JP2007187547A - 自動緩急構造付き機械式時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】時計の歩度を自動的に調整することができるように構成した機械式時計を提供する。
【解決手段】本発明の機械式時計は、ぜんまい122がほどける作用に基づいて回転される緩急調整輪列170〜184と、ぜんまい122を巻き上げる作用に基づいて回転される緩急戻し輪列190とを備える。ぜんまい122がほどけるにつれて、緩急調整輪列が調速機構(てんぷ140、緩急針186)に対して作動して、時計の歩度を進めるように構成され、ぜんまい122を巻き上げるにつれて、緩急戻し輪列190が調速機構140、186に対して作動して、時計の歩度を遅らせるように構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動緩急構造を備えた機械式時計に関する。特に、本発明は、ぜんまいがほどける状態に対応して時計の歩度を調整するように構成した、自動緩急構造付き機械式時計に関する。
従来、機械式時計において、ぜんまいが作動することができる残りの時間、すなわち、時計の持続時間の表示を行う機構(パワーリザーブ機構)が開発されている。このようなぜんまい動力蓄積量表示付き時計は遊星歯車機構を用いている。ぜんまい動力蓄積量表示付き時計は、例えば、特開平9−21886号公報(特許文献1)、特開平11−183642号公報(特許文献2)などに開示されている。このぜんまい動力蓄積量表示付き時計は、角穴車と、香箱車に噛み合う遊星中間歯車と、遊星中間歯車の偏心部に回転可能に取付けられた遊星車と、遊星かなと噛み合う太陽車と、遊星歯車と噛み合う第二太陽車から構成される遊星歯車機構と、太陽かなと噛み合う表示伝え車と、表示伝えかなと噛み合う表示車と、表示度決めピンと、角穴車及び第二太陽歯車と噛み合う遊星伝え車を備えている。
また、機械式時計は、てんぷを備えており、時計の精度(歩度の進み遅れ)を調整するための緩急針が、てんぷに対して設けられている。代表的な機械式時計の構成の一例は、特開平10−104364号公報(特許文献3)に開示されている。
特開平9−21886号公報 特開平11−183642号公報 特開平10−104364号公報
従来の機械式時計では、精度調整を行う方法として、作業者は、時計の精度(時計の歩度の進み遅れ)を測定した後、機械式時計の調速機構部品である「ひげ棒」を手で回転させて精度調整を行っていた。すなわち、従来の機械式時計において、自動的に時計の精度(歩度の進み遅れ)を調整する方法は知られていなかった。ここで、「歩度」とは、1日における時計の進み又は遅れを「秒」の単位で示した数値である。例えば、歩度「+20秒/日」は、時計が1日につき、20秒だけ進むことを示し、歩度「−20秒/日」は、時計が1日につき、20秒だけ遅れることを示している。
本発明の目的は、機械式時計において、ぜんまいがほどける(ぜんまいのトルクが低下する)につれて時計の歩度が遅れるという性質に着目して、時計の歩度を自動的に調整することができるように構成した機械式時計を提供することにある。
本発明の更なる目的は、小型で薄型の構成部品を用いて、機械式時計のサイズを大きくすることなしに、機械式時計の精度を向上させることにある。
本発明は、動力源を構成するぜんまいと、調速機構とを備えた機械式時計において、ぜんまいがほどける作用に基づいて回転される緩急調整輪列と、ぜんまいを巻き上げる作用に基づいて回転される緩急戻し輪列とを備えるように構成した。この機械式時計は、ぜんまいがほどけるにつれて、緩急調整輪列が調速機構に対して作動して、時計の歩度を進めるように構成され、ぜんまいを巻き上げるにつれて、緩急戻し輪列が調速機構に対して作動して、時計の歩度を遅らせるように構成されることを特徴とする。このような構成により、時計の歩度を自動的に調整することができるようにすることができる。
また、本発明は、動力源を構成するぜんまいと、調速機構を構成するてんぷとを備えた機械式時計において、ぜんまい、香箱真、香箱歯車を含む香箱車と、緩急針基づいて回転される緩急調整輪列と、緩急調整輪列の回転に基づいて第1の方向に移動される緩急針と、てん輪及びひげぜんまいを含むてんぷと、ひげぜんまいに接触する部分を有するひげ棒を含む緩急針と、香箱真の回転に基づいて回転される緩急戻し輪列とを備えるように構成した。この機械式時計においては、緩急針は、ぜんまいがほどけて香箱歯車が回転するにつれて第1の方向に移動して、ひげぜんまいの有効長さを短くするように構成される。また、前記緩急針は、香箱真が回転されてぜんまいを巻き上げるにつれて、前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動して、ひげぜんまいの有効長さを長くするように構成される。本発明の機械式時計においては、調速機構部品である緩急針を、ぜんまいがほどけた量に応じて自動的に時計の歩度が進む方向に回転させる機構を設けている。したがって、香箱歯車の回転に応じて、ぜんまいがほどけて、時計の歩度が遅れるときに、緩急調整輪列を介して緩急針を回転させることによって、ぜんまいがほどけてきても、時計の歩度を一定の値に保つことができるようにしている。すなわち、このような構成により、ぜんまいがほどける状態に応じて、ひげぜんまいの有効長さを自動的に調整して、時計の歩度を自動的に調整することができるようにすることができる。
また、本発明の機械式時計においては、前記緩急調整輪列は、香箱歯車と一体になって回転される遊星輪列機構と、前記遊星輪列機構の回転に基づいて回転される緩急伝え車とを含み、前記緩急針は、前記緩急伝え車の回転に基づいて回転される緩急針歯車部を有するように構成するのがよい。さらに、本発明の機械式時計においては、香箱伝え歯車が、香箱歯車と一体になって回転されるように設けられ、前記遊星輪列機構は、前記香箱伝え歯車の回転に基づいて回転されるように構成するのがよい。このような構成により、小型で薄型の輪列構成部品を用いて、機械式時計のサイズを大きくすることなしに、機械式時計の精度を向上させることができる。
また、本発明の機械式時計においては、前記遊星輪列機構は、香箱伝え歯車の回転に基づいて回転される第1太陽車と、第1太陽車の回転に基づいて回転される遊星車と、遊星車の回転に基づいて回転される第2太陽車とを備え、緩急伝え車は、前記遊星車の作動に基づいて回転されるように構成するのが好ましい。また、本発明の機械式時計においては、香箱真の回転に基づいて回転される緩急戻し車を備え、前記前記遊星車は、前記緩急戻し車の回転に基づいて作動され、前記緩急伝え車は、前記前記遊星車の作動に基づいて回転されるように構成するのが好ましい。このような構成により、小型で薄型の輪列構成部品を用いて、機械式時計の精度を向上させることができる。
本発明により、ぜんまいがほどける(ぜんまいのトルクが低下する)につれて時計の歩度が遅れるおそれがほとんどないので、機械式時計の精度を向上させることができる。すなわち、本発明により、小型で薄型の構成部品を用いて、機械式時計のサイズを大きくすることなしに、高精度の機械式時計を実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)本発明の機械式時計の構成:
図1から図3を参照すると、本発明の機械式時計の実施の形態において、ムーブメント100は、地板102と、一番受104と、輪列受106と、てんぷ受108とを備える。ここで、「ムーブメント」とは、駆動部分を含む時計の機械体を示す。「コンプリート」とは、時計の機械体即ちムーブメント100を時計ケースに収容した時計の完成体を示す。地板102の「裏側」とは、地板102の両面のうちで、時計ケースのガラスに近い方の側を示し、地板102の「表側」とは、地板102の両面のうちで、時計ケースのガラスから遠い方の側を示す。巻真118が地板102に対して回転可能なように組み込まれる。文字板204がムーブメント100において、時計ケースのガラスに近い方の側に配置される。
本発明の実施の形態では、表輪列(香箱車、二番車、三番車、四番車など)と、脱進調速機構(てんぷ、アンクル、がんぎ車など)と、自動巻機構(回転錘、つめレバー、切換伝え車、伝え車など)と、切換機構116(おしどり、かんぬき、かんぬき押さえなど)は、ムーブメント100の表側に配置される。カレンダ機構(図示せず)は、ムーブメント100の裏側に配置される。二番車124が地板102の中心に回転可能に組み込まれる。二番車124は地板102と二番受(図示せず)との間に組み込まれる。筒かな224が二番車124の針取付け部に近い方の先端に隣接した外周部分にスリップ可能に、地板102の裏側に組み込まれる。筒かな224は、二番車124と一体に回転することができるようになっている。
香箱車120が地板102と一番受104との間に回転可能に組み込まれる。香箱車120はぜんまい122と、香箱真124と、香箱歯車126と、香箱ふた128とを有する。ぜんまい122は機械式時計の動力源を構成する。香箱歯車126は二番車124の二番かなに噛み合う。三番車131が地板102と一番受104との間に回転可能に組み込まれる。二番車124の二番歯車は、三番かなに噛み合う。四番車132が二番受(図示せず)と一番受104との間に回転可能に組み込まれる。三番車131の三番歯車は、四番車132の四番かなに噛み合う。がんぎ車134が地板102と一番受104との間に回転可能に組み込まれる。四番車132の四番歯車は、がんぎ車134のがんぎかなに噛み合う。アンクル136が地板102とアンクル受(図示せず)との間に揺動可能に組み込まれる。アンクル136は、2つの爪石及びけん先を有する。がんぎ車134のがんぎ歯車は爪石と係合する。てんぷ140が、地板102と、てんぷ受108との間に回転可能に組み込まれる。
てんぷ140は、てん輪140aと、ひげぜんまい140bと、てん真140cと、振り石140dとを有する。アンクル136のけん先は、てんぷ140の振り石と係合することができるように構成されている。緩急針186は、てんぷ受108に対して回転可能に設けられる。緩急針186は、てんぷ140の回転中心を基準にして回転可能に設けられるのが好ましい。緩急針186は、緩急針本体186dと、緩急針歯車部186aと、ひげ棒186bと、ひげ受186cとを含む。緩急針基準穴が緩急針本体186dの回転中心部に設けられる。緩急針基準穴は、てんぷ受108に固定されたてんぷ上軸受の外周部分に回転可能なように、隙間をもって嵌め込まれる。緩急針歯車部186aは、緩急針本体186dの外周部分に設けられる。緩急針歯車部186aは、例えば、開角が20度〜50度の範囲にあるように形成される。ひげ棒186bと、ひげ受186cは、緩急針本体186dの地板102がある側に、嵌め込みなどの方法によって固定される。或いは、ひげ棒186bと、ひげ受186cを一体に形成して、1個のひげ受け部材を用いることもできる。或いは、緩急針歯車部にひげ棒と、ひげ受、又は、ひげ受け部材を固定して、このような緩急針歯車部を緩急針本体186dに対して回転可能なように構成することもできる。
ひげぜんまい140bの外側端部に近い部分が、ひげ棒186bと、ひげ受186cとの間に配置される。ひげぜんまい140bの外側端部に近い部分が、ひげ棒186bに接触することによって、ひげぜんまい140bの有効長さを定めることができるように構成されている。ひげぜんまい140bの有効長さが短くなると、時計の歩度は進むように構成され、ひげぜんまい140bの有効長さが長くなると、時計の歩度は遅れるように構成されている。ひげ持ち受194が、てんぷ受108に取り付けられる。ひげ持ち受194は、てんぷ140の回転中心を基準にして、てんぷ受108に対して回転可能に設けることができる。ひげぜんまい140bの外側端部は、ひげ持ち受194に固定したひげ持ち194bに対して固定される。ひげぜんまい140bの内側端部は、てん真140cに対して固定される。筒車230が地板102の裏側に回転可能に組み込まれる。日の裏車(図示せず)が地板102の裏側に回転可能に組み込まれる。日の裏車の日の裏歯車が筒かなに噛み合う。日の裏車の日の裏かなが筒車144の歯車部に噛み合うように構成されている。筒車230の回転中心と、筒かな224の回転中心と、四番車132の回転中心とは、同じ位置に配置される。
自動巻機構が一番受104に対して組み込まれる。自動巻機構は、回転錘114と、一番伝え車(図示せず)と、つめレバー(図示せず)と、二番伝え車(図示せず)とを含むように構成される。二番巻伝え車(図示せず)の回転に基づいて、ぜんまいを巻くように構成される。ぜんまい122が巻き戻される(解放される)ことにより、香箱歯車126は1つの方向に回転し、表輪列及び裏輪列の回転を介して、時針、分針、秒針などの指針により時刻情報を表示することができる。時針(図示せず)は筒車230に取り付けられる。分針(図示せず)は筒かな224に取り付けられる。秒針(図示せず)は四番車132に取り付けられる。
角穴車130が香箱真124の角軸部に組み込まれる。角穴止めねじ130bにより、角穴車130は香箱真124と一体になって回転するように支持される。角穴車130は香箱車120の回転する方向と同一の方向にのみ回転することができるように構成されている。こはぜ(図示せず)が、角穴車130の回転を1つの方向のみに規正するために一番受104に設けられる。こはぜにより、角穴車130が香箱車120の回転する方向と反対の方向に回転するのを阻止するように構成されている。ぜんまい122を巻き上げるための手巻き機構(図示せず)と、自動巻機構(図示せず)は、一番受104に対して取付けられる。手巻き機構を有する時計では、巻真118を回転させることにより、手巻き輪列を介して角穴車130を回転させて、ぜんまい122を巻き上げることができるように構成されている。自動巻機構を有する時計では、回転錘114が回転することにより、自動巻機構(自動巻輪列を含む)を介して角穴車130を回転させて、ぜんまい122を巻き上げることができるように構成されている。
第2地板202が、地板102の裏側に組み込まれる。第2輪列受210が、第2地板202と文字板104との間に設けられる。香箱伝え歯車127が、香箱歯車126と一体になって回転するように、香箱歯車126の地板102がある側に固定される。第1太陽車150が第2輪列受210及び地板102に対して回転可能に支持される。第1太陽車150は第1太陽歯車152と、第1太陽かな154とを備える。第1太陽車150は、地板102から第2輪列受210に向かう方向に、下細軸部、下軸部、第1太陽歯車152、第1太陽かな154、第1軸部、第2軸部、第3軸部、上軸部、上細軸部を含む。第1太陽歯車152は香箱伝え歯車127と噛み合っており、香箱歯車126が回転するときに香箱歯車126と一体になって回転することができるように構成されている。
遊星中間歯車170が、第1太陽車150の第1軸部に対して回転可能に配置される。遊星中間歯車170の回転中心は、第1太陽車150の回転中心と同じである。第1遊星車172が、遊星中間歯車170の回転中心と異なる箇所を回転中心として、遊星中間歯車170に回転可能に配置される。第2遊星車174が、遊星中間歯車170の回転中心と異なる箇所を回転中心として、遊星中間歯車170に回転可能に配置される。第1遊星車172と第2遊星車174は、ひとまとめにして遊星車176を構成し、両者が一体となって遊星中間歯車170に対して回転可能なように互いに固定されている。第1遊星車172は遊星中間歯車170に対して地板102がある側の面に位置して回転することができるように構成されている。第2遊星車174は、遊星中間歯車170の第2輪列受210がある側の面に位置して回転することができるように配置されている。
第2太陽車160が、第1太陽かな154の第2軸部、第3軸部に対して回転可能に組み込まれる。第2太陽車160の回転中心は、第1太陽車150の回転中心と同じである。第2太陽車160は第2太陽歯車162と、第2太陽かな164とを有する。第2太陽歯車162は第2遊星車174と噛み合っている。
第1遊星車172は第1太陽かな154と噛み合い、従って、第1遊星車172は第1太陽かな154の周囲を公転しながら自転することができるように構成されている。第2遊星車174は第2太陽歯車162と噛み合い、従って、第2遊星車174は第2太陽歯車162の周囲を公転しながら自転することができるように構成されている。第1遊星車172及び第2遊星車174は、一体となって公転しながら自転することができるように構成されている。上述したように、第1太陽車150、第2太陽車160、第1遊星車172、第2遊星車174は、遊星輪列機構を構成している。
香箱戻し歯車125が、香箱真124と一体になって回転するように、第2地板202と地板102との間に配置される。例えば、香箱戻し歯車125の角穴が香箱真124の角軸部に嵌め合うように構成することができる。或いは、香箱戻し歯車125の一面カット孔が香箱真124の一面カット軸部に嵌め合うように構成することができる。緩急戻し車190が、第2輪列受210及び地板102に対して回転可能に支持される。緩急戻し車190は緩急戻し歯車190aと、緩急戻しかな190bとを備える。緩急戻し車190は、地板102から第2輪列受210に向かう方向に、緩急戻し歯車190a、中間軸部、緩急戻しかな190bを含む。緩急戻しかな190bは香箱戻し歯車125と噛み合っており、香箱真124が回転するときに香箱真124と一体になって回転することができるように構成されている。緩急戻し歯車190aは遊星中間歯車170と噛み合うように構成される。
第1緩急伝え車180が、第2地板202及び第2輪列受210に対して回転可能に支持される。第1緩急伝え車180は、第2太陽かな164と噛み合うように構成される。第2緩急伝え車182が、地板102及び第2輪列受210に対して回転可能に支持される。第2緩急伝え車182は第2緩急伝え歯車182aと、第2緩急伝えかな182bとを備える。第1緩急伝え車180は、第2緩急伝え歯車182aと噛み合うように構成される。
第3緩急伝え車184が、輪列受106及び第2輪列受210に対して回転可能に支持される。第3緩急伝え車184は第3緩急伝え歯車184aと、第3緩急伝えかな184bとを備える。第2緩急伝えかな182bは、第2緩急伝え歯車182aと噛み合うように構成される。第3緩急伝えかな184bは、緩急針歯車部186aと噛み合うように構成される。遊星輪列機構が作動することによって、第1緩急伝え車180、第2緩急伝え車182、第3緩急伝え車184の回転を介して緩急針歯車部186aが回転すると、ひげ棒186bと、ひげ受186cは回転することができるように構成される。
本発明の機械式時計では、ぜんまい122がほどける作用に基づいて緩急調整輪列が回転し、ぜんまい122を巻き上げる作用に基づいて緩急戻し輪列が回転されるように構成さていれる。そして、ぜんまい122がほどけるにつれて、前記緩急調整輪列が調速機構(てんぷ140、緩急針186)に対して作動して、時計の歩度を進めるように構成され、ぜんまい122を巻き上げるにつれて、前記緩急戻し輪列が調速機構に対して作動して、時計の歩度を遅らせるように構成されている。
(2)本発明の機械式時計の作用:
(2−1)ぜんまいの巻き上げの作用:
図1から図4を参照すると、ぜんまいが完全に巻き戻された状態において、巻上げ輪列の回転により、角穴車130が、図1において矢印130Aで示す反時計周り方向(図2において矢印130Bで示す時計周り方向)に回転すると、香箱真124は図2において時計周り方向に回転する。香箱真124が図2において時計周り方向に回転すると、香箱戻し歯車125は図2において反時計周り方向に回転する。この状態では、第1太陽車150の回転は香箱伝え歯車127により規正されているので、第1太陽車150は、遊星歯車機構の中の「固定歯車」を構成する。
香箱戻し歯車125が図2において反時計周り方向に回転することにより、遊星中間歯車170が時計周り方向に回転する。第1太陽車150の回転が規正されているので、遊星中間歯車170の回転により、第1遊星車172及び第2遊星車174は、第1太陽かな154の周囲を公転しながら自転する。第1遊星車172及び第2遊星車174は、一体となっているので、第1遊星車172は第1太陽かな154の周囲を公転しながら自転する。この状態では、第1遊星車172及び第2遊星車174は時計周り方向に回転する。この第1遊星車172及び第2遊星車174の回転は、回転中心が変動する「遊星運動」である。従って、この構成により、通常の輪列の減速比に対して大きい輪列減速比を達成することができる。
第2遊星車174が回転することにより、第2太陽車160は、図2において反時計周り方向に回転する。第2太陽車160が回転することにより、第1緩急伝え車180は、図2において時計周り方向に回転する。第1緩急伝え車180が回転することにより、第2緩急伝え車182は、図2において反時計周り方向に回転する。第2緩急伝え車182が回転することにより、第3緩急伝え車184は、図2において時計周り方向(図1において反時計周り方向)に回転する。第3緩急伝え車184が、図1において反時計周り方向に回転することにより、緩急針歯車部186aは、図1において時計周り方向に回転する。緩急針歯車部186aが、図1において時計周り方向に回転すると、ひげぜんまい140bの外側端部に近い部分と、ひげ棒186bとの接触位置が変化して、ひげぜんまい140bの有効長さが長くなり、時計の歩度を遅らせることができる。
(2−2)通常運針のとき(ぜんまいの巻き戻しのとき)の作用:
図1から図4を参照すると、ぜんまいが巻き上げられた状態において、香箱歯車126が回転して時刻を表示する。このときは、香箱歯車126は、図1において反時計周り方向に回転する。この状態では、角穴車130の歯に係合するこはぜ(図示せず)の作用により、角穴車130の回転は規正されているので、香箱真124の回転も規正され、第2太陽車160は遊星歯車機構の中の「固定歯車」を構成する。香箱歯車126の回転により、香箱伝え歯車127も一体となって、図1において反時計周り方向(図2において時計周り方向)に回転する。香箱伝え歯車127が、図2において時計周り方向に回転すると、第1太陽歯車152は、図2において反時計周り方向に回転する。遊星中間歯車170の回転が規正されているので、第1太陽歯車152の回転により、第2遊星車174は、公転することなく反時計周り方向に自転する。第1遊星車172及び第2遊星車174は、一体となっているので、第1遊星車172及び第2遊星車174は、反時計周り方向に回転する。
第2遊星車174が反時計周り方向に回転することにより、第2太陽車160は、図2において時計周り方向に回転する。第2太陽車160が回転することにより、第1緩急伝え車180は、図2において反時計周り方向に回転する。第1緩急伝え車180が回転することにより、第2緩急伝え車182は、図2において時計周り方向に回転する。第2緩急伝え車182が回転することにより、第3緩急伝え車184は、図2において反時計周り方向(図1において時計周り方向)に回転する。第3緩急伝え車184が、図1において時計周り方向に回転することにより、緩急針歯車部186aは、図1において反時計周り方向に回転する。緩急針歯車部186aが、図1において反時計周り方向に回転すると、ひげぜんまい140bの外側端部に近い部分と、ひげ棒186bとの接触位置が変化して、ひげぜんまい140bの有効長さが短くなり、時計の歩度を進めることができる。
図1および図3を参照すると、ぜんまい122の動力により回転する香箱歯車126の回転は、脱進調速装置(てんぷ140、アンクル136、がんぎ車134)によって制御される。香箱歯車126の回転により、表輪列(二番車124、三番車131、四番車132)が回転する。更に、表輪列の回転により、裏輪列(日の裏車、筒車230)が回転する。表輪列及び裏輪列の回転によって、時針、分針、秒針などの指針により時刻情報を表示することができる。
本発明を具体化する1つの実施例として、ここに図示した本発明の機械式時計の実施例は、下記の条件で構成されている。
ぜんまい122の巻き数=7巻き;
香箱歯車126の歯数=84;
香箱伝え歯車127の歯数=24;
香箱戻し歯車125の歯数=20;
第1太陽歯車152の歯数=40;
第1太陽かな154の歯数=14;
第2太陽歯車162の歯数=18;
第2太陽かな164の歯数=7;
遊星中間歯車170の歯数=40;
第1遊星車172の歯数=14;
第2遊星車174の歯数=9;
第1緩急伝え車180の歯数=50;
第2緩急伝え歯車182aの歯数=60;
第2緩急伝えかな182bの歯数=8;
第3緩急伝え歯車184aの歯数=60;
第3緩急伝えかな184bの歯数=8;
緩急針歯車部186aの歯数(全周に歯を形成したと仮定したときの歯数)=190;
緩急戻しかな190aの歯数=20;
緩急戻し歯車190bの歯数=24。
この実施例では、香箱歯車126から緩急針歯車部186aまでの減速比は、1/9000である。本発明の機械式時計では、上記の各歯車・各かなの歯数を変えることにより、緩急針の回転可能な角度の範囲を変えることができる。この実施例では、緩急針186の回転可能な角度の範囲は、約2度である。すなわち、ぜんまい122がほどけて、香箱歯車126が7回転すると、緩急針186は約2度回転することができる。同様に、角穴車130が回転して香箱真124が7回転すると、緩急針186は約2度回転することができる。このように構成することにより、時計の歩度を自動的に調整することができる。
図5を参照すると、本発明の機械式時計の実施例において、全巻からぜんまいがほどけるときにおける経過時間と、時計の歩度の関係を示すグラフが示されている。ぜんまい122の巻き数を7巻きとしたとき、機械式時計の持続時間は約50時間である。ぜんまいが全巻の状態では、時計の歩度は「0秒/日」(進みも遅れも発生しない状態)になるように調整したとする。全巻からぜんまいがほどけて50時間経過したとき、時計の歩度が「−20秒/日」(1日につき20秒遅れる状態)になるように調整したとする。このような時計では、緩急針の回転可能な角度の範囲は、時計の歩度を「0秒/日」から「−20秒/日」まで変化するように設定するのがよい。緩急針の回転可能な角度の範囲は、ひげぜんまい140bの寸法、形状と、香箱歯車126から緩急針歯車部186aまでの減速比とを、計算又は実験により求めることによって設定することができる。すなわち、全巻からぜんまいがほどけるときにおける経過時間と、時計の歩度の関係を求め、さらに、ひげぜんまい140bの有効長さと、時計の歩度のとの間の関係を求め、必要な歩度調整範囲を計算して、その歩度調整範囲に対応するひげぜんまい140bの有効長さの変化量を求め、その変化量に対応する緩急針歯車部186aの回転角度を計算することによって、香箱歯車126から緩急針歯車部186aまでの減速比を設定することができる。
本発明により、時計の歩度を自動的に調整することができるように構成した機械式時計を製造することができる。また、本発明により、小型で薄型の構成部品を用いて、機械式時計のサイズを大きくすることなしに、高精度の機械式時計を製造することができる。
本発明の機械式時計の実施の形態において、ムーブメントの表側の概略構造を示す部分平面図である。 本発明の機械式時計の実施の形態において、ムーブメントの裏側の概略構造を示す部分平面図である。 本発明の機械式時計の実施の形態において、香箱車と、てんぷの部分を示す概略部分断面図である。 本発明の機械式時計の実施の形態において、香箱車と、てんぷの部分の作動を示す概略ブロック図である。 本発明の機械式時計の実施例において、全巻からぜんまいがほどけるときにおける経過時間と、時計の歩度の関係を示すグラフである。
符号の説明
100 ムーブメント
102 地板
118 巻真
120 香箱車
122 ぜんまい
124 香箱真
125 香箱戻し歯車
126 香箱歯車
127 香箱伝え歯車
130 角穴車
140 てんぷ
150 第1太陽車
152 第1太陽歯車
154 第1太陽かな
160 第2太陽車
162 第2太陽歯車
164 第2太陽かな
170 遊星中間歯車
172 第1遊星車
174 第2遊星車
176 遊星車
180 第1緩急伝え車
182 第2緩急伝え車
184 第3緩急伝え車
186 緩急針
190 緩急戻し車

Claims (6)

  1. 動力源を構成するぜんまい(122)と、調速機構(140、186)とを備えた機械式時計において、
    前記ぜんまい(122)がほどける作用に基づいて回転される緩急調整輪列(170、172、174、180、182、184)と、
    前記ぜんまい(122)を巻き上げる作用に基づいて回転される緩急戻し輪列(190)とを備え、
    前記ぜんまい(122)がほどけるにつれて、前記緩急調整輪列(170、172、174、180、182、184)が前記調速機構(140、186)に対して作動して、時計の歩度を進めるように構成され、前記ぜんまい(122)を巻き上げるにつれて、前記緩急戻し輪列(190)が前記調速機構(140、186)に対して作動して、時計の歩度を遅らせるように構成される、
    ことを特徴とする機械式時計。
  2. 動力源を構成するぜんまい(122)と、調速機構を構成するてんぷ(140)とを備えた機械式時計において、
    ぜんまい(122)、香箱真(124)、香箱歯車(126)を含む香箱車(120)と、
    前記香箱歯車(126)の回転に基づいて回転される緩急調整輪列(170、172、174、180、182、184)と、
    前記緩急調整輪列の回転に基づいて第1の方向に移動される緩急針(186)と、
    てん輪(140a)及びひげぜんまい(140b)を含むてんぷ(140)と、
    前記ひげぜんまい(140b)に接触する部分を有するひげ棒(186b)を含む緩急針(186)と、
    前記香箱真(124)の回転に基づいて回転される緩急戻し輪列(190)とを備え、
    前記緩急針(186)は、前記ぜんまい(122)がほどけて前記香箱歯車(126)が回転するにつれて第1の方向に移動して、前記ひげぜんまい(140b)の有効長さを短くするように構成され、
    前記緩急針(186)は、前記香箱真(124)が回転されてぜんまい(122)を巻き上げるにつれて、前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動して、前記ひげぜんまい(140b)の有効長さを長くするように構成される、
    ことを特徴とする機械式時計。
  3. 前記緩急調整輪列(170、172、174、180、182、184)は、前記香箱歯車(126)と一体になって回転される遊星輪列機構(170、172、174)と、前記遊星輪列機構(170、172、174)の回転に基づいて回転される緩急伝え車(180、182、184)とを含み、前記緩急針(186)は、前記緩急伝え車(180、182、184)の回転に基づいて回転される緩急針歯車部(186a)を有することを特徴とする、請求項1に記載の機械式時計。
  4. 香箱伝え歯車(127)が、前記香箱歯車(126)と一体になって回転されるように設けられ、前記遊星輪列機構(170、172、174)は、前記香箱伝え歯車(127)の回転に基づいて回転されることを特徴とする、請求項3に記載の機械式時計。
  5. 前記遊星輪列機構(170、172、174)は、
    前記香箱伝え歯車(127)の回転に基づいて回転される第1太陽車(150)と、
    前記第1太陽車(150)の回転に基づいて回転される遊星車(176)と、
    前記遊星車(176)の回転に基づいて回転される第2太陽車(160)とを備え、
    前記緩急伝え車(180、182、184)は、前記遊星車(176)の作動に基づいて回転されることを特徴とする、請求項4に記載の機械式時計。
  6. 前記香箱真(124)の回転に基づいて回転される緩急戻し車(190)を備え、前記前記遊星車(176)は、前記緩急戻し車(190)の回転に基づいて作動され、前記緩急伝え車(180、182、184)は、前記前記遊星車(176)の作動に基づいて回転されることを特徴とする、請求項5に記載の機械式時計。
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