JP2007182581A - 水素添加オレフィン性重合体の製造方法 - Google Patents

水素添加オレフィン性重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重合体溶液または有機化合物溶液の反応に際し、可視光領域の透過/
反射スペクトルの測定技術、および同技術を用い反応制御する方法を提供する。
【解決手段】重合体溶液または有機化合物溶液の反応に際し、可視光領域の透過
量、反射量または吸光度の測定法、ならびに同測定法から得られる数値を用い、
反応を制御する。
【選択図】なし

Description

本発明は重合体溶液またはその他の有機化合物溶液の反応制御に関し、反応状態または反応効率等の測定法と制御に関する。更に詳しくは、重合体溶液またはその他の有機化合物溶液の可視光領域での透過量または反射量または吸光度の測定法および上記測定法から得られる数値からの反応制御に関する。
重合体溶液またはその他の有機化合物溶液の反応制御に関しては、近年では、圧力温度、時間などの間接的な反応条件制御に加えて、直接反応フィード原料組成や反応器出の組成を分析し、その組成を一定の目標値に制御する方法が多く見られる。その代表的な分析法は、ガスクロトグラフや液クロマトグラフ等の物理的成分分離法であるが、分析時間が長く制御サイクルが反応系の因子変動周期に対し長い等の問題があるため、近年では、多成分を同時に1分程度で分析可能な赤外分光分析法(プロセス赤外分析計の選択と応用:Proc Annu Symp Process ind vol46th p99-112 等)や中赤外領域の倍音や結合音の吸収を利用した近赤外分光分析法(特開平5−222178号公報、特開平6−220162号公報、特開平7−97420号公報、特開平10−182802号公報等)等のスペクトル分離で成分分析する手法が主流になってきている。
しかし、上記の赤外または近赤外分光分析は、いずれも有機物官能基の分子振動を利用した組成分析法であり、反応制御もその組成値から行うものである。また、赤外法では、一般に有機物の吸収が著しく、サンプル光路長をミクロン単位にする必要があり、希釈などの前処理などが必要で、装置が高価でかつ分析時間も実質クロマトグラフ並の場合が多い。また、近赤外分光分析においては、上記セル長は長くできるが、成分帰属波長のオーバーラップなどで、測定限界濃度は、含有率1%程度であり、加えて夾雑物変動で値が変動する等の難がある。
一方、金属触媒を利用した反応系等では、触媒と有機成分との相互作用により、反応過程において呈色を示す場合がある。仮に、その呈色反応が有機物反応の律速過程で重要な役割を担っている場合は、上述したフィード液組成や反応性生物の組成分析に比較し、可視域の吸収特性がより反応状態を制御するのに適していることになる。しかし重合体溶液やその他の有機化合物溶液反応において、可視領域の透過や反射スペクトルの測定を検討した例はなく、また、上記溶液体の反応過程での可視スペクトルの変動を数値化し、反応制御を試みている例は従来見られなかった。
本発明は、重合体溶液やその他の有機化合物溶液の反応に際して、可視光領域の透過スペクトルや反射スペクトルの安定な測定技術を提供すると共に、上記スペクトルから反応制御を行う技術を提供するのが目的である。
本発明者らは、前記課題を解決するため、重合体溶液およびその他の有機化合物溶液の反応過程での可視スペクトルの測定の有効性およびその安定測定手段について鋭意研究を重ねてきた。その結果、反応過程で呈色を有し、その呈色反応が反応律速過程に影響を与える場合は可視スペクトルまたは色を数値化することによって反応を制御できることを見出した。また、測定器を使っての可視スペクトルまたは色の測定に際して、光学式測定の精度安定性の上で常に課題となる光学セルの汚れや気泡などの異物による散乱吸収による外乱を除去できる測定法を見出し、本発明に至ったのである。
さらに、本発明は、以下の各項の発明をも包含する。
1)可視スペクトルの数値化とその数値変動とプロセス反応因子との相関関係の明確化。
2)可視スペクトルの数値化と操作因子と制御法の発明。
即ち、本発明は、次の方法によって達成される。
(1)重合体溶液またはその他の有機化合物溶液内の反応において、反応とともに変化する可視光領域の透過法または反射法でえられるスペクトルまたは色を測定し、該スペクトルまたは色を数値化し、反応を制御する方法。
(2)(1)のスペクトルまたは色の測定において、予め定めた全測定範囲を2つ以上のエリアに分割測定し、各エリアにおけるそれぞれの透過量または反射量、或いは透過明度または反射明度を求め、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除き、残りのエリアで平均スペクトル測定をするか、若しくは上記残りのエリアの平均の色を各種表色系で表示することを特徴とする(1)に記載の反応を制御する方法。
(3)(1)のスペクトルまたは色を数値化するに際し、スペクトルの該反応とともに変化する1つ以上の波長の透過量または反射量または吸光度でスペクトルを数値化するか、または色差を求めるか、または表色空間上のベクトルとして表し、該ベクトルの予め定めた基準物質ベクトルの大きさとの差を求めるか、または、該ベクトルの表色空間上の正射影の大きさを1つ以上用いて数値化する事を特徴とする(1)または(2)に記載の反応を制御する方法。
(4)スペクトルまたは色を数値化し、予め作成したスペクトル若しくは色の数値と反応因子との検量式を用い、スペクトル若しくは色の数値の実測値から反応因子を演算し、制御因子を制御することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の反応を制御する方法。
(5)オレフィン性重合体の水素添加反応において、(1)に記載した方法を用い、オレフィン性重合体溶液の可視光領域の透過または反射法でえられるスペクトルまたは色を測定し、該スペクトルまたは色を数値化し、反応を制御することを特徴とする水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
(6)(5)に記載したスペクトルまたは色の測定において、予め定めた全測定範囲を2つ以上のエリアに分割測定し、各エリアにおけるそれぞれの透過量または反射量、或いは透過明度または反射明度を求め、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除き、残りのエリアで平均スペクトル測定をするか、または上記残りのエリアの平均の色を各種表色系で表示することを特徴とする(5)に記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
(7)(5)または(6)に記載のスペクトルまたは色を数値化するに際し、スペクトルの該反応とともに変化する1つ以上の波長の透過量または反射量または吸光度でスペクトルを数値化するか、または色差を求めるか、または表色空間上のベクトルとして表し、該ベクトルの予め定めた基準物質ベクトルの大きさとの差を求めるか、または、該ベクトルの表色空間上の正射影の大きさを1つ以上用いて数値化する事を特徴とする(5)または(6)に記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
(8)スペクトルまたは色を数値化するに際し、予め作成したスペクトルまたは色の数値と有効水素添加触媒量又は、失活水素添加触媒量との検量式を用い、スペクトル若しくは色の数値の実測値から有効水素添加触媒量を演算することを特徴とする(5)から(7)のいずれかに記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
(9)水素添加反応が、メタロセン化合物を触媒として用いる均一系反応であることを特徴とする(5)から(8)のいずれかに記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
(10)水素添加反応がメタロセン化合物を触媒として用いる均一系反応であり、450nmから700nmの範囲の有効又は失活水素添加触媒に相当する吸収帯の透過率若しくは反射率、或いは透過吸収量若しくは反射吸収量を求めることを特徴とする(5)〜(9)に記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
本発明の方法により、スペクトル自動測定方法と自動制御方法を取り入れることにより共役ジエン系重合体の水素添加反応は、少ない水素添加触媒量でも高い水素添加率の維持が可能となった。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明の重合体溶液またはその他の有機化合物溶液としては、反応過程で可視光領域において呈色を有し、その呈色反応が反応律速過程に影響を与える場合はいかなる反応にも適用される。
本発明でいう重合体溶液の反応としては、例えば重合反応、重合体の末端反応、水素添加反応等の反応がある。重合体溶液の反応において、好ましくは分子中に二重結合を有するオレフィン系重合体の水素添加反応に用いられる。
スペクトルまたは色を測定する方法としては、反応器に透明な窓を設ける方法、流路にセルを設ける方法、ファイバースコープ等を用いる事ができる。
スペクトルまたは色の測定には、可視スペクトルメーター、カメラ式スペクトルメーター、カラーカメラ等の測定器を用いることができる。
スペクトルの数値化の方法としては、透過吸収量または、反射吸収量若しくは、透過明度または、反射明度で求める事が出来る。色の数値化の方法としては、L***表色系による方法、XYZ表色系による方法、RGB表色系による方法等、従来公知のいずれの方法でもよい。
本発明において、好ましくは、スペクトルまたは色の測定において、予め定めた全測定範囲を2つ以上のエリアに分割測定し、各エリアにおけるそれぞれの透過量または反射量、或いは透過明度または反射明度を求め、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除き、または更に該エリアに隣接する所定数のエリアも含むように取り除き、残りのエリアで平均スペクトル測定をするか、または上記残りのエリアの平均の色を各種表色系で表示する方法により得られた、スペクトルまたは色を数値化し、反応を制御する方法である。
本発明におけるスペクトルまたは色の測定方法としては、オンラインでの連続可視スペクトルもしくは色の測定が好ましい。ここで、安定な測定値を得るための方法として、透過量または反射量は、或いは透過明度または反射明度は、標準物質の透過量や反射量で規格化された透過率、反射率でもかまわない。また、透過率および反射率から計算される吸光度をもちいてもかまわない。
エリア分割は、測定視野を複数のエリアで分割することであって、均等分割が望ましく、また、分割エリアは多いほど望ましい。通常は、カメラの性能にもよるが、10〜10000エリアに分割することが好ましい。また、各エリアの透過量や反射量は、全波長の平均値や積算値のほかに、特定波長や特定の波長帯や複数の特定波長や波長帯の平均または積算値または測定上の重要波長などに重み付けした重み平均などでもよい。
予め決めた限界値を外れるエリアを取り除く際に、予め決めた限界値すなわち閾値としては、上限値および/または下限値を絶対値として予め決めておくか、上記の分割した各エリアの値の全ての値の平均値を算出し、各エリア毎の平均値からのずれの値を算出し、そのずれの値が予め決めておいた上限値および/または下限値を越えたものとするか、各エリアの上記した光学測定量またはその量より計算される光学量の平均値と分散値をもとめ、平均値から分散値またはその平方根の所定係数倍を上下閾値として選択しても良い。予め決めた限界値を外れるエリアを取り除く際に、更に該エリアに隣接する所定数のエリアも含むように取り除くことができる。隣接する所定数のエリアとしては、例えば、両側1エリアづつの2エリアから、周囲を取り囲む8エリア、さらにその外側の24エリアまでとすることができ、さらに複数のエリアを1群として、そのうちの1エリアが限界値を外れた場合にエリア群を取り除く方法も可能である。
本発明において、好ましくは、スペクトルまたは色を数値化するに際し、反応とともに変化する特定の波長の透過量または反射量または吸光度でスペクトルを数値化するか、または色差を求めるか、または表色空間上のベクトルとして表し、該ベクトルの予め定めた基準物質ベクトルの大きさとの差を求めるか、または、該ベクトルの表色空間上の正射影の大きさを1つ以上用いて数値化する方法である。
色の数値化の方法としては、L***表色系による方法、XYZ表色系による方法、RGB表色系による方法などの色直行座標上のベクトルとして表し、その各軸への正射影の値や色の変化のない安定物質の色を標準色として、その上記色空間上のベクトルとの大きさの差等から、最も反応による変化と相関の高い色表示法を選択することができる。
本発明において、好ましくは、スペクトルまたは色を数値化するに際し、セルが空の状態または溶媒だけをもちいてスペクトルまたは色を数値化し、これを標準スペクトル画像とし、暗黒状態でのスペクトルまたは色を数値化し、これを暗電流スペクトル画像として、安定して数値化することができる。また、その際、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除く方法で数値化することも有効である。
本発明における数値化処理は、好ましくは、下記の方法により行われる。
(各エリアの各波長の透過率)=((サンプル溶液スペクトル画像輝度値−暗電流スペクトル画像輝度値)/(標準スペクトル画像輝度値−暗電流スペクトル画像輝度値))
この処理方法は、標準スペクトル画像と暗電流スペクトル画像により、測定系の校正を行っており、サンプル溶液の透過率測定時の、照明やカメラの温度ドリフトなどの影響を取り除くことが可能である。この校正は測定毎に行うのが好ましいが、特にカメラの置かれている環境の温度変化が小さい場合は、数時間から1日1回程度でも精度上問題はない。
本発明において、好ましくは、スペクトルまたは色を数値化し、予め作成したスペクトルまたは色の数値と(有効触媒量、失活触媒量などの)反応因子との検量式を用い、スペクトルまたは色の数値の実測値から反応因子を演算し、(原料組成、触媒量、温度などの)制御因子を制御することを特徴とする反応を制御する方法である。
反応因子としては、反応律速過程に関係する特定の因子であって、有効触媒量すなわち活性点の量、失活触媒量、反応中間体、生成物など種々の場合がある。
操作因子としては、反応因子の増減に影響を与える特定の因子であって、原料組成、触媒量、温度などの外部から加えられるインプットである。
本発明は、好ましくは、オレフィン性重合体の水素添加反応において、オレフィン性重合体溶液の可視光領域の透過または反射法でえられるスペクトルまたは色を測定し、該スペクトルまたは色を数値化し、反応を制御する方法である。
本発明においてオレフィン性重合体としては、分子中に二重結合を有する重合体であって、共役ジエンの重合体、共役ジエンと共重合可能な単量体との共重合、ノルボルネン系化合物等のシクロオレフィンの開環重合による重合体、及びそれらの誘導体が含まれる。
上記の共役ジエンの重合体、共役ジエンと共重合可能な単量体との共重合体としては、有機アルカリ金属を重合開始剤として重合したもの、Ziegler触媒を重合開始剤として重合したもの、ラジカル開始剤を用いて重合したもの等を含む。
本発明におけるオレフィン性重合体としては、末端に反応性官能基を有するものを含む。
本発明におけるオレフィン性重合体の水素添加方法は、オレフィン性重合体溶液が供給された反応器に水素を供給して、該重合体溶液と水素とを水素添加触媒の存在下に接触させ、オレフィン性二重結合を水素添加反応する方法である。
水素添加触媒としては、ニッケル、コバルト等の遷移金属塩と有機アルミニウム還元剤とを用いるZiegler型水添触媒、チタン、ルテニウム、ロジウム等の有機金属錯体などが用いられる。
本発明は、好ましくは、スペクトルまたは色を数値化するに際し、予め作成したスペクトルまたは色の数値と有効水素添加触媒量又は、失活水素添加触媒量との検量式を用い、スペクトルまたは色の数値の実測値から有効水素添加触媒量を演算することを特徴とする水素添加オレフィン性重合体の製造方法である。検量式を導く方法としては、予め実験的に求めた数値を基に回帰分析法を用いて導入する方法が好ましく用いられる。
本発明において好ましい方法の一つとして、一旦失活水素添加触媒量を定量し、その数値を基に有効水素添加触媒量を演算する方法であってもよい。
本発明は、好ましくは、水添反応が、メタロセン化合物を触媒として用いる均一系反応である水素添加オレフィン性重合体の製造方法である。
本発明の目的の一つは、水素添加オレフィン性重合体の製造に際し、水素添加触媒フィード量が少ない条件で、十分な水素添加率が達成されることにある。
メタロセン化合物としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のメタロセン化合物や、前記メタロセン化合物と還元性有機金属との反応混合物が用いられる。
本発明は、好ましくは、水素添加反応がメタロセン化合物を触媒成分として用いる均一系反応であり、450nmから700nmの範囲の有効又は失活水素添加触媒に相当する吸収帯の透過率または反射率、或いは透過吸収量または反射吸収量を求めその数値を使って水素添加反応を制御することを特徴とする水素添加オレフィン性重合体の製造方法である。
本発明においてより好ましい実施の形態としては、有機アルカリ金属化合物を開始剤とする共役ジエンの重合体、共重合体(以降これらを包括して共役ジエン系重合体と記す)の水素添加反応の制御方法である。
ここで、共役ジエン系重合体とは、共役ジエン重合体又は共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム若しくはテーパード若しくはブロック共重合体又はこれらを任意の割合で含む混合物である。
共役ジエンとしては、炭素数4から20の共役ジエン、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。
本発明で共役ジエン系重合体が共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体である場合、重合体中に含まれる共役ジエンとビニル芳香族化合物との割合は、質量比で5/95〜95/5が好ましい。本発明においては、ビニル芳香族炭化水素含有量が5重量%未満の場合は実質的に共役ジエン重合体とみなす。
本発明に使用される共役ジエン系重合体の数平均分子量は、好ましくは10000〜3000000である。
尚、本発明において、分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めたものである。
また、本発明に使用される共役ジエンとビニル芳香族化合物とのブロック共重合体は、下記一般式のいずれかで表されるブロック共重合体やそれらの任意の混合物を包含する。
(A−B)n、 A−(B−A)n、 B−(A−B)n
[(B−A)n]m+1−X、 [(A−B)n]m+1−X
[(B−A)n−B]m+1−X、 [(A−B)n−A]m+1−X
(上記の式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。又、nは1以上であり、1〜5の整数が好ましい。Xは例えば多価ハロゲン化有機ケイ素化合物、多価ハロゲン化有機スズ化合物、2〜6官能のエポキシ基含有化合物などのカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。mは1以上であり1〜10の整数であることが好ましい。)
共役ジエン系重合体は、例えば有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とする不活性炭化水素溶媒中の重合により得られる。好適な溶媒は、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素である。
共役ジエン系重合体の重合開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物には、脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物等が用いられる。アルカリ金属にはリチウム、ナトリウム、カリウム等が含まれる。好適な有機アルカリ金属化合物は、炭素数1から20の脂肪族又は芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエンまたは共役ジエンとビニル芳香族化合物を重合して共役ジエン系重合体を製造する際に、共役ジエンのビニル構造(1,2または3,4結合)を増やすために第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。
第3級アミン化合物としては一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物が挙げられる。たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等である。
エーテル化合物は、直鎖状エーテル化合物、環状エーテル化合物のいずれでもよい。直鎖状エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
共役ジエン系重合体は、バッチ式重合、連続式重合のいずれの方法によっても得られる。
共役ジエン系重合体は、高分子化又はゲル化の要因となるポリマー鎖間でのメタレーション反応等を抑制する点から、水素添加する前に、そのリビング成長末端を失活剤により予め失活させておくことが好ましい。また、失活させる代わりに分岐状あるいは星状重合体を形成する目的で一分子中に2個以上の官能基を有する多官能性化合物を加えても良い。
失活剤は特に限定されないが、水酸基、カルボニル基等の有機金属化合物と反応してアルコキシ金属類を生成するもの、ハロゲン化合物のようにハロゲン化金属類を生成するものが好ましい。また、場合によりエステル基、ケトン基、アルデヒド基、イソシアネート基、アミノ基、イミノ基、酸無水物基を有する化合物や多価エポキシ化合物、多価ハロゲン化合物も使用できる。これらは重合体のアルカリ金属末端と反応させて重合体末端に極性基を付与したり、カップリングさせ分子量を増大させたり、分岐を生成させたりする目的で利用することもできる。失活剤の例としては、(多価)アルコール類、(多価)フェノール類、有機カルボン酸類などの他、水、水素、炭酸ガスなどが挙げられ、これらは単独で使用しても二種以上混合しても構わない。
水素添加反応における共役ジエン系重合体溶液の溶媒は、不活性炭化水素溶媒であって、共役ジエン系重合体の重合で使用できる溶媒と同様のものが挙げられる。
水素添加反応における共役ジエン系重合体溶液中の重合体の濃度は、水素添加された重合体と溶媒を分離する後工程のエネルギー負荷、生産コストの点から、5wt%以上が好ましく、また、水素、水素添加触媒などとの混合性や伝熱性の点から、40wt%以下が好ましい。
本発明は、水素添加触媒としてメタロセン系化合物を用いる場合に効果的である。メタロセン系水素添加触媒は、配位子として同一又は異なる2個の(置換)シクロペンタジエニル基を持つチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の有機金属化合物であり、好ましくは還元性の有機金属化合物、例えばアルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルカリウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム等と用いられる。
メタロセン系化水素添加触媒の中でも、チタノセン系触媒が好ましい。チタノセン系触媒を用いる水素添加方法としては、例えば、チタノセン化合物とトリメチルアルミニウムのメタラサイクル化合物であるTebbe試薬によるオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマ−中のオレフィン性二重結合を水素添加する方法(特開平11−71426号公報)、チタノセン化合物を、特定された量のリチウムアルコキサイトと組み合わせオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマ−中のオレフィン性二重結合を水素添加する方法(特開平1−275605号公報)等が好ましく、また水素添加条件も、この様な水素添加触媒に合わせた公知の方法を用いることができる。
本発明における水素添加反応は、バッチ式、連続式いずれの方法で行ってもよい。
本発明における水素添加触媒の添加量は、オレフィン性不飽和基を効率よく水素添加する点から、オレフィン性不飽和基含有重合体100g当たり0.001ミリモル以上から5ミリモル以下の添加量が好ましい。より好ましい触媒添加量は、重合体100g当たり0.002ミルモルから1ミリモルである。
水素添加触媒は、一般に溶液の形で反応器に供給される。溶媒としては、水素添加の際に悪影響を与えないものであればいずれでも良く、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類が用いられる。
水素添加触媒はオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と別々に水素添加反応器に供給しても良いし、水素添加触媒の溶液を予めオレフィン性不飽和基含有重合体溶液あるいはリサイクルされる水素添加された重合体溶液と混合した後、反応器に供給することもできる。
以下本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例で使用した共役ジエン系重合体の物性の測定方法、共役ジエン系重合体及び水素添加触媒の調製例を以下に示す。
1)共役ジエン系重合体の物性測定
1−1)スチレン含量:紫外線分光光度計(島津製作所社製 UV2450)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
1−2)数平均分子量:GPC(島津製作所社製、型式LC−10AD)で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた数平均分子量である。
1−3)ビニル結合及び水素添加率:核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
2)共役ジエン系重合体の調製例
攪拌機及びジャケット付きのオ−トクレ−ブを洗浄,乾燥,窒素置換し,予め精製したスチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し,70℃で1時間重合した後,予め精製したブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間,さらにスチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。得られたブロック共重合体は、スチレン含量が20wt%,ポリプタジエン部の1,2ビニル結合量が40wt%、数平均分子量が10万であるブロック共重合体(以下共役ジエン系重合体−1と呼ぶ)であった。
3)水素添加触媒の調製例
水素添加触媒は、下記の方法で調製した溶液を使用した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させTebbe試薬とした。
[実施例1]
1)共役ジエン系重合体−1の溶液に重合停止剤としてメタノールの添加量を変えてリビング末端を失活させた後、一定量の水素添加触媒を添加し水素添加反応を行ったところ、水素添加反応終了後のポリマー溶液が濃く発色する場合とほとんど発色しない場合とがある事が認められた。この発色度合いを数値化した値と、オレフィン性二重結合の水素添加反応開始から90分後の水素添加率の関係について示す。
具体的には、水素添加反応終了後のポリマー溶液を予め充分に乾燥後、不活性ガスで置換した液体固定セル中にサンプリングし、溶媒として使用したシクロヘキサンを標準色として透過法にて代表的表色系であるL***表色系のL*値、即ち明度で数値化した。同時に、オレフィン性二重結合の水素添加率を測定した。
図1にL*値(明度)と水素添加率の関係を示す。図1より、L*値が小さい(即ち色が濃い)状態では水素添加効率が低くL*値が大きくなるに従って水素添加効率が上昇することが判る。
2)共役ジエン系重合体−1の溶液に重合停止剤のメタノールの添加量が完全に不足となる条件でリビング末端を失活させた後、水素添加触媒の添加量を変えて添加し水素添加反応を行い、1)と同様の方法で水素添加反応終了後のポリマー溶液の色と、オレフィン性二重結合の水素添加反応開始から60分後および90分後の水素添加率を測定した。
表1に水素添加触媒の添加量、L*値(明度)、水素添加率を示す。重合停止剤のメタノール量が不足した条件での水素添加反応は水素添加触媒の添加量を増やした条件でも反応途中で水素添加触媒が失活し、適正な量の重合停止剤が添加されないと反応が完結しないことが判る。
図2に表1より得られたL*値(明度)と失活水素添加触媒量の関係を示す。この図よりL*値の低下は、重合停止剤の不足量により失活した水素添加触媒量に対応することが判る。すなわち、L*値(明度)が低い場合は、重合停止剤が不足した状態であり、重合停止剤の不足量に従い失活水素添加触媒量が増加し、水素添加触媒の活性が低下するために、水素添加効率が低下することが明らかとなった。
水素添加反応における反応活性は、投入水素添加触媒量から失活水素添加触媒量を差し引いた有効水素添加触媒量で決定されるため、水素添加触媒の失活をできるだけ抑える事が重要である。
3)色を数値化して反応を制御する方法を示す。
上記結果よりL*値を測定してその値が所定の値より大きい場合は、重合停止剤の添加量を所定量増やすフィードバック制御により失活水素添加触媒量を最小限度に抑え水素添加触媒の反応活性を最大限に保つことが可能である。
反応制御の例として、図2のL*値(明度)と失活水素添加触媒量の関係図よりL*値(明度)が95程度で失活水素添加触媒量がほぼゼロとなる。しかし、L*値は95付近になると変化しなくなる事から、重合停止剤が逆に過剰となり水素添加率が下がる可能性があるため、本実施例ではL*値の制御目標を94とした。
共役ジエン系重合体−1の溶液に重合停止剤としてメタノールを添加してリビング末端を失活させた後、一定量の水素添加触媒を添加し水素添加反応を行った所、1)と同様の方法で測定した水素添加反応終了後のポリマー溶液のL*値は91程度であった。
次に、重合停止剤の投入量をフィードバック制御した以外は上記と同じ条件で水素添加反応を行い、1)と同様の方法で測定した水素添加反応終了後のポリマー溶液のL*値は94であった。
更に、重合停止剤の投入量をフィードバック制御し、水素添加触媒添加量を半分に下げた以外、上記と同じ条件で水素添加反応を行い、1)と同様の方法で測定した水素添加反応終了後のポリマー溶液のL*値は94であった。
以上の様に、L*値を94となるように重合停止剤の添加量をフィードバック制御することで、従来の半分の水素添加触媒量で従来同様の高い水素添加率を維持する事が可能となった。
尚、L*値以外の色差で制御した場合も同様の結果が得られた。
[実施例2]
スペクトルまたは色を数値化して共役ジエン系重合体の水素添加反応を制御する方法として、更に有効な可視スペクトルの数値化の方法と自動制御法について示す。
本実施例で用いた分光器は、川鉄テクノリサーチ社提供のカメラ方式の分光器であるインスペクタ−を用いて行った。
本カメラ式分光器は、測定部を480エリアに分割し、各エリアそれぞれについて、約380nm〜800nm間を640分割で分光する。出力は、480エリア640波長の480×640の画像(以下、この画像をスペクトル画像と呼ぶ)として得られ、各エリアの各波長の透過強度は輝度として出力される。
図3に測定系及び装置構成の例を示す。
測定系は、2が光源であり、3が照射用光ファイバーであり、4が光ファイバープローブで、5がサンプルセルである。サンプルセルを透過した光は、4の受光側の光ファイバープローブで受光し、6の受光用イメージング光ファイバーにて受光光を伝送し、1の分光器にて分光する。
測定方法は、測定を安定化するために、先ずセルが空の状態で標準透過量を測定する。場合によっては、溶媒等をセルに充液した状態で測定しこれを標準透過量としても良い。この場合透明または色の安定したものであれば特に制約は無い。10のコンピュータにて標準スペクトル画像取得完了後、カメラの温度ドリフトを校正するために、7のカメラシャッターを閉じ、その状態でのスペクトル画像(以下暗電流スペクトル画像と呼ぶ)を取得する。暗電流スペクトル画像取得完了信号を10のコンピュータに送ると、8のバルブを自動操作し、9の反応器よりポリマー溶液を5の測定セルに流入させ、前記標準液測定と同様の方法にて、サンプル溶液スペクトル画像を取得する。
測定した3つスペクトル画像、すなはち、標準スペクトル画像、暗電流スペクトル画像、サンプル溶液スペクトル画像から以下の処理法にて、480エリア各波長の透過率の計算を行った。また、標準スペクトル画像、暗電流スペクトル画像による校正はサンプルの測定毎におこなった。
(各エリアの各波長の透過率)=((サンプル溶液スペクトル画像輝度値−暗電流スペクトル画像輝度値)/(標準スペクトル画像輝度値−暗電流スペクトル画像輝度値))
次に480エリアの各波長の透過率から、サンプル溶液の吸光度スペクトルを演算する方法について示す。
スペクトルを測定する際、場合によってはセル内に充液したサンプル溶液中に気泡や異物が混入する場合がある。この影響を取り除くため前処理として、以下の画像処理をおこなった。
図4は、重合体溶液スペクトル画像の例である。縦軸は測定位置を示し480のエリアに分割して測定している。横軸は波長軸を示し、480のエリアそれぞれについて、可視透過光を640波長に分割分光しており、各エリア、各波長の透過強度は、輝度(明るさ)で表される。
測定の際泡等の異物が存在する場合、散乱により、図4に示すように波長方向全体に黒い線として現れる。この黒い異物部を予め画像処理にて計測範囲から除去する。除去方法は、図4から直接2値化処理して取り除いても良いが以下に示す処理法の方がデーターが安定する。
先ず、測定位置を分割した480エリアをさらに波長軸で640波長に分割分光したそれぞれのエリアについて、透過率または、L*値(明度)を測定する。
次に波長軸で640波長に分割分光した各エリアについて、位置分割した480エリアの平均透過率値または、平均L*値を求める。
図5に図4を上記の方法で処理した位置分割全エリアの平均透過率と各エリアの透過率を示す。
位置分割した全エリアの平均透過率の±3%の間に閾値を設け、その上閾値以上、下閾値以下になった位置エリアのデーター及びそのエリアの両側5エリアを加えて取り除き残りのエリアで透過率を再計算した。その際、標準スペクトル画像、暗電流スペクトル画像においても同じエリアを取り除いた。
再計算した透過率を吸光度に変換(−log[透過率])し、波長方向に波長毎に平均化することで泡や異物の存在しない溶液そのものスペクトルを得ることが出来る。処理の順番として、透過率をエリア平均した後、吸光度スペクトルに変換することも可能である。
上記可視スペクトルメーターを用いて水素添加反応を制御した実施例を示す。
図6に、可視スペクトルの測定例を示す。図6は、共役ジエン系重合体−1に所定量の水素添加触媒を添加し人為的に重合停止剤が不足した状態から水素添加反応をスタートして、重合停止剤の添加量を、逐次増やしたときの重合体溶液の可視スペクトル変化を示した。
570nm近傍に吸収ピークが認められるが、重合停止剤の添加量を増やすに従い同ピークの吸収が低くなっている。この事から、570nmの吸収ピークは、重合停止剤不足で失活した水素添加触媒量と対応していることが判る。制御値となる570nmにおける吸光度は、570nmにおける吸光度を750nmにおける吸光度でベースライン補正した値を採用した。
次に、水素添加触媒の添加量を変化させて、それぞれの条件下で重合停止剤の添加量を変化させ水素添加反応を行い重合体溶液の可視スペクトルと、水素添加率を測定した。その結果、図7に示すように、水素添加率に対し570nmにおける吸光度を水素添加触媒量で除し正規化した値(以下P値と呼ぶ)は、上に凸の関係があり0.0006で最大水素添加率を示し、この値を制御目標値(Pv値)とした。
操作因子である重合停止剤の過不足量もP値で整理する事ができ、図7示した関係にある。図7は理論的には放物線型曲線となると推定されるが、実際に使用するのは、当量点近傍の直線部分のみである。
図7、図8の相関図を用いての自動制御法について示す。
図9に制御ブロックの一例を示す。制御の流れとして、(1)水素添加反応器内のポリマー溶液の可視スペクトルを測定し、570nmにおける吸光度を求める。(2)570nmにおける吸光度からP値を演算する。その際、P値の分母である水素添加触媒濃度は、水素添加触媒の添加量操作履歴から一時遅れ系で近似計算して求める。)(3)求めたP値と制御目標値(Pv値)とのずれを図7、図8の相関図を使って求め、操作因子である重合停止剤の過不足量を演算する。(4)重合停止剤の操作量をフィードバック制御する。(5)(1)水素添加反応器内の可視スペクトルを測定。重合開始触媒添加量、不純物量の変化等、外乱による変動に対応する。
Figure 2007182581
実施例1におけるL*値(明度)と水素添加率の関係を表す図である。 実施例1におけるL*値(明度)と失活水素添加触媒量の関係を表す図である。 実施例2における、測定系及び装置構成の概念図である。 実施例2における、重合体溶液スペクトル画図の例である。 位置分割全エリアの平均透過率と各エリアの透過率の関係を表す図である。 実施例2における、可紫スペクトルの測定例である。 P値と水素添加量の関係を表す図である。 操作因子過不足量とP値の関係を表す図である。 制御ブロックの一例を示す概念図である。
符号の説明
1 分光器
2 光源
3 照明用光ファイバー
4 光ファイバープローブ
5 サンプルセル
6 受光用イメージング光ファイバー
7 カメラシャッター
8 バルブ
9 反応器
10 コンピュータ

Claims (4)

  1. 水素添加オレフィン性重合体の製造方法であって、オレフィン性重合体の水素添加反応において、予め定めた全測定範囲を2つ以上のエリアに分割測定し、各エリアにおけるそれぞれの透過量または反射量、或いは透過明度または反射明度を求め、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除き、残りのエリアで平均スペクトル測定して反応を制御する工程を含むことを特徴とする水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
  2. 水素添加オレフィン性重合体の製造方法であって、オレフィン性重合体の水素添加反応において、予め定めた全測定範囲を2つ以上のエリアに分割測定し、各エリアにおけるそれぞれの透過量または反射量、或いは透過明度または反射明度を求め、予め決めた限界値を外れるエリアを取り除き、残りのエリアの平均の色を各種表色系で表示して反応を制御する工程を含むことを特徴とする水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
  3. 水素添加反応が、メタロセン化合物を触媒として用いる均一系反応であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
  4. 水素添加反応がメタロセン化合物を触媒として用いる均一系反応であり、450nmから700nmの範囲の有効又は失活水素添加触媒に相当する吸収帯の透過率または反射率、或いは透過吸収量または反射吸収量を求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水素添加オレフィン性重合体の製造方法。
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