JP2007179608A - 情報処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外乱振動や装置運転姿勢の変動に対する安定性の向上したプローブ構造のストレージを提供する。
【解決手段】メディア部材、あるいはプローブ搭載カンチレバーアレイ部材の支持構造として、X−Y方向に電磁アクチュエータで駆動し、個々のカンチレバーにはそれぞれZ方向駆動用アクチュエータを設け、メディアとプローブとの相対的な位置決めを行う。さらに、可動部材に少なくとも3箇所以上の電磁極を具備し、その部材を二つの固定部材の間に配置し、固定部材の電磁極が可動部材の電磁極と互いに対向する位置に配置し、互いに反発あるいは吸引させることにより、可動部材を支持する。
【効果】アクチュエータがX−Y二次元方向に動く際のZ方向振れを一定値以下に抑え、サーボ帯域を高める。
【選択図】 図2
【解決手段】メディア部材、あるいはプローブ搭載カンチレバーアレイ部材の支持構造として、X−Y方向に電磁アクチュエータで駆動し、個々のカンチレバーにはそれぞれZ方向駆動用アクチュエータを設け、メディアとプローブとの相対的な位置決めを行う。さらに、可動部材に少なくとも3箇所以上の電磁極を具備し、その部材を二つの固定部材の間に配置し、固定部材の電磁極が可動部材の電磁極と互いに対向する位置に配置し、互いに反発あるいは吸引させることにより、可動部材を支持する。
【効果】アクチュエータがX−Y二次元方向に動く際のZ方向振れを一定値以下に抑え、サーボ帯域を高める。
【選択図】 図2
Description
本発明は、情報処理装置に関し、特に、大容量の電子データを高速に超高密度で情報記録することが可能な超小型の情報記録用ストレージ装置に関するものである。
インターネットやLANに代表される情報通信ネットワークから、最近では家庭用電気製品や乗用車にまで、コンピュータをキーデバイスとした情報処理システムが急速に普及している。それらのシステムには電子情報を、一時的あるいは半永久的に格納するストレージ装置が必須のデバイスで、電子情報の大容量化にともなって、超小型で高速な大容量ストレージ装置の必要性が年々高まっている。
従来の情報ストレージ技術には磁気記録と光記録があるが、記録密度向上の要求に対して、限界が見えてきている。磁気記録においては、磁界を用いる磁化反転メカニズムに必要な磁性材料の体積限界、光記録においては、光の回折限界のため、ある一定値以上の記録密度向上には限界がある。特に、磁気記録においては、GMRヘッド実用化以降、年率100%の増加率で増大してきた面記録密度の増加傾向に歯止めがかかってきている。
プローブストレージ技術は、以上の従来方式の限界を超える記録方式として期待されているストレージ技術で、超小型の探針(プローブチップ)を物体に近接・走査させ、種々の物理量を原子分子レベルの空間分解能で検出する走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)の原理を利用するもの、情報記録単位として、究極の単原子から物質の量子効果を利用するものや、プローブ構造を用いた超小型機械的記録方式などがある。
SPMの原理を利用したストレージ技術としては、例えば、US特許5808977に記載のように、SPMの一種である磁気力プローブ顕微鏡(MFM)の原理を利用して、磁区構造をプローブチップで記録・検出する方式がある。本方式は、磁性材料からなるプローブチップが磁気記録メディアに書き込まれた磁区を横切る際に受ける磁気力による変位を検出する、高密度記録が期待される記録方式である。
プローブ構造を用いた機械的記録方式としては、例えば、IEEE Transactions on Nanotechnology Vol.1 (2002) 39-55、あるいは、US特許5835477に記載のように、樹脂材料からなる記録メディアに、一定温度に加熱されたプローブチップを押し付け、微細な窪みを形成することで情報記録を行う方式が考案されている。本方式では、プローブチップが搭載されたカンチレバーが多数配列されたカンチレバーアレイ部材とメディアが対向し、メディアが多軸のアクチュエータにより移動することにより、ひとつのプローブチップがメディアのある一定面積の領域(ピクセル)に情報を記録するとともに、個々のプローブチップが独立してそれぞれに対応するピクセルに並列処理で記録できるようになっている。本技術は、ストレージ装置としての具体的構成がほぼ備わっており、並列処理によるデータ転送速度の向上やプローブ構造の小型化による記録密度の向上も期待できる。
プローブ構造を用いた別方式のストレージ装置としては、特開平10−40597に記載のように、カンチレバーアレイ部材と記録メディア部材とアクチュエータが基板の積層接合により階層構造に構成されたメモリー装置が考案されている。本方式では、プローブとメディアの間隔を吸引電極で制御する構造が示されている。
しかしながら、US特許5808977に記載のような従来技術の場合には、磁性材料からなるプローブチップから磁気記録メディアに十分な強さの磁界を印加して情報を書き込むための磁界発生機構や、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持するアクチュエータ、さらに、情報のデータ転送速度を高めるための工夫などに課題が残っている。そのため、プローブチップ/メディア間ギャップの変動により情報書き込み読出しの際のS/N比及び記録エラー発生率の確保に限界があった。
また、IEEE Transactions on Nanotechnology Vol.1 (2002) 39-55、あるいは、US特許5835477に記載のような従来技術の場合には、アクチュエータにより駆動されるメディア部材の位置決め精度の確保を狙って、メディア部材が柔軟な樹脂からなる柱で支持されているため、メディア駆動の際に樹脂がダンパとして作用し、その結果、共振周波数が低下するためデータ転送速度の向上に限界があった。この従来例では、その限界に対する解決策として、プローブチップが搭載されたカンチレバーを大規模に多数集積配置したカンチレバーアレイ構造を用いたマルチプローブ並列処理を用いることで、データ転送速度を向上させる対策を講じているが、その結果、カンチレバーアレイ部材には大量の配線とダイオードスイッチを搭載することになり、配線間静電容量による高周波信号の減衰や製造歩留まりの限界によるビット欠落などの新たな問題があった。
また、特開平10−40597に記載の従来技術の場合には、メディア部材の支持に基板材料のSiを使用しているので、共振周波数低下の要因は克服されているが、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持する配慮がなされていないので、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱に対するギャップのずれが、情報書き込み読出しの際のエラー要因になるという問題が残されていた。
前記問題点は、以下のような手段を講じることにより効果的に解決できる。
情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを接近させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、前記メディア部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記カンチレバーアレイ部材に対して、前記情報記録用メディアを、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つようにサーボ支持するため、
前記メディア部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに、前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記メディア部材を前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材との間に配置することにより、
共振周波数の低下を防ぎデータ転送速度の向上が可能になる。さらに、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持することができるようになり、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱が、情報書き込み読出しの際のエラーを誘起するという問題が効果的に解決できる。
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、前記メディア部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記カンチレバーアレイ部材に対して、前記情報記録用メディアを、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つようにサーボ支持するため、
前記メディア部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに、前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記メディア部材を前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材との間に配置することにより、
共振周波数の低下を防ぎデータ転送速度の向上が可能になる。さらに、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持することができるようになり、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱が、情報書き込み読出しの際のエラーを誘起するという問題が効果的に解決できる。
また、情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを接近させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、前記カンチレバーアレイ部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記情報記録用メディアに対して、前記カンチレバーアレイ部材を、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つように支持するため、
前記カンチレバーアレイ部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記メディア部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記カンチレバーアレイ部材を前記メディア部材と前記固定磁極部材との間に配置することによっても、
共振周波数の低下を防ぎデータ転送速度の向上が可能になる。さらに、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持することができるようになり、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱が、情報書き込み読出しの際のエラーを誘起するという問題が効果的に解決できる。
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、前記カンチレバーアレイ部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記情報記録用メディアに対して、前記カンチレバーアレイ部材を、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つように支持するため、
前記カンチレバーアレイ部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記メディア部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記カンチレバーアレイ部材を前記メディア部材と前記固定磁極部材との間に配置することによっても、
共振周波数の低下を防ぎデータ転送速度の向上が可能になる。さらに、プローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持することができるようになり、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱が、情報書き込み読出しの際のエラーを誘起するという問題が効果的に解決できる。
また、上記の情報処理装置において、前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材に搭載する電磁極を、前記X−Y平面とほぼ直角な方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石として、前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材を両対向面から保持する二部材に搭載する電磁極を、前記駆動部材と逆方向あるいは同方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石とすることにより、薄膜形成プロセスによる簡単な構造で、上記の課題を解決することが出来る。
あるいは、上記の情報処理装置において、前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材に搭載する電磁極を、前記X−Y平面とほぼ平行な方向の磁化方向を有し、かつ前記X−Y平面内で隣り合う電磁極の磁化方向が互いにほぼ直交する電磁コイルか永久磁石として、前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材を両対向面から保持する二部材に搭載する電磁極を、前記駆動部材と同方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石とすることにより、可動部材に多くの電磁コイルを搭載する必要性がなくなり、コイル発熱による部材の温度上昇が発生することなく、上記の課題を解決することが出来る。
以上のようなプローブストレージ装置の構成を採用することにより、アクチュエータがX−Y方向に動く際のZ方向振れを一定値以下に抑え、サーボ帯域を高めることで、大容量ストレージで問題となるデータ転送速度の低下を解決し、動作速度の早いストレージ装置を提供することができる。また、プローブチップと情報記録用メディアの距離を高精度に維持することが出来るようになり、情報書き込み読出しの際のS/N比を高め、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱があっても、記録エラー発生率を効果的に低減できる、特にモバイル使用に適した大容量ストレージ装置を実現することが可能となる。
以下、本発明に関する従来例と実施例を図に基づいて説明する。
図16は、従来のマルチプローブストレージ装置を示す模式的断面図である。
図16に示すように、従来のマルチプローブストレージ装置では、電子情報の書き込み読み出し用プローブチップを複数個有するカンチレバーアレイ部材1が静止系に固定されており、カンチレバーアレイ部材1に対してほぼ平行に、かつ、ある一定の間隔を置いて情報記録用メディア部材2(以下、単にメディア部材と呼ぶ)が配置される。カンチレバーアレイ部材1には、カンチレバーアレイ10と固定電極と吸引電極13が配置されている。その固定電極に近接して、メディア部材2には、可動電極が組み込まれるとともに、支持バネ21により静止系に支持されている。
本構成において、固定電極と可動電極間に電圧を印加することにより発生した電界により、メディア部材2が移動しようとする。ところが、メディア部材2は、支持バネ21により上下方向(Z方向)に拘束されているので、Z方向に若干変位するが、主に左右方向(X−Y方向)にずれるように変位する。電子情報を書き込む場合は、選択されたプローブチップに電圧が印加されるとともに、吸引電極13にも電圧が印加されることにより、メディア部材2がZ方向にわずかに変位するように駆動され、メディア部材2にプローブチップが押し付けられ、メディアの誘電特性が変化するようにする。
本従来例では、課題の項で述べたように、アレイ状に並ぶプローブチップ/メディア間ギャップを微小な一定距離に維持する配慮がなされていないので、装置に加わる衝撃やモバイル使用の際の保持姿勢などによる外乱に対するギャップのずれが、情報書き込み読出しの際のエラー要因になるという問題が残されていた。さらに、X−Y方向の駆動とZ方向の吸引を相互に独立して制御する構成を採用していないので、相互の干渉を常時相殺するための複雑な制御系が必要になるという問題もあった。
図1は、本発明の第1の実施例であるプローブを用いた情報処理装置の全体構成を示す図((a)は内部平面図,(b)は縦断面図)である。
図1((a),(b))に示すように、本実施例のプローブを用いた情報処理装置は、主に、筐体9の中に、記録再生ユニット5、実装基板6、ステージコントローラ61、信号処理回路62、ケーブルシート7、コネクタ8等を有する構成になっている。記録再生ユニット5は、主に、カンチレバーアレイ部材1、メディア部材2、固定電磁極部材3等を有し、更にメディア部材2上に設置されたメディアをX−Y方向に駆動する電磁アクチュエータを有する構成になっている。この記録再生ユニット5は、除振台4を介して筐体9に支持されている。
図2、図3及び図4に本発明の第1の実施例になる記録再生ユニットの詳細を示す。
図2は本実施例1の構成を説明する分解斜視図である。図2に示すように、カンチレバーアレイ10が搭載されたカンチレバーアレイ部材1が静止系に対して固定され、カンチレバーアレイ部材1に設けられた個々のカンチレバーがそれぞれ個別にZ方向に駆動され、情報記録用メディア部材2上に設置されたメディア20が、固定電磁極部材3によりX−Y方向に駆動される配置を採用している。
図3は本実施例1の構成を説明する縦断面図である。カンチレバーアレイ部材1にはカンチレバーアレイ10が、メディア部材2には支持バネ21に支持されたメディア20があり、各カンチレバーが個別にメディア側に変位し、カンチレバーの先端に位置するプローブにより情報記録が行われる。また、メディア部材2のメディア20と反対側に可動電磁極22が、固定電磁極部材3には固定電磁極30があって、両者間の相互作用によりメディア20に図における左右方向(X−Y方向)の駆動力が作用しストロークが発生する。また、上記3部材1,2,3のそれぞれに、支持するための支持電磁極23が配置されて、それら相互の反発・吸引力を適宜制御することにより、メディア20がX−Y方向に駆動された時に、メディアが図における上下方向(Z方向)にずれないように安定に支持される。
図4は本実施例1の各電磁極の構成を説明する分解図である。図4(a)(b)において、メディア部材2の可動電磁極として、可動電磁コイル27が4個、固定電磁極部材3の固定電磁極として、固定永久磁石36が4個対向して配置される。さらに、図4(b)において、メディア部材2に支持電磁極232が、図4(c)において、固定電磁極部材3に支持電磁極233が各4個対向して配置される。
本発明の第1の実施例における支持電磁極23の作用について、図5を用いて説明する。図5に支持電磁極23の相互の配置例断面図を示す。図5(a)に実際の相互位置を模式的に示す。各支持電磁極は電磁コイルであり、それぞれに電流を流すことにより、磁力線234を発生させることが出来る。ここで、可動側支持電磁極232が固定側支持電磁極231及び233で挟まれるように配置され、さらに可動側支持電磁極232が他の電磁極に比べてX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように、より小さい直径のコイルで構成されている。電磁コイルによる磁力線は図5(b)に示すように各コイルが十分離れている場合には、それぞれ単独に上下対象の円を描くが、図5(a)のように電磁コイルに流す電流の向きを対向するコイル同士が反発する磁極を発生させる向きに設定した状態で両コイルを十分接近させると、近接する磁力線同士が反発し合い、図5(a)に示すような反発力が発生する。その結果、両側から挟まれた可動側支持電磁極232には、互いに逆向きの電磁力が作用し、両電磁力が等しくなる位置で均衡を保つようにすることが出来る。さらに、可動側支持電磁極232が他の上下電磁極に比べて小さい直径のコイルであるために、X−Y方向に対してもそのずれを規制する方向の力が働く。これらの可動電磁極を各部材の少なくとも3箇所以上の場所に設置すると、各コイルに流す電流を制御することにより可動部材の面の位置を上下方向に対して所望の位置に支持することが可能になる。
次に、本発明の第1の実施例において、可動電磁コイル27と固定永久磁石36によりX−Y方向の駆動力が作用する原理について、図6を用いて説明する。図6は一対の上記両電磁極構成を模式的に表現した図である。図において下側にある永久磁石から発生する磁界の中にあるコイルに電流を流すと、電流素片ベクトルIと磁束密度ベクトルBのベクトル積の方向にローレンツ力Fが働くことが、ビオサバールの法則として知られている。図6に示すような、磁極配置を採用することにより、可動電磁コイル27の長辺の電流素片に作用するローレンツ力が重畳されて効率よく駆動力が発生する。
図7は、本発明の第2の実施例であるプローブを用いた情報処理装置の全体構成を示す図((a)は内部断面図,(b)(c)は分解平面図)である。
図中、各四隅にある支持電磁極232、233は、対向する電磁極同士で反発力を発生させ、メディア20のZ方向の面振れを抑えるように中空に均衡させて支持する作用を有する。可動側の4個の支持電磁極232には同電位(望ましくはアース電位)を与え、固定側の4個の支持電磁極233には個別の電位を与えるとともに、各位置での逆起電力を測定する検出器を接続しておく。この状態でアクチュエータがX−Y方向に駆動されたときに発生するZ方向への微小な面振れによる逆起電力のずれを極小にするよう、固定側の支持電磁極233に与える電流を調節するサーボ制御を行わせる。
図8には、本発明の第2の実施例で用いられる一対の支持電磁極23の詳細な実施例を示す。各支持電磁極231,232,233はその極性が同一方向に向くように配置され、可動側永久磁石232を固定側電磁コイルで挟み込むように配置する。さらに図7に示したように隣り合う支持電磁極を互いに磁極方向が直交するように配置する。この構成により、メディア20がX−Y方向に駆動された時に、メディアが図における上下方向(Z方向)にずれないように安定に支持される。
なお、可動側支持電磁極232は固定側支持電磁極233に比べて小さく設計し、メディアがX−Y方向に駆動され可動側支持電極のX−Y方向位置がずれても、固定側と駆動側の支持電極対抗面の面積が変わらないようにする。この構成により、メディア20がX−Y方向に駆動されたことによっても、電磁力が変動しないようになり、X−Y方向への駆動とZ方向の支持が相互に無関係に制御することができるようになる。
本実施例2によるアクチュエータにおいては、Z方向の均衡がサーボ制御により維持されていて、上記従来例での樹脂製柱のようなダンパ作用を持つ拘束がないので、X−Y方向駆動の際の共振周波数が高く、その結果として高速駆動が可能になる。また、Z方向には面振れの少ないように支持されているので、プローブチップ/メディア間ギャップが一定値に保たれ、記録密度及びS/N比が向上し、記録エラー発生率が低減される。
図9は、本発明の第3の実施例であるプローブを用いた情報処理装置に用いる支持電磁極の第3の構造を示している。前実施例では可動側支持電磁極の方が固定側より小さく設定したが、第3の実施例のように全く逆に(可動側支持電磁極232の方を固定側(231,233))よりも大きく設定)しても同様な均衡・支持が可能である。
第4の実施例におけるプローブを用いた情報処理装置の全体構成を図10((a)は内部断面図,(b)(c)は分解平面図)に示す。ここでは、X−Y方向のストロークを生む可動及び固定電磁極の構成が第1の実施例とは異なり、可動側に永久磁石27aを、固定側に電磁コイル36aを配置する。この構成によっても同様なローレンツ力による可動子の駆動が可能である。本実施例では特に、可動子に搭載するコイルの数を少なくすることができるので、駆動に要する総電流量が少なくなり、可動子の発熱を抑えることができるという効果がある。
第5の実施例におけるプローブを用いた情報処理装置の構成例を図11((a)は内部断面図,(b)(c)は分解平面図)に示す。ここでは、X−Y方向のストロークを生む可動及び固定電磁極の構成が第1及び第4の実施例とは異なり、可動側に電磁コイル27を、固定側にも電磁コイル36aを配置する。この構成によっても同様なローレンツ力による可動子の駆動が可能である。
第6の実施例におけるプローブを用いた情報処理装置の構成例を図12((a)は内部断面図,(b)(c)は分解平面図)に示す。ここでは、これまでの実施例の全体構成と異なり、カンチレバーアレイ部材1を可動側に、メディア部材2を固定側に配置する。そして、可動側には可動電磁コイル27を配置し、固定側には固定永久磁石36を配置することにより、X−Y方向に駆動する。本実施例では、メディア20を固定側に置くので、メディア交換型の光ディスクと同様なストレージを構成できるという新しい効果が発揮される。
以上の実施例におけるアクチュエータ支持バネ構造の実施例を図13を用いて説明する。メディア20が静止系に対して支持バネ21を介して支持され、X−Y方向に駆動される。
図13(a)に示す支持バネ211はメディア20の各辺の側面に接続された4本の折れ曲り構造を有するミアンダ梁(通称)で構成されている。本構造では、支持バネ構造を空間的な隙間を少なく設置することができるので、小型でも十分に低いバネ定数を設定でき、X−Y方向駆動力が小さくても大きい変位を得るのに適している。
図13(b)に示す支持バネ212はメディア20の各頂角の側面に接続された支持バネである。本構造では、X−Yどちらに変位する場合でも4本の支持バネに同様の座屈変形が加わるので、バネ定数の設定(設計)が容易にでき、かつ、空間的な隙間を少なく設置することができるので、小型でも十分に低いバネ定数を設定できるという利点を備えている。
図13(c)に示す支持バネ213はメディア20の各辺の側面に複数本接続された支持バネである。本構造では、メディアから静止系につながる経路が多数あるので、メディア部分に多くの独立した電磁コイルを配置することが可能になる。したがって、X−Y方向の駆動における制御の自由度を拡大することができる。
なお、いずれの構造においても、支持バネ21の梁幅に対して梁厚さを十分大きく取り、高アスペクト比構造を採用することによって、Z方向への面振れを少なく抑えることが得策である。
以上の実施例におけるカンチレバーアレイ10とメディア20の記録エリア(ピクセル)25の相対位置関係を図14に示す。
図14(a)はカンチレバーアレイを示す模式的平面図、図14(b)はメディアを示す模式的平面図、図14(c)はカンチレバーアレイ10とメディア20との位置関係を示す図で、図14(d)はカンチレバーアレイ部材1とメディア部材2との位置関係を示す図である。
図14(a)に示すように、カンチレバーアレイ10は、X−Y方向に複数個配列されたカンチレバー12の行列からなっている。図14(b)に示すように、メディア20には、その全面に情報記録用磁性材料を含む記録エリア25がX−Y方向に多数配列されている。図14(c)及び(d)に示すように、カンチレバーアレイ10とメディア20は対向して配置され、個々のカンチレバー12に設けられたプローブチップ11がメディア20上の記録ドット24に接近して情報の書き込み読出しを行う。この場合、個々のプローブチップ11が、X−Yアクチュエータのストロークに対応する記録エリア25を分担し、ひとつのプローブチップ11とメディア上の記録エリア25内の記録ドット24が一対一に対応して、情報記録が行われる。さらに、それぞれのプローブチップ11には必要に応じて独立に情報記録指令が伝わるように構成し、並列処理により高速データ転送が可能になる。
以上の実施例におけるメディア実施例を図15を用いてさらに詳細に説明する。図15(a)はメディアを示す模式的平面図、図15(b)は図15(a)のエリアを示す模式的平面図、図15(c)は図15(b)の記録ドット24を示す模式的断面図である。
図15(a)及び(b)に示すように、メディア20のうちのある記録エリア25には、記録ドット24が数nm〜数10nm(例えば25nm程度)のピッチで配列されている。記録ドット24は、図15(c)に示すように、記録層202にプローブチップからの作用により非感応ドット241と感応ドット242として状態の異なった部分が形成される。情報記録においては、プローブチップ11が記録ドット24の上方数nmの距離にまで接近した状態でプローブチップ11に電圧が印加され、記録ドット24との電位差による電場の効果あるいはトンネル電流により、記録層202の原子状態を可逆的に変化させることにより、情報の書込み読出しを行う。
本実施例では、プローブチップ11が記録ドット24の表面に接触しないように制御されるので、機械的摩耗が発生せず、長寿命の情報記録メディアおよびカンチレバーアレイとして利用が可能である。
本発明によるプローブを用いた情報処理装置は、大容量ストレージで問題となるデータ転送速度の低下を解決し、動作速度の早いストレージ装置を提供することができる。また、位置決め機構の寸法を小型化し、ストレージ装置全体の寸法を小さくすることが可能になる。さらに、モバイル用途で問題になる外乱に対する衝撃によっても情報書き込み読出しの際のS/N比を維持し、記録エラー発生率を効果的に低減した大容量ストレージ装置を実現することが可能となる。
本発明により、磁気ディスクよりも小型の容積に、現在のフラッシュメモリを超える記録容量を蓄積できるメモリ装置を供給することが可能になるので、フラッシュメモリと同様の体積に、はるかに大容量の情報を記録することができ、ビデオカメラ、ノートPC、PDA、あるいは携帯電話などの超小型モバイル情報処理端末への応用に好適である。また、動作速度の点では、磁気ディスクそのものの代替製品として、大規模ストレージが必要なサーバの外部記憶デバイスとしても利用価値は高い。
1…カンチレバーアレイ部材、2…メディア部材、3…固定電磁極部材、4…除振台、5…記録再生ユニット、6…実装基板、7…ケーブルシート、8…コネクタ、9…筐体、
10…カンチレバーアレイ、11…プローブチップ、12…カンチレバー、20…メディア、21,211,212,213…支持バネ、23,231,232,233…支持電磁極、234…磁力線、235…反発力、24…記録ドット、25…記録エリア、27…可動電磁コイル、27a…可動永久磁石、30…固定電磁極、36…固定永久磁石、36a…固定電磁コイル、61…ステージコントローラ、62…信号処理回路。
10…カンチレバーアレイ、11…プローブチップ、12…カンチレバー、20…メディア、21,211,212,213…支持バネ、23,231,232,233…支持電磁極、234…磁力線、235…反発力、24…記録ドット、25…記録エリア、27…可動電磁コイル、27a…可動永久磁石、30…固定電磁極、36…固定永久磁石、36a…固定電磁コイル、61…ステージコントローラ、62…信号処理回路。
Claims (8)
- 情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを接近させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、
前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、
前記メディア部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記カンチレバーアレイ部材に対して、前記情報記録用メディアを、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つようにサーボ支持するため、
前記メディア部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに、前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記メディア部材を前記カンチレバーアレイ部材と前記固定電磁極部材との間に配置したことを特徴とする情報処理装置。 - 情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを接近させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、
前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、
前記カンチレバーアレイ部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記情報記録用メディアに対して、前記カンチレバーアレイ部材を、ほぼ平行なX−Y平面内で二方向に駆動すると同時に両者の間隔を一定に保つように支持するため、
前記カンチレバーアレイ部材に少なくとも3箇所以上の第1の電磁極を具備し、
更に、前記メディア部材と前記固定電磁極部材のそれぞれに前記第1の電磁極と互いに反発あるいは吸引し、前記第1の電磁極とはX−Y面内領域の寸法に大きく差をつけるように構成した第2の電磁極を具備して、
前記カンチレバーアレイ部材を前記メディア部材と前記固定磁極部材との間に配置したことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、
前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材に搭載する電磁極は、前記X−Y平面とほぼ直角な方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石であって、
前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材を両対向面から保持する二部材に搭載する電磁極は、前記駆動部材と逆方向あるいは同方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石であることを特徴とする情報処理装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、
前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材に搭載する電磁極は、前記X−Y平面とほぼ平行な方向の磁化方向を有し、かつ前記X−Y平面内で隣り合う電磁極の磁化方向が互いにほぼ直交する電磁コイルか永久磁石であって、
前記X−Y平面内で二方向に駆動する部材を両対向面から保持する二部材に搭載する電磁極は、前記駆動部材と同方向の磁化方向を有する電磁コイルか永久磁石であることを特徴とする情報処理装置。 - 情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを近接させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、
前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、
前記メディア部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記メディア部材は、前記カンチレバーアレイ部材と、前記固定電磁極部材との間に配置され、
前記メディア部材は、平面的に配置された3つ以上の第1の電磁極を具備し、
前記カンチレバーアレイ部材及び前記固定電磁極部材の各々は、前記第1の電磁極に対応して配置され、前記第1の電磁極と互いに反発或いは吸引する第2の電磁極を具備し、
前記第1の電磁極と前記第2の電磁極は、平面方向の寸法が異なっていることを特徴とする情報処理装置。 - 情報記録用メディア上に設けられた記録エリアにプローブチップを近接させ、局所的な状態変化による情報記録を行う情報処理装置であって、
一部に前記プローブチップを含むカンチレバーが単数あるいは複数個配列されたカンチレバーアレイ部材と、
前記情報記録用メディアを搭載するメディア部材と、
前記メディア部材を駆動する固定電磁極部材とを有し、
前記カンチレバーアレイ部材は、前記メディア部材と、前記固定電磁極部材との間に配置され、
前記カンチレバーアレイ部材は、平面的に配置された3つ以上の第1の電磁極を具備し、
前記メディア部材及び前記固定電磁極部材の各々は、前記第1の電磁極に対応して配置され、前記第1の電磁極と互いに反発或いは吸引する第2の電磁極を具備し、
前記第1の電磁極と前記第2の電磁極は、平面方向の寸法が異なっていることを特徴とする情報処理装置。 - 請求項5又は6に記載の情報処理装置において、
前記第1の電磁極は、前記第2の電磁極よりも平面サイズが小さいことを特徴とする情報処理装置。 - 請求項5又は6に記載の情報処理装置において、
前記第1の電磁極は、前記第2の電磁極よりも平面サイズが大きいことを特徴とする情報処理装置。
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