JP2007189469A - Ota出力振幅低減回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイナミックレンジを広くとれるOTAを構成要素としたGm−Cフィルタを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタにおいて、該等価インダクタ回路の入力側に接続される回路のインピーダンスであって、該等価インダクタ回路から見たインピーダンスである第1のインピーダンスが、前記等価インダクタ回路の出力側に接続される回路のインピーダンスであって、該等価インダクタ回路から見たインピーダンスである第2のインピーダンスと同程度に小さくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、OTAを構成要素とするGm−Cフィルタに関する。
近年、製造技術の発達等によってIC(Integrated Circuit)回路は小型化され、モジュール化が進んでいる。例えば、ラジオ用IC回路は、外付け部品をほとんど必要とせずに1チップでラジオ機能を実現する1チップ化が進んでいる。
ラジオ用IC回路等を1チップ化する場合、フィルタ回路等を構成するインダクタには、等価なIC回路を使用するのが一般的である。
図5は、ラジオ用IC回路に使用するGm−Cフィルタ(バンドパスフィルタ)の構成例を示している。図5に示すGm−Cフィルタ50は、図5(a)に示すようにインダクタL1及びL2とキャパシタC2及びC3とで構成される一般的なGm−Cフィルタの構成を示している。
ここで、図5に示すフローティング部51のインダクタL1は、図5(b)に示すようにキャパシタCLとOTA(Operational Tranceconductance Amplifier)12〜15とによって構成される等価回路である。入力電圧に比例したリニア特性を持つOTA出力電流によってキャパシタCLを充電する積分動作を行うことによりインダクタL1と等価な特性を実現している。
一般に、OTAは入力電圧に比例したリニア特性を有する電流を出力する。すなわち、負荷が大きいほど出力電圧が大きくなる(ゲインが大きくなる)特性を有する。
図5(b)に示すA点を見ると、OTA13の出力側にキャパシタC3が接続されているためにA点でのOTA13の出力電圧が大きくなる。すなわち、OTA12への入力電圧が大きくなる。
一方、図6に示すように、OTAの出力電圧は入力電圧が大きくなると歪みが生じる。そのため、Gm−Cフィルタ50(OTA12)への入力電圧を抑えなくてはならない要因の1つとなっていた。すなわち、Gm−Cフィルタ50のダイナミックレンジを抑制しなければならない要因となっていた。これは、インダクタL1から見た入力側インピーダンスと出力側インピーダンスとの不均衡が主な原因となっている。
特許文献1には、利得特性の良好なフィルタ回路を提供するために、キャパシタと複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とで構成したジャイレータと、キャパシタに直列に接続した抵抗と、を有する等価インダクタ回路を備えるフィルタ回路について開示されている。
特許文献2には、OTAの周波数特性に起因するフィルタ通過帯域の歪みを改善するために、gm値の小さいトランスコンダクタンス素子を少なくとも2以上並列に接続して通過帯域の中心周波数をシフトさせるGm−Cフィルタについて開示されている。
特開2003−133905号公報 特開2003−198326号公報
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、OTAを構成要素とし、ダイナミックレンジを広くとれるGm−Cフィルタを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係るGm−Cフィルタは、複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタであって、フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て入力側のインピーダンスである第1のインピーダンスが、前記フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て出力側のインピーダンスである第2のインピーダンスと同程度に小さいインピーダンスである、ことを特徴とする。
本発明によると、第1のインピーダンスを第2のインピーダンスと同程度に小さくすることによって、等価インダクタ回路の入力側のゲインを小さくすることができるので、Gm−Cフィルタに対して従来は出力信号が歪んでしまうような入力信号を入力しても、歪みのない出力信号を生成することが可能となる効果を奏する。その結果、より広いダイナミックレンジを有するGm−Cフィルタを提供することが可能となる。
また、本発明は、複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタであって、フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て入力側のインピーダンスである第1のインピーダンスと、前記フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て出力側のインピーダンスである第2のインピーダンスと、が等しい、ことを特徴とするバンドパスフィルタであっても同様の効果を奏する。
以上のように、本発明によると、OTAを構成要素とし、ダイナミックレンジを広くとれるGm−Cフィルタを提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るGm−Cフィルタ10の構成例を示す図である。図1に示すGm−Cフィルタ10は、図1(a)に示すように、インダクタL1及びL2とキャパシタC1及びC2とで構成される。
Gm−Cフィルタ10のフローティング部11は、キャパシタC1とインダクタL1とキャパシタC1とが直列に接続されている。そして、互いに並列に接続されたキャパシタC2とインダクタL2とが、フローティング部11の入力側と出力側に直列に接続されている。
フローティング部11のインダクタL1は、図1(b)に示すように、OTA12〜15とキャパシタCLとで構成される等価インダクタ回路である。OTA12の出力部は、OTA13の入力部と接続されると共に、キャパシタCLに接続されている。そして、OTA13の出力部は、OTA12の入力部に接続されている。また、OTA14の出力部は、OTA15の入力部に接続される。OTA15の出力部は、OTA14の入力部と接続されると共に、キャパシタCLに接続されている。
ここで、図5に示したGm−Cフィルタ50と比較しながら図1に示すGm−Cフィルタ10について説明する。
なお、説明を簡単にするために、Gm−Cフィルタ50のインダクタL1、L2及びキャパシタC2と、Gm−Cフィルタ10のインダクタL1、L2及びキャパシタC2とは、それぞれ等しいインダクタンス、キャパシタンスを有するものとする。
また、Gm−Cフィルタ50のキャパシタC3のキャパシタンスをC、Gm−Cフィルタ10のキャパシタC1のキャパシタンスを2C(2倍のC)、とする。
この時、Gm−Cフィルタ10のフローティング部11のキャパシタンスはCとなるので、Gm−Cフィルタ50のフローティング部51のキャパシタンスCと等しくなる。
したがって、Gm−Cフィルタ10とGm−Cフィルタ50とは等価である(同じフィルタ特性を有する)。
また、Gm−Cフィルタ10のキャパシタC1のキャパシタンスは、Gm−Cフィルタ50のキャパシタC3のキャパシタンスと比較して2倍である。すなわち、OTA13の出力端に接続されるキャパシタンスが2倍である。
このキャパシタC1をOTA13の負荷と考えると、負荷が1/2倍となるので、OTA13の出力電圧は1/2倍となる。
したがって、Gm−Cフィルタ10とGm−Cフィルタ50に同じ信号を入力した場合、Gm−Cフィルタ50のOTA12への入力電圧に較べて、Gm−Cフィルタ10のOTA12への入力電圧は1/2倍の入力電圧となる。
図2は、本実施例に係るGm−Cフィルタ10と従来例に係るGm−Cフィルタ50とに同じ正弦波信号を入力した場合にOTA12に入力される信号を示す図である。実線は、本実施例に係るGm−Cフィルタ10のOTA12に入力される入力信号を示す。また、破線は、図5に示したGm−Cフィルタ50のOTA12に入力される入力信号を示す。
図1で説明したように、Gm−Cフィルタ10のOTA13の出力部に接続されるキャパシタC1は、Gm−Cフィルタ50のOTA13の出力部に接続されるC3に比べてキャパシタンスが1/2であるので、Gm−Cフィルタ10のOTA12に入力される入力信号は、Gm−Cフィルタ50のOTA12入力される入力信号より振幅が小さくなる。
したがって、従来のGm−Cフィルタ50に比べてより大きい振幅の入力信号を入力することが可能となる。すなわち、従来のGm−Cフィルタに比べてダイナミックレンジを広くとれる効果を奏する。
図3は、本実施例に係るGm−Cフィルタ10の入出力特性を示す図である。
実線は、Gm−Cフィルタの理想的な入出力特性を表している。また、一点破線は、図1に示した本実施例に係るGm−Cフィルタ10の入出力特性を表し、二点破線は、図5に示したGm−Cフィルタ50の入出力特性を表している。
Gm−Cフィルタ10とGm−Cフィルタ50とに同じ入力振幅を持つ信号(1)を入力した場合、図1及び2で説明したように、Gm−Cフィルタ10のOTA12への入力振幅は、Gm−Cフィルタ50のOTA12への入力振幅より小さくなる。
一方、OTAの入出力特性は、理想的には入力振幅に対してリニア特性を有するが、実際は図6に示すように、ある入力振幅以上ではリニア特性はなくなる。したがって、Gm−Cフィルタ10とGm−Cフィルタ50とに同じ振幅の信号を入力した場合、Gm−Cフィルタ10のOTA12への入力振幅は、Gm−Cフィルタ50のOTA12への入力振幅より小さくなるので、Gm−Cフィルタ50のOTA12に比べて、より大きい入力振幅がGm−Cフィルタに入力されても歪みが生じ難い。
例えば、図3に示すように、信号(1)に対して、Gm−Cフィルタ50は出力振幅にAだけ歪みが生じるのに対して、Gm−Cフィルタ10はリニア特性を有する出力信号を得ることができる。
また、Gm−Cフィルタ50は、信号(2)までの入力振幅に対してしか出力信号にリニア特性を持たせることができないのに対して、Gm−Cフィルタ10は、信号(1)(信号(1)>信号(2))までの入力振幅に対して出力信号にリニア特性を持たせることが可能となる。
すなわち、Gm−Cフィルタ10のダイナミックレンジは、Gm−Cフィルタ50に比べてAだけ広くなっていることがわかる。
以上に説明したように、OTAとキャパシタとで構成される等価インダクタ回路L1の入力側に接続されるインピーダンスを小さくして、等価インダクタ回路の入力ゲインを小さくすることによって、より高い入力振幅の信号がGm−Cフィルタ10に入力されても歪みを生じることなく出力信号にリニア特性を持たせることが可能となる。すなわち、Gm−Cフィルタ10のダイナミックレンジをより広くすることが可能となる。
以下に、一般的な構成のバンドパスフィルタと対比しながら、本発明の実施例に係るバンドパスフィルタ(Gm−Cフィルタ)の設計手順の例について簡単に説明する。
図4は、本実施例に係るバンドパスフィルタの設計手順の例を説明する図である。
図4(a)は、一般的な構成のバンドパスフィルタ41の構成例を示している。図4(a)に示すバンドパスフィルタ41は、そのフローティング部を抵抗Z3(インピーダンスZc)と等価インダクタ回路42(インダクタンスL)とを直列に接続して構成し、このフローティング部の入力側と出力側とにそれぞれ抵抗Z2(インピーダンスZ)を接続している。
図4(a)に示すバンドパスフィルタ41と同じ周波数特性を持つように本実施例に係るバンドパスフィルタ43を設計するには、以下の条件に合うようにパラメータ(バンドパスフィルタを構成するキャパシタ、インダクタ等の値)を決定すればよい。すなわち、等価インダクタ回路42から見た入力側のインピーダンスZa、等価インダクタ回路42から見た出力側のインピーダンスZbとすると、
(1)Za=Zb
(2)Zc*L=一定
となる様にバンドパスフィルタ43のパラメータを決定すればよい。
図4(b)は、上述の条件に合うようにしてパラメータを決定して得た本実施例に係るバンドパスフィルタ43の構成例を示している。
図4(b)に示すバンドパスフィルタ43は、そのフローティング部を抵抗Z1(インピーダンスZc/2)、等価インダクタ回路44(インダクタンスL)及び抵抗Z1の順で直列に接続して構成し、このフローティング部の入力側と出力側とにそれぞれ抵抗Z2を接続している。
また、等価インダクタ回路44から見た入力側のインピーダンスZa’(第1のインピーダンス)、等価インダクタ回路44から見た出力側のインピーダンスZb’(第2のインピーダンス)とすると、
(1)Za’=Zb’ =Z1+Z2
(2)Zc*L={(Zc/2)+(Zc/2)}*L
となり条件を満たしていることがわかる。
以上のようにして設計したバンドパスフィルタ43は、等価インダクタ回路44の入力側の負荷Z1(Zc/2)が、等価インダクタ回路42の入力側の負荷Z3(Zc)の1/2倍となるので、図1で説明したように、バンドパスフィルタ41よりも広いダイナミックレンジを得ることができる。
また、バンドパスフィルタ41とバンドパスフィルタ43のフローティング部は、共にZc*L(又は、{(Zc/2)+(Zc/2)}*L)で一定なので、バンドパスフィルタ41と同じ所望の周波数特性を得ることができる。
以上に説明したように、本発明の実施例に係るGm−Cフィルタは、従来のGm−Cフィルタでは、等価インダクタ回路L1から見た入力側のインピーダンス(第1のインピーダンス)と、等価インダクタ回路L1から見た出力側のインピーダンス(第2のインピーダンス)と、が不均衡であるために、等価インダクタ回路L1の入力部のゲインが高くなり、等価インダクタ回路L1を構成するOTAに入力される振幅が大きくなることで出力振幅に歪みが生じやすかったという問題を解決している。その結果、Gm−Cフィルタのダイナミックレンジを広くとることが可能となる効果を奏する。
以上に説明した本発明の実施例に係るGm−Cフィルタは、第1のインピーダンスと第2のインピーダンスとが等しくなる構成について説明したが、第1のインピーダンスが第2のインピーダンスと等しくなる程度(第2のインピーダンスの1倍〜1.5倍の範囲内)の構成であればよく、この場合にも本発明の効果を得ることができる。
また、本発明の実施例ではバンドパスフィルタについて説明しているが、バンドパスフィルタに限定する趣旨ではない。OTAとコンダクタとで構成する等価インダクタ回路を有するフィルタ回路であれば、本発明を適用することが可能なのは当然である。
本発明の実施例に係るGm−Cフィルタの構成例を示す図である。 Gm−Cフィルタ10とGm−Cフィルタ50とに同じ正弦波信号を入力した場合にOTA12に入力される信号を示す図である。 本実施例に係るGm−Cフィルタの入出力特性を示す図である。 本実施例に係るバンドパスフィルタの設計手順の例を説明する図である。 ラジオ用IC回路に使用するGm−Cフィルタの従来例を示す図である。 OTAの入出力特性を示す図である。
符号の説明
10 ・・・ Gm−Cフィルタ
11 ・・・ フローティング部
12〜15・・・ OTA


Claims (5)

  1. 複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタであって、
    フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て入力側のインピーダンスである第1のインピーダンスが、前記フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て出力側のインピーダンスである第2のインピーダンスと同程度に小さいインピーダンスである、
    ことを特徴とするGm−Cフィルタ。
  2. フローティング部は前記等価インダクタ回路とキャパシタンスの等しい2つのキャパシタとで構成され、該キャパシタは前記等価インダクタ回路の入力側と出力側とにそれぞれ接続される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のGm−Cフィルタ。
  3. 複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタであって、
    フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て入力側のインピーダンスである第1のインピーダンスと、前記フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て出力側のインピーダンスである第2のインピーダンスと、が等しい、
    ことを特徴とするバンドパスフィルタ。
  4. 前記フローティング部は等価インダクタ回路とキャパシタンスの等しい2つのキャパシタとで構成され、該キャパシタは前記等価インダクタ回路の入力側と出力側とにそれぞれ接続される、
    ことを特徴とする請求項3に記載のバンドパスフィルタ。
  5. 前記フローティング部におけるインダクタンスとキャパシタンスとの積と、複数の演算相互トランスコンダクタンス増幅器とキャパシタとで構成する等価インダクタ回路を有するGm−Cフィルタであって、フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て入力側のインピーダンスと、前記フローティング部に設けられた等価インダクタ回路から見て出力側のインピーダンスと、が異なるバンドパスフィルタのフローティング部におけるインダクタンスとキャパシタンスとの積と、を等しくすることにより、該バンドパスフィルタと同じ周波数特性を有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のバンドパスフィルタ。


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