JP2007211755A - 内燃機関のシリンダブロック及びその製造方法 - Google Patents

内燃機関のシリンダブロック及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】隔壁の剛性の確保と気筒間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保すること。
【解決手段】気筒間に位置する隔壁11に、当該隔壁11を形成する材料よりも強度の高い材料により形成されると共に補強ブッシュ孔31が形成された補強ブッシュ30を鋳込む。また、補強ブッシュ孔31には、圧入ブッシュ孔41が形成された圧入ブッシュ40を嵌合する。また、補強ブッシュ30には、隔壁11に形成された複数のジャーナルオイル通路17に連通した補強ブッシュオイル通路32が複数形成されており、圧入ブッシュ40には複数の補強ブッシュオイル通路32を連通するオイル溝42が形成されている。これらの結果、隔壁11の剛性の確保と気筒5間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロック及び内燃機関のシリンダブロックの製造方法に関するものである。特に、この発明は、内燃機関の運転時における抵抗を低減できる内燃機関のシリンダブロック及び内燃機関のシリンダブロックの製造方法に関するものである。
内燃機関は、振動の低減や性能の向上などを図るため気筒を複数有している場合が多いが、当該内燃機関を運転する際には、これらの各気筒内のピストンが往復運動をする。このように、内燃機関の運転時における気筒内ではピストンが往復運動をするため、ピストンによって隔離され、ピストンの往復運動の方向において当該ピストンの両側に位置する空間の容積変化は大きくなっており、圧力の変化が大きくなっている。このようにピストンの両側に位置する空間のうちの一方の空間には、燃焼室が位置しているため、ピストンの往復運動時における当該空間の圧力の変化を利用して、燃料と空気との混合気を吸入したり、混合気を圧縮したりしており、圧力の変化を有効利用している。これに対し、ピストンの他方に位置している空間では、不必要に圧力が変化しており、この圧力変化が内燃機関の運転時における抵抗の一つになっている。
この気筒間の圧力の変化を緩和するには、隣接する気筒同士間に位置する隔壁に気筒間を連通する連通孔を形成する場合が多いが、気筒の下方にはオイルパンが設けられ、オイルパンにはオイルが貯留されているため、オイルの油面と連通孔とが近付き過ぎる場合には、連通孔を通過する気体によってオイルヘの悪影響を招く虞がある。つまり、連通孔と油面とが近付き過ぎる場合には、連通孔を通過する気体によって油面の乱れはオイルの飛散などのオイルへの悪影響を招く虞がある。そこで、従来の内燃機関のシリンダブロックでは、内燃機関を傾斜させて車両に搭載し、連通孔と油面とを離間させているものがある。例えば、特許文献1では、内燃機関の吸気側が上方で排気側が下方になるように内燃機関を傾斜させ、連通孔はシリンダ軸線に対して吸気側に偏倚させている。このように内燃機関を傾斜させることにより吸気側の油面を低くすることができ、油面が低い部分に連通孔を形成しているので、連通孔を油面から離すことができる。これにより、連通孔を通過する気体による油面への悪影響を抑制することができる。
特開2002−180900号公報
しかしながら、内燃機関の運転時には前記隔壁には大きな荷重が作用するため、大きな連通孔を設けることが困難なものとなっている。特に、近年の内燃機関では、出力が向上しているため、隔壁はますます大きな強度を確保する必要があり、この場合、連通孔の大きさはさらに小さくなってしまう。このため、内燃機関運転時の気筒内の圧力変化を効果的に緩和することが困難になり、その圧力変化が内燃機関の運転時の大きな抵抗になる虞があった。
また、前記オイルパンに貯留されるオイルは内燃機関の各部を循環しており、このオイルを効率よく循環させるために、気筒間に位置する隔壁にもオイル通路が形成されている場合がある。隔壁に上記のような連通孔が形成し、この隔壁にさらにオイル通路を形成した場合には、オイル通路と連通孔とは交差してしまう虞がある。オイル通路と連通孔とが交差した場合には、オイル通路は連通孔によって分断されて連通孔内に開口してしまい、オイルを循環させることができなくなる虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、隔壁の剛性の確保と気筒間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保できる内燃機関のシリンダブロック、または、この内燃機関のシリンダブロックを容易に製造できる内燃機関のシリンダブロックの製造方法のうち、少なくともいずれか一方を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、複数の気筒を有する内燃機関のシリンダブロックであって、前記気筒間に位置すると共に鋳造によって設けられる隔壁と、前記隔壁に形成され、且つ、前記気筒間を連通する連通孔と、前記隔壁の鋳造時に前記連通孔の内壁に一体に形成され、且つ、前記隔壁よりも強度の高い材料からなり、さらに、前記気筒間を連通する補強部連通孔が形成された補強部と、前記隔壁に複数形成されると共に前記連通孔に開口する隔壁オイル通路と、前記補強部に形成されると共に、前記隔壁オイル通路及び前記補強部連通孔に開口する補強部オイル通路と、前記補強部連通孔の内側に設けられると共に前記補強部と一体に形成され、且つ、前記補強部オイル通路に接続されるオイル溝が形成されており、さらに、前記気筒間を連通する油路形成部材連通孔が形成された油路形成部材と、を備えることを特徴とする。
この発明では、気筒間に位置する隔壁に連通孔を形成し、この連通孔内に、隔壁よりも強度の高い補強部を、隔壁の鋳造時に連通孔の内壁に一体になるように形成しているので、連通孔を補強することができる。また、補強部には補強部連通孔が形成され、補強部連通孔の内側には、気筒間を連通する油路形成部材連通孔が形成された油路形成部材が設けられているので、連通孔を補強しつつ、気筒間を連通することができる。さらに補強部には、当該補強部に形成された補強部連通孔と、隔壁に複数形成された隔壁オイル通路とに開口する補強部オイル通路が形成され、補強部連通孔の内側に設けられる油路形成部材には、補強部オイル通路に接続されるオイル溝が形成されている。これにより、複数形成される隔壁オイル通路は、補強部オイル通路とオイル溝とによって接続されるので、オイルの経路は確保される。これらの結果、隔壁の剛性の確保と気筒間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保することができる。
また、この発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、前記油路形成部材は、前記補強部連通孔に圧入によって嵌合されていることを特徴とする。
この発明では、油路形成部材を補強部連通孔に圧入によって嵌合しているので、油路形成部材を補強部連通孔の内側に設けるための構造を別途設ける必要がなく、簡素な構造で油路形成部材を補強部連通孔の内側に設けることができる。これにより、補強部連通孔付近に荷重が作用した場合でも、応力が集中し易い部分を低減することができるので、より確実に補強部連通孔付近の剛性の向上を図ることができる。この結果、より確実に隔壁の剛性を確保することができる。
また、この発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、前記油路形成部材は、前記補強部との間に前記隔壁を形成する材料と同一の材料からなるブロック部を介して前記補強部連通孔の内側に設けられており、前記ブロック部には、前記補強部オイル通路及び前記オイル溝に開口するブロック部オイル通路が形成されていることを特徴とする。
この発明では、補強部と油路形成部材との間に、隔壁と同一の材料からなるブロック部を設けている。このため、隔壁の鋳造時に補強部を前記連通孔の内壁に一体に形成した後、補強部連通孔の内側において油路形成部材を設ける部分を油路形成部材の形状に合わせて加工する場合、隔壁を形成する材料と同一の材料からなるブロック部を加工して油路形成部材を設けることができる。つまり、隔壁は、補強部を形成する材料よりも強度の低い材料によって形成されており、油路形成部材を設ける部分を加工する際には、隔壁と同様に補強部よりも強度の低い材料からなるブロック部を加工することになるので、容易に加工することができる。これにより、油路形成部材を設ける部分の加工時間の短縮を図ることができる。また、隔壁とブロック部とは同一の材料によって形成されているため、これらを加工した場合には、同一材料の切り粉が発生する。このため、隔壁とブロック部との双方を加工した場合でも、隔壁を加工した際に発生する切り粉と、ブロック部を加工した際に発生する切り粉とを分別する必要が無くなる。これらの結果、製造コストの低減を図ることができる。
また、この発明に係る内燃機関のシリンダブロックの製造方法は、シリンダブロックを鋳造によって形成すると共に複数の気筒を有し、且つ、前記気筒間には隔壁が設けられた内燃機関のシリンダブロックの製造方法であって、前記シリンダブロックの鋳造前に、前記気筒間を連通する補強部連通孔が形成され、且つ、前記隔壁に鋳包まれる補強部を、前記隔壁に複数の隔壁オイル通路を形成する複数の隔壁オイル通路用の鋳型によって保持する工程と、前記複数の隔壁オイル通路用の鋳型によって前記補強部が保持された状態で前記シリンダブロックを鋳造する工程と、を含むことを特徴とする。
この発明では、シリンダブロックの鋳造前に、複数の隔壁オイル通路用の鋳型によって補強部を保持し、保持した状態でシリンダブロックを鋳造しているので、隔壁の剛性を確保できる補強部を、より確実に、且つ、容易にシリンダブロックの隔壁に鋳包むことができる。この結果、前記内燃機関のシリンダブロックを容易に製造することができる。
また、この発明に係る内燃機関のシリンダブロックの製造方法は、さらに、前記補強部に、前記隔壁オイル通路及び前記補強部連通孔に開口する補強部オイル通路を形成する工程と、前記補強部連通孔の内側に、前記補強部オイル通路に接続されるオイル溝と前記気筒間を連通する油路形成部材連通孔とが形成された油路形成部材を設ける工程と、を含むことを特徴とする。
この発明では、シリンダブロックの鋳造後に、補強部が有する補強部連通孔の内側に、オイル溝と油路形成部材連通孔とが形成された油路形成部材を設けているので、気筒間の連通面積とオイルの経路とを、より確実に、且つ、容易に確保することができる。この結果、前記内燃機関のシリンダブロックを容易に製造することができる。
本発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、隔壁の剛性の確保と気筒間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保することができる、という効果を奏する。また、本発明に係る内燃機関のシリンダブロックの製造方法は、隔壁の剛性の確保と気筒間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保することができる内燃機関のシリンダブロックを容易に製造することができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る内燃機関のシリンダブロック及び内燃機関のシリンダブロックの製造方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本発明の実施例1に係る内燃機関のシリンダブロックを備える内燃機関の一部断面図である。図2は、図1のA−A断面図である。同図に示す内燃機関1は複数の気筒5を有しており、各気筒5にはピストン7が設けられている。このピストン7は、各気筒5の一部を構成するシリンダブロック6内に配置されており、シリンダブロック6における各気筒5間には隔壁11が設けられている。この隔壁11は気筒5間に配設されており、気筒5は複数設けられているため、隔壁11も複数形成されている。また、当該内燃機関1運転時におけるピストン7の下死点方向にはクランクシャフト9が設けられており、ピストン7とクランクシャフト9とは、コネクティングロッド8によって接続されている。また、シリンダブロック6の下方には、内燃機関1内を循環するオイルが貯留されるオイルパン28が形成されている。
また、複数の気筒5は、内燃機関1をクランクシャフト9の軸方向から見た場合に、クランクシャフト9の径方向における2方向に形成されている。つまり、当該内燃機関1は、クランクシャフト9が下方に位置する頂点となり、気筒5がV字形状に配設された、V型形状の内燃機関1となっている。複数の気筒5は、このようにV字形状に配設されると共に、クランクシャフト9の軸方向にも並設されている。
また、シリンダブロック6においてクランクシャフト9が位置している側の端部には、スクリュー26によってベアリングキャップ25が固定されている。このベアリングキャップ25は前記隔壁11に固定されており、隔壁11とベアリングキャップ25との双方には、軸受面20が形成されている。これらの軸受面20は、共にクランクシャフト9の軸方向から見た場合に略半円形の形状で形成されており、ベアリングキャップ25をシリンダブロック6に固定して双方の軸受面20を一体にした際に、前記クランクシャフト9の径よりも若干大きい径の円形の孔になるようにそれぞれ形成されている。コネクティングロッド8によってピストン7が接続されたクランクシャフト9は、この軸受面20によって回転自在に支持されている。つまり、軸受面20は、クランクシャフト9用のジャーナル軸受として形成されている。
図3は、図1のB部詳細図である。図4は、図3のC−C断面図である。前記隔壁11には、隣接する気筒5間を連通する連通孔12が形成されている。この連通孔12は、ピストン7が下死点まで移動した場合におけるピストン7よりも、軸受面20寄りに位置している。また、隔壁11には、内燃機関1内を循環するオイルの経路となる隔壁オイル通路15が複数形成されている。この隔壁オイル通路15は、複数の気筒5間にかけて形成されたメインオイル通路16と、メインオイル通路16から分岐し、軸受面20の方向に流れるオイル通路であるジャーナルオイル通路17とが形成されている。また、連通孔12の内側には、補強部である補強ブッシュ30が設けられており、さらに、補強ブッシュ30の内側には、油路形成部材である圧入ブッシュ40が設けられている。
複数の隔壁オイル通路15の一部であるジャーナルオイル通路17は、メインオイル通路16から軸受面20にかけて形成されており、ジャーナル軸受となる軸受面20用のオイル通路として設けられている。また、当該ジャーナルオイル通路17は、メインオイル通路16から軸受面20にかけて形成された孔によって形成されている。これにより、軸受面20にはジャーナルオイル通路17が開口している。
前記連通孔12は、このジャーナルオイル通路17上に位置しており、ジャーナルオイル通路17は連通孔12によって分断されている。換言すると、隔壁11には2つのジャーナルオイル通路17が形成されており、連通孔12には、この2つのジャーナルオイル通路17が接続され、これらのジャーナルオイル通路17は連通孔12に対して開口している。このため、連通孔12には、メインオイル通路16に接続されているジャーナルオイル通路17と、軸受面20に接続されているジャーナルオイル通路17とが接続されている。
また、当該内燃機関1のシリンダブロック6は鋳造によって形成されており、気筒5間に位置する隔壁11も鋳造によって形成されている。この隔壁11には気筒5間を連通する連通孔12が形成され、連通孔12の内側には補強ブッシュ30が設けられているが、この補強ブッシュ30は、隔壁11の鋳造時に隔壁11に鋳包まれることにより連通孔12の内側に配設されている。つまり、補強ブッシュ30は、隔壁11の鋳造時に隔壁11で鋳包むことにより、連通孔12の内壁に一体に形成されている。
図5は、補強ブッシュの斜視図である。この補強ブッシュ30は、略円筒形の形状で形成されており、円筒形の内側部分が、隔壁11を隔てて隣接する2つの気筒5に開口するように連通孔12の内側に設けられている。この円筒形の内側部分は補強ブッシュ孔31となっており、つまり、補強ブッシュ30には、連通孔12の内側に配設された状態において、気筒5間を連通する補強部連通孔である補強ブッシュ孔31が形成されている。また、補強ブッシュ30は、隔壁11を形成する材料の強度よりも強度の高い材料によって形成されており、例えば、隔壁11がアルミニウムによって形成されている場合には、補強ブッシュ30は鉄やチタンなどで形成されている。なお、ここでいう材料の強度とは、一般的に材料の引張強さのことをいい、引張強さが高い材料は強度が高く、引張強さが低い材料は強度が低い材料として判断される。また、この補強ブッシュ30には、当該補強ブッシュ30の外周面33から補強ブッシュ孔31にかけて形成された孔である補強ブッシュオイル通路32が形成されている。この補強ブッシュオイル通路32は、連通孔12に開口されたジャーナルオイル通路17と補強ブッシュ孔31に対して開口している。
さらに、補強ブッシュオイル通路32は、2つのジャーナルオイル通路17が連通孔12に開口しているのに伴い、補強ブッシュオイル通路32も2つ形成されている。この2つの補強ブッシュオイル通路32は、ジャーナルオイル通路17が連通孔12に対して開口している部分に対向するように、一方の端部が補強ブッシュ30の外周面33に開口し、他方の端部は補強ブッシュ孔31に開口している。即ち、補強ブッシュオイル通路32は、2つの補強ブッシュオイル通路32が補強ブッシュ孔31の2箇所に開口している。なお、補強ブッシュ30に形成される補強ブッシュオイル通路32と、隔壁11に形成されるジャーナルオイル通路17とは、補強ブッシュ30が隔壁11の鋳造時に隔壁11に鋳包まれた後、軸受面20からメインオイル通路16に向かってドリル(図示省略)などによって孔が開けられることにより形成される。
図6は、圧入ブッシュの斜視図である。また、補強ブッシュ孔31の内側に設けられる圧入ブッシュ40は、略円筒形の形状で形成されており、外周面43の外径が補強ブッシュ孔31の内径とほぼ同一の径となっている。また、圧入ブッシュ40は、当該圧入ブッシュ40の形状である円筒形の軸方向が、補強ブッシュ30の形状である円筒形の軸方向と同一方向になる向きで補強ブッシュ孔31の内側に設けられている。詳しくは、圧入ブッシュ40は、この向きで補強ブッシュ孔31に圧入によって嵌合され、これにより補強ブッシュ30と圧入ブッシュ40とは一体に形成されている。さらに、圧入ブッシュ40は、補強ブッシュ30の軸方向と同一方向になる向きで補強ブッシュ孔31の内側に設けられているため、圧入ブッシュ40の形状である円筒形の内側の孔は、補強ブッシュ30が設けられた隔壁11を隔てて隣接する2つの気筒5に開口している。即ち、圧入ブッシュ40の形状である円筒形の内側の孔は、隔壁11を介して隣接する気筒5間を連通する油路形成部材連通孔である圧入ブッシュ孔41として形成されている。なお、この圧入ブッシュ40は、隔壁11を形成する材料と同じ材料によって形成されている。
また、圧入ブッシュ40の外周面43には、所定の溝深さで当該外周面43の全周にかけて形成された溝であるオイル溝42が形成されている。このオイル溝42は、圧入ブッシュ40が補強ブッシュ孔31に嵌合された状態において、圧入ブッシュ40の形状である円筒形の軸方向における位置が、補強ブッシュオイル通路32の、補強ブッシュ孔31に開口している位置とほぼ同じ位置になっている。また、当該オイル溝42の前記軸方向における幅は、補強ブッシュオイル通路32が補強ブッシュ孔31に開口している部分の同方向における幅よりも広くなっている。
また、オイル溝42は、圧入ブッシュ40の外周面43の全周に渡って形成されているため、補強ブッシュ孔31の2箇所に開口している補強ブッシュオイル通路32は、共にオイル溝42に対して開口している、或いは、オイル溝42は、2つの補強ブッシュオイル通路32に接続されており、2つの補強ブッシュオイル通路32とオイル溝42とは、連続した通路になる。換言すると、オイル溝42は、2つの補強ブッシュオイル通路32間を連通している。
この実施例1に係る内燃機関1のシリンダブロック6は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。前記内燃機関1を運転させると、隔壁11の両側に位置するピストン7が、それぞれ往復運動をする。このため、隔壁11間においてピストン7よりもクランクシャフト9側に位置する部分は、ピストン7の往復運動によって容積が大きく変化する。このように容積が変化すると、その変化に応じて変化した部分の圧力も変化する。具体的には、ピストン7よりもクランクシャフト9側に位置する部分は、ピストン7が下死点側から上死点方向に移動した場合、その移動に従って容積が大きくなるので、これに伴って、この部分に位置するクランク室10の内圧が低くなる。また、ピストン7が上死点側から下死点方向に移動した場合には、その移動に従ってピストン7よりもクランクシャフト9側に位置する部分の容積は小さくなるので、これに伴ってクランク室10の内圧は高くなる。
クランク室10は、ピストン7の往復運動によって上記のように内圧が変化するが、気筒5間に設けられる隔壁11には、内側に補強ブッシュ30が鋳包まれた連通孔12が形成されており、この補強ブッシュ30が有する補強ブッシュ孔31には圧入ブッシュ40が嵌合されている。また、この圧入ブッシュ40には、隔壁11を介して隣接する気筒5間を連通する圧入ブッシュ孔41が形成されている。このため、ピストン7の往復運動によって、隔壁11を介して隣接しているそれぞれの気筒5における各クランク室10の内圧に変化が生じた場合には、気筒5内の空気が、圧力が高い方から圧力が低い方に、圧入ブッシュ孔41を通って移動する。つまり、圧入ブッシュ孔41を介して連通している気筒5内における、当該圧入ブッシュ孔41によって連通している部分間に圧力差が生じた場合には、その圧力差に応じて、圧力差が低減する方向に空気が流れる。このように圧入ブッシュ孔41は、隣接する気筒5間を、当該気筒5内の空気が流れる呼吸孔として形成されている。
また、当該内燃機関1を運転すると、燃焼室(図示省略)では燃料が急激に燃焼し、また、ピストン7が往復運動をするので、振動が発生したり、当該内燃機関1を構成する各部に荷重が作用したりする。特に、前記隔壁11は、コネクティングロッド8を介してピストン7が接続されたクランクシャフト9を、当該隔壁11と前記ベアリングキャップ25とによって支持しているので、隔壁11には大きな荷重が作用する。この荷重は、連通孔12の近傍にも作用するが、連通孔12には、隔壁11を形成する材料よりも強度が高い材料によって形成された補強ブッシュ30が鋳包まれている。このため、連通孔12付近に作用する荷重は、強度が高いこの補強ブッシュ30で受けることができる。
また、メインオイル通路16によって内燃機関1の各部に供給されるオイルは、さらにジャーナルオイル通路17を流れて軸受面20の方向に向かう。その際に、ジャーナルオイル通路17は、連通孔12によって分断されており、当該ジャーナルオイル通路17は、メインオイル通路16と連通孔12との間に位置するジャーナルオイル通路17と、連通孔12と軸受面20との間に位置するジャーナルオイル通路17とに分かれている。このため、メインオイル通路16からジャーナルオイル通路17に流れたオイルは、連通孔12に向かって流れる。
この連通孔12には、2つの補強ブッシュオイル通路32が形成された補強ブッシュ30が鋳包まれており、この2つの補強ブッシュオイル通路32は、連通孔12に開口した2つのジャーナルオイル通路17に連通している。さらに、補強ブッシュ30が有する補強ブッシュ孔31には、外周面33にオイル溝42が形成された圧入ブッシュ40が嵌合されており、オイル溝42は、2つの補強ブッシュオイル通路32間を連通している。
これにより、メインオイル通路16からジャーナルオイル通路17に流れ、連通孔12に向かったオイルは、メインオイル通路16寄りの補強ブッシュオイル通路32に流れ、この補強ブッシュオイル通路32からオイル溝42に流れ、さらに、軸受面20寄りの補強ブッシュオイル通路32に流れ、連通孔12と軸受面20との間に位置するジャーナルオイル通路17に流れる。このようにして軸受面20に接続されているジャーナルオイル通路17を流れたオイルは、クランクシャフト9と軸受面20との間に供給され、この部分を潤滑する。
以上の内燃機関1のシリンダブロック6は、気筒5間に位置する隔壁11に連通孔12を設け、この連通孔12内に、隔壁11よりも強度が高い補強ブッシュ30を鋳包んでいる。また、補強ブッシュ30が有する補強ブッシュ孔31には、圧入ブッシュ孔41が形成された圧入ブッシュ40を嵌合している。これにより、気筒5間を連通する連通孔12は補強ブッシュ30によって補強され、また、圧入ブッシュ40には圧入ブッシュ孔41が形成されているので、圧入ブッシュ孔41によって気筒5間を連通しつつ、連通している部分の剛性を確保できる。さらに、補強ブッシュ30は、隔壁11の鋳造時に隔壁11に鋳込んでいるので、補強ブッシュ30を連通孔12の内側に設ける際に、補強ブッシュ30は連通孔12の内壁に密着し易くなるので、より確実に連通孔12付近の剛性を向上させることができる。また、補強ブッシュ30を隔壁11に鋳込むことにより、例えば補強ブッシュ30を連通孔12内に圧入によって嵌合した場合のように、隔壁12に必要以上に応力が作用することを抑制できるので、より確実に連通孔12付近の剛性を向上させることができる。
このため、気筒5間に位置する隔壁11に、当該気筒5間を連通する呼吸孔を設ける場合でも、内燃機関1の運転時に呼吸孔となる圧入ブッシュ孔41付近に作用する荷重を補強ブッシュ30で受けることができ、この荷重によって隔壁11に発生する虞のある亀裂などの破損を抑制できる。従って、隔壁11で補強ブッシュ30を鋳包み、補強ブッシュ30が有する補強ブッシュ孔31に、圧入ブッシュ孔41が形成された圧入ブッシュ40を嵌合することにより、当該圧入ブッシュ孔41によって、隔壁11を介して隣接している気筒5間の圧力差を緩和するのに必要な連通面積を確保しつつ、補強ブッシュ30の剛性によって呼吸孔付近の隔壁11の剛性を確保し、呼吸孔付近の隔壁11に作用する荷重を当該補強ブッシュ30で受けることができる。
また、補強ブッシュ30に補強ブッシュオイル通路32を形成し、圧入ブッシュ40にはオイル溝42を形成しているので、連通孔12とジャーナルオイル通路17とが重なった場合でも、オイルの経路を確保できる。つまり、ジャーナルオイル通路17が連通孔12によって分断され、連通孔12に2つのジャーナルオイル通路17が接続された状態でも、補強ブッシュオイル通路32が形成された補強ブッシュ30を連通孔12の内側に鋳包み、さらに、外周面43にオイル溝42が形成された圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31に嵌合することにより、2つのジャーナルオイル通路17と2つの補強ブッシュオイル通路32、さらにオイル溝42は連通するので、2つのジャーナルオイル通路17間は連通する。これにより、軸受面20を潤滑するオイルの経路は確保される。これらの結果、隔壁11の剛性の確保と気筒5間の連通面積の確保とを両立し、且つ、オイルの経路を確保することができる。
また、圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31に圧入によって嵌合しているので、圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に設けるための構造を別途設ける必要がなく、簡素な構造で圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に設けることができる。具体的には、双方を円筒形の形状で形成するのみで、圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に設けることができる。これにより、内燃機関1の運転時に、補強ブッシュ孔31付近に荷重が作用した場合でも、応力が集中し易い部分を低減することができるので、より確実に補強ブッシュ孔31付近の剛性の向上を図ることができる。この結果、より確実に隔壁11の剛性を確保することができる。
また、このように気筒5間を連通する部分の剛性を確保できるので、連通する部分の連通面積を大きくすることができる。つまり、補強ブッシュ30を形成する材料は、隔壁11を形成する材料よりも強度が高いので、呼吸孔となる圧入ブッシュ孔41の径を大きくした場合でも、圧入ブッシュ40付近に作用する荷重を、補強ブッシュ30で受けることができる。また、このように圧入ブッシュ孔41の径を大きくすることにより、補強ブッシュ30が鋳包まれた隔壁11を介して隣接する気筒5間の圧力差を、より低減することができる。つまり、一方の気筒5の内圧が高くなった際に、この気筒5内の空気を大きい径で形成された圧入ブッシュ孔41から、隣接する気筒5に素早く流して内圧をより確実に低くすることができる。同様に、一方の気筒5の内圧が低くなった際に、隣接する気筒5内の空気を、大きい径で形成された圧入ブッシュ孔41から素早く取り入れ、低くなった内圧をより確実に高くすることができる。このため、内燃機関1運転時におけるクランク室10の内圧の変動を、より確実に抑制することができ、クランク室10の内圧が高くなったり低くなったりすることに起因する抵抗を、より確実に低減することができる。この結果、内燃機関1運転時における抵抗を低減でき、出力の向上や燃費の向上を図ることができる。
また、連通孔12とジャーナルオイル通路17とが重なった場合でも、ジャーナルオイル通路17から軸受面20にオイルを供給することができるので、このオイルによる潤滑性能と気筒5内の圧力変動の緩和とを両立することができる。このため、連通孔12とジャーナルオイル通路17とは、それぞれ他方が形成されている位置によって連通孔12またはジャーナルオイル通路17を設ける位置が制約されることが抑制される。これにより、連通孔12及びジャーナルオイル通路17は、共に効率のよい位置に配置することができる。この結果、潤滑性能の向上を図ることができると共に、気筒5内の圧力の変動をより確実に緩和することができる。
また、圧入ブッシュ40は、隔壁11を形成する材料と同じ材料によって形成されているので、隔壁11の熱膨張率と同じ熱膨張率になっている。このため、内燃機関1の運転時に隔壁11に温度変化が生じて熱による膨張や収縮が生じた場合でも、圧入ブッシュ40の熱膨張率は隔壁11の熱膨張率と同じになるので、隔壁11の膨張や収縮と同じ割合で膨張や収縮をする。これにより、隔壁11と圧入ブッシュ40との間で熱膨張率が異なっていることに起因して、圧入ブッシュ40と補強ブッシュ30との間に隙間が生じたり、必要以上に応力が作用したりすることを抑制できる。この結果、より確実に圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に保持することができる。
また、隔壁11に形成する呼吸孔を、補強ブッシュ30と圧入ブッシュ40とで形成することにより、内燃機関1の性能に応じて容易に気筒5間の連通面積を変更することができる。つまり、内燃機関1では、全体的な形状はほぼ同様な形状の内燃機関1同士であっても、排気量が異なっていたり、過給器が取り付けられていたりすることなどによって性能が異なっている場合がある。このように性能が異なる内燃機関1同士の場合、気筒5内の空間の圧力も異なるので、気筒5間の連通面積も変化させる必要があるが、気筒5間を連通する部分として、例えば気筒5間に位置する隔壁11に孔を開け、直接呼吸孔を形成した場合には、この呼吸孔の大きさを変える必要がある。この場合、呼吸孔は、隔壁11を鋳造する際の鋳型によって形成するため、隔壁11を形成する鋳型、即ち、シリンダブロック6を形成する鋳型を、呼吸孔の大きさごとに用意する必要がある。
これに対し、連通孔12の内側に補強ブッシュ30を配設し、補強ブッシュ30に形成された補強ブッシュ孔31に、圧入ブッシュ孔41が形成された圧入ブッシュ40を圧入して圧入ブッシュ孔41を、気筒5間を連通する呼吸孔とした場合には、補強ブッシュ30や圧入ブッシュ40を変更することにより、気筒5間の連通面積を変化させることができる。例えば、その内燃機関1、或いはシリンダブロック6で可能な最大の性能に対する連通面積より圧入ブッシュ孔41を設定し、この圧入ブッシュ孔41の大きさに合わせて圧入ブッシュ40及び補強ブッシュ30の形状を設定して補強ブッシュ30の外径と、連通孔12の径を決める。同様な形状の他の内燃機関1において、このように決めた連通面積よりも連通面積が小さくても良い場合には、圧入ブッシュ孔41の径が小さめになっている圧入ブッシュ40と、外径が設定した径となる補強ブッシュ30を用いて、隔壁11の連通孔12の内側に補強ブッシュ30を設け、この補強ブッシュ30の補強ブッシュ孔31に圧入ブッシュ40を圧入する。つまり、この場合、内燃機関1の最大性能に合わせて圧入ブッシュ孔41の径を設定した場合と比較して、補強ブッシュ30または圧入ブッシュ40の少なくともいずれか一方の肉厚が、内燃機関1の最大性能に合わせて圧入ブッシュ孔41を設定した圧入ブッシュ40及び補強ブッシュ30の肉厚よりも薄くなっている。これにより、圧入ブッシュ孔41の径が最大となる場合と比較して、圧入ブッシュ孔41の径を小さくすることができるので、気筒5間の連通面積を小さくすることができる。
このように、異なる内燃機関1において互いに性能が異なり、気筒5間の連通面積を異ならせる場合においても、補強ブッシュ30と圧入ブッシュ40を変えて隔壁11に設けることにより、隔壁11を介して隣接する気筒5間の連通面積を変えることができるので、隔壁11に形成する呼吸孔ごとに、シリンダブロック6の鋳造に用いる鋳型を用意する必要がなくなる。この結果、製造コストの低減を図ることができる。
実施例2に係る内燃機関のシリンダブロックは、実施例1に係る内燃機関のシリンダブロックと略同様の構成であるが、補強ブッシュと圧入ブッシュとの間にブロック部が設けられている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。図7は、実施例2に係る内燃機関のシリンダブロックの要部断面詳細図である。同図に示す内燃機関50のシリンダブロック51は、補強ブッシュ孔31の内側に略円筒形の形状で形成されたブロック部55が設けられており、円筒形の形状で形成されたブロック部55の内側の孔であるブロック部孔56の内側に、圧入ブッシュ40が圧入されている。即ち、圧入ブッシュ40は、ブロック部55を介して補強ブッシュ孔31の内側に設けられている。また、このブロック部55は、隔壁52を形成する材料と同一の材料により形成されている。
また、ブロック部55には、当該ブロック部55の外周面58からブロック部孔56にかけて形成された孔であるブロック部オイル通路57が形成されている。このブロック部オイル通路57は、補強ブッシュ30に形成された補強ブッシュオイル通路32と、圧入ブッシュ40に形成されたオイル溝42との双方に対して開口している。
さらに、ブロック部オイル通路57は、補強ブッシュ孔31に2つの補強ブッシュオイル通路32が開口しているため、ブロック部オイル通路57も2つ形成されている。この2つのブロック部オイル通路57は、補強ブッシュオイル通路32が補強ブッシュ孔31に対して開口している部分に対向するように、一方の端部がブロック部55の外周面58に開口し、他方の端部はブロック部孔56に開口している。即ち、ブロック部オイル通路57は、2つのブロック部オイル通路57がブロック部孔56の2箇所に開口している。
この実施例2に係る内燃機関50のシリンダブロック51は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関50を運転させると、実施例1に係る内燃機関1のシリンダブロック6と同様に、隔壁52を介して隣接している気筒5(図2参照)のクランク室10(図2参照)同士の圧力差によって、この気筒5内の空気が圧入ブッシュ孔41内を通って移動する。また、このように気筒5間の呼吸孔として使用される圧入ブッシュ孔41が形成される圧入ブッシュ40の周囲にはブロック部55を介して補強ブッシュ30が設けられているため、内燃機関50の運転時に圧入ブッシュ40の周辺に大きな荷重が作用した場合でも、補強ブッシュ30でその荷重を受けることができる。
また、メインオイル通路16(図3参照)内を流れるオイルは、ジャーナルオイル通路17を通り、メインオイル通路16側に位置すると共にジャーナルオイル通路17に連通される補強ブッシュオイル通路32内に流れる。この補強ブッシュオイル通路32は、ブロック部55に形成されるブロック部オイル通路57のうち、メインオイル通路16側に位置するブロック部オイル通路57に連通しているため、オイルはこのブロック部オイル通路57内に流れ、さらに、圧入ブッシュ40に形成されるオイル溝42に流れる。またさらに、このオイル溝42内を流れるオイルは軸受面20側に位置するブロック部オイル通路57内に流れ、軸受面20(図3参照)側に位置する補強ブッシュオイル通路32を経て軸受面20に開口しているジャーナルオイル通路17内に流れる。これにより、軸受面20にオイルは供給され、このオイルは軸受面20とクランクシャフト9(図2参照)との間を潤滑する。
次に、実施例2に係る内燃機関50のシリンダブロック51の製造方法について説明する。前記ブロック部55は、隔壁52の鋳造時に、補強ブッシュ30を隔壁52に鋳包むと同時に、隔壁52を形成する材料と同じ材料で補強ブッシュ孔31の内側に設ける。その後、内径が圧入ブッシュ40の外径とほぼ同じ径になるように、ブロック部孔56を加工する。また、ブロック部オイル通路57は、このようにして、補強ブッシュ30が、隔壁52の鋳造時に隔壁52によって鋳包まれると同時に補強ブッシュ孔31の内側にブロック部55を形成した後、補強ブッシュ30に形成される補強ブッシュオイル通路32、及び隔壁52に形成されるジャーナルオイル通路17と共に、軸受面20からメインオイル通路16に向かってドリルなどによって孔を開けることによって形成される。
以上の内燃機関50のシリンダブロック51は、補強ブッシュ30と圧入ブッシュ40との間に、隔壁52と同一の材料からなるブロック部55を設けている。圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に設ける際には、圧入ブッシュ40の外周面43の形状に合わせて、当該外周面43に接触する部分を加工する場合が多いが、実施例2に係る内燃機関50のシリンダブロック51では、補強ブッシュ孔31の内側にブロック部55が設けられているため、圧入ブッシュ40を補強ブッシュ孔31の内側に設ける際には、このブロック部55を加工する。このため、圧入ブッシュ40の外周面43の形状に合わせて、当該外周面43に接触する部分を加工する場合に、隔壁52と同一材料によって形成されているブロック部55を加工することができるので、容易に加工することができる。
つまり、隔壁52は、補強ブッシュ30を形成する材料よりも強度の低い材料によって形成されており、圧入ブッシュ40を設ける部分を加工する際には、隔壁52と同様に補強ブッシュ30よりも強度の低い材料からなるブロック部55を加工することになるので、容易に加工することができる。これにより、圧入ブッシュ40を設ける部分の加工時間の短縮を図ることができる。また、隔壁52とブロック部55とは同一の材料によって形成されているため、これらを加工した場合には、同一材料による切り粉が発生する。このため、隔壁52とブロック部55との双方を加工した場合でも、隔壁52を加工した際に発生する切り粉と、ブロック部55を加工した際に発生する切り粉とを分別する必要が無くなる。これらの結果、製造コストの低減を図ることができる。
実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックは、実施例1に係る内燃機関のシリンダブロックと略同様の構成であるが、メインオイル通路と補強ブッシュオイル通路とが直接接続されている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略するとともに、同一の符号を付す。図8は、実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの要部詳細図である。図9は、図8のD−D断面図である。同図に示す内燃機関60のシリンダブロック61は、実施例1に係る内燃機関1のシリンダブロック6と異なり、メインオイル通路16と補強ブッシュ30とが近接し、補強ブッシュオイル通路32がメインオイル通路16に対して開口している。つまり、ジャーナルオイル通路17は連通孔12と軸受面20との間に形成されているのみで、メインオイル通路16と連通孔12との間には形成されていない。
詳細には、メインオイル通路16が、補強ブッシュ30の外周面33における、前記軸受面20が形成されている位置と反対側の位置付近で当該外周面33に近接している。さらに、補強ブッシュ30に2つ形成された補強ブッシュオイル通路32のうち、メインオイル通路16寄りに位置している補強ブッシュオイル通路32は、外周面33に開口している部分がメインオイル通路16に対して開口しており、この補強ブッシュオイル通路32とメインオイル通路16とは連通している。
この実施例3に係る内燃機関60のシリンダブロック61は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。内燃機関60を運転させると、実施例1に係る内燃機関1のシリンダブロック6と同様に、隔壁62を介して隣接している気筒5(図2参照)のクランク室10(図2参照)同士の圧力差によって、この気筒5内の空気が圧入ブッシュ孔41内を通って移動する。また、このように気筒5間の呼吸孔として使用される圧入ブッシュ孔41が形成される圧入ブッシュ40の周囲には補強ブッシュ30が設けられているため、内燃機関60の運転時に圧入ブッシュ40の周辺に大きな荷重が作用した場合でも、補強ブッシュ30でその荷重を受けることができる。
また、メインオイル通路16内を流れるオイルは、ジャーナルオイル通路17を通らずに直接補強ブッシュオイル通路32内に流れ、圧入ブッシュ40に形成されるオイル溝42を通ったあと、軸受面20側に位置する補強ブッシュオイル通路32内に流れ、さらに、軸受面20に開口したジャーナルオイル通路17内に流れて軸受面20に供給される。これにより、このオイルは、軸受面20とクランクシャフト9(図2参照)との間を潤滑する。
次に、実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの製造方法について説明する。図10は、シリンダブロックの鋳造時における補強ブッシュと鋳型の状態を示す図である。前記シリンダブロック61は鋳造によって形成するため、隔壁62は隔壁用鋳型71によって形成され、軸受面20は軸受面用鋳型72によって形成される。また、メインオイル通路16及びジャーナルオイル通路17もシリンダブロック61の鋳造時に形成されるため、シリンダブロック61の鋳造時には、メインオイル通路16及びジャーナルオイル通路17が形成される位置には、隔壁オイル通路15用の鋳型が配設される。つまり、メインオイル通路16が形成される位置には、隔壁オイル通路15用の鋳型の一部であるメインオイル通路用鋳型73が配設され、ジャーナルオイル通路17が形成される位置には、隔壁オイル通路15用の鋳型の一部であるジャーナルオイル通路用鋳型74が配設される。
また、補強ブッシュ30は、隔壁62に鋳包まれることにより連通孔12の内側に設けられるため、シリンダブロック61の鋳造時には、隔壁62において補強ブッシュ30が配設される位置に保持された状態でシリンダブロック61は鋳造される。具体的には、補強ブッシュオイル通路32を形成する前の補強ブッシュ30に、予め補強ブッシュオイル通路32が外周面33に開口する位置付近に、略半球状の凹みによって形成される保持部78を形成し、シリンダブロック61の鋳造前に、ジャーナルオイル通路用鋳型74の端部を保持部78に入れ、保持部78に当接させる。なお、このジャーナルオイル通路用鋳型74は、軸受面用鋳型72と一体に形成されており、前記保持部78に当接している端部75の反対側の端部が軸受面用鋳型72に接続されている。
また、メインオイル通路16は、補強ブッシュ30から見た場合にジャーナルオイル通路17が形成されている側の反対側に形成されるため、メインオイル通路用鋳型73も補強ブッシュ30に対して、ジャーナルオイル通路用鋳型74が形成されている側の反対側に位置させる。また、このメインオイル通路用鋳型73は、補強ブッシュ30に接触させる。つまり、補強ブッシュ30をジャーナルオイル通路用鋳型74とメインオイル通路用鋳型73とによって挟み込み、これらによって保持する。
次に、補強ブッシュ30がジャーナルオイル通路用鋳型74とメインオイル通路用鋳型73とによって保持された状態でシリンダブロック61を鋳造する。これにより、鋳型や補強ブッシュ30が設けられていない空間部分にシリンダブロック61を形成する材料が入り込み、隔壁62などが形成される。また、このように補強ブッシュ30がジャーナルオイル通路用鋳型74とメインオイル通路用鋳型73とによって保持された状態でシリンダブロック61を鋳造することにより、補強ブッシュ30を隔壁62に鋳包むことができる。
その後、メインオイル通路用鋳型73等の鋳型を抜き取ることにより、メインオイル通路16やジャーナルオイル通路17が形成され、補強ブッシュ30が鋳包まれた隔壁62が形成される。次に、軸受面20側から、ジャーナルオイル通路17内にドリルを入れ、ジャーナルオイル通路17に連通する孔を補強ブッシュ30に開ける。このドリルは、補強ブッシュ30に形成される補強ブッシュ孔31を通過させ、補強ブッシュ30においてメインオイル通路16側に位置する部分にも孔を開けて補強ブッシュ30を貫通させる。これにより、補強ブッシュ30には、ジャーナルオイル通路17と補強ブッシュ孔31とに開口した孔からなる補強ブッシュオイル通路32と、メインオイル通路16と補強ブッシュ孔31とに開口した孔からなる補強ブッシュオイル通路32とが形成される。
次に、補強ブッシュ30の内側部分を加工して、圧入ブッシュ40の外周面43の形状に補強ブッシュ孔31の形状を合わせる。次に、この補強ブッシュ孔31の内側に、外周面43にオイル溝42が形成されると共に、圧入ブッシュ孔41が形成された圧入ブッシュ40を、圧入によって設ける。
以上の内燃機関60のシリンダブロック61は、メインオイル通路16と補強ブッシュ30に形成される補強ブッシュオイル通路32とを直接接続するので、オイルの経路における接続部分が減少する。このため、接続部分でオイルが流れる流路の形状が変化することによる抵抗が低減するので、より確実に軸受面20の方向にオイルを流すことができる。この結果、潤滑性能の向上を図ることができる。
また、当該内燃機関60のシリンダブロック61を上述した製造方法によって製造することにより、内燃機関60のシリンダブロック61を容易に製造することができる。つまり、シリンダブロック61の鋳造前に、補強ブッシュ30をメインオイル通路用鋳型73とジャーナルオイル通路用鋳型74とで挟み込んで保持しているので、隔壁62の剛性を確保できる補強ブッシュ30を、より確実にシリンダブロック61の隔壁62に鋳包むことができる。また、メインオイル通路用鋳型73とジャーナルオイル通路用鋳型74とによって補強ブッシュ30を保持しているので、シリンダブロック61の鋳造時に補強ブッシュ30を保持する部材を、別途設ける必要がなくなる。これにより、隔壁62の剛性を確保できる補強ブッシュ30を、より容易にシリンダブロック61の隔壁62で鋳包むことができる。これらの結果、内燃機関60のシリンダブロック61を容易に製造することができる。
また、シリンダブロック61をダイカストによって製造する際には、鋳造圧力が高いため、補強ブッシュ30を保持する力が弱い場合には、材料の鋳造圧力によって補強ブッシュ30がずれてしまう虞がある。これに対し、上述した製造方法では、補強ブッシュ30をメインオイル通路用鋳型73とジャーナルオイル通路用鋳型74とで保持しているので、シリンダブロック61をダイカストによって製造し、鋳造圧力が高い場合であっても、シリンダブロック61の鋳造時に補強ブッシュ30がずれることを抑制できる。この結果、より確実に、補強ブッシュ30をシリンダブロック61の隔壁62で鋳包むことができる。
また、シリンダブロック61の鋳造後に、補強ブッシュ30が有する補強ブッシュ孔31の内側に、気筒5間を連通する圧入ブッシュ孔41と、補強ブッシュ30に形成された2つの補強ブッシュオイル通路32を連通させるオイル溝42とが形成された圧入ブッシュ40を圧入によって設けているので、気筒5間の連通面積とオイルの経路とを、より確実に、且つ、容易に確保することができる。この結果、内燃機関60のシリンダブロック61を容易に製造することができる。
図11及び図12は、実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの変形例を示す図である。なお、実施例3に係る内燃機関60のシリンダブロック61では、補強ブッシュ30に保持部78を形成し、シリンダブロック61の鋳造時にはジャーナルオイル通路用鋳型74とメインオイル通路用鋳型73とによって挟み込み、シリンダブロック61の鋳造後に、加工によって補強ブッシュオイル通路32を開けているが、補強ブッシュオイル通路32はシリンダブロック61の鋳造前に開けてあってもよい。例えば、図11に示すように、補強ブッシュ30には、シリンダブロック61の鋳造前に補強ブッシュオイル通路32を形成しておき、ジャーナルオイル通路用鋳型80には、シリンダブロック61の鋳造時に補強ブッシュオイル通路32に入り込む部分を設けてもよい。
具体的には、ジャーナルオイル通路用鋳型80には、補強ブッシュオイル通路32の径よりも若干小さい径の円柱形の形状で形成された補強ブッシュオイル通路部81と、補強ブッシュオイル通路32の径よりも大きい径の円柱形の形状で形成されたジャーナルオイル通路部82とが形成されている。このジャーナルオイル通路用鋳型80は、ジャーナルオイル通路部82の形状である円柱形の一方の端部が軸受面用鋳型72に接続されており、他方の端部に補強ブッシュオイル通路部81が接続されている。この補強ブッシュオイル通路部81とジャーナルオイル通路部82とは、双方の形状である円柱形の軸方向の向きが同じ方向になっており、補強ブッシュオイル通路部81の長さは、補強ブッシュ30の外径とほぼ同じ長さになっている。また、補強ブッシュオイル通路部81とジャーナルオイル通路部82とは、互いに円柱形の径が異なっており、ジャーナルオイル通路部82の方が径が大きいため、これらの接続部分は段差を有しており、この部分は段差部83となっている。
シリンダブロック61の鋳造時には、ジャーナルオイル通路用鋳型80の補強ブッシュオイル通路部81を、補強ブッシュ30の外周面33の方向から、当該補強ブッシュ30に形成された補強ブッシュオイル通路32に通す。ジャーナルオイル通路用鋳型80には段差部83が形成されているため、補強ブッシュオイル通路32に補強ブッシュオイル通路部81が通された補強ブッシュ30は、段差部83に外周面33が当接することにより、ジャーナルオイル通路部82の方向には移動しないようになっている。この状態で、補強ブッシュ30における軸受面用鋳型72が位置する方向と反対の方向に、メインオイル通路用鋳型73を配設し、メインオイル通路用鋳型73を補強ブッシュ30に当接させる。これにより、補強ブッシュ30は、ジャーナルオイル通路用鋳型80の段差部83とメインオイル通路用鋳型73とによって挟み込まれる。即ち、補強ブッシュ30は、ジャーナルオイル通路用鋳型80とメインオイル通路用鋳型73とによって保持される。このため、シリンダブロック61の鋳造時に、補強ブッシュ30を、より確実に保持することができると共に、補強ブッシュ30を保持する部材を別途設ける必要がなくなる。この結果、内燃機関60のシリンダブロック61を容易に製造することができる。
また、図12に示すように、補強ブッシュ30に形成する補強ブッシュオイル通路32と、ジャーナルオイル通路用鋳型90とを共にテーパ状に形成し、テーパ状の形状で形成されたジャーナルオイル通路用鋳型90に補強ブッシュオイル通路32を通すことにより補強ブッシュ30を保持してもよい。つまり、補強ブッシュ30に2つ形成する補強ブッシュオイル通路32を、連続したテーパ状の孔の形状で形成し、ジャーナルオイル通路用鋳型90は、テーパ角が補強ブッシュオイル通路32のテーパ角とほぼ同一になり、当該ジャーナルオイル通路用鋳型90の端部91から軸受面用鋳型72の方向に向かうに従って径が大きくなるように形成する。
このジャーナルオイル通路用鋳型90のテーパ角と、補強ブッシュオイル通路32のテーパ角の方向が同一方向になる向きで補強ブッシュオイル通路32にジャーナルオイル通路用鋳型90を通すことにより、補強ブッシュ30は所定の位置で軸受面用鋳型72の方向に移動しなくなる。この状態で、補強ブッシュ30における軸受面用鋳型72が位置する方向と反対の方向に、メインオイル通路用鋳型73を配設し、メインオイル通路用鋳型73を補強ブッシュ30に当接させる。これにより、補強ブッシュ30は、ジャーナルオイル通路用鋳型90とメインオイル通路用鋳型73とによって挟み込まれ、補強ブッシュ30は、これらによって保持される。このため、シリンダブロック61の鋳造時に、補強ブッシュ30を、より確実に保持することができると共に、補強ブッシュ30を保持する部材を別途設ける必要がなくなる。この結果、内燃機関60のシリンダブロック61を容易に製造することができる。なお、これらのように、シリンダブロック61の鋳造前に補強ブッシュオイル通路32を形成した場合には、シリンダブロック61の鋳造後に、補強ブッシュオイル通路32の形状を整える加工を行なってもよい。
また、上述した連通孔12及び補強ブッシュ30は、連通孔12の連通方向に見た形状が共に円形の形状で形成されているが、これらの形状は円形以外の形状でもよい。補強ブッシュ30は連通孔12に沿った形状で形成され、連通孔12の内側から当該連通孔12を補強できる形状であればよい。また、補強ブッシュ30は、正確に連通孔12に沿った形状で形成されていなくてもよく、部分的には連通孔12から離れていてもよい。補強ブッシュ30は正確に連通孔12に沿った形状で形成されていなくても、隔壁11を形成する材料よりも強度が高い材料からなり、実質的に連通孔12に沿った形状で形成されて連通孔12内に設けられることにより、連通孔12付近の隔壁11の剛性を確保することができる。
同様に、圧入ブッシュ40は、連通孔12の連通方向に見た形状が円形以外の形状で形成されていてもよい。圧入ブッシュ40は、補強ブッシュ30に形成される補強ブッシュ孔31に沿った形状で形成され、補強ブッシュ孔31の内側に配設することのできる形状であればよい。また、圧入ブッシュ40は、正確に補強ブッシュ孔31に沿った形状で形成されていなくてもよく、部分的には補強ブッシュ孔31から離れていてもよい。圧入ブッシュ40は正確に補強ブッシュ孔31に沿った形状で形成されていなくても、気筒5間を連通する圧入ブッシュ孔41が形成され、外周面43にオイル溝42が形成されていれば、気筒5間の連通面積を確保できると共に、オイルの経路を確保することができる。
以上のように、本発明に係る内燃機関のシリンダブロック及び内燃機関のシリンダブロックの製造方法は、複数の気筒を有する内燃機関に有用であり、特に、内燃機関の運転時における抵抗を低減する場合に適している。
本発明の実施例1に係る内燃機関のシリンダブロックを備える内燃機関の一部断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB部詳細図である。 図3のC−C断面図である。 補強ブッシュの斜視図である。 圧入ブッシュの斜視図である。 実施例2に係る内燃機関のシリンダブロックの要部断面詳細図である。 実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの要部詳細図である。 図8のD−D断面図である。 シリンダブロックの鋳造時における補強ブッシュと鋳型の状態を示す図である。 実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの変形例を示す図である。 実施例3に係る内燃機関のシリンダブロックの変形例を示す図である。
符号の説明
1 内燃機関
5 気筒
6 シリンダブロック
7 ピストン
8 コネクティングロッド
9 クランクシャフト
10 クランク室
11 隔壁
12 連通孔
15 隔壁オイル通路
16 メインオイル通路
17 ジャーナルオイル通路
20 軸受面
25 ベアリングキャップ
26 スクリュー
28 オイルパン
30 補強ブッシュ
31 補強ブッシュ孔
32 補強ブッシュオイル通路
33 外周面
40 圧入ブッシュ
41 圧入ブッシュ孔
42 オイル溝
43 外周面
50 内燃機関
51 シリンダブロック
52 隔壁
55 ブロック部
56 ブロック部孔
57 ブロック部オイル通路
58 外周面
60 内燃機関
61 シリンダブロック
62 隔壁
71 隔壁用鋳型
72 軸受面用鋳型
73 メインオイル通路用鋳型
74 ジャーナルオイル通路用鋳型
75 端部
78 保持部
80 ジャーナルオイル通路用鋳型
81 補強ブッシュオイル通路部
82 ジャーナルオイル通路部
83 段差部
90 ジャーナルオイル通路用鋳型
91 端部

Claims (5)

  1. 複数の気筒を有する内燃機関のシリンダブロックであって、
    前記気筒間に位置すると共に鋳造によって設けられる隔壁と、
    前記隔壁に形成され、且つ、前記気筒間を連通する連通孔と、
    前記隔壁の鋳造時に前記連通孔の内壁に一体に形成され、且つ、前記隔壁よりも強度の高い材料からなり、さらに、前記気筒間を連通する補強部連通孔が形成された補強部と、
    前記隔壁に複数形成されると共に前記連通孔に開口する隔壁オイル通路と、
    前記補強部に形成されると共に、前記隔壁オイル通路及び前記補強部連通孔に開口する補強部オイル通路と、
    前記補強部連通孔の内側に設けられると共に前記補強部と一体に形成され、且つ、前記補強部オイル通路に接続されるオイル溝が形成されており、さらに、前記気筒間を連通する油路形成部材連通孔が形成された油路形成部材と、
    を備えることを特徴とする内燃機関のシリンダブロック。
  2. 前記油路形成部材は、前記補強部連通孔に圧入によって嵌合されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のシリンダブロック。
  3. 前記油路形成部材は、前記補強部との間に前記隔壁を形成する材料と同一の材料からなるブロック部を介して前記補強部連通孔の内側に設けられており、
    前記ブロック部には、前記補強部オイル通路及び前記オイル溝に開口するブロック部オイル通路が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のシリンダブロック。
  4. シリンダブロックを鋳造によって形成すると共に複数の気筒を有し、且つ、前記気筒間には隔壁が設けられた内燃機関のシリンダブロックの製造方法であって、
    前記シリンダブロックの鋳造前に、前記気筒間を連通する補強部連通孔が形成され、且つ、前記隔壁に鋳包まれる補強部を、前記隔壁に複数の隔壁オイル通路を形成する複数の隔壁オイル通路用の鋳型によって保持する工程と、
    前記複数の隔壁オイル通路用の鋳型によって前記補強部が保持された状態で前記シリンダブロックを鋳造する工程と、
    を含むことを特徴とする内燃機関のシリンダブロックの製造方法。
  5. さらに、前記補強部に、前記隔壁オイル通路及び前記補強部連通孔に開口する補強部オイル通路を形成する工程と、
    前記補強部連通孔の内側に、前記補強部オイル通路に接続されるオイル溝と前記気筒間を連通する油路形成部材連通孔とが形成された油路形成部材を設ける工程と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のシリンダブロックの製造方法。
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