JP2007185705A - 金属基複合材料用プリフォーム及びその製造方法並びにピストンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気孔や湯境が生じ難く品質の高い製品の安定した鋳造が可能であり、また、鋳巣などの鋳造欠陥が発生し難く、湯流れにばらつきがなく品質を安定させることができる金属基複合材料用プリフォームを提供する。
【解決手段】溶湯は、湯路45を通ってキャビティ43内に流入し、湯面がキャビティ43内を上昇する。溶湯は、多孔質体31に達した後、その一部が多孔質体31および整流板35の孔32,36を通って押し湯部46に流入し、残部は多孔質体35に含浸して吸引減圧経路47に流入する。次いで、押し湯部46に圧縮空気を供給し、押し湯部46に流入した溶湯を押し下げる。これにより、溶湯が押し湯部47からキャビティ43内に押し戻される。溶湯は整流板35の下面に沿って流れ、滞留している気泡とともに吸引減圧経路47に流入する。
【選択図】図5
【解決手段】溶湯は、湯路45を通ってキャビティ43内に流入し、湯面がキャビティ43内を上昇する。溶湯は、多孔質体31に達した後、その一部が多孔質体31および整流板35の孔32,36を通って押し湯部46に流入し、残部は多孔質体35に含浸して吸引減圧経路47に流入する。次いで、押し湯部46に圧縮空気を供給し、押し湯部46に流入した溶湯を押し下げる。これにより、溶湯が押し湯部47からキャビティ43内に押し戻される。溶湯は整流板35の下面に沿って流れ、滞留している気泡とともに吸引減圧経路47に流入する。
【選択図】図5
Description
本発明は、予め多孔質体で形成したプリフォームを、鋳造により例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金等の軽合金と複合化する技術において、プリフォームおよびその製造方法の改良に関する。
航空部品や自動車部品などの多くの技術分野では、従来より軽量化を目的としてアルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金などの軽合金が使用されている。特に、自動車用エンジンの部品では、鋳造により安価に製造可能なアルミニウム合金が主流となっており、部品の重量と燃費とが密接な関係となっているクラスの乗用車では、エンジンブロック、コンロッド、ピストン等は殆どがアルミニウム合金製である。また、シリンダヘッドのカバーやオイルパンには、マグネシウム合金も使用され始めている。
ところで、近年においては、環境問題を背景としてエンジンには高温燃焼化と高出力化が求められている。たとえば、ピストンが曝される最高温度(環境温度)は、部分的に300℃を超えるものが使用されつつあり、今後、環境温度は更に上昇することが想定される。そのような状況において、融点の低いアルミニウム合金では強度不足が問題となり、その対策として、強度が必要な部分のみをセラミックス繊維や金属繊維等で複合化することは有効と言える。
繊維や多孔質金属で形成したプリフォームを、鋳造により軽合金と複合化して製造した金属基複合材料(Metal Matrix Composite)が従来より実用化されている。そのような金属基複合材料を製造する鋳造方法としては、高圧鋳造法が主流であったが、この鋳造方法では設備費用が割高であるという問題がある。また、この鋳造方法ではニアネットシェイプによる鋳造が難しいため、機械加工による形状加工で除去する部分が多く、製造コストも割高になるという問題がある。
そこで、設備費が安価で上記のような金属基複合材料をニアネットシェイプで製造可能な鋳造方法として、重力鋳造法や低圧鋳造法を用いることが提案されている。たとえば、特許文献1には、重力鋳造法で金属基複合材料のピストンを製造することが提案され、特許文献2には、気体加圧による低圧鋳造法で金属基複合材料のピストンを製造することが提案されている。
特許文献1に記載の技術では、SiC等の短繊維でプリフォームを形成し、このプリフォームに軽合金を含浸させて複合母材を製造している。そして、複合母材に軽合金を含浸させるための鋳造法は高圧鋳造法であり、重力鋳造法を用いるのは複合母材をピストンに鋳包む際である。したがって、特許文献1の技術は、結局は高圧鋳造法を用いるものであり、設備費用が割高になる。また、特許文献1では、複合母材を製造する他の方法として、短繊維とマトリックス金属粉末とをホットプレスまたは誘導加熱ホットプレスにより焼結することを開示しているが、この場合も設備費用が割高となる。
特許文献2に記載の技術では、設備費用の安価な気体加圧による低圧鋳造法により金属基複合材料のピストンを製造しているが、その図7に示されているように、金属基複合材料中には約0.2%の気孔が存在している。このため、金属基複合材料の強度が著しく低下し、軽合金の含浸性を高めることが強く要望されている。
本発明は、多孔質体を備え、鋳造により軽合金に複合化されて金属基複合材料を形成するための金属基複合材料用プリフォームにおいて、鋳造時に軽合金の溶湯が最初に接触する多孔質体の面と反対側の面に、該面の一部または全部と接触し、多孔質体に含浸した溶湯がそれに沿って流れる整流板を接合したことを特徴としている。
本発明では、鋳造時に軽合金の溶湯が多孔質体に含浸すると、整流板に到達してそこからは整流板に沿って流れる。このため、低圧鋳造法を用いても湯流れが良好で気孔や湯境が生じ難く、品質の高い製品の安定した鋳造が可能である。また、整流板と多孔質体との間に鋳巣などの鋳造欠陥が発生し難く、鋳造後に整流板を除去するための機械加工を円滑に行うことができる。さらに、多孔質体と整流板とが互いに接合されて両者の間に隙間がないから、湯流れにばらつきがなく品質を安定させることができる。
多孔質体と整流板とは焼結により互いに接合されていることが望ましい。この場合、焼結時の整流板の反りを抑制するために、多孔質体と整流板の熱膨張係数の差は3×10−6/K以内であることが望ましく、1×10−6/K以内であればさらに好適である。ただし、整流板の厚さを薄くすれば熱膨張係数の差の影響を少なくすることができるので、例えば0.5mm以下とすることで反りの発生を抑制することができ、0.2mm以下とすることで反りの発生をさらに有効に抑制することができる。また、整流板を薄くすることは材料費の低減につながる。多孔質体と整流板の材質は、FeまたはNiを主成分とする合金で同じ材質にすることが好ましい。また、整流板は、鋳造時に鋳造モールド内の空気を排出する空気抜き穴を有することが望ましい。これにより、湯流れをさらに向上させることができる。
次に、本発明の金属基複合材料用プリフォームの製造方法は、シート状の金属繊維ウエブを所定形状に打ち抜くウエブ打抜き工程と、金属板から整流板を打ち抜く整流板打抜き工程と、打ち抜かれた金属繊維ウエブを複数積層するとともにその最上層または最下層に整流板を積層する積層工程と、積層された金属繊維ウエブおよび整流板を焼結する焼結工程とを備えたことを特徴としている。本発明によれば、金属繊維ウエブの焼結と金属繊維ウエブへの整流板の接合とを同時に行うので、生産性が高く製造コストを低減することができる。ここで、金属繊維ウエブは線径が20〜100μmの金属繊維が望ましい。また、理由は後述するが、1回の打抜きに供するウエブの目付は、100〜2000g/m2であることが望ましい。さらに、ウエブ打抜き工程と、整流板打抜き工程と、積層工程とを1つの金型で行うことができ、これにより、金型の製作費用を低減することができるとともに工程が簡略化される。
次に、本発明は、金属基複合材料用プリフォームを鋳造モールドにセットし、金属基複合材料用プリフォームを鋳造することで軽合金と複合化してピストンを製造するピストンの製造方法において、金属基複合材料用プリフォームを、ピストン状をなすキャビティのピストンヘッドの部分に整流板が前記キャビティの外側を向くようにして配置し、キャビティの他の部分に連通する湯口から溶湯を注入することを特徴としている。本発明によれば、環境温度が高いピストンヘッドの部分が、ニアネットシェイプで強度の高い金属基複合材料によって構成されるので、近年の高温燃焼化と高出力化に充分に対応することができる。なお、整流板は、ピストンヘッドの機械加工の際に除去される。
本発明によれば、多孔質体に整流板を接合しているので、低圧鋳造法によっても気孔や湯境が生じ難く、品質の高い背宇品の安定した鋳造が可能であり、また、整流板と多孔質体との間に鋳巣などの鋳造欠陥が発生し難く、鋳造後に整流板を除去するための機械加工を円滑に行うことができる。さらに、多孔質体と整流板とが互いに接合されて両者の間に隙間がないから、湯流れにばらつきがなく品質をさらに安定させることができる等の効果が得られる。
1.プリフォームの構成
図1〜図5を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は実施形態の金属基複合材料用プリフォーム(以下、「プリフォーム」と略称する)30を示す図である。図において符号31は金属繊維ウエブからなる多孔質体である。多孔質体31は円板状をなし、その中央部にはアルミニウム合金等の溶湯が通過するための孔32が形成されている。そして、この多孔質体31の上面には、金属製の整流板35が接合されている。整流板35は、多孔質体31と同じ大きさの円板状をなし、その中央部には溶湯が通過するための孔36が形成されている。また、整流板35には、複数(この実施形態では4つ)の空気抜き穴37が形成されている。
図1〜図5を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は実施形態の金属基複合材料用プリフォーム(以下、「プリフォーム」と略称する)30を示す図である。図において符号31は金属繊維ウエブからなる多孔質体である。多孔質体31は円板状をなし、その中央部にはアルミニウム合金等の溶湯が通過するための孔32が形成されている。そして、この多孔質体31の上面には、金属製の整流板35が接合されている。整流板35は、多孔質体31と同じ大きさの円板状をなし、その中央部には溶湯が通過するための孔36が形成されている。また、整流板35には、複数(この実施形態では4つ)の空気抜き穴37が形成されている。
金属繊維ウエブを構成する金属繊維の材質は、特許第3684354号公報に提案された高温強度に優れるFeCrSi合金が最適である。この合金は、FeとCrを主成分としてSiを含有するものであり、例えば、Cr:5〜30重量%、Si:3〜10重量%、残部:Feおよび不可避不純物の組成のものである。ただし、金属繊維の材料として、ステンレス鋼やNi−Cr合金を用いることもできる。また、整流板35の材質は、熱膨張係数を一にするために金属繊維と同じにすることが望ましい。
金属繊維ウエブを構成する金属繊維は、溶湯抽出法で得られたものであることが望ましい。溶湯抽出法で得られた金属繊維は断面が非円形で、かつ、長手方向で一様ではない。このような金属繊維と断面が真円で一様な金属繊維とを比較すると、同じ圧縮圧力でも溶湯抽出法で得られた金属繊維からなる金属繊維多孔質体の体積含有率の方が大きい。これは、溶湯抽出法で得られた金属繊維の方が圧縮によって互いに絡まり易く、除荷したときのスプリングバックが小さいためである。
2.プリフォームの製造方法
次に、本実施形態のプリフォームの製造方法を工程の順に説明する。
A.金属繊維製造工程
図2は溶湯抽出装置を示す概略図である。図2において符号1はロールであり、ロール1の外周にはエッジ1aが形成されている。ロール1の下側には軸線を上下方向に向けた材料ホルダ2が配置されている。材料ホルダ2の内部には、金属の線材が上方へ移動可能に収容されている。材料ホルダ2の上端部には加熱コイル3が配置され、材料ホルダ2の上端から突出する材料Mを溶融するようになっている。そして、溶融した材料Mはロール1のエッジ1aに接触し、ロール1の接線方向へ引き出されるとともに急冷されることで均一な線径の金属繊維Fが製造される。このような溶湯抽出法で製造された金属繊維Fの線径は20〜100μmである。なお、溶湯抽出法に限らず、他の金属繊維製造法(例えば引抜き法)によって製造した金属繊維を用いることも当然可能ではあるが、上述したように体積含有率を高めることができる点と、難加工材の加工が容易な点で溶湯抽出法が好ましい。
次に、本実施形態のプリフォームの製造方法を工程の順に説明する。
A.金属繊維製造工程
図2は溶湯抽出装置を示す概略図である。図2において符号1はロールであり、ロール1の外周にはエッジ1aが形成されている。ロール1の下側には軸線を上下方向に向けた材料ホルダ2が配置されている。材料ホルダ2の内部には、金属の線材が上方へ移動可能に収容されている。材料ホルダ2の上端部には加熱コイル3が配置され、材料ホルダ2の上端から突出する材料Mを溶融するようになっている。そして、溶融した材料Mはロール1のエッジ1aに接触し、ロール1の接線方向へ引き出されるとともに急冷されることで均一な線径の金属繊維Fが製造される。このような溶湯抽出法で製造された金属繊維Fの線径は20〜100μmである。なお、溶湯抽出法に限らず、他の金属繊維製造法(例えば引抜き法)によって製造した金属繊維を用いることも当然可能ではあるが、上述したように体積含有率を高めることができる点と、難加工材の加工が容易な点で溶湯抽出法が好ましい。
B.解繊・ウエブ成形工程
図3は上記のようにして製造された金属繊維からウエブを製造する装置を示す側面図である。図3に示すように、材料コンベア10には金属繊維Fの集合体が供給され、出口側へ搬送される。材料コンベア10の出口には、フィードローラ11が配置され、フィードローラ11の外側には解繊機構12が配置されている。フィードローラ11の外周には多数の歯が形成され、金属繊維Fを噛み込んで送り出すようになっている(図4参照)。また、解繊機構12の外周にも多数の歯が形成され、フィードローラ11に噛み込まれた金属繊維Fからその一部を梳ってコンベア13のベルト14上に落下させる。これが解繊工程であり、その際に金属繊維Fは分断され、ベルト14上でランダムな方向に交錯させられて不織布のようなシート状のウエブWとされる。
図3は上記のようにして製造された金属繊維からウエブを製造する装置を示す側面図である。図3に示すように、材料コンベア10には金属繊維Fの集合体が供給され、出口側へ搬送される。材料コンベア10の出口には、フィードローラ11が配置され、フィードローラ11の外側には解繊機構12が配置されている。フィードローラ11の外周には多数の歯が形成され、金属繊維Fを噛み込んで送り出すようになっている(図4参照)。また、解繊機構12の外周にも多数の歯が形成され、フィードローラ11に噛み込まれた金属繊維Fからその一部を梳ってコンベア13のベルト14上に落下させる。これが解繊工程であり、その際に金属繊維Fは分断され、ベルト14上でランダムな方向に交錯させられて不織布のようなシート状のウエブWとされる。
材料コンベア10には、溶湯抽出法で製造された金属繊維がそのまま供給されるから、金属繊維の集合体では線径がほぼ一定となっている。本発明は、そのような場合に限定されるものではなく、別工程で製造した線径の異なる金属繊維の集合体を混合して用いることもできる。
C.打抜き・積層工程
打抜き工程では、図4に示すような金型20を使用する。金型20は、ダイス21と、ダイス21の孔21aに出没自在なパンチ25とからなっている。ウエブWは金型20に搬送され、パンチ25が下降して打抜品Pが打ち抜かれる。打抜品Pは、ダイス21の孔21aの内周との摩擦により、落下することなく孔21a内に留まり、次の打抜品Pに押されて順次下降して行く。
打抜き工程では、図4に示すような金型20を使用する。金型20は、ダイス21と、ダイス21の孔21aに出没自在なパンチ25とからなっている。ウエブWは金型20に搬送され、パンチ25が下降して打抜品Pが打ち抜かれる。打抜品Pは、ダイス21の孔21aの内周との摩擦により、落下することなく孔21a内に留まり、次の打抜品Pに押されて順次下降して行く。
ここで、所定枚数となる最後の打抜品Pが打ち抜かれると、金属板から整流板35を上記金型20で打ち抜く。この場合、整流板35には、中央の孔36と空気抜き穴37を別の金型で予め打ち抜いておく。そして、打ち抜かれた整流板35と孔21a内で積層された打抜品Pは、パンチ25と孔21aの底の間で圧縮される。なお、打ち抜くウエブWは単一の層であっても複数層にしたものであっても良い。また、最初に整流板35を打ち抜いておき、その後に打抜品Pを所定枚数打ち抜いてもよい。次いで、孔21aの底に設けたリフタ(図示せず)が上昇し、積層された打抜品Pと整流板35とをダイス21の上面から突出させる。
1回の打抜きに供するウエブの目付は、100〜2000g/m2であることが望ましい。ウエブの目付が100g/m2未満であると、打ち抜いたときにウエブの金属繊維がばらばらになり易い。また、ウエブの目付が2000g/m2を超えると、ウエブの側面が下方に向けてだれた形状となり易い。そのような多孔質体を用いてプリフォームを製造し、ピストンを低圧鋳造法で鋳造すると、だれた側面の密度が高いために溶湯が入り難く、正常なピストンを鋳造することが困難となる。
D.焼結工程
次に、積層された打抜品Pおよび整流板35は、図示しない搬送機構により金型20から取り出され、焼結炉に搬入される。一方、打抜品Pが打ち抜かれた後のウエブWは、解繊工程に戻され、そこで金属繊維に再生されてウエブWの材料とされる。
次に、積層された打抜品Pおよび整流板35は、図示しない搬送機構により金型20から取り出され、焼結炉に搬入される。一方、打抜品Pが打ち抜かれた後のウエブWは、解繊工程に戻され、そこで金属繊維に再生されてウエブWの材料とされる。
焼結炉には連続炉が用いられる。積層された打抜品Pおよび整流板35は、無荷重で焼結炉を通過する間に焼結され、金属繊維どうしの接触部と金属繊維と整流板35との接触部で互いに接合されて板状の焼結体および整流板35の複合体Sが製造される。次いで、複合体Sには、例えば所定の板厚にするための機械加工が施され、これによってプリフォームAとされる。
3.ピストンの製造方法
A.モールドの構成
図5はピストンを製造するためのモールド40を示す縦断面図である。図において符号41は下型、符号42は下型41に対して接近離間可能に設けられた上型である。下型41および上型42の合わせ面には、鋳造すべきピストンの形状を有するキャビティ43が形成され、下型41および上型42には、湯口44を有しキャビティ43に連通する湯路45が形成されている。上型42には、キャビティ43の中央部に位置する押し湯部46が形成されている。また、押し湯部46の周囲には、複数(この実施形態では4つ)の吸引減圧経路47が円周方向に等間隔に形成され、プリフォーム30がモールド40にセットされた状態において、吸引減圧経路47の下端面が整流板35の空気抜き穴37と重複するようになっている。なお、図中符号48はフィルターであり、溶湯がこれに接触すると冷却固化させる機能を有する。
A.モールドの構成
図5はピストンを製造するためのモールド40を示す縦断面図である。図において符号41は下型、符号42は下型41に対して接近離間可能に設けられた上型である。下型41および上型42の合わせ面には、鋳造すべきピストンの形状を有するキャビティ43が形成され、下型41および上型42には、湯口44を有しキャビティ43に連通する湯路45が形成されている。上型42には、キャビティ43の中央部に位置する押し湯部46が形成されている。また、押し湯部46の周囲には、複数(この実施形態では4つ)の吸引減圧経路47が円周方向に等間隔に形成され、プリフォーム30がモールド40にセットされた状態において、吸引減圧経路47の下端面が整流板35の空気抜き穴37と重複するようになっている。なお、図中符号48はフィルターであり、溶湯がこれに接触すると冷却固化させる機能を有する。
B.鋳造方法
先ず、上型42を上昇させて上型42にプリフォーム30をセットする。次いで、上型42を下降させて下型41に押圧し、その状態で吸引減圧経路47から吸引してキャビティ43内を減圧する。次いで、湯口44からアルミニウム合金の溶湯を注入する。すると、溶湯は、湯路45を通ってキャビティ43内に流入し、湯面がキャビティ43内を上昇する。そして、溶湯は、多孔質体31に達した後、その一部が多孔質体31および整流板35の孔32,36を通って押し湯部46に流入し、残部は多孔質体35に含浸して吸引減圧経路47に流入する。次いで、押し湯部46に例えば1MPa程度の圧縮空気を供給し、押し湯部46に流入した溶湯を押し下げる。これにより、溶湯が押し湯部47からキャビティ43内に押し戻され、プリフォーム内及び軽合金単体部の気孔や鋳巣が減少する。
先ず、上型42を上昇させて上型42にプリフォーム30をセットする。次いで、上型42を下降させて下型41に押圧し、その状態で吸引減圧経路47から吸引してキャビティ43内を減圧する。次いで、湯口44からアルミニウム合金の溶湯を注入する。すると、溶湯は、湯路45を通ってキャビティ43内に流入し、湯面がキャビティ43内を上昇する。そして、溶湯は、多孔質体31に達した後、その一部が多孔質体31および整流板35の孔32,36を通って押し湯部46に流入し、残部は多孔質体35に含浸して吸引減圧経路47に流入する。次いで、押し湯部46に例えば1MPa程度の圧縮空気を供給し、押し湯部46に流入した溶湯を押し下げる。これにより、溶湯が押し湯部47からキャビティ43内に押し戻され、プリフォーム内及び軽合金単体部の気孔や鋳巣が減少する。
図5において矢印は溶湯の流れを示している。図に示すように、溶湯は整流板35の下面に沿って流れ、滞留している気泡とともに吸引減圧経路47に流入する。そして、気泡は吸引減圧経路47から排出され、溶湯がフィルター48に接触すると冷却固化される。溶湯がキャビティ43内で冷却固化したら上型42を上昇させ、これにより、冷却固化した鋳造品が下型41に残される。そして、下型41を横方向に開くなど適宜な手段により鋳造品を下型から取り出し、プリフォーム30を含む不要な部分を除去する機械加工を行ってピストンに仕上げる。
上記実施形態では、溶湯が整流板の下面に沿って流れるので、低圧鋳造法を用いても湯流れが良好で気孔や湯境が生じ難く、品質の高い製品の安定した鋳造が可能である。また、整流板35と多孔質体31との間に鋳巣などの鋳造欠陥が発生し難く、鋳造後に整流板35を除去する際の機械加工を円滑に行うことができる。さらに、多孔質体31と整流板35とが互いに接合されて両者の間に隙間がないから、湯流れにばらつきがなく品質をさらに安定させることができる。
表1に示す材質および熱膨張係数(β)の金属繊維ウエブと整流板とを焼結してプリフォームを形成し、そのプリフォームを用いてピストンを製造した場合の両者の接合度合と整流板の反りの発生の有無を調査した。多孔質体の寸法は、直径:100mm、厚さ10mmで体積率を20%とし、整流板は直径:100mmで厚さは表1に記載した。また、製造例11の発泡金属には、体積率が約20%の住友金属製セルメット(商品名)を用いた。
表2に製造例1〜16の接合度合と整流板の反りを調査した結果を示す。表2の接合度合において○は全面接合を示す。また、表2の整流板反りにおいて、○は整流板の反りが全く無いかあっても0.1mm以下の場合、△は反りが0.1〜0.3mmで使用上問題の無い場合、×は反りが0.3mmを超えて鋳造部の体積率のばらつきが大きかった場合を示す。
表2に示すように、製造例1〜15では、全て接合度合いが良好となった。図は製造例4におけるピストンの断面のSEM写真を示す図である。この図に示すように、多孔質体31の金属繊維Fは整流板35と完全に接合され、マトリックス金属Mと整流板35との間にも隙間は生じていない。このように、本発明では、整流板35の作用により湯流れが良好となり、気泡や鋳巣のないニアネットシェイプのピストンを製造可能であることが確認された。
また、表2に示すように、製造例1〜6、製造例12、製造例14,15では、金属繊維と整流板との熱膨張係数が同一または近似しているため、整流板の反りは使用上問題の無いレベルとなった。また、製造例7では、金属繊維と整流板との熱膨張係数の差が大きいものの、整流板の厚さ0.2mmと薄いために熱膨張係数の差による影響が少なく、整流板の反りは無かった。さらに、製造例8,11,13,14では、整流板の厚さが薄いか(製造例8)金属繊維と整流板との熱膨張係数が近似しているため(製造例11,13,14)、整流板の反りは使用上問題の無いレベルとなった。これに対して、製造例9,10では、金属繊維と整流板との熱膨張係数の差が大きく、かつ整流板の厚さが厚いため、整流板の反りの度合が激しく、鋳造部の体積率のばらつきが大きくなった。
30…プリフォーム、31…多孔質体、35…整流板、37…空気抜き穴、
40…モールド、43…キャビティ、44…湯口、F…金属繊維、M…マトリクス金属、 W…ウエブ。
40…モールド、43…キャビティ、44…湯口、F…金属繊維、M…マトリクス金属、 W…ウエブ。
Claims (8)
- 多孔質体を備え、鋳造により軽合金に複合化されて金属基複合材料を形成するための金属基複合材料用プリフォームにおいて、鋳造時に前記軽合金の溶湯が最初に接触する前記多孔質体の面と反対側の面に、該面の一部または全部と接触し、前記多孔質体に含浸した溶湯がそれに沿って流れる整流板を接合したことを特徴とする金属基複合材料用プリフォーム。
- 前記多孔質体と前記整流板とは焼結により互いに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の金属基複合材料用プリフォーム。
- 前記多孔質体と前記整流板の熱膨張係数の差が3×10−6/K以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属基複合材料用プリフォーム。
- 前記多孔質体と前記整流板の熱膨張係数の差が1×10−6/K以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属基複合材料用プリフォーム。
- 前記整流板の厚さは0.2mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属基複合材料用プリフォーム。
- シート状の金属繊維ウエブを所定形状に打ち抜くウエブ打抜き工程と、金属板から整流板を打ち抜く整流板打抜き工程と、打ち抜かれた前記金属繊維ウエブを複数積層するとともにその最上層または最下層に前記整流板を積層する積層工程と、積層された前記金属繊維ウエブおよび前記整流板を焼結する焼結工程とを備えたことを特徴とする金属基複合材料用プリフォームの製造方法。
- 前記ウエブ打抜き工程と、前記整流板打抜き工程と、前記積層工程とを1つの金型で行うことを特徴とする請求項6に記載の金属基複合材料用プリフォームの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の金属基複合材料用プリフォームを鋳造モールドにセットし、前記金属基複合材料用プリフォームを鋳造することで軽合金と複合化してピストンを製造するピストンの製造方法において、前記金属基複合材料用プリフォームを、ピストン状をなすキャビティのピストンヘッドの部分に前記整流板が前記キャビティの外側を向くようにして配置し、前記キャビティの他の部分に連通する湯口から溶湯を注入することを特徴とするピストンの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2006007528A JP2007185705A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | 金属基複合材料用プリフォーム及びその製造方法並びにピストンの製造方法 |
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DE102013226717A1 (de) * | 2013-12-19 | 2015-06-25 | Mahle International Gmbh | Verfahren zur Herstellung eines Kolbens für einen Verbrennungsmotor |
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-
2006
- 2006-01-16 JP JP2006007528A patent/JP2007185705A/ja active Pending
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