JP2007198824A - 包埋カセット - Google Patents
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Abstract
【課題】置換処理時に容器として使用した際に固着した包埋剤を容易に取り除くことができ、包埋ブロックの固定台としても使用することが可能な包埋カセットを提供する。
【解決手段】包埋カセット1は、試料を収容した状態で包埋剤に浸漬させて、試料の置換処理を行うための容器として使用されるとともに、下面を載置面として、置換処理された試料が包埋された包埋ブロックを載置して、包埋ブロックの固定台として使用されるもので、上面2aに、試料を収容する収容凹部3が開口して形成されたカセット本体2と、収容凹部3を閉塞する蓋4とを備え、カセット本体2の底部及び蓋4には、収容凹部3と外部とを連通するスリット7が設けられているとともに、カセット本体2の外側面、及び上面と下面の所定幅を有した外縁部は、着脱可能な剥離シート6によって覆われている。
【選択図】図1
【解決手段】包埋カセット1は、試料を収容した状態で包埋剤に浸漬させて、試料の置換処理を行うための容器として使用されるとともに、下面を載置面として、置換処理された試料が包埋された包埋ブロックを載置して、包埋ブロックの固定台として使用されるもので、上面2aに、試料を収容する収容凹部3が開口して形成されたカセット本体2と、収容凹部3を閉塞する蓋4とを備え、カセット本体2の底部及び蓋4には、収容凹部3と外部とを連通するスリット7が設けられているとともに、カセット本体2の外側面、及び上面と下面の所定幅を有した外縁部は、着脱可能な剥離シート6によって覆われている。
【選択図】図1
Description
本発明は、人体や実験動物等から取り出した試料を収容し置換処理する容器として使用されるとともに、置換処理された試料が包埋された包埋ブロックの固定台として使用される包埋カセットに関する。
従来から、人体や実験動物等から取り出した生体試料を検査、観察する方法の1つとして、包埋剤によって生体試料を包埋した包埋ブロックを、厚さ数μmの極薄の薄切片に薄切した後に、包埋剤を溶した生体試料を検査・観察する方法が知られている。このような検査・観察で使用される生体試料は、内部と外部とを連通するスリットを有し、識別文字が付与された包埋カセットに収容されて、脱水、脱脂処理が施され、最終的にパラフィン等の包埋剤による置換処理を施される。そして、パラフィン等の包埋剤によって包埋、すなわち周囲を覆い固めて包埋ブロックを成形した後に、裏返した包埋カセットの下面にこの包埋ブロックを載置、固定して、次工程において薄切片を作製していた(例えば、特許文献1参照)。このように、生体試料から薄切片を作製する工程においては、上記の包埋カセットを、生体試料に脱水、脱脂処理及び置換処理を施す際の容器として使用し、さらに、成形された包埋ブロックの固定台としても使用している。このように、包埋カセットを2種類の使用方法で使用するのは、生体試料から包埋ブロックを作製し、さらに包埋ブロックから薄切片を作製する一連の工程において、多数の生体試料を処理する際に生体試料同士の混同を防止するためである。
特開平9−145571号公報
しかしながら、上記のように生体試料に置換処理を施す際には、包埋カセットに生体試料を収容した状態で、包埋カセットごと包埋剤に浸漬させるため、包埋剤が包埋カセットに固着してしまう。このように固着してしまった包埋剤は、包埋カセットを包埋ブロックの固定台として使用する際には、がたつきの原因となり、包埋ブロックを正確かつ均一な厚さで薄切することができなくなってしまう。このため、従来においては、作業者がナイフ等により一つずつ固着した包埋剤を削ぎ落として使用していたが、非常に時間のかかる作業であり、作業時間及び労力の軽減が望まれていた。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、置換処理時に容器として使用した際に固着した包埋剤を容易に取り除くことができ、包埋ブロックの固定台としても使用することが可能な包埋カセットを提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、試料を収容した状態で包埋剤に浸漬させて、前記試料の置換処理を行うための容器として使用されるとともに、下面を載置面として、置換処理された前記試料が包埋された包埋ブロックを載置して、該包埋ブロックの固定台として使用される包埋カセットであって、上面に、前記試料を収容する収容凹部が開口して形成されたカセット本体と、前記収容凹部を閉塞する蓋とを備え、前記カセット本体の底部、または前記蓋の少なくともいずれか一方には、前記収容凹部と外部とを連通するスリットが設けられているとともに、前記カセット本体の外側面、及び上面と下面の所定幅を有した外縁部は、着脱可能な剥離シートによって覆われていることを特徴としている。
本発明は、試料を収容した状態で包埋剤に浸漬させて、前記試料の置換処理を行うための容器として使用されるとともに、下面を載置面として、置換処理された前記試料が包埋された包埋ブロックを載置して、該包埋ブロックの固定台として使用される包埋カセットであって、上面に、前記試料を収容する収容凹部が開口して形成されたカセット本体と、前記収容凹部を閉塞する蓋とを備え、前記カセット本体の底部、または前記蓋の少なくともいずれか一方には、前記収容凹部と外部とを連通するスリットが設けられているとともに、前記カセット本体の外側面、及び上面と下面の所定幅を有した外縁部は、着脱可能な剥離シートによって覆われていることを特徴としている。
この発明に係る包埋カセットによれば、試料をカセット本体の収容凹部に収容し、蓋によって収容凹部を閉塞した状態で包埋剤に浸漬させる。カセット本体の底部または蓋の少なくともいずれか一方にはスリットが設けられているので、包埋剤はスリットから収容凹部の内部に流入して、収容凹部に収容された試料の置換処理を行うことができる。置換処理が完了した後に蓋を取り外して、置換処理された試料を他の包埋皿等に満たされた包埋剤の中に埋め込んで包埋ブロックを作製する。次に、カセット本体を裏返し、下面を載置面として包埋ブロックを載置して固定する。最後に、剥離シートを取り外すことで、置換処理時にカセット本体の外側面、及び上面と下面の外縁部に固着した包埋剤を容易に取り除くことができる。このため、カセット本体を包埋ブロックの固定台として使用し包埋ブロックを薄切する際に、カセット本体が、がたつくこと無く、正確かつ均一な厚さで薄切片を作製することができる。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記剥離シートの少なくとも一箇所には、表面から裏面まで貫通した切込部が形成されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、切込部が形成された部分の剥離シートを引っ張ることで、剥離シートを切込部から容易に切断することができる。このため、さらに容易に剥離シートを取り外し、固着した包埋剤を取り除くことができる。
この発明に係る包埋カセットによれば、切込部が形成された部分の剥離シートを引っ張ることで、剥離シートを切込部から容易に切断することができる。このため、さらに容易に剥離シートを取り外し、固着した包埋剤を取り除くことができる。
さらに、上記の包埋ブロックにおいて、前記剥離シートは、耐アルコール性と耐キシレン性を有する材質で形成されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、試料の置換処理の前段階で、組織中の水分や脂質をアルコールで置換する場合、さらに試料をキシレンに浸漬させて、アルコールをキシレンで置換する場合において、剥離シートがアルコールやキシレンによって溶解してしまうことが無い。
この発明に係る包埋カセットによれば、試料の置換処理の前段階で、組織中の水分や脂質をアルコールで置換する場合、さらに試料をキシレンに浸漬させて、アルコールをキシレンで置換する場合において、剥離シートがアルコールやキシレンによって溶解してしまうことが無い。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記剥離シートは、熱収縮性を有する環状の部材であることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、環状の剥離シートをカセット本体の周囲に覆い、加熱することで、剥離シートを熱収縮させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
この発明に係る包埋カセットによれば、環状の剥離シートをカセット本体の周囲に覆い、加熱することで、剥離シートを熱収縮させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記剥離シートは、自己融着性を有する帯状の部材であるものとしても良い。
この発明に係る包埋カセットによれば、帯状の剥離シートをカセット本体の周囲に巻き付けて引っ張ることで、自己融解させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
この発明に係る包埋カセットによれば、帯状の剥離シートをカセット本体の周囲に巻き付けて引っ張ることで、自己融解させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記剥離シートは、容易に弾性的に拡径し、かつ、収縮して前記カセット本体に密着可能な弾性を有する環状の部材であるものとしても良い。
この発明に係る包埋カセットによれば、環状の剥離シートを弾性的に拡径させ、カセット本体の周囲を覆うことで、剥離シートを収縮させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
この発明に係る包埋カセットによれば、環状の剥離シートを弾性的に拡径させ、カセット本体の周囲を覆うことで、剥離シートを収縮させて、カセット本体の外側面及び上面と下面の外縁部に密着させることができる。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記カセット本体の前記上面には、前記収容凹部と異なる位置に複数の係合凹部が設けられるとともに、前記蓋の下面の前記係合凹部と対応する位置には、前記係合凹部に挿入され係合可能な係合凸部が突出して設けられていることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、カセット本体の係合凹部に蓋の係合凸部を挿入して係合させることで、カセット本体の収容凹部を閉塞した状態を保つことができる。この際、係合凹部がカセット本体の上面の収容凹部と異なる位置に設けられていることで、係合凹部に挿入された蓋の係合凸部が収容凹部側に突出し、収容凹部に収容された試料を損傷してしまう恐れが無い。また、蓋の係合凸部が外側面側に突出し、外側面に覆われた剥離シートを損傷してしまう恐れが無く、また剥離シートの密着性を妨げてしまうことも無い。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記蓋の角部の内、前記剥離シートによって覆われる前記カセット本体の前記上面の角部と対応する部分には、隅切りが形成されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、蓋の角部に隅切りが形成されているので、カセット本体の上面の角部とは当接しない。このため、カセット本体の上面の角部を覆う剥離シートが、角部の形状に対応して折れ曲がり、凹凸が形成されてしまったとしても、剥離シートの凹凸によって蓋とカセット本体との間に隙間が生じてしまうようなことが無い。
また、上記の包埋ブロックにおいて、前記カセット本体の上面の前記蓋及び前記剥離シートに覆われない範囲には、識別文字を記入可能な識別文字記入部が設けられていることがより好ましいとされている。
この発明に係る包埋カセットによれば、識別文字記入部がカセット本体の上面の蓋及び剥離シートに覆われない範囲に設けられており、識別文字記入部に識別文字を記入することで、蓋で収容凹部を閉塞した状態でも、試料の種類を容易に判別することができる。
この発明に係る包埋カセットによれば、識別文字記入部がカセット本体の上面の蓋及び剥離シートに覆われない範囲に設けられており、識別文字記入部に識別文字を記入することで、蓋で収容凹部を閉塞した状態でも、試料の種類を容易に判別することができる。
本発明の包埋ブロックによれば、カセット本体を着脱可能な剥離シートで覆っていることで、置換処理時に固着した包埋剤を容易に取り除くことができる。このため、包埋剤の取り除く作業時間及び労力の軽減を図ることができ、包埋ブロックの固定台としても使用することができる。
図1及び図13は、この発明に係る実施形態を示している。生体試料を検査、観察する方法の1つとして、包埋剤によって生体試料を包埋した包埋ブロックを、厚さ3〜5μmの極薄の薄切片に薄切した後に、包埋剤を溶した生体試料を検査・観察する方法がある。生体試料Aとしては、例えば、人体や実験動物等から取り出した臓器などの組織であり、医療分野、製薬分野、食品分野、生物分野などで適時選択されるものであり、脱水、脱脂処理、さらに包埋剤によって置換処理されたものが使用される。また、包埋ブロックは、包埋剤によって生体試料を包埋、すなわち周囲を覆い固めたものであり、包埋剤には、パラフィンや樹脂などが用いられる。なお、本実施形態では、包埋剤としてパラフィンを使用している。図1に示す包埋カセット1は、予め適当な大きさに切断された各生体試料を別々に収容して識別するとともに、生体試料の置換処理等を行う際の容器として使用される。さらに、生体試料が包埋された包埋ブロックを作製した後は、包埋ブロックを薄切する際の固定台として使用されるものである。以下に、包埋カセット1の詳細、及び包埋カセット1を使用した包埋ブロックBの作製手順について説明する。
図1及び図2に示すように、包埋カセット1は、上面2aに、生体試料を収容する収容凹部3が開口して形成されたカセット本体2と、収容凹部3を閉塞する蓋4とを備えている。図3から図5のカセット本体2の上面図及び各断面図に示すように、カセット本体2の底部2bには、収容凹部3の内部と外部とを連通するスリット5が設けられている。また、カセット本体2の外側面2c、及び上面2aと下面2dの所定幅を有した外縁部2eは、着脱可能な剥離シート6によって覆われている。剥離シート6は、環状の部材で、その幅B6はカセット本体2の外側面2cの幅と、上面2a及び下面2dのそれぞれの外縁部2eの幅との和よりも大きく設定されている。また、剥離シート6は、耐アルコール性及び耐キシレン性並びに熱収縮性を有する材質、例えばPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などのフッ素樹脂で形成されている。すなわち、図3から図5に示すように、カセット本体2の外側面2cを覆うように剥離シート6を配置して、剥離シート6を加熱して熱収縮させることで、剥離シート6は、カセット本体2の外側面2c、及び上面2aと下面2dの外縁部2eに密着している。また、図1に示すように、剥離シート6の少なくとも一箇所には、表面6aから裏面6bまで貫通したV字形の切込部6cが形成されている。
図1、図6及び図7に示すように、蓋4は、略板状の部材で、上面4aから下面4bまで貫通するスリット7が設けられており、収容凹部3を閉塞した際に、収容凹部3の内部と外部とを連通することが可能である。また、図1に示すように、蓋4の角部の内、剥離シート6によって覆われるカセット本体2の上面2aの角部2fと対応する部分には、隅切り4cが形成されているとともに、先端部4dは、蓋4が収容凹部3を閉塞した際に、カセット本体2から突出するように設定されている。
さらに、図3及び図4に示すように、カセット本体2の上面2aにおいて、収容凹部3の両側の収容凹部3と異なる位置で、剥離シート6に覆われていない部分には、複数の係合凹部8、9が設けられている。さらに図6及び図7に示すように、蓋4の下面4bにおいて、カセット本体2の係合凹部8、9と対応する位置には、係合凹部8、9に挿入し、係合可能な複数の係合凸部10、11が突出して設けられている。なお、図1に示すように、カセット本体2の上面2aにおいて、蓋4及び剥離シート6の覆われない範囲には、識別文字を記入可能につや消し処理が施された識別文字記入部12が設けられている。
次に、包埋カセット1の作用及び包埋カセット1を使用した包埋ブロックの作製手順について説明する。図8に示すように、まず、ホルマリンで固定された生体試料Aを適当な大きさに切断し、剥離シート6で覆われているカセット本体2の収容凹部3の内部に収容する。次に、蓋4によって、収容凹部3を閉塞する。この際、まず、カセット本体2の係合凹部8に蓋4の係合凸部10を挿入する。次に、カセット本体2の係合凹部9に蓋4の係合凸部11を挿入する。この際、係合凸部11は、弾性変形して係合凹部9に挿入されるとともに、復元することで係合凹部9に係合凸部11が係合され、蓋4はカセット本体2の収容凹部3を閉塞した状態を保つことができる。また、図1及び図2に示すように、蓋4の角部に隅切り4cが形成されているので、カセット本体2の上面2aの角部2fとは当接しない。このため、カセット本体2の上面2aの角部2fを覆う剥離シート6が、角部2fの形状に対応して折れ曲がり、凹凸が形成されてしまったとしても、剥離シート6の凹凸によって蓋4とカセット本体2との間に隙間が生じること無く収容凹部3を閉塞することができる。
また、図8に示すように、カセット本体2の係合凹部8、9は、上面2aにおいて収容凹部3と異なる位置に設けられているので、係合凹部8、9に挿入された係合凸部10、11が収容凹部3に突出してしまうことが無い。このため、係合凸部10、11によって、収容凹部3に収容された生体試料Aを損傷してしまう恐れが無い。また、同様に、蓋4の係合凸部10、11が外側面2c側に突出し、外側面2cに覆われた剥離シート6を損傷してしまう恐れも無い。また、記号、番号などを識別文字記入部12に記入することで、各生体試料Aを識別可能な状態とすることができる。識別文字記入部12は、蓋4及び剥離シート6で覆われない範囲に設けられているので、蓋4で収容凹部3を閉塞した状態でも、生体試料Aの種類を容易に判別することができる。
次に、包埋カセット1に生体試料Aを収容した状態で、パレット20に薬剤21としてアルコール、キシレンを順に満たし、それぞれに包埋カセット1を浸漬させる。包埋カセット1のカセット本体2の底部2b及び蓋4にはスリット5、7が設けられているので、これらスリット5、7から収容凹部3の内部に薬剤21が流入する。このため、収容凹部3に収容された生体試料Aは、薬剤21としてアルコールを使用し、数回繰り返し浸漬されることで、組織中の水分や脂質がアルコールで置換、すなわち脱水、脱脂処理がされる。さらに、薬剤21としてキシレンを使用し、数回繰り返し浸漬されることで、アルコールがキシレンに置換される。この際、剥離シート6は耐アルコール性及び耐キシレン性を有するフッ素樹脂で形成されているので、薬剤21としてアルコールやキシレンを使用したとしても溶解する恐れが無い。
さらに、図8に示すように、パレット20の内部を、薬剤21から溶融した包埋剤であるパラフィンB1に入れ替えて、再び包埋カセット1を浸漬させる。同様に、スリット5、7から流入したパラフィンB1によって生体試料Aは数回浸漬され、生体試料A中のキシレンをパラフィンB1に置換される。この際、パラフィンB1は包埋カセット1にも付着し、付着したパラフィンB1は常温にて固化し、包埋カセット1に固着した状態となる。
次に、図9に示すように、段部22aが形成された包埋皿22に液状化したパラフィンB1を満たしておく。また、包埋カセット1の蓋4を取り外す。この際、図1に示すように、蓋4の先端部4dがカセット本体2よりも突出しているので、パラフィンB1が固着していても容易に取り外しすることができる。そして、収容凹部3の内部の生体試料Aを摘出し、包埋皿22のパラフィンB1に浸漬させる。次に、図10に示すように、生体試料Aを摘出し、空になったカセット本体2を包埋皿22のパラフィンB1に浸漬させ、下面2dを段部22aに当接させる。そして、供給口23よりパラフィンB1をさらに供給してカセット本体2の収容凹部3に満たすことで、カセット本体2と、生体試料Aを包埋したパラフィンB1とが、パラフィンB1が固化した際により強固に繋がるようにする。この状態で、包埋皿22の底面側から冷却し、パラフィンB1を冷却固化させる。パラフィンB1が固化したのを確認した後に、図11に示すように、包埋皿22及び包埋カセット1のカセット本体2を逆さにして、包埋皿22を取り外すことで、生体試料AをパラフィンB1で包埋した包埋ブロックBが成形され、包埋カセット1のカセット本体2の下面2dを載置面として載置、固定された状態となる。最後に、図12に示すように、カセット本体2を覆っている剥離シート6の切込部6cを引っ張ることによって、切込部6cから剥離シート6は切断され、カセット本体2から取り外される。この際、生体試料Aの置換処理及び包埋ブロックBの成形時に固着したパラフィンB1は、剥離シート6とともに取り除かれる。
このため、図13に示すように、包埋カセット1のカセット本体2を固定台として、試料台24に固定したとしても、固着したパラフィンなどによってがたついてしまうことも無く、確実に位置決めし、固定することができる。このため、カッター25によって厚さ3〜5μmという極薄の薄切片を正確かつ均一な厚さで作製することが可能となる。
以上のように、カセット本体2の外側面2c、及び上面2aと下面2dの外縁部2eを着脱可能な剥離シート6で覆っていることで、カセット本体2にパラフィンB1が固着したとしても、容易に取り除くことができる。このため、パラフィンB1を取り除く作業時間及び労力の軽減を図ることができ、生体試料Aに置換処理を施すための容器として、また、生体試料Aを包埋した包埋ブロックBの固定台として使用することができる。
なお、剥離シート6は、熱収縮性を有する材質で形成されているとしたが、これに限ることは無い。例えば、自己融着性を有する帯状の部材(テフロン(登録商標)シールテープ:UNASCO PTY LTD社製等)でも良い。このような帯状の剥離シートをカセット本体2の外側面2cに巻き付けて引っ張ることで、自己融解させて、カセット本体2の外側面2c及び上面2aと下面2dの外縁部2eを覆い、密着させることができる。さらに、弾性を有する環状の部材で、弾性的に拡径することでカセット本体2の外側面2c及び上面2aと下面2dの外縁部2eを覆い、復元して収縮することで、これらの面に密着することが可能なものでも良い。少なくとも、生体試料Aを収容凹部3に収容し、置換処理時にはカセット本体2に密着した状態を保って直接カセット本体2の外側面2c及び上面2aと下面2dの外縁部2eにパラフィンB1が付着しないようにすることができる。さらに、包埋ブロックBの固定台として使用する際に、容易に取り外すことが可能なものであれば良い。また、V字形の切込部6cが形成されているとしたが、少なくとも1箇所にV字形に限らず表面6aから裏面6bに貫通する切込部が形成されていれば、剥離シート6の取り外しをより容易にする効果を期待することができる。また、カセット本体2の底部2bにはスリット5が設けられ、また蓋4にはスリット7が設けられるものとしたが、これに限ることは無く、少なくとも一方に設けられることで、包埋カセット1に生体試料Aを収容したまま、生体試料Aを各薬剤、包埋剤などに浸漬させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1 包埋カセット
2 カセット本体
2a 上面
2b 底部
2c 外側面
2d 下面
2e 外縁部
2f 角部
3 収容凹部
4 蓋
4a 上面
4b 下面
4c 隅切り
5、7 スリット
6 剥離シート
6a 表面
6b 裏面
6c 切込部
8、9 係合凹部
10、11 係合凸部
12 識別文字記入部
2 カセット本体
2a 上面
2b 底部
2c 外側面
2d 下面
2e 外縁部
2f 角部
3 収容凹部
4 蓋
4a 上面
4b 下面
4c 隅切り
5、7 スリット
6 剥離シート
6a 表面
6b 裏面
6c 切込部
8、9 係合凹部
10、11 係合凸部
12 識別文字記入部
Claims (9)
- 試料を収容した状態で包埋剤に浸漬させて、前記試料の置換処理を行うための容器として使用されるとともに、下面を載置面として、置換処理された前記試料が包埋された包埋ブロックを載置して、該包埋ブロックの固定台として使用される包埋カセットであって、
上面に、前記試料を収容する収容凹部が開口して形成されたカセット本体と、
前記収容凹部を閉塞する蓋とを備え、
前記カセット本体の底部、または前記蓋の少なくともいずれか一方には、前記収容凹部と外部とを連通するスリットが設けられているとともに、
前記カセット本体の外側面、及び上面と下面の所定幅を有した外縁部は、着脱可能な剥離シートによって覆われていることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1に記載の包埋カセットにおいて、
前記剥離シートの少なくとも一箇所には、表面から裏面まで貫通した切込部が形成されていることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1または請求項2に記載の包埋カセットにおいて、
前記剥離シートは、耐アルコール性と耐キシレン性を有する材質で形成されていることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記剥離シートは、熱収縮性を有する環状の部材であることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記剥離シートは、自己融着性を有する帯状の部材であることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記剥離シートは、容易に弾性的に拡径し、かつ、収縮して前記カセット本体に密着可能な弾性を有する環状の部材であることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記カセット本体の前記上面には、前記収容凹部と異なる位置に複数の係合凹部が設けられるとともに、前記蓋の下面の前記係合凹部と対応する位置には、前記係合凹部に挿入され係合可能な係合凸部が突出して設けられていることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記蓋の角部の内、前記剥離シートによって覆われる前記カセット本体の前記上面の角部と対応する部分には、隅切りが形成されていることを特徴とする包埋カセット。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の包埋カセットにおいて、
前記カセット本体の上面の前記蓋及び前記剥離シートに覆われない範囲には、識別文字を記入可能な識別文字記入部が設けられていることを特徴とする包埋カセット。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006016028A JP2007198824A (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 包埋カセット |
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---|---|---|---|
JP2006016028A JP2007198824A (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 包埋カセット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007198824A true JP2007198824A (ja) | 2007-08-09 |
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ID=38453580
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006016028A Withdrawn JP2007198824A (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 包埋カセット |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007198824A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012005110A1 (ja) * | 2010-07-07 | 2012-01-12 | セイコーインスツル株式会社 | 包埋剤除去装置及び包埋剤除去方法 |
WO2013031421A1 (ja) * | 2011-08-30 | 2013-03-07 | サクラファインテックジャパン株式会社 | 包埋トレイ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0559286U (ja) * | 1992-01-22 | 1993-08-06 | 日本電信電話株式会社 | 原子炉照射用試料封入容器 |
JPH09145571A (ja) * | 1995-11-17 | 1997-06-06 | Teiji Takezaki | 生物試料の包埋カセット |
JP2000129227A (ja) * | 1998-10-29 | 2000-05-09 | Lintec Corp | 半導体ウエハ保護用粘着シートおよびその使用方法 |
JP2002097435A (ja) * | 2000-09-22 | 2002-04-02 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | 再剥離型粘着剤組成物 |
JP2006500584A (ja) * | 2002-09-26 | 2006-01-05 | バイオパス・オートメーション・エル・エル・シー | 処理、包埋、およびミクロトームによる切片化手順中に組織標本をハンドリングし保持するカセットおよび包埋アセンブリ、そのための載置装置、およびそのための方法 |
-
2006
- 2006-01-25 JP JP2006016028A patent/JP2007198824A/ja not_active Withdrawn
Patent Citations (5)
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