JP2007187602A - 磁気センサにおける磁性微粒子移動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気センサ上への磁性微粒子の収集や磁気センサ上からの分散が可能な磁性微粒子移動装置を提供する。
【解決手段】本発明の磁性微粒子移動装置は、磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いられる。磁性微粒子移動装置は、磁気センサ1近傍に配置され磁界を発生させる磁性微粒子移動用配線2と、磁性微粒子移動用配線2に発生する磁界に変化を与えるように外部磁界を印加する外部磁界印加手段4とを具備する。磁性微粒子移動用配線2は、磁性体又は導電体から構成可能であり、導電体で構成する場合には磁性微粒子移動用配線2に電流を流す電流源3を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の磁性微粒子移動装置は、磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いられる。磁性微粒子移動装置は、磁気センサ1近傍に配置され磁界を発生させる磁性微粒子移動用配線2と、磁性微粒子移動用配線2に発生する磁界に変化を与えるように外部磁界を印加する外部磁界印加手段4とを具備する。磁性微粒子移動用配線2は、磁性体又は導電体から構成可能であり、導電体で構成する場合には磁性微粒子移動用配線2に電流を流す電流源3を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いる磁性微粒子移動装置に関し、特に、磁気センサ上への磁性微粒子の収集や、逆に磁気センサ上からの磁性微粒子の分散を行うための磁性微粒子移動装置に関する。
近来、磁性微粒子を用いた生理活性物質の検出システムが世界各国で研究開発されている。磁性微粒子にはターゲットとなる生理活性物質が提供されており、これが磁気センサ上のレセプタ(キャプチャ)となる物質と反応し、磁性微粒子が磁気センサ上に固定化され、この磁気を測定することにより生理活性物質の検出を行っている。これらの多くは、磁性微粒子からの微小な磁界を検出する磁気センサとして、巨大磁気抵抗素子(GMR)を用いている(特許文献1等)。しかしながら、GMRセンサには、感度が低いという問題があり、より高感度で測定が可能なシステムの開発が望まれていた。
そこで、生理活性物質検出システムの磁気センサとして、ホール素子を用いたものも研究されている(特許文献2)。ここで、ホール素子とは、ホール効果を利用した磁気センサであり、磁界を電気信号(電圧)に変換して出力するものである。
また、複数の磁気センサを集積して配置し、それぞれ異なるレセプタを磁気センサ上に設け、複数の種類の磁性微粒子を同時に測定するシステムも開発されている。
GMRセンサやホール素子では、その磁気センサ上に確実に磁性微粒子を配置する必要がある。磁性微粒子は磁気センサ上に自然に寄っていくわけではないため、従来の生理活性物質検出システムにおいては、溶液中で攪拌等を行い、時間をかけて固定化していた。そのため、なるべく多くの磁性微粒子が磁気センサ上に集まるような構造も研究されている。例えば非特許文献1に記載のように、磁界のピークに磁性微粒子が寄ってくることを利用して、GMRセンサの近傍に電流線を設け、これに電流を流すことにより磁界のピークを電流線上に発生させ、多くの磁性微粒子を電流線に集めることでGMRセンサ付近に磁性微粒子を収集することが行われている。
しかしながら、非特許文献1の構成では、電流線上に磁性微粒子を集めることは可能であっても、あくまでも電流線上に集めているのであってセンサ上に集めているわけではないため、検出精度を大きく高めたり測定時間を短縮したりすることは出来なかった。
また、特に磁気センサにホール素子を用いて複数の磁気センサを集積して配置するシステムに、磁性微粒子を集めるための電流線を適用した場合、端子数、配線数が膨大となってしまい、集積率が著しく低下してしまっていた。磁性微粒子がセンサ上に多く集まれば集まるほどより正確な検出が可能となるが、ホール素子アレイの集積率が低いと、センサとセンサの間の無駄な領域が多くなり、測定時間や測定精度に悪影響を及ぼしていた。
本発明は、斯かる実情に鑑み、磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置において、磁気センサ上への磁性微粒子の収集や磁気センサ上からの分散が可能な磁性微粒子移動装置を提供しようとするものである。また、複数の磁気センサを集積した集積型磁気センサにおいても、磁性微粒子の収集や分散が可能であり、且つ高集積化が可能な磁性微粒子移動装置を提供しようとするものである。
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いる磁性微粒子移動装置は、磁気センサ近傍に配置され磁界を発生させる磁性微粒子移動用配線と、磁性微粒子移動用配線に発生する磁界に変化を与えるように外部磁界を印加する外部磁界印加手段とを具備するものである。
ここで、磁性微粒子移動用配線は、磁性体から構成されていれば良い。
また、磁性微粒子移動用配線は、導電体からなり、さらに、磁性微粒子移動用配線に電流を流す電流源を有するようにしても良い。
また、外部磁界印加手段は、磁気センサの検出部の面方向に対して勾配磁界を印加するよう構成されても良い。
また、外部磁界印加手段は永久磁石又はコイルからなり、磁気センサの検出部の面方向又は検出部の面に垂直な方向から外部磁界を印加するように構成されても良い。
さらに、外部磁界印加手段は、磁界を反転して印加しても良い。
また、電流源は、電流の極性を反転して流しても良い。
さらに、磁気センサは、複数の磁気センサ素子からなる集積型磁気センサであっても良い。
また、磁性微粒子移動用配線は、磁気センサを囲うように配置されても良い。
さらに、集積型磁気センサにおいては、磁性微粒子移動用配線は、隣り合う磁気センサ素子の間にループ状に配置されても良い。
また、磁気センサは、ホール素子からなるものであっても良い。
さらに、磁気センサは複数のホール素子からなり、該複数のホール素子がロウ配線とカラム配線の交点にアレイ状に配置され、ロウ配線又はカラム配線の一方の配線においてホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の一方が直列に接続されて半導体基板上に設けられたものに本発明の磁性微粒子移動装置を適用した場合には、以下のような磁気センサの構成を用いることが可能である。即ち、磁気センサは、ロウ配線又はカラム配線の他方の配線において隣り合うホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の他方の間を開閉制御するトランジスタと、各トランジスタのゲート端子に接続され、トランジスタのON/OFFをロウ配線又はカラム配線の他方の配線毎に選択可能なゲートセレクタと、ロウ配線又はカラム配線の一方の配線に接続され、該ロウ配線又はカラム配線の一方の配線への電流入力を個々に選択可能な入力電流セレクタと、ロウ配線又はカラム配線の他方の配線に接続され、該ロウ配線又はカラム配線の他方の配線からの電圧出力を個々に選択可能な出力電圧セレクタとを具備すれば良い。
ここで、磁性微粒子移動用配線は、トランジスタのゲート端子に接続されても良い。
さらに、磁性微粒子移動用配線の接続を電流源又はゲートセレクタに切り替え可能なスイッチ手段を具備しても良い。
本発明の磁性微粒子移動装置には、磁気センサ上へ確実に磁性微粒子を移動させることが可能であり、また、磁気センサの洗浄時等には、逆に磁気センサから磁性微粒子を分散させることも可能であるという利点がある。したがって、本発明の磁性微粒子移動装置を用いた磁気センサは、より高精度且つ短時間に磁気を測定可能となる。また、生理活性物質検出システムにおいて、レセプタとの組み合わせが異なっており本来は磁気センサ上に留まっていてはいけない磁性微粒子についても、本発明の磁性微粒子移動装置を用いることで、磁気センサ上から分散することが可能となるため、より正確な測定を行うことが可能となるという利点もある。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の磁性微粒子移動用配線の基本的な構造を説明するための概念図であり、図1(a)がその平面概略図、図1(b)が正面からみたx軸方向に対する磁束密度のグラフである。なお、これらは原理を説明するための図であり、グラフ上の磁束密度の大きさ、特性等はあくまでも概念上示したに過ぎず、これに限定されるわけではない。図1に示した本発明の磁性微粒子移動装置は、基本的には磁気センサ1の近傍に配置される磁性微粒子移動用配線2と、当該配線2に接続される電流源3と、これらに外部磁界を印加する外部磁界発生源4とからなるものである。
磁気センサ1としては、GMRセンサやホール素子等、主に生理活性物質検出システムにおけるターゲットとなる標識として用いられる磁性微粒子を検出可能なセンサであれば如何なるものであっても良い。本発明の磁性微粒子移動装置を適用可能な磁気センサは、GMRセンサやホール素子に限定されず、現存する又は今後開発され得るあらゆる磁気センサが含まれることが理解されるべきである。
磁性微粒子移動用配線2は、銅線等の導電体からなる配線であり、磁気センサ1の近傍に配置され、電流源3により電流を流すことで磁界を発生させ、磁性微粒子移動用配線2上に磁界のピークを提供するものである。このような磁性微粒子が磁界中で受ける力Fは、以下の式で表わされる。
但し、μ0は真空透磁率、χmは磁化率、Hは磁界の強さ、xはx軸方向の座標位置である。
この式より、磁性微粒子は、磁界のピークに引き寄せられる性質を持っていることが分かる。したがって、電流源3により磁性微粒子移動用配線2に電流を流すことで、磁界のピークを磁性微粒子移動用配線2上に提供している。なお、磁界のピークには、磁性微粒子が引き寄せられるピークと引き寄せられないピークの2種類がある。磁界の強さが正のときの極大のピーク、及び磁界の強さが負のときの極小のピークには、磁性微粒子が引き寄せられる。一方、磁界の強さが正のときの極小のピーク、及び磁界の強さが負のときの極大のピークには、磁性微粒子は引き寄せられない。
この式より、磁性微粒子は、磁界のピークに引き寄せられる性質を持っていることが分かる。したがって、電流源3により磁性微粒子移動用配線2に電流を流すことで、磁界のピークを磁性微粒子移動用配線2上に提供している。なお、磁界のピークには、磁性微粒子が引き寄せられるピークと引き寄せられないピークの2種類がある。磁界の強さが正のときの極大のピーク、及び磁界の強さが負のときの極小のピークには、磁性微粒子が引き寄せられる。一方、磁界の強さが正のときの極小のピーク、及び磁界の強さが負のときの極大のピークには、磁性微粒子は引き寄せられない。
本発明では、このようにして発生した磁界のピークをシフトさせるために、外部磁界発生源4により外部磁界を印加している。これにより磁界のピークが磁気センサ1上にシフトし、結果的に磁気センサ1上に磁性微粒子が引き寄せられるものである。磁界のピークをシフトさせられれば、外部磁界発生源は如何なる磁界を印加するように構成されていても良いが、設計の容易性等からは、外部磁界発生源4は、磁気センサ1の検出部の面方向に対して勾配磁界を印加するように構成されることが好ましい。
なお、磁気センサにホール素子を用いる場合、ホール素子にホール電圧を生じさせるための磁場発生装置が必要となるが、この磁場発生装置と、本発明における外部磁界発生源とを共通化することも可能である。
以下、磁界のピークのシフトについて、より具体的に説明する。外部磁界発生源4により外部磁界を印加していない状態の磁束密度は、図1(b)の破線のようになっている。この状態では、磁界の強さが正のときの極大のピークが磁性微粒子移動用配線2上にあるため、磁性微粒子は配線2上に引き寄せられる。そして、外部磁界発生源4により外部磁界を磁気センサの検出部の面方向から印加する。例えば、永久磁石やコイル等により、図示例では具体的にはS極磁界を印加すると、磁界のピークが実線で示したように右方向にシフトする。磁性微粒子は、このシフトしたピーク、より具体的には磁界の強さが負のときの極小のピークに引き寄せられることになるため、シフトする位置に磁気センサ1を配置しておけば、磁気センサ1上に磁性微粒子を移動させることが可能となる。
なお、図1(b)上、ピークが右方向にシフトしているが、これは外部磁界発生源4の磁界を反転させて印加すれば、左方向にシフトする。これを図2を用いて説明する。図2は、本発明の磁性微粒子移動用配線に逆磁界を印加したものを説明するための図であり、図2(a)がその平面概略図、図2(b)が正面からみたx軸方向に対する磁束密度のグラフである。なお、これらは原理を説明するための図であり、グラフ上の磁束密度の大きさ、特性等はあくまでも概念上示したに過ぎず、これに限定されるわけではない。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。図1では外部から右上がりの勾配磁界を印加していたが、図2では左上がりの勾配磁界を印加した場合の例を示している。図2(b)の破線が外部磁界発生源4により外部磁界を印加していない状態の磁束密度であり、外部磁界発生源4により外部磁界、図示例では具体的にはN極磁界を印加すると、磁界のピークが実線で示したように左方向にシフトする。したがって、上記と同様に、シフトする位置に磁気センサ1を配置しておけば、磁気センサ1上に磁性微粒子を移動させることが可能となる。
さらに、図3を用いて電流の向きを逆にした場合について説明する。図3は、本発明の磁性微粒子移動用配線に逆方向の電流を流したものを説明するための図であり、図3(a)がその平面概略図、図3(b)が正面からみたx軸方向に対する磁束密度のグラフである。なお、これらは原理を説明するための図であり、グラフ上の磁束密度の大きさ、特性等はあくまでも概念上示したに過ぎず、これに限定されるわけではない。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。電流の向きが逆方向の場合、外部磁界発生源4により外部磁界を印加していない状態の磁束密度は、図3(b)の破線のようになっている。この状態では、磁界の強さが負のときの極小のピークが磁性微粒子移動用配線2上にあるため、磁性微粒子は配線2上に引き寄せられる。そして、外部磁界発生源4により外部磁界、例えば永久磁石やコイル等により、図示例では具体的にはN極磁界を印加すると、磁界のピークが実線で示したようになる。これにより、正の極大ピークが新たに発生することになる。この結果、磁界のピークが右方向にシフトすることになる。したがって、上記と同様に、シフトする位置に磁気センサ1を配置しておけば、磁気センサ1上に磁性微粒子を移動させることが可能となる。
なお、永久磁石やコイル等による外部磁界発生源は、磁気センサの検出部の面方向から外部磁界を印加するように構成されているが、本発明はこれに限定されず、磁気センサの検出部の面方向(x軸方向)に対して勾配した磁界を印加できれば良く、磁気センサの検出部の面に垂直な方向、さらには斜め方向から外部磁界を印加することにより、勾配磁界を印加できるように構成したものであっても勿論構わない。
本発明の磁性微粒子移動装置では、上述のように、外部磁界発生源の外部磁界の磁極方向や電流源の電流の極性方向を制御することにより、任意の方向に磁性微粒子を移動させることが可能となる。このため、例えば磁気センサの検出部上に磁性微粒子を移動させた後、レセプタに確実に吸着される磁性微粒子のみを検出部上に残しそれ以外の磁性微粒子を分散させるために、外部磁界発生源による外部磁界を反転させたり、又は電流源による電流の極性を反転させたりすることも可能である。これにより、レセプタに吸着される磁性微粒子のみを確実に検出し、レセプタに吸着しない磁性微粒子は検出されないようにすることが可能となる。また、これは測定装置を洗浄等する場合にも利用可能である。
さらに、磁性微粒子移動用配線の磁気センサ側とは反対側に、分散用配線を別にもう1本設け、分散させるときにはこの分散用配線に磁界のピークを作るようにして、磁気センサからさらに磁性微粒子を遠ざけるようにすることも可能である。
次に、図4を用いて磁性微粒子移動用配線のさらに他の配置例について説明する。図4は、本発明の磁性微粒子移動用配線の他の構造を説明するための図であり、図4(a)がその平面概略図、図4(b)が正面からみたx軸方向に対する磁束密度のグラフである。なお、これらは原理を説明するための図であり、グラフ上の磁束密度の大きさ、特性等はあくまでも概念上示したに過ぎず、これに限定されるわけではない。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。これまで説明した磁性微粒子移動用配線は、直線的な配線であったが、本実施例の配線は、磁気センサの検出部を囲うように配置されていることを特徴とするものである。図4に示すように、磁性微粒子移動用配線2は、磁気センサ1の検出部を囲うように配置され、これに電流源3が接続されている。外部磁界発生源4により外部磁界を印加していない状態の磁束密度は、図4(b)の破線のようになっている。この状態では、磁界の強さが負のときの極小のピークが図4(b)における左側の磁性微粒子移動用配線2にあり、また、磁界の強さが正のときの極大のピークが図4(b)における右側の磁性微粒子移動用配線2にある。したがって、磁性微粒子は図4(b)において左右の配線2上に引き寄せられる。なお、配線がループ状に構成されていることから、コイルを構成することとなり、左右の配線の間の中心付近にも磁界のピークが発生することにもなるが、図示例では省略している。そして、外部磁界発生源4により外部磁界、例えば永久磁石やコイル等により、図示例では具体的にはN極磁界を印加すると、磁界のピークが実線で示したように両配線の内側方向にシフトする。したがって、上記と同様に、シフトする中央側に磁気センサ1を配置しておけば、磁気センサ1上に磁性微粒子を移動させることが可能となる。
なお、上記の図4で示した例においても、外部磁界発生源による外部磁界を反転させたり、又は電流源による電流の極性を反転させたりすることで、磁気センサ1上から分散させることも可能である。
上述の例では、すべて磁性微粒子移動用配線2が導電体からなり、これに電流源3により電流を流すことで磁界のピークを発生されるように構成されていたが、磁性微粒子移動用配線上の磁界のピークのON/OFF制御が不要であれば、磁性微粒子移動用配線は磁性体で構成しても良い。即ち、磁性微粒子移動用配線2を磁性体で構成し、図1から図4で説明したように磁気センサ1の近傍に当該磁性微粒子移動用配線2を配置すれば良い。この場合には電流源3は必要なく、磁性微粒子移動用配線2と外部磁界発生源4だけで構成可能である。なお、磁性微粒子を磁気センサ1上から分散させるときには、外部磁界発生源4の磁界を反転させれば良い。
次に、本発明の磁性微粒子移動装置を、複数の磁気センサ素子からなる集積型磁気センサに適用した場合の例について説明する。これまでの説明と同様、複数の磁気センサ素子に対して、磁性微粒子移動用配線2を直線的に配置したり磁気センサ素子を囲うように配置したりすることも勿論可能であるが、磁性微粒子移動用配線2を隣り合う磁気センサ素子の間にループ状に配置しても良い。
ここで、集積型ホールセンサに関して、本願出願人による特願2005−376014に開示したような高集積ホールセンサに適用した場合について説明する。図5は、本発明の磁性微粒子移動装置を、半導体基板上にアレイ状に設けられた複数のホール素子からなる集積型ホールセンサに適用した例を説明するための図である。図5に示すように、ロウ配線10−12とカラム配線20−22が交わる交点にホール素子30−38が配置され、これがアレイ状に構成されている。そして、カラム配線20−22において隣り合うホール素子の間に、トランジスタ40−45が形成されている。このトランジスタをON/OFF制御することにより、隣り合うホール素子間の接続を開閉制御することで、任意のホール素子による磁性微粒子の検出を可能とするものである。図示のように、このような集積型ホールセンサのホール素子30−38の近傍に磁性微粒子移動用配線2を配置し、磁界のピークを作り、外部磁界発生源4により勾配磁界を印加することでピークを移動させ、ホール素子上に磁性微粒子を移動させることが可能となる。なお、この例においても、外部磁界発生源による外部磁界を反転させたり、又は電流源による電流の極性を反転させたりすることが可能である。また、磁性微粒子移動用配線上の磁界のピークのON/OFF制御が不要であれば、磁性微粒子移動用配線2を磁性体で構成すれば、電流源は不要である。
また、磁性微粒子移動用配線2をトランジスタのゲート端子に接続し、磁性微粒子移動用配線とトランジスタの制御端子を共通化して配線数を減らすことも可能である。このように、磁性微粒子移動用配線が上記のトランジスタのゲート端子に接続された例について、具体的に説明する。図6は、本発明の磁性微粒子移動装置を集積型ホールセンサに適用した例を説明するための図である。図中、図5と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。図5では磁性微粒子移動用配線2として直線的な配線を示したが、本図示例では、磁性微粒子移動用配線2を隣り合う磁気センサ素子の間にループ状に配置したものを示す。但し、磁性微粒子移動用配線2は、本発明は図示例の配置に限定されるものではなく、トランジスタのゲート端子に磁性微粒子移動用配線が接続され、これを用いて磁性微粒子を移動させてシフトできるものであれば、如何なる構成であっても構わない。また、図6では、1つの磁性微粒子移動用配線2のみに電流源3又はゲートセレクタ50が接続されているように示しているが、これは説明の都合上省略しているだけであり、実際には他の磁性微粒子移動用配線にも電流源又はゲートセレクタが接続されているものとする。
図6に示す集積型磁気センサは、図5と同様、ロウ配線10−12とカラム配線20−22が交わる交点にホール素子30−38が配置され、これがアレイ状に構成されている。そして、カラム配線20−22において隣り合うホール素子の間に、トランジスタ40−45が形成されている。このトランジスタをON/OFF制御することにより、隣り合うホール素子間の接続を開閉制御するものである。そして、カラム配線において隣り合うホール素子の間に、例えばMOS構造のトランジスタが挿入されている。例えばホール素子30とホール素子33の間にMOSトランジスタ40が挿入され、ホール素子30の一端子がMOSトランジスタ40のドレイン端子に接続され、ホール素子33の一端子がMOSトランジスタ40のソース端子に接続されている。
MOSトランジスタのゲート端子は、それぞれゲートセレクタ50に接続されている。ゲートセレクタ50は、各トランジスタのON/OFFを選択するものである。なお、それぞれのトランジスタを個々に制御できるように構成しても勿論構わないが、カラム配線毎にトランジスタを選択できるように、同じカラム配線のトランジスタのゲート端子がそれぞれ接続されてゲートセレクタに接続されるように構成することが好ましい。
そして、ロウ配線には、ホール素子のための電流入力を個々に選択可能な入力電流セレクタ51が接続されている。入力電流セレクタ51は、ホール素子の制御電流端子に選択的に電流を印加可能なものである。なお、入力電流セレクタにより選択されたロウ配線の1本にのみ制御電流を入力し、他のロウ配線には電流が流れないように構成することが好ましい。
また、カラム配線には、ホール素子の電圧出力を個々に選択して取り出すための出力電圧セレクタ52が接続されている。出力電圧セレクタ52は、ホール素子の電圧出力端子を任意に選択可能なものである。そして、選択されたホール素子における出力電圧を測定する。出力電圧セレクタにより選択されたカラム配線の1本からの電圧出力のみを読み出し、他のカラム配線は読み出さないように構成することが好ましい。
このように構成された集積型ホールセンサにおいて、まず図6(a)に示すように、磁性微粒子移動用配線2に電流源3を用いて電流を流すことにより、磁性微粒子が配線2上に収集される。そして、図6(b)に示すように、外部磁界発生源4により外部磁界を印加することで、磁界のピークをシフトさせ、磁性微粒子をセンサ上に移動させる。磁性微粒子をセンサ上に移動させた後に、図6(c)に示すように、磁性微粒子移動用配線2に接続されていた電流源3を、ゲートセレクタ50に切り替えて、磁性微粒子移動用配線2をゲート端子として用い、所定のトランジスタをON/OFF制御する。これにより、任意のホール素子による磁性微粒子の検出が可能となる。なお、図6(c)では、入力電流セレクタ51と出力電圧セレクタ52をそれぞれロウ配線10及びカラム配線20に接続し、ホール素子30のみから磁気を測定するようにしている。ここで、ゲートセレクタ50は、トランジスタ40にのみ接続されているように図示されているが、実際にはトランジスタ40,43をONにし、他をOFFにするようにすれば良い。
磁性微粒子移動用配線2の接続を、電流源3かゲートセレクタ50のどちらかに切り替えるためには、スイッチを設ければ良い。これは、接続を切り替えられれば如何なる構成であっても構わない。
このように、磁性微粒子移動用配線とゲート端子とを共通化し、配線を電流源に接続すれば磁性微粒子を収集するための配線となり、ゲートセレクタに接続すれば所定のホール素子を選択するためのトランジスタのゲート端子となるように構成することで、配線数を減らすことが可能となる。なお、この例においても、外部磁界発生源による外部磁界を反転させたり、又は電流源による電流の極性を反転させたりすることで、磁性微粒子を磁気センサの検出部に収集したり分散したりすることが可能である。
なお、本発明の磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いる磁性微粒子移動装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 磁気センサ
2 磁性微粒子移動用配線
3 電流源
4 外部磁界発生源
10−12 ロウ配線
20−22 カラム配線
30−38 ホール素子
40−45 トランジスタ
50 ゲートセレクタ
51 入力電流セレクタ
52 出力電圧セレクタ
2 磁性微粒子移動用配線
3 電流源
4 外部磁界発生源
10−12 ロウ配線
20−22 カラム配線
30−38 ホール素子
40−45 トランジスタ
50 ゲートセレクタ
51 入力電流セレクタ
52 出力電圧セレクタ
Claims (14)
- 磁気センサにより磁性微粒子の磁気を測定する装置に用いる磁性微粒子移動装置であって、該磁性微粒子移動装置は、
前記磁気センサ近傍に配置され磁界を発生させる磁性微粒子移動用配線と、
前記磁性微粒子移動用配線に発生する磁界に変化を与えるように外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、
を具備することを特徴とする磁性微粒子移動装置。 - 請求項1に記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁性微粒子移動用配線は、磁性体からなることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1に記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁性微粒子移動用配線は、導電体からなり、さらに、前記磁性微粒子移動用配線に電流を流す電流源を有することを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記外部磁界印加手段は、磁気センサの検出部の面方向に対して勾配磁界を印加することを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記外部磁界印加手段は永久磁石又はコイルからなり、磁気センサの検出部の面方向又は検出部の面に垂直な方向から外部磁界を印加することを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記外部磁界印加手段は、磁界を反転して印加可能であることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項3乃至請求項6の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記電流源は、電流の極性を反転して流すことが可能であることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁気センサは、複数の磁気センサ素子からなる集積型磁気センサであることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁性微粒子移動用配線は、磁気センサを囲うように配置されることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項8に記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁性微粒子移動用配線は、隣り合う磁気センサ素子の間にループ状に配置されることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項1乃至請求項10の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁気センサは、ホール素子からなることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項8乃至請求項11の何れかに記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁気センサは複数のホール素子からなり、該複数のホール素子がロウ配線とカラム配線の交点にアレイ状に配置され、ロウ配線又はカラム配線の一方の配線においてホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の一方が直列に接続されて半導体基板上に設けられ、さらに、前記磁気センサは、
前記ロウ配線又はカラム配線の他方の配線において隣り合うホール素子の制御電流端子又は電圧出力端子の他方の間を開閉制御するトランジスタと、
各トランジスタのゲート端子に接続され、トランジスタのON/OFFを前記ロウ配線又はカラム配線の他方の配線毎に選択可能なゲートセレクタと、
ロウ配線又はカラム配線の一方の配線に接続され、該ロウ配線又はカラム配線の一方の配線への電流入力を個々に選択可能な入力電流セレクタと、
ロウ配線又はカラム配線の他方の配線に接続され、該ロウ配線又はカラム配線の他方の配線からの電圧出力を個々に選択可能な出力電圧セレクタと、
を具備することを特徴とする磁性微粒子移動装置。 - 請求項12に記載の磁性微粒子移動装置において、前記磁性微粒子移動用配線は、前記トランジスタのゲート端子に接続されることを特徴とする磁性微粒子移動装置。
- 請求項13に記載の磁性微粒子移動装置であって、さらに、前記磁性微粒子移動用配線の接続を前記電流源又はゲートセレクタに切り替え可能なスイッチ手段を具備することを特徴とする磁性微粒子移動装置。
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JP2011511936A (ja) * | 2008-01-17 | 2011-04-14 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア | 集積化された磁場生成および検出プラットフォーム |
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2006
- 2006-01-16 JP JP2006007138A patent/JP2007187602A/ja active Pending
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