JP2007193277A - 偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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章伸 牛山
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Abstract

【課題】光学補償特性に優れ、色相の改良にも寄与する偏光板を提供する。
【解決手段】偏光層及びその両側に配置された2枚の保護膜を有する偏光板であって、該保護膜の少なくとも一方が第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の積層体からなり、かつ該第1の光学異方性層が、|Re|≦10nm、且つ−400nm≦Rth≦80nmを満足し、第2の光学異方性層が、20nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦300nmを満足し、偏光板の偏光度Pが、99.9%以上であり、クロスニコル時の700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下である偏光板である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な偏光板、ならびに色味視野角及びコントラスト視野角が改良された液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置に関する。
偏光板は、通常、ヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコールに配向吸着させた偏光層の両側に、保護膜として、セルローストリアセテートを主成分とするフィルム貼り合わせることで製造されている。セルローストリアセテートは、強靭性、難燃性、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)などの特徴があり、上述の偏光板用保護膜として広く使用されている。
液晶表示装置は、偏光板と液晶セルから構成されている。現在、液晶表示装置の主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、特許文献1に記載のように、光学補償シート(位相差フィルム)を偏光板と液晶セルの間に挿入することにより、表示品位の高い液晶表示装置が実現されている。しかし、この方法によると、液晶表示装置自体が厚くなるなどの問題点があった。
これに対して特許文献2には、偏光層の片面に光学補償シート、他方の面に保護フィルムを有する楕円偏光板を用いることで、液晶表示装置を厚くすることなく、正面コントラストを高くすることができるとの記載がある。ところが、この発明の光学補償シートは、熱等の歪みにより位相差が発生しやすく、光漏れが発生し問題のあることがわかった。
歪みによる位相差発生の問題に対して、特許文献3及び特許文献4には、透明支持体上にディスコティック化合物からなる光学異方性層を塗設した光学補償シートを直接偏光板の保護フィルムとして用いる技術が記載されており、これにより、液晶表示装置を厚くすることなく、問題を改善できることが記載されている。
特開平8−50206号公報 特開平1−68940号公報 特開平7−191217号公報 欧州特許出願公開0911656A2号明細書
しかしながら、これらの手段でも、色相をニュートラルグレーにすることについては不十分であった。また、光学補償シートと偏光層が一体化した偏光板を用いた液晶表示装置は、広視野角であるものの、色相の改良(特に色味視野角の赤味改良)が不十分であり、液晶パネルが大きくなると光漏れが発生する問題があった。従って、本発明の目的は、光学補償特性に優れ、色相の改良にも寄与する偏光板を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、広視野角で、色相が好ましい液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、液晶表示装置に用いる偏光板の偏光度、クロスニコル時の700nmの透過率及び410nmの透過率を所定の範囲とすることにより、上記課題を解決し得るとの知見を得、この知見に基づいてさらに鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 偏光層及びその両側に配置された2枚の保護膜を有する偏光板であって、該保護膜の少なくとも一方が第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の積層体からなり、かつ該第1の光学異方性層及び該第2の光学異方性層の面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)がそれぞれ下記関係を満足し、偏光板の下記式(1)から算出される偏光度Pが、99.9%以上であり、クロスニコル時の700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下である偏光板;
第1の光学異方性層:
|Re|≦10nm、且つ−400nm≦Rth≦80nm、
第2の光学異方性層:
20nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦300nm、
式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
[ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である]。
[2] 尺状で、且つ長手方向に直交する幅方向の長さが400〜3000mmであり、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率/最小透過率の比が5.0以下であり、波長700nmの最大透過率/最小透過率の比が6.5以下である[1]の偏光板。
[3] 前記偏光層の膜厚が20μm以下である[1]又は[2]の偏光板。
[4] 前記偏光層が、ポリマーフィルムを膨潤させた後、横延伸法、縦延伸法、同時二軸延伸法又は逐次二軸延伸法により延伸されたフィルムからなる[1]〜[3]のいずれかの偏光板。
[5] 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルム又は環状ポリオレフィンフィルムからなる[1]〜[4]のいずれかの偏光板。
[6] 前記セルロースアシレートフィルムが、少なくとも2つの芳香族環を有する直線的な棒状化合物及び円盤状化合物を含有する[1]〜[5]のいずれかの偏光板。
[7] 前記第1の光学異方性層が、棒状液晶化合物を含有する組成物からなり、該棒状液晶化合物の分子が前記光学異方性層面に対して実質的に垂直に配向しており、且つその配向状態が固定化されている[1]〜[6]のいずれかの偏光板。
[8] 前記第1の光学異方性層が、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体(ポリマーA)の少なくとも一種を含有する[7]の偏光板。
一般式(1)
Figure 2007193277
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基又は下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は親水性基(−OH)を表す。)
[9] 前記第1の光学異方性層が、オニウム塩を少なくとも一種含有する[7]又は[8]の偏光板。
[10] 前記第1の光学異方性層、前記第2の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に直交している[1]〜[9]のいずれかの偏光板。
[11] 前記第2の光学異方性層、前記第1の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に平行である[1]〜[9]のいずれかの偏光板。
[12] 一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び[10]の偏光板を含み、該一対の基板の一方の外側に、第1の光学異方性層、第2の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ第2の光学異方性層の遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を有し、双方の偏光層の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
[13] 一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び[11]の偏光板を含み、該一対の基板の一方の外側に、第2の光学異方性層、第1の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ第2の光学異方性層の遅相軸黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交するように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を有し、双方の偏光層の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
[14] 前記第2の偏光板が、偏光層とその両側に2枚の保護膜とを有し、該2枚の保護膜の少なくとも一方の面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)が、それぞれ下記関係式を満足する低Reフィルムであり、前記第2の偏光板の下記式(1)から算出される偏光度Pが99.9%以上であり、クロスニコル時の波長700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の波長410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下の偏光板である[12]又は[13]の液晶表示装置;
|Re|≦10nm、|Rth|≦20nm、
式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
[ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である]。
[15] 前記低Reフィルムが、セルロースアシレートフィルムを含む[14]の液晶表示装置。
[16] 前記第2の偏光板が、長尺状で、且つ長手方向に直交する幅方向の長さが400〜3000mmであり、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率/最小透過率の比が5.0以下であり、波長700nmの最大透過率/最小透過率の比が6.5以下である[14]又は[15]の液晶表示装置。
[17] 前記第2の偏光板が有する偏光層の膜厚が、20μm以下である[14]〜[16]のいずれかの液晶表示装置。
[18] 前記第2の偏光板が有する偏光層が、ポリマーフィルムを膨潤させた後、横延伸法、縦延伸法、同時二軸延伸法又は逐次二軸延伸法により延伸されたフィルムからなる[14]〜[17]のいずれかの液晶表示装置。
本発明の偏光板は、所定の光学特性を示す保護フィルムを有し、さらに幅方向における透過率のばらつき等が小さいので、液晶表示装置に用いると、液晶セルを光学的に補償し、且つニュートラルグレーに近い色味を実現できる。また、本発明によれば、波長410nmの透過率を増加させることで、赤色への色味変化を抑制することができ、広視野角で、色相が良好な液晶表示装置、特にIPSモードの液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明の光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置の実施形態について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=590nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光層」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光層」の少なくとも片面に該偏光層を保護する保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re、Rthは各々、ある波長λnmにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[偏光板]
まず、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、偏光層及びその両側に配置された2枚の保護膜を有する。本発明の偏光板は、液晶表示装置に組み込まれた際に、良好な色相を実現及び赤味を抑制するために、偏光度が一定値以上であるとともに、クロスニコル時の波長700nmの透過率及び波長410nmの透過率を一定値範囲内である。具体的には、本発明の偏光板は、下記の(a)、(b)及び(c)の条件を満たすものである。
(a)下記式(1)から算出される偏光度Pが99.9%以上、
(b)クロスニコル時の700nmの透過率が0.07%以下、及び
(c)クロスニコル時の410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下である。
式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
[ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である。]
前記偏光度は、島津自記分光光度計UV3100にて測定することができる。偏光度は、2枚の偏光板を吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率をH0(%)、吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率をH1(%)として、前記式(1)により求める。偏光度は視感度補正を行う。
(偏光板の作製方法)
上記条件を満足する偏光板は、偏光層を、例えば、ポリマーフィルムから形成する際に、ポリマーフィルム中に色相調整剤を添加することにより、またその添加方法を選択することにより作製することができる。例えば、前記偏光層を、ポリマーフィルムの延伸工程を経て作製する場合は、延伸工程前に、ポリマーフィルムを膨潤させて、二色性物質、硬膜剤等の添加剤の添加方法を工夫することにより、作製することができる。以下、具体的方法について詳述する。
本発明の偏光板は、例えば、ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程、ポリマーフィルムを染色する染色工程、ポリマーフィルムを硬化させる硬膜工程、ポリマーフィルムを延伸する延伸工程、ポリマーフィルムを乾燥する乾燥工程により偏光層となる偏光膜を作製し、次に、この偏光膜の両面に、保護膜を貼り合わせる貼り合わせ工程、貼り合わせ後に乾燥する乾燥工程を経て作製することができる。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、またいくつかの工程を組み合わせて同時に行うことも可能である。特に、上記膨潤工程、染色工程及び乾燥工程を以下の(イ)〜(ハ)のように行うことにより、本発明の偏光板を好適に作製することができる。
(イ)上記膨潤工程で、偏光板用ポリマーフィルムがPVAフィルムの場合、二色性物質であるヨウ素の染色を促進させるために、予め水などに浸漬させるが、このときの温度を30℃以上50℃以下、好ましくは35℃以上45℃以下にする。
(ロ)染色工程で二色性物質であるヨウ素を偏光板用ポリマーフィルムに染色させるが、このときに、硬膜剤であるホウ酸を、ヨウ素に対し質量比で1から30倍添加する。
(ハ)乾燥工程で延伸された偏光層を乾燥させるが、このときの温度を70℃以下、好ましくは60℃以下にする。
(偏光層用ポリマーフィルム)
偏光層用ポリマーフィルムは、PVAフィルムが好ましい。PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されるものではない。例としてあげると、特許第3251073号に記載されているように平均結晶化度(Xc)50〜75質量%のPVAフィルムを用いることが好ましい。また、特開平14−236214号に記載されているように、面内の色相バラツキを低減させるために、結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることもできる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されているように、複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、延伸時のPVAフィルムの切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよい。
特許2978219号公報に記載されているようにPVAフィルムのシンジオタクティシティーは耐久性を改良するために、55%以上のPVAフィルムを用いてもよいし、特許第3317494号に記載されているようにシンジオタクティシティーが45〜52.5モル%のPVAフィルムを用いてもよい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号公報に記載されているような1,2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開平13−316492号に記載されているような5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開平14−030163号公報に記載されているようなフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらに特開平06−289225号公報に記載されているような可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムをそれぞれ好ましく使用することができる。
PVAフィルムの製造方法としては、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開平13−302817号、及び特開平14−144401号の各公報を参考にして行うことができる。
(膨潤工程)
ポリマーフィルムの膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光フィルム基材のシワ発生回避のために、偏光フィルム基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光フィルム基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度は、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜50℃、5秒以上が好ましい。
後述する色相調整剤を用いない場合には前述の通り30℃以上50℃以下、好ましくは35℃以上45℃以下の温度で5秒以上600秒以下、好ましくは10秒以上300秒以下とすることが好ましい。
(染色工程)
染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布又は噴霧等、任意の手段が可能である。
染色に用いる二色性物質は特に限定されるものではないが、高コントラストな偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素を用いて液相で行うのが好ましい。
ヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.05〜20g/L、ヨウ化カリウムは3〜200g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/L、ヨウ化カリウムは30〜120g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。前述の通り、硬膜剤としてホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加することも有効であり、硼酸を用いる場合には、ヨウ素に対し質量比で1から30倍添加することが好ましい。また、この工程にて色相調整剤を添加することも有効で、その量は0.001〜1g/Lが好ましい。また、水溶液中の添加物量を一定にすることは、偏光性能維持のために重要であることから、連続して製造する場合には、ヨウ素、ヨウ化カリウム、硼酸、色相調整剤などを補充しつつ製造することが好ましい。補充は、溶液、固形のいずれの状態でもよい。溶液で添加する場合には、高濃度にしておき、必要に応じて少量ずつ添加してもよい。
前述の通り、硬膜剤としてホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加して、染色工程と後述する硬膜工程を同時に行うことも有効である。
本発明では、ヨウ素などの二色性物質に加えて、色相調整剤として対応する波長域に吸収をもつ二色性色素を添加する方法が有効である。このような色相調整剤としての二色性色素の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37, Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12, C.I.Direct Blue 90, C.I.Direct Blue 22, C.I.Direct Blue 1, C.I.Direct Blue 151, C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44, C.I.Direct Red 23, C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81, C.I.Direct Violet 9, C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.DirectBrown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性色素等も好ましく使用することができる。これらのうち、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。色相調整剤は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
これらの色相調整剤は2種以上を配合してもよい。添加する色相調整剤は、波長410nm又は700nmに吸収を有するのが好ましく、主吸収が波長380nm〜500nm又は波長600nm〜720nmに有することがより好ましい。また、添加する色素量は、使用する色素の吸光度、二色比などにより任意に決めることができる。いずれもクロスニコル時の波長700nmの透過率が0.05%以下で、波長410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下になれば特に制限されることはない。
また、上記色相調整剤を偏光層に添加する方法としては、浸漬、塗布、噴霧などのあらゆる方法が用いられるが、その中でも浸漬が好ましい。添加する工程は、延伸前、延伸後のいずれでもかまわないが、偏光性能向上の観点から延伸前が好ましい。単独で添加工程を設けてもよいし、後述する染色工程又は硬膜剤添加工程のいずれかもしくは両方において行うこともできる。
(硬膜工程)
硬膜工程では、架橋剤により硬膜を実施してもよい。例えば、前期ポリマーフィルムを架橋剤溶液に浸漬、又は溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
好ましくは、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うのがよい。ホウ酸は1〜100g/L、ヨウ化カリウムは1〜120g/L、塩化亜鉛は0.01〜10g/L、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/L、ヨウ化カリウムは5〜100g/L、塩化亜鉛は0.02〜8g/L、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。前述の通り、硬膜時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃である。前述の通り、この工程で色相調整剤を添加して染色工程も同時に行うことも有効で、その詳細は既に述べた。
水溶液中の添加物量を一定にすることは、偏光性能維持のために重要であることから、連続して製造する場合には、染色工程同様に補充しつつ製造することが好ましい。
(延伸工程)
次に、染色されたポリマーフィルムを延伸する。延伸は、横延伸法、縦延伸法、同時二軸延伸法及び逐次二軸延伸法のいずれにより行ってもよい。米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、一軸延伸方法を用いてもよい。本発明においては、特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式による斜め延伸法で行うことも好ましい。
光漏れが発生する故障(額縁故障)の観点から、偏光層の厚みは薄い方が好ましいが、薄すぎると、延伸中に膜が切断したり、染色液・硬膜液などに浸漬させる際のハンドリングに悪影響を及ぼす、延伸後の乾燥中に亀裂が入るなどの問題が発生する。従って、本発明において、好ましい偏光層の厚みは5μm以上22μm以下であり、更に好ましくは8μm以上20μm以下である。
偏光層の厚みを薄くする方法は、従来の延伸法において、延伸倍率を高くする、膜厚の薄い偏光層延伸用ポリマーフィルムを用いる等の方法を適宜組み合わせて工夫することにより達成できる。例えば、偏光層用ポリマーフィルムとして通常用いられているPVAフィルムの膜厚は、75μm(例えばクラレ製VF−P、VF−PSなど)であるが、この場合は、例えば、長手方向の縦一軸延伸法では8倍程度以上延伸すると、偏光層の膜厚は20μm以下となる。また、テンター方式などにより、横一軸延伸法では4倍以上延伸すると、偏光層の膜厚は20μm以下となる。あるいは、偏光層用ポリマーフィルムの膜厚を50μm以下に薄くして、一軸延伸にて6倍程度以上延伸することにより、偏光層の膜厚を20μm以下とすることができる。
本発明においては、これらの一軸延伸の他に、偏光層用ポリマーフィルムを搬送方向に一軸延伸しながら又は一軸延伸した後、横方向に延伸して製造する延伸方法も用いることができる。この方法は、一般に二軸延伸と呼ばれる方法である。この方法で一般的なものはテンター方式による同時二軸延伸法やチューブラ方式による同時二軸延伸法などが知られている。この方式では、例えば、膜厚75μmのPVAフィルムを、縦方向に4倍程度以上、横方向に1.5倍程度以上延伸すると、偏光層の膜厚は20μm以下となる。
(乾燥工程)
次に、延伸したポリマーフィルムを乾燥する。乾燥条件については特に制限はないが、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うのが好ましく、具体的には、温度を80℃以下、好ましくは70℃以下にすることが好ましい。好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。
(保護膜貼り合わせ工程)
この様にして、作製された偏光膜の双方の表面に保護膜を貼り合せる。本発明においては、保護膜の少なくとも一方として、下記式(2)を満足する第1の光学異方性層、及び下記式(3)を満足する第2の光学異方性層の積層体を用いる。
式(2) |Re|≦10nm、且つ−400nm≦Rth≦80nm、
式(3) 20nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦300nm。
かかる光学特性を有する保護膜と組み合わせることにより、液晶セル、特にIPSモードの液晶セルに対する光学補償能を偏光板に付与できる。本発明の偏光板を液晶表示装置内に配置した場合は、液晶セルと偏光層との間に、前記第1及び第2の光学異方性層の積層体からなる保護膜が配置されるようにするのが好ましい。
なお、第1及び第2の光学異方性層の積層体からなる保護膜の詳細については、後述する。
偏光層と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基が導入された変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。
偏光層と保護フィルムの貼り合わせは、貼合直前に接着液を供給し、一対のロールで貼り合わせる、具体的には、長尺の偏光層のロールと、長尺の保護膜のロールとを、重ね合わせて、長尺状に貼り合わせることが好ましい。
接着剤層厚みは乾燥後に0.001〜5μmが好ましく、0.005〜3μmが特に好ましい。また、特開2001−296426及び特開2002−86554に記載されているように、偏光層の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するには、貼り合わせ時の偏光層の水分率を調整することが好ましく、本発明では0.1%〜30%にすることが好ましい。
(貼り合わせ後の乾燥工程)
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。
本発明の偏光板は、偏光層中の元素含有量が、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.0g/m2、亜鉛0.001〜2.0g/m2であることが好ましい。
本発明の偏光板は、長手方向を有する長尺状に作製してもよい。長手方向は、製造工程における、延伸方向や搬送方向と一致する。長尺状に作製する場合は、ロール状に巻き取って、保管・搬送するのが好ましい。本発明の偏光板の幅方向、即ち、長手方向に直交する方向の長さは、400mm〜3000mmが好ましく、600mm〜2000mmがより好ましく、800mm〜1600mmがさらに好ましい。長尺状偏光板の幅方向の長さが400mm未満であると、大サイズの切り出しができなくなり、3000mmを超えると、保持が難しく、製造適性に欠ける。
さらに上記長尺状の形態において、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率と最小透過率の比が6.5以下であり(より好ましくは4.0以下)、且つ波長700nm最大透過率と最小透過率の比が5.0以下(より好ましくは2.5以下)であることが好ましい。各波長における最大透過率及び最小透過率の比が前記範囲であると、15インチ以上の液晶テレビ又は液晶モニターに貼合した場合であっても、画面内の色相のばらつきを抑えることができる。
本発明の偏光板は、保護膜等の表面上や、保護膜と偏光層との間に、反射性偏光子や、例えば特開平4−229828号、特開平6−75115号、特開平8−50206号等の各公報に記載されているLCDの視野角補償のための光学異方層や、ディスプレイの視認性向上のための防眩層や反射防止層、偏光板の耐傷性を高めるためのハードコート層、水分や酸素の拡散を抑えるガスバリア層、偏光層あるいは接着剤層、粘着剤との密着力を高める易接着層、スベリ性を付与する層等、任意の機能層を設けることができる。
偏光板の保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、又は複数枚積層して用いることができる。偏光層の両面に同じ保護膜を貼合してもよいし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合してもよい。第1及び第2の光学異方性層の積層体からなる保護フィルムとともに用いる保護フィルムの種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。市販品としては、富士写真フイルム(株)製フジタック、コニカ(株)製のトリアセチルセルロースフィルム、日本ゼオン(株)製ゼオノア、日本合成ゴム(株)製アートンなどがあげられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
次に、本発明の偏光板の保護膜として用いる第1の光学異方性層と第2の光学異方性層との積層体について説明する。
(第2の光学異方性層)
まず、第2の光学異方性層について説明する。
前記第2の光学異方性層の面内レターデーションは、20〜150nmであることが好ましく、30〜130nmであることがさらに好ましく、40〜110nmであることが最も好ましい。さらに、厚さ方向のレターデーションは、100〜300nmであることが好ましく、120〜280nmであることがさらに好ましく、140nm〜260nmであることが最も好ましい。第2の光学異方性層の材料については特に制限はないが、本発明ではセルロースアシレートフィルム又は環状ポリオレフィンを用いることが好ましく、上記光学特性を容易に達成できるセルロースアシレートフィルムを用いることが最も好ましい。
(セルロースアシレートフィルム)
上記した通り、前記第2の光学異方性層は、セルロースアシレートフィルムからなる又は含んでいるのが好ましい。本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムとは、セルロースアシレート化合物、及びセルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるエステル置換セルロース骨格を有する化合物、を含むフィルムである。セルロースアシレートは、セルロースと酸とのエステルである。エステルを構成する酸は、有機酸が好ましく、カルボン酸がより好ましく、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸がさらにより好ましく、酢酸が最も好ましい。
セルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位及び6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部又は一部が、アシル基で置換されている。アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が含まれる。アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がさらに好ましく、アセチル基が最も好ましい。
セルロースアシレートが、セルロースと複数の酸とのエステルであってもよい。セルロースアシレートは、複数のアシル基で置換されていてもよい。
セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で200〜700が好ましく、250〜550がより好ましく、250〜400がさらに好ましく、250〜350が最も好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)に従い測定できる。粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成することもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
セルロースアシレートの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
セルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的にセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)を意味する。セルロースアシレートフィルムに、二種類以上のセルロースアシレートを併用してもよい。
セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート溶液を用いるソルベントキャスト法により製造することが好ましい。
(セルロースアシレート原料綿)
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜8頁に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
前記セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート溶液から作製してもよい。前記溶液中にはセルロースアシレート以外の添加剤を添加してもよく、添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、Re発現剤、Rth低下剤、波長分散調整剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤などを挙げることができる。本発明においては、Re発現剤を用いるのが好ましい。また、可塑剤、紫外線吸収剤及び剥離促進剤の1種以上を用いるのが好ましい。
(棒状化合物、円盤状化合物)
前記第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するため、Re発現剤を用いるのが好ましい。本発明において用いることができるRe発現剤としては、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。棒状化合物からなるRe発現剤の添加量は、セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがさらに好ましい。
円盤状のRe発現剤は、前記セルロースアシレートを含むポリマー成分100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。また、二種類以上のRe発現剤を併用してもよい。棒状又は円盤状化合物からなる前記Re発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。具体的に下記に棒状からなる化合物を示す。
Figure 2007193277
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(環状ポリオレフィン)
本発明では、環状ポリオレフリンポリマーを用いて第2の光学異方性層を作製してもよい。環状ポリオレフィンポリマー(環状ポリオレフィン、あるいは環状ポリオレフィン系樹脂とも称する)とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。本発明に好ましい重合体は下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン及び必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
Figure 2007193277
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式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2nCOOR11、−(CH2nOCOR12、−(CH2nNCO、−(CH2nNO2、−(CH2nCN、−(CH2nCONR1314、−(CH2nNR1314、−(CH2nOZ、−(CH2nW、又はX1とY1あるいはX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14、R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 p3-p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子−OCOR16又はOR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
1〜X3、Y1〜Y3の置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、光学フィルムの厚さ方向レターデーション(Rth)を大きくし、面内レターデーション(Re)の発現性を大きくすることが出来る。Re発現性の大きなフィルムは、製膜過程で延伸することによりRe値を大きくすることができる。
上記一般式(II)の内、X2、Y2の少なくとも1個がエステル結合を含有することが好ましく、必要に応じエステル結合以外の置換基を有する構成成分を含有させてもよい。更に、必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンも好ましい。また、一般式(III)の内、X3、Y3の少なくとも1個がエステル結合を含有することが好ましく、必要に応じエステル結合以外の置換基を有する構成成分を含有させてもよい。
エステル結合を含有する構成成分の量は、好ましくは、(共)重合体の100モル%〜10モル%、更に好ましくは、100モル%〜20モル%である。エステル結合を含有する構成成分の含有量がこれより少ないと鹸化後の親水性が不十分であり、水溶性樹脂との接着性改良効果を得ることができない。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−1159767号あるいは特開2004−309979号等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R5〜R6は水素原子又は−CH3が好ましく、X3、及びY3は水素原子、Cl、−COOCH3が好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号、特表2002−504184号、US2004229157A1号あるいはWO2004/070463A1号等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
本発明においては、環状ポリオレフィンのガラス転移温度(Tg)に制限はないが、例えば200〜400℃というような高いTgの環状ポリオレフィンも用いることができる。
(第1の光学異方性層)
次に、第1の光学異方性層について説明する。前記第1の光学異方性層は面内のレターデーションReは、|Re|≦10nmを満足するのが好ましく、Reは0〜10nmであることがより好ましく、0〜5nmであることがさらに好ましく、0〜3nmであることがさらにより好ましい。さらに、該光学異方性層の厚さ方向のレターデーションRthは、−400〜80nmであるのが好ましく、−400〜−80nmであることがより好ましく、−360〜−100nmであることがさらに好ましく、−320〜−120nmであることがさらにより好ましい。
第1の光学異方性層は、液晶化合物を含有する組成物から形成されていることが好ましい。前記液晶化合物は棒状液晶化合物であることが好ましい。棒状液晶化合物を用いた場合は、前記光学異方性層において棒状分子が垂直配向しているのが好ましい。
液晶性化合物の種類については特に制限されない。前記第1の光学異方性層は、例えば、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋や熱架橋によって固定化して作製してもよい。また、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して作製してもよい。なお本発明では、光学異方性層の作製に液晶性化合物が用いられるが、作製の過程で液晶性化合物は重合等によって固定された状態で光学異方性層に含有される場合が多く、最終的には液晶性を示す必要はない。重合性液晶性化合物は、多官能性重合性液晶でもよいし、単官能性重合性液晶性化合物でもよい。
前記第1の光学異方性層において、液晶化合物の分子は、所定の配向状態、好ましくは垂直配向の状態に固定されていることが好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に垂直とは、フィルム面と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。80°〜90°がより好ましく、85°〜90°がさらに好ましい。
前記第1の光学異方性層は、支持体上に形成してもよい。支持体として前述の第2の光学異方性層を用いて第1の光学異方性層を設けてもよいし、仮の支持体上に第1の光学異方性層に設けた後、偏光層や第2の光学異方性層に転写してもよいし、光学的に等方性のフィルムを支持体として用いてもよい。
以下、液晶性化合物を含む組成物から形成された第1の光学異方性層の例について、作製に用いられる材料、作製方法等を詳細に説明する。
前記第1の光学異方性層は、棒状液晶性化合物等の液晶性化合物と、所望により、下記の重合開始剤や配向制御剤や他の添加剤を含む組成物から形成することができる。
(棒状液晶性化合物)
本発明では、棒状液晶性化合物を用いて第1の光学異方性層を形成することが好ましい。棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。棒状液晶性化合物を重合によって配向を固定することがより好ましい。液晶性化合物には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報などに記載の化合物を用いることができる。
(フルオロ脂肪族含有モノマーと一般式(1)の共重合体)
前記第1の光学異方性層は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族含有ポリマー(以下、「ポリマーA」という場合がある)を含有しているのが好ましい。前記フッ素系ポリマーは、主に、光学異方性層の空気界面において、前記液晶性化合物の分子を垂直配向させるのに寄与する。
一般式(1)
Figure 2007193277
一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩、又は親水性基(−OH)を表す。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は特開2004−333852号公報に例示した下記置換基群から選ばれる置換基を表す。
(置換基群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリール基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基であり、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、又は後述する−L−Qで表される基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子、−L−Qで表される基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基であることが特に好ましく、R2及びR3が水素原子で、R1が水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基は、適当な置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基などが挙げられる。なお、アルキル基の炭素数は、置換基の炭素原子を含まない。以下、他の基の炭素数についても同様である。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4及びR5がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましく、単結合であることが最も好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
以下にLの具体的構造を例示するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2007193277
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前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、親水基(ヒドロキシル基)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、親水基であり、特に好ましいのはカルボキシル基又は親水基である。
本発明に使用可能な前記ポリマーAに含まれる前記一般式(1)に対応するモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
Figure 2007193277
Figure 2007193277
Figure 2007193277
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前記ポリマーAは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また前記ポリマーAは、前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。好ましくは、特開2004−333852号公報の一般式[1]で記載されているフルオロ脂肪族基含有モノマーを含むことが好ましい。さらに、前記ポリマーAはそれら以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。前記ポリマーAは、特開2004−46038[0026]〜[0033]記載のモノマー群から選ばれるモノマーから誘導される繰り返し単位を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
また、前記ポリマーAは、特開2004−333852号公報に記載されている一般式[2]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含んでいてもよい。
前記ポリマーAのフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該ポリマーの構成モノマー総量の5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのがさらに好ましい。前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位において、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の量は、該フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位の構成モノマー総量の0.5質量%以上であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのが特に好ましく、1〜5質量%であるのが最も好ましい。
本発明に用いる前記ポリマーAの質量平均分子量は1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、5,000以上50,000以下であるのがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記ポリマーAを製造する際に採用される重合方法については、特に限定されるものではないが、特開2004−46038号公報の[0035]〜[0041]に記載の方法を用いることが好ましい。
なお、前記ポリマーAは、棒状液晶化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有するものも好ましい。
以下に、前記ポリマーAとして本発明に好ましく用いられる具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはTSK Gel GMHxL、TSK Gel G4000 HxL、TSK Gel G2000 HxL (いずれも東ソー(株)の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した質量平均分子量である。
Figure 2007193277
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本発明に用いられる前記ポリマーAは、上記した様に、公知慣用の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
第1の光学異方性層形成用組成物中における前記ポリマーAの含有量の好ましい範囲は、その用途によって異なるが、組成物(塗布液である場合は溶媒を除いた組成物)中、0.005〜8質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましく、0.05〜1質量%であるのがさらに好ましい。前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位の添加量が0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学補償フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性等)に悪影響を及ぼす場合がある。
(オニウム塩)
前記第1の光学異方性層は、オニウム塩の少なくとも一種を含有するのが好ましい。オニウム塩は配向膜界面側において棒状液晶化合物の分子を垂直配向させるのに寄与する。また、前記オニウム塩の例には、窒素原子を含むアンモニウム塩、硫黄原子を含むスルホニウム塩、リン原子を含むホスホニウム塩等が含まれる。
前記オニウム塩としては、好ましくは、4級オニウム塩であり、より好ましくは第4級アンモニウム塩である。
第4級アンモニウム塩は、一般に、第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)あるいは含窒素複素環(ピリジン環、ピコリン環、2,2’−ビピリジル環、4,4’−ビピリジル環、1,10−フェナントロリン環、キノリン環、オキサゾール環、チアゾール環、N−メチルイミダゾール環、ピラジン環、テトラゾール環など)をアルキル化(メンシュトキン反応)、アルケニル化、アルキニル化あるいはアリール化して得られる。
第4級アンモニウム塩としては、含窒素複素環からなる第4級アンモニウム塩が好ましく、特に好ましくは第4級ピリジニウム塩である。
より具体的には、前記第4級アンモニウム塩は、下記一般式(3a)又は後述する一般式(3b)で表される第4級ピリジニウム塩から選ばれるのが好ましい。
Figure 2007193277
式(3a)中、R8は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、Dは水素結合性基を表し、mは1〜3の整数を表し、X-はアニオンを表す。
まず、前記一般式(3a)について説明する。
上記R8で表されるアルキル基は、炭素数1〜18の置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜8の置換もしくは無置換のアルキル基である。これらは、直鎖状、分岐鎖状、あるいは環状であってもよい。これらの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基及びシクロプロピル基等が挙げられる。
アルキル基の置換基の例としては、以下のものを挙げることができる。炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルケニル基(例えば、ビニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基);ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、p−メトキシフェノキシ基);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基);炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基);炭素数7〜11の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基(例えば、ナフトキシカルボニル基);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基、メトキシフェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基);
炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、tert−ブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルバモイル基、ピロリジノカルバモイル基);無置換のスルファモイル基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基);シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;水酸基;ヘテロ環基(例えば、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、クマリン環)。アルキル基の置換基としては、特に好ましくは、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基である。
上記R8で表されるアルケニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
アルケニル基の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアルキニル基は、炭素数2〜18の置換もしくは無置換のアルキニル基が好ましく、より好ましくは炭素数2〜8の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、2−プロピニル等が挙げられる。アルキニル基の置換基は、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。
上記R8で表されるアラルキル基は、炭素数7〜18の置換もしくは無置換のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が好ましい。アラルキル基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが挙げられる。
上記R8で表されるアリール基は、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基等が挙げられる。アリール基の置換基は前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。またこれらの他に、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルキニル基、ベンゾイル基も好ましい。
上記R8で表される複素環基は、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から構成される5〜6員環の飽和又は不飽和の複素環であり、これらの例としては、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、及びクマリン環が挙げられる。複素環基は置換されていてもよく、その場合の置換基としては、前記アルキル基の置換基として挙げたものが好ましい。R8で表される複素環基としては、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が特に好ましい。
上記R8は好ましくは、置換もしくは無置換の、アルキル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基である。
Dは水素結合性基を表す。水素結合は、電気的に陰性な原子(例えば、O,N,F,Cl)と、同じように電気的に陰性な原子に共有結合した水素原子間に存在する。水素結合の理論的な解釈としては、例えば、H. Uneyama and K.Morokuma、Jounal of American Chemical Society、第99巻、第1316〜1332頁、1977年に報告がある。具体的な水素結合の様式としては、例えば、J.N.イスラエスアチヴィリ著、近藤保、大島広行訳、分子間力と表面力、マグロウヒル社、1991年の第98頁、図17に記載の様式が挙げられる。具体的な水素結合の例としては、例えば、G.R.Desiraju、Angewante Chemistry International Edition English、第34巻、第2311頁、1995年に記載のものが挙げられる。
好ましい水素結合性基としては、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、酸アミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、1,3,5−トリアジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、コハクイミド基、フタルイミド基、マレイミド基、ウラシル基、チオウラシル基、バルビツール酸基、ヒダントイン基、マレイン酸ヒドラジド基、イサチン基、ウラミル基などが挙げられる)を挙げることができる。更に好ましい水素結合性基としては、アミノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ピリジル基を挙げることができ、特に好ましくは、アミノ基、カルバモイル基、ピリジル基を挙げることができる。
-で表されるアニオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなど)、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メチル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオンなど)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン)、水酸イオンなどが挙げられる。
-は、好ましくは、ハロゲン陰イオン、スルホネートイオン、水酸イオンである。なおX-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:1である必要はなく、適宜決定される。
前記一般式(3a)中、mは好ましくは1である。
次に、前記一般式(3b)について説明する。
Figure 2007193277
式(3b)中、R9及びR10は各々置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基を表し、X-はアニオンを表す。
9及びR10で各々表される置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又は複素環基は、前記一般式(3a)中、R8で表される基と同義であり、その好ましい範囲も同一である。X-で表されるアニオンは、前記一般式(3a)中、X-で表されるアニオンと同義であり、その好ましい範囲も同一である。上述した様に、X-は1価のアニオンである必要はなく、2価以上のアニオンであってもよく、かかる場合は、前記化合物中のカチオンとアニオンとの比率も1:2である必要はなく、適宜決定される。
以下に、一般式(3a)又は(3b)で表される第4級ピリジニウム塩、その他本発明で好ましく用いられるオニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるオニウム塩はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007193277
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Figure 2007193277
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Figure 2007193277
Figure 2007193277
前記第1の光学異方性層中におけるオニウム塩の含有量は、その種類によって好ましい含有量が変動するが、通常は、併用される液晶性化合物の含有量に対して、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜7質量%であるのがより好ましく、0.05〜5質量%であるのがさらに好ましい。オニウム塩は二種類以上用いてもよいが、かかる場合は、使用する全種類のオニウム塩の含有量の合計が前記範囲であるのが好ましい。
第1の光学異方性層形成用組成物中には、上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、棒状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特願2003−295212号明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
前記第1の光学異方性層は、例えば、液晶性化合物、及び所望により添加される重合開始剤、配向制御剤等の添加剤を、溶媒に溶解及び/又は分散させて調製した塗布液を、支持体上に塗布することで形成することができる。支持体上に配向膜を形成し、該配向膜表面に前記塗布液を塗布して形成するのが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。中でも、前記光学異方性層を形成する際は、ワイヤーバーコーティング法を利用して塗布するのが好ましく、ワイヤーバーの回転数は下記式を満たすことが好ましい。
0.6<(W×(R+2r)×π)/V<1.4
[W:ワイヤーバーの回転数(rpm)、R:バーの芯の直径(m)、r:ワイヤーの直径(m)、V:支持体の搬送速度(m/min)]
(W×(R+2r)×π)/Vの範囲は、0.7〜1.3であることがより好ましく、0.8〜1.2であることがさらに好ましい。
前記第1の光学異方性層の形成にはダイコーティング法が好ましく用いられ、特に、スライドコーター又はスロットダイコーターを利用した塗布方法が好ましい。例えば、特開2004−290775号、特開2004−290776号、特開2004−358296号、特開2005−13989号等に記載の塗布方法を用いることができる。
次に、上記の通り、支持体表面又は配向膜表面に前記組成物を塗布した後、液晶性化合物の分子を配向(棒状液晶性分子については好ましくは垂直配向)させて、分子をその配向状態に固定して光学異方性層を形成する。配向させる温度は、用いる液晶性化合物の転移温度、所望の配向状態等を考慮して、決定することができる。固定化は、液晶性分子や、組成物中に所望により添加される重合性モノマーの重合反応又は架橋反応により実施されるのが好ましい。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
形成される光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることがよりさらに好ましい。
前記第1の光学異方性層の作製には、配向膜を利用してもよい。配向膜は、液晶性化合物、好ましくは棒状液晶性化合物、の分子の配向方向を規定する機能を有する。
また、上記したオニウム塩等の配向膜側垂直配向剤及び上記したフッ素系ポリマー等の空気界面垂直配向剤を含有していると、垂直配向膜を用いなくても、棒状液晶性化合物の分子を安定的に垂直配向させることができるので、光学異方性層を形成するのに垂直配向膜は必須ではない。しかし、親水性基を含む配向膜に本発明の光学異方性層を塗布することで、液晶性組成物の配向の均一性を向上させたり、ポリマー基材と光学異方性層との間の密着性を向上させることができるため、配向膜を利用することが好ましい。また、棒状液晶性化合物の分子を配向させ、その配向状態に固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、除去することも可能である。例えば、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを、偏光子上に転写して光学異方性層を有する偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、必要であればラビング処理することができる。配向膜に使用するポリマーは、原則として、液晶性化合物を配向させる機能のある分子構造を有する。
本発明では、液晶性化合物を配向させる機能に加えて、架橋性官能基(例えば、二重結合)を有する側鎖を主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性化合物を配向させる機能を有する架橋性官能基を側鎖に導入することが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系重合体、スチレン系重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールの変性基としては、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
架橋性官能基を有する側鎖を配向膜ポリマーの主鎖に結合させるか、あるいは、液晶性化合物を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を導入すると、配向膜のポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマーと多官能モノマーとの間だけではなく、配向膜ポリマーと配向膜ポリマーとの間、そして多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間も共有結合で強固に結合される。従って、架橋性官能基を配向膜ポリマーに導入することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。
配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。
架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。2種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー、架橋剤を含む支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、必要であればラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってもよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例えば、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で、水:メタノールが0より大きく99以下:100未満1以上が好ましく、0より大きく91以下:100未満9以上であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20度〜110度で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60度〜100度が好ましく、特に80度〜100度が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。
配向膜上で液晶性化合物を配向させた後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させてもよい。配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
液晶性化合物を均一配向させるには、配向膜により配向方向を制御するのが好ましい。なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(又は支持体)上に転写してもよい。即ち、光学異方性層の作製時に配向膜を用いたとしても、配向膜は必ずしも本発明の位相差膜の構成部材となるわけではない。
(支持体)
液晶性化合物を含有する組成物からなる第1の光学異方性層は、支持体上に形成してもよい。該支持体としては、後述する第2の光学異方性層を用いてもよいし、仮の支持体上に第1の光学異方性層に設けた後、偏光層や第2の光学異方性層に転写してもよいし、光学的に等方性のフィルムを支持体として用いてもよい。仮の支持体を用いる場合は、支持体の光学特性は特に問わないが、第1の光学異方性層が容易に剥離できることが好ましい。光学的に等方的な支持体上に第1の光学異方性層を形成した場合、液晶表示装置での使用時、該支持体は取り除いてもよいし、残してもよい。また、支持体は偏光層の保護フィルムとしても利用できる。支持体は光透過率が80%以上であることが好ましい。
支持体となるポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、支持体が重合性基を有するポリマー等のフィルムであるのも、光学異方性層との密着性が向上するので好ましい。また、支持体や長尺の支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒子サイズが10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
本発明の偏光板の第1の態様は、前記第1の光学異方性層、前記第2の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ、前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に直交している偏光板であり、及び本発明の偏光板の第2の態様は、前記第2の光学異方性層、前記第1の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ、前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に平行である偏光板である。前記第2の光学異方性層が延伸ポリマーフィルムからなる場合は、その遅相軸の方向は、延伸方向により決定される。
本発明の偏光板は、例えば、長尺状のセルロースアシレートフィルムを第2の光学異方性層として用い、その表面上に、液晶性化合物を含有する組成物からなる第1の光学異方性層を形成して、長尺状の積層体を得、これと長尺状の偏光層とを、長尺の状態で連続的に積層して作製することができる。作製された長尺状の偏光板は、用いられる液晶表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
(粘着剤層)
本発明の偏光板を、液晶表示装置に内に組み込む際に、液晶セルの基板表面に粘着剤を用いて貼合してもよい。液晶セル基板に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成してもよいし、本発明の偏光板の表面に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成してもよい。前記粘着剤層は、適度な粘弾性や粘着特性を示す層であり、光学的に透明な材料からなるのが好ましい。前記粘着剤層は、例えばアクリル系共重合体、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどを含有するポリマー組成物からなる塗布液を表面に塗布し、塗布層を乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により硬化して形成することができる。中でも、アクリル系共重合体において最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性や耐久性などに優れるので、好ましく用いることができる。
[液晶表示装置]
次に、本発明の偏光板を備えた液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも含む。本発明の液晶表示装置は、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等のいずれであってもよい。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、及び必要に応じて位相差板、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては前記偏光板を使用することを必須とする点を除いて特に制限はない。また、液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を挟持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶性化合物、高分子液晶性化合物及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性化合物等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板及び液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていてもよい。前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(SuperTwisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、MVA(Multidomain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であってもよい。カラーフィルターを使用しないフィールドシーケンシャル方式であってもよい。
本発明における偏光板は、反射型、半透過型、及び透過型液晶表示装置に好ましく用いられる。反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セル及び偏光板を、この順に積層した構成を有する。位相差板は、反射板と偏光層との間(反射板と液晶セルとの間又は液晶セルと偏光層との間)に配置される。反射板は、液晶セルと基板を共有していてもよい。前記偏光板として、本発明の偏光板を用いることができ、かかる場合は、位相差板を別途配置しなくてもよいし、もちろん配置してもよい。
半透過反射型液晶表示装置は、液晶セルと、該液晶セルより観察者側に配置された偏光板と、前記偏光板と前記液晶セルの間に配置される少なくとも1枚の位相差板と、観察者から見て前記液晶層よりも後方に設置された半透過反射層を少なくとも備え、さらに観察者から見て前記半透過反射層よりも後方に少なくとも1枚の位相差板と偏光板とを有す。このタイプの液晶表示装置では、バックライトを設置することで反射モードと透過モード両方の使用が可能となる。双方の偏光板が本発明の偏光板であってもよいし、一方のみが本発明の偏光板であってもよい。本発明の偏光板を配置する場合は、液晶セルと本発明の偏光板との間には、位相差板を別途配置しなくてもよいし、もちろん配置してもよい。
液晶セルのモードは特に限定されないが、IPSモード又はFFSモードであることが好ましい。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の透過軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
例えば、前記第1の態様の偏光板を、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル(例えば、IPSモードの液晶セル)を有する液晶表示装置に用いる場合は、前記一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、第1の光学異方性層、第2の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ該第2の光学異方性層の遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板を配置し、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を配置することができる。この場合、双方の偏光層の吸収軸を互いに直交させて配置する。
また、前記第2の態様の偏光板を、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル(例えば、IPSモードの液晶セル)を有する液晶表示装置に用いる場合は、前記一対の基板の一方の基板の外側に該基板側から、第2の光学異方性層、第1の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ該第2の光学異方性層の遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交するように前記偏光板を配置し、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を配置することができる。この場合も、双方の偏光層の吸収軸を互いに直交させて配置する。
前記第2の偏光板は、偏光層とその両側に2枚の保護膜とを有し、該2枚の保護膜の少なくとも一方の面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)が、それぞれ下記関係式を満足する低Reフィルムであり、偏光板の下記式(1)から算出される偏光度Pが99.9%以上であり、クロスニコル時の波長700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の波長410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下の偏光板であるのが好ましい。
|Re|≦10nm、|Rth|≦20nm、
式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
[ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である]。
前記低Reフィルムは、少なくとも液晶セルと偏光層との間に配置される保護膜として用いられるのが好ましい。色味視野角の改良の観点からは、低Reフィルムは、|Re|≦5nm、且つ|Rth|≦10nmであることがより好ましい。低Reフィルムは上記光学特性を満足する限り、その素材については特に制限はないが、セルロースアシレートフィルムであるのが好ましい。第2の偏光板が有する偏光層は、本発明の偏光板が有する偏光層と同様の方法で作製されるのが好ましく、本発明の偏光板と同様に、偏光層の厚さは20μm以下であるのが好ましい。また、本発明の偏光板と同様、前記第2の偏光板が、長尺状で、且つ長手方向に直交する幅方向の長さが400〜3000mmであり、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率/最小透過率の比が5.0以下であり、波長700nmの最大透過率/最小透過率の比が6.5以下である状態で作製されるのが好ましい。液晶ディスプレイに貼合する際には、第2の偏光板が有する偏光層と、本発明の偏光板が有する偏光層とは、同一の長尺状偏光板から切り出されることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<第2の光学異方性層の形成>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。該溶液を保留粒子サイズ4μm、濾水時間35秒の濾紙(No.63、アドバンテック製)を0.5MPa(5kg/cm2)以下で用いてろ過した。
──────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成物
──────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート
(重合度300、Mn/Mw=1.5) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
──────────────────────────────────
別のミキシングタンクに、下記の円盤状化合物であるレターデーション上昇剤Aとして下記A1を16質量部、下記の棒状化合物であるレターデーション上昇剤Bとして下記B1を8質量部、二酸化珪素微粒子(平均粒子サイズ:0.1μm)0.28質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、溶液Aを調製した。セルロースアセテート溶液474質量部に該溶液Aを40質量部混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
レターデーション上昇剤A1
Figure 2007193277
レターデーション上昇剤B1
Figure 2007193277
得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、145℃の条件で、テンターを用いて25%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま50℃で30秒間保持した後クリップを外してセルロースアセテートフィルムを作製した。延伸終了時の残留溶媒量は5質量%であり、さらに乾燥して残留溶媒量を0.1質量%未満としてフィルムNo.2−1を作製した。
このようにして得られたフィルムNo.2−1の厚さは80μmであった。作製したポリマー基材について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、Reの光入射角度依存性を測定して、Reが62nm、Rthが190nmであることが分かった。このフィルムNo.2−1が、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足していることを確認した。
レターデーション上昇剤A及びBの添加量及び延伸倍率を変えた以外には、フィルムNo.2−1と同様にして、フィルムNo.2−2〜2−6及びH2−1〜H2−3を作製した。作製に用いた材料の種類、添加量、延伸倍率、及び作製したフィルムの光学特性を表1にまとめた。
Figure 2007193277
レターデーション上昇剤A2
Figure 2007193277
レターデーション上昇剤B2
Figure 2007193277
レターデーション上昇剤B3
Figure 2007193277
<第1の光学異方性層の作製>
フィルムNo.2−1の表面ケン化処理を行い、このフィルム上に、下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成し、配向膜を得た。
配向膜塗布液の組成
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
変性ポリビニルアルコール
Figure 2007193277
下記の組成の棒状液晶化合物を含む塗布液を、上記作製した配向膜上に#5.0のワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、80℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、棒状液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を80℃に保持して、UV照射により液晶化合物の配向を固定化し、第1の光学異方性層を形成した。続いて、55℃の1.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液中に作製したフィルムを2分間浸漬した後、水に浸漬し十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、35℃の5mmol/L硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
棒状液晶化合物を含む塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶性化合物 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
ポリマーA(P−33) 0.4質量部
オニウム塩(21) 1質量部
メチルエチルケトン 172質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物
Figure 2007193277
作製した棒状液晶性化合物を含む光学異方性層を、フィルムNo.2−1から剥離し、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。波長590nmで測定した光学異方性層のみのReは0nmであり、Rthは−260nmであった。また、棒状液晶分子がフィルム面に対して実質的に垂直に配向している光学異方性層が形成されたことが確認できた。形成した光学異方性層No.1−1が、第1の光学異方性に要求される光学特性を満足していることを確認した。
下記ポリマーAの添加量、オニウム塩の添加量を表のようにかえて、光学異方性層1−2〜1−5及びH1−1〜H1−3をそれぞれ形成した。支持体として用いたのは、表1に示すフィルムNo.2−1〜2−6及びH2−1〜H2−3のいずれかであり、その組み合わせについては表3に示す。
Figure 2007193277
<偏光膜の作製>
平均重合度が2400、膜厚75μmのPVAフィルムを15℃のイオン交換水で48秒予備膨潤し、ステンレス製のブレードを用いて表面水分を掻き取ったのち、濃度が一定になるように濃度補正しつつヨウ素0.9g/L及びヨウ化カリウム60.0g/Lの水溶液(染色液)(濃度が一定になるように濃度補正しつつ)にPVAフィルムを40℃で55秒浸漬し、さらに濃度が一定になるように濃度補正しつつホウ酸42.5g/L及びヨウ化カリウム30g/Lの水溶液にPVAフィルムを40℃で90秒浸漬後、(硬膜液)(その濃度が一定になるように濃度補正しつつ)中で6.3倍に延伸した。このときの偏光膜の厚みは30μmであった。このようにして、偏光層No.3−1として利用する偏光膜を作製した。
膜厚75μmのPVAフィルムを用いて、延伸倍率を変えた以外は上記と同様に延伸処理することで、厚みがそれぞれ異なる偏光膜を種々作製し、偏光層として用いた。偏光層No.3−2の厚みは15μm、偏光層No.3−3の厚みは20μm、偏光層No.3−4の厚みは35μm、偏光層No.3−5の厚みは45μmであった。
<偏光板の作製>
得られた偏光膜のそれぞれを、幅方向から3cm、カッターにて耳きりをした後、PVA((株)クラレ製PVA−124H)3%水溶液を接着剤として、片側を表3に記載の第1の光学異方性層/第2の光学異方性層の積層体からなる透明保護膜を下記条件のけん化処理後、第2の光学異方性層側の遅相軸と偏光層の吸収軸が直交するように貼り合せ、反対側をケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、面内レターデーション値3.0nm、膜厚80μm)と貼り合わせ、さらに75℃で10分間加熱して有効幅650mm、幅方向の長さ1340mm、長手方向の長さ100mのロール状偏光板を作製した。
このようにして、表3に作製した偏光板No.P−1〜P−12、PH−1〜PH−11をそれぞれ作製した。
を記載した。
なお、けん化処理は以下のような条件で行った。
1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01モル/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製したセルロースアシレートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
(偏光板の性能評価)
(1)単板透過率及び偏光度
作製した偏光板のそれぞれについて、偏光度を、島津自記分光光度計“UV3100”[(株)島津製作所製]にて測定した。測定値を表3に示した。
2枚の偏光板を、吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率をH0(%)、吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率をH1(%)として、次式により求めた。
単板透過率、偏光度は視感度補正を行った。
偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
本発明の偏光板は、上記式から算出される偏光度Pが99.9%以上であることが必要である。
(2)クロスニコルの透過率
作製した偏光板のそれぞれについて、2枚の偏光板を、吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率を島津自記分光光度計“UV3100”[(株)島津製作所製]にて測定し、700nmの透過率と410nmの透過率を求めた。結果を表3に示した。また、長手方向及び幅方向における410nmと700nmの最大透過率と最小透過率の比もそれぞれ算出した。表3にあわせて示す。
<低Reフィルムの作製>
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
セルロースアセテート溶液Aの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
添加剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――
下記の光学的異方性低下剤 49.3質量部
下記の波長分散調整剤 4.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
光学的異方性低下剤
Figure 2007193277
波長分散調整剤
Figure 2007193277
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学的異方性を低下する化合物及び波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させ、厚さ80μmの長尺状のセルロースアセテートフィルムT0を製造した。得られたフィルムの面内レターデーション(Re)は1nm(遅相軸はフィルム長手方向と垂直な方向)、厚み方向のレターデーション(Rth)は−1nmであった。
<低Reフィルムを保護膜とする第2の偏光層を有する偏光板の作製>
上記で作製した偏光層No.3−1〜3−5をそれぞれ用い、片側を上記で作製したけん化処理した低Reフィルムと貼り合せ、反対側をケン化処理した富士写真フイルム(株)製「フジタック」(セルローストリアセテート、面内レターデーション値3.0nm、膜厚80μm)と貼り合わせて、偏光板No.P'−1〜P'―12、PH‘−1〜PH’−11をそれぞれ作製した。偏光板No.P−1’が有する偏光層は、偏光板No.P−1が有する偏光層が切り出されたのと同一の長尺状の偏光膜から切り出された偏光層である。No.P'−2〜P'−12、PH‘−1〜PH’−11についても、それぞれの偏光板が有する偏光層は、No.P−2〜P−12、及びPH−1〜PH−11がそれぞれ切り出されたのと同一の長尺状の偏光膜から切り出された偏光層である。
<液晶表示装置の作製>
液晶テレビTH-32LX500(松下電器産業(株)社製)から、液晶セルを取り出し、視認者側及びバックライト側に貼られてあった偏光板及び光学フィルムを剥した。この液晶セルは、電圧無印加状態及び黒表示時では液晶分子はガラス基板間で実質的に平行配向しており、その遅相軸方向は画面に対して水平方向であった。
上記の平行配向セルの上下のガラス基板に、上記作製した偏光板P−1及びP'−1を粘着剤を用いて貼り合わせた。このとき、バックライト側の偏光板にP−1を配置し、視認者側にP'−1を配置し、偏光板P−1に含まれる第1の光学異方性層がバックライト側のガラス基板に接するように、また、偏光板P'−1に含まれるセルロースアセテートフィルムを視認者側のガラス基板に接するように貼り合わせた。また、偏光板P−1の吸収軸と液晶セルの遅相軸が直交するようにし、偏光板P−1と偏光板P'−1の吸収軸は直交するように配置した。このようにして偏光板を貼り合せた液晶セルを、再度、液晶テレビTH-32LX500に組み込んだ。
偏光板No.P−2〜P−12、及びPH−1〜PH−11のそれぞれと、偏光板No.P'−2〜P'−12、及びPH‘−1〜PH’−11のそれぞれについても、同様に組み合わせて、液晶セルに貼り合わせ、液晶表示装置を作製した。
(液晶表示装置の評価)
作製した液晶表示装置のそれぞれについて、透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角70°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示透過率が増すことで、コントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示透過率と抑角60°の漏れ光透過率の最大値で、視野角特性、色味(赤味)を評価して、表3にまとめた。
表示特性の評価
◎ 視野角特性差が極めてわずかであり極めて良好
○ 視野角特性差がわずかであり良好
△ 視野角特性差がほとんどない
× 視野角特性差が大きい
黒表示の色味(赤味)の評価
◎ 色味差が極めてわずかであり、赤味への変化がなく極めて良好
○ 色味差がわずかであり良好であるが、やや赤味への変化有り
△ 色味差がほとんどないが、赤味への変化が大きい
× 視野色味差が大きい
Figure 2007193277
さらに偏光板No.P−1及びNo.P'−1の作製の際、第2の光学異方性層の遅相軸と第1の偏光層との吸収軸の配置、第1の偏光層の吸収軸と液晶セルの遅相軸との配置、及び第1/第2の偏光層の視認者側、バックライト側の配置を表4に示した通りとし、液晶表示装置No.L−101〜108を作製し、且つ下記方法にとり比較用液晶表示装置LH−101及びL−102を作製し、液晶表示装置の色味、視野角特性を同様に評価した。表4に結果をまとめた。
Figure 2007193277
[比較例H―101]
ケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、面内レターデーション値3.0nm、膜厚80μm)を偏光層No.3−2の両面に貼り合わせた以外は偏光板No.P−2と同様にして偏光板を作製し、この偏光板を前記作製した液晶セルの視認者側に、偏光板No.P'−1をバックライト側にクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。上記液晶表示装置では、視認側の偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように偏光板を貼り付けた。このように作製した液晶表示装置の視野角特性を測定した。視野角特性は×なった。
[比較例H−102]
偏光層No.3−2の片面に、ケン化処理した第1の光学異方性層のみを貼り合わせた以外は、偏光板No.P−2と同様に偏光板を作製し、この偏光板を視認者側に、P'−1をバックライト側にクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置を作製した。上記液晶表示装置では、視認側の偏光板の吸収軸が液晶セルのラビング方向と平行になるように偏光板を貼り付けた。このように作製した液晶表示装置の視野角特性を測定した。視野角特性は△になった。
<環状オレフィンを保護膜とする第2の偏光層を有する偏光板の作製>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた重合体を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。
<第2の光学異方性層の形成>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン 150質量部
ジクロロメタン 414質量部
メタノール 36質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作成した環状ポリオレフィン溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
ジクロロメタン 81質量部
メタノール 7質量部
環状ポリオレフィン溶液( 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記環状ポリオレフィン溶液を100質量部、マット剤分散液を1.35質量を混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機により1400mm幅で流延した。残留溶剤量が約25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをフィルムに皺が入らないように保持しながらテンターを用いて140℃の熱風を当てながら幅方向に10%延伸した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し、巻き取った。
作製したフィルムを温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液をバーコーターにより、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<アルカリ溶液組成>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて、作製した環状ポリオレフィンフィルムの光学特性を測定した。波長590nmで測定したReは60nmであり、Rthは190nmであった。また、この光学異方性層の遅相軸はフィルム長手に対して直交していた。このフィルムは、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足していることを確認した。
上記作製した長尺状の環状ポリオレフィンフィルムの鹸化処理を施した面に、前記実施例と同様に配向膜及び、第1の光学異方性層を形成した。さらに偏光板No.P−1で用いた偏光層No.3−2と同様に貼り合せ、得られた偏光板を、液晶表示装置No.L−101と同様の配置になるように液晶テレビに貼り合せ視野角特性を評価したところ、評価結果が◎であることが分かった。

Claims (18)

  1. 偏光層及びその両側に配置された2枚の保護膜を有する偏光板であって、該保護膜の少なくとも一方が第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の積層体からなり、かつ該第1の光学異方性層及び該第2の光学異方性層の面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)がそれぞれ下記関係を満足し、偏光板の下記式(1)から算出される偏光度Pが、99.9%以上であり、クロスニコル時の700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下である偏光板;
    第1の光学異方性層:
    |Re|≦10nm、且つ−400nm≦Rth≦80nm、
    第2の光学異方性層:
    20nm≦Re≦150nm、且つ100nm≦Rth≦300nm、
    式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
    [ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である]。
  2. 長尺状で、且つ長手方向に直交する幅方向の長さが400〜3000mmであり、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率/最小透過率の比が5.0以下であり、波長700nmの最大透過率/最小透過率の比が6.5以下である請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光層の膜厚が、20μm以下である請求項1又は2に記載の偏光板。
  4. 前記偏光層が、ポリマーフィルムを膨潤させた後、横延伸法、縦延伸法、同時二軸延伸法又は逐次二軸延伸法により延伸されたフィルムからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルム又は環状ポリオレフィンフィルムからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
  6. 前記セルロースアシレートフィルムが、少なくとも2つの芳香族環を有する直線的な棒状化合物及び円盤状化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
  7. 前記第1の光学異方性層が、棒状液晶化合物を含有する組成物からなり、該棒状液晶化合物の分子が前記光学異方性層面に対して実質的に垂直に配向しており、且つその配向状態が固定化されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板。
  8. 前記第1の光学異方性層が、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位と下記一般式(1)で表される繰り返し単位とを含む共重合体(ポリマーA)の少なくとも一種を含有する請求項7に記載の偏光板。
    一般式(1)
    Figure 2007193277
    (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し;Lは下記の連結基群から選ばれる2価の連結基又は下記の連結基群から選ばれる2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表し、
    (連結基群)
    単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基;
    Qはカルボキシル基(−COOH)もしくはその塩、スルホ基(−SO3H)もしくはその塩、又はホスホノキシ{−OP(=O)(OH)2}もしくはその塩、又は親水性基(−OH)を表す。)
  9. 前記第1の光学異方性層が、オニウム塩を少なくとも一種含有する請求項7又は8に記載の偏光板。
  10. 前記第1の光学異方性層、前記第2の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に直交している請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
  11. 前記第2の光学異方性層、前記第1の光学異方性層、及び前記偏光層が、この順で積層されており、且つ前記第2の光学異方性層の遅相軸の方向と前記偏光層の吸収軸の方向とが、実質的に平行である請求項1〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
  12. 一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び請求項10に記載の偏光板を含み、該一対の基板の一方の外側に、第1の光学異方性層、第2の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ第2の光学異方性層の遅相軸と黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に平行になるように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を有し、双方の偏光層の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
  13. 一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に平行に配向する液晶層とを有する液晶セル、及び請求項11に記載の偏光板を含み、該一対の基板の一方の外側に、第2の光学異方性層、第1の光学異方性層、及び偏光層がこの順となり、且つ第2の光学異方性層の遅相軸黒表示時の液晶分子の長軸方向とが実質的に直交するように前記偏光板が配置され、及び他方の基板の外側に、偏光層を有する第2の偏光板を有し、双方の偏光層の吸収軸が互いに直交している液晶表示装置。
  14. 前記第2の偏光板が、偏光層とその両側に2枚の保護膜とを有し、該2枚の保護膜の少なくとも一方の面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)が、それぞれ下記関係式を満足する低Reフィルムであり、前記第2の偏光板の下記式(1)から算出される偏光度Pが99.9%以上であり、クロスニコル時の波長700nmの透過率が0.07%以下であり、且つクロスニコル時の波長410nmの透過率が0.01%以上0.15%以下の偏光板である請求項12又は13に記載の液晶表示装置;
    |Re|≦10nm、|Rth|≦20nm、
    式(1):偏光度P=〔(H0−H1)/(H0+H1)〕1/2×100
    [ここで、H0は2枚の偏光板の吸収軸を一致させて重ねた場合の透過率(%)、H1は2枚の偏光板の吸収軸を直交させて重ねた場合の透過率(%)である]。
  15. 前記低Reフィルムが、セルロースアシレートフィルムを含む請求項14に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第2の偏光板が、長尺状で、且つ長手方向に直交する幅方向の長さが400〜3000mmであり、クロスニコル時の幅方向及び長手方向における波長410nmの最大透過率/最小透過率の比が5.0以下であり、波長700nmの最大透過率/最小透過率の比が6.5以下である請求項14又は15に記載の液晶表示装置。
  17. 前記第2の偏光板が有する偏光層の膜厚が、20μm以下である請求項14〜16のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  18. 前記第2の偏光板が有する偏光層が、ポリマーフィルムを膨潤させた後、横延伸法、縦延伸法、同時二軸延伸法又は逐次二軸延伸法により延伸されたフィルムからなる請求項14〜17のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010204347A (ja) * 2009-03-03 2010-09-16 Konica Minolta Opto Inc 位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2013095913A (ja) * 2011-11-07 2013-05-20 Lintec Corp 粘着シートの製造方法、ならびにその製造方法により製造された粘着シートを備える表示デバイスおよび携帯機器

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