JP2007183434A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007183434A
JP2007183434A JP2006001899A JP2006001899A JP2007183434A JP 2007183434 A JP2007183434 A JP 2007183434A JP 2006001899 A JP2006001899 A JP 2006001899A JP 2006001899 A JP2006001899 A JP 2006001899A JP 2007183434 A JP2007183434 A JP 2007183434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
light
display device
crystal layer
electric field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006001899A
Other languages
English (en)
Inventor
Teppei Kurosawa
鉄平 黒沢
Takeya Kurata
雄也 蔵田
Jun Koide
小出  純
Masayuki Abe
阿部  雅之
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2006001899A priority Critical patent/JP2007183434A/ja
Publication of JP2007183434A publication Critical patent/JP2007183434A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Liquid Crystal Display Device Control (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)

Abstract

【課題】光源点灯後に表示画像にフリッカが発生することを効果的に抑制する。
【解決手段】液晶表示装置は、第1の電極102および第2の電極103の間に液晶層100を有する液晶変調素子と、該液晶変調素子を照明する光源210とを有する。さらに、該液晶表示装置の電源投入から光源の点灯前までの間に、液晶層に直流電界を発生させるよう第1および第2の電極間の電位差を制御する制御手段204を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、液晶変調素子を用いたプロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
液晶変調素子には、透明電極(共通電極)を有する第1の透明基板と、画素を形成する透明電極(画素電極)や配線、スイッチング素子等を有する第2の透明基板との間に誘電異方性が正であるネマチック液晶を封入したものがある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚のガラス基板間で連続的に90°ねじった、いわゆるTN(Twisted Nematic)液晶変調素子と称され、透過型の液晶変調素子として用いられている。また、上記第2の透明基板に代えて、反射鏡、配線およびスイッチング素子等を有する回路基板を用いたものもある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚の基板に対してほぼ垂直にモメオトロピック配向させた、いわゆるVAN(Vertical Arrangement Nematic)液晶変調素子と称され、反射型液晶素子として用いていられている。
これらの液晶変調素子では、一般に、ECB(Electrically Controlled Birefringence)効果を利用し、液晶層を通過する光波動に対してリタデーションを与え、光波動の偏光状態を変化させる作用を制御して画像を形成する。
このようなECB効果を用いて光強度を変調する液晶変調素子においては、液晶層に電界を印加することによって、該液晶層に存在するイオン性物質が移動する。液晶層に直流電界を与え続けると、イオン性物質が対向する2つの電極のどちらかに引き寄せられる。これにより、電極に与えられる電圧が一定であっても、液晶層に与えられる電界がイオンの電荷によって相殺され、実質的に液晶層へ印加される電界が減衰する。このような現象を回避するために、一般に、配列画素のラインごとに、印加する電界の正負極性を反転し、かつ該極性を60ヘルツ等の所定周期で切り換えるライン反転ドライブ方法が採用される。また、配列画素の全てに印加する電界の正負極性を所定周期で反転するフィールド反転ドライブ方法も用いられる。これらのドライブ方法により、液晶層にかかる電界が一定の極性にならないようにし、イオンの偏りを防止することができる。
このことは、液晶層に対する有効な実効電界(以下、単に実効電界と称する)を、電極に印加される電圧に対して常に同じ値となるようにすることに相当する。
ところが、液晶層に印加される実効電界が変動する要因は、上述したイオン性物質の移動だけではない。他の要因として、絶縁体で構成されている液晶配向膜や反射増強膜や金属溶出防止用の無機パッシベーション膜等の非導電性膜において、電子やホールの電荷そのものがトラッピングされることがある。このトラッピングによって、膜の界面がチャージアップを引き起こし、この静電帯電によって液晶層への実効電界が経時変化する。
この帯電現象は、透過型液晶変調素子においても形状要因で発生するが、対向電極が異材質(ミラー金属とインジウム錫酸化膜〈ITO膜〉)である反射型液晶変調素子において特に顕著に発生する。
この帯電現象に対して、例えば、特許文献1には以下のような技術が開示されている。すなわち、反射画素電極上に仕事関数調整膜層を形成し、反射電極の仕事関数を対向透明電極(ITO膜電極)の仕事関数に対して±2%以内にする。これにより、液晶界面層のチャージアップを抑制し、フリッカや焼きつきの発生を回避する。
また、電荷がトラップされるためには、絶縁膜のエネルギーポテンシャルを励起ホッピングする必要がある。特許文献1では、対向するミラー電極とITO電極から励起ホッピングする確率を同等にすることによって、同じ量の電荷トラップによるチャージアップにする技術も開示されている。これにより、フィールド反転ドライブ方法によって液晶に印加される電界は電位としてはシフトするが、電界の大きさは変わらなくなる。液晶が受ける電界は、対向電極間での相対値によって反応ECB動作するため、液晶の動作は変化しなくなる。
液晶プロジェクタでは、通常3mW/cm程度の高強度の光を液晶変調素子に常時照射しながら液晶変調素子を駆動する。このような状況下で液晶変調素子の駆動を行った結果、光照射を始めてから30分程度の間に、液晶変調素子を構成するミラー電極とITO透明電極との間で、照射光のパワーとスペクトルに依存した直流電位差の変動が発生することが分かった。これは、光照射により、液晶界面層への電荷のトラップ現象が発生した結果、液晶層の実効電界が変化を起こしたものであると考えられる。
ミラー電極とITO電極間で直流電位差が生じると、60Hzでフィールド反転ドライブする場合には、液晶層に印加する電界の極性に応じて液晶のリタデーション変調に差異が生じ、光強度変調が60Hzで振動するようになる。60Hzの振動は、人間の目で認識することはできない。しかし、この振動の振幅が増加して、対向電極間の電位差が200ミリボルトを超えると、振動波形の低周波成分が増加し、人間の目で光強度の振動がフリッカとして認識できるようになってくる。この視覚認識の程度は、特に変調諧調ガンマが急峻な50%強度変調時に強い。
このように直流電位差成分の変動が発生する液晶変調素子を用いて画像投射を行う場合、例えば特許文献2に開示されている技術を用いることができる。すなわち、一定時間光の照射を行った後に、液晶層に直流電界成分が印加されないようなミラー電極とITO透明電極間の直流電位差を調整する。そして、これ以降の液晶変調素子の駆動に際しては、該調整された電位差の設定を続ける。
特開2005−49817号公報(段落0028,0032) 特開2002−365654号公報(段落0025)
しかしながら、特許文献2にて開示された技術を用いる場合、プロジェクタの光源点灯直後の数分間はフリッカの視認が可能な画像の投射が行われる懸念がある。
今後、プロジェクタによる表示画像の明るさを改善する等の目的により、光源のパワーをさらに上げる場合には、光パワーの増大によって電荷トラップ量がさらに増大することが予想され、この問題は一層深刻なものとなる。
本発明は、光源点灯後や表示モードの切り換え後に表示画像にフリッカが発生することを効果的に抑制することができるようにした液晶表示装置を提供することを目的の1つとしている。
本発明の一側面である液晶表示装置は、第1の電極および第2の電極の間に液晶層を有する液晶変調素子と、該液晶変調素子を照明する光源とを有する。さらに、該液晶表示装置の電源投入から光源の点灯前までの間に、液晶層に直流電界を発生させるよう第1および第2の電極間の電位差を制御する制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての液晶表示装置は、第1の電極および第2の電極の間に液晶層を有する液晶変調素子と、該液晶変調素子を照明する光源と、該液晶表示装置を、光源から液晶変調素子に入射する光のパワーおよびスペクトルのうち少なくとも一方が異なる複数の表示モードで動作させる制御手段とを有する。そして、制御手段は、表示モードの切り換え過程において、液晶層に直流電界を発生させるよう第1および第2の電極間の電位差を制御することを特徴とする。
本発明によれば、光源点灯後や表示モードの切り換え後に一時的に表示画像にフリッカが生じることを抑制することができる。したがって、表示画像の品位をより向上させることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
まず、実施例の説明に先立って、本発明の前提となる技術および先行技術の問題点について説明する。
図1には、本発明の実施例1である液晶表示装置での光路を示している。図に示すように、矢印IWで示す光源からの光は、偏光ビームスプリッタ401に入射する。偏光ビームスプリッタ401に入射した光のうち、P偏光成分は、偏光分離面401aを矢印IWBの方向に透過し、S偏光成分は偏光分離面401aで矢印IWAの方向に反射される。該S偏光成分は、図の紙面に垂直な方向を偏光方向とする直線偏光である。
反射型液晶変調素子400の液晶のプレチルト配向方向は、該S偏光成分の偏光方向に対して45°傾いている。反射型液晶変調素子400の液晶層には、該液晶層によって、入射した光の1/2波長分のリタデーションが与えられるように電界が印加されている。反射型液晶変調素子400に入射した光は、液晶層を2つの固有モードに分かれて伝播する。そして、反射型液晶変調素子400から矢印OWの方向に反射して射出するときには、該2つのモードの間に次式(1)で表わされる位相差δ(λ)が光に与えられる。
δ(λ)=2π(2dΔn)/λ …(1)
ここで、λは入射光の波長、dは液晶層の厚さ、Δnは所定電界が印加された状態での液晶層の屈折率異方性Δnである。
反射型液晶変調素子400から矢印OWの方向に射出した光のうち、図の紙面に垂直な方向を偏光方向とする成分(偏光ビームスプリッタ401に対してS偏光となる成分)は、偏光分離面401aによって矢印BWの方向に反射されて光源側へ戻される。一方、図の紙面に平行な方向を偏光方向とする成分(偏光ビームスプリッタ401に対してP偏光となる成分)は、偏光分離面401aを矢印MWの方向に透過する。
反射型液晶変調素子400で反射され、偏光ビームスプリッタ401を矢印MWの方向に透過する光の光量、すなわち光転送率R(λ)は次式(2)で表される。
R(λ)=0.5{1−cosδ(λ)} …(2)
但し、δ(λ)は上述した位相差である。また、偏光ビームスプリッタ401のS偏光に対する反射率、P偏光に対する透過率、反射型液晶変調素子400の開口率および無偏光光の反射率はいずれも100%とする。
なお、液晶層に対して印加する電界を変調すると、液晶分子は、液晶層を挟む基板に対してプレチルト角を有した略垂直のチルト角度から略水平のチルト角まで変位動作する。この結果、見掛け上、屈折率異方性Δnが変化する。このため、位相差δ(λ)は減少変調され、δ≒0度からδ≒90度となる。
次に、反射型液晶変調素子の内部におけるエネルギーバンド(エネルギーポテンシャル)の基本構造を図2を用いて説明する。反射型液晶変調素子では、光の入射出側に配置されるITO透明電極と、電極およびミラー面としての機能を有する金属ミラー電極とを介して液晶層に電界が印加される。金属ミラー電極は、主としてアルミニウムやアルミニウム合金により構成される。
図2において、102はITO透明電極、103はアルミニウムで構成された金属ミラー電極である。また、100は液晶層、101a,101bは液晶をVAN配向させるためのポーラス状の斜方蒸着液晶配向膜である。該液晶配向膜101a,101bは、酸化ケイ素を主成分とする無機非導電性材料により構成されている。
液晶層100は、液晶配向膜101a,101bによって挟まれ、その外側にITO透明電極102と金属ミラー電極103とが接触した基本構造を有する。図2の上下方向はエネルギーポテンシャルの高さを示しており、真空準位は上方に存在する。
ITO透明電極102の真空準位からの仕事関数エネルギーは約5.0eV、アルミニウム金属ミラー電極103の真空準位からの仕事関数エネルギーは約4.2eVであるため、これらは材料的に0.8eVのエネルギーポテンシャル差を有する。
また、非導電性絶縁体である液晶層と酸化ケイ素からなる液晶配向膜101a,101bのフェルミ準位は、電子モビリティーとホールモビリティーがほぼ等しいアルミニウムのエネルギーポテンシャルレベルに等しい高さにロックされる。
ポーラス酸化ケイ素からなる液晶配向膜101a,101bのエネルギーバンドの幅は直接測定が困難である。二酸化ケイ素のエネルギーバンド幅は、その膜質に依存するが、約6〜9eVである。このため、ここでは、ポーラス構造を考慮して、約6eVと推測する。
したがって、アルミニウム金属からなるミラー電極103、液晶層100および液晶配向膜101aの間において、電子が励起トラップされるエネルギーは約3eV、ホールが励起トラップされるエネルギーも約3eVと推定される。
これに対し、ITO透明電極102、液晶層100および液晶配向膜101bの間において、電子が励起トラップされるエネルギーは約3.8eV、ホールが励起トラップされるエネルギーは約2.2eVと推定される。
このように、反射型液晶変調素子のエネルギーバンド構造は、図2に示すような基本構造を有している。しかしながら、このままのエネルギーバンド構造であると、電子とホールの励起チャージアップバランスが不均等であるため、液晶変調素子の使用時間の増加に伴い、液晶層を挟む対向膜間で、チャージアップによる直流電界が急激に拡大する。
前述した特許文献1では、この不具合を改善するために、図3に示す方法を開示している。図3では、アルミニウムからなる金属ミラー電極103と液晶配向膜101bとの間に、アルミニウムよりも仕事関数の大きいニッケル、ロジウム、鉛、白金又はこれらの酸化物からなる仕事関数調整膜104を形成している。これにより、金属ミラー電極103の仕事関数をITO透明電極102の仕事関数に近似させている。
図中のENI,ENMは電子の励起、EPI,EPMはホールの励起、ENI,EPIはITO透明電極102側からの励起、ENM,EPMは金属ミラー電極103側からの励起を示す。
図3の構成によれば、両電極102,103から励起する電子およびホールの励起確率がほぼ同等になる。これにより、液晶層100と液晶配向膜101a,101bにトラップされる電子とホールによるチャージアップ量は、両電極側で同一になる。したがって、ITO透明電極102と金属ミラー電極103との間での電界の発生が回避される。
また、液晶変調素子の動作中は、図中に矢印VPPで示される電界が、金属ミラー電極103にフィールド変転ドライブ電位(AC成分)として印加されており、エネルギーポテンシャルはこの電界印加によって歪んでいる。
さらに、電子又はホールの励起確率は、図中に矢印hνで示される光量エネルギーおよびフォトンエネルギーの量によって変動する。液晶変調素子への高強度の光照射を行うことで、電子又はホールの励起確率が変化し、結果として液晶層と液晶配向膜によりトラップされるチャージアップ量が変わる。このため、液晶層へ印加される直流電界成分が変動すると考えられる。
以下、本発明の実施例について、図4以降の図を用いて説明する。図4には、本発明の実施例である液晶表示装置の基本構成であって、液晶変調素子400において相互に対向するITO透明電極102と金属ミラー電極103に印加する電圧を制御する回路の構成を説明している。
201は直流電圧出力回路、202は画像信号出力・反転駆動回路、203は画素電極走査回路、204は制御手段としての液晶変調素子制御回路である。
液晶変調素子制御回路204は、直流電圧出力回路201を制御する。直流電圧出力回路201は、ITO透明電極102に所定の直流電圧を印加する。
また、液晶変調素子制御回路204は、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナー等の画像供給装置500から供給される画像情報に応じた信号を画像信号出力・反転駆動回路202に出力する。
画像信号出力・反転駆動回路202は、液晶変調素子制御回路204からの信号に応じて、画素電極走査回路203に所定の交流電圧を出力する。画素電極走査回路203は、画素電極走査回路203からの交流電圧に応じた交流電圧を金属ミラー電極103に印加する。
これにより、液晶層100の金属ミラー電極103側の端部には、ITO透明電極102側の端部の電圧に対して正の電位差を有する状態と負の電位差を有する状態とが所定周期で変化する矩形波形の交流電圧が印加される。なお、本実施例で各電極又は液晶層に印加する電圧とは、不図示のグランド(0V)を基準とした電位(グランドとの間の電位差)を意味する。また、以下の説明において、液晶層100における金属ミラー電極103側の端部を単にミラー電極側端部といい、ITO透明電極102側の端部を単にITO電極側端部という。
210は液晶変調素子400に照明光hνを照射する光源である。
図11には、金属ミラー電極103およびITO透明電極102を介して液晶層100に生じる実効電界を示している。横軸は時間、縦軸は液晶層の実効電界(電位差)である。金属ミラー電極103を介して液晶層100のミラー電極側端部に与えられる電界は、所定周期αを持った交流電界(実線)であり、ITO透明電極102を介して液晶層100のITO電極側端部に与えられる電界は、直流電界(破線)である。液晶層100に生じる実効電界は、これら交流電界と直流電界との差に応じて発生し、所定周期αで正の極性電界PVと負の極性電界NVとが交互に切り換わる。
ここで、正の極性電界PVと負の極性電界NVは、両電極102,103に与えられる電界に、電極と液晶界面の膜の抵抗による電圧降下や、トラップ電荷等の作り出す微小な電界が全て重畳されたものである。
以下、液晶変調素子制御回路204による直流電圧出力回路201の制御内容、つまりは直流電圧出力回路201を介してITO透明電極102に印加する直流電圧の制御について、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
図4Aには、フリッカが最小となる液晶層100のITO電極側端部の電位(以下、フリッカ最小ITO側電位という)、液晶層100内でのイオン偏在による直流電界およびITO透明電極102に印加する電圧を示している。横軸上の0点は、液晶表示装置における光源の点灯開始時(液晶変調素子への光入射開始時)を示す。図4Bには、図4Aにおける光源点灯時付近を拡大して示している。
図4Aおよび図4B中のグラフAは、液晶層100内にイオン偏在がない場合のフリッカ最小ITO側電位の変動を示している。縦軸の0点(0mV)は、光源点灯後、30分程度で定常化した後のフリッカ最小ITO側電位を示す。このグラフAは、複数の同一構成の液晶変調素子に対して行ったフリッカ最小ITO側電位の測定結果から平均値を求めてプロットしたものである。また、縦軸の0点(0mV)は、光源の点灯状態において液晶層100のITO電極側端部に与えられる電位(以下、通常駆動電圧という)も示している。なお、金属ミラー電極103に印加される交流電圧のピーク値は一定としている。
グラフAから分かるように、光源点灯直後は、前述したチャージアップの影響により、一時的にフリッカ最小ITO側電位が、液晶層100のITO電極側端部の電位(0mV)に対して+200mVと大きな値となる。そして、その後約30分で0mVに収束する。したがって、光源の点灯直後は、比視感度の高い緑光の表示画像中にフリッカが視認される。
ここで、通常の液晶表示装置においては、電源投入後の数十秒(例えば、約20秒)の間、制御回路等の立ち上げ動作を行い、その後光源を点灯する。したがって、電源投入直後は、画像表示がなされない時間帯として図4Bに示すB時間領域が存在する。
本実施例では、この画像表示がなされない時間帯(B時間領域)に、液晶層100におけるITO電極側端部にミラー電極側端部の電位を基準とする−1Vの負電位が発生するように、ITO透明電極102に金属ミラー電極103に対する負電圧を印加する。これを示すのが、図4Aおよび図4B中のグラフCである。なお、このようにITO透明電極102に負電圧を印加すること、つまりはITO透明電極102に印加する電圧を制御することは、ITO透明電極102と金属ミラー電極103との間の電位差を制御することと言い換えることもできる。尚、ここで付与している−1Vの負電位は、少なくとも−0.3V以下、好ましくは−0.5V以下、さらに望ましくは−1V以下であることが望ましい。この負電位は液晶変調素子によってはプラスとマイナスが入れ替わる場合がありえるため、付与する電圧の絶対値が0.3V以上、好ましくは0.5V以上、より望ましくは1V以上としてもよい。
これにより、図3に示すように、液晶層100内の正イオン205と負イオン206をそれぞれ、ITO透明電極102側と金属ミラー電極103側とに偏在させることができる。すなわち、通常は、光源の点灯直前において液晶層100に一様に分布するイオンを偏在させることができる。
このため、一時的に、液晶層100におけるITO電極側端部とミラー電極側端部との間に、イオン偏在による直流電位差(直流電界)を発生させることができる。
その後は、光源の点灯と同時に、ITO透明電極102の電位を、通常の液晶変調素子の駆動時の電圧に設定する。
光源点灯直後の液晶層100に生じる実効電界は、両電極102,103との間の電位差によって生じる電界と、チャージアップによる電荷が作る電界と、図4A,4BのグラフDに示す液晶層100内でのイオン偏在による電界成分とが重畳されたものとなる。
B時間領域においてITO透明電極102に負電圧を印加しない場合は、図4Aおよび図4BにグラフAで示すように、液晶層100のITO電極側端部の電位がフリッカ最小ITO側電位に対して大幅にずれ、フリッカの視認につながる。
しかし、本実施例のようにB時間領域においてITO透明電極102に負電圧を印加することにより、光源点灯後のフリッカ最小ITO側電位は、液晶層100内のイオン偏在による電界成分(グラフD)によってキャンセルされる。この結果、図4Aおよび図4BにグラフEとして示すように、フリッカ最小ITO側電位を液晶層100のITO電極側端部の電位に対して+100mV程度と、フリッカ視認レベルより十分低く抑えることができる。
その後、時間の経過とともに、光照射によるチャージアップによってフリッカ最小ITO側電位は減少する。但し、これと同時に、液晶層100内にて偏在していたイオンも、反転駆動の電界および発生した熱によって、次第に液晶層100内に一様に拡散される。したがって、イオン偏在による電界成分も減少する。そして、この結果、フリッカ最小ITO側電位は、フリッカ視認レベルを越えることなく0mVへと収束する。すなわち、光照射によるチャージアップによって生じる液晶層100内での電位差の過渡的な変動に伴って、イオンが作り出す電界も過渡的に変動し、最終的に、光照射に伴う液晶層の電位差の変動を抑制することができる。
以上の一連のプロセスを経ることにより、光源点灯直後に液晶層100のITO電極側端部の電位とフリッカ最小ITO側電位間の差が過大となることを防止でき、光源点灯直後からフリッカが視認されない品位の高い画像を表示することができる。
図5は、本実施例の液晶変調素子制御回路204のコンピュータプログラムに従った処理手順を示すフローチャートである。
液晶表示装置の電源が投入されると(電源オン)、液晶変調素子制御回路204は、ステップ(図にはSと略記する)1において立ち上げ動作を行う。立ち上げ動作には、表示モードを含む設定データの読み込みと動作設定、電源回路の立ち上げ、冷却ファンの起動等を含む。
次に、ステップ2では、液晶変調素子制御回路204は、ITO透明電極102に前述した負電圧を印加する。これにより、液晶層100内のイオンを偏在させ、液晶層100に直流電界を生じさせる。
次に、ステップ3では、ITO透明電極102への印加電圧を通常駆動電圧に設定する。
そして、ステップ4では、光源(ランプ)を点灯させ、本フローを終了する。
なお、本実施例における光源点灯前でのITO透明電極102への印加電圧の決定方法は、液晶層100内のイオン量やチャージアップ速度などによって異なる。しかし、最終的にフリッカ最小ITO側電位の変動量が、比視感度の高い緑光による画像表示を行う際には200mV以内になるように設定すればよい。さらに、完全にフリッカが視認されないようにするために、100mV以下に設定してもよい。
ここで、本実施例において、液晶層100内でイオンを偏在させるために液晶層100に発生させる直流電位差(印加電圧)の決定方法について説明する。
本実施例で用いるような液晶変調素子においては、光源の点灯後の光照射に伴うチャージアップにより、液晶層100に発生する直流電位差であるフリッカ最小ITO側電位が30分程度の間に過渡的に変動する。その変動量の絶対値をPとする。このPは、液晶層100にイオン偏在を生じさせるための直流電界を与えない場合において発生する電位差である。
次に、液晶層100内のイオンを一方の電極側に偏らせることにより、ITO電極側端部とミラー電極側端部との間に生じる直流電位差の絶対値をQとする。本実施例においては、このPとQの差の絶対値が一定値以下に保たれることにより、フリッカの視認を実質的になくすることができる。
ここで、フリッカの視認閾値に関して説明する。本実施例で用いられる液晶変調素子は、液晶層100での直流電位差と光変調量との関係について、図12の光変調量曲線に示すような特性を持つ。横軸が液晶層100にて発生する直流電位差(図には印加電圧と記す)を、縦軸が光変調量を示す。
チャージアップ等の要因で液晶層100に直流電位差が生じると、図12のT部分のような曲線の微係数が最大となる領域で光変調量が大きく変化するため、フリッカが顕著となる。したがって、T部分でのフリッカ視認がないように、Qを設定することが必要である。
本実施例の液晶変調素子を用いる場合、T部分での光変調量に対して±3.3%以上の光変調量差が発生することでフリッカが視認される。このため、T部分での光変調量+3.3%の光変調量を生じさせるときの液晶層100での直流電位差と、T部分での光変調量−3.3%の光変調量を生じさせるときの液晶層100での直流電位差と間の差の絶対値をRとする。
以上の定義の下で、P,Q,Rのとり得る範囲を規定する。まずチャージアップによる電位差変動によってフリッカが視認される条件として、
P≧R …(3)
が要求される。
さらに、液晶層100内の不純物イオンが片方の電極側に偏ることによって作られる直流電界(直流電位差)の量を規定する条件としては、
|P−Q|<0.7R …(4)
が要求される。(2)式は、フリッカの視認閾値よりも液晶層100で発生する直流電位差が低いという条件を示す。ここで、フリッカの視認は、観察者毎の慣れ等で変わってくることも考慮して、一般的なフリッカ視認の閾値Rよりもさらに小さい量として0.7Rと設定した。Rの具体的数値としては、フリッカを意識せずに観察する場合で200mV、フリッカを意識して観察するならば、前述したT部分の変調量を中心として、±3.3%程度の光変調量に相当する150mVが閾値と考えられる。熟練した観察者ではさらに閾値は下がるが、本実施例では、一般的な視認閾値を考えている。
Pとしては、本実施例の液晶変調素子においては、平均して200mV程度の量が測定される。Qは、これらの数値および式(3),(4)の条件を満たすように決定される。Qの直流電位差を発生させるためにITO透明電極102および金属ミラー電極103間に印加する電圧は、液晶変調素子内部の配向膜の膜質や、不純物イオンの種類、イオン濃度に依存する部分が大きいと考えられ、定式化することが困難である。したがって、電極102,103間への印加電圧と液晶層100内でのイオンの偏り量に相当するBとの関係を実験的に求めた上で、印加電圧を最終的に決定する。
また、本実施例においては、環境温度が一定の条件下での使用を想定しているが、温度条件が異なると、液晶層100内でのイオンの熱拡散速度が異なることが予想される。このため、環境温度に応じてイオン偏在を行わせるための印加電圧(光源点灯前でのITO透明電極102への印加電圧)や印加時間を変更(補正)することが望ましい。
これらのことは、後述する他の実施例でも同様である。
上記実施例1では、液晶表示装置の電源投入後にITO透明電極102に負電圧の印加を開始する場合について説明したが、該負電圧の印加開始を、電源投入前、すなわち前回の電源遮断時から行うようにしてもよい。なお、この場合も、電源投入から光源の点灯前までの間にITO透明電極102に負電圧が印加される点では実施例1と共通する。
図6には、本発明の実施例2である液晶表示装置の液晶変調素子制御回路204によるITO透明電極に対する直流電圧の印加制御の内容を示している。なお、本実施例の液晶表示装置における基本的な構成は実施例1と同じであり、共通する構成要素には実施例1と同一の符号を付す。
図6は、フリッカ最小ITO側電位と、液晶層100内でのイオン偏在による直流電界およびITO透明電極102に印加する電圧を示している。横軸上の0点は、液晶表示装置における光源の点灯時(液晶パネルへの光入射開始時)を示す。図6では、光源点灯時付近を拡大して示している。
図6中のグラフAは、液晶層100内にイオン偏在がない場合のフリッカ最小ITO側電位の変動を示している。縦軸の0点(0mV)は、光源点灯後、20〜30分程度で定常化した後のフリッカ最小ITO側電位を示す。また、この縦軸の0点(0mV)は、画像表示状態において液晶層100のITO電極側端部に与えられる通常駆動電圧も示している。
通常、液晶表示装置の電源遮断時には、ITO透明電極102と金属ミラー電極103の間に電位差が残らないように設定される。本実施例では、この画像表示を行わない電源遮断時から次の電源投入後の光源点灯までの間に、ITO透明電極102と金属ミラー電極103との間に電位差を意図的に印加するよう制御する。
具体的には、電源遮断時に、液晶層100におけるITO電極側端部にミラー電極側端部の電位を基準とする−130mVの負電位が発生するように、ITO透明電極102に金属ミラー電極103に対する負電圧を印加する。これを示すのが、図6中のグラフCである。これにより、図3に示すように、液晶層100内の正イオン205と負イオン206をそれぞれ、ITO透明電極102側と金属ミラー電極103側とに偏在させることができる。このため、図6にグラフDで示すように、電源遮断後に、液晶層100におけるITO透明電極側102の端部と金属ミラー電極103側の端部との間に、イオン偏在による直流電位差(直流電界)を発生させることができる。
ITO透明電極102への負電圧の印加は、次に電源が投入され、光源が点灯される直前まで継続される。このため、光源点灯の直前に、液晶層100にイオン偏在による直流電界を発生させておくことができる。
その後は、光源の点灯と同時に、ITO透明電極102の電位を通常駆動電圧に設定する。
本実施例のように電源遮断後から次の光源点灯直前までの間に、ITO透明電極102に負電圧を印加することにより、光源点灯後のフリッカ最小ITO側電位は、液晶層100内のイオン偏在による電界成分(グラフD)によってキャンセルされる。この結果、図6にグラフEとして示すように、フリッカ最小ITO側電位を液晶層100のITO電極側端部の電位に対して+80mV程度と、フリッカ視認レベルより十分低く抑えることができる。
その後、時間の経過とともに、光照射によるチャージアップによってフリッカ最小ITO側電位は減少する。但し、これと同時に、液晶層100内にて偏在していたイオンも、反転駆動の電界および発生した熱によって、次第に液晶層100内に一様に拡散される。したがって、イオン偏在による電界成分も減少する。そして、この結果、フリッカ最小ITO側電位は、フリッカ視認レベルを越えることなく0mVへと収束する。
本実施例によれば、実施例1と同様に、光源点灯直後において、液晶層100のITO電極側端部の電位とフリッカ最小ITO側電位間の差が過大となることを防止でき、光源点灯直後からフリッカが視認されない品位の高い画像を表示することができる。
図7は、本実施例の液晶変調素子制御回路204のコンピュータプログラムに従った処理手順を示すフローチャートである。
液晶表示装置の電源スイッチがオフされると、液晶変調素子制御回路204は、ステップ11において、光源(ランプ)を消灯し、電源を遮断する。
次に、ステップ12では、液晶変調素子制御回路204は、ITO透明電極102に前述した負電圧を印加する。これにより、液晶層100内のイオンを偏在させ、液晶層100に直流電界を生じさせる。
そして、ステップ13では、ITO透明電極102に負電圧を印加した状態を維持して待機する。
次に、ステップ14で電源スイッチがオン操作されると、液晶変調素子制御回路204は、ステップ15において、所定の立ち上げ動作の後、ITO透明電極102への印加電圧を通常駆動電圧に設定する。
そして、ステップ15において、光源を点灯させ、本フローを終了する。
なお、本実施例でも、実施例1にて説明した式(3),(4)の条件を満足することが望ましい。
上記実施例1,2では、液晶表示装置の電源投入から光源の点灯前までの間に、ITO透明電極102に負電圧を印加する場合について説明した。しかし、液晶表示装置の表示モードとして、液晶変調素子に照射される光のパワーやスペクトルが異なる複数のモードを有する場合に、該表示モードが切り換えられることによってもフリッカ最小ITO側電位が変動する。本実施例は、この表示モード切り換え時におけるフリッカ最小ITO側電位の変動を抑制することを目的としている。
図8は、実施例1,2で説明した液晶表示装置の1つである液晶プロジェクタ(画像投射装置)の光学的構成を示す上面図(一部側面図)である。
3は液晶パネルドライバであり、図3に示した液晶変調素子制御回路204、直流電圧出力回路201、画像信号出力・反転駆動回路202および画素電極走査回路203の機能を有する。該液晶パネルドライバ3は、図3に示した画像供給装置500から入力された画像情報をレッド用、グリーン用およびブルー用パネル駆動信号に変換する。各パネル駆動信号は、反射型液晶変調素子であるレッド用液晶パネル2R、グリーン用液晶パネル2Gおよびブルー用液晶パネル2Bにそれぞれ入力される。これにより、3つの液晶パネル2R,2G,2Bは互いに独立に駆動される。
1は照明光学系であり、図中の枠内の左側にはその上面図を、右側にはその側面図を示している。照明光学系1は、光源ランプ、放物面リフレクタ、フライアイレンズ、偏光変換素子、コンデンサーレンズ等を含み、偏光方向が揃った直線偏光光(S偏光)としての照明光を射出する。
照明光学系1からの照明光は、マゼンタ色を反射してグリーン色を透過するダイクロイックミラー30に入射する。照明光のうちマゼンタ色成分はこのダイクロイックミラーで反射され、ブルー色の偏光に半波長のリタデーションを与えるブルークロスカラー偏光子34を透過する。これにより、図の紙面に平行な方向を偏光方向とするブルー色の直線偏光(P偏光)と、図の紙面に垂直な方向を偏光方向とするレッド色の直線偏光(S偏光)とが生成される。
ブルー色のP偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ33に入射し、その偏光分離膜を透過して、ブルー用液晶パネル2Bに導かれる。また、レッド色のS偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜で反射されて、レッド用液晶パネル2Rに導かれる。
一方、ダイクロイックミラー30を透過したグリーン色の直線偏光光(S偏光)は、光路長を補正するためのダミーガラス36を透過し、次に第2の偏光ビームスプリッタ31に入射する。そして、グリーン色のS偏光は、その偏光分離膜で反射されて、グリーン用液晶パネル2Gに導かれる。
このようにして、レッド用、グリーン用およびブルー用光変調パネル2R,2G,2Bは照明光によって照明される。
そして、各液晶パネルに入射した光は、各液晶パネルに配列された画素の変調状態に応じて偏光のリタデーションが付与されるとともに、該液晶パネルによって反射されて射出する。反射光のうち照明光と同じ偏光方向を有する偏光成分は、照明光の光路を逆に辿って照明光学系1側に戻る。
また、反射光のうち照明光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する偏光成分(変調光)は以下のように進む。P偏光であるレッド用液晶パネル2Rによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜を透過する。次に、レッド色の偏光に半波長のリタデーションを与えるレッドクロスカラー偏光子35を透過してS偏光とされる。そして、該レッド色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32に入射し、その偏光分離膜で反射されて、投射レンズ4に導かれる。
S偏光であるブルー用液晶パネル2Bによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜で反射され、レッドクロスカラー偏光子35をリタデーション作用を受けることなく透過して第2の偏光ビームスプリッタ32に入射する。該ブルー色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜で反射されて、投射レンズ4に導かれる。
P偏光であるグリーン用液晶パネル2Gによる変調光は、第2の偏光ビームスプリッタ31の偏光分離膜を透過して、光路長を補正するためのダミーガラス37を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ32に入射する。該グリーン色のP偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜を透過して、投射レンズ4に導かれる。
こうして色合成された3色の変調光は、投射レンズ4によって被投射面である光拡散スクリーン5に投射される。これにより、フルカラー画像が表示される。
また、本実施例のプロジェクタは、表示モードの切り換え機能を有し、表示モードを切り換えるために、照明光学系1内に光路に対して出し入れ可能なフィルタ38を有する。また、第3の偏光ビームスプリッタと投射レンズ4との間には、光源から液晶パネル2R,2G,2Gを介して光拡散スクリーン5に向かう光を遮断するシャッタ39が光路に対して出し入れ可能に設けられている。
図9には、本実施例のパネルドライバ3(液晶変調素子制御回路)のコンピュータプログラムに従った処理手順を示すフローチャートである。
ステップ21で、ユーザーによって表示モード切換スイッチの操作が行われると、パネルドライバ3は、ステップ22において、フィルタ38を光路内に挿入する。これにより、各液晶パネルへ照射される光のパワーとスペクトルのうち少なくとも一方が変化する。また、パネルドライバ3は、画像投射を一時的に止めるために、シャッタ39を光路内に挿入する。
次に、ステップ23では、パネルドライバ3は、液晶層100におけるITO電極側端部にミラー電極側端部の電位を基準とする+1Vの正電位が発生するように、ITO透明電極102に金属ミラー電極103に対する正電圧を2秒間印加する。
ここで、図10には、各液晶パネルのフリッカ最小ITO側電位と、液晶層100内でのイオン偏在による直流電界およびITO透明電極102に印加する電圧を示している。横軸上の0点は、表示モードの切り換え完了時を示す。
図10中のグラフAは、液晶層内にイオン偏在がない場合のフリッカ最小ITO側電位の変動を示している。縦軸の0点(0mV)は、光源点灯後、20〜30分程度で定常化した後のフリッカ最小ITO側電位を示す。また、この縦軸の0点(0mV)は、画像投射状態において液晶層100のITO電極側端部に与えられる通常駆動電圧も示している。
また、グラフCは、ITO透明電極102に印加される電圧を示す。このグラフCから分かるように、上記ステップ23、すなわち表示モードの切り換え完了前までの切り換え過程において、ITO透明電極102に金属ミラー電極103に対する正電圧が印加される。
これにより、図3に示すように、液晶内の正イオン205と負イオン206がそれぞれ、ITO透明電極102側と金属ミラー電極103側とに偏在する。このため、一時的に液晶層100のITO電極側端部とミラー電極側端部との間にイオン偏在による直流電界が発生する。これを示すのが、図10中のグラフDである。
ステップ24では、ITO透明電極102への印加電圧を通常の液晶変調素子の駆動電圧に設定する。
そして、ステップ25では、シャッタ39を光路外に退避させて光路を開放し、表示モードの切り換えを完了するとともに、切り換え後の表示モード(新モード)での画像投射を開始する。
表示モード切り換え直後の液晶層100の実効電界は、両電極102,103との間の電位差によって生じる電界と、チャージアップによる電荷が作る電界と、図10のグラフDに示す液晶層100内でのイオン偏在による電界成分とが重畳されたものとなる。
表示モードの切り換え過程でITO透明電極102に正電圧を印加しない場合は、図10にグラフAで示すように、液晶層100のITO電極側端部の電位がフリッカ最小ITO側電位に対して大幅にずれ、フリッカの視認につながる。
しかし、本実施例のように、表示モード切り換え過程においてITO透明電極102に正電圧を印加すると、新モードでの画像投射開始時点でのフリッカ最小ITO側電位は、液晶層100内のイオン偏在による電界成分(グラフD)によってキャンセルされる。この結果、図10にグラフEとして示すように、フリッカ最小ITO側電位を液晶層100のITO電極側端部の電位に対して−10mV程度と、フリッカ視認レベルより十分低く抑えることができる。
その後、時間の経過とともに、光照射によるチャージアップによってフリッカ最小ITO側電位は減少する。このとき、液晶層100内にて偏在していたイオンも次第に液晶層100内に一様に拡散される。したがって、イオン偏在による電界成分も減少する。そして、この結果、フリッカ最小ITO側電位は、フリッカ視認レベルを越えることなく0mVへと収束する。
以上の一連のプロセスを経ることにより、表示モード切り換え直後に液晶層100のITO電極側端部の電位とフリッカ最小ITO側電位間の差が過大となることを防止できる。したがって、表示モード切り換え直後からフリッカが視認されない品位の高い画像を投射することができる。
また、表示モードの切り換えによってフリッカ最小ITO側電位(フリッカ最小電極間電位差)が変動する量は、レッド、グリーンおよびブルー用の液晶パネルで異なる。このため、表示モードの切り換え過程において3つの液晶パネル2R,2G,2BのITO透明電極102に印加する正電圧を同じ値とすると、一部の液晶パネルでフリッカが他よりも大きくなり、投射画像の色が変化する可能性がある。
したがって、液晶パネルごとに、表示モードの切り換え過程においてITO透明電極102に印加する電圧を設定し、3つの液晶パネル2R,2G,2Bに対する該印加電圧を独立して制御するようにするのが好ましい。
なお、本実施例においても、実施例1にて説明した式(3),(4)の条件を満足することが望ましい。この場合、Pを、表示モード切り換え後(液晶パネルに入射する光のパワーやスペクトルの変化後)のチャージアップによってフリッカ最小ITO側電位が過渡的に変動する変動量の絶対値と読み替えればよい。
本発明の前提技術としての反射型液晶素子の動作を説明するための概略図。 前提技術としての反射型液晶変調素子の液晶界面層へのチャージアップ現象を説明する図。 本発明の実施例1および実施例2である液晶表示装置の構成を説明する図。 実施例1において液晶変調素子に印加する電圧とフリッカ最小ITO側電位を説明するグラフ図。 図4Aの一部を拡大したグラフ図。 実施例1における制御手順を示すフローチャート。 実施例2において液晶変調素子に印加する電圧とフリッカ最小ITO側電位を説明するグラフ図。 実施例2における制御手順を示すフローチャート。 本発明の実施例3である画像投射装置の概略図。 実施例3における制御手順を示すフローチャート。 実施例3において液晶変調素子に印加する電圧とフリッカ最小ITO側電位を説明するグラフ図。 液晶層に作用する実効電界を説明する図。 液晶変調素子の光変調量曲線を示す図。
符号の説明
1 照明光学系
2R レッド用液晶パネル
2G グリーン用液晶パネル
2B ブルー用液晶パネル
3 パネルドライバ
4 投射レンズ
31〜33,401 偏光ビームスプリッタ
38 フィルタ
39 シャッタ
100 液晶層
101a,101b 液晶配向膜
102 ITO透明電極
103 金属ミラー電極
104 仕事関数調整膜
201 直流電圧出力回路
202 画像信号出力・反転駆動回路
203 画素電極走査回路
204 液晶変調素子制御回路
400 反射型液晶変調素子

Claims (13)

  1. 第1の電極および第2の電極の間に液晶層を有する液晶変調素子と、
    前記液晶変調素子を照明する光源と、
    該液晶表示装置の電源投入から前記光源の点灯前までの間に、前記液晶層に直流電界を発生させるよう前記第1および第2の電極間の電位差を制御する制御手段とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記直流電界を、前記液晶層内でのイオン偏在により発生させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記直流電界を、前記光源の点灯時における前記液晶変調素子のフリッカ最小電極間電位差を下げる方向に発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記制御手段は、該液晶表示装置の電源遮断後から次の電源投入後における前記光源の点灯前までの間に、前記液晶層に直流電界を発生させるよう前記第1および第2の電極間の電位差を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
  5. 第1の電極および第2の電極の間に液晶層を有する液晶変調素子と、
    前記液晶変調素子を照明する光源と、
    該液晶表示装置を、前記光源から前記液晶変調素子に入射する光のパワーおよびスペクトルのうち少なくとも一方が異なる複数の表示モードで動作させる制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記表示モードの切り換え過程において、前記液晶層に直流電界を発生させるよう前記第1および第2の電極間の電位差を制御することを特徴とする液晶表示装置。
  6. 前記直流電界を、前記液晶層内でのイオン偏在により発生させることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  7. 前記直流電界を、切り換え後の表示モードでの表示開始時における前記液晶変調素子のフリッカ最小電極電位を下げる方向に発生させることを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶表示装置。
  8. 前記光源からの光を遮断するシャッタを有し、
    前記制御手段は、前記表示モードの切り換え過程において前記シャッタにより前記光を遮断し、前記液晶層に直流電界を発生させるよう前記第1および第2の電極間の電位差を制御した後、前記シャッタによる前記光の遮断を解除して切り換え後の表示モードでの表示を開始することを特徴とする請求項5から7のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
  9. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
    P≧R
    |P−Q|<0.7R
    但し、Pは前記液晶層に前記直流電界を生じさせない場合において、前記光源の点灯後に変動する前記液晶変調素子のフリッカ最小電極間電位差の変動量の絶対値、Qは前記直流電界により前記液晶層の第1の電極側端部と第2の電極側端部との間に生じる電位差の絶対値、Rは前記液晶層に与えられる電位差であって、該電位差に対する光変調量の変化を示す光変調量曲線の微係数が最大となる光変調量に対して最大光変調量比で+3.3%の光変調量と−3.3%の光変調量を生じさせる電位差間の差の絶対値である。
  10. 以下の条件を満足することを特徴とする請求項5から7のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
    P≧R
    |P−Q|<0.7R
    但し、Pは前記液晶層に前記直流電界を生じさせない場合において、前記光のパワーおよびスペクトルのうち少なくとも一方の変更後に変動する前記液晶変調素子のフリッカ最小電極間電位差の変動量の絶対値、Qは前記直流電界により前記液晶層の第1の電極側端部と第2の電極側端部との間に生じる電位差の絶対値、Rは前記液晶層に与えられる電位差であって、該電位差に対する光変調量の変化を示す光変調量曲線の微係数が最大となる光変調量に対して最大光変調量比で+3.3%の光変調量と−3.3%の光変調量を生じさせる電位差間の差の絶対値である。
  11. 前記制御手段は、前記第1および第2の電極間の電位差および該電位差を与える時間を、環境温度に応じて変更することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
  12. 該液晶表示装置は、前記光源からの光を複数に分離して複数の前記液晶変調素子に導き、該複数の液晶変調素子からの光を合成して画像を表示し、
    前記制御手段は、該液晶表示装置の電源投入から前記光源の点灯前までの間に、前記第1および第2の電極間に与える電位差を液晶変調素子ごとに制御することを特徴とする請求項1から4および9のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
  13. 該液晶表示装置は、前記光源からの光を複数に分離して複数の前記液晶変調素子に導き、該複数の液晶変調素子からの光を合成して画像を表示し、
    前記制御手段は、前記表示モードの切り換え過程において、前記第1および第2の電極間に与える電位差を前記液晶変調素子ごとに制御することを特徴とする請求項5から8および10のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
JP2006001899A 2006-01-06 2006-01-06 液晶表示装置 Pending JP2007183434A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006001899A JP2007183434A (ja) 2006-01-06 2006-01-06 液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006001899A JP2007183434A (ja) 2006-01-06 2006-01-06 液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007183434A true JP2007183434A (ja) 2007-07-19

Family

ID=38339592

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006001899A Pending JP2007183434A (ja) 2006-01-06 2006-01-06 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007183434A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009271243A (ja) * 2008-05-02 2009-11-19 Canon Inc 液晶表示装置
JP2009271295A (ja) * 2008-05-07 2009-11-19 Canon Inc 液晶表示装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009271243A (ja) * 2008-05-02 2009-11-19 Canon Inc 液晶表示装置
JP2009271295A (ja) * 2008-05-07 2009-11-19 Canon Inc 液晶表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100761236B1 (ko) 조광 장치와 촬상 장치 및 그 구동 방법
US7724223B2 (en) Liquid crystal display apparatus
US9142173B2 (en) Liquid crystal display apparatus
JP5072424B2 (ja) 液晶表示装置
JP2009128504A (ja) 液晶表示装置
US8068079B2 (en) Liquid crystal display apparatus
JP5171027B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007183434A (ja) 液晶表示装置
US8154494B2 (en) Image display device with liquid crystal modulation elements
JP5127393B2 (ja) 液晶表示装置
JP2009098530A (ja) 液晶表示装置
JP4743574B2 (ja) 光偏向素子の製造方法および光偏向装置および画像表示装置
JP2012252345A (ja) 液晶表示装置
JP2007206680A (ja) 液晶表示装置及び制御方法
JP5072344B2 (ja) 液晶表示装置、画像表示システムおよび液晶表示装置の制御方法
JP2018013654A (ja) 反射型液晶変調素子