JP2007204759A - 記録用インク及びそれを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】フルカラー記録を行う記録手段のインクにおいて、良好な色彩にするための色材の選定や、三原色のマッッチングを簡便に行う手段がなかったため、インク及びそれを用いた記録手段の開発にコストがかかり、安価な記録手段の提供ができなかった。
【解決手段】被記録材を着色するための着色材と、着色材を溶解する溶媒からなる記録用インクであって、吸光度の最大ピーク付近の特定部分の吸光度積分値と、全体の吸光度積分値の比を規定したインクとすることで、上記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】被記録材を着色するための着色材と、着色材を溶解する溶媒からなる記録用インクであって、吸光度の最大ピーク付近の特定部分の吸光度積分値と、全体の吸光度積分値の比を規定したインクとすることで、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、フルカラー記録用のインクに関し、例えばパソコン用ターミナルプリンタなどに用いられるインクジェット方式のフルカラープリンタに使用する記録用インクに関する。
紙等の被記録材に記録を行う手段としては、各種染料または顔料を、水または有機溶剤等の溶媒に、溶解または分散させた溶液(以下このような溶液をインクと呼ぶ)を、被記録材に塗布または含浸させて着色することがあげられる。
例えば微少のインク滴を飛翔させて被記録材に付着せしめるインクジェット記録方式も、この記録手段のひとつである。このようは記録手段において、フルカラーの記録を行う場合には、マゼンタ、シアン、イエローの三原色のインクを被記録材上で混色して着色する方法が一般的である。そのため、記録像の色彩は、混色される三原色のインクの色彩によるものとなる。従来は、特開昭54−89811号公報に開示されているように、三原色それぞれで分光特性のうちの吸光度の特定の率を示す波長を限定することや、特公昭63−58104号公報に開示されているように、三原色のインクに特定の染料を使用したりすることで、三原色の色彩を特定化し、記録像の色相、明度、彩度といった色彩を良好なものにしようとしていた。
ところで、上記のような混色方法は、減法混色である。例えばインクジェット記録は、インク中の着色材が被記録材上に付着することで行われるが、フルカラー記録の記録像では、異なる発色をする色材である三原色の色材が、被記録材上に重なり合い混色することで、フルカラー記録が達成されている。混色は即ち異なる発色の色材の重ね合わせとなるため、吸収される光の波長の領域が増し、知覚される記録の色彩は、三原色それぞれ単独の記録の色彩よりも、暗く、鮮やかさの低いものとなる。
また、三原色はそれぞれ他の原色の色相を持たないことが理想であるが、実際の色材では、程度の違いはあっても、他の原色の色相が含まれることが常である。そのため、混色により純粋な発色をもたらす色相以外に、余分な発色をもたらす色相部分が、より多く存在することになる。これも、明度、彩度低下の一因となる。
インクの色彩の明度、彩度の低下が、混色により生じるものであるため、フルカラー記録では、三原色のインクは、それぞれ単独で記録したときの明度、彩度が高いものを使用しなければ、混色後の明度、彩度の低下による記録品質の低下を防ぐことができないことになる。また、フルカラーの記録であるため、三原色は相互にマッチングしたものとする必要がある。
従来は、フルカラー記録を良好な色彩にする色材を得るためや、三原色をマッチングするための簡便な方法がなく、目的とする良好なフルカラー記録が得られるまで、インクの試作、記録、色彩測定のサイクルを繰り返していた。これは、インクの開発の長期化や費用の増加を招き、このインクを用いた製品のコストアップにつながっていた。
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、フルカラーの記録を行うためのインクを、物理的特性の一つである分光特性を用いて規定することで、フルカラー記録の品質が良好で、安価である記録手段例えばインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
本発明の記録用インクは、少なくとも被記録材を着色するための染料または顔料等の着色材と該着色材を溶解する溶媒からなる記録用インクであって、該インクを分光光度計にて分析した場合に、最大吸光度を示す波長をλnmとし、λ−25nmからλ+25nmの波長域の吸光度積分値をa、400nmから700nmの波長域の吸光度積分値をbとし、最大吸光度を示す波長が500nm以下にある場合にはa/b≧0.40であり、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある場合にはa/b≧0.45であり、最大吸光度を示す波長が600nm以上にある場合にはa/b≧0.40であることを特徴とする。
本発明によれば、記録したときの色彩の彩度、明度が高く、フルカラー記録を行った際の混色による記録像の色彩の明度、彩度の低下を小さくすることができ、記録品質を良好なものにできる。
また、本発明によれば、フルカラー記録のためのインクの良好な色相及び三原色インクのマッチングを簡便に行うことができ、インク開発にかかる時間、費用の軽減ができ、当該記録手段を用いた製品例えばインクジェット記録方式を用いたプリンタのコストの上昇を生じることがない。
該インクの前記吸光度a、bについて、最大吸光度を示す波長が500nm以下にある場合にはa/b≧0.50であり、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある場合にはa/b≧0.65であることがより望ましく、これにより更にインクの色彩の彩度、明度を高くすることができ、記録品質を良好なものにできる。
また、本願発明のインクジェットプリンタは、少なくとも、a/b≧0.40を満たし、最大吸光度を示す波長が500nm以下の第1の記録用インクを吐出するための第1のノズルと、a/b≧0.45を満たし、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある第2の記録用インクを吐出するための第2のノズルと、a/b≧0.40を満たし、最大吸光度を示す波長が600nm以上の第3のインクを吐出するための第3のノズルを備えたことを特徴とする。各ノズルから吐出される各記録用インクは、重ね合わせたときに色彩の彩度、明度が低下しないように予め調整されているため、良好なフルカラー記録を行うことができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明し、併せて効果を例証する。
本発明は、被記録材を着色するための染料または顔料等の着色材と該着色材を溶解する溶媒からなる記録用インクであり、他に成分調整剤、例えばインクの表面張力を調整する界面活性剤、防腐剤、pH調整剤等を添加することができる。
本発明で着色に用いられる着色材のインクに対する含有量は、インク成分の種類、インクに要求される特性等により決定されるが、記録液全重量に対して0.1〜20wt%、好ましくは0.5〜10wt%の範囲とすることが望ましい。
使用される着色材としては、上記添加量でインクとした場合に、該インクを分光光度計にて分析すると、前記吸光度積分値aと吸光度積分値bを用いて、最大吸光度を示す波長が500nm以下にある場合にはa/b≧0.40であり、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある場合にはa/b≧0.45であり、最大吸光度を示す波長が600nm以上にある場合にはa/b≧0.40であるような着色材を、単独または複数で用いることが望ましい。例えばC.I.Acid Red−287、C.I.Acid Red−92、C.I.Acid Yellow−23、C.I.Direct Yellow−142、C.I.Acid Blue−9、C.I.Direct Blue−199等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のインクにおける溶媒成分として、保湿効果を有する各種有機溶剤をインクの保湿性確保の為に単独または混合して使用することができる。例えば、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレンングリコール等のグリコール類、エリレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等の低蒸気圧の水溶性有機溶剤である。有機溶剤の添加量は、インクの全重量に対して1〜50wt%の範囲とすることが好ましく、インク粘度、蒸発性等から1〜30wt%の範囲とすることがより望ましい。
表1に示した組成物を混合し撹拌を十分に行って溶解させた後、穴径0.8μmのメンブランフィルターを用いて濾過して、本発明における実施例のインクを作製し、これらのインクを使用してカラー記録を行った。組成物の調合量は、すべて「重量部」である。
また、表1中に同様に作製した比較例もあわせて示す。
実施例1〜6及び比較例1〜3の各インクを、それぞれ純水で1000倍に希釈し、表2に示す測定条件で分光特性の吸光度を測定した。
本実施例及び比較例のインクの印字品質を判定するためのカラー記録には、中性紙のPPC用紙と、酸性紙のレジスター用紙、45kg上質紙、70kg上質紙の各被記録媒体に、記録手段としてオンデマンド型記録ヘッドを有するインクジェットプリンタである当社MJ−510Cを用いて記録を行った。
各記録物の色は分光測色計(CMー501i、ミノルタ社製)にて、標準の光D65のもとで用紙毎に測定し、4つの用紙の記録物の色彩の平均を各インクによる記録の色彩とした。測定で得られた色彩は、JIS Z8729で規定されているL*a*b*表色系によるものであり、色彩の要素のひとつである鮮やかさの度合い「彩度」は、色相成分a*とb*を用いて、(a*×a*+b*×b*)の平方根より求めた。測定で得られた色彩をもとに、JIS Z8102で規定されている物体色の色名により、得られた記録の色名を求めた。
実施例1〜6及び比較例1〜3の、400〜700nmにおける分光特性のうちの吸光度の最大ピークを示す波長λ(nm)、λ−25nmからλ+25nmの波長域の吸光度積分値aと400〜700nmの波長域の吸光度積分値bの比、各インク単独の記録の色彩の要素であるL*、a*、b*と彩度を表3に示す。
被記録媒体に、実施例1〜6及び比較例1〜3の各インクを二色づつ、マゼンタ色とイエロー色のインクを用いた「赤」、イエロー色とシアン色のインクを用いた「緑」、マゼンタ色とシアン色のインクを用いた「青」の三色の記録を行った。表4に、得られた三色の色彩とJIS Z8102で規定されている色名を示す。
JIS Z8102に規定される物体色の色名によれば、得られた記録の色は実施例1〜6を用いたカラー記録においては、「あざやかな黄みの赤」、「緑」または「黄みの緑」、「あざやかな青紫」または「紫みの青」、といずれも明るく、彩度の高い色であり、各インクが、カラー記録の原色液として、優れたものであることを示している。
それに対して、比較例1〜3によるカラー記録の色は、「黄みの赤」、「くすんだ黄みの緑」、「青紫」と、暗く、くすんだ、彩度の低い色であった。
以上述べたように、本発明によれば、フルカラー記録のためのインクの色彩について、色彩のよいインクが得られ、インク調合の段階で、記録時の色彩の良し悪しを判断することができるため、インク開発において、インクの試作、記録、色彩測定のサイクルを最小限にすることができ、インク開発にかかる時間、費用の軽減がなされ、当該インクを使用した記録手段におけるコストが低減され、安価な記録手段例えばインクジェットプリンタが提供できる。
Claims (4)
- 少なくとも被記録材を着色するための染料または顔料等の着色材と該着色材を溶解する溶媒からなる記録用インクにおいて、該インクを分光光度計にて分析した場合に、最大吸光度を示す波長をλnmとし、λ−25nmからλ+25nmの波長域の吸光度積分値をa、400nmから700nmの波長域の吸光度積分値をbとし、最大吸光度を示す波長が500nm以下にある場合にはa/b≧0.40であり、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある場合にはa/b≧0.45であり、最大吸光度を示す波長が600nm以上にある場合にはa/b≧0.40であることを特徴とする記録用インク。
- 請求項1記載の記録用インクにおいて、該インクを分光高度計にて分析した場合に、前項記載の吸光度積分値a、bについて、最大吸光度を示す波長が500nm以下にある場合にはa/b≧0.50であり、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある場合にはa/b≧0.65であることを特徴とする記録用インク。
- 請求項1記載の記録液を用いるインクジェットプリンタであって、少なくとも、a/b≧0.40を満たし、最大吸光度を示す波長が500nm以下の第1の記録用インクを吐出するための第1のノズルと、a/b≧0.45を満たし、最大吸光度を示す波長が500nm〜600nmにある第2の記録用インクを吐出するための第2のノズルと、a/b≧0.40を満たし、最大吸光度を示す波長が600nm以上の第3のインクを吐出するための第3のノズルを備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項3記載のインクジェットプリンタにおいて、前記第1の記録液の吸光度積分値a、bの比が、a/b≧0.50であり、前記第2の記録液の吸光度積分値a、bの比が、a/b≧0.6であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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- 2007-03-06 JP JP2007055271A patent/JP2007204759A/ja active Pending
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