以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略図である。
図において、100は画像形成装置であり、例えば、電子写真プリンタ、ファクシミリ機、複写機、プリンタ、ファクシミリ機及び複写機の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類の画像形成装置であってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置100がカラー電子写真プリンタである場合について説明する。
本実施の形態における画像形成装置100は、カラー電子写真プリンタなので、図に示されるように、画像形成装置100内には、画像形成部として、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を、それぞれ、形成する四つのプロセスユニット151a〜151dが記録媒体24の搬送経路168に沿ってタンデムに配設されている。そして、各プロセスユニット151a〜151dには、像担持体としての感光体ドラム152、該感光体ドラム152の周囲に配設され、該感光体ドラム152の表面に電気を供給して帯電させる帯電装置153、帯電された感光体ドラム152の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置154が配設される。
さらに、現像剤としてのトナーを静電潜像が形成された感光体ドラム152の表面に搬送する現像装置155、及び、前記感光体ドラム152の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置156が配設される。なお、前記感光体ドラム152は図示されない駆動源及びギヤによって回転させられる。
また、157は紙等の記録媒体24が堆(たい)積した状態で収納されている用紙カセットであり、その上方には記録媒体24を1枚ずつ分離させ搬送するためのホッピングローラ158が配設される。さらに、該ホッピングローラ158の記録媒体24の搬送方向における下流側には、ピンチローラ160a、160bとともに記録媒体24を挟持することによって該記録媒体24の斜行を修正してプロセスユニット151a〜151dに搬送するレジストローラ159a、159bが配設される。
なお、記録媒体24の斜行はレジストローラ159bを停止した状態で、記録媒体24を少し搬送してレジストローラ159bに突き当てることによって修正することができる。また、前記ホッピングローラ158及びレジストローラ159a、159bは、図示されない駆動源によって連動して回転する。
そして、167は、前記感光体ドラム152に、それぞれ、対向させて配設された転写ローラであり、半導電性のゴム等によって形成されている。なお、前記感光体ドラム152上のトナーを記録媒体24に付着させるために、前記感光体ドラム152の表面と転写ローラ167の表面との間に電位差が生じるようになっている。
また、163は加熱ローラ及びバックアップローラを有し、記録媒体24上に転写されたトナーを加圧及び加熱することによって定着させる定着器である。さらに、164a、164bは前記定着器163から排出された記録媒体24を排出部のピンチローラ165a、165bとともに挟持し、記録媒体スタッカ部166に記録媒体24を搬送するための排出ローラであり、該排出ローラ164a、164bは図示されない駆動源によって回転させられる。
次に、前記構成の画像形成装置100の動作について説明する。
まず、用紙カセット157に堆積された状態で収納されている記録媒体24がホッピングローラ158によって上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、記録媒体24は、レジストローラ159a、159b及びピンチローラ160a、160bに挟持されてプロセスユニット151aの感光体ドラム152及び転写ローラ167に搬送される。その後、記録媒体24は、感光体ドラム152及び転写ローラ167に挟持され、感光体ドラム152の回転によって搬送される。
また、同様に、記録媒体24はプロセスユニット151b、151c及び151dを通過する。ここで、記録媒体24が順次各色のプロセスユニット151a〜151dを通過する時に、各色のトナー像が記録媒体24上に重ね合わせられる。
そして、該記録媒体24上に各色のトナー像が重ね合わせられた後、定着器163によってトナー像が定着され、記録媒体24は、排出ローラ164a、164b及びピンチローラ165a、165bに挟持されて、画像形成装置100の外部の記録媒体スタッカ部166に排出される。これにより、色ずれのない優れたカラー画像が記録媒体24上に形成される。
次に、前記定着器163について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における定着器の斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるセパレータアッパの斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるセパレータロアの斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態における定着器の側断面図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるセパレータの捩(ねじ)れを示す図である。なお、図6(a)は左側面図、図6(b)は正面図、図6(c)は右側面図である。
図4に示されるように、ホルダ11とガイド手段としてのセパレータロア12とは固着されて一体構造になっている。そして、その両端にスペーサ手段としてのロアスペーサ13、14が固着され、前記ホルダ11の両端には支点穴12a、12bが設けられている。該支点穴12a、12bは、図1に示されるサイドプレート15、16に備えられたホスト17、18と係合している。そして、付勢手段としてのトーションばね19、20によってロアスペーサ13、14が、図5に示されるように、定着手段としてのロアローラ21に当接して、該ロアローラ21に押し当てられるように付勢されている。なお、上側のガイド手段としてのセパレータアッパ22も同様の構成になっている。なお、図5において、23は定着手段としてのアッパローラ、24は記録媒体である。
ここで、前記セパレータロア12及びセパレータアッパ22は、SUS(ステンレス鋼)の薄い長方形の板から成るが、燐(りん)青銅等他の金属の板から成るものであってもよいし、ばね性を有するものであれば、金属、弾性部材等いかなる材質のものであってもよい。また、前記ホルダ11とセパレータロア12とを固着する方法や、セパレータロア12とロアスペーサ13、14とを固着する方法は、接着剤による固着であってもよいし、ねじ止めや嵌(は)め込みによる固着であってもよい。
また、セパレータアッパ22とアッパローラ23との間隙(げき)の大きさ、及び、セパレータロア12とロアローラ21との間隙の大きさ、すなわち、ギャップ量は、本実施の形態においては、先端余白3.75〔mm〕の薄紙に対して、高温多湿(30〔℃〕、80〔%〕)の環境で240〔%〕濃度べたの印刷条件の下、10枚の連続印刷を行った結果に基づいて設定した。この場合、セパレータアッパ22とアッパローラ23とのギャップ量を0.37±0.06〔mm〕、セパレータロア12とロアローラ21とのギャップ量を0.21±0.07〔mm〕に設定した。なお、ギャップ量は印刷条件に応じて変化させてもよい。
次に、前記構成の定着器163の動作について説明する。
まず、電源が入れられ、画像形成装置100が印刷を始めると、記録媒体24が定着器163に送られ、アッパローラ23に巻き付こうとしたときにはセパレータアッパ22によって分離される。また、ロアローラ21に巻き付こうとしたときにはセパレータロア12によって分離される。
そして、アッパローラ23及びロアローラ21がそれぞれ熱膨張を起こすと、膨張に伴ってロアスペーサ13、14がホルダ11の回動軸を中心に回動する。このとき、ロアスペーサ13、14とセパレータロア12とが固着されているので、該セパレータロア12には捩れが発生するが、ロアローラ21とのギャップは一定に保たれる。そして、トナー像が定着された記録媒体24は、ロアローラ21との巻き付きが起こらない先端余白部分がセパレータロア12にガイドされることによって前記ロアローラ21から分離される。
ここで、ロアスペーサ13、14とセパレータロア12とが固着されているので、図6に示されるように、熱膨張によって定着器163のロアローラ21の外径が左右で異なる場合であっても、セパレータロア12が捩れることによってロアローラ21とセパレータロア12とのギャップは一定に保たれる。なお、セパレータアッパ22とアッパローラ23とのギャップについても同様である。
このように、本実施の形態においては、ロアスペーサ13、14をロアローラ21に押し当てる手段を設け、前記ロアスペーサ13、14にセパレータロア12を固着させ、ロアローラ21とのギャップを一定に保つようになっている。そのため、熱膨張が発生し、ロアローラ21の径に変化が生じても、その変化量に応じてロアスペーサ13、14が回動し、セパレータロア12が捩れることによって安定したギャップ量を得ることができ、安定して記録媒体24を分離させることができる。なお、セパレータアッパ22もセパレータロア12と同様の構成になっているので、セパレータアッパ22とアッパローラ23とのギャップも一定に保たれる。
また、本実施の形態は、ローラから成る定着器に限らず、例えば、定着ベルトを用いる定着器に対しても適用することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
本実施の形態においては、定着器163のフレーム等の部材における寸法のばらつきや捩れ、アッパローラ23やロアローラ21の熱膨張によって生じるセパレータアッパ111やセパレータロア121の捩れを緩和するようになっている。
図7は本発明の第2の実施の形態におけるアッパスペーサとセパレータアッパとの取り付け構造を示す側面図、図8は本発明の第2の実施の形態におけるアッパスペーサとセパレータアッパとの取り付け構造を示す分解斜視図である。
図7及び8に示されるように、ガイド手段としてのセパレータアッパ111の両端には、スペーサ手段としてのアッパスペーサ112を固定するためのホルダ113のポスト114を挿入するための穴が形成されている。前記ホルダ113は金属板から成り、ポスト114がかしめられている。前記ホルダ113上に取り付けられたアッパスペーサ112は、前記ホルダ113上のねじ穴118を使って、ねじ117によってねじ止めされる。
前記ホルダ113にねじ止めされたアッパスペーサ112の上にセパレータアッパ111を載置して、ポスト114の先端にワッシャ115とEリング116とを取り付けることによって、ポスト114からセパレータアッパ111が抜け落ちないようになっている。該セパレータアッパ111及びアッパスペーサ112は、Eリング116によってポスト114から抜け落ちないように取り付けられているが、ある程度のがたがあるように隙(すき)間が設けられている。その結果、アッパスペーサ112は、セパレータアッパ111に対して図7における矢印で示される方向に動くことができる。なお、セパレータアッパ111の反対側の端にも、アッパスペーサ112と同様に、図示されないアッパスペーサが動くことができるように取り付けられている。
次に、ロアスペーサ122とセパレータロア121との取り付け構造について説明する。
図9は本発明の第2の実施の形態におけるロアスペーサとセパレータロアとの取り付け構造を示す側面図、図10は本発明の第2の実施の形態におけるロアスペーサとセパレータロアの取り付け構造を示す分解斜視図である。
図9及び10に示されるように、ガイド手段としてのセパレータロア121の両端には、スペーサ手段としてのロアスペーサ122を固定するためのホルダ123のポスト124を挿入するための穴が形成されている。前記ホルダ123は金属板から成り、ポスト124がかしめられている。前記ホルダ123上に取り付けられたロアスペーサ122は、前記ホルダ123上のねじ穴128を使って、ねじ127によってねじ止めされる。
前記ホルダ123にねじ止めされたロアスペーサ122の上にセパレータロア121を載置して、ポスト124の先端にワッシャ125とEリング126とを取り付けることによって、ポスト124からセパレータロア121が抜け落ちないようになっている。該セパレータロア121及びロアスペーサ122は、Eリング126によってポスト124から抜け落ちないように取り付けられているが、ある程度のがたがあるように隙間が設けられている。その結果、ロアスペーサ122は、セパレータロア121に対して図9における矢印で示される方向に動くことができる。なお、セパレータロア121の反対側の端にも、ロアスペーサ122と同様に、図示されないロアスペーサが動くことができるように取り付けられている。
なお、前記ホルダ113、123の折り返し部に形成されている穴は、シャフト119、129をそれぞれ通すためのものであり、該シャフト119、129はアッパローラ23及びロアローラ21と平行に取り付けられ、その結果、セパレータアッパ111とアッパローラ23とが互いに平行に、また、セパレータロア121とロアローラ21とが互いに平行に配設される。
次に、前記構成の定着器163の動作について説明する。
まず、セパレータアッパ111と一体化されたホルダ113及び該ホルダ113とは反対側に配設された図示されないもう一つのホルダが、図示されないトーションばねによって、シャフト119を中心としてアッパローラ23の方向に回転しようとする。その結果、ホルダ113ともう一つのホルダ上に固定されたアッパスペーサ112は、一定の付勢力でアッパローラ23に押し当てられている。
また、セパレータロア121と一体化されたホルダ123及び該ホルダ123とは反対側に配設された図示されないもう一つのホルダが、図示されないトーションばねによって、シャフト129を中心としてロアローラ21の方向に回転しようとする。その結果、ホルダ123ともう一つのホルダ上に固定されたロアスペーサ122は、一定の付勢力でロアローラ21に押し当てられている。
ここで、ロアスペーサ122及びアッパスペーサ112は、シャフト119、129を中心に回転して、それぞれ、ロアローラ21及びアッパローラ23に押し当てられているので、シャフト119、129がアッパローラ23及びロアローラ21に対して平行であれば、ロアローラ21とセパレータロア121との間のギャップ、及び、アッパローラ23とセパレータアッパ111との間のギャップは、それぞれ、均一なはずである。
ところが、定着器163に捩れが発生したり、セパレータロア121やセパレータアッパ111の取り付けに微小な寸法差が発生した場合、左右のロアスペーサ122及びアッパスペーサ112がセパレータロア121及びセパレータアッパ111に直接固定されていると、左右のロアスペーサ122及びアッパスペーサ112がロアローラ21及びアッパローラ23に均一に接触することが困難になる。その結果、ロアローラ21とセパレータロア121との間のギャップ、及び、アッパローラ23とセパレータアッパ111との間のギャップが左右で変化ししてまう。そして、ギャップ量が設定された値よりも大きくなると、記録媒体24のロアローラ21又はアッパローラ23への巻き付きが発生しやすくなる。
そこで、本実施の形態においては、アッパスペーサ112がセパレータアッパ111に対して図7における矢印で示される方向に動くことができるようになっている。なお、セパレータアッパ111の反対側の端においても、アッパスペーサ112と同様に、図示されないアッパスペーサが動くことができるようになっている。これにより、アッパローラ23とセパレータアッパ111との間の左右におけるギャップを、定着器163の捩れの影響を受けることなく、独立して設定することができる。
また、ロアスペーサ122がセパレータロア121に対して図9における矢印で示される方向に動くことができるようになっている。なお、セパレータロア121の反対側の端においても、ロアスペーサ122と同様に、図示されないロアスペーサが動くことができるようになっている。これにより、ロアローラ21とセパレータロア121との間のギャップを均一に保つことができる。
このように、本実施の形態においては、アッパスペーサ112及びロアスペーサ122が、それぞれ、セパレータアッパ111及びセパレータロア121に対して移動可能に取り付けられている。そのため、アッパスペーサ112及びロアスペーサ122が、それぞれ、アッパローラ23及びロアローラ21の表面に対して移動可能となる。これにより、定着器163自体に捩れが発生した場合でも、アッパローラ23とセパレータアッパ111との間のギャップ及びロアローラ21とセパレータロア121との間のギャップを均一に保つことができるので、画像形成装置100を高速化しても、記録媒体24の分離性能を損なうことがない定着器163を提供することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図11は本発明の第3の実施の形態における定着器の斜視図、図12は本発明の第3の実施の形態におけるトッププレートを外した定着器の斜視図、図13は本発明の第3の実施の形態におけるセパレータアッパの斜視図、図14は本発明の第3の実施の形態におけるセパレータアッパの要部斜視図、図15は本発明の第3の実施の形態におけるセパレータロアの斜視図、図16は本発明の第3の実施の形態におけるセパレータロアの要部斜視図、図17は本発明の第3の実施の形態における定着器の側断面図、図18は本発明の第3の実施の形態におけるセパレータの捩れを示す図である。なお、図18(a)は左側面図、図18(b)は正面図、図18(c)は右側面図である。
なお、本実施の形態において、セパレータアッパとセパレータロアとは、ともに同様の構成を有するので、セパレータロアについてのみ説明する。
図16に示されるように、ホルダ61とガイド手段としてのセパレータロア62とは互いに固着され、一体構造となっていて、両端に矢印で示される方向を長手とする楕(だ)円穴を有している。一方、左ブラケット63には左ポスト65が、右ブラケット64には右ポスト66がそれぞれ固着され、前記ホルダ61の楕円穴と係合している。前記左ポスト65及び右ポスト66は、楕円穴に通され、端部に取り付けられたワッシャ及びCリングによって楕円穴から抜け落ちないようになっている。そして、スペーサ手段としてのロアスペーサ69、70とセパレータロア62とは上下方向(左ポスト65及び右ポスト66の軸方向)に多少のがたを有して接続される。
なお、前記ホルダ61とセパレータロア62とを固着する方法、左ブラケット63と左ポスト65とを固着する方法、及び、右ブラケット64と右ポスト66とを固着する方法は、接着剤による固着であってもよいし、ねじ止めや嵌め込みによる固着であってもよい。
そして、前記ホルダ61と左ブラケット63との間、ホルダ61と右ブラケット64との間には圧縮ばね67、68が、それぞれ、挟持されていて、セパレータロア62とホルダ61とを矢印で示される方向に付勢し、セパレータロア62とホルダ61とはロアスペーサ69、70に当接している。この状態で、図11及び12に示されるサイドプレート52、53に設けられたポスト51(セパレータアッパ57のときは図13及び14に示されるポスト55、56)を支点として、前記第1の実施の形態と同様に、トーションばね19、20によってロアローラ21に当接している。このように、セパレータロア62とロアスペーサ69、70とは圧縮ばね67、68によって弾性的に接続される。
次に、前記構成の定着器163の動作について説明する。
まず、電源が入れられ、画像形成装置100が印刷を始めると、図17に示されるように、記録媒体24が定着器163に送られ、アッパローラ23に巻き付こうとしたときにはガイド手段としてのセパレータアッパ57によって分離される。また、ロアローラ21に巻き付こうとしたときにはセパレータロア62によって分離される。
このとき、前記第1の実施の形態の動作に加えて、ロアスペーサ69、70とセパレータロア62との間のがたによって、該セパレータロア62とロアローラ21とのギャップは一定に保たれる。
本実施の形態においては、ホルダ61とセパレータロア62とが該セパレータロア62に設けられた楕円穴に左ポスト65及び右ポスト66が通されてホルダ61に固定され、Cリングによって留められているが、セパレータロア62は上下方向にがたを有する。そのため、図18に示されるように、熱膨張によって定着器163のロアローラ21の外径が左右で異なる場合であっても、前記がたと圧縮ばね67、68の作用によって、セパレータロア62が捩れることなく、ロアローラ21とセパレータロア62とのギャップが一定に保たれる。このとき、該セパレータロア62はローラ軸に対して傾く。
このように、本実施の形態においては、ホルダ61と一体となったセパレータロア62の左右の回動支点を独立懸架にしているので、ロアローラ21の左右の径の違いによってロアスペーサ69、70が左右で片当たりすることがなく、更に安定したギャップを確保することができ、安定した記録媒体24の分離を行うことができる。なお、セパレータアッパ57もセパレータロア62と同様の構成になっているので、セパレータアッパ57とアッパローラ23とのギャップも安定して確保され、安定した記録媒体24の分離を行うことができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図19は本発明の第4の実施の形態におけるセパレータロアの斜視図、図20は本発明の第4の実施の形態におけるセパレータロアの要部斜視図、図21は本発明の第4の実施の形態におけるセパレータロアの要部分解斜視図である。
なお、本実施の形態において、セパレータアッパとセパレータロアとは、ともに同様の構成を有するので、セパレータロアについてのみ説明する。
図21に示されるように、ホルダ72とガイド手段としてのセパレータロア71とは互いに固着され、一体構造となっていて、端部に穴72a及びU溝部72bが形成される。一方、ブラケット73にはポスト74、75が固着され、また、スペーサ手段としてのロアスペーサ76が固着される。該ロアスペーサ76の上には、スライダ77が前記ポスト74、75を貫通して備えられていて、矢印で示される方向に摺(しゅう)動可能となっている。前記セパレータロア71とホルダ72とは、ポスト74、75を穴72a及びU溝部72bに貫通させ、ワッシャ78、79を取り付け、Eリング80、81によって係止されている。
また、前記ブラケット73の曲げ部73aとスライダ77の曲げ部77bとの間には圧縮ばね82が搭載され、スライダ77を図21において左方向に付勢している。一方、ホルダ72とセパレータロア71とは、スライダ77の曲げ部77aとの間に圧縮ばね83を搭載することによって、図21において右方向に付勢され、スライダ77の二ヶ所の曲げ部77cに当接して静止している。
一方、ブラケット73の曲げ部73bにはねじ穴が切ってあり、ねじ84が図21において左方向から取り付けられている。そして、該ねじ84の先端にはスライダ77の曲げ部77bが当接している。そのため、ねじ84を締めるとスライダ77が図21において右方向に、また、ねじ84を緩めると圧縮ばね82の付勢力によって図21において左方向に動くようになっている。
なお、前記構成の定着器163の動作については、前記第1及び第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、セパレータロア71とロアスペーサ76との位置関係を左右でそれぞれ調整することができるので、ロアローラ21とセパレータロア71とのギャップを適正な距離に確保することができ、より安定した記録媒体24の分離を行うことができる。なお、図示されないセパレータアッパもセパレータロア71と同様の構成になっているので、セパレータアッパとアッパローラ23とのギャップも適正な距離に確保することができ、より安定した記録媒体24の分離を行うことができる。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1〜第4の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図22は本発明の第5の実施の形態におけるアッパローラ及びロアローラを外した定着器の斜視図である。
図22に示されるように、ガイド手段としてのセパレータアッパ99を保持するブラケット93、94において、その支点部をシャフト91が貫通する。該シャフト91はサイドプレート97、98に係止され、前記セパレータアッパ99は前記シャフト91を支点に回動可能となっている。
同様に、ガイド手段としてのセパレータロア89を保持するブラケット95、96において、その支点部をシャフト92が貫通する。該シャフト92は前記サイドプレート97、98に係止され、前記セパレータロア89は前記シャフト92を支点に回動可能となっている。
なお、前記構成の定着器163の動作については、前記第1及び第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、セパレータアッパ99を保持するブラケット93、94、及び、セパレータロア89を保持する左右のブラケット95、96は、それぞれ、1本のシャフト91、92を支点として回転する。そのため、セパレータアッパ99及びセパレータロア89の左右における回転のための支点の位置ずれを少なくすることができる。これにより、セパレータアッパ99とアッパローラ23との安定したギャップ、及び、セパレータロア89とロアローラ21との安定したギャップを確保することができ、安定した記録媒体24の分離を行うことができる。
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第1〜第5の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1〜第5の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図23は本発明の第6の実施の形態におけるセパレータロアの要部斜視図である。
図23に示されるように、ブラケット107にはポスト106が固着され、さらに、前記ブラケット107にはポスト106が貫通したスペーサ手段としてのロアスペーサ108が固着されている。そして、該ロアスペーサ108の上にホルダ102と一体となったガイド手段としてのセパレータロア101が搭載されている。また、前記ポスト106のホルダ102から上方に突出した部分にはワッシャ103が備えられ、該ワッシャ103の上にウェーブワッシャ104が備えられ、さらに、該ウェーブワッシャ104の上にEリング105が取り付けられている。これにより、セパレータロア101、ホルダ102、ワッシャ103及びウェーブワッシャ104がロアスペーサ108の上に配設される。
なお、前記構成の定着器163の動作については、前記第1及び第3〜第5の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
このように、本実施の形態において、セパレータロア101は上下方向にがたを有するように取り付けられているが、ワッシャ103とEリング105との間にウェーブワッシャ104が配設され、Eリング105とワッシャ103とホルダ102との間に生じるがたを吸収するようになっている。そのため、該がたによるセパレータロア101の先端のばらつきを抑えることができ、セパレータロア101とロアローラ21との安定したギャップを確保することができ、安定した記録媒体24の分離を行うことができる。なお、図示されないセパレータアッパもセパレータロア101と同様の構成になっているので、セパレータアッパとアッパローラ23とのギャップも安定して確保され、安定した記録媒体24の分離を行うことができる。
また、ウェーブワッシャ104を組み込んで弾性的に接続することによって、余分ながたを吸収し、安定したギャップを得ることができる。
ところで、前記第1〜第6の実施の形態においては、セパレータロア及びセパレータアッパが定着器163の記録媒体24の通過範囲に亘って1枚の長い部材になっているので、内部の熱源が発生する熱によってロアローラ21及びアッパローラ23の中央部が変形した場合を考慮すると、セパレータロア及びセパレータアッパとロアローラ21及びアッパローラ23とのギャップ量を小さく設定することができない。そこで、本発明の第7の実施の形態においては、セパレータロア及びセパレータアッパの中央部に切り欠きを設けて、ロアローラ21及びアッパローラ23の中央部が変形する場合であっても、安定した記録媒体24の分離を行うことができるようになっている。
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第1〜第6の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1〜第6の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図24は本発明の第7の実施の形態における定着器の側断面図、図25は本発明の第7の実施の形態におけるアッパローラの側断面図、図26は本発明の第7の実施の形態におけるロアローラの側断面図、図27は本発明の第7の実施の形態におけるギャップ量を示す図である。なお、図27(a)において、横軸にセパレータの横方向の寸法を、縦軸に最大熱変形量を採ってある。
図24において、31は未定着トナーを溶融させるための加熱部材であるアッパローラであり、該アッパローラ31はその一端に図示されない駆動ギヤを有し、図示されない駆動モータによって回転する。
また、前記アッパローラ31は、図25に示されるように、アルミパイプ31a上にシリコンゴムローラ31bを形成し、さらに、該シリコンゴムローラ31b上に記録媒体24の離型性を向上させるためにフッ素樹脂を主としたコート層31cを設けている。
そして、アルミパイプ31aの内側にはハロゲンランプ32が配設され、該ハロゲンランプ32は図示されない電源供給手段によってオン・オフ制御可能である。前記アッパローラ31の表面にはアッパローラ31の表面温度を検知し、該表面温度に基づいて、前記ハロゲンランプ32をオン・オフするためのサーミスタ33を接触させている。
前記アッパローラ31の下方には、該アッパローラ31に対して一定の圧力で接触するロアローラ35が配設される。該ロアローラ35は、アッパローラ31と同様に、アルミパイプ35a上にシリコンゴムローラ35bを形成し、さらに、該シリコンゴムローラ35b上に記録媒体24の離型性を向上させるためにフッ素樹脂を主としたコート層35cを設けている。
前記ロアローラ35は、アルミパイプ35aの両端が左右に配置された軸受け34を貫通する状態で支持され、該軸受け34は圧縮コイルばね36を介して支持されている。これにより、ロアローラ35は一定の圧力によって前記アッパローラ31に押し当てられている。
該アッパローラ31とロアローラ35とは、ともにシリコンゴムローラ31b、35bを有しているので、前記圧縮コイルばね36によってロアローラ35がアッパローラ31に押し当てられると、シリコンゴムローラ31b、35bが変形して、ある幅を有するNIP(ニップ)と呼ばれるゴム変形領域(以下「NIP部」という。)を形成する。
前記ロアローラ35を形成するアルミパイプ35aも、図26に示されるように、内部にハロゲンランプ37が配置されていて、図示されない電源供給手段によってオン・オフ制御可能である。前記ロアローラ35の表面には該ロアローラ35の表面温度を検知するためのサーミスタ38がロアローラ35の表面に接触するように配置される。そして、ロアローラ35の表面温度は、前記サーミスタ38の検知する表面温度に基づいて前記電源供給手段をオン・オフさせることによって制御される。
なお、前記アッパローラ31及びロアローラ35は、前述されたように、それぞれ、シリコンゴムローラ31b、35bがアルミパイプ31a、35a上に形成されているので、剛体ではなくゴム層による弾性体である。
また、アッパローラ31及びロアローラ35のシリコンゴムローラ31b、35bには硬度差が設けられている。この場合、NIP部の断面形状を比較すると、アッパローラ31のシリコンゴムローラ31bに対してロアローラ35のシリコンゴムローラ35bの方が硬いので、図24に示されるように、アッパローラ31の周囲は上に凸状態に変形し、ロアローラ35の周囲はほぼ円形状を保っている。
また、前記ロアローラ35の前面には記録媒体24をNIP部に導くためのフロントガイド40が配設されている。前記アッパローラ31及びロアローラ35の後方には排出部に記録媒体24を導くためのガイド手段としてのセパレータアッパ41及びセパレータロア42が配設されている。
前記セパレータアッパ41は長方形の金属板であり、表面にはトナーの付着を防止するためにフッ素コートが施されている。また、セパレータアッパ41の長手方向の一辺はアッパローラ31の軸方向に沿って配設されている。そして、アッパローラ31と軸方向に対して常に一定のギャップを保つために前記セパレータアッパ41の両端で、かつ、最大印字領域範囲外にスペーサ手段としてのアッパスペーサ41aが配設され、該アッパスペーサ41aはアッパローラ31の表面と接触している。本実施の形態において、セパレータアッパ41とアッパスペーサ41aとは一体化されていて、該アッパスペーサ41aは図示されない回転機構によって常に一定の付勢力でアッパローラ31に押し付けられている。
また、セパレータロア42も長方形の金属板であり、表面にはトナーの付着を防止するためにフッ素コートが施されている。また、セパレータロア42の長手方向の一辺はロアローラ35の軸方向に沿って配設されている。そして、該ロアローラ35と軸方向に対して常に一定のギャップを保つために前記セパレータロア42の両端で、かつ、最大印字領域範囲外にロアローラ35の表面と接触するようにスペーサ手段としてのロアスペーサ42aが配設されている。該ロアスペーサ42aも、セパレータロア42と一体化されていて、ロアスペーサ42aは図示されない回転機構によって常に一定の付勢力でロアローラ35に押し付けられている。
前記セパレータアッパ41及びセパレータロア42は、それぞれ、金属板によって構成されているが、アッパローラ31及びロアローラ35に対向する長手方向の一辺は一直線でなく、中央部においては、両端部よりもアッパローラ31及びロアローラ35から遠ざかっている。すなわち、セパレータアッパ41及びセパレータロア42の先端部は、中央部において両端部よりも一段下がっている。
そして、セパレータアッパ41及びセパレータロア42のように金属板によって構成されているガイド手段は、バイメタル現象によってアッパローラ31及びロアローラ35によって熱変形を起こす。この該熱変形は、図27に示されるようになる。図27(a)に示されるように、熱による最大熱変形量はセパレータアッパ41及びセパレータロア42の中央部であり、両端部に設けられているアッパスペーサ41a及びロアスペーサ42aに近いほど熱変形量は減少している。そこで、本実施の形態においては、図27(b)に示されるように、したがって、セパレータアッパ41及びセパレータロア42の中央部に切り欠きを形成することによって、セパレータアッパ41及びセパレータロア42の先端部が、中央部において両端部よりも一段下がるようになっている。なお、一段下げる領域の幅は、画像形成装置100における記録媒体24の最小保証幅より狭くしなければならない。
次に、前記構成の定着器163の動作について説明する。
まず、図示されない電源供給手段に電源オンの指示が伝達されると、アッパローラ31及びロアローラ35を構成するアルミパイプ31a、35a内部に配設されたハロゲンランプ32、37が発熱し、アッパローラ31及びロアローラ35の温度が上昇する。そして、アッパローラ31及びロアローラ35の表面温度は、それぞれ、サーミスタ33、38によって常に検知されていて、あらかじめ定められた設定温度になるようにハロゲンランプ32、37をオン・オフさせることによって常に制御されている。
次に、アッパローラ31及びロアローラ35の温度がある温度に達すると、図示されない駆動モータが回転して駆動モータ及びギヤを介して連動しているアッパローラ31が図24に示される矢印方向に回転し始める。続いて、ロアローラ35は圧縮コイルばね36によってアッパローラ31の表面に押し付けられているので、該アッパローラ31が回転を始めると連回りで回転を始める。
また、アッパローラ31及びロアローラ35が、それぞれ、ハロゲンランプ32、37によって加熱されると、それに伴ってアッパローラ31及びロアローラ35の後方に配置されているセパレータアッパ41及びセパレータロア42の温度も上昇する。そして、熱変形によってセパレータアッパ41及びセパレータロア42の先端部が中央部において、それぞれ、熱源であるアッパローラ31及びロアローラ35に向かって膨出する。
ところが、セパレータアッパ41及びセパレータロア42の先端部は、中央部において両端部よりも熱変形量分に相当する長さ(0.3〜1.0〔mm〕)だけ下げられているので、アッパローラ31及びロアローラ35に接触することがない。また、この熱変形量分を見込んであらかじめギャップを広く設定する必要がないので、セパレータアッパ41とアッパローラ31とのギャップ、及び、セパレータロア42とロアローラ35とのギャップを狭くすることができる。
そして、前記アッパローラ31及びロアローラ35が回転を始めると、表面に未定着のトナーを保持した記録媒体24がフロントガイド40によってアッパローラ31及びロアローラ35のNIP部を通過するように導かれ、該NIP部を通過する。前記記録媒体24がNIP部を通過する際には、記録媒体24上のトナーが加熱と加圧とによって溶融される。そして、トナーが溶融した状態になると、アッパローラ31の表面のコート層31cとの接着力が発生する。
ところが、セパレータアッパ41とアッパローラ31とのギャップ、及び、セパレータロア42とロアローラ35とのギャップが狭いので、記録媒体24は、アッパローラ31やロアローラ35に巻き付くことなくセパレータアッパ41とセパレータロア42との間を通過し、前記排出部から画像形成装置100の外部の記録媒体スタッカ部166に排出される。
このように、本実施の形態においては、金属製のセパレータアッパ41及びセパレータロア42の中央部に切り欠きを形成するようになっている。そのため、熱による変形によって、セパレータアッパ41及びセパレータロア42の先端部が中央部において膨出しても、アッパローラ31及びロアローラ35に接触することがない。また、この熱変形量分を見込んであらかじめギャップを広く設定する必要がないので、セパレータアッパ41とアッパローラ31とのギャップ、及び、セパレータロア42とロアローラ35とのギャップを狭くすることができ、記録媒体24の分離性を保つことができる。
また、特に、画像形成装置100が、いわゆる、A3対応機のように、幅の広い記録媒体24を使用するものであっても、セパレータアッパ41とセパレータロア42の平面度、平行度の管理を中央部以外の両側に限定することができるので、部品の歩留りを向上させ、コストを低減することができる。
ところで、セパレータを定着器163の記録媒体24の通過範囲に亘って1枚の長い部材にすると、定着後の記録媒体24との接触面積が増えるので、記録媒体24の種類によってはセパレータによる熱の影響を受けて印字品位に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、本発明の第7の実施の形態においては、セパレータの角度を記録媒体24の種類によって変化可能にすることによって、記録媒体24とセパレータとが接触しないようになっている。
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、第1〜第7の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、第1〜第7の実施の形態と同じ動作及び効果についてもその説明を省略する。
図28は本発明の第8の実施の形態における定着器の断面図、図29は本発明の第8の実施の形態におけるセパレータの移動機構を示す斜視図、図30は本発明の第8の実施の形態におけるセパレータの移動機構の説明図である。
図28に示されるように、前記アッパローラ31及びロアローラ35の後方には図示されない排出部に記録媒体24を導くためのガイド手段としてのセパレータアッパ131及びセパレータロア132が配設される。
前記セパレータアッパ131の先端部にはスペーサ手段としてのアッパスペーサ131aが取り付けられている。前記セパレータアッパ131は、シャフト133を支点として、前記アッパスペーサ131aとともにアッパローラ31の表面に接触する方向に図示されないばねを利用して回転しようとする力が働き、前記アッパスペーサ131aがある一定の圧力でアッパローラ31に押し付けられている。
また、前記セパレータロア132の先端部にはスペーサ手段としてのロアスペーサ132aが取り付けられている。前記セパレータロア132は、シャフト133を支点として、前記ロアスペーサ132aとともにロアローラ35の表面に接触する方向に図示されないばねを利用して回転しようとする力が働き、前記ロアスペーサ132aがある一定の圧力でロアローラ35に押し付けられている。
なお、図29に示されるように、前記アッパスペーサ131aの先端はローラ形状を有し、軸131bによって支持されていて、該軸131bの中心とセパレータアッパ131の先端とが一致する。なお、軸131bの先端は、サイドフレーム161の溝162に挿入されている。そして、図30に示されるような移動機構によってセパレータアッパ131が移動する場合、アッパスペーサ131aの先端のローラがアッパローラ31の周面と接触しながら遊星動作することによって、アッパローラ31とセパレータアッパ131とのギャップが維持される。なお、前記ロアスペーサ132aも、前記アッパスペーサ131aと同様の構成を有する。
また、前記セパレータアッパ131を支持しているシャフト133は上方向に移動可能であり、図30に示されるように、該シャフト133はレバー144と連結され、該レバー144はカム145と連結している。そして、該カム145はギヤ146に固定されていて、アッパローラ31と同心上のギヤ147、アイドルギヤ148、ワンウェイギヤ149を介して連動する。なお、前記アッパローラ31と同心上のギヤ147は、図示されないギヤ機構と同様に図示されないメインモータによって駆動される。
また、前記シャフト133は給紙時に紙厚センサ150によって検出される記録媒体24の厚さによってコントロールユニット160の指示で、紙厚検出量に応じた量だけ前記メインモータ、ギヤ機構の逆回転とギヤ147、ワンウェイギヤ149、アイドルギヤ148、カム145の矢印方向へ逆回転して適正量だけ前記セパレータアッパ131を上方向に移動させることができる。
一方、前記セパレータロア132もシャフト133はレバー144と連結され、該レバー144はカム151と連結している。そして、該カム151はギヤ152に固定されていて、ロアローラ35と同心上のギヤ153、アイドルギヤ154、ワンウェイギヤ155を介して連動する。なお、前記ロアローラ35と同心上のギヤ153は、図示されないギヤ機構と同様に図示されないメインモータによって駆動される。
また、前記シャフト133は給紙時に紙厚センサ150によって検出される記録媒体24の厚さによってコントロールユニット160の指示で、紙厚検出量に応じた量だけ前記メインモータ、ギヤ機構の逆回転とギヤ152、ワンウェイギヤ155、アイドルギヤ154、カム151の矢印方向へ逆回転して適正量だけ前記セパレータロア132を下方向に移動させることができる。
次に、前記構成の定着器163の動作について説明する。
まず、図示されない電源供給手段に電源オンの指示が伝達されると、アッパローラ31及びロアローラ35を構成するアルミパイプ31a、35a内部に配設されたハロゲンランプ32、37が発熱し、アッパローラ31及びロアローラ35の温度が上昇する。そして、アッパローラ31及びロアローラ35の表面温度は、それぞれ、サーミスタ33、38によって常に検知されていて、あらかじめ定められた設定温度になるようにハロゲンランプ32、37をオン・オフさせることによって常に制御されている。
次に、アッパローラ31及びロアローラ35の温度がある温度に達すると、図示されない駆動モータが回転して駆動モータ及びギヤを介して連動しているアッパローラ31が図28において矢印で示される方向に回転し始める。続いて、ロアローラ35は圧縮コイルばね36によってアッパローラ31の表面に圧接しているので、アッパローラ31が回転を始めると、前記ロアローラ35も連回りで回転を始める。
また、アッパローラ31及びロアローラ35の温度が定着可能温度に達すると、記録媒体24が給紙部から給紙される。このとき、記録媒体24は紙厚センサ150によって厚さが測定され、その測定値によって記録媒体24が紙であるかOHPであるかを判定する。
そして、OHPであると判定された場合、コントロールユニット160によってメインモータ、ギヤ機構が必要量だけ逆回転する。これにより、ギヤ147、153、ワンウェイギヤ149、155、アイドルギヤ148、154、ギヤ146、152、カム145、151がそれぞれ矢印方向に回転することによって、セパレータアッパ131及びセパレータロア132の角度を変えることができる。
これにより、セパレータアッパ131及びセパレータロア132はそれぞれの角度を変化させることができ、その結果、OHP等の特殊媒体はNIP部通過後にセパレータアッパ131に接触することなく、画像形成装置100外に搬出することができる。
このように、本実施の形態においては、アッパローラ31及びロアローラ35のNIP部を通過後のセパレータアッパ131及びセパレータロア132の角度を記録媒体24の種類によって変化させるようになっている。これにより、NIP部を通過後に記録媒体24とセパレータアッパ131及びセパレータロア132との接触をなくすことができる。そのため、記録媒体24に接触したセパレータアッパ131又はセパレータロア132の熱によってトナーが再定着されるときに発生する透過むらや薄紙媒体のグロスむらを防止することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。