JP2007211283A - 高周波焼入方法、高周波焼入設備および高周波焼入品 - Google Patents

高周波焼入方法、高周波焼入設備および高周波焼入品 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理の条件出しが容易で、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能な高周波焼入方法および高周波焼入設備を提供する。また、低価格であり、かつ複数の部位において所望の硬度が得られた高周波焼入品を提供する。
【解決手段】高周波焼入方法10は、温度制御工程20と、焼入制御工程30とを備えている。温度制御工程20は、温度制御用測温工程23と、温度調節工程24と、加熱工程22とを含む。焼入制御工程30は、焼入用測温工程35と、冷却タイミング調節工程36と、冷却工程37とを含む。そして、被処理物においては、硬度制御部位が複数存在し、焼入用測温工程35においては、当該複数の硬度制御部位の各々において温度が測定され、冷却タイミング調節工程36においては、複数の硬度制御部位の各々において取得された温度の情報に基づいて、冷却開始信号が出力される。
【選択図】図3

Description

本発明は高周波焼入方法、高周波焼入設備および高周波焼入品に関し、より特定的には、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入を行なう高周波焼入方法、高周波焼入設備および高周波焼入品に関するものである。
鋼からなる鋼製部品においては、その用途に対応して、部位によって必要な硬度が異なる場合がある。たとえば、フォークリフトのマストローラー兼用軸受の外輪においては、転動体と接触する内周面においては、高い硬度が必要とされる。一方、マストレールと接触する外周面は、マストレールとの硬度差を小さくしてマストローラーの損傷を低減するため、比較的低い硬度を有することが好ましい。
これに対し、マストローラー兼用軸受の外輪の焼入に際し、部位によって冷却速度を変化させることが可能な焼入装置が提案されている。これにより、内周面側において硬度が高く、外周面側において硬度の低いマストローラー兼用軸受の外輪を作製することができる(たとえば特許文献1参照)。
特開昭61−235509号公報
しかし、上述の焼入装置を用いた焼入方法では、電気炉などにより被処理物であるマストローラー兼用軸受の外輪を焼入温度に加熱した後、上記焼入装置に被処理物をセットして冷却速度をコントロールしながら冷却することにより、被処理物の内周面と外周面との硬度を制御している。そのため、上記冷却速度の厳密なコントロールが必要となるが、これを水や圧縮空気の吹き付け量の制御により行なうことは必ずしも容易ではない。また、被処理物の形状が変更された場合、上記冷却速度のコントロール条件を変更する必要があるが、当該コントロール条件を決定するためには試行錯誤が必要となり、コントロール条件の決定に手間を要するという問題点もある。
一方、高周波焼入は、誘導コイルに高周波電流を流すことにより、誘導コイルに隣接してセットされた被処理物を誘導加熱し、当該被処理物をA点以上の温度域からM点以下の温度域に冷却することにより被処理物を焼入硬化する焼入方法である。ここで、上記誘導加熱は被処理物の内部に発生するうず電流によるジュール熱とヒステリシス損失による仕事量に相当する熱の発生により実現されるため、誘導コイルに流される高周波電流の周波数、電源の出力、加熱時間などを制御することにより、被処理物のうち所望部分のみを局所的に加熱することができる。
したがって、誘導加熱により被処理物を局所的に加熱し、部位によって加熱温度を変化させた上で、被処理物を冷却して焼入を実施することができれば、冷却速度の厳密なコントロールを行なうことなく、被処理物の部位によって硬度を変化させることができる可能性がある。
しかし、一般に、高周波焼入においては、電力と時間との熱処理条件を変化させながら、被処理物のサンプルが実際に焼入され、当該サンプルの硬度、ミクロ組織などの焼入品質が確認されて、実験的に焼入条件が設定されている。この場合、被処理物の種類が変更されるたびに、熱処理条件を設定する必要があり、上述の焼入装置を用いた焼入方法と同様に、熱処理の条件出しに手間がかかるという問題がある。
そこで、本発明の一の目的は熱処理の条件出しが容易で、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能な高周波焼入方法および高周波焼入設備を提供することである。さらに、他の目的は、低価格であり、かつ複数の部位において所望の硬度が得られた高周波焼入品を提供することである。
本発明の一の局面における高周波焼入方法は、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、被処理物の温度が調節される温度制御工程と、加熱された被処理物が冷却されるべきタイミングが決定されて、被処理物が冷却される焼入制御工程とを備えている。温度制御工程は、被処理物の温度が測定される温度制御用測温工程と、温度制御用測温工程において測定された温度の情報に基づき被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号が出力される温度調節工程と、温度制御信号に基づいて、高周波加熱により被処理物が加熱される加熱工程とを含んでいる。焼入制御工程は、被処理物において、焼入硬化後の硬度が制御されるべき部位である硬度制御部位の温度が測定される焼入用測温工程と、焼入用測温工程において測定された温度の情報に基づき加熱時間が調節され、被処理物が冷却されるべきタイミングが決定されて冷却開始信号が出力される冷却タイミング調節工程と、冷却開始信号に基づいて、被処理物が冷却されることにより被処理物が焼入硬化される冷却工程とを含んでいる。
そして、被処理物においては、硬度制御部位が複数存在し、焼入用測温工程においては、当該複数の硬度制御部位の各々において温度が測定される。さらに、冷却タイミング調節工程においては、当該複数の硬度制御部位の各々において取得された温度の情報に基づいて加熱時間が調節されて、冷却開始信号が出力される。
一般に高周波焼入においては、まず加熱条件として電力と時間とのパラメータからなる電源出力の推移(電源出力パターン)が決定される(電力制御)。加熱条件は、被処理物の形状、材質等を考慮しつつ電力と時間とを変化させて被処理物のサンプルを実際に熱処理して決定される。ここで、鋼製品の焼入においては、被処理物を所定温度に所定時間以上保持した後、急冷する必要がある。しかし、上記方法(電力制御)では被処理物の加熱履歴を正確に把握することは困難である。そのため、実際に焼入を実施して得られた被処理物の硬さ、ミクロ組織等の品質を調査することにより熱処理条件が実験的に決定されている。このように、被処理物の加熱履歴が正確に把握できない点および熱処理条件の決定に経験と手間を要する点が高周波焼入の問題点の1つであった。
これに対し本発明の一の局面における高周波焼入方法では、被処理物の実際の温度と加熱時間とをパラメータとして被処理物の加熱状態が制御される(温度制御)。そのため、被処理物の加熱履歴を正確に把握することが可能であり、被処理物に必要な加熱履歴を与えた後、急冷することで焼入を行なうことができる。その結果、実際に熱処理を実施して得られた被処理物の硬さ、ミクロ組織等の品質の調査を行なう必要がなく、前述の高周波焼入の問題点が解消される。
さらに、上記一の局面における高周波焼入方法では、複数の硬度制御部位の各々において取得された温度の情報に基づいて加熱時間が調節されて、冷却開始信号が出力される。そのため、複数の硬度制御部位の各々において所望の加熱履歴が与えられた上で冷却されて焼入が実施される。その結果、複数の硬度制御部位の各々において所望の硬度が付与された被処理物を得ることができる。
以上のように、本発明の高周波焼入方法によれば、熱処理の条件出しが容易で、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能となる。
本発明の一の局面における高周波焼入方法において好ましくは、冷却タイミング調節工程においては、以下の式(1)により算出される被処理物中の固溶炭素濃度の分布に基づいて、加熱時間が調節される。
∂C/(∂t)=D∂2C/(∂x2)・・・・(1)
D:鉄中における炭素の拡散定数、C:固溶炭素濃度(質量%)、t:加熱時間(秒)、x:鉄炭化物(FeC)からの距離
D=D0exp(−Q/RT)
0:拡散定数のエントロピー項、Q:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度(K)
より詳細には、本発明の一の局面における高周波焼入方法においては、たとえば被処理物を構成する鋼の高周波加熱中のミクロ組織において、式(1)を用いて算出されるFeCから最も離れた位置における固溶炭素濃度が、複数の硬度制御部位の各々において所望の固溶炭素濃度となった時点で、冷却開始信号が出力される。
これにより、焼入後の硬度に対応する固溶炭素濃度の分布に基づいて加熱時間が調節されて焼入が実施されるため、優れた熱処理品質を容易に被処理物に付与することが可能となる。
本発明の他の局面における高周波焼入方法は、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、データ取得工程と、記憶工程と、確認工程と、量産工程とを備えている。データ取得工程では、被処理物のサンプルが加熱されて焼入硬化されることによりプロセスデータが取得される。記憶工程では、データ取得工程において被処理物のサンプルを加熱するために高周波加熱用の電源から誘導コイルに出力された電源出力の推移データと、被処理物のサンプルの温度推移データと、被処理物のサンプルの冷却タイミングを特定するための冷却タイミングデータとがプロセスデータとして記憶される。
確認工程では、記憶工程で記憶された温度推移データに基づいて電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータの妥当性が確認される。量産工程では、記憶工程で記憶され、かつ確認工程で妥当性が確認された電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータに従って被処理物の高周波焼入が行なわれる。そして、データ取得工程における焼入硬化は、上述の本発明の一の局面における高周波焼入方法により実施される。
上記本発明の一の局面における高周波焼入方法においては、温度制御による熱処理を行なうために測温装置による被処理物の測温が行なわれる。被処理物が目的の品質になるように熱処理を行なうためには測温の正確性は極めて重要である。そのため、測温に誤差を生じさせる外乱の影響を排除することが好ましい。また、温度計としては熱電対などの接触式温度計を用いることができるが、焼入設備のレイアウト上接触式温度計により被処理物の温度を測定することが困難な場合も多い。このような場合、放射温度計のような非接触式温度計を使用することができる。しかし、たとえば放射温度計のレンズに汚れや水滴が付着した場合、測定された温度には大きな誤差が含まれるおそれがある(外乱の影響)。このように特に非接触式の温度計を用いる場合、外乱への対策を講じることが好ましい。
これに対し、上記他の局面における高周波焼入方法ではデータ取得工程として上記本発明の一の局面における高周波焼入方法による高周波焼入を被処理物のサンプルに対して行なった後、測温データ等のプロセスデータを記憶する記憶工程を設け、さらに記憶されたプロセスデータの妥当性を確認する確認工程を経た上で、妥当性が担保されたプロセスデータに基づいて量産工程の熱処理が行なわれる。これにより、熱処理の条件出しが容易で、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることができるだけでなく、プロセスデータへの外乱の影響が排除され、被処理物の品質が安定する。
本発明の一の局面における高周波焼入設備は、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する上記一の局面または他の局面における高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備であって、被処理物の温度を調節するための温度制御装置と、加熱された被処理物が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置とを備えている。温度制御装置は、被処理物の温度データを取得し、当該被処理物の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置と、温度制御用測温装置に接続され、温度制御用測温装置からの温度の情報に基づき被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号を出力する温度調節装置と、温度調節装置に接続され、温度調節装置からの温度制御信号基づき、高周波加熱により被処理物を加熱する加熱装置とを含んでいる。
焼入制御装置は、硬度制御部位の温度データを取得し、当該硬度制御部位の温度データに基づく温度の情報を出力する焼入用測温装置と、焼入用測温装置に接続され、焼入用測温装置からの温度の情報に基づき加熱時間を調節し、被処理物が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する冷却タイミング調節装置と、冷却タイミング調節装置に接続され、冷却開始信号に基づいて、被処理物を冷却することにより被処理物を焼入硬化する冷却装置とを含んでいる。
本発明の一の局面における高周波焼入設備を用いて本発明の高周波焼入方法により被処理物を熱処理することにより、熱処理の条件出しが容易となり、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能となる。
本発明の他の局面における高周波焼入設備は、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する上記他の局面における高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備であって、被処理物の温度を調節するための温度制御装置と、加熱された被処理物が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置と、電源出力の推移データ、被処理物のサンプルの温度推移のデータおよび冷却タイミングデータをプロセスデータとして記憶する記憶装置とを備えている。
温度制御装置は、被処理物の温度データを取得し、当該被処理物の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置と、温度制御用測温装置に接続され、温度制御用測温装置からの温度の情報に基づき温度制御信号を出力する温度調節装置と、温度調節装置に接続され、温度調節装置からの温度制御信号基づき、高周波加熱により被処理物を加熱する加熱装置とを含んでいる。焼入制御装置は、硬度制御部位の温度データを取得し、当該硬度制御部位の温度データに基づく温度の情報を出力する焼入用測温装置と、焼入用測温装置に接続され、焼入用測温装置からの温度の情報に基づき加熱時間を調節し、被処理物が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する冷却タイミング調節装置と、冷却タイミング調節装置に接続され、冷却開始信号に基づいて、被処理物を冷却することにより被処理物を焼入硬化する冷却装置とを含んでいる。
本発明の他の局面における高周波焼入設備を用いて本発明の他の局面における高周波焼入方法により被処理物を熱処理することにより、熱処理の条件出しが容易となり、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能となるだけでなく、プロセスデータへの外乱の影響が排除され、被処理物の品質が安定する。
本発明に従った高周波焼入品は、上記一の局面または他の局面のいずれかの高周波焼入方法で熱処理されて作製されている。本発明の高周波焼入品によれば、熱処理の条件出しが容易であるため低価格化が可能であり、かつ複数の部位において所望の硬度が得られた高周波焼入品を提供することができる。
なお、本発明の高周波焼入品は、たとえば、マストローラー兼用軸受外輪などの鋼からなり、部位によって必要な硬度が異なる機械部品に適用することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の高周波焼入方法および高周波焼入設備によれば、熱処理の条件出しが容易で、かつ被処理物の複数の部位において所望の硬度を得ることが可能な高周波焼入方法および高周波焼入設備を提供することができる。さらに、本発明の高周波焼入品によれば低価格であり、かつ複数の部位において所望の硬度が得られた高周波焼入品を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における高周波焼入品としてのマストローラー兼用軸受外輪の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、実施の形態1におけるマストローラー兼用軸受外輪の構成を説明する。
図1を参照して、実施の形態1における高周波焼入品としてのマストローラー兼用軸受外輪1は、円環状の形状を有している。そして、マストローラー兼用軸受外輪1は、外周面1Aが比較的硬度の低いマストレール(図示しない)と接触しつつ転走する。したがって、外周面1Aは、マストレールとの硬度差を小さくしてマストローラーの損傷を低減するため、比較的低い硬度、たとえば40HRC±5HRC程度の硬度を有している。一方、マストローラー兼用軸受外輪1は内周面に、玉などの転動体が接触して転走するための転走面1Bが形成されている。したがって、転走面1Bは、十分な転動疲労寿命を確保するため、高い硬度、たとえば60HRC以上の硬度を有している。すなわち、外周面1Aおよび転走面1Bは、それぞれ焼入硬化後の硬度が制御されるべき部位である硬度制御部位である。
そして、マストローラー兼用軸受外輪1は、以下に説明する本発明の一実施の形態における高周波焼入方法で熱処理されて作製されているため、低価格化され、かつ複数の部位である外周面1Aおよび転走面1B(硬度制御部位)において所望の硬度が得られた高周波焼入品となっている。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態1における高周波焼入設備について説明する。図2は、実施の形態1における高周波焼入設備の構成を示す概略図である。図2を参照して、実施の形態1における高周波焼入設備の構成を説明する。
図2を参照して、実施の形態1における高周波焼入設備80は、高周波加熱により被処理物(たとえばマストローラー兼用軸受外輪1)を加熱して焼入硬化する本発明の高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備であって、被処理物としてのマストローラー兼用軸受外輪1の温度を調節するための温度制御装置50と、加熱されたマストローラー兼用軸受外輪1が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置60とを備えている。
温度制御装置50は、マストローラー兼用軸受外輪1の温度データを取得し、マストローラー兼用軸受外輪1の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置としての第1放射温度計3と、第1放射温度計3に接続され、第1放射温度計3からの温度の情報に基づき被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号を出力する温度調節装置4と、温度調節装置4に接続され、温度調節装置4からの温度制御信号基づき、高周波加熱によりマストローラー兼用軸受外輪1を加熱する加熱装置2とを含んでいる。加熱装置2は、たとえば高周波電流を流すための誘導コイルと、誘導コイルに接続され高周波電流を発生させる電源とを有している。
焼入制御装置60は、焼入硬化後の硬度が制御されるべき部位である硬度制御部位としての外周面1Aおよび転走面1Bの温度データを取得し、外周面1Aおよび転走面1Bの温度データに基づく温度の情報を出力する焼入用測温装置としての第1放射温度計3および第2放射温度計5と、第1放射温度計3および第2放射温度計5に接続され、第1放射温度計3および第2放射温度計5からの温度の情報に基づき加熱時間を調節し、マストローラー兼用軸受外輪1が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する冷却タイミング調節装置6と、冷却タイミング調節装置6に接続されるとともにマストローラー兼用軸受外輪1の外周面1Aを取り囲むように配置され、冷却開始信号に基づいて、マストローラー兼用軸受外輪1を冷却することによりマストローラー兼用軸受外輪1を焼入硬化する冷却装置としての冷却水噴射装置7とを含んでいる。
ここで、図2において、第1放射温度計3は、温度制御用測温装置と焼入用測温装置とを兼ねているが、温度制御用測温装置としての第3放射温度計を別途設けてもよい。また、温度調節装置4および冷却タイミング調節装置6は、たとえばそれぞれパーソナルコンピュータであり、1台のパーソナルコンピュータで温度調節装置4と冷却タイミング調節装置6とを兼ねる構成であってもよい。
次に、上述の実施の形態1における高周波焼入設備を用いた本発明の一実施の形態である実施の形態1における高周波焼入方法について説明する。図3は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における高周波焼入方法の概略を示す図である。
図2および図3を参照して、実施の形態1の高周波焼入方法10は、高周波加熱により被処理物(たとえばマストローラー兼用軸受外輪1)を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、マストローラー兼用軸受外輪1の温度が調節される温度制御工程20と、加熱されたマストローラー兼用軸受外輪1が冷却されるべきタイミングが決定されて、マストローラー兼用軸受外輪1が冷却される焼入制御工程30とを備えている。
温度制御工程20は、第1放射温度計3によりマストローラー兼用軸受外輪1の温度が測定される温度制御用測温工程23と、温度制御用測温工程23において測定された温度の情報に基づき温度調節装置4によりマストローラー兼用軸受外輪1の加熱状態を制御するための温度制御信号が出力される温度調節工程24と、温度制御信号に基づいて、加熱装置2を用いて高周波加熱によりマストローラー兼用軸受外輪1が加熱される加熱工程22とを含んでいる。
焼入制御工程30は、マストローラー兼用軸受外輪1において、焼入硬化後の硬度が制御されるべき部位である硬度制御部位としての外周面1Aおよび転走面1Bの温度がそれぞれ第1放射温度計3および第2放射温度計5により測定される焼入用測温工程35と、焼入用測温工程35において測定された温度の情報に基づき冷却タイミング調節装置6により加熱時間が調節され、マストローラー兼用軸受外輪1が冷却されるべきタイミングが決定されて冷却開始信号が出力される冷却タイミング調節工程36と、冷却開始信号に基づいて、冷却水噴射装置7から噴出された冷却水によってマストローラー兼用軸受外輪1がA点以上の温度からM点以下の温度に冷却されることにより、マストローラー兼用軸受外輪1が焼入硬化される冷却工程37とを含んでいる。
そして、焼入用測温工程35においては、外周面1Aおよび転走面1Bの各々において温度が測定され、冷却タイミング調節工程36においては、外周面1Aおよび転走面1Bの各々において取得された温度の情報に基づいて加熱時間が調節されて、冷却開始信号が出力される。
実施の形態1における高周波焼入設備80を用いて実施の形態1における高周波焼入方法10により被処理物としてのマストローラー兼用軸受外輪1を焼入硬化することにより、熱処理の条件出しが容易となり、かつマストローラー兼用軸受外輪1の外周面1Aおよび転走面1Bの各々において所望の硬度を得ることができる。
なお、A点とは鋼を加熱した場合に、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態を開始する温度に相当する点をいう。また、M点とはオーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。
次に、上述の実施の形態1における高周波焼入設備80を用いた実施の形態1における高周波焼入方法10、特に冷却タイミング調節工程36の具体的手順について詳細に説明する。
冷却タイミング調節工程36においては、たとえば以下の式(1)により算出されるマストローラー兼用軸受外輪1中の固溶炭素濃度の分布に基づいて、加熱時間を調節することができる。
∂C/(∂t)=D∂2C/(∂x2)・・・・(1)
D:鉄中における炭素の拡散定数、C:固溶炭素濃度(質量%)、t:加熱時間(秒)、x:鉄炭化物(FeC)からの距離
D=D0exp(−Q/RT)
0:拡散定数のエントロピー項、Q:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度(K)
以下、これを具体的に説明する。図4は、軸受鋼JIS SUJ2からなる部材における固溶炭素濃度と当該部材の硬度との関係を示す図である。図4において、横軸は鋼中に固溶している炭素の濃度(固溶炭素濃度)を示しており、縦軸は焼入後の硬度を示している。図4を参照して、実施の形態1における焼入条件(冷却タイミング調節工程において冷却開始信号が出力されるための条件)の決定方法の一例について説明する。
図4を参照して、たとえば被処理物としてのJIS SUJ2製マストローラー兼用軸受外輪1において、外周面1Aの目標硬度が40HRC±5HRC(約345HV〜450HV)、転走面1Bの目標硬度が60HRC(約700HV)以上である場合、外周面1Aの固溶炭素濃度は0.184質量%以上0.253質量%以下、転走面1Bの固溶炭素濃度は0.537質量%以上とすることが必要であることが分かる。したがって、これを冷却タイミング調節工程36における焼入条件として決定する。
なお、焼入条件の決定に際しては、被処理物を構成する鋼の成分ごとに図4と同様の関係図を作成しておくことが好ましいが、焼入後の鋼の硬度は、固溶炭素濃度の影響が大きく、他の合金元素の影響は炭素に比べて非常に小さいため、鋼の成分系が大きく異ならない限り、共通の関係図に基づいて焼入条件を決定することができる。
一方、温度制御工程において採用する加熱条件は、たとえばマストローラー兼用軸受外輪1の形状から加熱時に最も温度が高くなると予測される部位(誘導コイルに近い突起部など)の温度が高くなりすぎて、焼入後の残留オーステナイト量が多くなりすぎないようにすること等を考慮して決定することができる。その際、たとえばマストローラー兼用軸受外輪1を構成するJIS SUJ2のTTA(Time Temperature Austinitization)線図を作成し、温度と残留オーステナイト量が多くなりすぎないために許容される加熱時間との関係に基づいて加熱条件を決定することが好ましい。
焼入条件および加熱条件が上述のように決定された後、図2を参照して、加熱条件が温度調節装置4に、焼入条件が冷却タイミング調節装置6に、それぞれ入力される。温度調節装置4は、第1放射温度計3と、加熱装置2とに接続されており、第1放射温度計3からの温度情報に基づき、たとえばPID(Proportional Integral Differential)制御により温度制御信号を加熱装置2に出力し、マストローラー兼用軸受外輪1の加熱状態を制御する。
一方、冷却タイミング調節装置6は、第1放射温度計3および第2放射温度計5と、冷却水噴射装置7とに接続されており、第1放射温度計3および第2放射温度計5からの温度情報に基づき、上記式(1)により算出される外周面1Aおよび転走面1Bにおけるの固溶炭素濃度の分布に基づいて、すなわち固溶炭素濃度が外周面1Aおよび転走面1Bに関する上述の焼入条件を同時に満たすように加熱時間を調節し、当該条件が同時に満足された時点で冷却開始信号を出力する。
ここで式(1)を差分方程式で表すと、以下の式になる。
m,n+1=rCm+1,n+(1−2r)Cm,n+rCm-1,n・・・式(2)
r=D×Δt/(Δx)2・・・式(3)
冷却タイミングは、式(2)を所定の境界条件で解き、マストローラー兼用軸受外輪1を構成する鋼中の固溶炭素濃度が、上述の焼入条件を満たしているか否かで決定することができる。ここで、境界条件は、たとえば加熱中のマストローラー兼用軸受外輪1を構成する鋼中における鉄炭化物(セメンタイト;FeC)と素地との界面において、ある温度での炭素固溶濃度が当該温度での炭素の固溶限度に等しくなっているとの仮定の下に与えることができる。
以下、マストローラー兼用軸受外輪1を構成する鋼中の固溶炭素濃度の計算例を示す。図5は、加熱中のマストローラー兼用軸受外輪1の温度推移を示す図である。また、図6〜図8は、炭素の固溶開始からの各時間後(0.4秒後、0.8秒後、1.2秒後)における、2つのFeC間の各位置における固溶炭素濃度の分布を示す図である。図5において、横軸は炭素の固溶開始からの時間(秒)、縦軸は温度(℃)を示している。また、図6〜図8において、横軸は隣り合うFeCを結ぶ線分上における、基準となるFeCと素地との界面からの距離(位置)(mm)、縦軸は固溶炭素濃度(質量%)を示している。この炭素の固溶状態の計算においては、隣り合うFeC間の距離を0.012mmとし、FeCと素地との界面における固溶炭素量の値をJIS SUJ2の固溶限度曲線から得られる値(熱力学平衡計算ソフトで計算)とした。この固溶限度曲線の式は、実験的もしくは熱力学平衡計算によって、材料別にあらかじめ求めておくことができる。
図5〜図8を参照して、たとえば図5に示すようにマストローラー兼用軸受外輪1が加熱された場合、固溶炭素濃度の分布は、図6〜図8に示すように中央位置(2つのFeC間の距離を0.012mmとした場合には0.006mmの位置)において固溶炭素濃度が最も低くなっており、時間が経過するにつれて固溶炭素濃度が全体として増加するとともに、中央位置と両端(FeCと素地との界面)との差が小さくなる傾向にある。
冷却タイミング調節工程36における冷却開始信号は、たとえばマストローラー兼用軸受外輪1の外周面1Aおよび転走面1Bの両方が上述の焼入条件である固溶炭素濃度の条件を上記中央位置において満たした時点で出力することができる。
なお、FeC間の距離は、被処理物を構成する鋼の焼入前の組織や鋼種の違いによって適宜変更することができる。
つまり本実施の形態1の加熱時間の調節はたとえば以下のように行なわれる。まず外周面1Aおよび転走面1Bの温度を第1放射温度計3および第2放射温度計5により測定し(ステップA)、その測定された温度からFeCと素地との界面における固溶限度を計算する(ステップB)。FeCと素地との界面における固溶限度の値を式(2)の境界条件に与えて式(2)を計算する(ステップC)。以上の工程により、図6〜図8に示すような固溶炭素濃度の分布を計算することができる(ステップD)。得られた固溶炭素濃度の分布から、固溶炭素濃度の分布の中央位置における固溶炭素濃度が目標の硬度に基づいて予め決定した所定の濃度になったかどうかの確認を行なう(ステップE)。もし中央位置における固溶炭素濃度が所定の固溶炭素濃度に達していたら冷却を開始し(ステップF)、達していなければ冷却は開始されずに加熱が継続されて再度ステップAに戻る。
また、上記ステップCにおける式(2)は、たとえば以下のように差分法により解くことができる。まず、図6〜図8の固溶炭素濃度分布の両端における固溶炭素濃度は、FeCと素地との界面における固溶炭素濃度である。したがって、この位置から炭素の固溶限度で炭素が素地へ供給される。たとえば図6〜図8のように隣り合うFeCの間に区切りを5点とると(境界点を入れると7点)、5個の連立方程式が得られるが、未知数は、C0,n、C1,n、C2,n、C3,n、C4,n、C5,n、C6,nの7つとなる。このうちC0,nおよびC6,nにおける固溶炭素濃度は炭素の固溶限度の値である。したがって、未知数が5個の5元連立方程式を解くことにより、C1,n、C2,n、C3,n、C4,n、C5,nの値を求めることができる。
さらに、上述固溶炭素濃度の計算の開始温度、すなわち炭素の素地への固溶の開始温度は、昇温速度を考慮して決定することが好ましい。以下、その決定方法について説明する。
鋼が平衡状態を保ちつつ727℃(A点温度)以上に加熱されると、オーステナイト化が始まり、これに伴って炭素の固溶が始まる。しかし、昇温速度が速い場合、A点温度は昇温速度に影響されて変化し、AC1点(加熱変態点)温度においてオーステナイト化を開始する。したがって、上記計算の開始温度は、昇温速度を考慮して変化させることが好ましい。
図9は、炭素を1質量%含有する鋼(JIS SUJ2)における昇温速度と加熱変態点との関係を示す図である。図9において、横軸は昇温速度(℃/秒)、縦軸は加熱変態点AC1(℃)を示している。図9を参照して、昇温速度と加熱変態点との関係を説明する。
図9を参照して、昇温速度が変化すると、加熱変態点AC1は、727℃から950℃まで変化することが分かる。このように、マストローラー兼用軸受外輪1を構成する鋼の組成における昇温速度の変化に対する加熱変態点AC1の変化を予め調べておくことで、マストローラー兼用軸受外輪1の加熱時における昇温速度から加熱変態点AC1を導出し、その加熱変態点AC1に基づいて上記固溶炭素濃度の計算開始温度(炭素の固溶開始温度)を決定することができる。
図10は、昇温速度を考慮して固溶炭素濃度の計算開始温度を決定する方法を説明するための模式図である。図10において、横軸は時間、縦軸は温度を示している。図10中には、転走面1Bにおける温度推移と、外周面1Aにおける温度推移と、加熱変態点AC1とが示されている。図10を参照して、昇温速度を考慮した固溶炭素濃度の計算開始温度を決定する方法を説明する。
加熱初期においては、加熱が急速に行なわれるため加熱変態点は高くなっている。そして、被処理物の温度が所定の温度に近づくと、温度調節装置4により昇温速度が緩やかになるように加熱状態が制御されるため、加熱変態点AC1が低下していく。このため、時間の経過とともに加熱変態点AC1を表す直線(曲線となる場合もある)は、温度推移を表す曲線と交わる。この交点がオーステナイト化の開始温度を示しており、外周面1Aおよび転走面1Bが当該温度に到達した時点から上記固溶炭素濃度の計算を開始することができる。そして、上述のように固溶炭素濃度分布の中央位置における固溶炭素濃度が所定の濃度になった時点で冷却を開始することにより、所望の硬度の外周面1Aおよび転走面1Bを備えたマストローラー兼用軸受外輪1を得ることができる。
(実施の形態2)
図11は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における高周波焼入設備の構成の概略を示す図である。また、図12は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における高周波焼入方法の概略を示す図である。図11および図12を参照して、実施の形態2における高周波焼入設備および高周波焼入方法について説明する。
図11を参照して、実施の形態2における高周波焼入設備は、基本的には実施の形態1における高周波焼入設備と同様の構成を有している。しかし、実施の形態2における高周波焼入設備は、加熱装置2、温度調節装置4および冷却タイミング調節装置6に接続され、電源出力の推移データと、被処理物の温度推移のデータと、冷却タイミングデータとをプロセスデータとして記憶する記憶装置70を備えている点において、実施の形態1の高周波焼入設備とは異なっている。
また、図12を参照して、実施の形態2における高周波焼入方法は高周波加熱により被処理物(たとえばマストローラー兼用軸受外輪1)を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、データ取得工程と、記憶工程と、確認工程と、量産工程とを備えている。
データ取得工程では、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルが加熱されて焼入硬化されることによりプロセスデータが取得される。記憶工程では、データ取得工程においてマストローラー兼用軸受外輪1のサンプルを加熱するために高周波加熱用の電源から誘導コイルに出力された電源出力の推移データと、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの温度推移データと、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの冷却タイミングを特定するための冷却タイミングデータとがプロセスデータとして記憶される。
確認工程では、記憶工程で記憶された温度推移データに基づいて電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータの妥当性が確認される。すなわち、記憶工程において記憶されたプロセスデータのうち、温度推移データが分析されることで、外乱の影響の有無が判定され、記憶工程において記憶されたプロセスデータである電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータの妥当性が確認される。
ここで、外乱の影響があった場合、温度推移データに異常な値が記録されるため、記憶された温度推移データから外乱の有無は判断可能である。たとえば、温度推移データに不連続な領域が存在する場合、外乱があったものと判断することができる。また、より正確な判断を行なうためには、同一の部位の温度を測定する接触式または非接触式の温度計を設け、双方のデータの整合性により外乱の有無を判断することもできる。具体的判断の手法としては、たとえば双方のデータから温度差が5%以上となった場合に外乱有りと判断することができる。また、外乱の判断は作業者が温度推移データを確認して行なうことができるが、自動化された他の装置により行なうこともできる。具体的にはたとえば記憶された温度推移データの温度推移の微分値が1000℃/秒以上または−1000℃/秒以下となった場合に外乱有りと判断する方法や、前述のように同一の部位の温度を測定する温度計を設け、両者のデータに5%以上の差が生じた場合に外乱有りと判断するような手段が挙げられる。
量産工程では、記憶工程で記憶され、かつ確認工程で妥当性が確認された電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータに従ってマストローラー兼用軸受外輪1の高周波焼入が行なわれる。そして、データ取得工程における焼入硬化は、本発明の高周波焼入方法により実施される。
実施の形態2における高周波焼入設備80を用いて実施の形態2における高周波焼入方法により被処理物としてのマストローラー兼用軸受外輪1を焼入硬化することにより、熱処理の条件出しが容易となり、かつマストローラー兼用軸受外輪1の外周面1Aおよび転走面1Bの各々において所望の硬度を得ることができるだけでなく、プロセスデータへの外乱の影響が排除され、被処理物(マストローラー兼用軸受外輪1)の品質が安定する。
そして、実施の形態2における高周波焼入設備80を用いて実施の形態2における高周波焼入方法により焼入硬化された実施の形態2における高周波焼入品としてのマストローラー兼用軸受外輪1は、低価格化され、かつ複数の部位である外周面1Aおよび転走面1B(硬度制御部位)において所望の硬度が得られているだけでなく、品質の安定した高周波焼入品となっている。
次に、実施の形態2における高周波焼入の詳細について説明する。図13は、実施の形態2に係る高周波焼入の各工程におけるデータおよび指令の流れを示す図である。図13において、データ取得工程におけるデータの流れは実線矢印、記憶工程におけるデータの流れは破線矢印、確認工程におけるデータの流れは二重破線矢印、量産工程におけるデータの流れは二重実線矢印で表示されている。図13を参照して、実施の形態2に係る高周波焼入の各工程におけるデータの流れを説明する。
図13を参照して、データ取得工程においては、温度制御用測温装置(第1放射温度計3)により測定された被処理物としてのマストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの温度データは温度調節装置4に送られる。温度調節装置4においてはマストローラー兼用軸受外輪1の目標加熱温度および取得したマストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの温度データから必要な電源出力を判断し、加熱装置2の電源に電源出力を指令する。指令を受けた電源は加熱装置2の誘導コイルに電力を出力し、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルは目的の温度に加熱される。
一方、焼入用測温装置(第1放射温度計3および第2放射温度計5)により測定されたマストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの温度データは冷却タイミング調節装置6に送られる。冷却タイミング調節装置6においては取得したマストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの外周面1Aおよび転走面1Bの温度および加熱時間から冷却タイミングを判断し、冷却開始を冷却水噴射装置7などの冷却装置に指令する。これにより、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルは急冷され、焼入硬化される。このとき、このデータ取得工程は温度制御により実施されるため、マストローラー兼用軸受外輪1のサンプルの加熱履歴は明確である。そのため、温度データが正確である限り適切な熱処理が行なわれており、目的の品質を有するマストローラー兼用軸受外輪1が得られている。その結果、被処理物の品質を確認しながら熱処理の条件出しが行なわれる必要がなく、条件出しが容易に行なわれる。また、冷却タイミング調節工程においては、外周面1Aおよび転走面1Bの温度および加熱時間から冷却タイミングを判断しているため、外周面1Aおよび転走面1Bが所望の硬度に焼入硬化されている。
記憶工程においては、データ取得工程において温度調節装置4および冷却タイミング調節装置6が取得した温度データが温度推移データとして記憶装置70に記憶される。また、加熱装置2の電源が誘導コイルに出力した電源出力が電源出力の推移データとして記憶装置70に記憶される。さらに、冷却タイミング調節装置6が冷却水噴射装置7などの冷却装置に出力した冷却開始指令のタイミングが冷却タイミングデータとして記憶装置70に記憶される。ここで、冷却タイミングはたとえば加熱開始からの時間として記憶される。
確認工程においては、たとえば第1放射温度計3および第2放射温度計5と同一部位を測定可能な温度計がそれぞれ設けられ、当該部位が測温される。この測温データと、第1放射温度計3および第2放射温度計5により測定されて記憶装置70に記憶された温度推移データとが比較されることにより、外乱の有無が判断される。
量産工程においては、記憶工程で記憶され、かつ確認工程で妥当性が確認された電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータに基づき、マストローラー兼用軸受外輪1が加熱されて焼入が行なわれる。このとき、この量産工程は外乱のおそれのある第1放射温度計3および第2放射温度計5からのリアルタイムの温度データに基づいて実施されるのではなく、妥当性が確認された電源出力の推移データおよび冷却タイミングデータに基づいて電力制御により実施される。そのため、安定した品質のマストローラー兼用軸受外輪1が得られる。
なお、記憶装置70は、独立の装置として設置されてもよいが、たとえばハードディスクなどの記憶部を有するパーソナルコンピュータにより、温度調節装置4、冷却タイミング調節装置6などの装置を兼用して設置されてもよい。また、本発明の高周波焼入方法の各工程は、たとえば制御装置としてパーソナルコンピュータを用い、各工程に対応した単数または複数のプログラムにより当該パーソナルコンピュータを動作させることにより実施することができる。
また、上記実施の形態においては、硬度制御部位が外周面1Aおよび転走面1Bの2つの部位である場合について説明したが、本発明における硬度制御部位は3つ以上の部位であってもよい。さらに、上記実施の形態においては、加熱装置に含まれる誘導コイルは1つである場合について説明したが、誘導コイルは2つ以上であってもよい。これにより、複数の硬度制御部位に対して容易に所望の温度の加熱を実施し、所望の硬度を付与することができる。
また、複数の硬度制御部位をそれぞれ所望の温度に加熱し、焼入条件を満足させるためには、誘導コイルに流される高周波電流の周波数を適切に選択することが有効である。たとえば、高周波電流の周波数を高くすることで、より局所的な加熱が可能となり、被処理物の誘導コイルに近い場所と遠い場所との温度差を大きくすることができる。一方、高周波電流の周波数を低くすることで、上記温度差を小さくすることができる。すなわち、加熱装置に含まれる誘導コイルに流される電流の周波数は、複数の硬度制御部位の間における所望の温度の差または勾配などの被処理物中の温度分布、あるいはこれらにより制御可能な複数の硬度制御部位の間における所望の固溶炭素濃度の差、勾配などの被処理物中の固溶炭素濃度の分布に基づいて決定されてもよい。
また、温度制御用測温装置および焼入用測温装置に用いる測温装置の種類は、上述のように放射温度計でもよいが、装置のレイアウト上可能であるならば接触式温度計でもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の高周波焼入方法、高周波焼入設備、高周波焼入品は、高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法、高周波焼入設備、高周波焼入品に特に有利に適用され得る。
実施の形態1における高周波焼入品としてのマストローラー兼用軸受外輪の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1における高周波焼入設備の構成を示す概略図である。 実施の形態1における高周波焼入方法の概略を示す図である。 軸受鋼JIS SUJ2からなる部材における固溶炭素濃度と当該部材の硬度との関係を示す図である。 加熱中のマストローラー兼用軸受外輪1の温度推移を示す図である。 炭素の固溶開始から0.4秒後における、2つのFeC間の各位置における固溶炭素濃度の分布を示す図である。 炭素の固溶開始から0.8秒後における、2つのFeC間の各位置における固溶炭素濃度の分布を示す図である。 炭素の固溶開始から1.2秒後における、2つのFeC間の各位置における固溶炭素濃度の分布を示す図である。 炭素を1質量%含有する鋼(JIS SUJ2)における昇温速度と加熱変態点との関係を示す図である。 昇温速度を考慮して固溶炭素濃度の計算開始温度を決定する方法を説明するための模式図である。 実施の形態2における高周波焼入設備の構成の概略を示す図である。 実施の形態2における高周波焼入方法の概略を示す図である。 実施の形態2に係る高周波焼入の各工程におけるデータおよび指令の流れを示す図である。
符号の説明
1 マストローラー兼用軸受外輪、1A 外周面、1B 転走面、2 加熱装置、3 第1放射温度計、4 温度調節装置、5 第2放射温度計、6 冷却タイミング調節装置、7 冷却水噴射装置、10 高周波焼入方法、20 温度制御工程、22 加熱工程、23 温度制御用測温工程、24 温度調節工程、30 焼入制御工程、35 焼入用測温工程、36 冷却タイミング調節工程、37 冷却工程、50 温度制御装置、60 焼入制御装置、70 記憶装置、80 高周波焼入設備。

Claims (6)

  1. 高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、
    前記被処理物の温度が調節される温度制御工程と、
    加熱された前記被処理物が冷却されるべきタイミングが決定されて、前記被処理物が冷却される焼入制御工程とを備え、
    前記温度制御工程は、
    前記被処理物の温度が測定される温度制御用測温工程と、
    前記温度制御用測温工程において測定された温度の情報に基づき前記被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号が出力される温度調節工程と、
    前記温度制御信号に基づいて、前記高周波加熱により前記被処理物が加熱される加熱工程とを含み、
    前記焼入制御工程は、
    前記被処理物において、前記焼入硬化後の硬度が制御されるべき部位である硬度制御部位の温度が測定される焼入用測温工程と、
    前記焼入用測温工程において測定された温度の情報に基づき加熱時間が調節され、前記被処理物が冷却されるべきタイミングが決定されて冷却開始信号が出力される冷却タイミング調節工程と、
    前記冷却開始信号に基づいて、前記被処理物が冷却されることにより前記被処理物が焼入硬化される冷却工程とを含み、
    前記被処理物においては、前記硬度制御部位が複数存在し、
    前記焼入用測温工程においては、複数の前記硬度制御部位の各々において温度が測定され、
    前記冷却タイミング調節工程においては、複数の前記硬度制御部位の各々において取得された温度の情報に基づいて前記加熱時間が調節されて、前記冷却開始信号が出力される、高周波焼入方法。
  2. 前記冷却タイミング調節工程においては、以下の式(1)により算出される前記被処理物中の固溶炭素濃度の分布に基づいて、前記加熱時間が調節される、請求項1に記載の高周波焼入方法。
    ∂C/(∂t)=D∂2C/(∂x2)・・・・(1)
    D:鉄中における炭素の拡散定数、C:固溶炭素濃度(質量%)、t:加熱時間(秒)、x:鉄炭化物(FeC)からの距離
    D=D0exp(−Q/RT)
    0:拡散定数のエントロピー項、Q:活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度(K)
  3. 高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法であって、
    前記被処理物のサンプルが加熱されて焼入硬化されることによりプロセスデータが取得されるデータ取得工程と、
    前記データ取得工程において前記被処理物のサンプルを加熱するために高周波加熱用の電源から誘導コイルに出力された電源出力の推移データと、前記被処理物のサンプルの温度推移データと、前記被処理物のサンプルの冷却タイミングを特定するための冷却タイミングデータとが前記プロセスデータとして記憶される記憶工程と、
    前記記憶工程で記憶された前記温度推移データに基づいて前記電源出力の推移データおよび前記冷却タイミングデータの妥当性が確認される確認工程と、
    前記記憶工程で記憶され、かつ前記確認工程で妥当性が確認された前記電源出力の推移データおよび前記冷却タイミングデータに従って前記被処理物の前記高周波焼入が行なわれる量産工程とを備え、
    前記データ取得工程における前記焼入硬化は、請求項1または2に記載の高周波焼入方法により実施される、高周波焼入方法。
  4. 高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備であって、
    前記被処理物の温度を調節するための温度制御装置と、
    加熱された前記被処理物が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置とを備え、
    前記温度制御装置は、
    前記被処理物の温度データを取得し、前記被処理物の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置と、
    前記温度制御用測温装置に接続され、前記温度制御用測温装置からの温度の情報に基づき前記被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号を出力する温度調節装置と、
    前記温度調節装置に接続され、前記温度調節装置からの前記温度制御信号基づき、高周波加熱により前記被処理物を加熱する加熱装置とを含み、
    前記焼入制御装置は、
    前記硬度制御部位の温度データを取得し、前記硬度制御部位の温度データに基づく温度の情報を出力する焼入用測温装置と、
    前記焼入用測温装置に接続され、前記焼入用測温装置からの温度の情報に基づき加熱時間を調節し、前記被処理物が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する冷却タイミング調節装置と、
    前記冷却タイミング調節装置に接続され、前記冷却開始信号に基づいて、前記被処理物を冷却することにより前記被処理物を焼入硬化する冷却装置とを含む、高周波焼入設備。
  5. 高周波加熱により被処理物を加熱して焼入硬化する請求項3に記載の高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備であって、
    前記被処理物の温度を調節するための温度制御装置と、
    加熱された前記被処理物が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置と、
    前記電源出力の推移データと、前記被処理物の温度推移のデータと、前記冷却タイミングデータとを前記プロセスデータとして記憶する記憶装置とを備え、
    前記温度制御装置は、
    前記被処理物の温度データを取得し、前記被処理物の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置と、
    前記温度制御用測温装置に接続され、前記温度制御用測温装置からの前記温度の情報に基づき前記被処理物の加熱状態を制御するための温度制御信号を出力する温度調節装置と、
    前記温度調節装置に接続され、前記温度調節装置からの前記温度制御信号基づき、高周波加熱により前記被処理物を加熱する加熱装置とを含み、
    前記焼入制御装置は、
    前記硬度制御部位の温度データを取得し、前記硬度制御部位の温度データに基づく温度の情報を出力する焼入用測温装置と、
    前記焼入用測温装置に接続され、前記焼入用測温装置からの温度の情報に基づき加熱時間を調節し、前記被処理物が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する冷却タイミング調節装置と、
    前記冷却タイミング調節装置に接続され、前記冷却開始信号に基づいて、前記被処理物を冷却することにより前記被処理物を焼入硬化する冷却装置とを含む、高周波焼入設備。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波焼入方法で熱処理されて作製されたことを特徴とする、高周波焼入品。
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