JP2007207800A - グラファイトシートを用いた放熱部材及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導性に優れ、金属腐食の問題にも対応できる、実用的な高性能のグラファイトシートを用いてなる電子機器用放熱部材及び電子機器を提供する。
【解決手段】熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材において、熱伝導性グラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量を300ppm以下に保持するとともに、該シート材料を電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を1:10〜1:1000に設定することを特徴とする電子機器用放熱部材及び電子機器などを提供した。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた熱伝導性を有するグラファイトシートを用いてなる放熱部材及び電子機器に関し、さらに詳細には、各種電子機器、その電子部品、高密度半導体等から発生する熱の制御、つまり放熱、冷却を行うために用いられたり、宇宙船、人工衛星等の宇宙航行体に搭載される電子機器等の発熱体の熱制御を行うために用いられる、優れた熱伝導性を有するグラファイトシートを用いてなる放熱部材及び電子機器に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高性能化が進むにつれて、高密度に集積されたCPUなどから発生する熱問題、微細な制御を必要とする半導体製造装置などにおいて、熱問題が重要な検討項目になってきている。熱については放熱性のみならず、いかに場所による温度ばらつきを低減するかという均熱性が重要である。
これまでは、熱伝導性に優れたアルミ板や銅板などの金属板が適当に加工されたり、冷却ファンと組み合わせたりして放熱対策がなされているのが現状である。
かかる状況下で、グラファイトシートは、金属板と比較すると熱伝導性がよく、軽く柔軟性があるなどの特長を有するために、電子機器や装置、設備の熱伝導材として期待され始めてきている。
上記グラファイトシートとしては、黒鉛粉末をバインダー樹脂と混合してシート状にするもの、あるいは膨張黒鉛を圧延してシート状にするものが知られている。また、ポリイミドフィルムを原料として熱処理及び圧延処理によって柔軟性のあるグラファイトシートを直接的に得る方法も知られている。これらのグラファイトシートは、電気伝導性、熱伝導性といった特性に優れており、特にポリイミドフィルムを原料としたものは、高品質で折れ曲げに強く柔軟性に富んでおり、熱伝導性に優れたグラファイトシートが得られる。
ところが、グラファイトシートをそのまま電子機器の内部で熱伝導材として使用する際には、グラファイトシートが電気伝導性を有するために、電子部品間の電気的ショートを発生する可能性があり、また、グラファイトシートは、外部衝撃や摩耗等により表面や端面からグラファイト粉が分散し(“粉落ち”という)、そのグラファイト粉が同様に電気的に悪影響する恐れもある。
そのため、従来から、種々の提案がされていて、例えば、グラファイトシートの表面を、セラミックシートやフィルムで覆うことが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、電子機器の小型化が進むにつれ、電子基板の集積密度が高くなり、また、電子機器の筐体自体もよりコンパクトになってくると、筐体の内部空間の蓄熱しやすさを防止し難くするだけでなく、筐体内部空間に充満するある特定のガスについても無視できない現象の出現が明らかになりつつあった。
そして、市販されているグラファイトシートや上記提案されているグラファイトシートなどを、そのまま電子機器の内部で熱伝導部材として、長期間使用した場合、上記の電子機器の小型化や集積密度向上に伴い、従来では全く支障がなかった問題点として、密着している金属表面や近接する電子部品の金属部表面(特に集積回路の微細な端子等)や電気接点部に硫化や腐食が発生し、接点不良などを起こし電子機器としての耐久性に問題が生ずることが、判ってきた。
そのため、金属硫化や腐食に対する対応が種々検討されているが、依然として、熱伝導性に優れ、金属硫化や腐食の問題にも対応できる、実用的な放熱部材として用いられるグラファイトシート、及びそれを用いた電子機器用放熱部材が要望されている。
特開平8−267647号公報
本発明の目的として、上記従来のグラファイトシートや電子機器用放熱部材が有する問題点を解消し、熱伝導性に優れ、金属腐食の問題にも対応できる、実用的な高性能のグラファイトシートを用いてなる電子機器用放熱部材及び電子機器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意研究を重ねた結果、市販されているグラファイトシートなどを、そのまま電子機器の内部で熱伝導材として、長期間使用した場合、電子機器の小型化や集積密度向上において従来では全く支障がなかった金属腐食の問題点として、「グラファイトシートに含有する硫黄分」によって、密着している金属表面や近接する電子部品の金属部表面、特に集積回路の微細な端子等や電気接点部に硫化や腐食が発生し、接点不良などを起こし電子機器としての耐久性に問題が生ずることを、見出した。
この問題点については、半導体チップの小型・集積化が進み、半導体の高さが低くなりかつ金属端子が細くなることも起因していると考え、半導体表面に設ける放熱材と金属端子との位置関係が近接する傾向が強くなるからであろうと鑑み、そして、その金属腐食対策として、グラファイトシートの製造方法に着目した。通常、その製造方法として、フィルム状又はシート状のグラファイトは、天然には存在しないため、専ら人工的に作製され、その人工的なグラファイトの製造方法の代表がエキスパンド法と呼ばれる方法であり、これは、主に天然グラファイトを濃硫酸と濃硝酸の混合液に浸漬し、その後、加熱によりグラファイト層間を広げることにより製造されている。このようにして製造されたグラファイトは、洗浄により酸を取り除いた後、高圧プレス加工を施すことによってフィルム状又はシート状に加工されている。
しかしながら、本発明者らは、製造工程で使用された酸が完全には取り除けないため、その残留酸の浸出による金属の腐食が発生すると考察し、この残留酸を取り除ければ、金属腐食問題が解決するとの技術思想から、さらに、この残留酸の指標として、グラファイト中の硫黄分に注目し、硫黄分を特定範囲以内にすると、実用的に、金属硫化や腐食問題が解決することを見出した。
また、特に、グラファイトシートの体積と電子機器の筐体内部空間(容積)の比率が小さいと、さらに、筐体内部空間と外部空間との通気性が少ないか密閉された環境下にあると、筐体の内部空間に充満する硫黄のアウトガス成分により、金属硫化や腐食への影響が顕著になることも見出した。
筐体容積や通気性については、デザイン上の設計やユニバーサル的な観点からの設計事項などが優先されているが、もし、上記に挙げたこのような問題が明らかになると、デザイン上の制約が発生してしまうのである。本発明では、そうしないためにおいても、産業に寄与するものである。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材において、熱伝導性グラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量を300ppm以下に保持するとともに、該シート材料を電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を1:10〜1:1000に設定することを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
さらに、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記熱伝導性グラファイトシート材料は、高配向性で、かつシートの面方向に配向されていることを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記熱伝導性グラファイトシート材料は、片面又は両面上に、少なくとも1層の保護樹脂層を有することを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記保護樹脂層は、硬化性樹脂から形成され、架橋されていることを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記熱伝導性グラファイトシート材料は、片面又は両面上に、少なくとも1層の粘着剤層を有することを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤又はアクリル系両面粘着テープから選ばれることを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記熱伝導性グラファイトシート材料の厚みは、0.07〜1.5mmであることを特徴とする電子機器用放熱部材が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明に係る放熱部材を用いてなる放熱基板を有することを特徴とする電子機器が提供される。
本発明の電子機器用放熱部材は、用いられる熱伝導性グラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量を特定範囲にし、さらに、筐体の内部空間に充満する影響を特定することにより、熱伝導性に優れ、長期間使用しても金属腐食を起こさずに、実用的な高性能のものであるという顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の電子機器用放熱部材は、上記のように顕著な作用効果を奏するために、放熱用インターフェース、ヒートスプレッダ、ヒートシンクなどの放熱部材として用いることができる。
以下、本発明について、項目毎に詳細に説明する。
本発明の電子機器用放熱部材は、熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材であって、熱伝導性グラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量を300ppm以下に保持するとともに、該シート材料を電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を1:10〜1:1000に設定することを特徴とするものである。
1.グラファイトシート材料
工業用として市販されている放熱用グラファイトシートを製造した際、得られたグラファイトシートは、洗浄により酸を取り除いているが、完全には取り除けないため微量の残留酸があり、この微量の残留酸のために、放熱部材として、長時間用いた際に、金属の腐食が発生する。この金属腐食原因を検討した結果、特に、用いるグラファイトシート中の含まれる硫黄含量と金属腐食との間に関係があることを見出した。
本発明は、この知見に基づき、電子機器用放熱部材として、グラファイトシート中の硫黄の含量を低減させたグラファイトシートを用いることにより、金属の腐食が著しく抑えられた放熱用グラファイトシートを得、これを放熱部材とすることに特徴を有する。
上記のグラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量は、300ppm以下であり、好ましくは200ppm以下である。硫黄成分の含有量を300ppm以下に保持することにより、長期間使用しても金属硫化や腐食を起こさないものとすることができる。
工業的にグラファイトは、例えば、エキスパンド法と呼ばれる方法で製造され、これは、主に天然黒鉛を濃硫酸と濃硝酸の混合液、例えば濃硫酸90重量%と濃硝酸10重量%の混合液によりインターカレーション処理することによりグラファイトの結晶構造が反応して黒鉛と酸による層間化合物が形成される。その後、高温での熱処理により炭素平面と直角の方向に黒鉛層間が拡張される。このようにして得られた膨張黒鉛は、洗浄により酸を取り除いた後、高圧プレス加工を施すことによってフィルム状又はシート状に加工されている。
これらの工業用グラファイトシートを用いて放熱部材とした場合、一般的な洗浄処理による酸除去処理のみでは残留酸の濃度が比較的高く、金属腐食の問題が生じるため、放熱部材として、工業用グラファイトシートをそのまま用いるには、好ましい品質とは言えない。
本発明においては、前記のように、グラファイトシート中に含まれる硫黄含量と金属腐食との間に関係があることが判ったため、さらに硫黄含量を低減するために、例えば、黒鉛膨張処理時の排気の効率化やグラファイトシートへの焼成処理に挙げられるような処理を施すことにより、得られるグラファイトシートの硫黄含量を特定範囲、例えば300ppm以下、好ましくは200ppm以下にし、その結果金属腐食の問題を解決している。このようにして得られた本発明に係るグラファイトシートは、硫黄含量が低くて、長時間使用しても、金属腐食を起こさないために、電子機器用の放熱部材として好適に使用することができる。
得られたグラファイトシートの硫黄含量は、IR分析法、イオンクロマトグラフ法、ICP発光法、蛍光X線分析法により好適に測定することが可能である。具体的には、グラファイトシートの試料を高周波誘導加熱燃焼炉等の燃焼炉で完全燃焼させ、発生した硫黄酸化物をそのままIR分析するか、もしくは発生したガスを吸収管へ送り、硫黄酸化物を硫酸イオンとして補捉、その硫酸イオン溶液をイオンクロマトグラフィー装置、ICP発光分析装置、または蛍光X線分析装置にて硫黄分の定量をおこなうものである。
本発明において、グラファイトシートの厚みは、特に限定するものではないが、通常は0.07〜1.5mm程度が好適であり、特に好ましくは、0.1〜0.5mmである。この厚みであれば、所望の熱伝導性が十分確保でき、さらに、成形性やコストの点で優れる。ただし、本発明を適用するにおいて、厚みは適宜調整するものであるから、この範囲でなくてもかまわないことは勿論である。
また、具体的なグラファイトシートとしては、面方向に配向した鈴木総業(株)製の商品名「スーパーλGS」の熱伝導異方性(面方向250〜350W/mK、厚み方向5〜10W/mK)あるいは商品名「λGS」の熱伝導異方性(面方向170〜200W/mK、厚み方向5〜10W/mK)グラファイトシートなどが挙げられる。また、グラファイトシート基材として、高配向性のグラファイト素材を用いてもよく、これは、グラファイト結晶の配向方向がそろった高結晶グラファイトであって、炭化水素系ガスを用いCVD法によって炭素原子を基板上に積層させてからアニーリングして得られるもの、特定の高分子化合物のフィルムをグラファイト化したものを挙げることができる。中でも、高分子化合物のフィルムをグラファイト化したものを使用すると熱伝導性がよいので好ましい。
本発明に係るグラファイトシートには、片面又は両面上に、保護樹脂層を少なくとも1層有することが好ましい。グラファイトシートは、折り曲げると、多かれ少なかれ割れが生じるが、割れるとグラファイトの粉が落ちて汚れや電気短絡等の不具合の恐れがあり、これを防止するために、保護樹脂層を少なくとも1層有するのである。また、被着体(発熱体又は筐体などの放熱体)との接触による損傷から保護するために、グラファイトシートの表面を樹脂層で覆う構成とするものである。
保護樹脂層として、高分子樹脂フィルム貼りや樹脂コーティングによるものが、グラファイト表面の割れ防止に強くなるため、好ましい。また、厚みの自由度の観点から、樹脂コーティングが好ましく、さらには、耐熱性の観点から、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂や電子線硬化樹脂などの架橋性樹脂が好ましい。
上記高分子樹脂フィルムとして、グラファイトシートの表面からグラファイト粉末の脱離を防止できるものであれば、特に限定されないが、難燃性、耐熱性や絶縁性に優れたポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられ、ポリエステル(PE)やポリエチレンテレフタレート(PET)がグラファイト表面の割れに強くなるため、好ましい。
高分子樹脂フィルムとしては、具体的には、三菱樹脂(株)製の難燃PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムである「ダイアラミー」(登録商標)、東レ(株)製の二軸延伸ポリエステル(PET)フィルムである「ルミラー」(登録商標)などが例示され、高分子樹脂フィルムテープとして、(株)寺岡製作所製のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム粘着テープ「No.636F(#50)」、同社ポリエステルフィルム粘着テープ「No.631S(#12)などが例示される。
また、樹脂コーティングとしては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等からなるもの、またはこれらのうち2つ以上の樹脂を積層したものでよい。コーティング方法としては、ディッピング、スピンコート、スクリーン印刷、刷毛塗り、吹き付け等の方法が望ましい。
さらに、架橋性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、変性マレイン酸樹脂等が使用可能である。
また、本発明に係るグラファイトシートには、片面又は両面上に、少なくとも1層の粘着剤層を有してもよい。特に、前記保護樹脂層とは別の片表面に、アクリル系粘着剤又はアクリル系両面粘着テープから選ばれる粘着剤層を有することが好ましい。低熱抵抗アクリル粘着剤などでヒートシンクなどにしっかり固定でき、グラファイトシートの浮きや剥がれが発生しない。
2.グラファイトシートの用途・使用方法
本発明に係るグラファイトシートは、硫黄分を特定範囲とすることにより、電子機器用放熱部材として、熱伝導性又は放熱特性に優れ、長期間使用しても金属腐食を起こさずに、実用的な高性能のものであるという効果を奏する。
さらに、本発明に係るグラファイトシートを、放熱部材又は熱伝導部材として、電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を1:10〜1:1000に設定することにより、すなわち、グラファイトシートの体積と電子機器の筐体内部空間(容積)の比率がこのように小さいと、筐体の内部空間に充満する硫黄成分による影響が顕著になり、上記の長期間使用しても金属腐食を起こさずに、実用的な高性能のものであるという効果を奏する。
さらに、通気性の悪い雰囲気下において、内部空間と筐体外部との通気性が少ないほどアウトガス成分の影響が顕著になり、通気性(風量)が0.1m/min以下、特に、ほぼ密閉された筐体ではほとんど通気性がない0.01m/min以下において、高い効果を奏する。この0.1m/min以下の範囲であると、筐体内部のガスの滞留が停滞しやすい場所においては、金属腐食の影響を強く受けやすい。
また、金属面や金属露出部分と接触あるいはより近接した位置(特に近接距離10mm以内)においては、特に腐食の影響を強く受けており、このような部位に本発明を適用すると、特に金属腐食を抑制でき、好ましい。
上記のような顕著な作用効果を奏するので、本発明の熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材は、ファンレスノートPC、プロジェクター、移動体通信機器、基地局、レーザー機器、OA機器、車載機器、PC・サーバー、その他電気電子機器の熱拡散、放熱に有効であり、特に、通常のヒートシンクが使えない狭いスペース用の面状ヒートシンク(メモリー用など)に用いることができ、また、放熱用インターフェース、ヒートスプレッダ、ヒートシンクなどの放熱部材に用いることができ、特に、前記放熱部材を用いた放熱基板を有する、ノートパソコン用のCPUなどの熱対策用放熱部品や、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)のドライバー半導体チップ類の熱対策用放熱部品、PDPパネル、LCDバックライトの熱対策用放熱部品、及び携帯電話やデジタルカメラのCCDの熱対策用放熱部品などの電子機器に利用できる。
以下、本発明について、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
[実施例1]
グラファイトシートとして、エキスパンド法で製造され、1000℃で10時間の焼成処理を施した、厚さ0.3mmの面方向に配向した高配向性グラファイトシート(鈴木総業製「λGS」)を用いた。
[実施例2]
グラファイトシートとして、エキスパンド法で製造され、実施例1で使用したものに比較して2倍の時間をかけて、膨張黒鉛形成時の排気を入念におこない、シートの焼成処理を施さなかった、厚さ0.3mmの面方向に配向した高配向性グラファイトシート(鈴木総業製「スーパーλGS」)を用いた。
[実施例3]
グラファイトシートとして、エキスパンド法で製造され、1000℃で10時間の焼成処理を施した、厚さ0.5mmの面方向に配向した高配向性グラファイトシート(鈴木総業製「λGS」)を用いた。
[実施例4]
グラファイトシートとして、エキスパンド法で製造され、1000℃で10時間の焼成処理を施した、厚さ0.3mmの面方向に配向した高配向性グラファイトシート(鈴木総業製「λGS」)を用い、該シートの片面にUV硬化型樹脂(帝国インキ製造製「UV FIL−383クリヤー」)を用いて、スクリーン印刷法により厚さ15μmのコーティング膜を形成したものを用いた。
[比較例1]
グラファイトシートとして、エキスパンド法で製造され、シートの焼成処理も膨張黒鉛形成時の特別な排気処理も施さないで作製した、厚さ0.3mmの面方向に配向した高配向性グラファイトシートを用いた。
[試験1](硫黄含有量測定)
グラファイトシート中の硫黄含有量に関し、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPS−7000」)を用いて、燃焼ガス中の硫黄含有量の定量測定をおこなった。
[試験2](接触腐食試験)
グラファイトシートの接触による金属硫化および腐食試験として、10mm×10mmの大きさに切ったグラファイトシートを、20mm×20mm×0.3mmの2枚の銀板に挟み込んで圧着した状態で、サンプルごとに蓋付きシャーレ内に入れて80℃90%RHの環境で300時間放置後、グラファイトシートと接していた銀板表面の硫黄原子を蛍光X線分析装置(理学電機工業製「RIX2100」)で測定し、硫化の度合いを評価した。
[試験3](非接触腐食試験)
グラファイトシートが非接触の場合の金属硫化および腐食試験として、30mm×20mmの大きさに切ったグラファイトシートを、実施例1、2、4および比較例1に関しては、1.8ml(実施例3は3.0ml)のバイアル瓶の内壁面に沿うように挿入し、バイアル瓶の蓋から5mm×20mm×0.3mmの銀板を吊り下げた状態とし、蓋に微少の穴をあけてほぼ密閉されるように蓋を取り付けた。これを80℃90%RHの環境で、300時間放置後、試験2と同様に、蛍光X線分析装置にて測定し、銀板表面の硫化度合いを評価した。
上記の実施例1〜4および比較例1のグラファイトシートの試験結果を表1に示す。
また、上記試験2の接触腐食試験における実施例2(b)と比較例1(a)の銀板の状態を写真撮影した結果を図1に示す。図1の写真によれば、比較例1(a)において、銀板の全体的に黒っぽくなっている部分が金属腐食されている部分(すなわち酸化銀)であり、黒っぽい周囲で、さらに黒線が見えている部分(グラファイトシート接触のエッジ部分)は、特にその腐食が顕著に現れて、また、その外側の黒っぽい色部分は、近接した位置(特に近接距離10mm以内)であり、これも腐食の影響を受けていることが判る。一方、実施例2(b)において、銀板は金属腐食されていないと、観察される。
これらの評価結果の対比から明らかなように、本発明に係るグラファイトシートは、良好な金属耐腐食性が得られることが判る。
Figure 2007207800
本発明の熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材は、グラファイトシート材料の硫黄分を特定範囲とすることにより、さらに、該シート材料を電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を特定することにより、熱伝導性又は放熱特性に優れ、長期間使用しても金属腐食を起こさずに、実用的な高性能のものであるという効果を奏するために、放熱用インターフェース、ヒートスプレッダ、ヒートシンクなどの放熱部材に用いることができ、特に、ノートパソコン用のCPUなどの熱対策用放熱部品や、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)のドライバー半導体チップ類の熱対策用放熱部品、PDPパネル、LCDバックライトの熱対策用放熱部品、及び携帯電話やデジタルカメラのCCDの熱対策用放熱部品などの電子機器に利用できる。
本発明に係るグラファイトシートの接触腐食試験における銀板の評価写真を示す図である。

Claims (8)

  1. 熱伝導性グラファイトシート材料を用いてなる電子機器用放熱部材において、熱伝導性グラファイトシート材料全体に含まれる硫黄成分の含有量を300ppm以下に保持するとともに、該シート材料を電子機器に装着したとき、該シート材料の体積と電子機器の筐体内部の空間容積との比率を1:10〜1:1000に設定することを特徴とする電子機器用放熱部材。
  2. 前記熱伝導性グラファイトシート材料は、高配向性で、かつシートの面方向に配向されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用放熱部材。
  3. 前記熱伝導性グラファイトシート材料は、片面又は両面上に、少なくとも1層の保護樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器用放熱部材。
  4. 前記保護樹脂層は、硬化性樹脂から形成され、架橋されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器用放熱部材。
  5. 前記熱伝導性グラファイトシート材料は、片面又は両面上に、少なくとも1層の粘着剤層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器用放熱部材。
  6. 前記粘着剤層は、アクリル系粘着剤又はアクリル系両面粘着テープから選ばれることを特徴とする請求項5に記載の電子機器用放熱部材。
  7. 前記熱伝導性グラファイトシート材料の厚みは、0.07〜1.5mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器用放熱部材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の放熱部材を用いてなる放熱基板を有することを特徴とする電子機器。
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