JP2007195227A - Wdm型ponシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ONUの増設を容易にしたWDM型PONシステムを提供すること。
【解決手段】各ONUが、送信波長を変更可能な光送信器と、受信波長を変更可能な光信号受信フィルタと、制御部(波長ネゴシエータ)とを備え、OLTが、各ONUからの波長割当て要求に応答して、現在空き状態にある波長の中から使用すべき送信波長と受信波長を選択し、これを要求元ONTに割当て、ONUの制御部が、光送信器の送信波長と光信号受信フィルタの受信波長をOLTからの応答メッセージで指定された送信波長と受信波長に切替えて、データ送受信を開始するWDM型PONシステム。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の加入者接続装置が光伝送回線を共有する受動光網PON(Passive Optical Network)システムに関し、更に詳しくは、受動光網で波長の異なる複数の光信号を多重化する光波長分割多重技術(WDM:Wave Division Multiplexing)を適用したWDM型PONシステムに関する。
光信号を用いたポイント・トゥー・マルチポイント(1対N)接続のアクセス網システムの1つに、受動光網PON(Passive Optical Network)システムがある。PONシステムでは、第一種電気通信事業などのネットワークベンダが運営する設備センタに設置された局側装置OLT(Optical Line Terminal)と、それぞれがユーザ宅に設置される複数の加入者接続装置ONU(Optical Network Unit)とからなる。OLTに接続された光ファイバは、スプリッタ(光分波器)で、8〜64本程度の複数の支線光ファイバに分岐され、各支線光ファイバにONUが接続される。PONシステムは、スプリッタとOLTとの間の光ファイバ区間を複数の加入者で共用することによって、光ファイバ網の敷設コストの大幅な削減を可能にしている。
波長部分割多重型のPON(WDM−PON)は、PON区間に波長多重技術を用いたPONであり、次の2つの方式が知られている。
(a)第1の方式は、上り信号と下り信号にそれぞれに異なった波長を割当てておき、上り波長λuと下り波長λdを複数のONUが時分割(TDM:Time Division Multiplexing)で使用する方式である。この場合、スプリッタとしては、電源供給を必要としないパワースプリッタが採用され、各ONUは、OLTから割当てられたタイムスロットでデータを送受信する。
(b)第2の方式は、ONU毎に専用の上り信号波長と下り信号波長を割当てる方式である。この場合、スプリッタには、OLTから波長多重で送信された下り信号を個別波長に分離して、各ONUに分岐するフィルタ機能が必要となる。但し、第2の方式によれば、各ONUは、予め割当てられた波長のみを受信することによって、自分宛のデータを取得できる。
第1の方式は、上り信号波長と下り信号波長が異なるだけであり、全てのONUの光送受信器を共通にできる。また、PON区間にパワースプリッタを適用できるため、経済的と言えるが、今後予想されるPON区間における広帯域化要求を考慮すると、波長多重によって高速化が可能な第2の方式が注目される。但し、第2の方式は、ONU毎に使用波長が異なるため、PONシステムで使用する波長数の増加に伴ってONUの種類が増加し、第1の方式に比較してONUコストが増加する。すなわち、第2の方式は、OLTに接続される全てのONUが互いに異なった波長で光信号を送受信するため、多品種のONUを用意する必要がある。また、新たな加入者端末をOLTに収容する際には、既存のONUとは別の上り/下り信号波長をもつONUを選択し、これをスプリッタ/フィルタの適切なポートに接続する必要があるため、ONUの増設工事が容易ではない。
WDM−PONシステムにおける上述したONU多品種化の問題に着目した従来技術として、例えば、特開2004−222255号公報(特許文献1)は、スペクトルスライスを用いて、上り信号波長を共通化することを提案している。特許文献1では、各ONUが送信する上り信号にスペクトル幅の広い広帯域光を適用し、複数の支線光ファイバから入力される広帯域光を波長分岐器でスペクトルスライスすることによって、上り光信号をONU対応の狭帯域の光信号に変換して、OLTに送信している。
図9は、特許文献1で提案されたWDM−PONシステムの構成図である。
OLT10は、波長分岐器20を介して、複数のONU30(30−1〜30−n)と接続されている。OLTは、これら複数のONU30に割当てられた複数波長(λd1、λd2、…、λdn)の下り光信号を多重化し、波長多重光信号(λd1+λd2+…+λdn)として、光ファイバ伝送路50に送信する。上記波長多重光信号は、波長分岐器20で波長別に分波され、ONU毎に異なった波長の下り光信号λd1、λd2、…、λdnとして、支線光ファイバに分岐される。一方、ONU30−1〜30−nは、全てのONUで同一の波長λuで上り光信号を送信する。波長分岐器20は、支線光ファイバからの入力光をONU毎に異なった波長λu1、λu2、…、λunをもつ上り光信号にスペクトルスライスし、波長多重光信号(λu1+λu2+…+λun)に変換して光ファイバ伝送路50に送出する。
図10は、上記特許文献1のWDM−PONシステムで使用される上り信号波長と下り信号波長との関係を示す。
等波長間隔Δλdをもつ波長グリッドの中から、任意の波長λuが上り信号波長として選択され、残った波長λd1、λd2〜λdnが下り信号波長として使用される。下り信号の波長誤差は、±Δλd/2以下である。波長λuは、ONU30−1〜30−nと対応した複数の波長λu1〜λunにスペクトルスライスされる。スペクトルスライスされた上り信号は、等波長間隔Δλuを有し、その波長誤差は、±Δλu/2以下である。
特許文献1では、1チャネルの下り光信号波長帯域に上り光信号の全チャネルが入るように、下り光信号の波長間隔Δλdを上り光信号の波長間隔Δλuの2倍以上とし、上り光信号波長λu1〜λunの間隔を十分に狭めている。また、ONU毎に異なった波長の下り信号を受信するために、特許文献1では、各ONUの光送受信部に波長選択用の光フィルタを着脱可能に取り付けることを提案している。
PONシステムにおける波長の有効利用に着目した従来技術として、例えば、特開平10−247896号公報(特許文献2)では、OLTからの指示に従って、各ONUが下り信号の受信波長とタイムスロットとを動的に切替えることを提案している。
図11は、特許文献2で提案されたWDM−PONシステムの構成図を示す。
OLT10は、光スプリッタ21を介して、複数のONU30(30−1〜30−n)と接続されている。各ONU30は、同一波長λxの光信号を使用して、OLTから指定されたタイムスロットで上り信号を送信する。各ONU30から送信された上り信号は、光ファイバ50上に時分割多重(TDM)して、OLT10に入力される。一方、下り信号は、2つの波長λ1、λ2で波長多重(WDM)して、OLT10から光ファイバ50に送信され、光スプリッタ21で各ONU30に分岐される。
図12は、特許文献2で提案された各ONUへの下り信号の受信波長とタイムスロットの割当て方法を示す。
OLT10は、波長λ1を使用して、S1で示すように、オーバーヘッダOHと4つのタイムスロットT1〜T4からなるフレームA(TF1、λ1)とフレームC(TF2、λ1)を送信し、これと平行して、波長λ2を使用して、S2で示すように、オーバーヘッダOHと4つのタイムスロットT1〜T4からなるフレームB(TF1、λ2)とフレームD(TF2、λ2)を送信している。各フレームOHには、帯域幅割付け情報として、波長λ1のフレームにおけるタイムスロットT1〜Tの割当先と、波長λ2のフレームにおけるタイムスロットT1〜Tの割当先とを示す情報が設定されている。
図示した例において、フレームAの帯域幅割付け情報「(λ2)ONU2355」は、フレームAと平行して波長λ2で送信されるフレームBのタイムスロットT1、T2、T3、T4の割当て先が、それぞれONU−2、ONU−3、ONU−5、ONU−5であること示しており、「(λ1)ONU1144」は、波長λ1で送信されるフレームAのタイムスロットT1、T2、T3、T4の割当て先が、それぞれONU−1、ONU−1、ONU−4、ONU−4であること示している。フレームBには、フレームAと同一内容の帯域幅割付け情報が設定されている。次のフレームC、Dでも、フレームA、Bと同様の形式で、波長別にタイムスロットT1、T2、T3、T4の割当て先ONUが指定されている。
各ONUは、同調可能な光フィルタを備えており、λ1またはλ2でOLTからの下り信号を受信する。現在の受信波長がλ1、λ2の何れであっても、OHの受信期間中にS1、S2の2つのフレームのタイムスロット割当て先が判明するようになっているため、各ONUは、OLTからの指示に従って、適宜、受信波長を切替えながら、割当てタイムスロットでの受信動作を行うことができる。図示した例では、ONU−4は、フレームA(TF1、λ1)の第3、第4タイムスロットと、フレームD(TF2、λ2)の第1、第2タイムスロットと、フレームC(TF2、λ1)の第3、第4タイムスロットで受信動作を行うことになる。
特開2004−222255号公報 特開平10−247896号公報
然るに、特許文献1のPONシステムでは、下り光信号に関しては、ONU毎に個別の波長を固定的に割当てているため、ONU設置の際に、未使用波長をもつONUの選択、あるいはフィルタの交換作業が必要になる。また、ONUの増設に備えて、現在使用中の波長を記憶しておく必要があり、管理コストが高くなるという問題がある。
一方、特許文献2のPONシステムは、上り信号については、同一波長で時分割多重を採用している。また、下り信号も、原理的には時分割多重を採用しており、単に、下り信号に適用する波長数を増加(実施例では2波長)することによって、各ONUに割当て可能なタイムスロット数を増加したに過ぎない。従って、特許文献2のPONシステムは、前述した第1の方式の変形例であり、第2の方式のPONシステムではない。
本発明の目的は、ONUの増設を容易にしたWDM型PONシステムを提供することにある。
本発明の他の目的は、受動光網区間にパワースプリッタを適用可能なWDM型PONシステムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、各ONUに対して、上り信号と下り信号の双方で他のONUとは異なった専用の波長を動的に割当てることによって、PON区間の通信リソースを有効利用して、ONU毎の通信帯域の広帯域化を可能にしたWDM型PONシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のWDM型PONシステムでは、各加入者接続装置ONUが、上り信号と下り信号の双方で、局側装置OLTから指定された個別波長を用いてデータを送受信する。受動光網(PON)は、OLTに接続された光ファイバと、各ONUに接続された複数の支線光ファイバと、OLTから送信された波長多重光信号を上記各支線光ファイバに分岐すると共に、各ONUから送信された光信号を上記光ファイバ上で波長多重化してOLTに転送するパワースプリッタとを有し、OLTには、各ONUから送信された上り光信号が波長多重化して入力され、各ONUには、OLTが送信した波長多重化された下り光信号が入力される。
本発明の1つの特徴は、OLTが、各ONUからの波長割当て要求に応答して、現在空き状態にある波長の中から使用すべき送信波長と受信波長を選択し、これを要求元ONTに割当てることにある。
本発明の他の特徴は、各ONUが、送信波長を変更可能な光送信器と、受信波長を変更可能な光信号受信フィルタと、光送信器の送信波長と光信号受信フィルタの受信波長とを制御するための制御部とを備え、上記制御部が、OLTに波長割当て要求メッセージを発行し、光送信器の送信波長と光信号受信フィルタの受信波長をOLTからの応答メッセージで指定された個別の送信波長と受信波長に切替えて、データ送受信を開始することにある。
更に詳述すると、本発明のWDM型PONシステムでは、局側装置OLTが、受動光網で使用可能な波長の識別子と対応して現在の波長使用状態を示す複数のエントリからなる波長管理テーブルと、各ONUからの波長割当て要求メッセージに応答して、上記波長管理テーブルから空き状態の波長識別子を検索し、該波長識別子と対応する送信波長と受信波長を要求元ONUに割当てるための制御部とを備え、各ONUの制御部が、それぞれの光送信器の送信波長と光信号受信フィルタの受信波長を全ONUに共通の送信波長と受信波長に設定した状態で、OLTに波長割当て要求メッセージを送信し、OLTからの波長割当て応答メッセージを受信した時、上記光送信器の送信波長と光信号受信フィルタの受信波長をOLTから割当てられた個別の送信波長と受信波長に切替える。
本発明のWDM型PONシステムでは、OLTは、例えば、全ONUに共通の送信波長と受信波長で光信号を送受信する共通インタフェース装置と、波長管理テーブルに登録された何れかの波長識別子と対応した送信波長と受信波長で光信号を送受信する複数の個別インタフェース装置と、光ファイバから入力された波長多重光信号を波長別に分離し、受信光信号を各波長と対応したインタフェース装置に分配すると共に、各インタフェース装置から出力された光信号を波長多重化して光ファイバに送信するための光学要素とを備え、OLTの制御部が、上記共通インタフェース装置を介して各ONUと波長割当てのための制御メッセージを交信する。
本発明によれば、各ONUが、OLTから指定された個別の送信波長と受信波長で自律的にデータ送受信を開始できるため、ONUを新たに増設する場合でも、工事関係者がONUの使用波長について心配する必要がない。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明によるWDM−PONシステムの1実施例を示す構成図である。
本発明のPONシステムは、局側装置(OLT)10と、複数の加入者接続装置(ONU)30(30−1〜30−n)と、光ファイバ50と複数の支線光ファイバ51(51−1〜51−n)とをパワースプリッタ53で結合した受動光網とからなる。
各ONU30−j(j=1〜n)は、波長変更が可能な変調型光送信器313を備えており、それぞれOLTから割当てられた特定の波長λuj(j=1〜n)で、上り光信号を支線光ファイバ51−jに送信する。各ONUから送信された上り光信号は、パワースプリッタ53で、他のONUから送信された上り光信号と波長多重化して、光ファイバ50に送出される。
光ファイバ50上に送出された波長λu1+λu2+…+λunの上り光信号は、OLT10のAWG(Arrayed Waveguide Grating)11で波長分離され、波長と対応したインタフェース(INF)装置12(12−1〜12−n)に分配される。図示した例では、ONU30−1から送信された波長λu1の光信号はINF装置12−1に、ONU30−2から送信された波長λu2の光信号は、INF装置12−1に、ONU30−nから送信された波長λunの光信号は、INF装置12−nに、それぞれ供給されている。
ここで、INF装置12−1〜12−nは、上り光信号を電気信号へ変換し、PON終端処理を行って、上りパケットとして出力する。各INF装置から出力された上りパケットは、スイッチング部13を介して、上位装置(図示せず)に入力され、必要に応じてプロトコル変換した後、インターネット等の上位ネットワーク回線に転送される。
一方、上位ネットワーク回線からの受信パケットは、スイッチング部13でINF装置12−1〜12−nに振り分けられ、PONフレームに変換した後、光信号としてAWG11に出力される。図示した例では、INF装置12−1は波長λd1、INF装置12−2は波長λd2、INF装置12−nは波長λdnの下り光信号をAWG11に出力する。
AWG11は、これらの下り光信号を波長多重化し、波長λd1+λd2+…+λdnの下り光信号として、光ファイバ50に送信する。上記波長多重下り光信号は、スプリッタ53を通過し、波長分離されることなく、ONU30−1〜30−nに供給される。各ONU30−j(j=1〜n)は、光受信器321の前に可変波長フィルタ320を備えており、OLT10から予め割当てられた特定波長λdjの光信号のみを選択的に受信して、光受信器321に出力する。ここでは、ONU30−1の可変波長フィルタ320は波長λd1の光信号、ONU30−2の可変波長フィルタ320は波長λd2の光信号、ONU30−nの可変波長フィルタ320は波長λdnの光信号を選択的に受信する。
本発明の特徴は、OLT10と各ONU30jが、それぞれ波長ネゴシエータ100と300とを備え、OLT10の波長ネゴシエータ100が、ONU30jの波長ネゴシエータ300からの波長割当て要求に応答して、ONU30jで使用すべき上り光信号波長λujと下り光信号波長λdjを割当てるようにしたことにある。
波長割当て要求は、制御情報用として全てのONUに共通の波長λucを使用して送信される。波長λucの上り光信号は、OLT10のAWG11で共通INF装置12−0に分配される。共通INF装置12−0は、波長λucの光信号を電気信号に変換し、PON終端処理を行って、制御パケットとして波長ネゴシエータ100に出力する。波長ネゴシエータ100で生成した波長割当ての応答パケットは、共通INF装置12−0で、全てのONUに共通の波長λdcの下り光信号に変換され、AWG11で、他の波長(λd1+λd2+…+λdn)の下り光信号と波長多重化して、光ファイバ50に送出される。
ONU30jの波長ネゴシエータ300は、変調型光送信器313の送信波長が共通波長λucに設定されている間は、可変波長フィルタ320の受信波長も共通波長λdcに設定している。波長ネゴシエータ300は、OLT10からの波長割当ての応答パケットによって、使用波長λujとλdjが指定されると、制御信号Sdによって、変調型光送信器313の送信波長を共通波長λucから専用波長λujに切替え、可変波長フィルタ320の受信波長を共通波長λdcから専用波長λdjに切替える。
図2は、本実施例で使用される上り光信号波長と下り光信号波長との関係を示す。
各ONU30jに割当てられる上り光信号波長(λu1、λu2、…λun)と下り光信号波長(λd1、λd2、…λdn)の他に、全てのONUに共通する制御情報用の波長(λdc、λuc)が用意されている。各ONU30jの波長ネゴシエータ300は、波長割当て要求を発行する時は、変調型光送信器313の送信波長をλucに設定し、可変波長フィルタ320の受信波長をλdcに設定した状態で、OLT10とネゴシエーションを実行する。
図3は、加入者接続装置(ONU)30−1の1実施例を示す。他のONU30−2〜30−nも、これと同様の構成となっている。
ONU30−1は、波長ネゴシエータ300と、加入者端末と接続するための端末インタフェース304と、支線光ファイバ51−1と接続するための光ファイバ結合部305と、上記端末インタフェース304と光ファイバ結合部305との間に設けられた上り信号処理回路および下り信号処理回路とからなる。
上り信号処理回路は、端末インタフェース304を介して受信した加入者端末からの送信データを一時的に蓄積する上りデータバッファ311と、上りデータバッファ311から読み出した送信データをPONの上りフレーム(パケット)に編集する上りフレーム生成部312と、上りフレーム生成部312から出力された上りデータを特定波長λu1の光信号に変換して、光ファイバ結合部305に出力する波長可変の変調型光送信器(E/O変換器)313とからなる。
一方、下り信号処理回路は、光ファイバ結合部305から出力された波長多重光信号から特定波長λd1の光信号を選択的に受信する可変波長フィルタ320と、可変波長フィルタ320から出力された光信号を電気信号に変換するための光受信器(O/E変換器)321と、光受信器321に接続された下りフレーム終端部(PON終端部)322と、下りフレーム終端部(PON終端部)322から出力された受信データを一時的に蓄積して、端末インタフェース304に出力する下りデータバッファ323とからなる。下りフレーム終端部322は、PONの下り信号を終端処理し、受信フレーム(パケット)を解析する。受信フレームが制御フレームの場合は、波長ネゴシエータ300に出力し、ユーザフレームの場合は、下りデータバッファ323に出力する。
本実施例では、波長ネゴシエータ300は、プロセッサ301と、波長ネゴシエーションプログラムが格納された主メモリ302と、不揮発性メモリ303と、これらの要素を結合する内部バス304とからなる。主メモリ302には、波長ネゴシエーションプログラム以外にも、ONU機能を実現するための各種のルーチンが格納されている。プロセッサ301は、波長ネゴシエーションプログラムを実行中は、波長ネゴシエータとして機能し、他のプログラムを実行中は、ONUの制御部として機能する。
不揮発性メモリ303には、波長ネゴシエーションプログラム、その他のプログラムが格納してあり、これらのプログラムは、ONUが起動された時、プロセッサ301によって、主メモリ302にコピーされる。変調型光送信器313への送信波長λu1の設定と、可変波長フィルタ320への受信波長λd1の設定は、プロセッサ301が、内部バス304と、信号線Su、Sdを介して行う。
図4は、局側装置(OLT)10の1実施例を示す。
OLT10は、AWG11と、波長ネゴシエータ100と、スイッチング部13と、AWG11と波長ネゴシエータ100との間に接続された制御フレーム用の共通INF装置12−0と、AWG11とスイッチング部13との間に接続された複数の個別INF装置12−1〜12−nとからなる。本実施例では、波長ネゴシエータ100は、プロセッサ101と、波長ネゴシエーションプログラム110および波長管理テーブル120が格納された主メモリ102と、不揮発性メモリ103と、これらの要素を結合する内部バス104とからなる。
主メモリ102には、波長ネゴシエーションプログラム以外にも、ONU機能を実現するための各種のルーチンが格納されている。プロセッサ101は、波長ネゴシエーションプログラムを実行中は、波長ネゴシエータとして機能し、他のプログラムを実行中は、OLTの制御部として機能する。不揮発性メモリ103には、波長ネゴシエーションプログラム、その他のプログラム、波長管理テーブル120、その他のテーブルが格納してあり、これらのプログラムは、OLTが起動された時、プロセッサ101によって、主メモリ102にコピーされる。
プロセッサ101は、共通INF装置12−0を介して各ONUと波長ネゴシエーションを行い、或るONU30−jに波長λuj、λdjを割当てると、制御信号Seによって、割り当て波長波長λuj、λdjと対応する個別INF装置12−jを起動する。また、プロセッサ101は、波長λuj、λdjが割当てられたONU30−jの動作状態を定期的に監視し、ONU30−jからの応答がなくなった時、個別INF装置12−jの動作を停止させる。
図5は、OLT10の波長ネゴシエータ100が、ONUへの波長の割当て状態を管理するために利用する波長管理テーブル120の1実施例を示す。
波長管理テーブル120は、波長インデックス(波長識別子)121と波長の使用状態122との関係を示す複数のエントリ120−1〜120−mからなる。波長の使用状態122には、「未使用(空き)」、「調整中」、「使用中」の3つの状態がある。
図6は、本発明のPONシステムで行われる波長ネゴシエーションのシーケンス図を示す。ここでは、1例として、ONU−1(30−1)が、OLT10に使用波長の割当て要求を発行した場合のシーケンスについて説明する。
ONU−1(30−1)のプロセッサ301は、電源がON状態になると、変調型光送信器313の送信波長を共通波長λuc、可変波長フィルタ320の受信波長を共通波長λdcにそれぞれ設定し(400)、OLT10との間にセッションを確立する(401)。上記セッションは、例えば、IEEE802.3ahによるEPONのDiscoveryプロセスにおける接続シーケンスを実行することによって確立される。OLT10との間にセッションが確立されると、ONUのプロセッサ301は、共通波長λucを使用して、OLT10に波長割当て要求メッセージM1を送信する。
ONU30−1からの波長割当て要求メッセージM1を受信すると、OLT10のプロセッサ101は、波長ネゴシエーションプログラムを実行する。プロセッサ101は、1つのONUと波長ネゴシエーション中は、波長管理テーブル120を排他制御状態にし、後から発生した波長割当て要求による波長管理テーブル120のアクセスを禁止して、波長管理テーブル120から空き波長λxを検索する(402)。空き波長λxを検索は、波長管理テーブル120から、使用状態122が「未使用(空き)」のテーブルエントリ120−kを検索することを意味している。波長管理テーブル120には、OLT10の制御下にある全てのONUに波長割当て可能な個数のテーブルエントリが用意されているため、空き波長λxの検索(402)には必ず成功する。
空き波長λxが見つかると、プロセッサ101は、テーブルエントリ120−kの使用状態122を「未使用」から「調整中」に変更し(403)、波長管理テーブル120の排他制御を解除する。この後、プロセッサ101は、テーブルエントリ120−kの波長インデクス121の値と対応した割当て波長の識別情報(λuxとλdx)を含む応答メッセージM2を生成し、INF装置12−0を介して、上記応答メッセージM2を共通波長λdcでONU30−1に送信する(404)。ここで、ONU30−1に割当てられる波長λuxとλdxは、任意の空き波長であり、ONU30−1からの波長割当て要求に応答して、毎回、同一の波長が固定的に割当てられる訳ではない。
波長割当て応答メッセージM2を受信したONU30−1の波長ネゴシエータ300(プロセッサ301)は、共通波長λucで、OLT10に波長割当て確認メッセージM3を送信する(405)。この後、プロセッサ301は、変調型光送信器313の送信波長を共通波長λucから割当て波長λuxに変更し、可変波長フィルタ320の受信波長を共通波長λdcから割当て波長λdxに変更する(406)。尚、可変波長フィルタ320の受信波長に応じて光受信器321の特性を変更する必要がある場合、プロセッサ301は、上記可変波長フィルタ320の波長変更に付随して、光受信器321の特性も変更する。
OLT10のプロセッサ101は、ONU30−1から波長割当て確認メッセージM3を受信すると、再び波長管理テーブル120を排他制御状態にして、テーブルエントリ120−kの使用状態122を「調整中」から「使用中」に変更し(407)、波長管理テーブル120の排他制御を解除する。この後、プロセッサ101は、上記テーブルエントリ120−kが示す波長インデックスxと対応したINF装置12−xを起動する(408)。
図7は、上述した波長ネゴシエーションにおいて、ONU30とOLT10との間で交信される制御メッセージのフレームフォーマットの1例を示す。ここに示したフォーマットは、IEEE802.3ahによるEPONのフレームフォーマットをベースにしている。
制御メッセージを含むフレームは、プリアンブル50と、宛先アドレス51と、送信元アドレス52と、MACレイヤにおけるフレーム種別とデータ長とを表すType/Length53と、データ部54と、フレームの誤り検査に用いられるFCS(Frame Check Sequence)55とからなる。
プリアンブル50は、予約領域501、SPD(Start of Packet Delimiter)502、予約領域503、LLID(Logical Link Identifier)504、CRC(Cyclic Redundancy Check)505からなる。データ部54に波長割当て要求メッセージM1または波長割当て確認メッセージM3を含むフレームの場合、宛先アドレス51にはOLT10のMACアドレス、送信元アドレス52には要求元ONUのMACアドレスが設定される。データ部54に波長割当て応答メッセージM2を含むフレームの場合、宛先アドレス51には要求元ONUのMACアドレス、送信元アドレス52にはOLT10のMACアドレスが設定される。
データ部54には、波長ネゴシエーション用の制御メッセージに特有のデータが設定される。フレーム種別541は、制御メッセージM1、M2、M3の種類を示すコードが設定される。上り信号用の割当て波長フィールド542と下り信号用の割当て波長543フィールドには、OLT10がONU30−1に割当てた上り光信号用の波長識別情報λuxと下り光信号用の波長識別情報λdxとが設定される。波長割当て要求メッセージM1の場合、波長フィールド542、543は空欄となる。
OLT10が波長割当て応答メッセージM2を送信した時、既に稼動中のONUは、受信波長が共通波長λdc以外の個別の波長に設定されているため、上記応答メッセージM2を受信することはない。また、波長管理テーブルが排他制御状態にある時、OLT30−1以外の他のONUが波長割当て要求メッセージを発行していた場合、このONUは、可変波長フィルタ320が共通波長λdcに設定されているため、上記応答メッセージM2を受信できる。しかしながら、他のONUは、応答メッセージM2の宛先アドレス51のチェックによって、自分宛でない受信メッセージを廃棄するため、同一の波長λux、λdxが誤って複数のONUに割当てられることはない。
図8は、OLT10が稼動中のONUに対して定期的に実行するヘルスチェックのシーケンス図である。
OLT10のプロセッサ101は、波長管理テーブル120を参照して、使用状態122が「使用中」の波長インデックス121の値と対応する全てのINF装置12−1〜12−x(下り波長λd1〜λdx)で、定期的にヘルスチェックメッセージを発行し(410−1〜410−x)、ONTからの応答を待つ(411)。稼動中の各ONU30j(j=1〜k)のプロセッサ301は、ヘルスチェックメッセージを受信すると、OLT10に応答メッセージを返送する(412−1〜412−x)。
OLT10のプロセッサ101は、ONUの電源オフなどによって、ヘルスチェックメッセージを送信してから一定時間内に応答メッセージを受信できなくなったINF装置12−iが見つかった場合(413)、波長管理テーブル120で、上記INF装置12−iと対応するテーブルエントリ120−iの使用状態122を「使用中」から「未使用」に変更する(414)。この後、のプロセッサ101は、上記INF装置12−iの動作を停止状態にする(415)。尚、応答メッセージを受信できなくなったINF装置12−iが見つかった時、プロセッサ101は、波長管理テーブル120を排他制御状態にしてから、上記INF装置12−iと対応するテーブルエントリ120−iの使用状態を変更し、その後に排他制御を解除するようにしてもよい。
以上の実施例によれば、各加入者接続装置ONUは、OLTから割当てられた専用の波長でデータを送受信できるため、広い帯域を確保できる。また、各ONUが、OLTから指定された個別の送信波長と受信波長で自律的にデータ送受信を開始できるため、ONUを新たに増設する場合でも、工事関係者がONUの使用波長について心配する必要がない。更に、受動光網には、波長分離機能を必要としない単純なパワースプリッタを適用できるため、パワースプリッタを使用した従来のPONシステムから、WDM−PONへの移行を比較的スムースに行うことが可能となる。
本発明によるWDM−PONシステムの1実施例を示す構成図。 本発明の1実施例で使用される上り光信号波長と下り光信号波長の関係を示す図。 図1における加入者接続装置(ONU)30の1実施例を示す構成図。 図1における局側装置(OLT)10の1実施例を示す構成図。 局側装置(OLT)10の波長ネゴシエータ300が備える波長管理テーブル120の1実施例を示す図。 本発明のPONシステムで実行される波長ネゴシエーションのシーケンス図。 波長ネゴシエーションで交信される制御メッセージのフレームフォーマットの1例を示す図。 OLT10が定期的に実行するヘルスチェックのシーケンス図。 従来のPONシステムの1例を示す構成図。 図9のPONシステムで使用される上り信号波長と下り信号波長との関係を示す図。 従来のPONシステムの他の例を示す構成図。 図11のPONシステムにおける下り信号の受信波長とタイムスロットの割り当て方法を示す図。
符号の説明
10:局側装置OLT、11:AWG、12:インタフェース装置、13:スイッチング部、30:加入者接続装置ONU、50:光ファイバ、51:支線光ファイバ、53:パワースプリッタ、100:ONUの波長ネゴシエータ、101:プロセッサ、110:波長ネゴシエーションプログラム、120:波長管理テーブル、300:ONUの波長ネゴシエータ、301:プロセッサ、313:変調型光送信器、320:可変波長フィルタ、321:光受信器。

Claims (16)

  1. 局側装置とスプリッタを介して接続され、他の加入者接続装置とは異なる波長の光信号を用いて、上記局側装置と通信する加入者接続装置であって、
    上記局側装置から送信された光信号が入力される可変波長フィルタと、
    上記局側装置へ送信する光信号の波長を変更できる光送信器と、
    上記局側装置に波長の割当てを要求する第1のメッセージを送信し、上記可変波長フィルタの波長を上記第1メッセージに応答して上記局側装置から送信される第2のメッセージが示す第1の波長に設定し、上記光送信器の波長を上記第2のメッセージが示す第2の波長に設定する制御部とを有することを特徴とする加入者接続装置。
  2. 請求項1に記載の加入者接続装置において、
    前記制御部が、前記第2のメッセージの受信のために、前記可変波長フィルタの波長を前記複数の加入者接続装置で共用される第3の波長に設定し、前記第1のメッセージの送信のために、前記光送信器の波長を前記複数の加入者接続装置で共用される第4の波長に設定してから、前記第1のメッセージを送信することを特徴とする加入者接続装置。
  3. 請求項2に記載の加入者接続装置において、
    前記制御部が、前記光送信器に前記第2の波長を設定する前に、前記第2のメッセージを受信したことを示す第3のメッセージを前記第4の波長の光信号で前記局側装置に送信することを特徴とする加入者接続装置。
  4. 請求項1に記載の加入者接続装置において、
    更に、前記可変波長フィルタを通過した光信号を受信する光受信器を有し、
    前記制御部が、前記第1の波長の光信号を受信できるように上記光受信器の特性を変更することを特徴とする加入者接続装置。
  5. 請求項1に記載の加入者接続装置において、
    前記制御部が、前記第2のメッセージの宛先情報が自装置の識別情報を示す場合に、前記可変波長フィルタの波長を前記第1の波長に設定し、前記光送信器の波長を前記第2の波長に設定することを特徴とする加入者接続装置。
  6. 請求項5に記載の加入者接続装置において、
    前記自装置の識別情報は、MACアドレスであることを特徴とする加入者接続装置。
  7. 請求項1に記載の加入者接続装置において、
    前記制御部が、加入者接続装置が稼動しているか否かを調べるために前記局側装置から送信される第3のメッセージ応答して、自装置が稼動中であることを示す第4のメッセージを前記局側装置へ返信することを特徴とする加入者接続装置。
  8. スプリッタを介して複数の加入者接続装置と接続され、加入者接続装置毎に異なった波長で光信号を送受信する局側装置であって、
    上記スプリッタから入力される波長多重光信号を波長別の複数の上り光信号に分波すると共に、波長の異なる複数の下り光信号を合波して、波長多重光信号として上記スプリッタへ向けて出力する波長合分波部と、
    それぞれが上記波長合分波部で分波された波長の異なる複数の上り光信号のうち1つを受信すると共に、それぞれが波長の異なる下り光信号を上記波長合分波部に送信する複数のインタフェース部と、
    上記複数の加入者接続装置のうち1つから受信した波長割当て要求を示す第1のメッセージに応答して、上記複数のインタフェース部のうち1つが受信する上り光信号の波長を第1の波長、該インタフェースから送信される下り光信号の波長を第2の波長として上記加入者接続装置に割当て、該第1、第2波長を第2のメッセージによって該加入者接続装置に通知する制御部とを有することを特徴とする局側装置。
  9. 請求項8に記載の局側装置において、
    前記第1のメッセージが、前記複数の加入者接続装置に共通の第3の波長の光信号で、前記第2のメッセージが、前記複数の加入者接続装置に共通の第4の波長の光信号でそれぞれ送信され、
    前記複数のインタフェース部のうちの1つが、前記記波長合分波部から出力される上記第3の波長の上り光信号を受信し、上記第4の波長の光信号を前記記波長合分波部に送信する制御用インタフェースとして機能することを特徴とする局側装置。
  10. 請求項9に記載の局側装置において、
    前記制御部が、前記第1、第2の波長として、前記第3、第4の波長以外の波長を選択することを特徴とする局側装置。
  11. 請求項8に記載の局側装置において、
    前記各インタフェース部で送受信する上り光信号の波長と下り光信号の波長の組毎に使用状態を記憶する記憶部を有し、
    前記制御部が、前記第1のメッセージを受けたとき、上記記憶部が示す未使用状態にある1組の波長を前記第1、第2の波長として、上記第1のメッセージの送信元の加入者接続装置に割当て、上記記憶部が示す上記割当て波長の組の使用状態を未使用状態から使用中状態に変更することを特徴とする局側装置。
  12. 請求項11に記載の局側装置において、
    前記制御部が、前記加入者接続装置に対して、稼動中か否かを調べるため第3のメッセージを送信し、予め定められた時間内に上記第3のメッセージに対する応答が無い場合、前記記憶部が示す上記加入者接続装置に割当てられた波長の組の使用状態を使用中状態から未使用状態に変更することを特徴とする局側装置。
  13. 請求項11に記載の局側装置において、
    前記制御部が、前記加入者接続装置に対して、稼動中か否かを調べるため第3のメッセージを送信し、予め定められた時間内に上記第3のメッセージに対する応答が無い場合、上記加入者接続装置に割当てられた波長で光信号を送受信している特定のインタフェース部の動作を停止させることを特徴とする局側装置。
  14. 請求項8に記載の局側装置において、
    前記制御部が、前記加入者接続装置に割り当てるべき前記第1、第2の波長を決定した後、上記第1、第2の波長で光信号を送受信する特定のインタフェース部を起動することを特徴とする局側装置。
  15. 請求項8に記載の局側装置において、
    前記制御部が、前記第2のメッセージの宛先情報に、前記第1のメッセージの送信元の加入者接続装置の識別情報を設定することを特徴とする局側装置。
  16. 請求項15に記載の加入者接続装置において、
    前記識別情報が、前記加入者接続装置のMACアドレスであることを特徴とする局側装置。
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