第1の発明は、移動するロボットと、このロボットを充電する充電ステーションとを備え、充電ステーションは、この充電ステーションの位置をロボットに通知するための光を発信する発信手段と、ロボットを充電する充電手段と、充電時にロボットが乗り上げる充電ステーション台を有し、前記ロボットは、充電手段により充電される電池と、ロボットを移動させる移動手段と、前記発信手段で発信された光を受信する受信手段と、受信手段で受信された光の情報から移動手段を制御するコントロール手段を有し、前記発信手段は主として垂直方向に光りを発信するように充電ステーション台に設け、受信手段はロボットの底面に設けた移動ロボットシステムとすることにより、発信手段の垂直方向の光りをロボットの底面の受信手段で受信するという簡単な構成により、環境光などの外乱の影響を受けにくくして、ロボットを充電ステーションに正確に移動することができ、同時に水平方向に広範囲にわたり光を発光するものではないため、他の機器への影響を少なくすることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、受信手段はロボットの底面の中央に設けたことにより、ロボットのボディによって環境光を遮るので環境光の影響を受けにくく、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、充電ステーション台は、線状に光道を設けて発信手段を構成したことにより、少ない発信手段で有効に発光させることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、光道は、透過型の樹脂またはガラスより構成したことにより、安価な構成とすることができる。
第5の発明は、特に、第1または第2の発明において、発信手段は複数の発信素子で構成するとともに、各発信素子の光の強弱または周波数を制御する光制御手段を備えたことにより、ロボットは受信手段の受信状態に応じて、移動速度の制御を行う、あるいは動作を変化させることで、正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、受信手段は受信光の色識別を可能としたことにより、ロボットは受信手段によって受信した色の違いにより、移動速度の制御を行う、あるいは動作を変化させることで、正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、発信手段は直線上に2つ設け、受信手段は直線上の2つの光を受信するように2つ設けたことにより、ロボットが移動中であっても、このロボットと充電ステーションとの相対位置を検知して、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第8の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、発信手段は直線上に1つ設け、受信手段は90度異なる2つの場合の両方において発信手段における直線上の1つの光を受信する位置に1つ設けたことにより、少ない受信手段と発信手段で、ロボットが移動中であっても、このロボットと充電ステーションとの相対位置を検知して、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第9の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、発信手段は直線上に1つ設け、受信手段はその場で回転しても発信手段における直線上の1つの光を受信するようロボットの中心位置に設けたことにより、ロボットがその場で回転しても、1つの受信手段でこのロボットと充電ステーションとの相対位置を検知し、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第10の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、発信手段は直線上に2つ設け、受信手段は発信手段における直線上の1つの光を受信する位置と90度回転した際に他の1つの光を受信する他の位置とに2つ設けたことにより、ロボットと充電ステーションとの相対位置を検知し、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第11の発明は、特に、第1〜第10のいずれか1つの発明において、受信手段は任意の角度で受信素子を複数配置したことにより、ロボットと光の直線に対する縦軸方向および横軸方向の相対位置を検知し、正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第12の発明は、特に、第11の発明において、複数の受信素子のうち1つは受信手段の中心に配置したことにより、中心に配置した受信素子の受信状態を最大になるようにロボットを移動させ、正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第13の発明は、特に、第11の発明において、複数の受信素子を45度の角度で配置したことにより、ロボットと光の直線に対する縦軸方向および横軸方向の相対位置を同じレベルで検知し、正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
第14の発明は、特に、第1〜第13のいずれか1つの発明において、発信手段で発信する光は、可視光、赤外線、紫外線またはレーザ光であることにより、移動ロボットシステムとしては長期にわたり省電力の充電ステーションを得ることができる。
第15の発明は、特に、第1〜第14のいずれか1つの発明において、発信手段で発信する光は、特定の周波数変調を行うようにしたことにより、環境光に対する影響を少なくすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1における移動ロボットシステムの構成を示している。
本実施の形態における移動ロボットシステムは、移動するロボット100と、このロボット100を充電する充電ステーション110とを備えている。
充電ステーション110は、この充電ステーション110の位置をロボット100に通知するための光を発信する発信手段111と、ロボット100を充電する充電手段112と、充電時にロボットが乗り上げる充電ステーション台115を有している。
また、ロボット100は、充電手段112により充電されロボットの駆動に必要な電力を供給する電池104と、ロボット100を移動させる駆動輪などの移動手段103と、発信手段111で発信された光を受信する受信手段102と、受信手段102で受信された光の情報から少なくとも移動手段103の走行制御を行うマイクロ・コンピュータからなるコントロール手段101を有している。
そして、発信手段111は主として垂直方向に光りを発信するように充電ステーション台115に設け、受信手段102はロボット100の底面に設けている。
ここで、充電ステーション110の発信手段111の発信した光を、ロボット100の受信手段102で受信することで、コントロール手段101によって、移動手段103を制御することにより、ロボット100を充電ステーション110の予め決められた位置へ移動するものである。
なお、コントロール手段101は、例えば、CPU、メモリで構成されており、受信手段102で受信した信号から、移動手段103への制御信号を生成する。構成としては、他にも、CPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSPなどの他の演算可能なものであっても構わない。また、HDDやDVDやフラッシュメモリなどの記録装置と一緒に構成することで、メモリ容量を大量に利用するような複雑な処理をすることも可能にすることができる。
受信手段102は、例えば、発信手段111の発光する光を受信することが可能な、フォトトランジスタ、フォトダイオード、Cdsセル、CCDなどの光を受信するセンサであり、発信手段111の発光の光量や周波数特性に合わせた特性を持つものである。また、ロボット100の底面に配置する受信手段102の場所は、充電ステーション110の発信手段111の位置と移動のパターンから決めることができる。このとき、ロボット100の底面の中央に備え付けることにより、ロボット100のボディによって環境光を遮るので、環境光などの外乱の影響を少なくすることが可能である。また、備え付けた受信手段102のまわりに、水平方向からの光を遮光する構造を設置することで、水平方向からの外乱光の影響を減らし、垂直方向への感度を高めることが可能である。
移動手段103は、例えば、2つのモータと2つの駆動輪を左右に水平に配置するように構成することで、コントロール手段101からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、移動手段103が動作して、ロボット100が移動する。また、移動手段103は、モータと駆動輪の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものや、利用するモータは、リニアモータなど物理的な動作が可能なものであれば構わない。
電池104は、例えば、ニッケル水素2次電池にすることで、ロボット100への電力の供給、および充電手段112による充電が可能である。他にも、ロボット100への電力が供給可能で、充電できるものであれば、ニッケルカドミウム2次電池、リチウムイオン2次電池、リチウムポリマー2次電池、燃料電池などでも構わない。
発信手段111は、例えば、赤色のLEDにすることで、受信手段102が受信可能な光を発光することができる。他にも、受信手段102が受信可能であれば、白色などの他色のLEDや、赤外線LEDや、レーザや、蛍光管や、無機ELや、有機ELなどであってもよく、素子の価格や入手し易さを考慮して、受信と発光の組み合わせにより選定することが可能である。また、発信手段111を配置する場合に、発信手段111を充電ステーション台115のより深い場所(充電手段112側)に配置することで、高さ方向である垂直方向の発光を強化させ、水平方向に出る光を減らすことができるので、垂直方向の精度を上げることが可能である。
充電手段112は、外部から電源供給されており、電池104へ電力となるエネルギーを供給する。これは、例えば、電圧を発生させる2つ以上の端子にすることで、2次電池への電力の供給が可能になる。電圧は、電池104の特性に合わせて設定する。さらに、電池104内の温度を計測するためのサーミスタなどのセンサと接続される端子を組み合わせることで、充電時の電池104への過充電を防ぐことが可能になる。また、流した電流と、充電した時間を記憶しておくことで、適切な充電処理を行うことが可能になる。また、充電手段112は、2つ以上の端子以外に、電池104に電力となるエネルギーを供給することができるものであればよく、例えば、電磁誘導を利用することで、2次電池へ電力を供給する構成や、燃料を注入する装置にすることで、燃料電池へ燃料を供給するものであっても構わない。
次に、ロボット100が充電ステーション110へ移動する場合について、図2、図3に基づいて説明する。
まず、S201にて発信手段111の発信した信号を、受信手段102にて受信するまで、探索行動を行う。探索行動は、例えば、右あるいは左の壁沿いに一定の距離を保ちながら移動する壁沿い行動であったり、壁や障害物を見つけるまで直進して、見つけた場合にランダムな方向に移動するランダム行動であったり、らせん状に旋回することで回転半径を大きくして行くらせん行動であったり、ある一定の距離ごとに角度を変化させるジグザグ行動であったり、記憶してある位置情報を使って移動する位置移動行動であったり、カメラやGPSや超音波などの他のセンサを利用して移動するセンサ受信行動である。図3(a)の例では、S201における壁116沿い行動している場合の、ロボット100および充電ステーション110の構成を示している。
S202では、受信手段102が受信していない場合は、S201に移行し探索行動を続ける。受信手段102が受信した場合は、S203へ動作を移行する。図3(b)の例では、S202における、受信手段102が発信手段111の光を受信した状態を示している。
S203では、ロボット100の回転動作を実行する。S204では、再度受信手段102が受信していない場合は、S203に移行し回転動作を続ける。受信手段102が受信した場合は、S205へ動作を移行する。例えば、図3(c)に示すように、受信手段102が発信手段111の光を再度受信するまで、左回転をしている。ここで回転方向は、右回転であってもよく、受信手段102が短距離で受信する方向に回転することで、動作を少なくすることができるため、より動作誤差を少なくすることができる。
S205では、ロボット100の後退動作を実行する。S206では、ロボット100が充電ステーション110と接続していない場合は、S205に移行し後退動作を続ける。ロボット100が充電ステーション110と接続した場合に、動作が終了する。図3(d)の例では、後退行動を行い、充電手段112と電池104が接続している状態を示している。なお、充電手段112と電池104の接続は、電池104によって、例えば、接続時に通電されるため、電圧あるいは電流の変化から検知することができる。また、例えば、電池104にスイッチなどのセンサを設けることで、接続を検知することが可能になる。
なお、本実施の形態では、光を探索する行動と、回転行動と、後退行動を組み合わせた例を示したが、他にも、発信手段111の配置、受信手段102の配置、および前進、後退、右旋、左旋、右回り、左回りなどの行動を複数組み合わせることによって、任意の位置にロボット100を移動させることが可能である。
本実施の形態では、発信手段111を、ロボット100が充電時に充電ステーション110の乗り上げる充電ステーション台115に備え付けることで、水平方向にある他の光を受信する素子への影響を少なくしながら、充電ステーション110の位置をロボット100に通知する。さらに、ロボット100の底面に受信手段102を備え付けることで、環境光の影響を受けにくく、かつ、発信手段111で発信された光を受信する。この構成によって、ロボット100を正確に充電ステーション10の充電位置まで移動することが可能となる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における移動ロボットシステムの充電ステーションの構成を示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、充電ステーション台115に備える発信手段111を、透過型の樹脂またはガラスより構成した光道111aと、その側面部に設置した発光LEDなどの発信素子111bとで構成したものであり、例えば、赤色LEDなどの、少ない発信素子で、線状に光の道を作ることができる。これにより、正確に充電ステーション110の充電位置までロボット100を移動することができる。
図4(a)は、発信手段111の光道111aを一直線上に透過樹脂で構成し、充電ステーション110の側面方向から、例えば、赤色LED、赤外線LED、レーザなどの発信素子111bを備え付けたものであり、透過樹脂内を光が通ることで、光道を作っている。このように構成することで、直線に複数の発信素子111bを備えなくても、直線に光の信号を発信することが可能になる。なお、光を通す樹脂の底面に反射板や、樹脂に細い線上の溝111cを入れることで、光を反射あるいは、拡散させる構成にすることができ、上面に発光する光の量を増やすことが可能となる。また、溝111cの入れる箇所を強く発光させたい場所に任意の場所に設定することで、柔軟に構成を変えることが可能になる。また、ロボット100は前進あるいは後退方向に動作しながら、受信手段102の受信した線上の光を追従していくことで、正確に直線を進むことが可能になる。
図4(b)は、発信手段111の樹脂を放射状(末広がり)に配置した例である。このように構成することで、少しずつ光を絞ることが可能になる。この構成例では、充電手段112に近づくほど光を絞ることで、精度を高めることができる。なお、任意の場所の透明樹脂を細く構成して光を絞ることで、容易に精度の調整が可能になる。
図4(c)は、発信手段111の樹脂を曲線に配置した例である。発信素子111bは1つのみであってもよい。このように構成することで、ロボット100は前進あるいは後退方向に動作しながら、受信手段102の受信した線上の光を追従していくことで、曲線上に正確に動作させることが可能となる。なお、曲線は一例であり、透明樹脂を任意の形状に形成することで、容易にロボット100を任意の位置まで移動させることが可能になる。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における移動ロボットシステムの充電ステーションの構成を示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111が複数の発信素子111bから光を発信するようにし、さらに発信する光の強弱あるいは発信する光の周波数を制御する光制御手段113を備えることで、ロボット100が、受信手段102の受信状態に応じて、移動速度の制御を行う、あるいは動作を変化させるものである。
図5(a)は、直線に複数の発信素子で構成された発信手段111を設置した充電ステーション110の例を示している。複数の発信素子は、光制御手段113によって発光を制御される。ここで、光制御手段113は、例えば、マイクロ・コンピュータやFPGAやDSPなどのような制御処理が可能な半導体装置や、電子部品を組み合わせた制御回路などにより、電圧あるいは電流の制御によって光の強度を変化または、発信する周波数の制御を行うものである。また、発信素子に光の強度や周波数を設定する光制御手段113を組み込むと、制御信号用の配線117を不要にすることも可能である。ロボット100は、受信手段102によって受信した光の強度や周波数を、コントロール手段101で識別し、光の強度や周波数に対して、予め決めてある走行速度または行動を変化させる。例えば、発信手段111の発信素子を、充電ステーション110の充電手段112に近づくにつれて、光の強度を強くするように配置し、ロボット100は、光の強度が強い場合は、走行速度を遅くするように、予めコントロール手段101の制御処理に記憶させておくことで、充電手段112に近づくにつれて、走行速度を遅くすることができ、接続時に正確に接続したり、静かに接続したりすることが可能である。また、精度の必要の無い移動区間の走行速度を早めることで、よりすばやく接続することが可能になる。
図5(b)は、所定の位置に2つ発信手段111を設置した場合の例である。ロボット100は、予め光の強さや周波数によって、行動を変化させるようにしておくことで、例えば、受信手段102が左上の発信手段111にて受信した場合、90度回転させ、受信手段102は右下の発信手段111まで移動する。そこで、ロボット100を後退させることで、充電手段112に接続するようにすることが可能である。
また、図4(a)のように、光を透過させる樹脂の側面から発信素子を光らせて、光道を作った場合は、発信素子の近傍の樹脂から発光される光がより強い光を発信することを利用することで、光の強度により、速度制御あるいは行動制御を行い、ロボットを正確に、静かに、あるいはすばやく移動させることも可能である。
このように、受信手段102で受信した光の強度や周波数に対して、ロボット100の走行速度や動作を変化させることが可能になる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4における移動ロボットシステムの充電ステーションの構成を示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111の発信素子11bを複数の光でそれぞれ異なった発光色で構成することで、ロボット100が、受信手段102の受信状態に応じて、移動速度の制御を行う、あるいは動作を変化させるようにしたものである。すなわち、受信手段102は受信光の色識別を可能としたものである。
図6(a)は、発信手段111の一方の発振素子111bとして青色発光LEDを用い、他方の発振素子111bとして赤色発光LEDを用い、直線に設置した透過樹脂の両側にそれぞれを設置した場合の例である。このように構成することで、色の違いにより、ロボット100は、光の青色が強い場合は、走行速度を速くして、赤色が強い場合は遅くするように、予めコントロール手段101の制御処理に記憶させておくことで、充電手段112に近づくにつれて、走行速度を遅くすることができ、接続時に正確に接続したり、静かに接続したりすることが可能である。
図6(b)は、図6(a)と同様、2色の発振素子111bを、曲線に設置した透過樹脂の両側に設置した場合の例である。このように構成することで、受信手段102にて受信した色の違いにより、ロボット100は、曲線の左右どちら側に位置しているかを特定することが可能となり、コントロール手段101にて、充電ステーション110の特定の位置まで移動することが可能となる。
なお、受信手段102は、例えば、特定の光だけを透過させるフィルターを取り付けることにより、受信手段102が特定の色の判別をすることが可能になる。他にも、色による受信感度の異なる複数の受信素子を並べて配置しておくことで、色の違いを区別することが可能になる。他にも、CCDのような色を区別する素子で構成することで色の違いを区別することも可能である。
また、実施の形態3で説明した例のように、異なった色の発信素子を、充電ステーション台115に配置し、受信状態によりロボット100を制御することで、実施の形態3と同じ効果を得ることも可能である。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5における移動ロボットシステムを示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111は充電ステーション110の直線上に2つ設け、受信手段102はこの直線上の2つの光を受信するようにロボット100の底面に2つ設けたものである。これにより、ロボット100が移動中であっても、このロボット100と充電ステーション110との相対位置を検知して、ロボット100を正確に充電ステーション110の充電位置まで移動することができる。
図7(a)は、ロボット100と充電ステーション110の構成および壁116沿い行動による受信探索の状態(図2のS201)を示している。ここで、ロボット100の左右に受信手段102を配置し、充電ステーション台115に発信手段111である2本の直線の光を透過させる樹脂を配置した状態である。
図7(b)は、左側から壁沿いにロボット100が進んで、充電ステーション110の左側の発信手段111上に、2つの受信手段102が位置している状態である。このように、2つの受信手段102で直線の発信手段111を受信することで、充電ステーション110と正確に横軸方向に位置していることを確認することが可能である。ここで、例えば、ロボット100の左側だけ、あるいは右方向だけ、あるいはどちらかの受信感度の強さにより、ロボット100と充電ステーション110の相対的な角度を特定することが可能であり、状態に対する補正処理を行うように、ロボット100を移動することが可能となる。例えば、右側の受信感度が強い場合は、左の移動手段103をより多く回転させることで、左右両方の受信手段102の受信状態を同じ状態にする方向へ補正することが可能である。
ここで、受信手段102が複数の受信素子を備えている場合は、それぞれの受信素子のばらつきなども考慮する必要があり、可変抵抗などの装置により、受信感度を調整するように構成しておくことで、調整が可能である。また、コントロール手段101に左右の受信手段102の特性を記憶させておくことで、受信時に特性の違いを補正することが可能である。
図7(c)は、左移動手段の回転をさせずに、右移動手段だけ動作させた左旋回行動を行い、2つの発信手段111上に左右の受信手段102がそれぞれ位置している状態を示している。受信手段102および発信手段111それぞれを2つ利用することで、ロボット100と充電ステーション110との相対位置を特定することができる。次に、2つの受信手段102が受信するように、コントロール手段101にて制御しながら、後退することで、図7(d)に示すように、充電手段112と電池104を正確に接続することが可能である。
このように、2つの受信手段102、および2つの直線上の発信手段111を設けることで、ロボット100と充電ステーション110との横軸方向および縦軸方向の相対的な位置を特定することができるので、正確にロボットを充電ステーションの充電位置まで移動することが可能となる。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6における移動ロボットシステムを示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111は充電ステーション110の直線上に1つ設け、受信手段102は90度異なる2つの場合の両方において発信手段111における直線上の1つの光を受信するロボット位置に1つ設けたものである。これにより、少ない受信手段102と発信手段111で、ロボット100が移動中であっても、このロボット100と充電ステーション110との相対位置を検知して、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
図8(a)は、ロボット100と充電ステーション110の構成および壁116沿い行動による受信探索の状態(図2のS201)を示している。ここで、ロボット100の左に受信手段102を配置し、充電ステーション台115に発信手段111である1本の直線上の光を透過させる樹脂を配置した状態である。
図8(b)は、左側から壁沿いにロボット100が進んで、充電ステーション110の発信手段111上に受信手段102が位置している状態である。このように、受信手段102で直線上の発信手段111の光を受信することで、充電ステーション110の位置を確認することが可能である。
図8(c)は、受信手段102で発信手段111の光を受信しながら、左移動手段の回転をさせずに、右移動手段だけ動作させた左旋回行動を行う状態を示している。ロボット100は、移動手段の回転数からおおよそ90度回転した状態まで移動する。他にも、ジャイロセンサや、タイヤの回転数からのオドメトリ情報を利用することでも、おおよそ90度回転した状態まで移動することが可能である。
さらに、図8(d)に示すように、受信手段102が直線上の発信手段111の光を受信するように、コントロール手段101にて制御しながら、後退することで、充電手段112と電池104を正確に接続することが可能である。なお、コントロール手段101は、受信手段の強度の変化に応じて、左右の移動手段103の回転数に差異をつけることで、追従することが可能である。例えば、右側を多く回転させている状態で、受信感度が弱くなった場合は、左側を多く回転させるように変更し、受信状態を最大限になるように制御を行う。
このように、1つの受信手段102および1つの直線上の発信手段111を設けることで、少ない受信手段および発信手段で、正確にロボットを充電ステーションの充電位置まで移動することが可能となる。
(実施の形態7)
図9は、本発明の実施の形態7における移動ロボットシステムを示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111は充電ステーション110の直線上に1つ設け、受信手段102はその場で回転しても発信手段111における直線上の1つの光を受信するようロボット100の底面の中心位置に設けたものである。これにより、ロボット100がその場で回転しても、1つの受信手段102でこのロボット100と充電ステーション110との相対位置を検知し、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
図9(a)〜(d)に示すように、実施の形態6で説明した流れと同じように、正確にロボット100を充電ステーション110の充電位置まで移動することが可能となる。
なお、ロボット100の中心位置に受信手段102を設けることで、外乱光の影響を小さくすることが可能であり、充電ステーション台115の中央に直線上の発信手段111を設けることで、受信手段102と発信手段111の位置がずれて、左右どちらかに偏っていた場合でも、受信手段102はロボット100の中心位置に設けているため、左右対称となり、追従しやすく、移動させることが可能となる。
(実施の形態8)
図10は、本発明の実施の形態8における移動ロボットシステムを示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111は充電ステーション110の直線上に2つ設け、受信手段102は発信手段111における直線上の1つの光を受信する位置と90度回転した際に他の1つの光を受信する他の位置とに2つ設けたものである。なお、充電ステーション110の縦軸方向の幅を、各実施の形態の場合よりも短くし小型化している。これにより、ロボット100と充電ステーション110との相対位置を検知し、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することができる。
図10(a)は、充電ステーション110の縦軸方向の幅を短くしていることにより、壁116沿い行動で、充電ステーション110の発信手段111が発光する光を受信するのは、右側に配置している受信手段102のみとなる。
図10(b)は、右側の受信手段102が1つの発信手段111の上に位置している状態である。受信手段102が光を受信した場合に、図10(c)に示すように、その場で左回転行動を行い、90度回転した際に他の発信手段111の光を左側の受信手段102が受信する。すなわち、左右の受信手段102が2つの発信手段111上に位置する状態まで移動する。次に、左右の受信手段102が光を受信した場合に、実施の形態5と同様に後退することで、図10(d)に示すように、充電手段112と電池104を正確に接続する。
なお、本実施の形態では、受信手段102が必ず変化する箇所で動作を変化させたが、例えば、ジャイロセンサや、移動手段が動作したオドメトリ情報を使うことで、90度回転させてから、受信手段102が検知するまで、後退させるようにすることでも同様の効果を得ることができる。
また、受信手段102の位置および発信手段111の位置は、ロボット100の大きさや設定している動作によって、最適な場所があり、本実施の形態5〜8は、それぞれのロボットの動作に応じた配置になっている。
また、ロボット100が光を誤って検出した場合に、誤動作をしないように、例えば、さらに1つ発信手段111を直線上に設け(計3つ)、1つ目の光受信で次の受信を探索する探索モードに切り替え、次の信号を検知する時間の間のみ探索モードにする。そして、次の光受信がなければ、元の行動に戻ることで、誤検知を回避しやすくすることが可能となる。さらに、探索モードの時に、走行速度を下げることで、精度を高めることも可能となる。
(実施の形態9)
図11は、本発明の実施の形態9における移動ロボットシステムを示している。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、受信手段102は任意の角度で受信素子A、B、Cを配置したものである。この複数の受信素子のうち、1つの受信素子Bは受信手段102の中心に配置している。また、複数の受信素子A、B、Cの配置角度は、本実施の形態では45度としている。
図11(a)は、受信手段102の受信素子A、B、Cを30度で並べた場合の例である。このように受信素子を配置することで、ロボット100は、同じ受信素子で、図11(b)に示すように、ロボット100と充電ステーション110の位置が縦軸方向に発信手段111からどれだけずれているかを検出することが可能になり、同様に、図11(d)に示すように、ロボット100が90度回転した場合、横軸方向に対してもどれだけずれているかを検知することが可能である。また、受信素子A、B、Cを30度傾けることにより、縦軸方向により密に受信素子が配置されるため、精度を高めることができる。また、必要状況に応じて角度を変化させるだけで、容易に縦軸方向および横軸方向の精度を調整することが可能となる。
また、複数の受信素子のうち、受信素子Bが受信手段102の中心に配置し、図11(c)の受信状況に示すように、中心の受信素子Bの受信状態を最大になるようにロボットを移動させれば、ロボットを正確に充電ステーションの充電位置まで移動することが可能となる。また、図11(e)の受信状況に示すように、受信手段102の中心位置から受信位置がずれている場合は、複数の受信素子の受信状況により、その違いでどちらにずれているのかがすぐに検出できるようになるため、容易に位置の補正ができるようになる。図11(e)の場合は、右にずれている状態であるので、この場合は、右側の移動手段の回転数を、左側の移動手段の回転数よりも大きくすることで、補正することが可能となる。
また、受信素子A、B、Cの配置を45度とすれば、直線上の光に対する縦軸方向および横軸方向の相対位置を同じレベルで検知することが可能となるため、ロボット100と充電ステーション110との相対位置が、縦軸方向あるいは横軸方向であることを認識しなくても、同じ補正をすることで同じ精度を得ることが可能となる。
(実施の形態10)
次に、本発明の実施の形態10における移動ロボットシステムについて説明する。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111で発信する光は、可視光、赤外線、紫外線またはレーザ光としたものである。例えば、可視光であれば、発光LEDのような素子で構成することによって、長寿命で省電力の充電ステーションを作成することが可能である。また、赤外線の場合であれば、赤外線LEDを搭載することで同様の効果を得ることが可能である。
これにより、移動ロボットシステムとしては長期にわたり省電力の充電ステーションを得ることができる。
(実施の形態11)
次に、本発明の実施の形態11における移動ロボットシステムについて説明する。移動ロボットシステムの基本構成は実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
本実施の形態においては、発信手段111で発信する光は、特定の周波数変調を行うようにしたものである。例えば、特定の周波数帯のみに反応するように受信手段102を備えておくことで、環境光に対する影響をさらに少なくすることが可能である。
このように、発信手段で発信する光は、特定の周波数変調を行うようにしたことにより、環境光に対する影響を少なくすることができる。
上記した各実施の形態1〜11の構成は、必要に応じて適宜組み合わせることが可能であり、各実施の形態そのものの構成に限定されるものではない。また、各実施の形態では、充電ステーションを前提としたシステムについて説明したが、それ以外にも、特定の位置あるいは経路に移動させる場合にも有用である。例えば、ロボットの待機場所として記憶させておくことで、清掃ロボットの場合、清掃後に特定の場所に待機させることにより、利用者がごみを処理しやすくすることも可能であり、監視ロボットの場合、特定の場所の監視をさせることが可能となる。