JP2007193557A - 溶接検査確認プログラム,業務支援プログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接安全管理検査の確認作業を実施するに当たって、そのような確認作業に不慣れな人でも、各確認項目の個々の判断箇所において、その判断に必要な関連法令を容易に参照できるようにする。
【解決手段】以下に述べる機能をコンピュータに実現させるための溶接検査確認プログラムである。まず,検査すべき溶接工事の仕様の確認作業をオペレータが実行するための作業シートを画面に表示する。そして,作業シートの中に,項目オブジェクト,入力オブジェクト及び参照オブジェクトを表示する。参照オブジェクトは,入力作業に関係する法令をオペレータが参照できるようにしたものである。入力作業結果を識別情報とともに保存し,識別情報に基づいて溶接工事を検索して,該当する溶接工事の一覧を画面に表示する。その一覧の中から選択した溶接工事について入力作業結果を画面に表示する。
【選択図】図7
【解決手段】以下に述べる機能をコンピュータに実現させるための溶接検査確認プログラムである。まず,検査すべき溶接工事の仕様の確認作業をオペレータが実行するための作業シートを画面に表示する。そして,作業シートの中に,項目オブジェクト,入力オブジェクト及び参照オブジェクトを表示する。参照オブジェクトは,入力作業に関係する法令をオペレータが参照できるようにしたものである。入力作業結果を識別情報とともに保存し,識別情報に基づいて溶接工事を検索して,該当する溶接工事の一覧を画面に表示する。その一覧の中から選択した溶接工事について入力作業結果を画面に表示する。
【選択図】図7
Description
本発明は、溶接工事の検査の仕様が関係法令に適合しているかどうかを確認するための作業に使用する溶接検査確認プログラムに関し,また,法令に基づいた業務を支援するための業務支援プログラムに関し,さらには,それらのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
電気事業法第52条は,「溶接安全管理検査」という見出しであり,この条文は,発電用のボイラー等の電気工作物について,その溶接に関する検査に関する事項を規定している。この規定によれば,上記電気工作物を設置する者は,その使用の開始前に,その溶接について,経済産業省令で定めるところにより,事業者検査を行い,その結果を記録し,保存することが義務付けられている。この事業者検査を「溶接事業者検査」と称している。また,溶接事業者検査を行う者(すなわち,電気工作物を設置する者)は,溶接事業者検査の実施に係る体制について,国等により審査を受けることが義務付けられている。この審査を「溶接安全管理審査」と称している。さらに,溶接安全管理審査については,「民間製品認証制度」を活用することも行われている。
図1は,溶接安全管理検査に関係する上述の3種類の検査または審査について,各当事者間の関係を示した関係図である。
溶接安全管理検査に関連する上述の「溶接事業者検査」「溶接安全管理審査」「民間製品認証制度」については,関係する法令が複雑に入り組んでおり,検査等の仕様を確認する作業担当者は,関連する多くの法令集を机上に広げて,該当箇所を参照しながら,確認業務を遂行している。例えば,溶接事業者検査を例にとると,次のような法令を参照することが必要になる。
・電気事業法
・電気事業法施行令
・電気事業法施行規則
・電気工作物の溶接に関する技術基準を定める省令
・電気事業法施行規則第82条の解釈について
・電気工作物の溶接の技術基準の解釈
・電気工作物の溶接の技術基準−省令および解釈−[解説]
・発電用火力設備の技術基準の解釈について
・溶接安全管理検査に係る質疑応答集
・電気事業法の溶接検査等に関する質疑応答集
なお,この明細書において,「法令」という用語は,法律・政令・省令のほかに,行政機関等が発表している「通達」や「解釈」などの規則類も含む。
・電気事業法
・電気事業法施行令
・電気事業法施行規則
・電気工作物の溶接に関する技術基準を定める省令
・電気事業法施行規則第82条の解釈について
・電気工作物の溶接の技術基準の解釈
・電気工作物の溶接の技術基準−省令および解釈−[解説]
・発電用火力設備の技術基準の解釈について
・溶接安全管理検査に係る質疑応答集
・電気事業法の溶接検査等に関する質疑応答集
なお,この明細書において,「法令」という用語は,法律・政令・省令のほかに,行政機関等が発表している「通達」や「解釈」などの規則類も含む。
図2は溶接安全管理検査に関係する代表的な法令を図示したものである。基本的な条文は電気事業法第52条であり,そこを頂点として,各種の省令や解釈が裾野のように広がっている。
このような多くの法令を参照しながら,上述の検査や審査について,その計画段階での確認作業(溶接検査の仕様が法令に適合しているかどうかの確認作業)をすることは,大変,手間のかかるものであり,また熟練を要するものであった。しかも,溶接安全管理検査は,定常的な業務ではなくて,必要になったときだけ実施するスポット業務なので,熟練した人でも,前回に実施したときから相当の期間が経過していて業務を忘れることもある。そして,このような確認作業は,その作業者のノウハウであって,その知識が伝承されない,という問題もある。
ところで,溶接に関係する法令を参照する技術を開示するものとして,次の特許文献1が知られている。
特開2004−133924号公報
この特許文献1は,原子力プラント業界における法令データベースを開示している。この技術によれば,原子力に関連する法令および注釈情報を簡単かつ迅速に見ることができる。そして,この特許文献1の図4は,「溶接の技術基準」に関して,「技術基準,解釈総則及び解釈溶接の施工方法」「溶接解釈火力機器」「溶接解釈別表その1」などの法令名称を示している。また,その図6は電気事業法を参照している状態の画面を示している。したがって,溶接関連の法令を含む原子力関連の法令を集めてデータベースを作り、必要に応じて、その法令データベースを参照することは公知である。
また,各種の書類作成業務等の支援のために関連法規を検索できるようにしたシステムが知られており、例えば、次の特許文献2はそのような技術を開示している。
特開2003−852164号公報
この特許文献2は,建築の新築,修繕,増改築等に関わる工法,使用部材,性能等の情報を管理して,建物の設計,管理,検査等を効率的に行うことができるようにした建築技術情報管理システムを開示している。このシステムでは,基準法/品質確保法などの法規に関する法規情報も参照できるようになっており,そのような法規情報を参照して、例えば、建築の認定申請のための書類を作成することができる。
上述のように,特定の業務に関連して、その業務に関係する法令を集めてデータベースを作り、必要に応じて関係法令を参照できるようにしたシステムは知られている。しかし,法令データベースを検索・参照できるようにしただけでは,実際のところ、上述の溶接安全管理審査の業務を改善するのには,あまり役に立たない。その理由は次のとおりである。
溶接の施工業者が作成した溶接事業者検査用の溶接仕様書について、その溶接仕様が関連法令に適合しているかどうかを、電気工作物の設置者が確認する作業を想定してみる。その確認作業を初心者が担当することを考えると、まず、どのような手順で、何を確認すべきか、が分からない。たとえ、溶接事業者検査に関係する多くの法令がデータベース化されていたとしても、そのデータベースの中の、どの法令の、どの条文を確認すればよいのかが分からないのである。例えば、ある溶接工事が、そもそも溶接事業者検査の対象になるのかどうか、を調べたい場合に、どの法令の,どの条文を読めばよいのかが分からない。溶接事業者検査にある程度の経験がある人ならば、溶接事業者検査の対象となる電気工作物は「電気事業法施行規則第79条」に規定されている、ということを知っているので、法令データベースの中から該当条文を参照することができる。しかしながら、そのような知識のない人は、法令データベースが整備されていたとしても、該当の条文にたどりつくことができないか、あるいは、できたとしても多くの労力を要する。また、条文を読んでも判断に迷うことは多い。例えば、溶接事業者検査の基本となる電気事業法第52条第1項を読んでみると、溶接事業者検査の対象となる電気工作物は「経済産業省令で定める機械若しくは器具である電気工作物」となっているが、これだけでは、初心者にとっては、それがどのようなものであるのかが実質的には不明である。ある程度の経験者であれば、上述の「経済産業省令で定める機械若しくは器具である電気工作物」とは、電気事業法施行規則第79条に規定するものである、ということを知っているが、初心者にとっては、電気事業法第52条第1項の条文を読んだだけでは、そこまでは分からない。したがって、法令データベースが整備されていたとしても、十分な知識がなければ、その条文に記載されている実質的な内容を読みこなすことができない。
上述の溶接安全管理検査の確認作業のほかにも,法令に基づいた業務を実施する場合に同様な問題が生じる。すなわち,法令に基づいた業務において,どのような確認項目が必要であるのか,そして,その確認項目はどの法令を参照すべきなのか,といったことが,その業務に不慣れな人には,わからないことが多い。溶接に関係する業務についてだけ考えても,溶接工事の実施前に行う上述の溶接安全管理検査のほかにも,溶接工事の実施後に行う「使用前検査」や「定期自主検査」において,同様の問題が生じる。使用前検査とは,設備の建設後または新規設備取り付け後にその溶接工事が所定の技術基準に適合しているかどうかを確認するものである。また,定期自主検査とは,設備の使用中にその溶接工事が所定の技術基準に適合しているかどうかを確認するものである。
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、溶接安全管理検査の確認作業を実施するに当たって、そのような確認作業に不慣れな人でも、各確認項目の個々の判断箇所において、その判断に必要な関連法令を容易に参照できるようにした確認プログラムを提供することにある。本発明の別の目的は、そのような確認作業が完了した溶接工事の検査について、その確認結果を保存しておいて、必要に応じて過去の確認結果を検索・参照できるようにした確認プログラムを提供することにある。本発明のさらに別の目的は,法令に基づいた業務を実施するに当たって,その作業に不慣れな人でも、各確認項目の個々の判断箇所において、その判断に必要な関連法令を容易に参照できるようにしたプログラムを提供することにある。
本発明の溶接検査確認プログラムは,コンピュータに次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるためのプログラムである。(ア)検査すべき溶接工事の仕様の確認作業をオペレータが実行するための作業シートを画面に表示する機能。(イ)前記作業シートの中に,確認項目を記載した項目オブジェクトを表示する機能。(ウ)前記作業シートの中に,前記オペレータが前記確認項目についての入力作業をするための入力オブジェクトを表示する機能。(エ)前記作業シートの中に,前記入力作業に関係する法令の該当部分を前記オペレータが参照できる参照オブジェクトを表示する機能。
このプログラムは,さらに,次の(オ)乃至(キ)の機能を実現させるようにしてもよい。(オ)前記確認作業についての入力作業結果を,前記溶接工事を特定するための識別情報とともに記憶装置に保存する機能。(カ)前記識別情報に基づいて前記溶接工事を検索して,該当する溶接工事の一覧を画面に表示する機能。(キ)前記溶接工事の一覧の中から選択された溶接工事について前記入力作業結果を画面に表示する機能。
本発明は,検査すべき溶接工事の仕様の確認作業のほかに,一般に,法令に基づいた業務についての支援をするための業務支援プログラムとすることもできて,次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるプログラムとすることができる。(ア)法令に基づいた業務を支援するための作業シートを画面に表示する機能。(イ)前記作業シートの中に,確認項目を記載した項目オブジェクトを表示する機能。(ウ)前記作業シートの中に,前記オペレータが前記確認項目についての入力作業をするための入力オブジェクトを表示する機能。(エ)前記作業シートの中に,前記入力作業に関係する法令の該当部分を前記オペレータが参照できる参照オブジェクトを表示する機能。
この業務支援プログラムは,特に,溶接に関係する業務を支援するものであり,溶接工事の実施前の「溶接安全管理検査」のほかに,溶接工事の実施後の「使用前検査」や「定期自主検査」の業務の支援にも用いることができる。
上述の「入力作業」には,キーボードから文字を打ち込む作業のほかに,マウスを用いて複数の選択肢の中から適切なものを選択する作業や,マウスを用いてチェックボックスにチェックをする作業なども含んでいる。
前記参照オブジェクトとしては,法令の該当部分の文章をそのまま作業シート内に記述した記述式の参照オブジェクトと,法令の該当部分へのリンクとなっているリンク式の参照オブジェクトのいずれかを用いることができる。
前記参照オブジェクトが参照する法令の該当部分の文章中には,当該法令の文章に含まれていない少なくともひとつの追加語句を挿入することができる。そして,その追加語句を当該追加語句に関係する別の法令事項にリンクすることができる。追加語句ではなくて,法令の該当部分の文章中の語句についても,当該語句に関係する別の法令事項にリンクすることができる。
また,本発明の記録媒体は,上述のようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明によれば,溶接安全管理検査の確認作業を実施するに当たって、そのような確認作業に不慣れな人でも、各確認項目の個々の判断箇所において、その判断に必要な関連法令を容易に参照できる。また,この確認プログラムに沿って作業を進めれば,確認すべき事項を見落とすことなく,確認作業を確実に実行することができる。さらに,そのような確認作業が完了した溶接工事について、その確認結果を保存しておいて、必要に応じて過去の確認結果を検索・参照することができる。さらには,法令に基づいた業務を支援するための業務支援プログラムにおいても,同様に,その業務に不慣れな人でも,各確認項目の個々の判断箇所において、その判断に必要な関連法令を容易に参照できる。
以下,添付図面を参照して,本発明の実施例を詳しく説明する。この実施例の溶接検査確認プログラムは,電気事業法第52条の「溶接安全管理検査」のうちの「溶接事業者検査」に関するものであり,溶接の施工業者が作成した溶接事業者検査用の溶接仕様書について、その溶接仕様が関連法令に適合しているかどうかを、電気工作物の設置者が確認する作業をするためのプログラムである。
図33は本発明の溶接検査確認プログラムを読み込んだ状態のコンピュータの基本的な構成図である。溶接検査確認プログラムは,コンピュータに読み取り可能な記録媒体10(例えば,CD−ROM)に格納された状態でユーザに提供される。この記録媒体10を読取装置12(例えば,CD−ROMドライブ)で読み取って,コンピュータにインストールする。コンピュータは,基本的な構成要素として,上述の読取装置12のほかに,中央処理装置14,記憶装置16,キーボードやマウスからなる入力装置18,及び,表示画面を有する表示装置20を備えている。溶接検査確認プログラムをインストールすると,記憶装置16には,法令データベース,用語集ファイル,質疑応答集ファイル,及び,参考資料ファイルが格納され,さらには,確認実績ファイルのための記憶領域が確保される。
プログラムの提供方法としては,上述のように記録媒体に格納したものをユーザに提供することのほかに,ネットワークを介してダウンロードにより提供してもよい。
図31は本発明の一実施例の溶接検査確認プログラムを用いてオペレータが作業をするときの作業画面の概略の流れを示す画面流れ図である。このプログラムを起動すると,最初に,溶接データベースシステムメニューの画面が出て,その画面上で,オペレータは,溶接事業者検査メニュー,安全管理審査メニュー,民間認証メニュー,及び,共通メニューを選択できる。共通メニューを選択すると,法令集と参考資料を選択できる。溶接事業者検査メニューを選択すると,そのメニュー画面で,溶接事業者検査対象箇所判定マップ,実績検索,法令集,及び,参考資料の四つの選択肢を選択できる。溶接事業者対象箇所判定マップを選択すると,溶接事業者対象箇所入力メニューが現れて,そこでは,溶接工事を特定するための識別情報を入力できる。識別情報の入力が完了すると,溶接事業者検査対象判定メニューが現れて,その溶接工事が電気事業法第52条の「溶接安全管理検査」の対象になるかどうかを判定する作業をすることができる。検査対象であることを確認すると,溶接事業者検査対象項目メニューが現れる。このメニュー以降において,検査すべき溶接工事の具体的な仕様を確認していくことになる。溶接事業者検査対象項目メニューの画面には,材料,開先,溶接,溶接後熱処理,非破壊試験,機械試験,及び,耐圧・外観の7個の作業シートを選択できる。さらには,入力作業結果を作成・表示するための結果確認と,安全管理審査評定結果も選択できる。材料から耐圧・外観までの7個の作業シートについては,それぞれの確認作業が終了すると,溶接事業者検査対象項目メニューに戻るようになっている。そこから,さらに別の確認用作業シート等を選択できる。
以下,具体的な画面表示を参照しながら,このプログラムの機能を説明する。図3は,最初に現れる溶接データシステムメニューの画面である。このメニューでは,溶接安全管理検査に関連する3種類の「溶接事業者検査」「溶接安全管理審査」「民間製品認証制度」の確認作業を実施するための3種類のメニュー,すなわち,「溶接事業者検査メニュー」「安全管理審査メニュー」及び「民間認証メニュー」と,「共通メニュー」のボタンが表示される。それらのボタンをクリックして選択することで,該当する作業に移行する。このうち,「溶接事業者検査メニュー」を選択すると,図4の溶接事業者検査メニューの画面が現れる。
図4の溶接事業者検査メニューでは,「溶接事業者検査対象箇所判定マップ」「実績検索」「法令集」及び「参考資料」のボタンが表示される。それらのボタンをクリックして選択すると,該当する機能の画面に移行する。このうち,「溶接事業者検査対象箇所判定マップ」のボタンが,溶接事業者検査の確認作業に入る画面である。「実績検索」のボタンは,過去に確認作業を実施した溶接工事の入力作業結果を検索・表示する作業に移行するためのボタンである。「法令集」のボタンは,法令データベースを検索する作業に移行するボタンである。「参考資料」のボタンは,参考資料を表示するボタンである。「メニューに戻る」のボタンをクリックすると,図3の画面に戻る。
図4の「溶接事業者検査対象箇所判定マップ」のボタンをクリックすると,図5の溶接事業者検査対象箇所入力メニューの画面が現れる。この画面では,オペレータが,確認作業の対象となる「検査する溶接工事」を特定するための識別情報を入力する。検査する溶接工事とは,例えば,溶接の施工業者が作成した溶接事業者検査用の溶接仕様書に記載されている溶接工事である。この溶接仕様書に基づいて,以下の入力作業を実行する。図5の「対象設備」の右側の入力ボックスには,対象設備の名称を入力する。入力ボックスの右側に「リスト」と記載してあるものは,あらかじめ用意してある複数の選択肢の中から適切なものを選択することで入力作業ができることを意味している。すなわち,対象設備の入力ボックスをクリックすると,選択肢のリストが表示されるので,その中から「B:ボイラ」を選択することで,入力ボックス内に「B:ボイラ」と入力できる。同様にして,「設備種別」「事業所」「発電所」「ユニット」の各ボックスに,所定の選択肢の中から選択することで,該当項目を入力する。「施工工場」の右側の入力ボックスには,オペレータがキーボードから文字を打ち込んで,例えば,「A重工業 B工場」と入力する。入力ボックスの右側に「入力」と記載してあるものは,キーボードから直接文字を打ち込んで入力することを意味している。同様にして,「工期(西暦)」「図面番号」「図面名称」「一覧表No」「一覧表名称」の各項目を入力する。
図6は図5の画面の続きであり,図5の画面を下方にスクロールすることで現れる画面である。この画面において,さらに,「関連図面の有無」について,その有無を選択し,これで識別情報の入力が完了する。次に,「溶接事業者検査条件入力」のボタンをクリックすると,図7の画面が現れる。
図7は溶接事業者検査対象判定メニューの一部(上部)の画面である。この画面は,オペレータが,関係法令を参照しながら,実際に確認作業をするための画面である。そのような作業領域を作業シートと呼ぶことにする。この作業シートの画面では,最初の確認項目として「1.機械又は器具の分類」という表記が表示されている。そして,その右側にその確認項目についての入力ボックスが表示されている。また,その下方に,「電気事業法施行規則の第79条」の条文の文章と,「電気工作物の溶接の技術基準の解釈の第1条」の条文の文章が,そのまま作業シート中に記述されている。オペレータは,これらの条文を読むことで,今回の溶接工事の対象であるボイラーが,溶接事業者検査の対象であることを理解できる。そして,そのように理解した上で,上述の入力ボックスにおいて,選択肢の中から「ボイラ等」を選択することができる。
「電気工作物の溶接の技術基準の解釈の第1条」の条文を記述した領域内の右下には「解説の解釈へ」というボタンがあり,このボタンは「解説の解釈」にリンクしている。このボタンをクリックすることで,「解説の解釈」を画面に表示して,それを読むことができる。この場合,現在の作業シートが消えて,「解説の解釈」の画面が現れる(このような画面の現れ方を,画面移行タイプと呼ぶことにする)。元の作業シートの画面に戻すには,画面の上部に常に現れているツールバーの中の「戻る」ボタンをクリックすればよい。なお,リンク先の関係法令を画面に表示する方法として,現在の作業シートの画面を消さずに,別のウインドウを開いて関係法令を表示するようにしてもよい(このような画面の現れ方を,追加ウインドウタイプと呼ぶことにする)。その場合は,元の作業シートのウインドウをクリックしてその画面を手前に出して,作業シートによる確認作業を続行することができるし,また,関係法令のウインドウを閉じて,作業シートのウインドウだけを残すこともできる。
図7の作業シートにおいて,「1.機械又は器具の分類」という表記が本発明における「項目オブジェクト」に該当する。また,「1.機械又は器具の分類」の右側に配置した入力ボックスが本発明における「入力オブジェクト」に該当し,その下方における該当条文の記述が本発明における「参照オブジェクト」に該当する。なお,参照オブジェクトには,このような記述式の参照オブジェクトのほかに,後述するリンク式の参照オブジェクトも存在する。
図7の作業シートにおいて,右上には,「用語集へ」のボタンと,「QA集へ」のボタンがある。「用語集へ」のボタンをクリックすると,図24に示すような用語集の画面が現れる。一方,「QA集へ」のボタンをクリックすると,図25に示すような質疑応答集(QA集)の画面が現れる。いずれの場合も,画面移行タイプで表示される。図25の質疑応答集の画面では,「電気事業法の溶接検査等に関する質疑応答集」と「電気工作物の溶接安全管理検査に係る質疑応答集」のボタンがあり,そのいずれかをクリックすると,該当する質疑応答集が開く。例えば,図26は「電気事業法の溶接検査等に関する質疑応答集」のボタンをクリックしたときに現れる画面である。図7における「用語集へ」と「QA集へ」のボタンは,特定の確認項目に対応しているものではなくて,必要に応じて,オペレータが参照できるものである。
図7の作業シートにおいて,この画面の下方には,別の確認項目として「最高使用圧力」や「内部流体」があり,その右側には,該当する入力ボックスがある。そして,その下方には(この画面では見えないが),電気事業法施行規則の第80条の条文が記述されている。この条文には,最高使用圧力についての規定が記載されている。オペレータは,例えば,最高使用圧力の項目の入力ボックスに圧力の数値を記載し(溶接の施工業者が作成した溶接事業者検査用の溶接仕様書から数値を拾い出して記載する),かつ,該当条文を読むことで,その最高使用圧力が溶接事業者検査の対象であることを確認できる。
図8は,図7の作業シートを下方にスクロールしたときの画面を示している。この画面では「4.連続した穴」について「穴の直径」と「補強を要する穴」のいう確認項目が表記されている。その右側には,該当する入力ボックスが配置されている。この確認項目についても,それに該当する条文として,電気事業法施行規則の第83条の条文が,作業シート内に記述されている。さらには,関連情報として,「電気工作物の溶接安全管理検査に係る質疑応答集(II−1−82−2)」の語句にリンクが張られている。この語句をクリックすると,該当する質疑応答集を表示することができる。これらの法令を参照することで,「4.連続した穴」についての確認項目が溶接事業者検査の対象であることを確認できる。なお,リンクが張られている語句は,本件出願の図面では,その語句に下線を付けて表示している。
この「4.連続した穴」の確認項目については,法令の該当部分を参照する参照オブジェクトとして,2種類の参照オブジェクトが使われている。電気事業法施行規則の第83条の条文を記述している部分は,記述式の参照オブジェクトであり,「電気工作物の溶接安全管理検査に係る質疑応答集(II−1−82−2)」については,リンク式の参照オブジェクトである。
図8の画面の一番下には,「溶接事業者検査対象」と「溶接事業者検査対象外」のボタンがある。この作業シートにおける確認作業の結果として,今回の溶接工事が,法令に照らして,溶接事業者検査の対象であることが確認できた場合は,「溶接事業者検査対象」をクリックする。その場合は,確認作業が続行して,図9の溶接事業者検査対象項目メニューの画面に移行する。一方,溶接事業者検査の対象外であることが確認できた場合は,「溶接事業者検査対象外」のボタンをクリックする。その場合は,図3の溶接データベースシステムメニューへ戻る。
図9は溶接事業者検査対象項目メニューの画面である。このメニューには,7種類の作業シートに移行するボタン,すなわち「材料」「開先」「溶接」「溶接後熱処理(PWHT)」「非破壊試験(NDT)」「機械試験」「耐圧・外観」の各ボタンが配置されている。さらに,「結果確認」のボタンと,「安全管理審査評定結果」「TOPメニュー」「入力完了」の各ボタンがある。上述の7種類の作業シートでの確認作業が終了してから,「結果確認」のボタンをクリックすると,図20の確認実績表が表示される。この確認実績表は入力作業結果をまとめたものである。図9の「安全管理審査評定結果」ボタンをクリックすると,図28の評定結果が表示される。図9の「TOPメニュー」のボタンをクリックすると,図3の溶接データベースシステムメニューに戻る。図9の「入力完了」ボタンをクリックすると,図4の溶接事業者検査メニューに戻る。
図9の7種類の作業シート用のボタンのうち,まず,「材料」のボタンをクリックすると,図10の検査対象項目確認(材料)の画面になる。この画面は,溶接工事の「材料」に焦点を当てた作業シートである。この作業シートには,項目オブジェクトとしては,例えば,「材質1」「該当規格番号」「化学成分範囲(規格値)」「母材部の外径(mm)」「母材部の厚さ(mm)」が配置されている。また,入力オブジェクトとしては,例えば,上述の項目オブジェクトの右側に配置されている入力ボックスがある。さらに,記述式の参照オブジェクトとしては,「電気工作物の溶接の技術基準の解釈の第14条」がある。また,この作業シートには,「日本工業規格(JIS)」へのリンクや,「火力発電設備材料」や「材料記号新旧比較表」へのリンクが配置されている。所定の確認事項への入力が完了したら,「入力完了」ボタンをクリックする。すると,図9の溶接事業者検査対象項目メニューに戻る。
図11は,図9の「開先」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図12は,図9の「溶接」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図13は,図9の「溶接後熱処理(PWHT)」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図14は図13の画面を下方にスクロールしたときに現れる画面である。図15は,図9の「非破壊試験(NDT)」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図16は,図9の「機械試験」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図17は図16の画面を下方にスクロールしたときに現れる画面である。図18は,図9の「耐圧・外観」ボタンをクリックしたときに現れる作業シートの一部(上部)である。図19は図18の画面を下方にスクロールしたときに現れる画面である。
上述の図11から図19までのいずれの作業シートの画面においても,同一の作業シートの中に,本発明における項目オブジェクト,入力オブジェクト,及び,参照オブジェクトが配置されていて,参照オブジェクトを用いて関係法令の記述を参照しながら,各確認項目が所定の法令事項に適合していることを確認した上で,その内容を入力オブジェクトに入力できる。
図11の作業シートでは,リンク式の参照オブジェクトとして,例えば「別図第1(1)」が配置されているが,この「別図第1(1)」は,「電気工作物の溶接技術基準の解釈の第13条」の条文中に出てくるものであり,この「別図第1(1)」も本発明における「法令の該当部分」に該当する。図12の「別表第1」なども同様である。
図10から図19に示す7種類の作業シートについて確認・入力作業が完了すると,入力すべき作業は終了する。このような一連の作業シートを使うことにより,確認すべき項目の見落としがなくなり,必要な確認事項のすべてについて,順次,チェックをすることができる。確認・入力作業が完了したら,図9の「結果確認」のボタンをクリックする。すると,それまでの入力作業結果が,図5の画面で入力した識別情報とともに,記憶装置に保存されるとともに,図20に示すように,これまでの入力作業結果をまとめた確認実績表が現れる。図20は確認実績表(1/2)の一部(上部)である。この画面を下方にスクロールしていくと,図21の確認実績表(2/2)に続いていく。
次に,過去に作成した確認実績表を検索・表示する機能を説明する。図4の溶接事業者検索メニューにおいて「実績検索」ボタンをクリックすると,図28の実績検索の画面が現れる。図29は図28を下方にスクロールしたときの画面である。この検索画面を用いて,過去に作成した確認実績表を検索することができる。検索項目としては,図5の溶接事業者検査対象箇所入力メニューで入力したさまざまな識別情報を利用できる。図28の画面の例では,「設備別」「発電所別」「メーカ別」「材質」「溶接方法」「機械または器具の種別」「継手種別」の各項目について,そのなかの特定の識別情報をクリックすることで,該当する確認実績表の一覧表を出すことができる。例えば,図28において,「発電所別」の項目の中の「C」をクリックすると,図30に示すように,C発電所の溶接工事について,過去に作成した確認実績表の一覧表が画面に表示される。管理番号の項目に記載された各識別情報には下線が付いているので,この識別情報をクリックすると,該当する確認実績表が図20に示すように画面に表示される。図30において,「戻る」ボタンをクリックすると,図28の検索画面に戻る。
次に,その他の機能を説明する。特定の溶接工事の確認作業とは独立して,溶接事業検査に関係する法令を調べたいときは,図4の溶接事業者検査メニューにおいて,「法令集」ボタンをクリックする。すると,図22の溶接安全管理検査関係法令集の画面が現れる。この法令集は,溶接安全管理検査に関係する法令を集めたデータベースである。この画面において,例えば,電気事業法の第52条をクリックすると,図23の画面が現れる。この画面は,電気事業法の第52条の条文を表示するものであるが,条文を単に記述したものとは異なり,以下に述べる独特の工夫が施されている。
この第52条の第1項において,画面の第1行に出てくる「経済産業省令」のあとに「電気事業法施行規則第79条」の語句がカッコ書きで挿入されているが,この語句は同第1項の条文には存在しないものである。「経済産業省令」だけでは,それが,どの規定を指しているのか分からないので,この法令データベースでは,このように理解しにくい箇所には,適切な語句を挿入して,さらに,その挿入語句にリンクを張っている。すなわち,「電気事業法施行規則第79条」の語句をクリックすれば,該当する法令事項を表示できるようになっている。このような工夫により,法令の内容を迅速かつ容易に理解できる。また,図23の画面の一番下の行に「第五十条の二」という語句があり,この語句は条文にもともと記載されているものであるが,この語句にもリンクが張られていて,これをクリックすることで,該当する法令事項を表示できるようになっている。このような「条文番号」を示す語句だけはなくて,それ以外の条文中の語句についても,同様に,該当する法令事項にリンクを張ることができる。
以上の説明は,図4の溶接事業者検査メニューで「法令集」ボタンをクリックしたときの説明であるが,作業シート中の参照オブジェクトから参照する法令についても,図22及び図23に示すのと同じ法令データベースを用いているので,作業シートにおける確認作業においても,上述のような工夫が施された状態で関係法令を参照することができる。
図4の溶接事業者検査メニューにおいて,「参考資料」ボタンをクリックすると,図27の参考資料の画面が現れる。この参考資料では,「P区分ごとの該当材料」の項目では,各材料のデータを見ることができる。また,「リンク集」の項目では,参照したいデータまたは事業者等について,そのホームページを見ることができる。なお,このリンク集の機能を有効に働かせるためには,このプログラムを動作させているコンピュータをインターネットに接続しておくことが必要である。
以上の説明は,溶接事業者検査のための溶接検査確認プログラムの例であるが,本発明のプログラムは,一般に,法令に基づいた任意の業務を支援するような業務支援プログラムとすることができる。その場合には,その業務に特有な確認項目を画面に表示できるようにして,その確認項目の入力作業に関係する法令の該当部分をオペレータが参照できるようにする。
10 記録媒体
12 読取装置
14 中央処理装置
16 記憶装置
18 入力装置
20 表示装置
12 読取装置
14 中央処理装置
16 記憶装置
18 入力装置
20 表示装置
Claims (9)
- コンピュータに次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるための溶接検査確認プログラム。
(ア)検査すべき溶接工事の仕様の確認作業をオペレータが実行するための作業シートを画面に表示する機能。
(イ)前記作業シートの中に,確認項目を記載した項目オブジェクトを表示する機能。
(ウ)前記作業シートの中に,前記オペレータが前記確認項目についての入力作業をするための入力オブジェクトを表示する機能。
(エ)前記作業シートの中に,前記入力作業に関係する法令の該当部分を前記オペレータが参照できる参照オブジェクトを表示する機能。 - 請求項1に記載のプログラムにおいて,コンピュータにさらに次の(オ)乃至(キ)の機能を実現させることを特徴とするプログラム。
(オ)前記確認作業についての入力作業結果を,前記溶接工事を特定するための識別情報とともに記憶装置に保存する機能。
(カ)前記識別情報に基づいて前記溶接工事を検索して,該当する溶接工事の一覧を画面に表示する機能。
(キ)前記溶接工事の一覧の中から選択された溶接工事について前記入力作業結果を画面に表示する機能。 - コンピュータに次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるための業務支援プログラム。
(ア)法令に基づいた業務を支援するための作業シートを画面に表示する機能。
(イ)前記作業シートの中に,確認項目を記載した項目オブジェクトを表示する機能。
(ウ)前記作業シートの中に,前記オペレータが前記確認項目についての入力作業をするための入力オブジェクトを表示する機能。
(エ)前記作業シートの中に,前記入力作業に関係する法令の該当部分を前記オペレータが参照できる参照オブジェクトを表示する機能。 - 請求項3に記載のプログラムにおいて,前記業務は溶接に関係する業務であることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載のプログラムにおいて,前記参照オブジェクトは前記法令の該当部分の文章の記述であることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載のプログラムにおいて,前記参照オブジェクトは前記法令の該当部分へのリンクであることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載のプログラムにおいて,前記参照オブジェクトが参照する法令の該当部分の文章中に,当該法令の文章に含まれていない少なくともひとつの追加語句が挿入されていて,その追加語句が当該追加語句に関係する別の法令事項にリンクされていることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から4までのいずれか1項に記載のプログラムにおいて,前記参照オブジェクトが参照する法令の該当部分の文章中の少なくともひとつの語句が当該語句に関係する別の法令事項にリンクされていることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から8までのいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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