JP2007196023A - 外科手術用腔確保具及び外科手術用腔確保システム - Google Patents

外科手術用腔確保具及び外科手術用腔確保システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、圧排が局部的で必要最低限の僅かな程度で済むにも拘らず、十分な視野と十分な手術作業の空間が得られて低侵襲の外科手術を容易に行うことができるようになる外科手術用腔確保具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、体組織を通じて体内に挿入されて用いられる外科手術用シースであって、体内に手術作業用腔を確保する腔確保部材11と、この腔確保部材11で形成する腔に連通し、その腔を体外に連絡する軟性管状シート部材12とを備え、その軟性管状シート部材12内を通じて腔確保部材11で形成した腔に内視鏡や手術用処置具等の器具を挿入して、体組織を強く圧排することなく、簡単に外科手術を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、体内に外科手術用作業空間としての腔を確保する外科手術用腔確保具及び外科手術用腔確保システムに関する。
近年、体組織内体腔内における内視鏡による手術が多く行われる様になってきた。そのメリットは大きく体組織を切開して目的の処置部位に到達し、処置を行う、いわゆるオープンの手術と比して、小さな傷から体内の腔に挿入して処置を行うという、その低侵襲さであるといわれている。しかし、内視鏡手術の問題点の一つに体内での良好な術野の確保が難しいということが挙げられている。
例えば脊椎の椎間板ヘルニアの除去手術で通常に行う場合は、後方からの正中切開により背筋を露出し、さらに背筋を切開すると共に圧排子によって背筋を開いて腰椎を展開し、椎弓板の一部を切除して神経根の入った黄色靭帯を露出させる。そして、黄色靭帯を切開し、その下の硬膜を片側に寄せてその裏側に位置するヘルニアの膨出部位を切除する。この後方からの正中切開と圧排子による手術部位の露出を行う、従前の一般的な手術では、腰背筋を大きく切開すること、腰背筋を長時間、或いは強く圧排することにより術後において、腰痛の発症や、圧排による背筋の非回復性損傷を与える場合があるといわれている。
こういった状況下で、USP第5,439,464号明細書の様に、患者の背中から脊椎の付近に複数のカニューラを挿入し、その1本のカニューラを通じて脊椎の付近に生理食塩水を注入し、その生理食塩水の圧力で作業空間を確保し、他のカニューラを通じて作業空間内に硬性鏡や処置具を導入し、内視鏡下での外科手術を行う後方手術による手技が提案されている。
USP第5,439,464号明細書
後方からの切開により背筋を露出し、圧排子によって背筋を開いて腰椎を展開する、いわゆるオープン切開手術による通常の手技は、圧排による背筋に与えるダメージが大きく、背筋の非回復性損傷を与え、また、切開そのものによる背筋等のダメージも大きなものであった。また、複数のカニューラを利用したUSP第5,439,464号明細書において手技は傷や圧排による背筋に与えるダメージが比較的小さいが、十分な視野と十分な手術作業の空間が得られないという欠点が考えられる。
本発明は前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、圧排が局部的で必要最低限の僅かな程度で済むにも拘らず、十分な視野と十分な手術作業の空間が得られて低侵襲の外科手術を容易に行うことができるようになる外科手術用腔確保具及び外科手術用腔確保システムを提供することにある。
請求項1に係る発明は、腔のない体組織内に体外から挿入され、前記体組織内に留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記体組織内に挿入され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、を備え、前記器具挿入ガイド手段を通じて前記器具を前記手術作業用腔に挿入して外科手術を行うようにしたことを特徴とする外科手術用腔確保具である。
請求項2に係る発明は、前記管状シース部材の外側の開口周縁部は広げられ得るものであることを特徴とする請求項1に記載の外科手術用腔確保具である。
請求項3に係る発明は、腔のない体組織内に皮切を通じて体外から挿入され、前記体組織内に留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記体組織内に挿入され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、前記腔確保手段に連結され、かつ前記管状シート部材の処置具挿通用チャンネルを通じて該管状シート部材の外部に導かれ、使用中に体外に位置する把持部を有するとともに前記把持部によって前記体組織内に留置された前記腔確保手段の位置を定める操作を行う操作体と、を備えたことを特徴とする外科手術用腔確保具である。
請求項4に係る発明は、腔のない体組織内に体外から挿入されるダイレータと、前記体組織内に挿入されたダイレータを通じて前記体組織内に導入される軟性管と、前記軟性管内に挿通されて前記体組織内に導き入れて留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記軟性管内を通じて前記体組織内に挿通されて留置され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、を備えたことを特徴とする外科手術用腔確保システムである。
本発明は、腔のない体組織を強く圧排することなく、十分な視野と十分な手術作業用空間を腔のない体組織内に確保し、腔のない体組織内の手術部位を簡単かつ確実に外科手術を行える。
本発明の外科手術用腔確保具によれば、圧排が局部的で必要最低限の程度で済むにも拘らず、十分な視野と十分な手術作業の空間が得られて低侵襲の外科手術を容易に行うことができる。
[第1の実施形態]図1乃至図14を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
(構成)
図1(a)は、外科手術用腔確保システムに属する各器具を示しており、同図(a)中、1はガイド針、2は体内進入具としてのダイレータ、3はガイド手段としての軟性管、4は手術用シースである。ガイド針1は硬い素材、例えばステンレス鋼のような金属で作られ、かつX線不透過性の素材の直線ワイヤからなり、その先端には尖った穿刺部6が形成されている。
ダイレータ2は複数の管7a〜7dを積み重ねて嵌合した、いわゆる伸張アンテナ形式の多重管構造のものであり、ガイド針1に最小径の管7aを被せ、この最小径の管7aに次に太い管7bを被せ、さらに順次太い管7c,7dを、順次重ねて嵌合することによりガイド針1の穿刺位置に所定の穿刺径を確保する。最内側の管7aはガイド針1の外周に対して比較的密な状態でスライド自在に被嵌され、管7bはその管7aの外周に対して比較的密な状態でスライド自在に被嵌される。同じように、管7bには管7cが比較的密な状態でスライド自在に被嵌され、管7cには管7dが比較的密な状態でスライド自在に被嵌されるように形成されている。ダイレータ2の各管7a〜7dの先端外周縁にはいずれも面取り部8a〜8dが形成されている。
軟性管3は手術用シース4を挿入する際のガイド手段としてのものであり、これは例えば樹脂製のチューブからなり、後述するように内腔に挿入する手術用シース4の外形に応じて変形可能な程度の軟性を有している。軟性管3の内腔は前述したダイレータ2のうち最も外側の管7dの外周に対して比較的密な状態でスライド自在に被嵌される径に形成されている。軟性管3の先端外周縁には面取り部9が形成されている。
手術用シース4は腔確保具であって、生体組織内に腔を確保する腔確保手段11と、これに接続される軟性管部材としての軟性管状シート部材12とを備えてなるものである。腔確保手段11はその腔確保部材が帯状で、かつリング状に形成した硬質なリング状部材13によって構成され、そのリング状部材13は、図1(b)で示すように略長円(楕円)形状になるように形成されている。そして、リング状部材13はその内腔によって手術作業用空間としての腔を確保する腔確保部となるものである。腔確保部材の外壁面には、位置保持手段が設けられている。ここでの位置保持手段はリング状部材13の先端における短軸方向の両端に位置決め用返し部14a,14bを形成することにより構成されている。この返し部14a,14bは体組織にひっかかり生体内の所定位置に腔確保手段11を、より確実に位置決めするとともに、腔内に体組織が侵入してきて視野の妨げとなることを防止する。尚、リング状部材13は硬質なものであるが、生体内に手術用作業空間を確保できる強さを有すれば弾性的に変形可能な素材で作られてもよい。
前記リング状部材13は真円ではなく、異形状のものであるが返し部14a,14bを含めた包絡外形の沿面外周長さが軟性管3の内周長さに略等しく形成されている(図1(b)中点線を参照)。また、手術用シース4のリング状部材13の、返し部14a,14bを含めた包絡外形の沿面外周長さ(周長)が軟性管3内の周長さより僅かに小さくてもよい。少なくともリング状部材13の最大幅より軟性管3の内径が小さくなるように形成されている。
軟性管状シート部材12は例えばポリウレタン等の樹脂製の軟性シートによってテーパのある漏斗状に形成されている。軟性管状シート部材12は生体組織内においてはその組織の圧力によって容易に押し潰されるが、その内部を通じて腔確保手段11で形成した腔内まで処置具等をガイドする変形可能な器具挿入ガイド手段を構成するものである。軟性管状シート部材12の細径先端周縁部はリング状部材13の外周に被嵌して取着されている。そして、軟性管状シート部材12の他の部分は取着部分からその径以上に広がるスカート状に形成されている。そして、軟性管状シート部材12はリング状部材13の内腔に連通すると共に、術中、体外に連絡させる処置通路を形成するものである。つまり、軟性管状シート部材12はその内腔によって腔確保手段11で形成する腔に器具をガイドするための手段を構成するとともに、器具挿通用チャンネルを形成する。
さらに、軟性管状シート部材12内には操作部としての管状の操作部材17が挿通して設けられている。操作部材17の先端は腔確保手段11のリング状部材13に連結されている。ここで、管状の操作部材17はリング状部材13よりもかなり細いパイプ材から成り、先端部分はリング状部材13の短軸方向の幅に広がってリング状部材13の短軸方向の両側端部分と一体に連結されている。操作部材17の広がった先端部にはリング状部材13の長手軸方向の向きの両側部分でそれぞれ切欠き開口する処置用開口窓部18a,18bが形成されている。この開口窓部18a,18bを通じて腔確保手段11のリング状部材13の内腔と軟性管状シート部材12内が連通するようになっている。管状の操作部材17はその内腔によって腔確保手段11の内腔と直接に連通したチャンネル19を形成する。操作部材17のチャンネル19も腔確保手段11の内腔に連通して、その腔内にスコープ等の器具を挿通する器具ガイド手段を構成している。さらに、操作部材17は腔確保手段11のリング状部材13に連結され、その腔確保手段11を生体内の所定位置に、より確実に位置決めする操作手段を構成するものでもある。
(作用)
次に、人体の背中側から椎間板の領域にアクセスしてヘルニアを切除する外科手術に適用する場合の方法に沿って、この外科手術用腔確保システムの作用を説明する。図2は人体の脊椎を後方から見た解剖図であり、図3は図2中A−A線に沿って断面した解剖図である。
まず、人体の背面から見たときの処置対象の部位の領域P(図2参照)の中央を狙って、図3で示すように、皮膚からガイド針1を筋肉内に刺す。このとき、手術前において撮影されたX線画像またはCT画像等により予め求めておいた、図3での棘突起から穿刺位置までの距離A、穿刺角度B、及び椎弓板までの穿刺深さCの値に応じた穿刺を行って所定の位置に止めるようにする。この穿刺後、X線透視等によりガイド針1の先端が正しく所定の位置にあるように穿刺されているかを確認する。なお、ガイド針1の穿刺をX線透視下で行ってもよいものである。
次に、穿刺したガイド針1にダイレータ2の最初の管7aを被嵌し、そのガイド針1に沿って最初の管7aの先端を体組織の処置対象部位の領域Pまで差し込む。この後、ガイド針1を引き抜く。続いて、図4で示すように、最小径の管7aに太い管7bを被せ、さらに管7c,7dを順次重ねて嵌合することにより太い管7dの外径まで筋肉を次第に拡張させる。このとき、筋肉はその各層における繊維方向に伸ばされ、同時に繊維方向に沿って裂けて広がる。そして、ダイレータ2の使用する最も太い管7dの外周に軟性管3を被嵌し、処置対象部位の領域Pまでその軟性管3の先端を差し込んだところで、図5で示すように、ダイレータ2のみを引き抜く。すると、筋肉内に軟性管3のみが留置される。
そこで、図6で示すように、ガイド手段としての軟性管3の内腔を通じて手術用シース4を押し込む。軟性管3は変形可能であるために筋肉内に留置された状態では周囲の筋肉からの圧力である程度潰されるが、軟性管3は、軟性であるため、その内腔を通じて手術用シース4の挿入は可能である。また、図5で示すように内腔を残すようにある程度の腰の強さを持たせれば、手術用シース4の挿入がより容易である。
ところで、手術用シース4を軟性管3の内腔を通じて押し込むときには、図1(b)で示すように、手術用シース4の腔確保手段11におけるリング状部材13は変形しないが、軟性管3の方が、その返し部14a,14bを含めたリング状部材13の異形な外形状に沿って追従して変形する。従ってリング状部材13は返し部14a,14bを含めて軟性管3内に密な状態で挿入される。また、この挿入の際、軟性管状シース部材12は軟性シートからなるために折り畳まれてコンパクトになるので、その軟性管3内へ無理なく挿入できる。
次に、手術用シース4のリング状部材13を処置対象部位の領域Pに位置させたところで軟性管3のみを引き抜く。すると、図7で示すように、残った軟性管状シート部材12は周囲の筋肉に圧迫されて各層の繊維方向に裂けた間に挟まれて偏平になる。例えば図7(a)で示すB−B線に沿う部分では同図7(b)で示すようになり、図7(a)で示すC−C線に沿う部分では同図7(c)で示すようになる。返し部14a,14bは処置対象部位の領域Pの筋肉に係止するため、腔確保手段11のリング状部材13を確実に位置決めして保持する。また、リング状部材13にて確保された腔内に体組織が侵入するのを防止し、良好な視野を確保する。軟性管状シース部材12の外側の開口周縁部は体外で広げられた状態とする。
以上のように手術用シース4が筋肉内に留置されることにより腔確保手段11は処置対象部位の領域Pに位置して腔を確保し、その領域Pに手術作業用空間を形成する。軟性管状シース部材12はその作業空間を体外に連通させる処置具ガイド用チャンネルを形成する。また、操作部材17のチャンネル19も器具を作業空間内に挿通する処置具ガイド用チャンネルを形成する。この点で両チャンネルが器具ガイド手段となる。この意味での器具ガイド手段の部分はいずれも、また両者のものを合わせても腔確保手段11のリング状部材13よりもコンパクトな状態に絞り込まれている。従って、筋肉を強く圧排することはない。
図8(a)は軟性管状シース部材12を通じて各種の器具が、腔確保手段11で確保された作業空間内に挿入された状況を示している。ここでは操作部材17の挿通チャンネル19を通じて灌水装置付きのスコープ21が挿入され、偏平に潰された軟性管状シース部材12の一端からは鋭匙鉗子22が挿入され、偏平に潰された軟性管状シース部材12内の他端からは吸引パイプ23が挿入されている。そして、各器具は、図8(b)で示すように偏平に潰された軟性管状シース部材12内において一列に配列されるようになる。また、軟性管状シース部材12内の両端から挿入される器具は、図8(c)で示すように処置用開口窓部18を通じて作業空間内にそれぞれ挿入される。このとき、軟性管状シース部材12は器具の動きを抑制しないため、図8(c)の様に斜めに挿入することも容易であり、したがって、器具等の動きの自由度も高く、操作性がよい。また、軟性シース部材を用いているので、一端側から複数の器具を挿入することもできるため、複雑な作業を能率的に行うことができる。尚、作業空間内に血液等が溜まれば、吸引パイプ23により吸引排除できる。
また、術野へのアプローチ角度を変えたい、あるいは術野を少々ずらしたいというような場合は操作部材17により体組織内の腔に対する位置を変える操作してその位置に保持し直す。また、スコープ21は灌水装置付きのものを用いており、生理食塩水等を灌流しながら手術を行ってもよい。このようにすれば、出血しても術部が洗われ、また、スコープ21の先端が血で汚れないというメリットがある。図9は腔確保手段11によって確保された処置対象部位の領域Pの作業空間をスコープ21によって観察される視野を示す。点線で示す範囲が切除作業範囲である。
次に、切除手術の手順の一例を説明する。まず、図10で示すように、軟性管状シース部材12を通じてメス25を挿入し、黄色靭帯を切除する。この後、メス25を抜く。ついで、図11で示すように、ドリルまたはノミ26を挿入して上下の椎弓板を削り取る。さらに、図12で示すように、ケリソン骨鉗子27を用いて椎弓板の部分を削り取る。これにより硬膜や神経根が見える状態となる。そこで、新たに挿入した神経鉤28を用いて図13及び図14で示すように、硬膜や神経根を纏めて横に寄せながら他端側から挿入した鋭匙鉗子22で椎間板のヘルニアを切除する。また、同一端側から複数本の鉗子類を挿入して操作を行ってもよい。これらの一連の術技が終了したら手術用シース4を引き抜いて体外に出し、傷口を縫合して手術を完了する。
(効果)
この手術用シース4はリング状部材13からなる腔確保手段11と、これに連通する軟性管状シース部材12によって構成したので、まず、腔確保手段11のリング状部材13によって生体内の処置対象部位の領域のみに必要最低限の大きさの作業空間を確実に確保できる。軟性管状シース部材12は筋肉に対しての圧排作用が極めて少ないので、生体組織に対する侵襲が極めて少ない。また、必要最小の手術作業用空間に合わせて腔確保手段11を異形なものとしたので、腔確保手段11の占有領域も必要最小限となり、腔確保手段11による組織の圧排も少なくて済む。これらにより圧排による背筋に与えるダメージが小さく、背筋の非回復性損傷をかなり避けることができると共に、背筋の切開量も少なく、背筋等のダメージも少なくできる。
しかも、異形のリング状部材13を挿入ガイドする、ガイド手段としての軟性管3が変形可能であるために、リング状部材13の沿面外周長さに合わせて軟性管3の内周長さがあれば硬質のリング状部材13を挿入できる。このため、腔確保手段11のリング状部材13の最大直径に合わせてそれ以上に軟性管3の内径を定める必要がない。その分、軟性管3を細くできる。従って、軟性管3を挿入するための穿刺孔を小さくでき、この点でも組織に与えるダメージをかなり小さくできる。
また、軟性管状シース部材12は体外側に向かってテーパ状に広がる軟性チューブからなるので、その軟性管状シース部材12内に複数の器具を斜めに挿入できる。また、軟性管状シース部材12は軟性であるために、その中に入れた器具の動きの自由度が高く、操作性がよい。従って、複数の器具を同時に挿入しても各器具が互いに干渉して邪魔になることがない。また、複数の器具を同時に挿入して使用でき、使い勝手がよい。さらに、軟性管状シース部材12は腔内と連通し、腔内への器具の出し入れの際のガイドとして働くので、器具の出し入れが容易である。手術用シース4には体外に連なる操作部材17が位置保持手段として設けられており、その操作部材17を介して、腔へのアプローチ角、腔の位置などの設定や変更を行うことができる。また、操作部材17は腔に対してその中心に位置して設けられており、その操作部材17の中心にはチャンネル19が設けられており、このチャンネル19にスコープ21を挿入した場合にはそのスコープ21を中心として両側から鉗子などの器具を入れることができるため、スコープ21が左右に位置する器具との干渉が少なく操作がし易い。
また、リング状部材13には、位置保持手段として返し部14a,14bが設けられている。これが体組織にひっかかり位置決めするため、一旦、確保した腔がずれ難い。また、返し部14a,14bにより腔内に不要な体組織が侵入することを防止でき、必要な視野及び作業空間を確保しておくことができる。体内進入具としてのダイレータ2により体内に経路を作成し、軟性のシートを有する手術用シート4を、この経路内に留置する、すなわち、ダイレータ2による経路は組織を切断せずに拡張により孔を形成し、そこに、これを特に圧排しない軟性管状シース部材12をおくので、体組織への侵襲が極めて小さい。
尚、ここでの軟性管状シース部材12は弾性的に伸びる必要は特にないが、必ずしもそれに限らず、弾性的に伸びる素材を用いて作ってもよいものである。また、本システムにおいて、さらに器具挿入用通路を設けない場合には後述される図29(c)で示すようなポート64のようなものを別の位置により腔内に軟性シートを体組織を通して突き破り差し込み、これに器具を挿通するか、或いは別の経路より直接器具にて体組織を通して軟性シートを突き破り、腔内に通して手術を行ってもよい。
[第2の実施形態]
図15乃至図17を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態は前述した第1の実施形態における手術用シース4の操作部についての変形例を示すものであり、図15乃至図17はそれぞれ異なる変形例を示している。図15で示すものは腔確保手段11のリング状部材13に接続される操作部材17の位置がリング状部材13の長軸一端側に偏って配置されたものである。挿通チャンネル19の開口窓部18は腔確保手段11の内腔に連通した1つのものである。この場合、スコープ21を挿通チャンネル19に挿入するときにはその挿通チャンネル19が片寄っているため、軟性管状シート部材12を通して比較的大きな器具でも腔内に挿入できる。
図16で示すものは腔確保手段11のリング状部材13に接続される操作部材17が管状の部材ではなく板状の部材からなると共に、腔確保手段11のリング状部材13に接続される位置が前記同様にリング状部材13の一側端に偏って配置されている。板状の操作部材17は腔確保手段11の内腔側面に凹部からなる器具用ガイド面31を形成したものである。図16は体内に挿入後、操作部材17を折曲げた状態を示している。軟性管状シート部材12はリング状部材13に被嵌した先端部外周を糸32で縛り締結してある。糸32での締結部には接着剤を塗布して締結部を固めてもよい。この手術用シース4に各種器具を挿入する際には操作部材17のガイド面31に沿わせて器具33を導入する。これによれば、手術用シース4への器具33の挿入が容易で確実に導入できるようになる。
図17で示すものは腔確保手段11のリング状部材13に接続される操作部材17が管状の部材ではなく板状の部材からなり、腔確保手段11のリング状部材13に接続される位置がリング状部材13の中央に位置して配置されている。板状の操作部材17の両面には凹部からなる器具用ガイド面31がそれぞれ形成されている。ここでの手術用シース4では器具ガイド手段としての操作部材17を設けたので、前述したような軟性管状シート部材12を設けてはいない。もちろん、前述したような軟性管状シート部材12を設けてもよいものである。本実施形態においても腔確保手段に比べて操作部材17は小さく設けられており、筋肉を強く圧排することなしに、そのガイド面31により容易に器具の挿入が可能である。
[第3の実施形態]
図18ないし図20を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は前述した第1の実施形態での手術用シース4における確保手段11の変形例であり、他は第1の実施形態のものと同様である。この実施形態での確保手段11は操作部材17の先端から連続して形成され、かつ互いに向き合う2つの片状部材35a,35bからなり、一対の2つの片状部材35a,35bにより腔確保部材を構成している。片状部材35a,35bは軟性管状シート部材12の先端部内面に接合して接着されている。片状部材35a,35bの先端には返し部14a,14bが設けられている。一対の2つの片状部材35a,35bは前述したリング状部材13の形状と同程度までは少なくとも広がるように弾性的に形成されている。
この手術用シース4は、前述した第1の実施形態と同様に用いられるが、ガイド用軟性管3内に挿入する際には2つの片状部材35a,35bが図19(a)(b)で示すように狭められてその軟性管3内に挿入される。そして、処置対象部位の領域まで到達させ、ガイド用軟性管3を引き上げると、図20で示すように、2つの片状部材35a,35bは弾性的に広がり、体組織部を押し広げて処置作業空間を確保する。つまり、ここでは腔確保手段と腔拡大手段が兼ねて構成されている。
このような手術用シース4によれば、腔確保部材を体内に挿入する際、その腔確保部材を構成する片状部材35a,35bをコンパクトに狭めて差し込めるので、これ自体、及びガイド用軟性管3の径も小さくできて生体組織に対する侵襲を少なくできる。また、これを骨の手術に適応する場合には2枚の板部分が広がる様にして腔を確保する作るため、骨の表面に付いている筋肉などを、まとめてきれいに避けさせることができる。
[第4の実施形態]
図21乃至図24を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。この第4の実施形態は前述した手術用シース4を挿入案内するガイド手段の変形例を示すものである。この実施形態においての手術用シース4の挿入を案内するガイド手段40は図21で示すように1対の板状のガイド部材41a,41bを対向させて配置してなり、ガイド部材41a,41bの互いに対向する内面にはガイド面42a,42bを形成する。各ガイド面42a,42bは断面形状が円弧状であり、その包絡線が円形の筒状になる形状に形成されている。ガイド部材41a,41bは、矩形リング状の基板43に一体に連設されており、それ自身、または基板43の弾性により自然な状態では図21で示すように、そのガイド部材41a,41bの先端側部分が狭く閉じる状態になるように付勢されている。
このガイド手段40を使用する際には図22で示すように、ダイレータ2の最後の管7dに、ガイド部材41a,41bを広げて被嵌して体組織内に押込み挿入する。この後、ダイレータ2を引き抜けば、図23で示すように体組織の圧力でガイド部材41a,41bは狭く閉じる状態になる。この後、図24で示すように、前述したような手術用シース4をガイド部材41a,41bの間に差し込み、ガイド面42a,42bに沿って挿入する。すると、ガイド部材41a,41bは手術用シース4の大きさに応じて必要量、広がって体組織をよけて生体内の所定位置まで手術用シース4を案内する。その後、手術用シース4を残してガイド部材41a,41bを取り除き、前述したと同様の手術を行う。
本実施形態のガイド手段40を用いると、閉じていた2片のガイド部材41a,41bが広がって、骨の表面に付いている筋肉などの体組織を、まとめてきれいに避けさせた後、手術用シース4を挿入して留置できるため、手術用シース4を入れた時点での視野がよい。
[第5の実施形態]
図25及び図26を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態は前述した第1の実施形態においての手術用シース4の変形例を示すものである。ここでの手術用シース4は腔確保手段11は管状部材からなる操作部材17の先端に互いに向き合う1対の腔確保用片部材45a,45bを設け、その片部材45a,45bによって構成したものである。腔確保用片部材45a,45bは図25(b)で示す如く、操作部材17の径よりも幅が広い。片部材45a,45bの先端にはそれぞれ逆向きの返し部46a,46bが形成されている。さらに、各片部材45a,45bは塑性変形する素材で形成されている。尚、各片部材45a,45bの先端部は軟性管状シート部材12の先端内面に取着されている。
この実施形態の手術用シース4を使用する場合、前述した第1の実施形態と同様、生体組織内に留置した軟性管3内を通じて挿入される。そして、軟性管3の先端から腔確保用片部材45a,45bを所定の腔確保部位に位置させたところで、図26で示すように、操作部材17のチャンネル19を通じて腔拡大具47を挿入して腔確保用片部材45a,45bを広げる。広げられた片部材45a,45bは生体組織を押し開き、塑性変形してその内側に作業空間を確保する。
腔拡大具47としては左右に広がる一対の操作片49a,49bを挿入部材48の先端に設けてなり、手元操作により一対の操作片49a,49bを左右に開いて腔確保用片部材45a,45bを押し広げるようにするものである。本実施形態においては作業空間の大きさを調整できるものであり、腔確保用片部材45a,45bを必要な量だけ広げればよい。
[第6の実施形態]
図27及び図28を参照して本発明の第6の実施形態を説明する。この第6の実施形態は前述した第1の実施形態においてのダイレータ2の代わりに用いる刺通具50の例を示すものである。刺通具50は図27(a)で示すように、内部にスコープチャンネルを形成した円筒状の挿入部本体51を有してなり、挿入部本体51の先端部には外面が半球状の透明な窓部材52を設けてある。この窓部材52を通じてスコープチャンネルに挿入した図示しないスコープで前方を透視できるようになっている。窓部材52の外面には導電ワイヤからなる線状の通電部53が形成されており、これにより穿刺組織を切開する電気メスを構成している。そして、通電部53には挿入部本体51の基端部から導出する電源コード54を通じて外部の高周波電源55から高周波電流が通電されるようになっている。挿入部本体51の手元部には通電を制御するハンドスイッチ56が設けられている。スイッチ部57を挿入部本体51に対して着脱自在にしてもよい。また、通電を制御するスイッチをフットスイッチとしてもよい。
さらに、挿入部本体51の先端側周部には他の周部より細い手術用シース装着部58が形成されている。そして、この手術用シース装着部58は前述した図15で示すところの操作部材17の位置が偏心した手術用シース4のリング状部材13に差し込んで、手術用シース4を装着するようになっている。
次に、この刺通具50を用いて手術用シース4を処置対象部位の領域に導入する場合について説明する。まず、図27(b)で示すように、刺通具50の手術用シース装着部57にリング状部材13を嵌め込んで手術用シース4を装着する。そして、刺通具50の先端の露出した窓部材52を筋肉中に押し込んで穿刺していく。このとき、最初、通電部53に通電して筋肉に穿刺する。一旦、筋肉内に挿入されると、外面が半球状の透明な窓部材52によって筋繊維がその繊維の方向に裂かれて押し広げられて刺通具50を挿入することができる。しかし、刺通具50の先端が、異なる組織層に達し、筋膜等のかたい組織に当ったりして押し込むだけでは挿入できないようになったときには、スコープで筋繊維の方向を観察して確認しながら、その筋繊維の方向に通電部53の向きを合わせ、通電部53に通電して筋膜等を切開し穿刺する。すると、再び、筋繊維が裂かれて刺通具50を挿入できるようになる。このようにして異なる複数の筋肉層を通り、所定の深さまで穿刺することができる。従って、筋肉を切断せずに刺入していくために穿刺する際の筋肉のダメージが少なくて済む。また、穿刺途中で出血等が起った場合には通電部53に高周波電流を通電して高周波凝固処理をして止血を行うこともできる。また、骨の表面にこび付く靭帯組織を高周波切開してもよい。そして、手術用シース4を処置対象部位の領域まで進入留置できたところで刺通具50を引き抜く。
図28(a)はそのようにして処置対象部位の領域に手術用シース4を留置できた状態であり、リング状部材13によって処置対象部位の領域に作業空間を形成する腔を確保している。また、軟性管状シート部材12は筋肉の各層にわたり位置し、周囲の筋肉に圧迫されて各層でその繊維方向に裂けた間に挟まれて偏平になる。図28(a)で示すB−B線に沿う部分では同図(b)で示すようになり、図28(a)で示すC−C線に沿う部分では同図(c)で示すようになる。このため、筋繊維は切断された状態ではない。また、そこに、軟性のシートを置くため、肉筋肉の圧排が小さく、さらに筋肉のダメージを少なくすることができる。また、第1実施形態のダイレータ2を用いる方法に比べて何度も管を被嵌する手間がない。尚、この刺通具50を用いる場合、軟性管状シート部材12とは別に単独で組織内に進入させた後、挿入部本体51を前記ダイレータ2の代わりとしてこれに前述した軟性管3を被嵌して挿入するようにしてもよい。
[第7の実施形態]
図29乃至図32を参照して本発明の第7の実施形態を説明する。図29は第7の実施形態に係る外科手術用腔確保システムに属する各種器具を示しており、同図(a)中、61は手術用シース、62は腔拡大具、63は内針、64はポート、65はポートガイドである。
手術用シース61は等径のパイプ材66からなり、これの先端部には2つ割りにして互いに向き合う一対の腔確保用片67a,67bを設け、その片67a,67bによって、腔確保手段68を構成したものである。一対の腔確保用片67a,67bは図29で示すように根元部分の塑性変形により開くことができるようになっている。パイプ材66の内腔はスコープ69等を挿入するチャンネルを形成する。パイプ材66の基端部には小径段部からなるポートガイド65の部材を嵌込むための嵌込み部71が形成されている。
腔拡大具62は腔確保手段68のチャンネルに挿入可能なものであり、その先端には左右に広がる一対の操作片72a,72bが設けられている。そして、手元操作により一対の操作片72a,72bを左右に開いて腔確保用片67a,67bを押し広げることができるようになっている。尚、腔確保用片の数はこれに限らない。
内針63は腔確保手段68のチャンネルに密に挿入できると共に、先端の穿刺部73を、閉じた腔確保手段68の先端から露出するように突き出して装着される。この内針63はパイプ状のポート64にも同様に挿入して装着することができるようになっている。
ポートガイド65は一対の挟み部材75a,75bを有してなり、一対の挟み部材75a,75bは枢着されて開閉自在な構成となっている。挟み部材75a,75bの内面には中央の基準ガイド穴76aが設けられ、さらに、基準ガイド穴76aの両側位置には1ガイド穴76bと第2ガイド穴76cが形成されている。そして、一対の挟み部材75a,75bを閉じることにより形成される基準ガイド穴76a、第1ガイド穴76b、第2ガイド穴76cをそれぞれ通じて手術用シース61を挟み、あるいはポート64等をガイドすることができるようになっている。基準ガイド穴76aはポートガイド65に対して垂直に配設されており、一方、第1ガイド穴76bと第2ガイド穴76cはその中心軸が基準ガイド穴76aの中心軸延長上の一点で交差する向きに傾斜している。また、この点及び各ガイド穴76a,76b,76cとを結ぶ延長線は腔確手段68内を通過する向きに形成されている。
次に、この実施形態に係る外科手術用腔確保システムの作用を説明する。まず、手術用シース61を体組織中に穿刺する場合、これに内針63を挿入して、閉じた腔確保手段68の先端から穿刺部73を突き出し、筋肉等の体組織に穿刺する。腔確保手段68の部分が所定の処置対象部位の領域に達したところで内針63を引き抜き、代わりに腔拡大具62を差し込む。そして、手元操作により腔拡大具62の一対の操作片72a,72bを左右に開いて、図30で示すように、腔確保用片67a,67bを押し広げ、これにより処置作業空間を形成する腔を確保する。
ついで、手術用シース61のポート用嵌込み部71に、ポートガイド65の基準ガイド穴76aを位置させて挟み込み、手術用シース61にポートガイド65を位置決めする。このとき、ポートガイド65の第1ガイド穴76bと第2ガイド穴76cの中心延長線が手術用シース61の腔確保用片67a,67bで形成した腔内中央に位置する。
この状態で、ポートガイド65の第1ガイド穴76bと第2ガイド穴76cを利用してポート64を設置する場合について説明する。図31の左側で示すように、ポート64内に内針63を挿入した装着状態のポート64を第1ガイド穴76bを案内として組織中に穿刺する。すると、図31の左側で示すように、内針63は手術用シース61で形成された腔内に位置する。このように、ポートガイド65の基準ガイド穴76a、第1ガイド穴76b、及び第2ガイド穴76cの中心延長線がいずれも手術用シース61内に形成した腔内に位置する。その後、内針63等のガイド部材を取り外し、各ポート64内を通じて器具を挿入して手術を行う。従って、図32で示すように、スコープ69、鋭匙鉗子77または他の処置器具78などの多くの器具を個別的に刺入して、いずれのものも手術用シース61で確保形成された腔内に位置させることができる。また、各器具は多孔式で個別的に刺入されるので各刺入孔がそれぞれ小さくなり、組織に対する傷そのものが小さくなり、また、それにより圧排も少なくて済み、ダメージが小さい。さらに器具類も離れた位置より挿入されるため、器具の干渉は少なくなり、操作性が向上する。
本実施形態の手術用シース61は刺通孔は小さく、内部で大きく処置腔を形成するため、侵襲は最低限で良好な術野を得ることができる。また、本システムにおいては図18で示ししたように弾性によって広がるような手術用シースを用いることも可能である。
尚、手術用シース61やポート64を穿刺する場合、前述した第1の実施形態で述べたように、内針またはダイレータを用いて予め刺入した軟性管3のようなガイド手段を用いて組織内に導入するようにしてもよい。また、ポートガイド65のガイド孔の数は3本に限らず、2本または4本以上であってもよい。
[第8の実施形態]
図33乃至図44を参照して本発明の第8の実施形態を説明する。図33は外科手術用腔確保システムに属する手術用シース80を示す。手術用シース80は腔確保手段81と、これに接続される器具ガイド手段としての軟性管状シート部材82とを備えてなる。腔確保手段81はメッシュ構造の帯状部材からなるリング状部材83によって塑性変形自在に形成されている。リング状部材83のメッシュ構造は図34ないし図36で示すようなものが考えられる。図34で示すものは、千鳥状に配置した複数のスリット状の切欠き84を形成した切欠き構造のものであり、塑性変形により同図34(a)での収縮した状態と同図34(b)での伸びた状態とのいずれの姿勢でも保持できるようになっている。図35で示すものは、線材85を編んでなり、同じく塑性変形により同図35(a)での収縮した状態と同図35(b)での伸びた状態とのいずれの姿勢でも保持できるようになっている。図36で示すものは線材86を組み合わせて編むものであり、これは線材86の交差部に互いに掛け合う係止部87を形成し、同図36(a)で示すように係止部87を外した状態では収縮し、同図36(b)で示すように係止部87を互いに掛け合わせた状態では伸びる。線材86自体は塑性変形するものではないが、全体として各状態の姿勢を保持できるようになっている。また、図示はしないが、腔確保手段81が板状部材よりなる円又は楕円形状の1部を折り畳んだ部材を有するもの、或いは略リング状部材の一部にメッシュ構造を設けたものでもよい。
器具ガイド手段としての軟性管状シート部材82は前述した第1の実施形態での軟性管状シート部材12と同様なものであり、同様に使用されるものである。軟性管状シート部材82の先端細径部が腔確保手段81のリング状部材83に接続され、軟性管状シート部材82の内腔部はリング状部材83の内腔に連通されている。軟性管状シート部材82の先端部にはリング状部材83に隣接して複数の器具導入孔88が形成されている。そして、器具導入孔88を通じてスコープ91やポート92等の器具を腔確保手段81の内腔に導入できるようになっている。
図37は外科手術用腔確保システムに属する他の器具の腔拡大具93を示すものである。腔拡大具93は管路を形成した挿入用管94を有し、挿入用管94の先端部には手術用シース80を装着するための装着部を兼ねたバルーン95が設けられている。バルーン95は膨脹させると、同図37(a)で示す状態になり、収縮させると、同図37(b)で示す状態になる。同図37(c)は手術用シース80を腔拡大具93に装着した状態を示す。
そして、手術用シース80を使用する場合には例えば前述した第1の実施形態での軟性管3を体組織内に挿入した後、その軟性管3をガイドとして挿入する。手術用シース80を挿入する準備として、バルーン95を収縮させた腔拡大具93を手術用シース80内に差し込み、収縮させたバルーン95の部分を、同じく収縮させたリング状部材83に嵌め込み、図37(c)で示す状態にする。このように腔拡大具93に装着した手術用シース80を軟性管3内に挿入し、手術用シース80の腔確保手段81の部分を所定の位置まで差し込む。所定の位置に位置させたところで、軟性管3を抜き取る。すると、図38(a)で示すように、体組織に手術用シース80が留置される。そこで、腔拡大具93の管路を通じてバルーン95に流体を送り込み、バルーン95を膨脹させると、図38(b)で示すように、腔確保手段81の部分が他の部分より大きく拡張され、リング状部材83の内側に腔を確保して作業用空間を形成する。この後、バルーン95を収縮させて手術用シース80から腔拡大具93を引き抜く。そして、手術用シース80を利用して前述した第1の実施形態で説明したと同様の手技を行うことができる。また、このとき、拡張したメッシュとその隙間によりその外側に凹凸が形成され、これが位置保持(決め)手段を形成する。これにより体組織がその凹凸部にかみ込み、手術用シース80を体組織に固定できる。
この実施形態の手術用シース80を利用して第7の実施形態で説明したような多孔式のシステムでの処置を行うことができる。すなわち、この場合には例えば図39で示すようなポート92を用いる。このポート92は先端に返し部97が設けられている。ポート92は第7の実施形態での場合と同様にダイレータや内針を用いて組織に穿刺され、その先端を先に挿入留置された手術用シース80の器具導入孔88に差し込ませて接続し、図40で示すように器具導入孔88に返し部97を係止する。これによりポート92は手術用シース80の腔確保手段81で確保した腔の作業用空間に連通する。従って、このポート92を通じて手術用シース80で確保した作業用空間に器具を導入できる。
図41はこの状況を示すものである。ポート92からはスコープ91や処置具96を導入し、手術用シース80を通じてはこれが軟性のポートであるので、ポート92を通らない特殊形状の器具99を導入できると共に、手技上傾ける必要のある器具でも、その動きが制限されないために操作性が向上する。手技終了後、手術用シース80を回収する。これの方法は手術用シース80に軟性管を被嵌して挿入し、この軟性管内を通じて引き出すこともできる。また、その手術用シース80の外面に沿って鉗子を挿入し、手術用シース80の膨脹したリング状部材83を押し潰してから引き抜いてもよい。
また、小さな刺入で済む複数のポート92が加わり、これに拡大する腔確保具を用いることで、器具の干渉も少なく、操作性がよく、十分な視野が得られる低侵襲な手術が可能である。さらに手術用シースとして軟性のシートを用いているため、体組織への圧排が極力少なくできて低侵襲なものとなる。加えて、軟性の手術用シース80にはポート92を通らない特殊形状の器具を導入でき、また、器具の動きが制限されず、操作性をさらに向上する。
また、ポート92がその係止部により手術用シース80に係止して腔内にチャンネルを空間的に完全に連結させることができる。つまり、ポート92と腔内を完全に連結してあり、体組織は侵入しないため、良好な術野を維持できる。また、器具を必ず、腔内に導き入れることができる。さらに、腔確保手段がメッシュ構造を有する部材を用いており、このため、広がったメッシュ部分がその全周で体組織を押え、確実に腔を形成し、より良い視野が作られる。メッシュ部分の外面には凹凸部がメッシュ構造により形成されているため、これに体組織が入り込み、その結果、腔確保手段は位置決めされているため、腔確保手段が手術作業中に外れることがない。
尚、ポート92は手術用シース80の器具導入孔88に差し込んで接続するようにしたが、図42で示すように、腔確保手段81のリング状部材83の網目の孔部を利用してこれを器具導入孔として使用してもよい。また、ポート92の先端部にねじ部98を形成し、図43で示すように、リング状部材83の網目の孔部等にねじ部98をねじ込んで係着するようにしてもよい。図44はこの実施形態での手術用シース80においての軟性管状シート部材82を省略し、腔確保手段81のリング状部材83のみとしたものである。この場合、鉗子で潰して回収してもよいが、リング状部材83を生体吸収性素材で形成すれば回収することなく組織内に留置しておくこともできる。尚、前述した各実施形態の手術用シースの軟性管状部材は内部が複数のチャンネルに仕切られていて、そのチャンネルを通じて器具を挿通したり、血液や生理食塩水等の流体を供給または排出を行うようにしてもよいものである。以上の説明に関しては椎間板摘出術を中心として説明してきたが、体組織内、体腔内、それ以外についてのいかなる手術、診断等にも適用可能であることはいうまでもない。
[第9の実施形態]
図45乃至図51を参照して、本発明の第9の実施形態を説明する。この第9の実施形態に係る外科手術用腔確保システムは前述した第2の実施形態における図16で示した手術用シース4の一部を変形し、さらに、その手術用シース4を体組織内に押し込むための挿入手段であるプッシャー100を付加したものである。
この実施形態に係る手術用シース4は前述した第2の実施形態のものに比べて次の点で相違する。まず、第1の相違点は操作部材17の上端部に、確保された腔の外側に向けて屈曲して形成される把持部101を丸棒状に形成したものである。ここでは把持部101を右側に屈曲してあるが、他の器具や使用状況等に応じて、確保された腔の外側の他の向きに向けて屈曲して設けてもよい。また、前記軟性管状シート部材12は器具の挿入をガイドする器具挿入ガイド手段を構成するが、この軟性管状シート部材12内に位置する操作部材17の部分にはその軟性管状シート部材12内に挿入する器具を案内するためのガイド面31が形成されている。第2の相違点は前記軟性管状シート部材12の先端部分にX線不透過性マーキング102を設けたものである。これはX線透視等により、その軟性管状シート部材12の留置位置を確認する際の目印となる。また、前記軟性管状シート部材12は非透明であってもよいが、透明である方が、周囲の状況を目視できるので望ましい。
第3の相違点は腔確保手段11のリング状部材13の先端縁を部分的に適宜延長することによりそのリング状部材13の先端縁を、手術用腔を確保する所の周辺に位置する骨の形態に合わせた形に形成して、腔確保部分の周辺の骨部に当たりその骨に係合する係合手段(係合部)103を形成している。本実施形態では椎弓間を含んだ骨形状にほぼ適合する。具体的には図46に示すように腔確保手段11の先端形状は、下側に位置する椎弓部に当たる位置に合致する一片部が突出しており、棘突起側の部分は、斜めにカットされている。また、上側の椎弓部に当たる部位は凹んだ形状になっている。尚、この図46においては、軟性管状シート部材12を省略している。前記リング状部材13はダイレータ2の使用する最大外径に適合する内径を有する。
前記プッシャー100はダイレータ2の使用する管7a〜7dの最大径のものの外径に適合する内径を有した筒状部材からなり、その内径がリング状部材13と同じ内径に形成されている。また、プッシャー100の外径は、リング状部材13の外径よりも小さい。プッシャー100の側面部には図47で示すようにその軸方向に沿って途中部から内端縁に開口する位置にわたり形成された切欠き部105が形成されている。この切欠き部105は手術用シース4の操作部材17の直線部分をはみ出さないように密に嵌め込んで、その操作部材17を係合させるようにしたものであり、手術用シース4との係合手段を構成している。また、プッシャー100の下端は手術用シース4のリング状部材13の上端に密に押し当たる押当部106になっている。
また、前記プッシャー100の長さは下端の押当部106とリング状部材13の上端が突き当たる状態で、両者をダイレータ2に被嵌したとき、ダイレータ2の最大外径の管7dの後端より僅かに長く突き出る長さに形成され、かつダイレータ2の先端から係合手段103が突き出してその係合手段103が骨部に当たりその骨部に係合したときには、ダイレータ2の管7dの後端とプッシャー100の後端が一致するような長さに設定されている。つまり、ダイレータ2の管7dの後端とプッシャー100の後端が一致することにより、術者は手術用シース4のリング状部材13における係合手段103が所定の係合位置に係合したことを知ることができる。つまり、係合手段103が目的部位の骨形状に適合する位置及び深さで所定の係合状態が得られたことを示すと共にその深さの表示手段を構成する。
次に、この手術用シース4及びプッシャー100を含むシステムを用いて背中側からアクセスしてヘルニアを切除する外科手術を行う場合について説明する。この場合、前述した第1の実施形態において説明した場合と略同様の手順で行われることが多いので前述した方法と異なる点を中心に以下に述べる。
ダイレータ2の最大径の管7dを体組織内に挿入した後、軟性管3を使用せずにプッシャー100を用いて処置対象部位の領域Pまで手術用シース4を押し込む。つまり、手術用シース4の軟性管状シート部材12内にプッシャー100を挿入し、プッシャー100の切欠き部105に手術用シース4の操作部材17の直線部分を嵌め込んで、図47(c)で示す状態に手術用シース4の操作部材17とプッシャー100を組み付ける。そして図48で示す如く、この組み付けた両者を、ダイレータ2の最大径の管7dの外周に被嵌し、摺動させながら腔確保手段11の先端が処置対象部位の領域に達するまで押し込む。
手術用シース4を挿入するとき、プッシャー100の外径はリング状部材13の外径よりも小さいため、プッシャー100によって軟性管状シート部材12を強く擦ることがないので軟性管状シート部材12は破れ難い。
ここで、腔確保手段11のリング状部材13における係合手段103が所定の係合位置において骨部分に、まだ係合していないときには図50(a)で示す如く、ダイレータ2の管7dの後端縁が、プッシャー100の後端開口部内に入り込んでおり、術者はこれを見て、まだ係合状態にないことを知ることができる。この場合には操作部材17の把持部101を持って、図49(a)で示す矢印で示す如く、腔確保手段11のリング状部材13の軸を中心にして回転させたり、リング状部材13をずらしたりなどして、最も深い位置まで押し込み、係合手段103が処置対象部位の骨形状に適合して係合する位置を求める。つまり、操作部材17の把持部101を持って、係合手段103が目的部位の骨形状に適合する位置及び深さを探す。つまり、位置検出手段を構成している。骨と係合する適合位置においては図49(b)で示す如く、係合手段103の突部が椎弓間内に入り込むと同時に、腔確保手段11のリング状部材13の先端全周縁が周辺の骨部に当たり隙間がないようにほぼ全面的に接触して骨部と係合する。
すると、ダイレータ2の管7dの後端とプッシャー100の後端が図50(b)で示す如く一致する。このことにより、術者は手術用シース4のリング状部材13における係合手段103が所定の位置に係合し、その深さになったことを知ることができる。この後、プッシャー100を引き抜く。
腔確保手段11の係合手段103が骨部に当たり係合すると共に全面的に接触して隙間がないように位置決めされるため、一旦、確保した手術用腔がずれることがない。また、ほぼ全周にわたり、リング状部材13が周辺骨部に係合するため、リング状部材13の周辺にある体組織が手術用腔内に侵入することを効果的に防止し、より良好な手術に必要な視野空間及び作業空間を確保することができる。
この後、手術用シース4の処置具挿通用チャンネル107を通じて、処置空間内に各種器具を導入して前述したようなヘルニア切除手術を行う。図51はその手術用シース4の挿通用チャンネル107内にスコープ21及び手術用器具としての鋭匙鉗子22を挿入して手術を行っている状況の一例である。
尚、ここではガイド手段の軟性管3を使用しない代わりにプッシャー100を用いたが、軟性管3を使用してその軟性管3内を通じて手術用シース4及びプッシャー100を挿入するようにしてもよい。
[第10の実施形態]
図52を参照して、本発明の第10の実施形態を説明する。これは前記第9の実施形態におけるダイレータの変形例を示す。これはダイレータ2の管7dの後端側長さがプッシャー100の後端位置より十分に長く延長し、図52(a)で示す如く、7dの後端延長部108の周面に位置表示用マーキンング部109を設けたものであり、図52(b)で示す如く、マーキンング部109にプッシャー100の後端100aの位置が合ったとき、腔確保手段11の係合手段103が、処置対象部位の骨形状に係合した適切な挿入位置であることを表示するようになっている。
[第11の実施形態]
図53を参照して、本発明の第11の実施形態を説明する。この第11の実施形態は前記第9、10の実施形態におけるプッシャー100の変形例である。ここでのプッシャー100はその上端から側方に突き出すアーム部を形成し、このアーム部を把持操作部111とする。この把持操作部111の先端部における下面部分には溝部112が形成され、この溝部112により手術用シース4の操作部材17、ここでは把持部101を嵌め込んで係合保持する係着手段を構成している。プッシャー100の上端にはダイレータ2の管7dが通る孔が開口しており、この開口端が前述した如くのダイレータ2の管7dとの関係を示す表示手段の指標となる。
この実施形態のプッシャー100を使用する場合、図53(b)で示す如く、手術用シース4の操作部材17をプッシャー100に係合して両者を連結し、プッシャー100の把持操作部111を手に持ち、ダイレータ2の管に被せて手術用シース4を体組織内に押し込み、進入させるようにする。このとき、プッシャー100に把持操作部111と手術用シース4との係着手段である溝部112を設けたことにより、手術用シース4の操作部材17には力が集中的にかからないため、腔確保具を体内へ挿入するときや処置対象部位の骨形状との係合操作時に手術用シース4の操作部材17や腔確保手段11のリング状部材13に変形や破損が生じない。
[第12の実施形態]
図54及び図55を参照して、本発明の第12の実施形態を説明する。この実施形態では前述した手術用シース4の挿通用チャンネル107の他に、器具挿入用として筒状部材からなるポート121を設けるシステムの例である。このシステムは、ガイド針1とダイレータ2とポート121とで構成される。前記ポート121の内腔は前記ダイレータ2の最大径のものの外周部分に被せることが可能であると共に、内視鏡やその他の各種処置器具が挿通可能な内径寸法になっている。尚、先端部は斜めにカットされた形状に形成されている。
ポート121を設置する場合には次のようにして行われる。つまり、前述した如くの方法で、手術用シース4を設置した後、ポート121を必要とする場合、まず、図54で示す如く、手術用シース4の留置部位の側方から体組織にガイド針1を斜めに、リング状部材13を避けた直上部位に向けて差し込み、そのガイド針1の先端を軟性管状シート部材12に突き刺す。尚、軟性管状シート部材12はガイド針1の刺通により破れ得る材質である。
このとき、軟性管状シート部材12内には内視鏡21が挿入されたままの状態であり、この状態でガイド針1を前記軟性管状シート部材12の外側より壁に穿刺する。ガイド針1をX線透視下で刺入する場合、それが適切な位置にあることを確認するために、そのガイド針1にX線不透過性マーキンング102を付設すると良い。また、ガイド針1をMRI(核磁気共鳴像)による観察しながら刺入してもよい。後者の場合、ガイド針1はMRI下で観察できる素材を用いる。
ついで、ガイド針1にダイレータ2を被嵌して、穿刺孔を軟性管状シート部材12の壁を含めて順次拡大する。ダイレータ2によりポート121が通せるまで穿刺孔を拡張した後、ダイレータ2の最後の管にポート121を被せ、ポート121を伸縮自在な軟性管状シート部材12内まで導き入れ、この後、ダイレータ2を引き抜くと、図55で示す如く、ポート121の先端部が軟性管状シート部材12に貫通して保持され、ポート121を留置することができる。この際、軟性管状シート部材12は伸縮自在なゴム性状を呈するものであり、それ自身が伸びるため、実際の穿刺孔は小さい。よって、挿入されたポート121の先端は、軟性管状シート部材12の弾性力によって締め付けられて連結固定された状態になる。このことにより、体外より挿入されたポート121は腔確保手段11によって確保された腔に連通する。また、前記ポート121と手術用シース4とが、軟性管状シート部材12の弾性力により連結固定されるため、その隙間から筋肉や血液等がはみ出して、観察視野や術部を妨げることが防止される。また、ポート121と軟性管状シート部材12とは連結固定されているので、トラカールは簡単に抜けたりせず、腔内への器具の挿入がスムーズに行われる。
尚、このガイド針1及びダイレータ2の代わりに、後述する図72で示すような、先端が円錘形状で壁を突き破る先端手段と突き破った壁を開大する周部手段を備えた針状ロッドの内針またはガイド針を用いてもよい。
そして、この留置したポート121を通じて、確保手段11で確保した処置対象部位の腔領域内に手術用器具、例えばスコープ21や鋭匙鉗子22等を挿入できる。尚、図55で示す如く、ポート121は複数本、挿通するようにしてもよい。この場合のポート121はトラカールの外套管であってもよい。
[第13の実施形態]
図56及び図57を参照して、本発明の第13の実施形態を説明する。この実施形態は腔確保具の他の例を示すものである。この腔確保具130は器具挿入ガイド手段が、前述したような軟性管状シート部材ではなく、腔確保手段のリング状部材131の上端から同径的に連設した一対のアーム部132a,132bによって構成した。つまり、各アーム部132a,132bの両内面をガイド面として手術用器具を誘導する器具挿入ガイド手段を構成するものである。各アーム部132a,132bは互いに向き合っており、その内面はリング状部材131の内面から同軸的に連続する周面の一部を形成している。各アーム部132a,132bの幅は比較的狭く、図56(a)(b)の矢印で示す如く、対向する方向へ接離することができるように弾性的変形可能に形成されている。このため、リング状部材131、及び各アーム部132a,132bを一体的に形成する素材としては金属や樹脂等でよいが、リング状部材131の部分は比較的硬質である一方、各アーム部132a,132bが弾性を持てるようなものが選ばれるべきである。
また、前述した第9の実施形態の場合と同様、腔確保手段のリング状部材131にはこれによって手術用空間を確保する領域の周辺に位置する骨の形態に合わせた形の係合部132が形成され、この係合部132はその腔確保部分の周辺の骨部に対してほぼ密に接してその骨部に係合する係合手段を形成している。
さらに、第9の実施形態の場合と同様、プッシャー133が設けられている。この実施形態のプッシャー133は前記アーム部132a,132bを嵌め込む一対の係合部用切欠き孔134a,134bが形成されている。そして、図56(d)で示す如く、プッシャー133の各係合部用切欠き孔134a,134bにそれぞれ対応するアーム部132a,132bを嵌め込んで係合し、腔確保具130をプッシャー133に組み付ける。プッシャー133の下端135はリング状部材131の上端に突き当たって係合している。
この状態で、第9の実施形態の場合と同様、体組織に形成した挿入孔をダイレータで拡張して、ダイレータの最後の管に前記リング状部材131とプッシャー133を被嵌して、一緒に体組織に挿入する。リング状部材131の係合部132が被係合位置に係合したところで、ダイレータ、及びプッシャー133を引き抜く。すると、アーム部132a,132bは体組織の圧力で変形して潰れ、図57(a)で示す如く、偏平になる。このため、体組織を圧排せず、体組織にダメージを与えない。
また、スコープや鉗子等の手術用器具136を挿入する場合には図57(b)で示す如く、そのアーム部132a,132bの間に入れ、アーム部132a,132bの内面をガイドとして、手術用器具136を手術用腔部内に導入する。このとき、アーム部132a,132bは導入する手術用器具136の大きさに応じて最低限で広がり必要以上に体組織を圧排しないため、体組織のダメージは少ない。
尚、この実施形態ではアーム部132a,132bが2本であったが、本発明はこれに限らず、複数のもの、あるいは互いに向き合う複数組みのものを設けてもよいものである。
[第14の実施形態]
図58を参照して、本発明の第14の実施形態を説明する。この実施形態は腔確保具の他の例を示すものである。この実施形態の腔確保具は、軟性管状シート部材12を腔確保手段11のリング状部材13に対して着脱可能なように装着したものである。これ以外は前述した第9の実施形態のものと同様であるが、軟性管状シート部材12を有した他の実施形態のものと組み合わせることも可能である。
図58(a)で示す如く、リング状部材13の外周にその全周にわたるリング状の係合溝137を設ける。また、図58(b)で示す如く、軟性管状シート部材12の嵌合内面部には全周にわたって凸形状138を形成する。前記凸形状138における内径はリング状部材13の外径よりも小さく構成されている。軟性管状シート部材12とリング状部材13との装着結合は、図58(c)(d)で示す如く、リング状部材13の係合溝137に軟性管状シート部材12の凸形状138を嵌め込むことにより係合し、リング状部材13に軟性管状シート部材12を取り付ける。凸形状138は係合溝137に対して硬めの係合でもよいが、保持強度が保てる範囲で、比較的大きな弾性を持たせることが望ましい。凸形状138は通常以上の力で抜け方向に力を加えることにより係合溝137から外れるので、これにより軟性管状シート部材12を容易に取り外すことができる。
これによれば、腔確保部としてのリング状部材13と器具挿入ガイド手段としての軟性管状シート部材12が分離できるので、例えば軟性管状シート部材12にポート等を差し込む場合等、軟性管状シート部材12が使用により損傷してしまう場合にはその軟性管状シート部材12を使い捨て方式とし、他のリング状部材13等の部材については再利用することができて経済的なシステムを構築できる。
[第15の実施形態]
図59を参照して、本発明の第15の実施形態を説明する。この実施形態は、腔確保具の軟性管状シート部材12をメッシュ構造の変形可能なシートから構成したものである。その他は前述した第9の実施形態のものと同様である。メッシュ構造としては鋼線の編み込み構造のものが考えられる。前記編み込み構造の網目が、例えば前述した第12の実施形態で説明したポート121の外径よりも小さな構成のものとする。このように、軟性管状シート部材12を変形可能なメッシュ構造とすれば、前述した第12の実施形態のような、ガイド針1で軟性管状シート部材12を穿刺し、孔を開けずとも、前記網目を利用すれば、前記ガイド用ポート121の先端を簡単に差し込むだけで連結部139を作ることができる(図59(c)を参照)。また、ガイド用ポート121の先端の大きさ形状に合わせて網目が広がり密に係合させることができる。また、シート部材は変形可能なメッシュ構造であるため、筋肉の圧により潰れ、筋肉を圧排することがない。[第16の実施形態]図60を参照して、本発明の第16の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具は、前述した第9の実施形態のものと次の点が異なる。まず、操作部材17はその上端部から左側へ屈曲した把持部101を形成している。また、係合手段103の舌片状の部分104には組織剥離用圧排鈎(箆)141を形成している。この圧排鈎141は、係合手段103を嵌め込み係合しようとする骨部に付着した筋肉等の体組織を剥がすことができる。圧排鈎141は刃付きへら状のものでよく、また、前記舌片状部分104に一体的に形成しても別部材に設けてもよいものである。圧排鈎141は前記操作部材17とは肉厚部142を介して一体的に連設されており、操作部材17からの操作力を圧排鈎141に直接的に伝達できるようになっている。これによれば骨部から筋肉等の体組織を剥がし、骨部に係合手段103を密着させて嵌め込むことができる。
[第17の実施形態]
図61を参照して、本発明の第17の実施形態を説明する。この実施形態は前述した第12の実施形態におけるポート121と軟性管状シート部材12を連結する手段の変形例を示すものである。軟性管状シート部材12にはポート連結部位に位置して1つ又は複数のポート挿通孔145が形成されている。ポート挿通孔145に先端を差し込むポート121の先端部には凹凸、例えば太径の鍔(引掛り部)146を形成した。ポート挿通孔145の径は、鍔146を除くポート121の外径に比べて同じか小さい。ポート121はガイド針やダイレータを用いて導入され、その先端がポート挿通孔145の周縁部を弾性的に広げてそのポート挿通孔145に差し込まれる。ポート挿通孔145に差し込まれると、図61(d)で示す如く、太径の鍔146が、ポート挿通孔145の内側縁部に引っ掛り、軟性管状シート部材12からのポート121の外れをより効果的に防止する。
[第18の実施形態]
図62を参照して本発明の第18の実施形態を説明する。この実施形態は前述した第12の実施形態において説明した挿入手段、つまりプッシャー100の変形例であり、この実施形態でのプッシャー147は前記プッシャー100と同一形状のプッシャー部材148の内部にダイレータで使用する管と同様の円筒部材149を内挿して両者を一体的に形成したものである。円筒部材149は図62(b)で示す如く、プッシャー部材148の押当部106よりも先端側に突き出しており、この円筒部材149の先端部外周には図62(b)で示す如く、手術用シース4のリング状部材13が密に被嵌するようになっている。
そこで、ダイレータで穿刺孔を開拡する最後において、円筒部材149の先端部にリング状部材13を被嵌して手術用シース4を装着した状態で、プッシャー147を、ダイレータの最後の管の外周に被嵌して体組織内に差し込まれる。この挿入手段によれば、ダイレータの機能とプッシャーの機能が同時に発揮させることができる。また、プッシャー部材148が円筒部材149と一体になり、補強されるため、プッシャー部材148には操作部材係合手段用切欠き部105を設けたが、このプッシャー部材148が単独の場合、その形状により変形し易いが、この実施形態のものではそのプッシャー部材148の異常な変形が防止されると共に、材質設計の自由度が増す。尚、この挿入手段の部材は比較的軟性なものでもよい。
[第19の実施形態]
図63を参照して、本発明の第19の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具はこれまで述べてきた実施形態とは適用対象(骨)部位が異なる。腔確保具のリング状部材(腔確保部)13の先端縁に形成した係合手段103の形状は処置対象椎間板側壁に到達したとき、その周辺の骨の部分に係合するような形状となっている。具体的には図63(b)〜(d)で示す如く椎間板を含む椎体側面骨形状に適合する形状になっている。このアクセス方法は、例えば第9の実施形態のアクセス経路よりもやや腹側となる。これによれば、図63(a)で示す如く、側方向に飛び出した椎間板ヘルニアの切除等に使用することができる。その他は、例えば前述した第9の実施形態のものと同様である。
[第20の実施形態]
図64を参照して本発明の第20の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具は前述した第9の実施形態においての腔確保手段11のリング状部材13の変形例を示すものである。ここでのリング状部材13は帯状(板状)部材151を丸めて略円筒形に形成してなり、その帯状部材151の一端は操作部材17の下端に形成したへら状の圧排部152の溝153内に取着固定されている。帯状部材151は最初、図64(a)(b)(c)で示す如く、小径な渦巻き状態に巻かれているが、図64(b)で示す如く、例えば板状の操作具155を用いて移動端154を押し、図64(d)で示す如く、渦巻き状態に巻かれた帯状部材151を広げ、通常の使用が行われる径の円筒状に開拡した状態にすることができるようになっている。
従って、体内の処置対象部位まで挿入する際には帯状部材151を小径にした状態で挿入し、処置対象領域に達したところで帯状部材151を開拡させる。これによれば、腔確保具の挿入時の体組織に対するダメージを軽減し、一方、処置作業空間領域を広げることができる。
また、前記圧排部152と帯状部材151により所定の処置対象部位においてその周辺の骨部に係合する係合手段156を形成している。この係合手段156の形状は図64(a)で示す如く左右対称であり、このため、右左のむきが変わらず、いずれのものにも兼用することができる。
[第21の実施形態]
図65及び図66を参照して、本発明の第21の実施形態を説明する。この実施形態は前述した第9の実施形態における手術用シース(腔確保具)4の腔確保手段11におけるリング状部材13の形状が真円形ではなく、長円形状に形成した点が特徴であり、その他は前述した第9の実施形態のものと略同様である。リング状部材13は図66で示す如く、楕円形状に形成されており、そのリング状部材13の下端縁を、手術用腔を確保する所の周辺に位置する骨の形態に合わせた形に形成して、腔確保部分の周辺の骨部に当たり、その骨に係合する係合手段103を形成している。先端形状が楕円形状であるため、同じ周長をもつ円形状のものより椎弓間を含む処置対象部位の上下或いは左右方向の視野が広く得られる。
[第22の実施形態]
図67を参照して、本発明の第22の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具160は図67(d)で示す如く、操作部を兼ねたシース部162の先端に腔確保手段として、長さの異なる一対の圧排片163,164を連設したものである。この腔確保部の各圧排片163,164は板状のものであり、変形アーム部163a,164aを介して弾性的に広がり得るように設けられている。圧排片163,164の幅はシース部162の径より広い。また、圧排片163,164はその先端に突き出す長さが異なり、圧排片163の方が長い。また、圧排片163,164の先端には外側に突き出す折返し部166,167が形成されている。そして、圧排片163,164の先端部は位置決め対象部位の椎弓部に係合する手段を構成している。
図67(a)中、170は腔確保具160の圧排片163,164を開拡するための開拡器具であり、前記シース部162内に挿入できる挿入部本体171の先端にリンク172を介して開拡子173,174が設けられている。開拡子173,174は挿入部本体171の手元側に設けられた操作部175のハンドル176を操作することにより開拡させられるようになっている。
そこで、この腔確保具160を使用する場合、まず、ガイド針、ダイレータ、軟性管等の挿入具を用いて、圧排片163,164を閉じた状態の腔確保具160を体組織内に挿入する。そして、処置対象部位に位置決めされたところで、シース部162内に開拡器具170を差し込み、圧排片163,164の内面に開拡子173,174を位置決めしてからその開拡子173,174に開拡し、圧排片163,164を広げる(図67(b)を参照)。そして、開拡子173,174を閉じ、シース部162から開拡器具170を引き抜く(図67(c)を参照)。
すると、腔確保具160の圧排片163,164は体組織内で広げられ、処置対象部位に手術作業用空間177を形成する。圧排片163,164の先端は位置決めする棘突起から関節突起にかけての椎弓部の骨部分の形状に適合して係止する。
[第23の実施形態]
図68乃至図70を参照して、本発明の第23の実施形態を説明する。図68で示す如く、この実施形態での腔確保具180はシース部181の先端に腔確保部182を設けたものである。腔確保部182はリング状部材183からなり、このリング状部材183はシース部162の先端から延出する左右一対の支持アーム184の先端に取着した回転軸185により回転自在に装着されている。
図69で示す如く、リング状部材183は長円形状に形成され、その短軸側部分が回転軸185により軸支されている。このため、リング状部材183をシース部181の長手方向に沿わせると、シース部181の長手方向に細長い形状になる。リング状部材183の幅はシース部181の外径に略等しく形成されている。
また、リング状部材183の長軸方向端の一方には腔確保部操作用ワイヤ186の先端を接続してある。このワイヤ186はシース部181内を通じてシース部181の手元側に導かれている。そして、ワイヤ186を引くと、リング状部材183が回転して、シース部181の長手方向に直交する向きに位置するようになっている。
図69(a)はリング状部材183の短軸方向に沿う腔確保部182の回転前の幅D1 を示し、この幅D1 は体組織に挿入するときの幅である。図69(b)はリング状部材183の長軸方向に沿う腔確保部182の回転後の幅D2 を示しており、この幅D2 は腔を確保する最大幅である。
この腔確保具180を体組織内に挿入する場合、図70(a)で示す如く、例えばダイレータ等の体内進入具(体内挿入具)で挿通孔を作り、所定の径に広がったときのダイレータ管187または前述したような軟性管等の部材をガイドとして腔確保具180を処置対象部位まで挿入する。挿入後、腔確保具180以外のダイレータ等の部材を引き抜く。ついで、図70(b)で示す如く、回転手段により腔確保部182のリング状部材183を90度回転して、そのリング状部材183により処置対象部位に手術作業用空間188を形成する。シース部162の先端から延出する支持アーム184も腔の確保に関与する。
尚、腔確保部182のリング状部材183にその腔確保部分の周辺の骨部に当たりその骨に係合する係合手段を形成してもよい。この腔確保具180によれば、体組織に挿入孔を小さく形成して体組織内での処置対象部位に大きな手術作業用空間を形成することができる。
[第24の実施形態]
図71を参照して本発明の第24の実施形態を説明する。この実施形態では体組織に挿通孔を形成する際に使用する体内進入具としてのダイレータの、腔確保具を案内する例えば最大外径の管190に係るものであり、図70(b)で示す如く、その管190の先端に斜めにカットした鋭利な刃部191を形成したものである。この鋭利な刃部191を形成するダイレータの管190としては、これを適用する腔確保部分の骨部における孔の径より大きな径のものであり、例えば椎弓間192の径dより大きな径Dの管190のものに刃部191を形成する。椎弓間192の径は個人差があるが、これは予めX線撮影やMRI等で知ることができる。
これを使用する場合、体組織に形成された挿通孔をダイレータの各管で次第に開拡して行く際、椎弓間192の径dより大きな径Dの管190であって、先端に鋭利な刃部191を形成したものを使用し、これを差し込み、図71(c)で示す如く、椎弓間192の周辺の骨部分の表面に付着している組織を刃部191で削り離す。その管190の径は椎弓間192の径dより大きいので、椎弓間192内に入り込んで他の組織を不要に傷付けることがない。その処理後、腔確保具を導入すれば、その腔確保具の腔確保部を椎弓間192に密着させることができると共に、良好な術野が得られる。
[第25の実施形態]
図72を参照して、本発明の第25の実施形態を説明する。この実施形態は体組織に挿通孔を形成する際に使用する体内進入具のダイレータに係り、このダイレータ195は1本の針状部材196からなり、ガイド針を兼ねるものである。針状部材196の穿刺先端197は円錘形状に形成されている。ダイレータ195の外径はこれを使用する腔確保具を被嵌して案内するようになっている。これによれば、体組織表面に穿刺先端197を当てて押し込めば体壁を突き破り体組織内に刺入でき、一度に、開拡した挿入孔を形成できる。例えば第1の実施形態のダイレータのように何本もの管を重ねて差し込む場合に比べて簡単であると共に、体組織に与えるダメージも少ない。また、ガイド針の刺入も不要である。このダイレータ195の中心にガイド針を通す孔を形成してガイド針を用いるようにしてもよい。
[第26の実施形態]
図73を参照して本発明の第26の実施形態を説明する。この実施形態は体組織に挿通孔を形成する際に使用するダイレータに係り、これは腔確保具を被嵌して案内する径の管、通常は最大外径のダイレータ管201に前述したような係合手段、つまり手術用腔を確保する所の周辺に位置する骨の形態に合わせた形の係合部202を形成したものである。係合部202は腔確保部分の周辺の骨部に当たりその骨の形に適合して係合するようになっている。また、この係合部202の位置に合わせてダイレータ管201の外端外周にはその係合部202の位置を示す指標203がマーキングされている。
ダイレータ管201に腔確保具を被嵌して押し込む前に、腔確保部分の周辺の骨部にダイレータ管201の係合部202を係合させておけば、その後に挿入する、前述したような骨部係合手段を有した腔確保具を使用する場合、その係合位置がわかり簡単に係合させることができる。また、ダイレータ管201により適合する係合位置を求め、その後に挿入する腔確保具をいたずらに動かす必要がないので、体組織のダメージを軽減することができる。
[第27の実施形態]
図74を参照して本発明の第27の実施形態を説明する。この実施形態は体組織に挿通孔を形成する際に使用する体内進入具としてのダイレータに係り、このダイレータ205はその管206の全部または、ある管206以後のものを楕円形状に形成したものである。図74(a)(b)は管206の全てを楕円形状にしたものであり、図74(c)は最大外径の管206のみを楕円形状にしたものである。このようなダイレータ205によれば、体組織に形成する挿通孔を偏平に形成できる。また、偏平な腔確保部を有する腔確保具を被嵌して押し込むことができる。例えば第21の実施形態での腔確保具のようにそのリング状部材の形状が真円形ではなく、長円形状に形成したものを挿入する場合に適する。
[第28の実施形態]
図75を参照して、本発明の第28の実施形態を説明する。この実施形態はポートを目的の部位にガイドするようにしたポートガイド装置210に係るものである。これは、例えば前述した第12の実施形態で行ったように手術用シースの挿通用チャンネルの他に、手術用器具誘導用ポートを設置する場合、そのポート121をガイドするガイド針の穿刺位置及びその向きを規制するためのものである。
ポートガイド装置210は図75(b)で示す如く、ダイレータ管211を有し、このダイレータ管211の下端周壁部には対向する側壁部分をそれぞれ切り欠いて形成した一対の側孔212a,212bが設けられている。ダイレータ管211の上端部には第1のガイド部材213が着脱自在に取着されている。
第1のガイド部材213は前記ダイレータ管211の上端開口部分に嵌合して接続される中央筒状部214と、この中央筒状部214の上端から左右にそれぞれ均等に延出する板状アーム部215が設けられている。この板状アーム部215の両端部には第2のガイド部材216を嵌め込むガイド孔217a,217bが形成されている。各ガイド孔217a,217bにはガイド針218を通す切欠き孔219がそれぞれ形成されている。中央筒状部214の内径はダイレータ管211の内径に等しく、その内腔220は同軸的に設けられている。
第2のガイド部材216は図75(a)で示す如く、ガイド孔217a,217bに嵌め込む軸部221と、その上端に形成される鍔部222を有してなり、第1のガイド部材213のガイド孔217に軸部221のみを嵌め込み、鍔部222を係止させて取り付けるようになっている。第2のガイド部材216の中心にはガイド針218を挿通するガイド針孔223が形成されている。
そして、図75(c)で示す如く、このガイド孔217a,217bに装着した第2のガイド部材216のガイド針孔223の軸心は装着したガイド孔217a,217bの軸心に一致するように取り付けられ、各軸心はダイレータ管211の軸心上で一致し、かつ同一平面内に位置するように設定されている。ガイド針孔223の軸心はダイレータ管211の軸心に対して斜めに鋭角な状態で、ダイレータ管211の軸心上で交差し、各ガイド針孔223の軸心は前記ダイレータ管211の側孔212a,212b内を通るようになっている。
次に、このポートガイド装置210を用いる場合には、体組織に挿通孔を形成するダイレータの最後の管の代わりに、前記ダイレータ管211を使用し、前述した如く軟性管やプッシャーとして使用して手術用シースを体組織に挿入する。この後、前記ダイレータ管211を位置決めしたまま、そのダイレータ管211の外端部に第1のガイド部材213を嵌め込んで装着し、ガイド孔217a,217bの両方または片方にを装着する。そして、図75(b)で示す如く、第2のガイド部材216のガイド針孔223にガイド針218を挿通し、ガイド針孔223をガイドとして、ガイド針218を、手術用シースの横から軟性管状シート部材12内まで刺し込む。この穿刺後、第2のガイド部材216からガイド針218をその軸心方向に沿って引き抜き、第1のガイド部材213から第2のガイド部材216を取り外す。
そして、ダイレータ管211から第1のガイド部材213を取り外す。このとき、ガイド針218は切欠き孔219を通り抜けるので、ガイド針218がガイド孔217にひっかかることがない。このようにして、ガイド針218を、体組織及び内腔に適切な位置と向きで穿刺することができる。この穿刺したガイド針218をガイドとして利用し、軟性管状シート部材12の壁部に前述したようなポートを差し込んで連結し、処置対象部位の作業空間領域内にポートを連通させる。従って、この設置したポートを通じて手術用シース内のチャンネルを通ることなく、その側方から作業空間領域内に手術用器具を誘導することができるようになる。このことから、ポートを処置内腔の適切な位置に導くことができ、常に良好な視野を得ることができる。
[第29の実施形態]
図76を参照して、本発明の第29の実施形態を説明する。この実施形態は前記第28の実施形態でのポートガイド装置210の変形例である。
第1のガイド部材213の板状アーム部215にはその長手方向に沿って移動孔225が形成されている。また、第2のガイド部材216は軸部221の両端に鍔部222,226を有し、板状アーム部215を両側から挟み込むようにして保持されながら移動孔225に沿ってガイドされるようになっている。つまり、図76(a)(b)中の矢印で示す如く、第2のガイド部材216はその移動孔231に嵌め込まれた状態で左右に移動することができるように装着されている。
また、板状アーム部215は前記各軸心の交差する点を中心とする円弧状に形成されており、第2のガイド部材216は装着状態で移動孔231に沿って移動できる。このため、第2のガイド部材216のガイド針孔223の軸心は常に前記点に向き、その点を通るようになっている。移動孔231の中央部分には内腔220が形成され、移動孔231と内腔220が連通している。第2のガイド部材216は内腔220の部分に位置させることによりその内腔220内を通じて第1のガイド部材213から取り外せるようになっている。
この実施形態のポートガイド装置210によれば、第1のガイド部材213の移動孔231に沿って第2のガイド部材216を移動させることにより、ガイド針孔223の位置及び傾きを選択することができる。ダイレータ管211の軸心に対して斜めに穿刺する向きを選択できる。その他は前記実施形態のポートガイド装置210と同様の作用効果が得られる。
[第30の実施形態]
図77乃至図78を参照して、本発明の第30の実施形態を説明する。この実施形態は前記ダイレータの代わりに用いる体内進入具に係るものである。この体内進入具240は図77で示す如く、管状の操作部241の先端部にバルーン242を設け、操作部241内に形成した図示しないチャンネルを通じてバルーン242に流体を給排することにより前記バルーン242を膨脹または収縮させるようになっている。バルーン242は操作部241の先端部位において略球状に膨らむように形成されている。
この体内進入具240を使用して体組織に挿通孔を形成する場合には、まず、図78(a)で示す如く、バルーン242を膨らませた状態で、操作部241の先端を体組織表面に突き当て処置対象部位に向けて押し付ける。すると、図78(b)で示す如く、バルーン242の部分が体壁を突き破り体組織内に進入し、腔確保具を差し入れる通路を形成する。
この体内進入具240で通路を形成した後、腔確保具を挿入する方法としてはその管状の操作部241をガイドとして軟性管等の他のガイド管を挿入し、そのガイド管を通じて腔確保具を挿入してもよいし、また、通路に腔確保具を直接挿入してもよい。また、腔確保具を挿入する際、前述したような軟性管やプッシャー等の補助具を用いてもよい。
[第31の実施形態]
図79を参照して、本発明の第31の実施形態を説明する。この実施形態は前記体内進入具240の変形例に係るものである。この体内進入具240は操作部241に長いバルーン242を設け、バルーン242は体組織内に形成する通路程度の長さに形成したものである。この場合には拡大したバルーン242の周面をガイドとして、軟性管等の他のガイド管や直接に腔確保具を挿入することもできる。その他は前述した第30の実施形態と同じである。
[第32の実施形態]
図80を参照して、本発明の第32の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具250は変形可能なシート材からなる管状シース251を有し、この管状シース251によって器具挿入ガイド手段を形成している。この腔確保具250を使用する場合の一例は、まず、細径のガイド管や管状ガイド針の体内進入具を体組織に穿刺し、この先端が処置対象部位の領域Pに達するまで挿入する。ついで、管状シース251を細く縮めて、これをガイド管または管状ガイド針を差し込み、処置対象部位まで挿入する。そして、管状シース251の先端部分を処置対象部位の領域Pに位置させる。この後、ガイド管または管状ガイド針のみを引き抜く。ついで、図80で示す如く、留置された管状シース251内に、例えばスコープ252を挿入し、そのスコープ252のチャンネルを通じて送液し、管状シース251の先端部分からなる腔確保部253を拡大し、処置対象部位の領域Pに手術用空間を確保する。そして、管状シース251またはスコープ252を通じて他の手術器具を導入して対象部位の手術を行う。
[第33の実施形態]
図81を参照して、本発明の第33の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具265は比較的硬質であるが変形可能なパイプ材によって操作部を兼ねたガイド部266を有してなり、ガイド部266の先端部には図81(a)で示す如く、複数のスリット状の切込み孔267を形成することにより網目が形成され、これにより、図81(b)で示す如く、塑性変形して膨らむことができる腔確保部268を形成する。
この腔確保具265を使用する場合には、図81(a)で示す如く、腔確保部268が細い状態でガイド部266を、単独またはダイレータ等を利用して体組織に穿刺し、腔確保部268を処置対象部位の領域まで挿入する。この後、ガイド部266内に図示しない拡大具またはバルーンを差し込んで、それにより図81(b)で示す如く、腔確保部268を拡張する。これにより処置対象部位の領域には手術用空間が確保され、ガイド部266内を通じて手術器具を導入し、その対象部位の手術を行う。このことより、小さな挿入孔で処置対象部位まで腔確保具を到達させることができ、術野及び視野を広く得ることができる。
[第34の実施形態]
図82を参照して、本発明の第34の実施形態を説明する。この実施形態の腔確保具270は軟性で変形可能な管状シート部材271と、この管状シート部材271の先端に設けられた腔確保部272とからなり、腔確保部272は帯状板部材を一重の管状に巻いて形成したものである。尚、腔確保部272は帯状板部材を多重に巻いて形成してもよい。腔確保部272は体組織内に挿入する場合には図82(a)で示す如く細くなっている。
この腔確保具270を体組織に導入する方法は、例えば第1の実施形態等において述べた方法が可能である。そして、腔確保部272を処置対象部位の領域に導入位置させた後、管状シート部材271内を通じて腔確保部272に図示しない拡大具またはバルーンを差し込んで図82(b)で示す如く腔確保部272を塑性変形させて拡張し、処置対象部位の領域に手術用空間を確保する。そして、手術器具を導入して対象部位の手術を行う。このことより、小さな挿入孔で処置対象部位まで腔確保具を到達させることができ、術野及び視野を広く得ることができる。
[第35の実施形態]
図83を参照して、本発明の第35の実施形態を説明する。この実施形態は第34の実施形態の腔確保具の変形例であり、この腔確保具275は腔確保部276が帯状板材からなる管状部材の一部に折込み部277を形成して図83(a)で示す如く折畳み、また、図83(b)で示す如く塑性変形させて略矩形状に開拡できるようにしたものである。その使用方法等は前記実施形態と同様である。
[第36の実施形態]
図84及び図85を参照して、本発明の第36の実施形態を説明する。この実施形態は腹腔内の手術において腔確保具を適用する場合のものであって、具体的には前述した第33の実施形態に係る腔確保具と略同様の腔確保具290を用いて腹腔内の手術を行う例である。
図84は腔確保具290を使用して、腹腔鏡下手術を行っている状態である。腔確保具290の、操作部を兼ねたガイド部291は、腹壁292を貫通しており、ガイド部291の先端部に形成されている腔確保部293は拡張させられている。そして、拡張した腔確保部293によって、腹腔内における処置対象部位の領域に手術用空間294を確保している。また、ガイド部291内を通じてスコープ(腹腔鏡)289の先端が手術用空間294内まで導入されている。また、腔確保部293の側壁の網目開口には腹壁292に貫通させたポート295の先端が接続されており、このポート295を通じて別の手術用器具296が前記手術用空間内に導入されている。
腹腔鏡下手術において、腔確保具290を使用すれば、一旦、腹腔内に腔確保具290を設置すれば、その後の気腹や吊上げ術、または腹腔内臓器の圧排処理が必ずしも必要ではなくなる。また、手術用腔を確保して確実かつ迅速に手術を行うことができる。
一方、前記腔確保具290のガイド部291及びポート295の、体外に位置する外端部は図85で示す支持器具297によって保持されている。支持器具はポートと体内で確保された腔の体外での連絡手段を形成する。支持器具297は前記ガイド部291を挾持して保持する第1の保持管298と、ポート295を挾持して保持する第2の保持管299を有してなり、第1の保持管298と第2の保持管299は連結部材300によって連結されると共に、腔確保具290のガイド部291に対する各ポート295の距離や角度の調整ができるようになっている。第1の保持管298と第2の保持管299にはそれぞれ固定ねじ301が設けられている。このような支持器具297は他の実施形態の器具にも適用できるものである。
[第37の実施形態]
図86及び図87を参照して、腔確保具の他の例を示すものである。この腔確保具310は図86で示す如く、比較的硬めの材質からなるへら状の本体部材311を有し、この本体部材311の前面部分には樋状の凹部312が形成されている。そして、この凹部312によって、器具挿入ガイドチャンネルを形成すると共に、その先端部付近により手術用空間を確保する腔確保手段を構成するようになっている。
本体部材311の先端縁部は円弧状に比較的薄く形成されると共に、手術用空間を確保しようとする部位周辺に位置する骨の形態に合わせた形に形成され、これにより、腔を確保する部分の周辺の骨部に当たりその骨に係合する係合部313を形成している。また、本体部材311の基端部には凹部312に連通するスコープ用挿入口314が形成されている。
そして、この腔確保具310を使用する場合には、まず、図87(a)で示す如く、別の剥離子315を差し込み、その刃部で棘突起から椎弓部にわたる骨部分の表面を擦り体組織を骨部から剥離する。ついで、図87(b)で示す如く、剥離子315の背面に沿わせて腔確保具310を、体組織内に手術用空間を確保すべき処置対象部位の領域まで挿入する。そして、手術用空間を確保する所の周辺に位置する骨の形態に合わせて本体部材311の係合部313を骨部に係合して位置決めする。このように位置決めされた腔確保具310の凹部312を案内として、これによって確保した手術用空間に、スコープ317や手術用器具318を導入し、手術を行う。図87(c)はその手術している状況を示す。
[第38の実施形態]
図88乃至図98を参照して第38の実施形態を説明する。図88はこの実施形態に係る腔確保具システムに属する各器具を示す。腔確保具システムには、ガイド針401、体内進入具としてのダイレータ402、処置対象部位の上に腔を確保をするための腔確保部(腔確保具)403と手術器具ガイド手段としての筒状の軟性シート部材404を備えた手術用シース405、手術用シース405を体内に押し込むためのプッシャー406、手術用シース405の挿入をガイドするためのマンドリン408、このマンドリン408と組み合わせて手術対象部位の位置を検索する位置検知手段に用いる棒状の探触子409、及びポート410が備えられている。
ダイレータ402は径の異なる複数の管402a〜402dを順次密に積み重ねて嵌合した、いわゆる多重管アンテナ形式のものであり、その中で最も細い管402aには上記ガイド針401が挿入できるようになっている。ガイド針401は他のいずれの器具よりも長い。また、各管402a〜402dの体内挿入側に位置する先端縁はいずれも面取りがなされている。そして、ダイレータ402は、生体に穿刺したガイド針401に最も細い管402aを被せ、さらに管402b〜402dの順で積み重ねて嵌合することによりガイド針401の穿刺孔を開拡する。ダイレータ402の管402a〜402dのうち細い径のもの、例えば管402a,402bは、それより太い径の管402c,402dのものよりも長く形成されている。この長いもののうち例えば管402bはマンドリン408を生体組織に挿入する際の挿入ガイド手段を構成する。
図89(a)で示す如く、手術用シース405は前述した如くの腔確保部403と筒状の軟性シート部材404を有してなり、その腔確保部403には軟性シート部材404内を通じて体外側へ延びる偏平な操作部材412が連設されている。操作部材412は板状(帯状)の部材により形成され、関節突起側に位置して腔確保部403のリング部材に連設されている。また、操作部材412の延出先端部は関節突起側に屈曲して突き出していて、この横向きに突き出した部分によって操作把持部413を形成している。この偏平な操作部材412は先端側程、幅が狭く形成されている。また、操作把持部413の部分は特に幅が広く操作するときに手で持ち易い形状になっている。
上記腔確保部403は硬質の帯状部材から長円または楕円の偏平なリング状に形成されている。この帯状リング状部材の先端縁は骨部と係合する特別な形状に形成されていて、骨との係合手段414を構成している。骨との係合手段414は、図89(b)で示す如く、比較的尾側に位置する凸部414aと、棘突起側の比較的頭側に位置する凹部414bを有している。そして、骨との係合手段414は、図90(a)で示す脊椎において、点線で示す部分の骨部に適合する輪郭形状に形成され、その骨部と係合するようになっている。
ここで、図90(a)において、点線部分で囲む領域Aが処置対象部位であり、棘突起から椎弓部にかけての傾斜部Cが骨との係合手段414の凹部414bと係合する部分である。これと略反対側に位置する比較的広い窪み部分が骨との係合手段414の凸部414aが入り込んで係合する部位となっている。図90(a)の矢印Bで示す向きから見た図90(b)において示すように、一般に椎弓間は、矢印Dの如く、大きく上下に起伏する。また、椎弓部から棘突起まである勾配をもつ形状になっている。
ところで、手術用シース405の腔確保部403の内腔は楕円または長円形状のいわゆる偏平な形状に構成されており、その周長は前記実施形態の真円形状とした腔確保部の周長に略一致する。このため、図89(b)で示す如く、その処置腔は前述した実施形態のものに比べて細長くなる。このようにした理由は次の通りである。手術の際の処置は椎弓間から頭尾側方向へ展開していく事が多い。こういった場合、処置対象部位は頭尾側方向に細長い領域(図90(a)での点線で示す領域)となるので、腔確保部の周長と真円形状の周長を一致させ、腔確保部内腔を楕円または長円にする事は真円形状と略同等の侵襲で内腔により多くの処置領域を収める事ができる点で有利である。また、図89(c)で示すように、真円形状の腔では棘突起とぶつかるため、棘突起側に腔を移動させることはできず、A部の処置領域を腔内に収めることが出来ない。しかしながら、長円または楕円形状の腔では真円形状の腔よりも前記A部の処置領域内に収める事が出来る。また、関節突起と棘突起の間が狭い椎弓部(個人差もしくは椎体のレベルによる)の場合、真円形状の腔ではその腔内の略中心に処置対象部位を配置させる事が出来ない場合が考えられるが、楕円または長円形状の腔では短径側の内腔が短いので余計な部位が腔内に入らず、内腔の略中心に処置対象部位を配置させる事ができる。以上の事から楕円形状で腔の周長を真円形状の周長と一致させると、真円形状の腔と略同等の侵襲で効率的に処置対象部位をその内腔に捕らえる事ができる。
一方、腔確保部403には骨との係合手段である凸部414a、凹部414bを備え、この凹部414bは椎弓部から棘突起にかけての勾配に入り込む形状になっている。例えば、人や椎体レベルによってはこの勾配が急な人がおり、係合手段である棘突起への凹部を持たない腔確保部403は前記勾配に当接し、これを押し込むとその勾配に沿って関節突起側へ流れ、結果的に内腔に処置対象部位を配置出来ない場合が考えられる。しかしながら、本実施形態の腔確保部403は係合手段である棘突起側の凹部414bによって前記勾配に嵌まり込むため、勾配が急な人も処置対象部位を腔内に配置する事ができる。また、シース挿入時、前記勾配と前記凹部414bが嵌まり込むので、腔確保部403の位置決めが容易である。さらに係合手段である凸部414aと凹部414bにより、処置対象部周辺の形状とほぼ適合して腔内に不必要な筋組織の侵入を防止することができる。
以上により腔確保部403は楕円形状の内腔と骨との係合手段である、前記凸部414aと凹部414bを備える事によって処置領域を効率よく内腔内に捕らえて留置する事ができ、椎弓部が狭く勾配の急な人や椎体レベルであっても良好な腔を保持することが可能である。もちろん、椎弓部が広い場合や勾配がそれ程付いていない人の場合でも問題なく使用できる。従って、腔確保部403を構成する帯状リング部材の形状は長円または楕円に限らず、長方形、丸みのある菱形などの偏平な異形状のものであってもよいものである。
上記手術用シース405の軟性シート部材404はこれを組織内に留置したときにその周囲の組織の圧力によって容易に押し潰される程度の柔軟なものであるが、この軟性シート部材404は内腔側から外側に位置する組織や器具の動きを内視鏡で透かして見ることが可能な透明な材質のもので形成されている。また、少なくとも生体組織内に位置する領域部分の内面には例えば梨地等の光の反射防止手段を施しておくことが望ましい。また、軟性シート部材404の壁の一部分にはポート410の先端部を差し込め得る1つまたは複数のポート連結用孔416が設けられている。また、軟性シート部材404は例えば漏斗状に外側が広がるフレアー状に形成したものであってもよい。
上記マンドリン408はその外周が腔確保部403の内周に略密に嵌合する外形状のものであり、その断面形状は当然、腔確保部403と対応した同一形状の、長円または楕円等の偏平な形状に形成されている。図91で示す如く、マンドリン408の中央には挿通孔421がその全長にわたり軸方向に貫通して設けられている。挿通孔421はダイレータ402の長い管402a,402bのうちで例えば最大径の管402bが比較的密に嵌入し、かつマンドリン408の挿入位置を探触する探触子409を挿通することができるようになっている。なお、挿通孔421を設置する位置はマンドリン408の中央部分に限らず、図91(c)で示す如く、長円の長軸側にずれて偏位する位置に設けたものであってもよい。また、マンドリン408の外周には操作部材412を嵌め込む際のガイドを兼ねた操作部用逃げ溝422が形成されている。マンドリン408の先端面は滑らかな曲面状に形成されている。また、マンドリン408の太さは椎弓間(椎弓間孔)の幅内に入り込まず、骨部に止まる大きさに形成されている。そして、マンドリン408の先端面は探触子409により手術対象部位の形状を体外から検知する探索を行うときの基準面423となる。
探触子409は図91(b)で示すように、マンドリン408の挿通孔421に挿通されるものであり、探触子409の先端部分はマンドリン408の基準面423から突き出す検出部425を構成している。また、探触子409の他端部にはマンドリン408の基準面423から突き出す検出部425の突出量、つまり探触子409の挿入深さを示す、線からなる位置表示用指標426が付設されている。つまり、位置表示用指標426はマンドリン408の基準面423から突き出す探触子409の挿入深さを示し、これにより手術対象部位の深さを検出することができる。そして、マンドリン408の先端が位置する挿入部位の形状状態を体外から検知する体外検知手段の一例を構成している。なお、上記指標426としては色分けまたは線と色分けなどを適宜組み合わせたものでもよい。
次に、この実施形態の腔確保具システムを用いて、背中側からアクセスしてヘルニアを除去する外科手術の方法の手順を説明する。まず、第1の実施形態や第9の実施形態の場合と同様に、処置対象部位に向けて皮膚から筋肉内にガイド針401を穿刺し、ガイド針401の先端を棘突起基部めがけて突き刺し、その位置をX線透視等により確認する。ついで、ガイド針401にダイレータ402を被嵌する。ダイレータ402の複数の管402a〜402dを順次積み重ねることによりガイド針401の穿刺部分の周辺生体組織を拡張し、穿刺孔を拡大する。ガイド針401は最も細い管401aを挿入した後に早々に引き抜く。ダイレータ402の必要な数の管402a〜402dを挿入した後、例えば長い管402a,bを残して他の管402c,402dを引き抜く。
そして、残したダイレータ402の長い管402a,bがマンドリン408の挿通孔421に差し込まれるように調整しながら、その管402bをガイドとして、マンドリン408を組織内に押し込む。アクセスする穿刺孔はこれより先にあらかじめダイレータ402により拡張してあったこともあり、比較的太く断面形状が異形のマンドリン408でも容易に挿入することができる。
次に、マンドリン408の挿通孔421からダイレータ402の長い管402a,bを引き抜き、代わりに探触子409を挿入する。ダイレータ402の長い管402a,bおよび探触子409はいずれもマンドリン408よりも長いのでその操作が容易である。そして、図92で示すように、マンドリン408に挿通した探触子409を用いて目的とする処置対象部位を探索する。すなわち、マンドリン408の基準面423から探触子409の先端にある検出部425を突き出し、その検出部425で椎弓間部位を探る。探触子409の検出部425を差し込む操作を繰り返すことにより、その検出部425がその椎弓間の孔部分に比較的深く入り込む位置を探す。椎弓間の孔部分に探触子409が比較的深く差し込まれたことは指標426の位置により体外から容易に知ることができる。つまり、マンドリン408の基準面423からの探触子409の検出部425が突き出す量はマンドリン408の後端面に対する指標426の位置により分かり、処置対象部位の形状や位置が確認できる。図93(a)は椎弓間部位の位置を検出する前の指標426の状態であり、図93(b)は椎弓間部位の位置が検出された状態である。
このようにして、探触子409により椎弓間部位の位置の検出がなされると、その探触子409に追従してマンドリン408も移動し、そのマンドリン408の先端に位置する基準面423がその処置対象部位に位置する。マンドリン408の径はその椎弓間孔の幅径よりも太く、基準面423は比較的広い面となっているので、マンドリン408が椎弓間内に入り込むことがなく安全に位置決めされる。このように処置対象部位に、マンドリン408を容易に位置決めすることができると共に、マンドリン408の基準面423を所定の処置対象部位に確実に位置させることができる。
マンドリン408の位置が決まったらそのマンドリン408を残して探触子409を引き抜く。そして、第9の実施形態の場合と同様、体外で手術用シース405内にプッシャー406を挿入し、これらをマンドリン408に被せる。マンドリン408をガイドとして、一番奥深く入る位置まで手術用シース405を挿入する。一番深く入ったときにはマンドリン408の後端とプッシャー406の後端が一致することで確認する。そして、図97(a)(b)で示すように、処置対象部位の周辺骨部に、腔確保部403の係合手段414を係合させる。腔確保部403の係合手段414の形状は手術用腔を確保する所の周辺に位置する骨部分の形態に合わせて形成してあるので、その所定部位に腔確保部403を正しく確実に係合させることができる。探触子409による処置対象部の位置検出手段とこの位置検出手段で適切な位置に導かれたマンドリン408をガイドとして手術用シース405を体内に留置させるステップを組み合わせる事によって、容易に手術用シース405の腔確保部403を適切な位置に留置させることができる。
なお、図91(c)で示す如く、挿通孔421を設ける位置はマンドリン408の中央でなくともよい。例えば図91(c)で示すように、挿通孔421を下側にずらして設けた場合にはマンドリン408を頭側にシフトさせて位置させることが可能となる。その結果、マンドリン408に添わせて挿入する手術用シース405も頭側に位置する。つまり、挿通孔421の位置が異なる複数のマンドリン408から椎弓部等の手術領域の状況に応じて、または個人差に応じて適切なものを選択して使用すれば、マンドリン408に添わせてより適切な位置に手術用シース405をガイドすることが可能となる。
ついで、手術用シース405を体内の手術領域に位置決めした後、プッシャー406を引き抜く。このときの腔確保部403内を内視鏡で観察した視野の状況は図96(c)で示すようになる。引き抜いた直後の軟性シート部材404は図96(a)で示す如く、周囲の筋肉の圧力によって収縮する。このため、手術用シース405により周囲組織にダメージを与えることがない。また、操作部材412は関節突起側に位置し、その把持部413が関節突起側へ屈曲して延びているので、これが棘突起側に位置する場合に比べて、手術用シース405内に処置器具を挿入する際において操作部材412が邪魔になり難い。つまり、図96(b)で示すように、操作部材412を関節突起側のAの向きに引いて軟性シート部材404の処置具挿入口404aを開くようにすれば、処置器具を挿入する際の干渉を極力避けることができ、処置器具を容易に挿入可能である。
ここで、体外に出ている軟性シート部材404の露出部分が邪魔であるときには図94で示す如く、その露出している部分に複数の切り込みを入れ、複数の片部404bに分け、これらの片部404bを体皮に縫合したり、テープで固定したり、また、図95で示す如く、軟性シート部材404の体外露出部分を切除するようにしてもよい。
この後の処置等は前述した他の実施形態の場合と同様である。また、軟性シート部材404の側方から器具をアプローチさせたい場合にはガイド針401を刺入し、ガイド針401の先端をポート連結用孔416に挿入させる。このとき、ガイド針401の先端は軟性シート部材404内に挿入した内視鏡427によりそのガイド針401の先端を透かして観察できるため、ポート連結用孔416にガイド針401の先端を容易かつ確実に誘導することができる。このガイド針401にダイレータ402を被嵌し、軟性シート部材404内に挿入した内視鏡で観察しながら腔確保部403内に通じる経路を形成し、ダイレータ402をガイド手段としてポート410を軟性シート部材405内まで誘導でき、ポート410と軟性シート部材405が係合される。そして、このポート410を通じて処置具を挿入し、処置を行うことが可能となる。
なお、ポート連結用孔416としては図98(b)で示す如く、スリット状のものでもよい。スリット状のものは加工が容易である。また、図98(c)で示す如く、ポート連結用孔416の周囲部分404cだけが透明で他の部分404dは非透明に形成してもよい。軟性シート部材404に非透明な部分を形成したものではその部分から組織が透けて見えず、その光反射が起きることを防止し、また、非透明部分の内面に梨地等の十分な反射防止手段を容易に施すことができる。
[第39の実施形態]
図99を参照して第39の実施形態を説明する。この実施形態では同図(a)で示す如く、マンドリン408の先端周縁部分に、骨との係合手段414の機能を損なわない形でカットした鋭利部428を形成したものである。そして、このマンドリン408を使用する場合には前述した実施形態の場合と同様にして、マンドリン408を体内に挿入した後、手術用シース405を誘導する前において、図99(b)で示す如く、マンドリン408の鋭利部428を利用し、椎弓部に付着している筋肉等の組織を剥離する作業を行う。前記同様、マンドリン408の先端部は椎弓間(椎弓間孔)の幅に入り込まない大きさに形成されているため、マンドリン408が椎弓間内に不用意に入り込み、不必要な部位の組織等にダメージを与える虞を回避できる。
このようにマンドリン408によって椎弓部に付着している筋肉等の組織を剥離する事によって感覚的に位置が分かり、きれいに剥離する事で、手術用シース405の位置決めが容易で前記シース留置後の術野を良好に観察できる。また、これを行わない場合、手術用シース405の留置直後の処置部位の骨に筋肉が付着しており、電気メス等で、その組織を切り、鉗子で除去しなければならず、処置対象部周辺骨部の露出作業が面倒であったが、この実施形態の場合には前記作業が比較的減少し、手術の作業がかなり簡便なものにすることができる。
[第40の実施形態]
図100を参照して第40の実施形態を説明する。この実施形態は手術用シース405の変形例を示すものである。手術用シース405の腔確保部403の係合手段414は凸部414aの部分がなく、腔確保部403の先端縁は平坦であり、ただ棘突起側に位置する部分に凹部414bを設けたものである。これ以外は第38の実施形態のものと同様に構成されている。
このように係合手段414に凸部414aを設けない構成としたので、手術用シース405の腔確保部403を一旦挿入した後、例えば尾側にずらすことが可能になる。凸部414aがある場合にはその凸部414aが椎弓部に当たって、それ以上、尾側にずらすことがほとんど不可能であったが、この実施形態の手術用シース405のものではその移動を阻害する凸部414aがないので、尾側への移動がスムーズになる。このため、手術用シース405を動かして周辺の領域まで広く観察して周辺部分の状況を知り、手術部位の確認を容易に行うことができるようになる。
[第41の実施形態]
図101を参照して第41の実施形態を説明する。前述した第38の実施形態の手術用シース405では腔確保部403を形成するリング状部材の形状が頭尾方向に長い偏平な形状であったが、この第41の実施形態での腔確保部403のリング状部材は左右横方向に長い偏平な形状としたものである。つまり、腔確保部403のリング形状を棘突起側と関節突起側に長い偏平な形状とした。このような形状にすれば関節突起部分を左右に広く見ることが可能であり、切除すべき骨の領域を確認し易くなり、手術作業も容易になる。また、この実施形態の腔確保部403は棘突起から椎弓部にかけての傾斜部Cに係合する凹部414bを設けているだけだが、前述した第38の実施形態と同様に凸部414aを設けてもよい。
[第42の実施形態]
図102を参照して第42の実施形態を説明する。この手術用シース405は腔確保部431と器具ガイド部432を1本の硬質シース433によって一体に形成したものである。腔確保部431は前記同様に楕円または長円等の偏平な断面形状に形成されており、腔確保部431の先端縁には骨との係合手段414が形成されている。器具ガイド部432の側壁にはポート挿入孔(ポート挿入部)434が形成されている。器具ガイド部432の上端部には関節突起側へ向かって突出する操作把持部435が連設されている。この手術用シース405もダイレータ402やマンドリン408を利用して体内に挿入され、マンドリン408を抜いて代わりに手術器具を導入して手術を行う。本実施形態は先端の腔確保部が楕円であり、骨との係合手段を設けているため、前記シース同様、効率よく処置領域を確保できる。また、側方の壁に孔を設けており、そこから腔確保具に器具を挿入する事ができるので、器具の干渉を減ずることができる。
[第43の実施形態]
図103乃至図105を参照して第43の実施形態を説明する。前述した第38の実施形態ではマンドリン408と探触子409により手術部位を検索する位置検出手段を構成したが、この第43の実施形態の位置検出手段としては次のような検索具440を用いるようにした。すなわち、検索具440はパイプ状の本体441を有してなり、この本体441内には、例えばファイバー製で、等しい長さの複数の線材442を整列して束ねてなるパイプ束443を収容する。また、本体441の両端にはそれぞれキャップ状の軟性部444,445が取着され、パイプ束443の各端部がそれぞれに対応する軟性部444,445により覆われている。パイプ束443の各端部はそれぞれの軟性部444,445の内面に接触して密に覆われている。線材442は中空のものでも中実のものでもよいが、各線材442はその軸方向に個別的に移動自在に収納されている。このため、検索具440の一方の軟性部444を押し込み変形させると、その変形に応じて各線材442が個別的に軸方向に移動し、他方の軟性部445を内側から押し、一方の軟性部444の形状に対応する形状に他方の軟性部445を変形させるようになっている。つまり、検索具440の一方の軟性部444と他方の軟性部445の外形は同一の凹凸が逆向きの反転した転写形状を維持するものであり、一方の軟性部444の形状が他方の軟性部445の形状に映出させる映出手段を構成している。また、検索具440の中央にはガイド部材を挿入する孔446が長軸方向に貫通して設けられている。
そこで、図105で示す脊椎の起伏した任意の部位に検索具440の一方の軟性部444を押し当てると、その部位の形状が、他方の軟性部445の外形状にとなって現れる。例えば図105で示す脊椎のA,B,Cに検索具440の一方の軟性部444を押し当てると、他方の軟性部445にはそのA,B,Cの部位の形状に応じた形状が現れる。図104(a)はAの部位の形状に対応した転写形状を示し、図104(b)はBの部位の形状に対応した転写形状を示し、図104(c)はCの部位の形状に対応した転写形状を示す。
そして、この検索具440は上述した手技において、ダイレータ402を挿入し終わった後、ダイレータ402を引き抜き、その穿刺孔に差し込んで使用したり、ダイレータ402の管402a〜402dのうち適当なものを残し、これを孔446に差し込むようにして検索具440を体内に挿入する。この検索具440により手術部位を検索し、手術部位が見つかると、そのダイレータ402に手術用シース405を被せて体内に挿入することができる。なお、検索具440は孔446がないものであってもよい。
[第44の実施形態]
図106を参照して第44の実施形態を説明する。これは前述した第38の実施形態のシステムの変形例である。この腔確保具システムにおいて、準備される器具は第38の実施形態の場合と同様、ガイド針401、ダイレータ402、手術用シース405、プッシャー406、マンドリン408、探触子409およびポート410を備える。その中でダイレータ402とマンドリン408は次の如くのものである。まず、ダイレータ402はマンドリン408のガイドとする管402bまでの少ない本数の管402a,402bのみが用意されている。管402a,402bの長さは手術用シース405やマンドリン408よりも長い。マンドリン408はその一端部が前述した第39の実施形態のものと同様、その先端周縁部分には鋭利部428を形成する。また、マンドリン408の他端部は例えば凸面の鈍な形状に形成されている。
この実施形態の腔確保具システムを用いて手術を行う場合、第38の実施形態の場合と共通する点が多いので、この実施形態の特徴点を中心にして手術手順を説明する。まず、穿刺する体皮部位の筋膜まで切開してこれに前述した第38の実施形態で述べた手順で、ガイド針401及びダイレータ402をその順に挿入する。この手技を行った後、鈍な形状の端部を先方にしてマンドリン408をダイレータ402の管402bに被嵌し、マンドリン408を生体組織内に押し込む。すると、マンドリン408の鈍な形状の端部が筋肉を裂きながら押し入り、マンドリン408を処置部位まで深く挿入することができる。つまり、筋膜まで切開しているので、ダイレータ402は太い管のものまで使用する必要がなく、穿刺孔を開拡できる。また、ガイド針401やダイレータ402を用いることなく、体皮の切開部からマンドリン408を直接に挿入することも可能である。
ついで、マンドリン408を引き抜き、今度は鋭利部428を先にして再びマンドリン408を先に形成した穿刺孔に沿って体内に挿入し、鋭利部428を利用して椎弓部に付着している筋肉等の組織を剥離する作業を行う。ついで、探触子409を用いて処置対象部位にマンドリン408を正しく位置させる操作を行う。この後は第38の実施形態の場合と同様の手順で作業が行われる。この実施形態のものにあってはダイレータ402が不要であったり、ダイレータ402を使用する場合にも太い管を使用せずに済み、簡便な穿刺作業となる。
[第45の実施形態]
図107を参照して第45の実施形態を説明する。これは前述した第13の実施形態の腔確保具の変形例である。すなわち、腔確保部451を構成するリング状部材452と、これに連結される一対のアーム部材453a,453bとよりなり、一対のアーム部材453a,453bによって手術用器具を誘導する器具挿入ガイド手段を構成するようにしたものである。一対のアーム部材453a,453bはリング状部材452とは別の硬質な材料、例えば金属材料によって作られている。一対のアーム部材453a,453bの上端部は互いに逆向きで外側へ向かって略直角に屈曲して操作部454a,454bを形成している。上記リング状部材452は体組織内で手術用腔を確保する硬さは十分にあるが、一対のアーム部材453a,453bを変位させる程度の変形を行う柔らかさがある材料と形で作られている。また、第38の実施形態と同様、その先端縁には骨部と係合する特別な形状の、骨との係合手段455が形成されている。
この腔確保具を体組織内に挿入したときには、図107(b)で示すように、一対のアーム部材453a,453bは体組織に押され、上記リング状部材452の部分の変形により押し潰される。また、手術用器具を導入する場合には、図107(c)で示すように、操作部454a,454bを互いに外側に引いて、一対のアーム部材453a,453bの間を広げる。そして、広げた一対のアーム部材453a,453bの間を通じて手術用器具456を導入する。
[第46の実施形態]
図108を参照して第46の実施形態を説明する。この実施形態は手術用シースの変形例であり、この手術用シース460は筒状の軟性シート部461の先端に偏平リング状の腔確保部462を連設してなり、軟性シート部461の下部周壁には長軸方向側にそれぞれ位置して2つのポート連結用孔463が設けられている。腔確保部462の先端縁には骨との係合手段が形成されるが、この先端縁には凸部がなく全体的に平らに形成され、その一部には棘突起の基部に係合する凹部464が形成されている。この凹部464の幅は前述した第40の実施形態の凹部などのものに比べて広く形成した。尚、棘突起側の凹部の高さ方向は先端水平面から1〜10mm程度が望ましい。
このように骨との係合手段においての棘突起の基部に係合する凹部464を幅広く形成したので手術用シース460を椎体の左右どちら側にも用いることができる。また、骨との係合手段が凸部がなく凹部464を幅広く形成したので、頭尾側方向に容易に移動させることができる。
[第47の実施形態]
図109を参照して第47の実施形態を説明する。この実施形態は第46の実施形態の手術用シースの変形例であり、この手術用シース460は腔確保部462の先端縁に、棘突起側の凹部464aの他に関節突起側に位置した凹部464bを設け、これらにより骨との係合手段を構成したものである。関節突起側にも位置する凹部464bを設けたことによって手術部位の骨部位に対する座りが良好になり、所定の部位に位置が決まり易い。また、必要な場合、例えば関節突起側への移動が必要な場合、その向きへの移動が容易になる。
[第48の実施形態]
図110を参照して第48の実施形態を説明する。この実施形態は例えば前述した第38の実施形態のマンドリン408の先端に形成された基準面423に探触部(探触子)465を一体に形成したものである。この実施形態によれば、マンドリン408とは別部材の探触子を用意しなくてもよく、また、別部材の探触子が不要なので、その出入れ操作が不要となり、手術対象部位を探る検索操作がマンドリン408のみで行うことができる。このため、それらの作業が簡便になる。
[第49の実施形態]
図111乃至図114を参照して第49の実施形態を説明する。図111は腔確保具470の説明図、図112は指標部材480の斜視図、図113は腔確保具470と指標部材480とを組み合わせた状態の斜視図、図114は体組織を拡張するダイレータ490の斜視図である。
図111で示すように、腔確保具470は生体組織内に腔を確保する腔確保手段としての腔確保部471と、この腔確保部471に連なる器具挿入ガイド手段としての器具挿入ガイド部472を形成し、全長にわたり等径で断面形状が長円もしくは楕円形状で剛体の筒状部材473を本体部材としてなる。腔確保部471と器具挿入ガイド部472はその内周及び外周が同じ形状であり、その全長にわたり連続的に連なって形成されている。また、腔確保部471の先端縁には、骨との係合手段が形成されている。この骨との係合手段は、平坦な基準面474と、これの一部に形成され、棘突起基部と当たり骨との結合手段である凹部475とによって構成されている。筒状部材473の側壁にはポート挿入用孔476が開口されており、筒状部材473の上端側壁部には操作把持部477が関節突起側に突き出して一体的に設けられている。そして、この腔確保具470は体組織に最後に挿入するダイレータ自体を兼ねるものである。
図112で示すように、指標部材480は腔確保具470の腔確保部471の内腔と同じ形状と断面積を持ち、腔確保具470の内腔内に、密に挿入可能なものであって、その先端面からなる基準面481の中央の一部が突出し、この突出部により体組織と接触させるための探触部483を形成している。また、基端部外周には指標部484が形成されている。そして、この指標部材480と腔確保具470は図113で示すように、組み合わせが可能なものである。
図114で示すように、ダイレータ490は、複数の管491a〜491cを、いわゆる多重管アンテナ形式の構造に組み合わせて構成されるものである。上記腔確保具470と組み合わすことができる管491cはその外周形状が腔確保部471の内腔と同じ形状に形成されている。
本実施形態のシステムを使用する場合、図114で示すダイレータ490の複数の管491a〜491cで順次、体組織の穿刺孔を拡張した後、図111で示す腔確保具470を、その腔確保具470の内腔と同じ外周形状をもつダイレータ490の管491cの外周に被せて、腔確保具470を処置部位に突き当たるまで体組織内に挿入する。腔確保具470を挿入後、その腔確保具470を残して、ダイレータ490の管491a〜491cを抜去する。次に、腔確保具470の内腔に図112で示す指標部材480を挿入し、操作把持部477を手で持ってその腔確保具470を移動させ、指標部材480の探触部483で処置対象部位を探す。所望の位置になると指標部材480の指標部484が腔確保部471の後端よりも下がるため、これにより処置対象部位を検出することができる。腔確保具470及び指標部材480の先端部は椎弓間の孔より太いので、その孔内に入り込むことがなく、安全である。その後、腔確保具470から指標部材480を抜去し、器具挿入ガイド部472に処置器具を差し入れ、以下、体組織に対して外科的な処置を行う。この実施形態によれば、容易に処置対象部位を検出でき、腔確保具470を適切な位置に留置することができる。
<付記>
本発明はその主旨に反しない限り、前述した各実施形態を互いに組み合わせて適用することを妨げない。また、前述した各実施形態、及びその組み合わせによれば、以下の事項を含むものである。本発明に関連する以下の発明明は適宜、組み合わせることが可能なものである。
(軟性管状部材と腔確保手段を組み合わせた外科手術用腔確保具のシリーズ)
1.体組織を通じて体内に挿入されて用いられる外科手術用腔確保具であって、体内に手術作業用腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段で形成する腔に連通し、その腔を体外に連絡する軟性管部材とを備えてなり、軟性管状部材内を通じて腔確保手段で形成した腔に内視鏡や手術用処置具等の器具を挿入して外科手術を行うようにしたことを特徴とした外科手術用腔確保具。
2.第1項において、腔確保手段は、腔側の内壁面と体組織側の外壁面を有する腔確保部材より形成される。
3.2において、腔確保手段は、リング状部材である。
4.2において、腔確保手段は、変形可能な部材で形成され、他の腔拡大手段により拡大して腔を確保するようにした。
5.1,2において、腔確保手段を生体内の所定の位置に保持する位置保持手段を有する。
6.5において、位置保持手段は、腔確保手段と接続し、体外まで延びる操作部材であり、操作部材の断面積は、腔確保手段により形成される断面積よりも小さく構成される。
7.6において、操作部材は、腔確保手段により形成される腔内に連通するチャンネルを有する。
8.5において、位置保持手段は、腔確保部材の外壁面に設けられた凹凸部である。
9.5において、位置保持手段は、腔確保部材の先端より、外壁面側にのびる体組織に引っ掛かる返し部を有する。
10.2において、腔確保部材の壁の少なくとも一部に、内視鏡もしくは器具を腔内に導くための孔が設けられている。
11.1において、軟性管状部材は、樹脂製シート状部材をチューブ状に構成してなる軟性管状シート部材である。
12.1において、軟性管状部材は、先端側が狭く、手元側にいくに従って、内径が大きくなるように形成されている軟性管状シート部材である。
13.1において、軟性管状部材は、内部が複数のチャンネルに仕切られている。
14.1において、軟性管状部材の壁の少なくとも1ケ所に、内視鏡もしくは器具を腔内に導く孔が設けられている。
15.1において、腔確保手段に接続され、軟性管部材内を通じて体外に延びた器具挿入ガイド部材を有し、器具挿入ガイド部材には、上記腔確保手段で形成する腔内につながるガイド面を有した。
16.15において、器具挿入ガイド部材は、第6,7項での操作部材を兼ねる。
17.1において、腔確保手段は、生体組織内に流体を注入して腔を確保するものである。
18.1において、生体組識内で腔を確保する腔確保手段に連結され確保した腔に導かれる少なくとも一つのポートを設けた。
19.18において、腔確保手段とポートを連結する連結手段を設けた。
(腔確保具のシリーズ)
1.体内に挿入されて用いられる腔確保具であって、体内に手術作業用腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段に接続され、体外に延びた器具挿入ガイド部材を有し、器具挿入ガイド部材には、腔確保手段で形成する腔内につながるガイド面を有したことを特徴とした腔確保具。
2.1において、腔確保具の内腔が円形状を備えてなるもの。
3.1において、腔確保具の内腔が偏平な形状を備えてなるもの。
4.3において、腔確保具の内腔が楕円形状を備えてなるもの。
5.3において、腔確保具の内腔が長円形状を備えてなるもの。
6.1、2、3、4、5において、腔確保手段の先端に処置対象周辺組織に係合する係合手段を備えてなるもの。
7.6において、腔確保手段の先端に脊椎後部に係合する係合手段を備えてなるもの。
8.7において、係合手段は、腔確保部の先端が椎体後部、椎弓部の形状に適合する形状を備えてなるもの。
9.8において、係合手段は、腔確保部先端の棘突起側に凹部を備えてなるもの。
10.1、2、3、4、5、6、7、8、9において、腔確保手段又は器具挿入ガイド部材の壁に少なくとも1ケ所に内視鏡もしくは器具を内腔に導く孔が設けられている。
11.1において、腔確保手段は変形可能である。
(腔を拡大確保する機構のシリーズ)
1.生体組識内に挿入される先端に設けられた、生体内で腔を確保する変形可能な腔確保手段と腔拡大手段を有する内視鏡下手術用器具。
2.1において、腔確保手段と連なり体外に連絡する少なくとも1つの管状部材を有する。
3.2において、腔確保手段が、圧排面と腔側面とを有する塑性変形可能な部材からなる。
4.2において、腔確保手段が、前記管状部材より広がるように湾曲された圧排面と腔側面とを有する弾性部材からなり、腔拡大手段が前記弾性部材を覆う外管と前記外管が少なくとも前記弾性部材の先端から前記管状部材まで摺動自在の構造を有し前記外管が前記管状部材まで摺動したとき前記弾性部材の先端が広がるようにした。
5.3において、腔確保手段が、少なくとも1部に複数の切り欠き構造(メッシュ構造)を有する円又は楕円形状のものとした。
6.3において、腔確保手段が、複数の板状部材よりなる。
7.3において、腔確保手段が、板状部材よりなる円又は楕円形状の1部を折り畳んだ部材を有する。
8.4において、腔確保手段が、弾性部材よりなる複数枚の板を有する。
9.2において、腔確保手段が、線材の編み込み構造により構成される。
10.3において、軸部とバルーン部とバルーン部に流体を導く手段を具備する腔拡大具を、腔確保具の内側に挿入可能にしてなる腔拡大手段を設けた。
11.3において、先端に少なくとも一つの押面を有し、前記押面を広げる手段を具備する腔拡大具を、腔確保具の内側に挿入可能にしてなる腔拡大手段を設けた。
12.1において、挿入部先端に折り返し部を設けた。
(ポートの連結手段のシリーズ)
1.生体組識内で腔を確保する腔確保手段と前記腔に導かれる少なくとも一つのポートと生体内でポートと腔を連結する連結手段からなる内視鏡的手術システム。
2.腔確保手段が腔確保部材と前記腔確保部材に連なり体外に連絡する少なくとも1つの管状部材からなる内視鏡的手術システム。
3.第1,2項において、前記腔確保部材に処置腔間と腔確保面とを連絡する少なくとも1つの孔を設け、前記ポートの先端にねじ部を設け、前記孔に前記ポートのねじ部をねじ込むことにより連結する。
4.1,2において、前記腔確保部材に処置腔間と腔確保面とを連絡する少なくとも1つの孔を設け、前記ポートの先端に半径方向外方に延出した係止め部を設け、前記穴に前記ポートの係止め部を挿入することにより連結する。
5.1,2において、腔内にポートを誘導するガイド部材を設けた。
(腔確保具導入ガイド部材のシリーズ)
1.体組織内に挿入され、体組織内に腔を確保し、その中で手術を行うための手術用シースを、体組織内に挿入するためのガイド手段であって、このガイド手段は内壁と外壁を有する部材により手術用シースを挿入する内腔を形成するガイド部材を有し、少なくとも一部が手術用シースの形状に応じて変形可能なものである。
2.1において、体組織内に手術用シースを挿入するための経路を作成する体内進入具に外装可能である。
3.1において、ガイド部材は管状部材である。
4.3において、管状部材は軟性管よりなる。
5.4において、管状部材の内周長は、手術用シースの最大外周長とほぼ等しい。
6.1において、ガイド部材は対抗する複数枚の翼状部材からなり、それぞれの翼状部材は後端外壁側にて変形可能な弾性体を介して結合されている。
(筋切開具と軟性シースの組み合わせよりなるシステム)
1.筋繊維の走行に沿って筋肉内に進入する手段を有する体内進入具と、その進入路に配置される、腔確保手段と、軟性管状部材を具備した手術用シースとよりなる体内手術システム。
2.1において、体内進入具は段階的に径の大きくなる複数の管状部材の組み合わせよりなる。
3.1において、体内進入具はその内部に内視鏡が挿入可能な管状部材からなり、先端に観察窓を設け、凝固、切開、剥離のいずれかの手段を先端に設けてなる。
4.1において、さらに体内進入具に外装可能であり、内腔に手術用シースを挿入し、体組織内に手術用シースを導入可能なガイド部材を含む。
5.1において、手術用シースは体内進入具に外装可能である。
(方法)
1.体内に腔を確保する腔確保手段と、腔に連通し、体外に連絡する軟性管状部材よりなる手術用シースを用いる方法において、a.体組織の所定の位置、角度に、進入経路を作成し、b.その経路に前記手術用シースを留置し、c.手術用シースを通し、手術用シースにて確保された腔内に、内視鏡を入れ、ついで、手術用器具を挿入し、d.内視鏡下に手術を行う方法。
(方法)
1.先端に腔確保手段を設けた手術用シースと複数のポートからなる内視鏡下手術用システムの使用方法において、a.体組織の所定の位置、角度に、進入経路を作成し、b.その経路に手術用シースを留置し、腔確保手段にて腔を確保し、c.手術用シースを留置した後、腔確保手段にて確保した腔内に内視鏡及び器具挿入用シースを挿入し、d.手術用シースもしくは器具挿入用シースのいずれかを通し、手術用シースにて確保された腔内に、内視鏡を入れ、ついで、手術用器具を挿入し、e.内視鏡下に手術を行う方法。
(変形可能な器具挿入ガイド手段と腔確保手段を組み合わせた第1の外科手術用腔確保具のシリーズ)
1.体組織を通じて体内に挿入されて用いられる外科手術用腔確保具であって、体組織内に手術作業用腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段で形成する腔に連通し、その腔を体外に連通する変形可能な器具挿入ガイド手段とを備えてなり、前記器具挿入ガイド手段を通じて前記腔確保手段で形成した腔内に内視鏡や手術用処置具等の器具を挿入して外科手術を行うようにしたことを特徴とした外科手術用腔確保具。
2.1において、器具挿入ガイド手段が鋼線の編み込み構造で構成される外科手術用腔確保具。
3.1において、器具挿入ガイド手段が少なくとも1つの変形可能な板構造で構成される腔確保具。
4.1において、腔確保部先端の一部が凸形状で鋭利な先端を持つ構造を備える外科手術用腔確保具。
5.1において、器具挿入ガイド手段と腔確保部が分離する分離手段を有する外科手術用腔確保具。
6.5において、分離手段は腔確保部先端に設けた溝と、器具挿入ガイド手段内腔に設けた凸形状と、器具挿入ガイド部材の弾性である。
7.1において、器具挿入ガイド手段は軟性管状部材である。
8.7において、軟性管状部材は樹脂製シート状部材をチューブ状に構成してなる軟性管状シート部材であり、該部材は透明又は非透明である。
9.8において、軟性管状部材は樹脂製シート状部材をチューブ状に構成してなる軟性管状シート部材であり、該部材は弾性または非弾性である。
10.1において、腔確保手段の先端に処置対象周辺組織部位に係合する係合手段を備えてなるもの。
11.10において腔確保手段の先端に脊椎後部に係合する係合手段を備えてなるもの。
12.11において係合手段は腔確保部の先端が椎体後部、椎弓部の形状に適合する形状を備えてなるもの。
13.10において、腔確保手段が略円筒形部材であり、先端で円筒形状部材壁の一片が突き出している。
14.10において、腔確保手段が略円筒形部材であり、壁の一部より先端方向に伸びる圧排部材を備える。
15.10において、腔確保手段が略円筒形部材であり、先端で円筒形状部材壁の一部が欠けている。
16.体組織を通じて体内に挿入されて用いられる外科手術用腔確保具であって、半円または半楕円断面を有する腔確保手段と、腔確保手段の先端側面に設けた湾曲部によって骨と係合する係合手段と、腔確保手段よりつながり、体外に伸びる器具挿入ガイド手段と、腔確保手段で形成する腔に内視鏡を導く、内視鏡チャンネルとを備える外科手術用腔確保具。
(変形可能な器具挿入ガイド手段と腔確保手段を組み合わせた第2の外科手術用腔確保具のシリーズ)
1.体組織を通じて体内に挿入されて用いられる外科手術用腔確保具であって、体組織内に手術作業用腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段で形成する腔に連通し、その腔を体外に連通する変形可能な器具挿入ガイド手段とを備えてなり、器具挿入ガイド手段内を通じて腔確保手段で形成した腔に内視鏡や手術用処置器具等の器具を挿入して外科手術を行うようにした事を特徴とした外科手術用腔確保具。
2.1において、腔確保手段の内腔が長軸と短軸を有し長軸が頭尾側方向である。
3.1において、腔確保手段の内腔が長軸と短軸を有し長軸が側方向である。
4.1、2、3において、腔確保手段の内腔が楕円形状である。
5.1、2、3において、腔確保手段の内腔が長円形状である。
6.4、5において、腔確保手段の先端に処置対象周辺組織に係合する係合手段を備えてなるもの。
7.6において、腔確保手段の先端に脊椎後部に係合する係合手段を備えてなるもの。
8.7において、係合手段は腔確保部の先端が椎体後部、椎弓部の形状に適合する形状を備えてなるもの。
9.8において、係合手段は腔確保部先端のが棘突起側に凹部を備えてなるもの。
10.1において、器具挿入ガイド手段は軟性管状部材である。
11.10において、軟性管状部材は樹脂製シート状部材をチューブ状に構成してなる弾性管状シート部材であり、該部材は透明または一部透明である。
(腔を拡大確保する機構のシリーズ)
1.生体組織内に挿入される先端に設けられた、生体内で腔を確保する腔確保手段と、腔確保手段と連なり体外に連絡する少なくとも一つの器具ガイド手段と、腔拡大手段とを有する外科手術用腔確保具。
2.1において、腔確保手段が圧排面と腔側面とを有する塑性変形可能な部材からなり、腔確保手段に骨との係合手段を有する。
3.2において、腔確保手段が複数枚の板形状であり、係合手段は前記板の長さの違いによることの外科手術用腔確保具。
4.1において、略楕円形状でその短軸を回転軸とする腔確保部と、回転軸と連結する器具ガイド手段と、腔確保部を回転させる手段とを有する外科手術用腔確保具。
(ポートの連結手段のシリーズ)
1.生体組織内で腔を確保する腔確保手段と、前記腔に導かれる少なくとも一つのポートと生体内でポートと、腔を連結する手段からなる内視鏡的手術システム。
2.1において、連結手段は壁に腔確保手段で形成する腔に連通する孔を有し、前記孔にポートを挿入することによってなされる。
3.2において、連結手段は伸縮自在の壁に予め孔を開けポート外径が壁の孔より大きいことによってなされる。
4.2において、連結手段はポートの先端に引っ掛かり部を設けることによってなされる。
5.4において、引っ掛かり部は凹凸である。
6.3において、連結手段は孔が鋼線の編み込み目である。
7.3において、連結手段は孔が弾性部材に予め開けられた孔である。
8.3において、孔を開大する手段を設ける。
9.8において、開大する手段は段階的に径が大きくなるダイレータである。
10.8において、開大する手段は先端が円錐状のダイレータである。
11.1において、連結手段は、壁を突き破る穿刺手段と、腔を確保する壁の一部に設けられた前記穿刺腔確保手段で穿刺可能な壁部材とからなるポート連結システム。
12.11において、さらに突き破った壁を開大する手段とからなるポート連結システム。
13.12において、突き破った壁を開大する手段は段階的に径が大きくなるダイレータである。
14.12において、先端が円錐状で壁を突き破る手段と突き破った壁を開大する手段をかねる内針。
15.11において、壁を突き破る手段は先端が円錐状のガイド針である。
16.11において突き破られる壁は伸縮可能である。
17.1において、さらに、ポートを目的部位にガイドするポートガイド手段からなる内視鏡手術システム。
18.17において、ポートガイド手段は、生体組織内で腔を確保する腔確保手段と、ポートをガイドするポートガイド部材と、前記腔確保手段と前記ポートガイド部材の位置関係を決める位置決め手段とからなる。
19.18において、位置決め手段は、腔確保具と係合する係合部と、ポートガイド部材と連結する連結部と、腔確保具軸心と同じ軸心を有し内腔を有す位置決め部材である。
20.18において、ポートガイド部材は、位置決め手段と連結する連結部と、位置決め手段と同じ軸を有する軸心と、前記軸心上をある角度をもって通過する軸を有し、一部切り欠きを有するガイド孔と、前記ガイド孔の軸心と同軸でガイド針を挿通させる孔を持つガイド針挿入部材と、ガイド針挿入部材とガイド孔を係合する係合手段とからなる。
21.18,20において、ポートガイド部材は、ガイド針挿入部材の軸心と腔確保部の軸心との交点と、前記交点からガイド針挿入部材までの距離が一定の軌跡上を移動する移動手段を設けてなる。
22.17において、ガイド手段は壁にX線不透過のマーキング部とを有することによってなる。
23.17において、ガイド針がMRI(磁気核共鳴映像)下で観察できる素材からなる、ポートガイド手段。
24.1において、連結手段は体外でポートと腔確保手段とを連結する。
(腔確保具の位置決め手段のシリーズ)
1.生体組織内で腔を確保する腔確保手段と、腔確保具挿入位置検出手段からなる内視鏡手術システム。
2.1において、腔確保具挿入位置検出手段は腔確保具先端に設けた目的部位の骨形状に適合する形状と深さ検出手段とからなる。
3.2において、深さ検出手段は、腔確保手段先端から連なり体外に伸びる剛体部と、前記剛体部に連結する把持部とからなる。
4.2において、深さ検出手段は、腔確保具と組み合わせ可能な指標部材である。
5.2,3,4において、深さ検出手段は、腔確保手段先端の骨形状に適合する形状の最も浅い部分から腔確保手段の操作部最高位までの距離と指標の全長を一致させたことによってなる。
6.2,3,4において、深さ検出手段は骨形状に適合する形状の最も浅い部分の基準部と、前記基準部から任意の距離に設けたマーキングと、指標側面のマーキングとからなる。
7.1において、腔確保手段は、生体組織内で腔を確保する腔確保具と、腔確保具を体組織内に挿入させる挿入手段とからなる。
(腔確保具導入ガイド部材のシリーズ)
1.体組織内に挿入され、体組織内に腔を確保し、その中で手術を行う為の手術用腔確保具を体組織内に挿入する為のガイド手段であって、このガイド手段は外壁に腔確保具を被せて挿入することによってなる。
2.1において、ガイド手段は先端が骨との係合手段を備える。
3.2において、ガイド手段は後端にマーキング部を備える。
(挿入手段のシリーズ)
1.体組織内に挿入され、体組織内に腔を確保する腔確保部を有する手術用腔確保具と、筋繊維の走行に沿って筋肉内に進入する手段を有する体内進入具と、前記腔確保具を体組織内に挿入する為の挿入手段とからなり、この挿入手段は腔確保部後端を押す押面部と、手術用腔確保具と係合する係合手段とからなる。
2.1において、挿入手段は押面部外径が腔確保部後端外径より小さい。
3.1において、挿入手段は軟性である。
4.1において、挿入手段は、筋繊維の走行に沿って筋組織内を進入する体内侵入手段とからなる。
(体内進入具と腔確保具との組み合わせシリーズ)
1.筋繊維の走行に沿って筋肉内に進入する手段を有する体内進入具と、その進入路に配置される、腔確保具からなる体内手術システム。
2.1において、体内進入具は段階的に径が大きくなる複数の管状部材の組み合わせよりなる。
3.2において、管状部材の断面が略楕円形状である体内進入具。
4.2において、最大外径の管状部材のみ断面が楕円形状である体内進入具。
5.2,3,4において、外径が椎間孔の幅よりも大きく管状部材の先端に鋭利形状を設けた体内進出具。
6.1において、先端が円錐形状であり、外径が腔確保具内径と同等である体内進入具。
(腔確保具と内視鏡との手術システムのシリーズ)
1.体組織内に手術作業用腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段で形成する腔に連通し、その腔を体外に連通する変形可能な器具挿入ガイド手段とを備えてなり、器具挿入ガイド手段内を通じて腔確保手段で形成した腔に内視鏡や手術用処置具等の器具を挿入して外科手術を行うようにしたことを特徴とした外科手術用腔確保具と内視鏡とからなる内視鏡外科手術システム。
(腔確保具の位置検出手段のシリーズ)
1.生体組織内の処置対象及びその周辺部位の形状状態を体外の操作にて探り生体組織内の処置対象部位を検出(探索)する検出手段と、検出した処置対象部位に腔を確保する腔確保手段を有する内視鏡手術システム。
2.1において、体外検知手段は腔確保手段の挿入位置検出手段からなる。
3.2において、挿入位置検出手段は、深さ検出手段からなり、例えばマンドリンと探触子を用いてマンドリンの基準面からの探触子の進入深さにより位置を検出するもの。
4.2において、深さ検出手段は先端に処置対象部位近傍に接する基準面を有する基準部材と、基準面より小さな断面積を有する検出部を先端に有す指標部材(例えば探触子)と、指標部材と基準部材の両者が長軸方向に互いに移動可能で平行に配されるものからなり、指標部材と基準部材の変化量から検出部の挿入深さを検知する。
5.3において、深さ検出手段は、先端に処置対象部位近傍に接する基準面を有する腔確保手段と、基準面より小さな断面積を有する検出部を先端に有する指標部材と、指標部材と基準部材の長軸方向に互いに移動可能で平行に配されることからなり、指標部材と基準部材の変化量から深さを検知する(例えば第の49実施形態を参照)。
6.3において、深さ検出手段は先端に処置対象部位近傍に接する基準面を有する基準部材と、基準面より小さな断面積を有する検出部を先端に有する腔確保具とからなり、指標部材と基準部材の長軸方向に互いに移動可能で平行に配されることからなり、指標部材と基準部材の変化量から深さを検知する(第9の実施形態を参照)。
7.4において、指標部材はダイレータである。
8.6において、基準部材がダイレータである。
9.4において、基準部材は先端に鋭利部を備えてなる。
10.2において、挿入位置検出手段は処置対象部位周辺部の形状を体外に転写する手段からなる。
11.10において、転写する手段は、処置対象周辺部位の形状を検知する手段と体外に映出する手段と検知手段からの信号を映出手段に伝達する手段からなる。
12.11において、伝達手段は連続する棒状部材の束を備えてなる。
13.11において、該検知手段は弾性部材と棒状部材の束の組み合わせである。
14.11において、映出手段は、弾性部材と棒状部材の束の組み合わせである。
15.3において、深さ検出手段は先端に凸部を設けた指標部材からなる。
(腔確保具と剥離手段との手術システム)
1.体組織内に手術用作業腔を確保する腔確保手段と、この腔確保手段で形成する腔に連通し、その腔を体外に連通する器具挿入ガイド手段とを備えた腔確保具と、前記腔確保具と組み合わせ可能な体組織を剥離する剥離手段からなり、(a) 剥離手段を体内に挿入し、(b) 椎体上面の体組織を剥離手段で剥離し、(c) 腔確保具を前記剥離手段をガイドとして体内に挿入留置し、(d) 剥離手段のみを抜去して器具ガイド手段より処置器具を挿入して外科手術を行なう事を特徴とした手術システム。
(a)は第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムに属する各器具の斜視図、(b)は同じくそのシステムの手術用シースを(a)中のA方向から見た矢視図。 人体の脊椎を後方から見た解剖図。 図2中A−A線に沿って断面した解剖図 第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムのダイレータを体組織の処置対象部位の領域まで差し込んだ状態の解剖図。 第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムの軟性管を体組織の処置対象部位の領域まで差し込んだ状態の解剖図。 第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムの軟性管を通じて手術用シースを体組織の処置対象部位の領域まで差し込んだ状態の解剖図。 第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムの手術用シースを体組織の処置対象部位の領域まで差し込んで留置した状態の解剖図。 (a)は第1の実施形態に係る外科手術用腔確保システムの手術状況の説明図、(b)はその手術用シース途中位置部分の断面図、(c)は手術作業空間の腔の状況の説明図。 前記手術用シース腔確保手段によって確保された処置対象部位の領域の作業空間をスコープによって観察される視野の状況図。 前記外科手術用腔確保システムによる切除手術の手順の説明図。 前記外科手術用腔確保システムによる切除手術の手順の説明図。 前記外科手術用腔確保システムによる切除手術の手順の説明図。 前記外科手術用腔確保システムによる切除手術の手順の説明図。 前記外科手術用腔確保システムによる切除手術の状況の説明図。 第2の実施形態に係る手術用シースの一例の斜視図。 第2の実施形態に係る手術用シースの他の例の斜視図。 第2の実施形態に係る手術用シースのさらに他の例の斜視図。 第3の実施形態に係る手術用シースの斜視図。 (a)は第3の実施形態に係る手術用シースを体組織に挿入する途中の状況を示す横断面図、(b)は同じくその縦断面図。 第3の実施形態に係る手術用シースを体組織に挿入した途中の状況を示す横断面図。 第3の実施形態に係る手術用シースを案内するガイド手段の斜視図。 同じくそのガイド手段の使用状況の断面図。 同じくそのガイド手段の使用状況の断面図。 同じくそのガイド手段の使用状況の断面図。 (a)は第5の実施形態に係る手術用シースの先端部の側面図、(b)は同じくその手術用シースの先端部の平面図。 同じく第5の実施形態に係る手術用シースを体組織に挿入するときの説明図。 (a)は第6の実施形態に係る刺通具の斜視図、(b)はその刺通具に手術用シースを装着した状態の斜視図。 (a)は同じく第6の実施形態に係る手術用シースを体組織に挿入したときの断面図、(b)は(a)中B−B線に沿う部分の断面図、(c)は(a)中C−C線に沿う部分の断面図。 第7の実施形態に係る外科手術用腔確保システムに属する各種器具を示す斜視図。 同じくその手術用シースを体組織に留置した説明図。 同じくそのポートガイドを使用した手術状態の説明図。 同じくその手術状態の全体的状況の説明図。 第8の実施形態に係る手術用シースを示す斜視図。 同じくその手術用シースの一例のリング状部材を示す斜視図。 同じくその手術用シースの他の例のリング状部材を示す斜視図。 同じくその手術用シースのさらに他の例のリング状部材を示す斜視図。 (a)(b)は第8の実施形態に係る腔拡大具を示す斜視図、(c)は腔拡大具に手術用シースを装着した状態の斜視図。 同じくその手術用シースを体組織に挿入するときの説明図。 同じくそのポートの斜視図。 同じくその手術用シース及びポートを体組織に挿入した断面図。 同じくその手術用シース及びポートを体組織に挿入して手術する状況説明図。 同じくその手術用シース及びポートを体組織に挿入して手術する状況説明図。 同じくその手術用シース及びポートを体組織に挿入して手術する状況説明図。 同じくその手術用シース及びポートを体組織に挿入して手術する状況説明図。 第9の実施形態に係る手術用シースの斜視図。 同じくその手術用シースの腔確保部の説明図。 (a)は同じくその実施形態に係るプッシャーの斜視図、(b)はそのプッシャーの下面図、(c)はプッシャーの使用状態の説明図。 同じくその実施形態の使用状態の説明図。 同じくその実施形態の使用状態の説明図。 同じくその実施形態におけるダイレータの後端とプッシャーの後端の位置関係の説明図。 同じくその実施形態の使用状態の説明図。 第10の実施形態におけるダイレータの説明図。 第11の実施形態に係るプッシャーの説明図。 第12の実施形態に係る手術用シース、及ダイレータの使用説明図。 同じくその実施形態に係る手術用シース及ポートの留置状態の説明図。 第13の実施形態に係る腔確保具の説明図。 同じくその実施形態に係る腔確保具の使用状態の説明図。 第14の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第15の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第16の実施形態に係る腔確保具の斜視図。 第17の実施形態におけるポートと管状シート部材を連結する手段の説明図。 第18の実施形態に係るプッシャーの説明図。 第19の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第20の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第21の実施形態に係る腔確保具の説明図。 同じく第21の実施形態に係る腔確保具の係合手段の説明図。 第22の実施形態に係る腔確保具と開拡器具の説明図。 第23の実施形態に係る腔確保具の説明図。 同じく第23の実施形態に係る腔確保具の腔確保部の説明図。 同じく第23の実施形態に係る腔確保具の使用状態の説明図。 第24の実施形態に係るダイレータとその使用状態の説明図。 第25の実施形態に係る体内進入具の説明図。 第26の実施形態に係る体内進入具の説明図。 第27の実施形態に係る体内進入具の説明図。 第28の実施形態に係るポートガイド装置の説明図。 第29の実施形態に係るポートガイド装置の説明図。 第30の実施形態に係る体内進入具の説明図。 同じく第30の実施形態に係る体内進入具の使用状態の説明図。 第31の実施形態に係る体内進入具とその使用状態の説明図。 第32の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第33の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第34の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第35の実施形態に係る腔確保具の説明図。 第36の実施形態に係る腔確保具の使用説明図。 同じく第36の実施形態に係る支持器具の使用説明図。 第37の実施形態に係る他の腔確保具の説明図。 同じくその腔確保具の使用状態の説明図。 第38の実施形態に係る腔確保具システムに属する各器具の斜視図。 (a)はその第38の実施形態に係る手術用シースの側面図、(b)はその手術用シースの腔確保部の下面図。 (a)は処置対象の脊椎を後ろから見た解剖図、(b)はその脊椎の斜視図。 同じくそのマンドリン及び探触子の説明図。 同じくそのマンドリン及び探触子の使用状態の説明図。 同じくそのマンドリン及び探触子により位置検出を行う際の指標の状態の説明図。 同じくその手術用シースの体外部分の状態の説明図。 同じくその手術用シースの体外部分の状態の説明図。 (a)(b)はその手術用シースの使用説明図、(c)(d)は(a)中X−X線に沿う部分の断面図。 同じくその手術用シースの使用説明図。 同じくその手術用シースの変形例の説明図。 (a)は第39の実施形態に係るマンドリンの先端部の斜視図、(b)はそのマンドリンの使用説明図。 (a)は第40の実施形態に係る手術用シースの斜視図、(b)はその手術用シースの腔確保部の下面図。 (a)は第41の実施形態に係る手術用シースの腔確保部の斜視図、(b)はその腔確保部の下面図。 (a)は第42の実施形態に係る手術用シースの腔確保部の斜視図、(b)はその腔確保部の下面図。 (a)は第43の実施形態に係る検索具の斜視図、(b)はその検索具の端部の展開斜視図。 同じく第43の実施形態に係る検索具の作用の説明図。 (a)は処置対象の脊椎を斜め上ろから見た解剖図、(b)はその脊椎の部位に検索具を当てる使用状態の説明図。 第44の実施形態に係る腔確保具システムに属する各器具の斜視図。 (a)は第45の実施形態の腔確保具の斜視図、(b)(c)はその使用状態の説明図である。 第46の実施形態に係る手術用シースの斜視図。 第47の実施形態に係る手術用シースの斜視図。 第48の実施形態に係るマンドリンの斜視図。 (a)は第49の実施形態に係る腔確保具の斜視図、(b)はその下面図。 第49の実施形態に係る指標部材の斜視図。 同じく第49の実施形態に係る腔確保具と指標部材とを組み合わせ状態の斜視図、 同じく第49の実施形態に係る体組織を拡張するダイレ−タの斜視図。
符号の説明
1…ガイド針、2…ダイレータ、3…軟性管、4…手術用シース、11…腔確保手段、12…軟性管状シート部材、13…リング状部材。

Claims (4)

  1. 腔のない体組織内に体外から挿入され、前記体組織内に留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、
    前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記体組織内に挿入され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、
    を備え、前記器具挿入ガイド手段を通じて前記器具を前記手術作業用腔に挿入して外科手術を行うようにしたことを特徴とする外科手術用腔確保具。
  2. 前記管状シース部材(12)の外側の開口周縁部は広げられ得るものであることを特徴とする請求項1に記載の外科手術用腔確保具。
  3. 腔のない体組織内に皮切を通じて体外から挿入され、前記体組織内に留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、
    前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記体組織内に挿入され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、
    前記腔確保手段に連結され、かつ前記管状シート部材の処置具挿通用チャンネルを通じて該管状シート部材の外部に導かれ、使用中に体外に位置する把持部を有するとともに前記把持部によって前記体組織内に留置された前記腔確保手段の位置を定める操作を行う操作体と、
    を備えたことを特徴とする外科手術用腔確保具。
  4. 腔のない体組織内に体外から挿入されるダイレータと、
    前記体組織内に挿入されたダイレータを通じて前記体組織内に導入される軟性管と、
    前記軟性管内に挿通されて前記体組織内に導き入れて留置され、前記体組織を押し拡げて該組織内に前記処置対象部位について手術する作業用腔を新たに形成し、かつ該手術作業用腔を確保する腔確保手段と、
    前記腔確保手段に接続され、前記腔確保手段と一緒に体外から前記軟性管内を通じて前記体組織内に挿通されて留置され、前記腔確保手段で確保した手術作業用腔と体外を連通し、体外から内視鏡や手術用処置具等の器具を前記手術作業用腔内まで導くとともに前記体組織の圧力により押し潰される柔軟性を有する変形可能な管状シート部材からなる器具挿入ガイド手段と、
    を備えたことを特徴とする外科手術用腔確保システム。
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