JP2007205725A - 携帯情報端末装置、電圧測定装置、電圧測定方法、及びプログラム - Google Patents

携帯情報端末装置、電圧測定装置、電圧測定方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】煩わしい操作を使用者に行わせることなく、電圧測定を常に高精度に行えるようにする技術を提供する。
【解決手段】測定手段4は、電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、その大きさに応じた測定値を出力する。切り替え手段3は、電池1、及び高精度の固定電圧を発生させる基準電圧源2と少なくとも接続され、そのうちの一つを選択して測定手段に印加させる。電圧値出力手段6は、複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を切り替え手段に選択させて、それを基準電圧として測定手段4に測定させ、その結果として得られる第一の測定値、及び基準電圧の電圧値を基に、測定手段4の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成する。電池1の電圧を切り替え手段3に選択させてその電圧を測定手段4に測定させる場合に、その結果である第二の測定値、及び算出用情報を用いて電池1の電圧値を算出し出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、HHT(Hand Held Terminal)、ノート型PC(Personal Computer)等の携帯情報端末装置及びそれに搭載される電圧測定装置に係り、より詳しくは、電源用の電池の電圧値を常に正確に測定するための技術に関する。
通常、携帯情報端末装置(以下「携帯情報端末」)は充電可能な電池によって動作可能となっている。その携帯情報端末に搭載される電池の容量は限られている。よって、携帯情報端末の大部分は、バッテリ残量を表示したり、その電圧値が一定値以下になると警告したりする機能(以降「電池監視機能」)が搭載されている。その機能を実現するには電池の電圧を測定する必要がある。その測定には通常、アナログ/デジタル変換器(Analog-to-Digital Converter;以下ADC)が用いられている。これは、電圧値をデジタル値で扱えるためである。
ADCには個々のバラツキがある。電圧を分圧してADCに印加する構成が採用される場合は多いが、その分圧に用いる抵抗の抵抗値には或る程度の誤差がある。このことから、ADCを用いて電圧を測定する従来の電圧測定装置のなかには、たとえば特許文献3に記載されたように、そのようなバラツキや誤差に係わらず、電圧を高精度に測定できるようにしたものがある。
特許文献3に記載された従来の電圧測定装置では、まず、高精度に電圧を発生させる基準電源をADCに接続してその電圧値をADCで測定し、測定値を不揮発性メモリに記憶する。次にACアダプタをADCに接続し、その電圧値を測定して、2つの測定値から補正値を求め、補正値を不揮発性メモリに記憶する。それ以降は、ACアダプタの電圧値はADCによる測定結果、及び補正値を用いて算出する。
電圧値の算出に補正値を用いることにより、電圧の測定は高精度に行えるようになる。しかし、特許文献3に記載された従来の電圧測定装置では、ADCに接続する電源をコネクタにより手動で切り替えるようになっていた。このため、作業効率が低い、つまり、高精度の測定を行わせるのに煩わしい操作を必要としていた。このことから、煩わしい操作を行うことなく、高精度の測定を行えるようにすることが望まれていた。
なお、ADCには、2つの電圧を印加して、測定対象とする電圧の電圧値を測定するものがある。そのADCを用いた従来の電圧測定装置としては、例えば特許文献1、2に記載されたものがある。
特許第3609027号公報(特開2002−221544号) 特開2000−162251号公報 特開2001−282368号公報
本発明の課題は、煩わしい操作を使用者に行わせることなく、電圧測定を常に高精度に行えるようにする技術を提供することである。
図1は本発明の原理を示す図である。本発明による装置(携帯情報端末装置、及び電圧測定装置)は、切り替え手段3、測定手段4、記憶手段5、電圧値出力手段6を備えている。測定手段4は、印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、その電圧の大きさに応じた測定値を出力する。切り替え手段3は、電池1、及び高精度の固定電圧を発生させる基準電圧源2と少なくとも接続され、接続された複数の電圧源のうちの一つを選択してその電圧を測定手段4に印加させる。電圧値出力手段6は、複数の電圧源のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を切り替え手段3に選択させて、その固定電圧を基準電圧として測定手段4に測定させ、その測定結果として得られる第一の測定値、及び基準電圧の電圧値を基に、測定手段4の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成する。また、電池1の電圧を切り替え手段3に選択させてその電圧を測定手段4に測定させる場合に、その測定結果である第二の測定値、及び算出用情報を用いて電池1の電圧値を算出し出力する。
本発明では、電池から供給される電流を用いて既知の安定した電圧(固定電圧)を生成する電圧源を利用して、その固定電圧を測定手段の測定精度に合った電圧値算出用の算出用情報の生成に用いる。その算出用情報の生成により、携帯情報端末装置に搭載された状態を含め、測定手段に適切に対応させることができる。その測定手段毎の測定精度のバラツキ、その測定手段に接続される抵抗のバラツキ等に係わらず、電池電圧の値を常に正確に測定できるようになる。また、これにより、本発明の電圧測定装置を内蔵した装置または本発明の携帯情報端末装置の製造過程で、測定誤差が許容範囲外の測定手段を廃除するための確認が容易になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末装置(以下「携帯情報端末」)のブロック図である。その携帯情報端末は、例えば通信機能を搭載したHHTである。図2に示すように、アンテナ部201、電波送受信インタフェイス202、ベースバンド信号処理部203、ROM(Read Only Memory)211、RAM(Random Access Memory)204、記憶媒体駆動部213、プロセッサ205、入力装置206、出力装置207、AD・DA変換部208、充電器209、及び電力供給部210を備え、電源として電池101を搭載可能なものである。電池101は充電器209によって充電される2次電池であり、充電器209は、不図示の外部電源から電流が供給される状況下で電池101の充電を行うものである。なお、電池101により動作可能な携帯情報端末としては、HHT以外のもの、たとえば携帯電話機、PDA、ノート型PC、或いはデジタルカメラ等であってもよい。電池101は外付けのものであってもよい。
アンテナ部201、信号の変調や復調などを行う電波送受信インタフェイス202、ベースバンド信号処理部203により通信機能が実現される。
ROM211は携帯情報端末で用いるプログラムや各種制御用データを格納している。ROM211のかわりに、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを使ってもよい。RAM204はプロセッサ205が処理を行うためのワーク用である。記憶媒体駆動部213は、可搬性の記録媒体214にアクセスするものである。その記録媒体214は例えばメモリカードである。
プロセッサ205は、ROM211に格納されたプログラムを実行することにより、携帯情報端末全体の制御を行う。そのプログラムは、記録媒体214に格納されたものであってもよく、通信機能により受信可能なものであってもよい。
入力装置206は、たとえばキーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス、及びそのインタフェイスなどから構成されるものである。出力装置207は、たとえば液晶ディスプレイである。
AD・DA変換部208は、アナログ/デジタル変換(A/D変換)を行うADC106と、デジタル/アナログ変換(D/A変換)を行うDAC(Digital-to-Analog Converter)212を含む。AD・DA変換部208は、不図示のアナログ入出力端子およびデジタル入出力端子と接続されている。それにより、音声出力、及び音声入力が可能となっている。
携帯情報端末を構成するデバイス、或いは装置のなかには、定められた固定電圧を印加すべきとなっているもの(図2中では入力装置206やプロセッサ205、及び出力装置207等が相当)がある。電力供給部210は、電池101から供給された電圧によりその固定電圧を発生させる電圧源を複数、備えたものである。それにより、電力供給部210は、各電圧源が発生させた電圧を印加すべき各部に印加する。
図2の電池101が図1の電池1に対応し、図2のプロセッサ205が、図1の電圧値出力手段6に相当する。また、図2のRAM204が図1の記憶手段5に相当する。図1の切り替え手段3と測定手段4に対応する部分は、本実施形態ではADC106に含まれており、図3とあわせて後述する。
ADCに印加された電圧の値は、ADCが出力するデジタル値に、量子化ステップに対応する値(算出用情報。以降「ステップ値」と呼ぶ)を掛けて求められるのが基本である。本実施形態では、電池101の電圧値を算出するために、電力供給部102が有する電圧源を用いる。その電圧源としては、基準電圧源102を想定する。つまり、基準電圧源102が高精度に発生させる固定電圧を基準電圧としてADC106で自動的に測定し、そのときのステップ値を求め、そのステップ値を電池101の電圧値の算出に用いる。それにより、ステップ値の算出を自動化して、使用者が煩わしい操作を行う必要性を回避させつつ、電圧を高精度に測定できるようにしている。
なお、上記ステップ値はデジタル値の値域毎に異なる場合、例えばデジタル値に応じてステップ値が階段状に異なる場合がある。しかし、ここでは説明の便宜上、ステップ値はデジタル値に係わらず全て同じと想定する。
図3は、上記ADC106の回路図である。図3では、ADC106に接続される電源を併せて示している。
図3に示したADC106は、ポート1、ポート2、ポート3の3つのポートを搭載している。ポート1には基準電圧源102、ポート2には電池101がそれぞれ接続されている。ADC106の内部には、電圧を測定するポートを1つ選択するための選択部103がある。選択部103は、マルチプレクサ、或いはセレクタなどであり、選択制御信号にしたがってポートを選択する。選択制御信号は、プロセッサ205から出力される。選択されたポートへの入力電圧はA/D変換部105に入力されて変換され、デジタル値が出力される。そのデジタル値はプロセッサ205に入力される。そのプロセッサ205は、図1の電圧値出力手段6に相当する。なお、上記ポート数は任意でよい。
図4は、電源監視処理のフローチャートである。その処理は、電池101の電圧(残量)を監視するために、たとえば一定時間間隔でプロセッサ205が実行する処理であり、そのプロセッサ205がROM211に格納されたプログラムを実行することで実現される。次に図4を参照して、その処理について詳細に説明する。
まず、ステップS11では、OSは電池101の電圧値を取得するために電池電圧測定処理を実行する。その実行後はステップS12に移行する。
ステップS12では、ステップS11で取得した電池101の電圧値に応じて、電池(バッテリ)101の状態を示す情報を出力装置207に出力させる。その情報の出力は、たとえば、出力装置207が液晶ディスプレイなどの表示装置の場合、バッテリ残量を3段階に分けて図形により表示させることで行う。そのような形での出力を行わせた後は、ステップS13に移行する。
ステップS13では、ステップS11で取得した電圧値が所定の値未満か否かを判定する。所定の値未満の場合、判定はYESとなってステップS14に進み、そうでない場合には、判定はNOとなってここで一連の処理を終了する。
上記所定の値とは、直ちに充電の開始、或いは電池101の交換が必要と考えられる電圧値である。そのため、ステップS14では、充電の開始、或いは電池101の交換を促すメッセージを警告として表示する。一連の処理はその後に終了する。
図5は、上記ステップS11として実行される電池電圧測定処理を示すフローチャートである。次に図5を参照して、その測定処理について詳細に説明する。
まず、ステップS21では、電源が投入された後の最初の呼び出しかどうかを判定する。上記ステップ値は、変数refVとしてRAM204に保持させている。RAM204は揮発性のメモリであることから、その変数refVは電源の投入時にはクリアされている。このことから、その変数refVがRAM204に保持されていない場合、判定はYESとなってステップS22に移行し、そうでない場合には、判定はNOとなってステップS25に移行する。
電源の投入は、不図示の電源スイッチへの操作によって行われる。特に詳細な説明は省略するが、使用者がその操作を行うと、その旨が割り込み信号によってプロセッサ205に通知され、プロセッサ205は電力供給部210に電力の供給開始を指示する。
ステップS22では、ポート1を選択させるための選択制御信号を出力して、A/D変換部105が出力するデジタル値(以下「adc[1]」)を取得し、基準電圧の電圧値によるステップ値を算出して変数refVに代入する。そのステップ値は、その電圧値をRとすると、電圧値Rをadc[1]で割ることで算出する値であり、変数refVに代入した値はRAM204に保持させる。その一方、A/D変換部105の仕様から決まるステップ値を算出し、それを変数orgVに代入する。その後にステップS23に移行する。
変数orgVに代入するステップ値は、A/D変換部105で測定可能な最大電圧値Fを、その時に出力すべきデジタル値adc_fullで割って求められたものである。これは、ステップ値を固定とする場合に設定すべきステップ値(以下「基準ステップ値」と呼ぶ)に相当する。たとえば、定格電圧が0〜7.5Vで10ビットの出力(0x000〜0x3FF)を行うA/D変換部105を採用していた場合、F=7.5−0=7.5、adc_full=0x3FFとなる(0x3FFは、16進数で3FFの意)。
ステップS23では、変数refVに代入したステップ値が補正範囲内か否か判定する。その範囲内であった場合、判定はYESとなってステップ25に移行し、そうでない場合には、判定はNOとなってステップS24に移行する。
上記ステップS23の判定は、過度の補正を防ぐ目的で行う。過度に補正すると、実際にはA/D変換部105が不良品とみなすべきもの(測定誤差が許容範囲よりも大きいもの)であっても、そう見なさなくなる。これを回避し、不良品と見なすべきものを特定できるようにするためである。
たとえば基準電圧源が発生させる電圧は3.3V、A/D変換部105が測定可能な最大電圧値は7.5Vであり、その測定(変換)結果を10ビットで出力することを想定する。その想定下では、想定結果として出力されるデジタル値は0x000から0x3FFの間となるので、ステップS23の判定は、たとえばデジタル値が0x200のときに変数refV、orgVの各値で求められる電圧値間の差defV(=(refV×0x200)−(orgV×0x200))が、予め定めた許容範囲内か否か確認することで行う。その許容範囲は、具体的にはたとえば「−0.2V<defV<0.2V」といったものである。なお、その許容範囲は、変数refV、orgVの各値で求める電圧値、A/D変換部106の仕様、基準電圧Rなどを考慮して総合的に定めれば良いものである。許容範囲内か否か確認するために算出する値は差defVでなくとも良く、たとえば比であってもよい。
ステップS24では、変数refVに変数orgVの値を代入し、RAM204に保持させたステップ値をその変数orgVの値(基準ステップ値)に書き換える。また、ステップS23でNOと判定された結果を示す情報をRAM204に保持させる。続くステップS25では、ポート2を選択させるための選択制御信号を出力して、A/D変換部105が出力するデジタル値(以下「adc[2]」)を取得し、電池101の電圧値Vを算出する。その算出は、変数refVに代入されたステップ値にadc[2]を乗算することで行われる。こうして算出された電圧値Vが、電池電圧測定処理の返り値として返されて、一連の処理は終了する。
このようにして本実施形態では、高精度な固定電圧をA/D変換部105により測定させて、その測定結果からステップ値を算出すると共に、そのA/D変換部105が測定用として適切なものか否か確認し、適切なものと確認できた場合に、算出したステップ値を保存して電池101の電圧値の算出に用いている。算出したステップ値は、A/D変換部105の実際の特性に合ったもの、つまりA/D変換部105個々のバラツキを除去できるものである。共通の抵抗によって分圧した電圧をA/D変換部105に印加させる場合には、それらの抵抗が有する誤差の影響を併せて除去できるものである。そのようなステップ値を用いて電圧値を算出するため、その電圧値は確実、且つ高精度に算出することができる。
上記ステップ値の算出は、電源投入直後の電圧測定時のみ行うようにしている。これは本来、測定の対象とはならない固定電圧を測定することによる消費電力の増加を抑えるためである。そのようにステップ値を算出するタイミングを限定しても、通常、A/D変換部105等のデバイス、或いは素子が短時間、経過する間に故障する、或いは大きく特性が変化する、といったことが起こる可能性は非常に低いことから、常に高い測定精度を維持することができる。
特許文献3に記載された従来の電圧測定装置では、正確な電圧値を求めるための補正値は、2つの電圧を実際に測定して得た結果を用いて算出している。これに対し、本実施形態では、そのような補正値の代わりに、1つの電圧を実際に測定して得た結果からステップ値を算出している。これは、電池101のように、残量や使用環境等によって電圧値が変動する電源では、その電圧値によって補正値に含まれる誤差の大きさが変化するためである(その電圧値が低くなるほど誤差は大きくなる傾向がある)。高精度な固定電圧を実際に測定してステップ値を得るため、そのような誤差の変化の影響は回避させることができる。
上記のようにステップ値を算出するタイミングを限定した別の理由としては、以下のようなものもある。
携帯情報端末を製造する過程では、電圧測定が適切に行えるか否かの検査を行うのが普通である。図2に示すプロセッサ205、及びそれと信号の送受信を行う各部の大部分は同一基板上に実装されるのが普通である。このことから、通常その検査は、基板の状態、或いは基板を筐体内に組み込んだ状態で行われる。
その検査は、電源を投入して実際に電圧を測定させて、その測定結果を確認する形で行われるのが普通である。そのため、より迅速に検査を行えるようにするためには、その確認は電源投入後、より早く行えるのが望ましいということになる。このことから、本実施形態では、電源投入直後の電圧測定で固定電圧(基準電圧)を測定してステップ値を算出させている。ステップS23の判定結果をステップS24でRAM204に保存させるのは、RAM204に保存された内容からその確認を行えるようにするためである。その判定結果を保存させるのは、算出したステップ値が基準ステップ値と一致する可能性があるためである。
上述したように、固定電圧の測定、及びその測定結果を用いたステップ値の算出は自動的に行われる。このため、その検査では、作業員は測定対象を手動で変更する作業を行わなくて済むようになっている。それにより、そのような作業を行わなければならない場合と比較して、検査はより迅速、且つ容易に行えることとなる。また、自動化によって作業ミスが発生する確率が低下するため、不適切なA/D変換部105(或いはそれを搭載したもの)のみをより確実に特定できることとなる。これらのことは、故障の発生時における原因の特定時でも同様である。
なお、本実施形態では、基準電圧源102が発生させる電圧、及び電池101の電圧をそのままA/D変換部105に印加できることを想定している。しかし、必ずしもそうできるとは限らない。つまりそのうちの少なくとも一方の電圧値がA/D変換部106にそのまま印加できない場合がある。その場合には、以下のように対応すればよい。
図6は、電池101の電圧を直接、印加できない場合におけるADCの回路図である。図6では、基準電圧源102がADC106のポート1に、電池101がADC106のポート2にそれぞれ接続されており、電池101とポート2の間に分圧用の抵抗503aが接続され、その抵抗503aとポート2間に他方をグランドに接続した抵抗503bが接続されている。それによって、分圧されるのは電池101からの分圧電圧のみとなっている。そのような構成のため、電池101の電圧測定では、分圧抵抗503a、503bの抵抗値のばらつきの影響を受ける。よって、図6のような回路構成を用いた場合には、誤差範囲のより小さな分圧抵抗503a、503bを用いることが好ましい。
電池101の電圧を分圧抵抗503a、503bによって分圧していることから、図5に示す電池電圧測定処理内のステップS22で用いられる計算方法が異なっている。他のステップの処理は基本的に同じである。このことから、それらの計算方法について、以下に具体的に説明する。ここでは便宜的に分圧抵抗503a、503bの誤差を0と仮定して説明する。また、A/D変換部105の仕様は上記想定と同じ、つまり定格電圧が0〜7.5Vで10ビットの出力(0x000〜0x3FF)を行うものとする。電池電圧の範囲が0〜8.4V、基準電圧は3.3Vとする。2つの分圧抵抗503a、503bの抵抗値の比は1.5:7.5とする。そのような抵抗503a、503bを用いることにより、電圧値が9.0Vの電圧は7.5Vの電圧としてA/D変換部105に入力される。それによって、9.0Vの電圧値は0x3FFという測定値が対応するようになっている。
ステップS22では、分圧している電池101の電圧のスケールに換算するために、ステップ値は、3.3に9.0を乗算し、その乗算結果に7.5、及びadc[1]でそれぞれ割って得られる値(=3.3×9.0÷7.5÷adc[1]。「×9.0÷7.5」がスケール変換のための係数に対応する)を変数refVに代入する。一方、変数orgVには、最大電圧値Rを9.0として、その値Rをabc_full(=0x3FF)で割った値(=9.0÷0x3FF。基準ステップ値)を代入する。このようにして求めた変数refVの値はスケール変換済みの値なので、ステップS23での判定、ステップS25での電圧値Vの算出は同様に行うことができる。
上述したような計算方法は、基準電圧源102の電圧のみを分圧する場合も同様に適用させることができる。電池101、及び基準電圧源102の両方の電圧を分圧する場合の計算方法も考え方は基本的に同じである。つまり他方のスケールに合わせるようにステップ値、或いは基準ステップ値を求めればよい。
ADC106のポートによる抵抗値の違いが無視できない場合には、たとえばADC106の前段に選択部103のようなもの(便宜的に「切り替え部」と呼ぶ)を配置し、その切り替え部によって電圧を印加させるポートを選択させることで対応させることができる。つまり、その切り替え部によって基準電圧を印加させるポートを変更して、それぞれ図4に示すような電圧監視処理を実行することにより、ポートによる抵抗値のバラツキが測定に及ぼす影響を除去することができる。
より正確な電圧値Vを算出するためには、様々な変更を加えることが可能である。その主な変形例について、以下に具体的に説明する。
たとえば、短期的な電圧変動の影響を排除するために、図4のステップS11において、電池電圧測定処理を所定の回数(たとえば5回)繰り返し、その出力の平均値、或いは平均値に最も近い値を用いてステップS12以降の処理を行うようにしてもよい。あるいは、図5のステップS25で電池電圧の測定・算出を所定の回数繰り返して、それらの値の平均値を電圧値Vとしてもよい。また、平均値ではなく中央値を用いてもよいし、所定の回数繰り返して得られた値のうちの最大値と最小値を除いた残りの値の平均値を出力するようにしてもよい。
また、図5のステップS22では、安定値が得られるまで、基準電圧の複数回の測定を繰り返すようにしてもよい。たとえば、連続した3回の測定値が一致したときに安定値が得られたと見なし、その一致した値をadc[1]とするようにしてもよい。このようにすると、装置起動直後の電圧負荷の影響で基準電圧の測定値が不安定になることの影響をより排除できる。
(付記1)
電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置において、
印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段と、
前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧が印加され、該複数の電圧のうちの一つを選択して前記測定手段に印加させる切り替え手段と、
前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を前記切り替え手段に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、前記電池の電圧を前記切り替え手段に選択させて該電圧を前記測定手段に測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力する電圧値出力手段と、
を有することを特徴とする携帯情報端末装置。
(付記2)
前記電圧値出力手段は、前記算出用情報の生成は電源の投入直後に行う、
ことを特徴とする付記1に記載の携帯情報端末装置。
(付記3)
前記電圧値出力手段は、前記算出用情報が、前記測定手段の仕様を基に定められた算出用情報である基準算出用情報と許容範囲内で一致している場合に、前記電池の電圧値の算出は該算出用情報を用いて行う、
ことを特徴とする付記1に記載の携帯情報端末装置。
(付記4)
電池によって動作可能な携帯情報端末装置に搭載される電圧測定装置において、
入力された直流電圧をアナログ・デジタル変換して測定する測定手段と、
複数の電圧を印加でき、該複数の電圧のうちの一つを選択して前記測定手段に出力する切り替え手段と、
前記複数の電圧のうち所定の一つの固定電圧を前記切り替え手段に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、前記電池の電圧を前記切り替え手段に選択させて、前記電池の電圧を前記測定手段に測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力する電圧値出力手段と、
を有することを特徴とする電圧測定装置。
(付記5)
前記電圧値出力手段は、前記算出用情報の生成は電源の投入直後に行う、
ことを特徴とする付記1に記載の電圧測定装置。
(付記6)
電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置に電圧測定を行わせるための方法において、
印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段に、前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧を切り替えて自動的に印加可能とさせ、
前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を自動的に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、
前記電池の電圧を前記測定手段に印加させて測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力させる、
ことを特徴とする携帯情報端末装置の電圧測定方法。
(付記7)
電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置に実行させるプログラムであって、
印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段に印加させる電圧を、前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧のなかから選択する機能と、
前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を前記選択する機能により選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成する機能と、
前記電池の電圧を前記測定手段に印加させて測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
本発明の原理を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末装置のブロック図である。 ADCの回路図である。 電源監視処理を示すフローチャートである。 電池電圧測定処理を示すフローチャートである。 ADCの回路図(他の実施形態)である。
符号の説明
1、101 電池
2 基準電圧源
3 切り替え手段
4 測定手段
5 記憶手段
6 電圧値出力手段
102 基準電圧源
103 選択部
105 A/D変換部
106 ADC
201 アンテナ部
202 電波送受信インタフェイス
203 ベースバンド信号処理部
204 RAM
205 プロセッサ
206 入力装置
207 出力装置
208 AD・DA変換部
209 充電器
210 電力供給部
211 ROM
212 DAC
213 記憶媒体駆動部
214 記憶媒体
503a、503b 分圧抵抗

Claims (5)

  1. 電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置において、
    印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段と、
    前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧が印加され、該複数の電圧のうちの一つを選択して前記測定手段に印加させる切り替え手段と、
    前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を前記切り替え手段に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、前記電池の電圧を前記切り替え手段に選択させて該電圧を前記測定手段に測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力する電圧値出力手段と、
    を有することを特徴とする携帯情報端末装置。
  2. 前記電圧値出力手段は、前記算出用情報の生成は電源の投入直後に行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
  3. 電池によって動作可能な携帯情報端末装置に搭載される電圧測定装置において、
    入力された直流電圧をアナログ・デジタル変換して測定する測定手段と、
    複数の電圧を印加でき、該複数の電圧のうちの一つを選択して前記測定手段に出力する切り替え手段と、
    前記複数の電圧のうち所定の一つの固定電圧を前記切り替え手段に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、前記電池の電圧を前記切り替え手段に選択させて、前記電池の電圧を前記測定手段に測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力する電圧値出力手段と、
    を有することを特徴とする電圧測定装置。
  4. 電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置に電圧測定を行わせるための方法において、
    印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段に、前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧を切り替えて自動的に印加可能とさせ、
    前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を自動的に選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成し、
    前記電池の電圧を前記測定手段に印加させて測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力させる、
    ことを特徴とする携帯情報端末装置の電圧測定方法。
  5. 電池、及び該電池から固定電圧を生成する電圧源を1つ以上、搭載した携帯情報端末装置に実行させるプログラムであって、
    印加された電圧をアナログ・デジタル変換して測定し、該電圧の大きさに応じた測定値を出力する測定手段に印加させる電圧を、前記電池、及び前記電圧源の各電圧を少なくとも含む複数の電圧のなかから選択する機能と、
    前記複数の電圧のうち所定の電圧源が発生させる固定電圧を前記選択する機能により選択させて、該固定電圧を基準電圧として前記測定手段に測定させ、該測定結果として得られる第一の測定値、及び該基準電圧の電圧値を基に、前記測定手段の測定結果から電圧値を算出するための算出用情報を生成する機能と、
    前記電池の電圧を前記測定手段に印加させて測定させる場合に、該測定結果である第二の測定値、及び該算出用情報を用いて該電池の電圧値を算出し出力させる機能と、
    を実現させるためのプログラム。
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