に充填すると共に、前記ノズルプレートの一方面から前記検査液の液面までの深さを測定することを特徴とする撥液領域測定方法にある。
かかる第1の態様では、ノズルプレートを切断することなく、撥液領域の深さを容易に且つ高精度に測定することができる。これにより、製品の撥液領域の測定を行うことができると共にサンプルが不要となって検査時間を短縮してコストを低減することができる。
本発明の第2の態様は、前記検査液として、純水を用いたことを特徴とする第1の態様の撥液領域測定方法にある。
かかる第2の態様では、純水からなる検査液を非撥液領域のみに選択的に充填することができる。
本発明の第3の態様は、前記液面の深さの測定を、レーザ光を照射して前記液面に反射した反射光を受光して距離を測定するレーザ測定により行うことを特徴とする第1又は2の態様の撥液領域測定方法にある。
かかる第3の態様では、レーザ測定によって、撥液領域の深さを高精度に且つ短時間で測定することができる。
本発明の第4の態様は、前記ノズル開口が、一方面に開口して深さ方向に内径が略同一の同径部と、該同径部に連通して他方面の開口に向かって内径が漸大するテーパ部とで構成され、且つ前記撥液領域が前記同径部の前記一方面側の開口に設けられており、前記検査液を前記テーパ部側から充填することを特徴とする第1〜3の何れかの態様の撥液領域測定方法にある。
かかる第4の態様では、テーパ部が設けられたノズル開口であっても、撥液領域を容易に且つ高精度に測定することができる。
本発明の第5の態様は、液体を噴射する複数のノズル開口を有すると共に、前記ノズル開口の前記ノズルプレートの一方面側に開口する前記ノズル開口の開口側内面に撥液膜が設けられた撥液領域が存在し、且つ前記ノズル開口に連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレートの前記撥液領域の深さを測定する撥液領域測定装置であって、前記ノズル開口の前記ノズルプレートの他方面に開口する開口側に連通して前記ノズル開口の前記撥液膜が設けられていない非撥液領域に検査液を所定の圧力で供給して、該非撥液領域に前記検査液を充填する供給手段と、前記ノズル開口の一方面に相対向する領域に設けられて、前記ノズルプレートの一方面から前記検査液の液面までの深さを測定する測定手段とを具備することを特徴とする撥液領域測定装置にある。
かかる第5の態様では、ノズルプレートを切断することなく、撥液領域の深さを容易に且つ高精度に測定することができる。これにより、製品の撥液領域の測定を行うことができると共にサンプルが不要となって検査時間を短縮してコストを低減することができる。
本発明の第6の態様は、前記測定手段が、前記ノズル開口の並設方向に移動自在に設けられていると共に、当該測定手段が、複数のノズル開口の各液面の深さを連続して測定することを特徴とする第5の態様の撥液領域測定装置にある。
かかる第6の態様では、連続して複数のノズル開口の撥液領域を測定することができ、測定時間を短縮してコストを低減することができる。
本発明の第7の態様は、前記供給手段が、前記ノズルプレートを前記同径部が鉛直方向上側となるように保持すると共に前記テーパ部に連通する連通室が設けられた保持治具と、前記検査液が貯留されると共に前記ノズルプレートに対して鉛直方向に移動自在に設けられた貯留手段と、一端が前記保持治具の前記連通室に連通すると共に他端が前記貯留手段に連通する連通路とを具備することを特徴とする第5又は6の態様の撥液領域測定装置にある。
かかる第7の態様では、貯留手段とノズルプレートとの水頭値によってノズル開口に供給する検査液の圧力を容易に調整することができると共に、検査液を確実に非撥液領域に充填することができる。
本発明の第8の態様は、前記測定手段が、レーザ光を照射して前記ノズルプレートの一方面又は前記液面に反射した反射光を受光して距離を測定するレーザ測定装置からなることを特徴とする第5〜7の何れかの態様の撥液領域測定装置にある。
かかる第8の態様では、レーザ測定装置によって、撥液領域の深さを高精度に且つ短時間で測定することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の撥液性部材の実施形態1に係るノズルプレートの概略斜視図及び断面図である。本発明のノズルプレート20は、液体噴射ヘッドに用いられるものである。ノズルプレート20は、例えば、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、シリコン、セラミックス等の材料からなる。ノズルプレート20には、厚さ方向に貫通したノズル開口21が設けられている。本実施形態のノズル開口21は、一方面に開口して深さ方向に同一の内径の同径部22と、同径部に連通して他方面の開口側に向かって内径が漸大するテーパ部23とで構成されている。そして、ノズルプレート20の同径部22が開口する一方面には、撥液膜30が設けられている。この撥液膜30は、同径部22の開口側の内面に所定量入り込んで設けられている。
このような撥液膜30としては、特に限定されず、例えば、フッ素系高分子を含む金属膜やシロキサン等をプラズマ重合したプラズマ重合膜などを挙げることができる。金属膜からなる撥液膜30は、例えば、共析メッキにより所定の厚さで高精度に形成することができる。また、プラズマ重合膜からなる撥液膜30は、例えば、シロキサンを気化させた原料ガスにアルゴンやヘリウム等の希ガス、酸素や二酸化炭素等の酸化力を有するガスを混合して原料を重合させ、プラズマ重合装置を用いて形成することができる。なお、共析メッキにより撥液膜30を形成する場合には、例えば、ノズルプレート20の一方面に感光性樹脂材料等からなるフィルムを圧接して接合し、フィルムをノズル開口21の内部まで入り込ませた状態で、共析メッキを施すことにより所望の領域のみに撥液膜30を形成することができる。また、プラズマ重合装置を用いて撥液膜30を形成する場合には、ノズルプレート20の全面に亘ってプラズマ重合装置によって撥液膜30を形成後、ノズルプレート20の一方面にフィルムを圧接して接合し、フィルムによって覆われていない露出された領域の撥液膜30を選択的に除去することで、所望の領域のみに撥液膜30を形成することができる。
そして、ノズル開口21の内面の撥液膜30が設けられた撥液領域を測定する。ここで、撥液領域測定装置について説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る撥液領域測定装置の断面図である。
図2に示すように、撥液領域測定装置40は、ノズルプレート20のノズル開口21に検査液を供給する供給手段50と、測定手段90とを具備する。
供給手段50は、ノズルプレート20を保持する保持治具60と、検査液100が貯留された貯留手段70と、一端が保持治具60に接続されると共に他端が貯留手段70に接続された連通路80とを具備する。
保持治具60は、ノズルプレート20の撥液膜30が設けられた一方面、すなわち、同径部22側が鉛直方向上側となるように保持する。
また、保持治具60には、複数のノズル開口21に連通する連通室61が設けられている。
貯留手段70は、検査液100が貯留された貯留室71の設けられたシリンジ等からなる。この貯留手段70は、ノズルプレート20に対して鉛直方向に移動自在に設けられている。
連通路80は、一端が保持治具60の連通室61に連通すると共に、他端が貯留手段70の貯留室71に連通して設けられた、例えば、フッ素樹脂チューブなどからなる。
このような供給手段50は、貯留手段70からの検査液100が連通路80を介して保持治具60の連通室61に供給される。そして、連通室61に供給された検査液100は、ノズル開口21のテーパ部23側からノズル開口21内に供給され、撥液膜30が設けられていない領域(非撥液領域)に充填される。このとき、貯留手段70を鉛直方向に移動することで、貯留室71に貯留された検査液100の液面101と、ノズル開口21内に充填された検査液100の液面102との水頭値を調整して、ノズル開口21に供給する検査液100の圧力が調整される。これにより、非撥液領域のみに検査液100を充填して非撥液領域と撥液領域との間に検査液100の液面102を形成することができる。なお、このような検査液100としては、例えば、純水などが挙げられる。また、詳しくは後述するが、貯留手段70とノズルプレート20の撥液膜30が設けられた面との水頭値は、ノズル開口21内の検査液100の液面102が平らになる範囲が好ましい。例えば、ノズルプレート20に内径が約20μm(20μm±1μm)のノズル開口21が180個形成され、貯留手段70の貯留室71の内径が2mm(容量が12ml)の場合には、貯留手段70内の液面101と、ノズルプレート20の撥液膜30が設けられた一方面との水頭値hは、貯留手段70内の検査液100の液面102がノズルプレート20の一方面よりも鉛直方向で高くなるように、5〜70mmとするのが好適である。
一方、測定手段90は、ノズルプレート20の一方面からノズル開口21内の検査液100の液面102までの距離を測定するものである。このような測定手段90としては、特に限定されず、例えば、レーザ光を照射してノズルプレート20の撥液膜30又は検査液100の液面102に反射した反射光を受光して距離を測定するレーザ測定装置が挙げられる。また、測定手段90は、複数のノズル開口21の並設方向に移動自在に設けられている。この測定手段90によって、複数のノズル開口21の液面101を連続して測定することができる。
このような測定手段90によって、ノズルプレート20の一方面の撥液膜30までの距離を測定すると共に、ノズル開口21に充填された検査液100の液面102までの距離を測定することによって、ノズルプレート20の一方面から検査液100の液面102までの深さを測定することができる。これにより、ノズル開口21の内面の撥液膜30が設けられた深さを測定することができる。
このような撥液領域測定装置40によれば、インク染色法や飛行時間型二次イオン質量分析装置(ToF−SIMS)を用いた方法などノズルプレート20を切断して測定する破壊検査を行うことなく、非破壊検査でノズル開口21の内面の撥液膜30が設けられた深さを測定することができるため、サンプルが不要となると共に測定にかかる時間を短縮してコストを低減することができる。また、製品となるノズルプレート20の撥液領域を測定することができ、精度及び歩留まりを向上することができる。
(試験例1)
ノズルプレートにシリコーン材料のプラズマ重合膜からなる下地層上と金属アルコキシドの撥液層とからなる厚さが20nm以下の撥液膜を形成したサンプルを3つ用意し、上述した撥液領域測定装置40によって、ノズルプレートの撥液膜が設けられた一方面と貯留手段に貯留された検査液の液面との水頭値を変化させて各サンプルのノズル開口の検査液の液面の位置及び液面の凸量を、液面の中心と中心から±5μmとの3点で測定した。なお、試験例1では、ノズルプレートに内径が約20μm(20μm±1μm)のノズル開口を180個形成し、貯留手段として貯留室の内径が2mm(容量12ml)のシリンダを用いた。また、水頭値は、−24mm〜290mmの間で変化させた。これらの結果を図3に示す。なお、水頭値は、貯留手段に貯留された検査液の液面がノズルプレートの一方面よりも鉛直方向上側を正の値で示し、鉛直方向下側を負の値として示す。
図3(a)に示すように、ノズル開口内の検査液の液面の位置は、水頭値による水圧により、上昇することが分かる。そして、液面の上昇度は、下記式(1)によって算出することができる。
Figure 2007212363
そして、図3(a)に示す結果からこの式(1)により液面上昇度を算出したところ、水頭値に対する液面上昇度は0.0062μm/mmとなることが分かった。つまり、100mmの水頭値上昇に対して液面が0.6μm程度しか上昇しないことが分かる。この量は測定バラツキの誤差範囲内であるため、液面の位置は停止していると判断できる。また、図3(b)に示す結果から、水頭値が−24〜70mmの範囲であれば、液面の中心と中心から±5μmとの3点測定のばらつきが0±0.05μm以下となることが分かった。したがって、水頭値を−24〜70mmの範囲とすることで、高精度に撥液領域を測定することができる。但し、水頭値をマイナスとすると、検査液をノズル開口の非撥液領域に充填させるという点で不安定要因の発生が懸念されると共に、図3(b)に示すように、液面の凸量がマイナスとなってしまうため、水頭値は、5〜70mmの範囲が好適である。
(試験例2)
ノズルプレートにフッ素系高分子を含む金属膜からなる撥液膜を共析メッキにより厚さ1μmで形成したサンプルを用意し、上述した撥液領域測定装置40によって、ノズルプレートの撥液膜が設けられた一方面と貯留手段に貯留された検査液の液面との水頭値を5mmと15mmとに変化させてサンプルのノズル開口の検査液の液面の位置の平均値、最大値、最小値を測定し、最小値と最大値との範囲とばらつきとを算出して比較した。この結果を下記表1に示す。なお、試験例1では、ノズルプレートに内径が約20μm(20μm±1μm)のノズル開口を180個形成し、貯留手段として貯留室の内径が2mm(容量12ml)のシリンダを用いた。
Figure 2007212363
表1に示す結果から、平均値の差、最大値の差、最小値の差が何れも1μm以下となっており、測定値のばらつきは無視できることが分かる。
また、水頭値を15mmに固定して上述した測定を繰り返し3回行った。この結果を下記表2に示す。
Figure 2007212363
表2に示すように、3回目の測定で平均値の差が約1.3μmとなった。回を追う毎に液面の位置が高くなっていることから、ノズル開口内の検査液の排出が不十分であった可能性がある。但し、平均値の差である1.3μmという値は、測定誤差の範囲内であり、特に問題ないと考えられる。したがって、測定の再現性があると判断できる。
(試験例3)
ノズル開口が180個形成されたノズルプレートにシリコーン材料のプラズマ重合膜からなる下地層上と金属アルコキシドの撥液層とからなる厚さが20nm以下の撥液膜を形成したサンプルを2つ用意し、1つ目のサンプルに対して、上述した撥液領域測定装置40の液面測定による撥液領域の測定を行った後、サンプルを切断してインク染色法を用いて撥液領域の測定を行った。
また、2つ目のサンプルを切断し、飛行時間型二次イオン質量分析装置(ToF−SIMS)を用いた方法により撥液領域の測定を行った後、インク染色法を用いて撥液領域の測定を行った。
これらの結果を図4に示す。なお、図4(a)は、インク染色法による測定値に対するToF−SIMSを用いた測定値及び実施形態1の撥液領域測定装置を用いた測定値を示すグラフであり、図4(b)は、図4(a)の要部を拡大したグラフである。
ここで、インク染色法とは、切断面にインクを塗布し、インクの塗布された非撥液領域と塗布されていない撥液領域とを識別することで、撥液領域を測定するものである。
また、ToF−SIMSとは、基材の最表面に存在する膜の分子等を測定する装置である。15keV程度の弱いGaパルスイオンを試料表面に照射して表面の構成成分をスパッタし、発生した電荷を持つイオン(2次イオン)を電場によって加速して、一定の距離(飛行距離)だけ離れた位置で検出する。軽いイオンほど早く、重いイオンほど遅い速度で飛んでいくため、2次イオンが発生してから検出されるまでの時間(飛行時間)を測定することにより、発生した2次イオンの質量を求めることができる。
ToF−SIMSでは1次イオン照射量が15keV程度と著しく少ないため、一次イオンが照射された有機化合物は構造を反映したフラグメント(断片)イオンを放出するので、質量スペクトルから表面に存在する有機化合物の構造を知ることができる。また、固体試料表面の最も外側で発生した2次イオンのみが真空中へ飛び出すため、試料の最表面(深さ数Å程度)の情報を得ることができる。
図4(a)に示すように、実施形態1の撥液領域測定装置40を用いた液面測定、インク染色法及びToF−SIMSを用いた測定の測定値間に、線形性(傾き約1)が確認できた。そして、図4(b)に示すように、測定値が25μm以下で傾き1の線形性が確認できた。すなわち、上述した実施形態1の撥液領域測定装置40を用いても、実際の撥液領域を高精度に測定することができる。また、撥液領域測定装置40は、撥液領域が25μm以下の範囲で特に高精度な測定が行える。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、ノズルプレート20に形成されたノズル開口21として、同径部22とテーパ部23とで構成されるノズル開口21を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、深さ方向に内径が略同一の同径部22のみで構成されるノズル開口や、深さ方向に内径が同一の同径部と、同径部に連通して同径部よりも内径が大きな大径部とで構成されて間に段差が設けられたノズル開口などにも本発明の撥液領域測定装置40を用いて、撥液領域の測定を高精度に行うことができる。
実施形態1に係るノズルプレートの概略斜視図及び断面図である。 実施形態1に係る撥液領域測定装置の断面図である。 試験例1に係る測定結果を示すグラフである。 試験例3に係る測定結果を示すグラフである。
符号の説明
20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 22 同径部、 23 テーパ部、 30 撥液膜、 40 撥液領域測定装置、 50 供給手段、 60 保持治具、 70 貯留手段、 80 連通路、 90 測定手段、 100 検査液、 101、102 液面

Claims (8)

  1. 液体を噴射する複数のノズル開口を有すると共に、前記ノズルプレートの一方面側に開口する前記ノズル開口の開口側内面に撥液膜が設けられた撥液領域が存在し、且つ前記ノズル開口に連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレートの前記撥液領域の深さを測定する撥液領域測定方法であって、
    前記ノズル開口の前記ノズルプレートの他方面に開口する開口側から検査液を所定の圧力で供給し、該検査液を前記ノズル開口の前記撥液膜が設けられていない非撥液領域に充填すると共に、前記ノズルプレートの一方面から前記検査液の液面までの深さを測定することを特徴とする撥液領域測定方法。
  2. 前記検査液として、純水を用いたことを特徴とする請求項1記載の撥液領域測定方法。
  3. 前記液面の深さの測定を、レーザ光を照射して前記液面に反射した反射光を受光して距離を測定するレーザ測定により行うことを特徴とする請求項1又は2記載の撥液領域測定方法。
  4. 前記ノズル開口が、一方面に開口して深さ方向に内径が略同一の同径部と、該同径部に連通して他方面の開口に向かって内径が漸大するテーパ部とで構成され、且つ前記撥液領域が前記同径部の前記一方面側の開口に設けられており、前記検査液を前記テーパ部側から充填することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の撥液領域測定方法。
  5. 液体を噴射する複数のノズル開口を有すると共に、前記ノズル開口の前記ノズルプレートの一方面側に開口する前記ノズル開口の開口側内面に撥液膜が設けられた撥液領域が存在し、且つ前記ノズル開口に連通する流路が形成された流路形成基板に接合されるノズルプレートの前記撥液領域の深さを測定する撥液領域測定装置であって、
    前記ノズル開口の前記ノズルプレートの他方面に開口する開口側に連通して前記ノズル開口の前記撥液膜が設けられていない非撥液領域に検査液を所定の圧力で供給して、該非撥液領域に前記検査液を充填する供給手段と、前記ノズル開口の一方面に相対向する領域に設けられて、前記ノズルプレートの一方面から前記検査液の液面までの深さを測定する測定手段とを具備することを特徴とする撥液領域測定装置。
  6. 前記測定手段が、前記ノズル開口の並設方向に移動自在に設けられていると共に、当該測定手段が、複数のノズル開口の各液面の深さを連続して測定することを特徴とする請求項5記載の撥液領域測定装置。
  7. 前記供給手段が、前記ノズルプレートを前記同径部が鉛直方向上側となるように保持すると共に前記テーパ部に連通する連通室が設けられた保持治具と、前記検査液が貯留されると共に前記ノズルプレートに対して鉛直方向に移動自在に設けられた貯留手段と、一端が前記保持治具の前記連通室に連通すると共に他端が前記貯留手段に連通する連通路とを具備することを特徴とする請求項5又は6記載の撥液領域測定装置。
  8. 前記測定手段が、レーザ光を照射して前記ノズルプレートの一方面又は前記液面に反射した反射光を受光して距離を測定するレーザ測定装置からなることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の撥液領域測定装置。
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WO2023075572A1 (ko) * 2021-11-01 2023-05-04 주식회사 엘지에너지솔루션 슬롯 다이의 단차 측정 장치 및 방법

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