以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の好適な一実施例であるPETシステム導入支援方法の概要を示す図である。図1において、病院2は
PETシステムの導入を計画している医療機関であり、機器メーカ3,4はPETシステムに用いられる機器を製造するメーカである。具体的には、機器メーカ3が放射性同位元素(Radio Isotope:RI) を生成するための粒子発生装置とRIから放射性薬剤を生成するための合成装置を製造するメーカであり、機器メーカ4が患者に投与された放射性薬剤からの放射線を検出する診断カメラと診断カメラによる計測結果に基づいて診断画像を生成する画像処理装置を製造するメーカである。そして、仲介業者1は、病院2におけるPETシステムの導入を支援する事業体である。図1において、仲介業者1,病院2及び機器メーカ3,4間の矢印は各々が行う作業を示しており、また、図の上から下へと時間の経過が示される。なお、粒子発生装置としては、慣性静電閉じ込め装置(IEC)や陽子加速器等が考えられる。
図1について詳細に説明する。まず、機器メーカ3,4にて製造される機器に関する機器情報(例えば金額等)が仲介業者1に伝えられ((1))、仲介業者1はその機器情報を保管する。その後、病院2より導入しようとしているPETシステムに対する要求(例えば金額等)が仲介業者1に伝えられる((2))と、仲介業者1は保管している機器情報に基づいて病院2の要求を満足することができる機器を選定し、選定した機器をPETシステムのシステム構成案として病院2に提示する((3))。病院2は、提示されたシステム構成案に基づいてPETシステムのシステム構成を決定して仲介業者1に伝える((4))。仲介業者1は病院2で決定したシステム構成に必要な機器を機器メーカ3,4に発注し((5))、機器メーカ3,4は仲介業者1からの発注内容に応じた機器を病院2に納入する((6))。病院2は、納入された機器と仲介業者1によるサービスに応じた代金を仲介業者1に支払い((7))、仲介業者1は病院2より支払われた代金から機器に応じた代金を機器メーカ3,4に支払う((8))。
このようにして、仲介業者1は、病院2の要求に応じてPETシステムのシステム構成案を提示すると共に、決定したシステム構成に必要な機器の発注を行うため、病院2は導入しようとするPETシステムに対する要求を仲介業者1に伝えるだけでよく、PETシステム導入時における病院2の負担が軽減される。また、機器メーカ3,4にとっては、販売ルートが増えるのでビジネスチャンスが広がる。
更に、仲介業者1は、病院2に導入されたPETシステムに用いられている機器の保守情報を機器メーカ3,4から入手し((9))、入手した保守情報に基づいて病院2で導入したPETシステムの保守計画案(保守時期の計画)を立てて病院2に提示する((10))。病院2は、仲介業者1によって提示された保守計画案に基づいて保守計画を決定し、仲介業者1に決定した保守計画を伝える((11))。仲介業者1は病院2から伝えられた保守計画に基づいて、実際に保守や修理を行う機器メーカ3,4に保守の時期を伝え((12))、機器メーカ3,4は仲介業者1から依頼された時期に病院2のPETシステムに対して保守や修理を行う((13))。病院2は機器メーカ3,4による保守・修理と仲介業者1によるサービスに応じた料金を仲介業者1に支払い((14))、仲介業者1は病院2より支払われた料金から保守・修理に応じた料金を機器メーカ3,4に支払う((15))。
このようにして、仲介業者1は、病院2に導入されたPETシステムの保守計画案を提示すると共に、機器メーカ3,4への保守の依頼を行うため、PETシステムの保守に関する病院2の負担が軽減される。
次に、図2〜図23を用いて実施例1のPETシステム導入支援方法についてより詳細に説明する。
図2は、本実施例のPETシステム導入支援方法を実現するためのシステムの構成図を示す。図2に示すように、仲介業者1,病院2及び機器メーカ3,4は通信装置を有しており、それぞれの通信装置は通信回線5(本実施例ではインターネット)に接続されているので、情報をやり取りすることができる。なお、以下の説明において、仲介業者1,病院2及び機器メーカ3,4間の情報の伝送は、各通信装置と通信回線5を介して行われる。
機器メーカ3では、自身が製造している粒子発生装置及び合成装置に関する機器情報を入力装置34(本実施例ではキーボード)により入力し、入力された機器情報は処理装置32を介してデータベース33に記憶される。なお、機器メーカ4においても同様にして診断カメラ及び画像処理装置に関する機器情報がデータベース43に記憶される。
図3は、データベース33に記憶された粒子発生装置に関する機器情報を示す。図に示すように、粒子発生装置に関しては、粒子発生数(単位時間当たり)、RIの種類,電源容量,金額,設置面積及び重量が機器情報として複数の粒子発生装置A,B,…各々に対して記憶されている。なお、図3の粒子発生装置A,B,…は、メーカ名と型式番号を示す情報であり、本明細書では機器特定情報と呼ぶ。図4〜図6は、それぞれ合成装置,診断カメラ及び画像処理装置に関する機器情報を示す図であり、図4に示すように、合成装置については薬剤の種類,薬剤の生成効率,処理時間,電源容量,金額,設置面積及び重量が記憶されている。また、図5に示すように、診断カメラに関しては感度,分解能,信号処理時間,金額,設置面積及び重量が記憶され、更に、図6に示すように、画像処理装置については画像処理時間、主メモリの容量,金額,設置面積及び重量が記憶されている。このように、各装置毎に金額,処理能力,設置面積,重量等の情報が記憶されている。なお、図3〜図6の機器情報は一例であり、機器情報として設定される項目やその内容はこれに限られるものではない。
処理装置32はデータベース33に記憶されている機器情報を読み出し、読み出された機器情報は通信装置31及び通信回線5により仲介業者1が有する通信装置11に伝送される。なお、データベース43に記憶されている機器情報も同様に通信装置11に伝送される。通信装置11に入力された各機器情報は、処理装置12を介してデータベース13に記憶される。このようにして、仲介業者1が有するデータベース13にはPETシステムに用いられる機器に関する機器情報が記憶される。
以下、病院2においてPETシステムを導入する場合について説明する。まず、病院2から仲介業者1に対してPETシステムのシステム構成案の提示を依頼するが、本実施例では仲介業者1がホームページを開設しており、病院2はそのホームページ上でPETシステムに対する要求(条件)を入力して仲介業者1にシステム構成案の提示を依頼する。以下、詳細に説明する。
図7は、仲介業者1が開設しているホームページの初期画面を示し、病院2から仲介業者1のホームページにアクセスしたときに病院2の出力装置23(本実施例ではディスプレイ)に表示されるものである。図に示すように、初期画面上には「PETシステム構成案提示依頼」という文字が表示され、その文字をカーソル71でクリックすることにより条件入力画面が現われる。なお、本実施例におけるカーソル71の移動や文字・数字の入力は、入力装置24(キーボード及びマウス)の操作によって行われる。
図8は、条件入力画面を示す。図8に示すように、条件入力の第1段階として「PETシステム全体の条件を設定」と「機器毎の条件を設定」の2つを表示させ、条件の設定をPETシステム全体に対して行うか、機器毎に行うかをカーソル71によるクリックで選択する。なお、図8の画面において、「戻る」をクリックすると1つ前の画面が表示され、「Topへ」をクリックすると図7に示す初期画面が表示される。これは以下に説明する各表示画面においても同様である。
図8の表示画面において「PETシステム全体の条件を設定」が選択されると、次に図9に示す画面が表示される。図に示すように、この画面では条件として「予算」,「検診人数」,「設置面積」及び「重量」という文字が表示されると共に、数字を入力するための入力欄91a〜91dが表示される。更にその横には、各条件の優先順位を入力するための入力欄92a〜92dが設けられている。この画面において、カーソル71により入力欄をクリックするとその入力欄に数字が入力可能となり、各条件を設定すると共にどの条件を優先すべきかを示す優先順位を設定する。図10は、条件及び優先順位の入力が完了した画面の例を示す図である。図10では「重量」が設定されていないが、後述するように数値が入力されていない条件については要求がないものとして扱う。このように条件及び優先順位の設定が完了したら、カーソル71により「決定」をクリックする。
図10の条件入力画面において「決定」がクリックされると、その時点で入力されている条件と優先順位の情報(以下、条件情報という)が仲介業者1の処理装置12に伝送され、処理装置12は入力された条件情報をデータベース13に記憶させる。処理装置12は、データベース13に記憶させた条件情報から優先順位の一番高い条件を確認する。本実施例の場合、優先順位が「1」である「検診人数」が「8人/日以上」となっている。そこで処理装置12は、まずこの条件を満足するPETシステムを検討する。PETに用いる放射性薬剤の量は検診を受ける被検診者の体重によって決まるが、ここでは例えば被検診者の体重を70kgとして8人の被検診者を検診するのに必要な放射性薬剤の量を求める。8人を検診するのに必要とされる放射性薬剤の量が求められたら、求められた量以上の放射性薬剤を生成することができる粒子発生装置と合成装置との全ての組合せを抽出する。つまり、1日に生成できる放射性薬剤の量は、粒子発生装置によって1日に生成可能なRIの量と合成装置における放射性薬剤の生成効率及び処理時間によって決まるので、データベース13に記憶されている機器情報のうち粒子発生装置の粒子発生数と合成装置の生成効率及び処理時間に基づいて、8人を検診するのに必要とされる量以上の放射性薬剤を生成することができる粒子発生装置と合成装置との組合せを全て抽出する。
次に、処理装置12は、機器情報のうち診断カメラの信号処理時間と画像処理装置の画像処理時間とに基づいて1日に8人以上検診することが可能な診断カメラと画像処理装置との組合せを抽出する。例として1日に8時間で8人の検診を行うとすると、一人当たりの検診時間は1時間となるので、信号処理時間と画像処理時間との合計が1時間以内になる組合せを抽出する。更に、処理装置12は、抽出された粒子発生装置及び合成装置の組合せと信号処理装置及び合成装置の組合せとの全ての組合せを抽出し、抽出された各組合せをシステム構成案としてデータベース13に記憶させると共に、各組合せ毎に1日に検診可能な人数を計算し、併せて記憶させる。なお、病院2から与えられた条件を満たすことができる組合せが存在しない場合には、与えられた条件に近いものから順に例えば10個の組合せをシステム構成案としてデータベース13に記憶させる。以下に説明する各条件についても同様とする。
続いて、処理装置12は、データベース13に記憶されている条件情報を参照して優先順位が「2」となっている条件を確認する。本実施例において優先順位が2番目なのは「予算」であり、「10億円以下」と設定されている。そこで、処理装置12は、データベース13に記憶されているシステム構成案それぞれに対し、機器情報に基づいて総額を求める。各システム構成案の総額をそれぞれ求めたら、求められた総額が10億円以下となるシステム構成案を抽出し、抽出したシステム構成案と共に総額をデータベース13に記憶させる。逆に、総額が10億円を超えるシステム構成案については、データベース13から削除される。
更に、処理装置12は、データベース13に記憶された条件情報を参照して優先順位が「3」となっている条件を確認する。本実施例の場合、優先順位が3番目なのは「設置面積」であり、「70m2 以下」となっている。そこで、処理装置12は、機器情報としてデータベース13に記憶されている各機器の設置面積に基づいて各システム構成案の総設置面積をそれぞれ求め、求めた総設置面積が70m2 以下となるシステム構成案を抽出し、抽出したシステム構成案と共に総設置面積をデータベース13に記憶させる。一方、総設置面積が70m2 を超えるシステム構成案はデータベース13から削除される。
次に、処理装置12は、優先順位が「4」となっている条件を確認するが、本実施例では優先順位が4番目となっている条件は存在しないので、これでシステム構成案の抽出処理を終了する。このときに、各システム構成案の総重量を機器情報に基づいて計算し、求められた総重量を各システム構成案と共にデータベース13に記憶させる。
処理装置12は、システム構成案の抽出処理が終了したら、その時点でデータベース13に記憶されているシステム構成案を表にまとめ、表情報としてデータベース13に表No.を付けて記憶させると共に病院2の処理装置22に伝送する。図11はシステム構成案をまとめた表を示す。図に示すように、この表には、選択された各機器の機器特定情報,1日の検診可能人数,総額,総設置面積及び総重量を表示する欄が設けられており、各欄にはシステム構成案と共に記憶されている情報が記入される。表情報が与えられた処理装置22は、表情報に基づいて出力装置23に図11に示す表を表示させる。病院2では、出力装置23に表示された表を参考にして、導入するPETシステムの構成を検討する。
PETシステムの構成が決定したら、病院2は仲介業者1にPETシステムの発注を依頼するが、この発注依頼も仲介業者1が開設するホームページ上で行う。図7に示されるホームページの初期画面にて「PETシステム発注依頼」をカーソル71でクリックすると、図12に示すPETシステム入力画面が出力装置23に表示される。
図12に示すように、PETシステム入力画面上には「表No.」及び「システムNo.」という文字が表示されると共に、それぞれの隣には数字を入力するための入力欄121a,121bが設けられる。図11に示すように、仲介業者1から提示される表には表No.が付けられており、また表中に示された各システム構成案にはそれぞれ番号が付けられているので、仲介業者1より提示された表の中から導入するPETシステムを選ぶ場合には、その表の表No.とシステム構成案のNo.とを「表No.」と「システムNo.」の隣にある入力欄121a,121bに記入する。例えば図11に示す表のNo.3のシステムを選択する場合は、入力欄121aに「320」を入力し、入力欄121bに「3」を入力する。入力が完了したら「決定」をクリックする。なお、仲介業者1より提示された表からは選ばずに各機器毎にメーカ名及び型式番号を指定することもできる。メーカ名及び型式番号の指定方法については後述する。
図12のPETシステム入力画面において「決定」がクリックされると、入力欄に入力された情報が処理装置12に伝送され、処理装置12は、与えられた表No.とシステムNo.に基づいてデータベース13に記憶されている表情報から該当するシステム構成案に関する情報を読み出す。更に、処理装置12は、読み出したシステム構成案情報を処理装置22に伝送する。処理装置22は、入力したシステム構成案情報を「このシステムでよろしいですか?」というメッセージと共に出力装置23に表示させる。図13は、その表示例を示す。病院2では、出力装置23に表示されたPETシステムの情報を確認し、表示されているシステムでよければ「施設名」と「所在地」という文字の横に設けられた入力欄131a,131bに自身の病院名と所在地を入力した後「決定」をクリックする。一方、表示されているシステムとは違うPETシステムを希望する場合は「戻る」をクリックして図12のPETシステム入力画面に戻る。図13の画面において「決定」がクリックされると、入力欄131a,131bに入力された情報が施設名・所在地情報として処理装置22から処理装置12へ伝送される。
施設名・所在地情報が入力された処理装置12は、処理装置22に伝送したシステム構成案情報に基づいて、各機器を製造している機器メーカ3,4の処理装置32,42に該当する機器の型式番号情報と施設名・所在地情報を伝送する。型式番号情報及び施設名・所在地情報を与えられた機器メーカ3,4では、その型式番号の機器を製造し、施設名・所在地情報に示される病院2に機器を納入する。病院2は、納入された機器の代金と別途仲介業者1との間で決められたサービス料金を仲介業者1に支払う。仲介業者1は、病院2より支払われた代金から機器の代金を機器メーカ3,4に支払う。なお、上述の病院2から仲介業者1への代金の支払いは、一括で支払っても割賦で支払っても良い。
以上、病院2から与えられるPETシステム全体に対する要求に基づいて仲介業者1がシステム構成案を提示する場合を説明したが、次に病院2からPETシステムを構成する機器毎に要求が与えられる場合について説明する。機器毎に要求を与える場合、病院2では図8の画面において「機器毎の条件を設定」をクリックする。
図8の画面において「機器毎の条件を設定」が選択されると、次に図14に示す粒子発生装置の条件入力画面が表示される。図に示すように、この粒子発生装置用条件入力画面には条件として「粒子発生数」,「RIの種類」,「電源容量」,「金額」,「設置面積」及び「重量」という文字が表示されると共に、数字或いは文字を入力するための入力欄141a〜141fが上記6つの条件と共に表示される。更にその横には、各条件の優先順位を入力するための入力欄142a〜142fが設けられている。この画面において、カーソル71により入力欄をクリックするとその入力欄に数字或いは文字が入力可能となり、各条件を設定すると共に、どの条件を優先すべきかを示す優先順位を設定することができる。図15は、条件及び優先順位の入力が完了した画面の例を示す図である。図15ではRIの種類及び電源容量が設定されていないが、数値や文字が入力されていない条件については要求がないものとして扱う。このように条件及び優先順位の入力が完了したら、カーソル71により「決定」をクリックする。
図15の画面において「決定」が選択されると、次に合成装置の条件入力画面が表示される。図16は、条件が入力された状態の合成装置用条件入力画面を示す。図に示すように、この画面には条件として「薬剤の種類」,「生成効率」,「処理時間」,「電源容量」,「金額」,「設置面積」及び「重量」という文字が表示されると共に、数字或いは文字を入力するための入力欄161a〜161gが上記7つの条件と共に表示される。更にその横には、各条件の優先順位を入力するための入力欄162a〜162gが設けられている。図16のように条件及び優先順位の入力が完了したら、カーソル71により「決定」をクリックする。
図16の画面において「決定」が選択されると、次に診断カメラの条件入力画面が表示される。図17は、条件が入力された状態の診断カメラ用条件入力画面を示す。図に示すように、この画面には条件として「感度」,「分解能」,「信号処理時間」,「金額」,「設置面積」及び「重量」という文字が表示されると共に、数字或いは文字を入力するための入力欄171a〜171fが上記6つの条件と共に表示される。更にその横には、各条件の優先順位を入力するための入力欄172a〜172fが設けられている。図17のように条件及び優先順位の入力が完了したら、カーソル71により「決定」をクリックする。
図17の画面において「決定」が選択されると、次に画像処理装置の条件入力画面が表示される。図18は、条件が入力された状態の画像処理装置用条件入力画面を示す。図に示すように、この画面には条件として「画像処理時間」,「主メモリの容量」,「金額」,「設置面積」及び「重量」という文字が表示されると共に、数字或いは文字を入力するための入力欄181a〜181eが上記5つの条件と共に表示される。更にその横には、各条件の優先順位を入力するための入力欄182a〜182eが設けられている。図18のように条件及び優先順位の入力が完了したら、カーソル71により「決定」をクリックする。
図18の画面において「決定」が選択されると、図15〜図18に示す各機器用の条件入力画面にて入力された各機器に対する条件と優先順位の情報、すなわち条件情報が処理装置12に伝送され、処理装置12は入力された条件情報をデータベース13に記憶させる。
処理装置12は、データベース13に記憶させた条件情報から粒子発生装置に対する条件で優先順位の一番高い条件を確認する。本実施例の場合、粒子発生装置に対する条件で優先順位が「1」となっているのは「金額」で「5億円以下」となっている。処理装置12は、この条件を満足する粒子発生装置をデータベース13に記憶されている機器情報に基づいて抽出し、抽出した粒子発生装置を粒子発生装置候補としてデータベース13に記憶する。なお、病院2から与えられた条件を満たす粒子発生装置が存在しない場合には、条件に近いものから順に例えば10個の粒子発生装置を粒子発生装置候補としてデータベース13に記憶させる。以下に説明する他の条件についても同様である。
続いて、処理装置12は、データベース13に記憶されている条件情報を参照して粒子発生装置に対する条件で優先順位が「2」となっている条件を確認する。粒子発生装置に対する条件で優先順位が2番目なのは「設置面積」で「40m2 以下」と設定されている。そこで、処理装置12は、データベース13に記憶されている粒子発生装置候補のうち設置面積が40m2 を超える粒子発生装置を抽出して、データベース13の粒子発生装置候補から削除する。
次に、処理装置12は、データベース13に記憶されている条件情報を参照して粒子発生装置に対する条件で優先順位が「3」となっている条件を確認する。粒子発生装置に対する条件で優先順位が3番目なのは「重量」で「60t以下」と設定されている。そこで、処理装置12は、データベース13に記憶されている粒子発生装置候補のうち重量が60tを超える粒子発生装置を抽出して、データベース13の粒子発生装置候補から削除する。
更に、処理装置12は、データベース13に記憶されている条件情報を参照して粒子発生装置に対する条件で優先順位が「4」となっている条件を確認する。粒子発生装置に対する条件で優先順位が4番目なのは「粒子発生数」で「1014個/s以上」と設定されている。そこで、処理装置12は、データベース13に記憶されている粒子発生装置候補のうち粒子発生数が1014個/s未満である粒子発生装置を抽出して、データベース13の粒子発生装置候補から削除する。
次に、処理装置12は、粒子発生装置に対する条件で優先順位が「5」となっている条件を確認するが、本実施例では優先順位が5番目となっている条件は存在しないので、これで粒子発生装置候補の抽出処理を終了する。
処理装置12は、上述の粒子発生装置の場合と同様に、合成装置,診断カメラ及び画像処理装置についても優先順位に従って各条件を満たす機器の抽出を行い、病院2から与えられた条件を満たす合成装置候補,診断カメラ候補及び画像処理装置候補を抽出してデータベース13に記憶させる。
処理装置12は、粒子発生装置候補,合成装置候補,診断カメラ候補及び画像処理装置候補の抽出処理が終了したら、抽出された各機器の候補とその機器情報を表にまとめ、表情報としてデータベース13に記憶させると共に病院2の処理装置22に伝送する。図19は各機器の候補とその機器情報をまとめた表の一例を示す。図に示すように、この表には、選択された機器の機器特定情報と機器情報を表示する欄が設けられている。表情報が与えられた処理装置22は、表情報に基づいて出力装置23に図19に示す表を表示させる。病院2では、出力装置23に表示された表を参考にして、導入するPETシステムを構成する機器の選定を行う。
PETシステムを構成する機器が決定したら、病院2は図12に示すPETシステム入力画面により仲介業者1に各機器の製造を依頼する。図12に示すように、PETシステム入力画面上には各機器毎に「メーカ名」及び「型番」という文字が表示されると共に、それぞれの隣には文字や数字を入力するための入力欄122a〜d及び入力欄123a〜dが設けられる。図19に示すように、仲介業者1から提示される表には機器特定情報(機器のメーカ名と型式番号)が付けられているので、仲介業者1より提示された表の中から機器を選択する場合には、表中の機器特定情報を入力欄122a〜d,123a〜dに記入する。なお、仲介業者1から提示された表中には記されていない機器を希望する場合で、そのメーカ名と型式番号が分かっているときには、それを入力欄に入力してもよい。
図12のPETシステム入力画面において「決定」がクリックされると、入力欄に入力された情報が処理装置12に伝送され、処理装置12は、与えられた各機器のメーカ名と型式番号に基づいてデータベース13に記憶されている機器情報を読み出す。更に、処理装置12は、読み出した機器情報に基づいてPETシステムを構成した場合の検診可能人数,総額,総設置面積及び総重量を計算し、その計算結果と共に各機器の機器特定情報を処理装置22に伝送する。処理装置22は、入力した情報を「このシステムでよろしいですか?」というメッセージと共に出力装置23に表示させる。図13は、その表示例を示す。病院2では、出力装置23に表示されたPETシステムの情報を確認し、表示されているシステムでよければ「施設名」と「所在地」という文字の横に設けられた入力欄131a,131bに自身の病院名と所在地を入力した後「決定」をクリックする。一方、表示されているシステムとは違うPETシステムを希望する場合は「戻る」をクリックして図12のPETシステム入力画面に戻る。図13の画面において「決定」がクリックされると、入力欄131a,131bに入力された情報が施設名・所在地情報として処理装置22から処理装置12へ伝送される。なお、これ以降の処理は、前述のPETシステム全体に対する要求に基づいて仲介業者1がシステム構成案を提示する場合と同様である。
以上説明したように、仲介業者1がデータベース13に記憶された機器情報に基づいて病院2からの要求を満足する機器を選定し、選定した機器に関する機器情報を病院2に提示することにより、病院2における機器の選定を助けることができる。つまり、病院2にすれば、PETシステム全体に対する要求または各機器に対する要求を出すだけでPETシステムに用いるべき機器が選定されるので、機器情報の収集やその情報に基づいた機器の選定が不要となり、よって、PETシステム導入時における病院2の負担が軽減される。また、仲介業者1は、機器メーカ3,4への発注も行うため、病院2の負担が一層軽減される。特に、病院2が入力した「検診人数」の情報を、病院2に導入するPETシステムに用いる機器の選定に用いているため、PETシステムの導入時における医療機関の負担が軽減されると共に、前述したようにPETシステムを構成する機器、すなわち、粒子発生装置,合成装置,診断カメラ及び画像処理装置の選定が極めて簡単にできる。
更に本実施例では、PETシステム導入支援の一環として、仲介業者1が病院2に導入されたPETシステムの保守を支援する。以下、詳細に説明する。仲介業者1は、病院2に導入された各機器の保守情報を機器メーカ3,4から収集する。図20は、粒子発生装置の保守情報を示す。図20に示すように、保守回数が増えるほど保守代は大きくなるが、保守を頻繁に行うほど機器の故障は低減できるので、保守回数が増えるほど修理代は減る。保守回数は、この保守代と修理代の両者を考慮して決める必要がある。図中のトータルコストは、保守代と修理代を加算して得られたグラフであり、このトータルコストが一番小さくなる保守回数を選ぶことにより機器の維持費が低減する。仲介業者1は、機器メーカ3,4より収集した保守情報に基づいて各機器毎に最もトータルコストが小さくなる保守回数を求め、その回数に応じて各機器の保守時期を決定する。図20の場合、保守回数を10年に3回とすれば最もトータルコストが小さくなるので、保守は3年4ヶ月毎に行うこととする。なお、合成装置,診断カメラ及び画像処理装置についても粒子発生装置と同様に、機器メーカ3,4から得た保守情報に基づいて保守時期を決定する。
決定した保守時期の情報とその場合のトータルコストの情報は、処理装置12から処理装置22に伝送される。処理装置22は、入力された保守時期情報とトータルコスト情報とに基づいて図21に示す画面を出力装置23に表示させる。図21において、各機器に対応づけて表示された保守時期は、保守を行う年と月を表わすものであり、例えば「’04.4」は2004年の4月を意味する。一方、トータルコスト情報は、「予想されるコスト」として金額が表示される。なお、「予想されるコスト」としているのは、トータルコストはあくまでも標準的な保守情報に基づいて求められた目安であり、実際にかかる費用がトータルコストを上回ることも考えられるためである。病院2では、図21に示される画面にて保守時期及びコストを確認し、保守時期に問題がなければ「決定」をクリックする。保守時期を変更したい場合には、保守時期が記入されている欄をカーソル71でクリックした後、希望する保守時期を入力すればよい。「決定」のクリックにより各機器の保守時期に入力されている情報が保守時期情報として処理装置22から処理装置12に伝送される。処理装置12は与えられた保守時期情報をデータベース13に記憶させ、保守時期情報に設定された時期になると該当する機器を製造した機器メーカ3,4に保守を依頼する。
保守依頼を受けた機器メーカ3,4は病院2に設置した機器の保守・修理を行う。病院2は、機器メーカ3,4による保守・修理に応じた料金と、仲介業者1によるサービスに応じた料金を仲介業者1に支払う。仲介業者1は、病院2より支払われた料金から機器メーカ3,4による保守・修理に応じた料金を機器メーカ3,4に支払う。
このように保守計画の立案や機器メーカ3,4への保守の依頼を仲介業者1が行うため、PETシステムの保守に関する病院2の負担が軽減される。
以上説明した本実施例では、PETシステムに用いられる機器を製造する機器メーカが2つの場合について説明したが、機器メーカの数がいくつでも本発明が適用可能であることは言うまでもない。また、本実施例では、機器メーカとは別に仲介業者が存在する場合について説明したが、機器メーカのうちの一つが仲介業者の役割を兼ねることも考えられる。更に、本実施例ではPETシステムを導入する医療機関として病院を例に説明したが、医療機関は病院に限らず、検診施設,診療所等でもよい。
また、本実施例では、病院2がPETシステムを購入する場合について説明したが、PETシステムを仲介業者1が機器メーカ3,4から購入し、それを病院2にリースしてもよい。その場合のリース形態としては、ファイナンスリース,オペレーティングリース等が考えられる。更に、仲介業者1が機器メーカ3,4から機器をリースし、それを更に病院2にリースしても良い。
なお、病院2が各機器を仲介業者1からリースすることにより、病院2における資金調達の負担が軽減化され、また、固定資産を保有する必要がないので、税務上のメリットや事務的負担軽減のメリットがある。
以上説明した本実施例では、PETシステムの保守を機器毎に行う場合について説明したが、保守を行う際には機器を停止しなければならないことがあり、機器毎に保守を行うとPETシステムとしての稼働率が低下する可能性がある。そこで各機器の保守を同じ時期に行うことも考えられる。以下、各機器の保守を同時期に行う場合の保守計画の立案方法について説明する。
前述の通り、仲介業者1の処理装置12は、機器メーカ3,4より図20に示すような保守情報を各機器毎に入手する。そして処理装置12は、入手した各機器の保守情報から保守回数とトータルコストとの関係を計算する。図22は、計算された各機器のトータルコストを示す。図22に示すように、トータルコストが最も小さくなる保守回数は機器毎に異なっている。これら各機器のトータルコストを合計したコストが最も小さくなる保守回数を選択することによって、各機器を同時期に保守する場合のコストを最も小さくすることができる。図22の合計コストは、各機器のトータルコストを合計したコストであり、合計コストが最も小さくなる保守回数は3回/10年である。よって、処理装置12は、保守を3年4ヶ月毎に行うこととする。
決定した保守時期の情報とその場合の合計コストの情報は、処理装置12から処理装置22に伝送される。処理装置22は、入力された保守時期情報と合計コスト情報とに基づいて図23に示す画面を出力装置23に表示させる。図23において、「PETシステム保守時期」という文字に対応づけて表示させた保守時期は、保守を行う年と月を表わすものであり、例えば「’04.4」は2004年の4月を意味する。一方、合計コスト情報は、「予想されるコスト」として金額が表示される。これ以降の処理は、前述の各機器毎に保守時期を決定する場合と同様である。
なお、上述の保守支援については、仲介業者1を介さずにPETシステムを導入した医療機関でもサービスを受けることができる。すなわち、医療機関が所有しているPETシステムを構成する各機器のメーカ名と型式番号を仲介業者1が収集することにより、上述したのと同様に保守支援を行うことができる。
また、以上説明したサービス以外にも、各機器の新規機種に関する情報を病院に提供し、機器の更新購入計画を提供することもできる。つまり、機器の使用年数経過に伴う保守費用の上昇や、新製品の技術向上による消費電力の低下などを基に、現行のシステムを使用し続ける場合に今後必要となる費用と機器を新たに購入した場合に必要となる費用との比較から最適な機器の更新時期を提案する。
更に、PETシステムの運転計画を病院に提供することも考えられる。例えば、病院2より明日検診を受ける被検診者の体重と各々の検診を開始する時間に関する情報を入手し、その情報に基づいて放射性薬剤を生成するタイミングと量を算出する。そして、算出された薬剤生成のタイミングと量に応じて粒子発生装置と合成装置の運転計画を立てる。また、各被検診者の検診を開始する時間に基づいて放射性薬剤を投与するタイミングや、診断カメラ及び画像処理装置の稼動計画を立てる。これらの情報をまとめて病院2に提供する。
なお、上述の本実施例では、PETシステムを導入或いは保守する際の支援について説明したが、PETシステムに限らず、複数の機器メーカで製造される機器によって構成される医療システム(例えばSPECTを行うためのシステム等)であれば同様に導入支援或いは保守支援を行うことができる。
図24は、本実施例で説明したPETシステムの構造の一部を示す。図24において、薬剤生成室241内には図示しないが粒子発生装置及び合成装置が設置され、放射性薬剤が生成される。生成された放射性薬剤は、輸送容器242内に梱包されて、検診を行うための検診室243に輸送管244を通って輸送される。図24のPETシステムでは、輸送容器242をガス輸送によって輸送する。その手順は次の通りである。まず、薬剤生成室241で生成された放射性薬剤を輸送容器242に梱包し、薬剤生成室241と輸送管244との間に設けられた密閉扉245を開いて輸送容器242を輸送管244内に配置すると共に密閉扉245を閉じる。なお、本実施例の輸送管244は、2重管となっている。次に、輸送管244の内側の管に接続された送風・排気器246を起動して輸送管244内にガス(本実施例では空気)を送風すると共に、輸送管244の外側の管に接続された送風・排気器247を起動して輸送管244内の空気を排気する。これにより輸送管244内では図に矢印で示したような空気の流れが形成されるため、輸送管244内に配置された輸送容器242は空気の流れに従って輸送管244内を検診室243側へと移動する。輸送管244と検診室243との間に設けられた密閉扉248の位置まで輸送容器242が移動したら、送風・排気器246,247を停止させ、密閉扉248を開いて輸送容器242を輸送管244から取り出す。診断室243にて輸送容器242から放射性薬剤が取り出されて診断に用いられるが、放射性薬剤を取り出して空となった輸送容器242は、輸送管244内を薬剤生成室241へと輸送される。これは送風・排気器247から空気を送風し、送風・排気器246で空気を排気することによって行われる。なお、密閉扉245,248の内側(輸送管242側)にはクッションが設けられており、輸送容器242の衝突による衝撃が和らげられる。
以上説明したように、本実施例のPETシステムでは、放射性薬剤を薬剤生成室241から検診室243へとガス輸送により輸送するため、輸送を短時間で行うことができ、薬剤の放射性能の低減を抑制することができる。なお、本実施例では、送風・排気器245,248を輸送管244の一方の端部に集中させているが、輸送管244を1重管として送風・排気器245,248を輸送管の異なる端部にそれぞれ接続してもガス輸送は可能である。ただし、本実施例のように、輸送管244の一方の端部に送風・排気器245,248を集中させることにより、両方の送風・排気器を一ヶ所で操作することが可能となり、操作性が向上する。
図25は、1つの薬剤生成室に対して2つの検診室が設けられている場合のPETシステムの例を示す。図に示すように、薬剤生成室251と検診室252,253は二股の輸送管254によりそれぞれ接続されており、輸送管254には3つの送風・排気器255a〜255cと3つの密閉扉256a〜256cと2つのシャッター257a,257bが設けられている。
図25のPETシステムにおいて薬剤生成室251から検診室252へ輸送容器258を輸送する場合、密閉扉256aを開いて輸送容器258を輸送管254内に設置した後、送風・排気器255aにより輸送管254内に空気を送風し、送風・排気器255bにより輸送管254内の空気を排気する。このとき輸送管254に設けられたシャッター257aは開いておき、シャッター257bは閉じておく。そうすることにより、輸送容器242が密閉扉256bの位置まで輸送される。
一方、薬剤生成室251から検診室253へ輸送容器258を輸送する場合には、密閉扉256aを開いて輸送容器242を輸送管254内に設置した後、送風・排気器255aにより輸送管254内に空気を送風し、送風・排気器255cにより輸送管254内の空気を排気する。このとき輸送管254に設けられたシャッター257bを開いておき、シャッター257aを閉じておく。そうすることにより、輸送容器242が輸送管密閉扉256cの位置まで輸送される。
以上説明したように、1つの薬剤生成室に対して複数の検診室が設けられている場合でも、ガス輸送を用いて放射性薬剤を輸送することができる。なお、送風・排気器やシャッターは遠隔から操作できるようにして、1ヶ所で操作をするのが望ましい。
本発明の他の実施例である実施例2のPETシステム導入支援方法を、以下に説明する。本実施例にも、実施例1と同様に図1に示すPETシステム導入支援方法の概要が適用され、図2に示すシステムが用いられる。機器メーカ3は、製造している粒子発生装置及び合成装置に関する各機器情報を入力装置34により入力する。入力された各機器情報は処理装置32を介してデータベース33に記憶される。機器メーカ4も入力装置44を用いて診断カメラ及び画像処理装置に関する機器情報を処理装置42に入力する。これらの機器情報はデータベース43に記憶される。例えば、図3及び図4に示す機器情報がデータベース33に記憶され、図5及び図6に示す機器情報がデータベース43に記憶される。データベース33,43に記憶されている各機器情報は、各機器メーカの通信装置より仲介業者の通信装置11に伝送され、データベース13に記憶される。
病院2がPETシステムを導入する場合について説明する。病院2は仲介業者が開設しているホームページに処理装置22よりアクセスし、そのホームページ上でPETシステムに対する要求(条件)を入力して仲介業者1にシステム構成案の提示を依頼する。以下、詳細に説明する。病院2の従業員は、表示装置である出力装置23に表示される、そのホームページの初期画面(図7、表示装置である出力装置23に表示)で、「PETシステム構成案提示依頼」を選択する。出力装置23には図8の画面情報が表示される。病院2の従業員が「PETシステム全体の条件を設定」を選択すると、図26の画面情報が出力装置23に表示される。病院2の従業員がアクセスする仲介業者のホームページの情報は、データベース13に記憶されており、処理装置12,通信装置11,通信回線(インターネット)5,通信装置21及び処理装置22を経て出力装置23に表示される。病院2の従業員が処理装置22に入力した情報は、通信装置21,通信回線5,通信装置11及び処理装置12を経てデータベース13に記憶され、必要に応じて出力装置15に表示される。
出力装置23に表示された図26の画面情報は、図9に示される「予算」,「検診人数」,「設置面積」及び「重量」という文字、及び優先順位を入力する入力欄92a〜92dと共に、「検診項目」という文字、及び「検診項目」に対する優先順位の入力欄91eを有する。病院2の従業員は、病院2が導入しようとしているPETシステムに関する情報に基づいて、入力装置24を用いて図26に示す画面情報の各項目に必要情報を入力すると共に、それぞれに対して優先順位情報を入力し、更にカーソル71により「決定」をクリックする。優先順位は、「検診項目」,「検診人数」,「予算」及び「設置面積」の順である。
上記の各情報を入力した処理装置12は入力された条件情報をデータベース13に記憶させる。処理装置12は、データベース13に記憶させた条件情報から優先順位の一番高い条件を確認する。本実施例の場合、優先順位が「1」である「検診項目」が「糖代謝」及び「アミノ酸代謝」となっている。処理装置12はその条件を満足するPETシステムを検討する。データベース13は、表1の「検診項目」と「放射性薬剤」との対応関係を
示す情報、すなわち「糖代謝」と「18F−FDG」,「脂肪酸代謝」と「11C−パルミチン酸」及び「アミノ酸代謝」と「11C−メチオニン」等の情報を記憶している。「検診項目」が「糖代謝」及び「アミノ酸代謝」となっている関係上、処理装置12は該当する放射性薬剤としてデータベース13より「18F−FDG」及び「11C−メチオニン」を選択する。このため、「18F−FDG」及び「11C−メチオニン」を製造できる放射性薬剤合成装置(単に、合成装置という)が必要となる。それらの薬剤の原料となる放射性同位体(RI)である18F及び11Cを製造できる粒子発生装置が必要である。出力装置23に表示されず26の画面情報において、「検診項目」の情報を入力しやすいように、表1に示された「検診項目」の具体例を併せて表示することも可能である。
優先順位「2」は「検診人数」である。「検診人数」としては「検診項目」毎、本例の場合は「糖代謝」及び「アミノ酸代謝」のそれぞれに対する1日当りにおける被検診者の見積もり人数を、病院2の従業員が入力している。例えば、「検診人数」は「糖代謝」に対してa人/日、及び「アミノ酸代謝」に対してb人/日である。例えば、被検診者の体重を70kgとした場合、処理装置12は、1日当りa人の検診に必要な「18F−FDG」及び18Fの量を求め、1日当りb人の検診に必要な「11C−メチオニン」及び11Cの量をそれぞれ求める。
処理装置12は、「検診項目」の情報に基づいて決定した、該当する種類のPET用放射性薬剤を合成できる合成装置、及び該当するPET用放射性薬剤の原料となるRIを製造できる粒子発生装置であって、「検診人数」に基づいて求められた各放射性薬剤量を製造できる能力を有する合成装置、及び各RI量を製造できる粒子発生装置を、データベース13に記憶した機器情報より全て選択する。更に、処理装置12は、機器情報のうち診断カメラの信号処理時間に基づいて、1日当りの合計検診人数、例えば(a+b)人/日の被検診者を診断する場合に使用できる診断カメラを、データベース13に記憶した機器情報より選択し、併せて必要な診断カメラの台数を求める。処理装置12は、機器情報のうち画像処理装置の画像処理時間に基づいて、入力した「検診人数」に対応できる画像処理装置をデータベース13に記憶した機器情報より選択する。処理装置12は、選択された粒子発生装置,合成装置,診断カメラ及び合成装置の各組合せをシステム構成案としてデータベース13に記憶させる。また、処理装置12は、各組合せ毎に1日に検診可能な人数を計算し、併せて記憶させる。なお、病院2から与えられた条件を満たすことができる組合せが存在しない場合には、与えられた条件に近いものから順に例えば10個の組合せをシステム構成案としてデータベース13に記憶させる。以下に説明する各条件についても同様とする。
続いて、処理装置12は、データベース13に記憶されている条件情報を入力して優先順位が「3」となっている条件を確認する。本例において優先順位が3番目なのは「予算」である。処理装置12は、データベース13に記憶されているシステム構成案毎に、機器情報に基づいて金額の総額を求める。処理装置12は、求められた総額が病院2が希望する予算額以下となるシステム構成案を選択し、抽出したシステム構成案と共に総額をデータベース13に記憶させる。実施例1と同様に、処理装置12は、入力された優先順位が最下位の項目(本例では「設置面積」)の条件を満足するシステム構成案を選択してデータベース13に記憶させる。
処理装置12は、本実施例で選択された各システム構成案に関する情報を、図11に示すような表形式にまとめ、データベース13に記憶させる。処理装置22は、通信回線5を介して得たその情報を出力装置23に表示する。病院2の従業員は、出力装置23に表示された各システム構成案の情報を参考にして、導入するPETシステムの構成を検討する。病院2でPETシステムの構成を決定した場合には、病院2は仲介業者1にPETシステムを発注する。この発注依頼は図2のシステムを用いて実施例1と同様に行われる。処理装置12は、病院2からの発注依頼を受けてその発注内容の確認を行う。すなわち、処理装置12は、データベース13に記憶されている複数のシステム構成案の情報から該当するシステム構成案の情報を読み出す。更に、処理装置12は、読み出したシステム構成案情報を処理装置22に伝送する。処理装置22は、入力したシステム構成案情報を「このシステムでよろしいですか?」というメッセージと共に出力装置23に表示させる。図27は、その表示例を示す。病院2では、出力装置23に表示されたPETシステム情報を確認し、表示されているシステムでよければ入力欄131a,131bに自身の病院名と所在地を入力した後「決定」をクリックする。この「決定」がクリックされると、入力欄131a,bに入力された情報が施設名・所在地情報として処理装置22から処理装置12へ伝送される。一方、表示されているシステムとは違うPETシステムを希望する場合は「戻る」をクリックして図12のPETシステム入力画面に戻る。
施設名・所在地情報が入力された処理装置12は、処理装置22に伝送したシステム構成案情報に基づいて、各機器を製造している機器メーカ3,4の処理装置32,42に該当する機器の型式番号情報と施設名・所在地情報を伝送する。機器メーカ3,4は、該当する機器を製造し、施設名・所在地情報に示される病院2に機器を納入する。その後、前述した実施例と同様に、代金の支払いが行われる。
本実施例のPETシステム導入支援方法は、実施例1で生じる効果を得ることができる。更に、本実施例は、「検診項目」の情報を病院2、すなわち顧客が入力することにより、該当する「検診項目」(本実施例では糖代謝及びアミノ酸代謝)を用いて、必要な放射性薬剤を製造できる合成装置、及び必要な放射性物質であるRIを製造できる粒子発生装置を選定することができる。粒子発生装置は放射性製造装置である。本実施例は、更に、「検診人数」の情報を機器の選定に用いている。「検診人数」の情報を用いることによって、該当する放射性薬剤の必要量を製造できる製造能力を有する合成装置、及び該当するRIの必要量を製造できる製造能力を有する粒子発生装置を選定することができる。「検診人数」の情報を用いることによって、適切な診断カメラ及び画像処理装置を選定できる。
上記のように、仲介業者1がデータベース13に記憶された機器情報に基づいて病院2からの要求を満足する機器を選定し、選定した機器に関する機器情報を病院2に提示することにより、病院2における機器の選定を助けることができる。よって、PETシステム導入時における病院2の負担が軽減される。また、仲介業者1は、機器メーカ3,4への発注も行うため、病院2の負担が一層軽減される。本実施例においても、実施例1と同様に、仲介業者1が、病院2に設置されたPETシステムの各機器の保守点検に関する保守計画の立案や機器メーカ3,4への保守の依頼を行う。従って、PETシステムの保守に関する病院2の負担が軽減される。
また、本実施例においても、実施例1と同様に、PETシステムを仲介業者1が機器メーカ3,4から購入し、それを病院2にリース(ファイナンスリース,オペレーティングリース等)してもよい。更に、仲介業者1が機器メーカ3,4から機器をリースし、それを更に病院2にリースしてもよい。仲介業者1が各機器をリースする場合に得られる効果は、前述の実施例と同じである。
図20〜図23に示されるPETシステムの保守点検支援方法の他の実施例を、図28〜図31を用いて以下に説明する。PETシステムのような高度な医療機器は、それを構成する各機器を定期的に点検・調整することにより、製造されたPET用放射性薬剤の品質、及び診断カメラの出力に基づいて画像処理装置で得られる被検診者の断層像の画像を常に最高の状態に維持する必要がある。また、PETシステムを構成する機器の故障時においても迅速な対応により、病院2における検診への影響を最小限にする必要がある。このため、図28に示すような機器メーカ(A社,B社等)が推奨するフルメンテナンス契約により保守を実施する例が多い。フルメンテナンスとは、対象となる機器の定期的な保守点検、及び機器にトラブルが発生したときにおける機器の点検,部品交換,補修を全て機器メーカが行うことである。図28には代表的な例を示したが、フルメンテナンス契約では、年間の定期点検4回、故障時のオンコール対応とその際の小さな部品、さらには主要パーツの交換も含めた包括的な対応をメーカが実施するが、メンテナンス費用は病院2等の医療機関にとっては割高となる。オンコールとは、機器にトラブルが発生したときに機器メーカがそのトラブルへの対応を行うことである。図28に示す、各機器メーカ(A社,B社等)の「フルメンテナンス」の見積もり費用であるA0,B0……、「部品有償(その他は無償)」の見積もり費用であるA1,B1……,「定期点検のみ(その他も有償)」で「点検回数」が4回の見積もり費用であるA2,B2……は、各機器メーカ毎にデータベース13に記憶されている。例えば、図28に示された、「フルメンテナンス」,「部品有償(その他は無償)」はそれぞれの「点検回数」を「4回」想定しており、「定期点検のみ(その他も有償)」は「点検回数」として「4回」,「3回」及び「2回」のそれぞれを想定している。「フルメンテナンス」,「部品有償(その他は無償)」及び「定期点検のみ(その他も有償)」で想定された「点検回数」の値はデータベース13に記憶される。更に、「オンコール対応」,「保守関連部品」及び「交換部品」のそれぞれに対して、「フルメンテナンス」,「部品有償(その他は無償)」,「定期点検のみ(その他も有償)、点検回数4回」,「定期点検のみ(その他も有償),点検回数3回」、及び「定期点検のみ(その他も有償),点検回数2回」毎に記入した「無償」及び「有償」の情報(図28)も、データベース13に記憶される。
仲介業者1は、処理装置12を用いて病院2に設置したPETシステムのメンテナンス形態を決定し、この結果を顧客である病院2に通信回線5を介して連絡する。メンテナンス形態の決定は、仲介業者1の処理装置12へのアクセスにより、データベース13に記憶されている図29に示す処理プログラムが処理装置12に読み出される。処理装置12は、その処理プログラムに沿って処理を行いメンテナンスの形態を決定する。処理装置12で実行されるその処理を、図29のフローチャートに基づいて説明する。実施例2(または実施例1)において、病院2への導入を決定したPETシステムを構成する各機器(粒子発生装置,合成装置,診断カメラ,画像処理装置)の型式番号、及び機器を製造した機器メーカの情報は、データベース13に記憶される。例えば、病院2に導入されたPETシステムは、A社製の粒子発生装置,B社製の合成装置,C社製の診断カメラ及びD社製の画像処理装置によって構成されているとする。また、各機器メーカ(A社,B社,C社,D社)のそれぞれの製造機器ついて、「フルメンテナンス」,「部品有償(その他は無償)」及び「定期点検のみ(その他も有償),点検回数4回」に対するそれぞれの見積もり費用(図28の下部に記載された費用参照)の情報が、データベース13に記憶されている。この費用の情報は、A0,A1,A2,B0,……,C2,D0,D1,D2である。
まず、仲介業者1が入力装置14から「病院2」(名称)を入力すると、処理装置12は、病院2に導入した各機器を製造した各機器メーカ(A社,B社,C社,D社)の、「フルメンテナンス」,「部品有償(その他は無償)」及び「定期点検のみ(その他も有償),点検回数4回」に対する見積もり費用の情報を、データベース13より読み出して処理装置12に入力する(ステップ31)。次に、オンコール及び交換部品の各費用を各機器メーカの該当する機器毎に算出する(ステップ32)。図30は、フルメンテナンス契約の費用に含まれるオンコール費用及び交換部品費用を各機器メーカの機器毎に算出する。各機器メーカが製造した機器に対する各オンコール費用は、(A1−A2),(B1−B2),(C1−C2)及び(D1−D2)でそれぞれ算出される。また、各機器メーカが製造した機器に対する各交換部品費用は、(A0−A1),(B0−B1),(C0−C1)及び(D0−D1)でそれぞれ算出される。フルメンテナンス契約をしていない類似施設で実際にメンテナンスを実施した際に要した費用の情報を、データベース13より処理装置12に入力する(ステップ33)。その費用情報から、オンコールに対する実際の費用α及び交換部品に対する実際の費用βを抽出する(ステップ34)。費用α及びβは該当する機器毎に異なっており、以下に示す費用α及びβは導入された粒子発生装置,合成装置,診断カメラ及び画像処理装置に対する類似した各機器の費用である。オンコール及び交換部品の各費用と費用α及びβとに基づいて、フルメンテナンス契約か、オンコール及び部品交換はそれぞれ実費加算契約かを判定する(ステップ35)。すなわち、A社の粒子発生装置を例にとれば(1)及び(2)式を満足するか、否かを判定する。
(A1−A2)<α …(1)
(A0−A1)<β …(2)
(A1−A2)>α …(3)
(A0−A1)>β …(4)
ステップ35において、(1)及び(2)式を満足する、すなわち(A0−A2)<(α+β)を満足するとの判定がなされた場合には、ステップ36において、処理装置12は、「フルメンテナンス契約の提案」の情報を通信装置11及び通信回線5を介して病院2の通信装置21宛てに送信する。また、ステップ35において、(3)及び(4)式を満足する、すなわち(A0−A2)>(α+β)を満足するとの判定がなされた場合には、ステップ37において、処理装置12は、「オンコール,交換部品は実費加算契約の提案」の情報を通信装置11及び通信回線5を介して病院2の通信装置21宛てに送信する。なお、B社の合成装置に対しては、ステップ35において、(B0−B2)<(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ36の処理が行われ、(B0−B2)>
(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ37の処理が実行される。同様に、C社の診断カメラに対しては、ステップ35において、(C0−C2)<(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ36の処理が行われ、(C0−C2)>(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ37の処理が実行される。D社の画像処理装置に対しては、ステップ35において、(D0−D2)<(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ36の処理が行われ、(D0−D2)>(α+β)を満足するとの判定がなされた場合にはステップ37の処理が実行される。5社目以降についても同様な判定及び処理が実行される。本実施例では、(A0−A2)>(α+β),(B0−B2)>(α+β),(C0−C2)>(α+β)及び(D0−D2)>(α+β)を満足するとの判定がなされた。ステップ35におけるそれぞれの判定結果は出力装置15にも表示される。仲介業者1は、それらの判定結果を見て、図31に示すように、定期点検回数2回を含むオンコール,交換部品は実費加算契約案を入力装置15より処理装置12に入力する。その契約案に基づくメンテナンスに要する費用の例が図31の「合理化案における費用」に示されている。ステップ37において、その契約案が「オンコール,交換部品は実費加算契約の提案」の情報として処理装置病院2は、送信されてきた契約の提案情報を出力装置23に表示し、各機器毎のメンテナンスついて、それぞれの提案の契約形態を了承する場合には、機器毎の提案契約に対する了解情報を入力装置23から処理装置22に入力し、通信装置11宛てに送信する。
仲介業者1は、病院2と該当する機器を製造した各機器メーカとの間で該当する機器に対するメンテナンス契約である「定期点検回数2回を含むオンコール,交換部品は実費加算契約」(または「フルメンテナンス契約」)を締結する支援を行う。各機器メーカは、締結した契約に基づいて病院2に導入した機器のメンテナンスを実行する。本実施例は、病院2に設置したPETシステムを構成する機器のメンテナンスに要する費用を低減できる。
以上述べた各実施例は、PETシステムを購入する医療機関を対象にし、医療機関(病院,診療所及び検診施設等)からの要求に基づいた、そのPETシステムの導入支援、及びそのPETシステムに対する保守支援について説明した。しかしながら、各実施例は、医療機関にPETシステムを賃貸する賃貸事業を行う事業者(賃貸事業者という)からの要求に基づいて、PETシステムの導入支援、及びそのPETシステムに対する保守支援を行う場合にも適用可能である。この場合には、前述した各実施例において病院2は賃貸事業者となる。
更に、前述した各実施例は、医療機関のPET検診事業を支援するPET検診事業支援事業者からの要求に基づいて、PETシステムの導入支援、及びそのPETシステムに対する保守支援を行う場合にも適用可能である。この場合には、前述した各実施例において病院2はPET検診事業支援事業者となる。PET検診事業支援事業者は、PET検診を行う医療機関に対して、PETシステムの提供,そのPETシステムの運用業務の提供を行う事業者である。PET検診の検診業務自体は、PET検診事業支援事業者が行わず医療機関が行う。
1…仲介業者、2…病院、3,4…機器メーカ、5…通信回線、11,21,31,41…通信装置、12,22,32,42…処理装置、13,33,43…データベース、14,24,34,44…入力装置、15,23…出力装置。