JP2007179233A - 機械設備のリスクを評価する装置と方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機械設備の設計データから構築される3次元モデルに基づいて、その機械設備の危険部位を抽出し、それぞれの危険部位のリスクを評価する技術を提供する。
【解決手段】 機械設備のリスクを評価する装置であって、機械設備の設計データを読み込む手段と、設計データに基づいて3次元モデルを構築する手段と、危険源を3次元モデル上に反映する手段と、安全方策を3次元モデル上に反映する手段と、3次元モデルを用いて機械設備の作業領域を特定する手段と、作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する手段と、危険部位候補から危険部位を特定する手段と、危険部位のリスク値を算出する手段と、危険部位のリスク値を出力する手段を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 機械設備のリスクを評価する装置であって、機械設備の設計データを読み込む手段と、設計データに基づいて3次元モデルを構築する手段と、危険源を3次元モデル上に反映する手段と、安全方策を3次元モデル上に反映する手段と、3次元モデルを用いて機械設備の作業領域を特定する手段と、作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する手段と、危険部位候補から危険部位を特定する手段と、危険部位のリスク値を算出する手段と、危険部位のリスク値を出力する手段を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、機械設備のリスクを評価する技術に関する。詳しくは、機械設備を用いた作業を行う際の労働災害のリスクを、設計データから構築した3次元モデルに基づいて評価する装置と方法に関する。
工場作業における労働災害の予知や危険作業の防止は、従来は作業者の経験や勘に頼ることが多かったが、労働災害のリスクを事前に評価することができれば、経験の浅い作業者であっても安全に作業を行うことが可能である。
そこで、作業時の労働災害のリスクを定量的に評価する技術が開発されている。
特許文献1には、重大災害に至る事象の連鎖に着目して、それぞれの事象の生起確率から重大災害の生起確率を評価する技術が開示されている。
特許文献2には、設備・作業の種類に応じたリスク値と、作業を行う頻度に応じたリスク値と、安全対策の度合いに応じたリスク値から、作業時のリスクを評価する技術が開示されている。
特許文献3には、災害の重大さ、発生頻度、安全対策、管理・指導の状況に応じたリスク値から、作業時のリスクを評価する技術が開示されている。
特許文献1には、重大災害に至る事象の連鎖に着目して、それぞれの事象の生起確率から重大災害の生起確率を評価する技術が開示されている。
特許文献2には、設備・作業の種類に応じたリスク値と、作業を行う頻度に応じたリスク値と、安全対策の度合いに応じたリスク値から、作業時のリスクを評価する技術が開示されている。
特許文献3には、災害の重大さ、発生頻度、安全対策、管理・指導の状況に応じたリスク値から、作業時のリスクを評価する技術が開示されている。
従来の技術においては、機械設備に起因する労働災害のリスクを評価するうえで、機械設備の種別は考慮するものの、同一の種別の機械設備については詳細な仕様の相違を考慮していない。機械設備に起因する労働災害のリスクは、設備の種別にのみ左右されるわけではなく、その設備の詳細な仕様によっても変動する。機械設備を設計する際には、労働災害のリスクが低いものとなるように、詳細な仕様を決定することが望ましい。そのためには、機械設備の詳細な仕様がリスクに及ぼす影響を評価することが望ましい。
機械設備の詳細な仕様に基づいて、その機械設備の機能を解析する技術は、従来からよく知られている。このような技術においては、設計データに基づいてモデルを作成し、モデルによって表現される機械設備の機能を評価する。このような技術を応用すると、設計データにおける詳細な仕様の変更が、その機械設備の機能に及ぼす影響を定量的に評価することができる。
特許文献4には、三次元CADデータから作業機械の重心位置を算出し、算出される重心位置を危険重心領域とともに表示する技術が開示されている。
特許文献5には、要求仕様と材料強度データに基づいて、部品形状の設定と、強度解析と、合否判定を繰返すことで、部品形状を最適化する技術が開示されている。
特許文献4には、三次元CADデータから作業機械の重心位置を算出し、算出される重心位置を危険重心領域とともに表示する技術が開示されている。
特許文献5には、要求仕様と材料強度データに基づいて、部品形状の設定と、強度解析と、合否判定を繰返すことで、部品形状を最適化する技術が開示されている。
機械設備を用いた作業における労働災害のリスクを評価する際に、機械設備の詳細な仕様がリスクに及ぼす影響を定量的に評価することは、従来は行われていない。機械設備の詳細な仕様に基づいて労働災害のリスクを定量的に評価することができれば、機械設備の設計の段階において、労働災害のリスクが低い安全な機械設備を設計することが可能となる。また機械設備の詳細な仕様が労働災害のリスクに及ぼす影響を定量的に評価することで、どのような安全方策を施すことで効果的にリスクを低減できるのか、確実に判断することが可能となる。
本発明では、機械設備の設計データから構築される3次元モデルに基づいて、その機械設備の危険部位を抽出し、それぞれの危険部位のリスクを評価する技術を提供する。
本発明はリスク評価装置として具現化される。本発明の装置は、機械設備のリスクを評価する装置であって、機械設備の設計データを読み込む手段と、設計データに基づいて3次元モデルを構築する手段と、危険源を3次元モデル上に反映する手段と、安全方策を3次元モデル上に反映する手段と、3次元モデルを用いて作業領域を特定する手段と、特定された作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する手段と、危険部位候補から危険部位を特定する手段と、危険部位のリスク値を特定する手段と、危険部位のリスク値を出力する手段を備えている。
上記のリスク評価装置は、CAD等を用いて設計された機械設備の設計データを読込み、その機械設備の3次元モデルを構築する。そして、危険源に関する情報と、安全方策に関する情報を、構築された3次元モデルに反映する。危険源に関する情報と安全方策に関する情報が反映された3次元モデルから、危険部位を特定し、その危険部位のリスク値を特定する。危険部位の特定を特定する際には、構築された3次元モデルにおいて、作業者の作業領域を特定し、作業領域に隣接する開口部を危険部位の候補として抽出し、危険部位の候補から危険部を特定する。上記のリスク評価装置は、特定された危険部位のリスク値を出力する。
上記のリスク評価装置のように、機械設備の3次元モデルに基づいて、機械設備のリスクを定量的に評価することは、従来なされていない。このような手法によってリスクを評価することで、機械設備の具体的な仕様がリスクに及ぼす影響を定量的に評価することができる。このような評価を利用して、労働災害のリスクが低い安全な機械設備を設計することが可能となる。
上記のリスク評価装置においては、危険部位のリスク値に応じてその危険部位のリスクレベルを特定する手段と、所定のリスクレベルを超えるリスクレベルの危険部位について、追加されるべき安全方策を特定する手段をさらに備えることが望ましい。
上記のリスク評価装置は、機械設備のリスクを評価した後に、リスクレベルの高い危険部位について、安全方策を追加することができる。このような構成とすることによって、機械設備の設計段階においてリスクレベルが高いと評価された危険部位についての安全方策を施し忘れることがない。労働災害のリスクをさらに低減することができる。
本発明は方法としても具現化される。本発明の方法は、機械設備のリスクを評価する方法である。その方法は、機械設備の設計データを読み込む工程と、設計データに基づいて3次元モデルを構築する工程と、危険源を3次元モデル上に反映する工程と、安全方策を3次元モデル上に反映する工程と、3次元モデルを用いて機械設備の作業領域を特定する工程と、作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する工程と、危険部位候補から危険部位を特定する工程と、危険部位のリスク値を算出する工程と、危険部位のリスク値を出力する工程を備えている。
本発明の装置または方法によれば、機械設備の設計データから構築される3次元モデルに基づいて、その機械設備の危険部位を抽出し、それぞれの危険部位のリスクを評価することができる。本発明の装置または方法を用いてリスクを評価することで、機械設備の具体的な仕様がリスクに及ぼす影響を定量的に評価することができる。このような評価を利用して、労働災害のリスクが低い安全な機械設備を設計することが可能となる。
以下に発明を実施するための最良の形態を列記する。
(形態1) 機械設備の危険部位のリスク値は、第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値および第4リスク値の総和で与えられる。ここで、第1リスク値は災害の重大さを表現したものであり、第2リスク値は作業者が危険部位に曝される頻度を表現したものであり、第3リスク値は災害が生起した際の作業者の回避可能性を表現したものであり、第4リスク値は災害が生起する可能性を表現したものである。
(形態1) 機械設備の危険部位のリスク値は、第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値および第4リスク値の総和で与えられる。ここで、第1リスク値は災害の重大さを表現したものであり、第2リスク値は作業者が危険部位に曝される頻度を表現したものであり、第3リスク値は災害が生起した際の作業者の回避可能性を表現したものであり、第4リスク値は災害が生起する可能性を表現したものである。
本実施例では、図1に示すリスク評価装置100を利用して、機械設備を用いる作業のリスク評価を行う例を説明する。リスク評価装置100は、コンピュータ装置によって構成されており、そのハードウェア構成は通常のものと同様である。この装置は、処理装置(CPU)、記憶装置、入力装置、出力装置等を備える。各種の記憶部およびデータベース(以下ではDBと表記する)は、コンピュータに利用可能に情報を記憶している。
リスク評価装置100は、全ての構成要素が同一のハードウェア上に実装されていてもよいし、ネットワークを介して接続された複数のハードウェア上に分散して実装されていてもよい。
リスク評価装置100は、全ての構成要素が同一のハードウェア上に実装されていてもよいし、ネットワークを介して接続された複数のハードウェア上に分散して実装されていてもよい。
リスク評価装置100は、設計データ記憶部102、安全方策DB112、3次元モデル構築部104、危険部位抽出部108、抽出基準記憶部110、リスク値算出部122、算出基準記憶部120、リスク判定部130、判定基準記憶部132、安全方策追加部144、表示部140、選択部142、標識DB124等を備えている。
設計データ記憶部102は、リスク評価の対象とする機械設備の設計データを記憶している。設計データは、機械設備を構成する各構成部品ごとの形状を示す形状データ、各構成部品ごとの属性データ、各構成部品の組付けの態様を示す組付けデータ、機械設備の属性データなどを備えている。構成部品の属性データは、その構成部品の材質を示す材質データと、その構成部品が適合する規格を示す規格データと、その構成部品が危険源である場合にその危険源の種別と動作条件を示す危険種別データを備えている。本実施例のリスク評価装置100が扱う危険源の種別は、例えば高速運動機構、高荷重運動機構、電磁波照射源、高温熱源などであり、その動作条件は動作速度、最大荷重、エネルギー強度、最高温度などである。機械設備の属性データは、その機械設備に施されている安全方策を示す安全方策データを備えている。
上記の設計データは、機械設備の設計者によって必要な仕様が入力された後、予め定められたデータ形式で設計データ記憶部102に記憶される。
3次元モデル構築部104は、設計データ記憶部102からリスク評価の対象とする機械設備の設計データを読込み、その機械設備の3次元モデル106を構築する。機械設備の3次元モデル106は、読み込まれた設計データのうち、各構成部品の形状データ、危険種別データ、組付けデータ、および機械設備の安全方策データに基づいて構築される。
3次元モデル構築部104は、各構成部品の形状データと組付けデータに基づいて機械設備の3次元モデル106を構築する。次に、3次元モデル構築部104は、危険種別データに基づいて危険源となる構成要素を特定し、3次元モデル106上に危険源の種別とその動作条件を反映する。そして、3次元モデル構築部104は、安全方策データで示される安全方策の内容を構築された3次元モデル106へ反映する。安全方策の内容は、安全方策データから特定される安全方策の種類をキーとして安全方策DB112を検索し、該当する安全方策の内容を抽出することで読み込まれる。安全方策DB112は、図3に示すように、安全方策の種類と、その安全方策によって安全が確保される危険源の種類と、その安全方策の内容を関連付けて記憶している。3次元モデル106への安全方策の内容の反映の仕方は、安全方策の種類に応じて異なる。
危険部位抽出部108は、構築された3次元モデル106に基づいて、機械設備を扱う作業者の作業領域と危険源との位置関係から、機械設備の危険部位を抽出する。本明細書で作業領域とは、機械設備を用いる作業者が立入り可能な機械設備周辺の領域のことを言う。本明細書で危険部位とは、作業者がその機械設備を用いて作業をする際に、その開口部を介して危険源による災害に遭遇する可能性がある開口部のことを言う。
まず危険部位抽出部108は、構築された3次元モデル106から、作業領域の特定を行う。作業領域の特定は、3次元モデル106において、機械設備の輪郭を検出することで行われる。検出される輪郭の外側の領域が、作業領域として特定される。
次に危険部位抽出部108は、危険部位の候補として、機械設備の輪郭上の開口部、すなわち作業領域と隣接する開口部を抽出する。
危険部位の候補となる全ての開口部を抽出すると、危険部位抽出手段108は、それらの開口部のうちで危険部位となるものを特定する。危険源の種類によっては、開口部の寸法が小さく危険源までの距離が遠いものであっても危険部位となりうることもあるし、逆に開口部の寸法が大きく危険源までの距離が近いものであっても危険部位とならないこともある。そこで本実施例のリスク評価装置100は、危険源の種類に応じた許容される開口部寸法と、許容される開口部から危険源までの距離に基づいて、開口部が危険部位であるか否かを判別する。
危険部位抽出部108は、危険部位の候補として抽出された開口部それぞれについて、開口部の寸法と、開口部からアクセス可能な危険源の種類、および開口部から危険源までの距離を特定する。開口部の寸法と、開口部から危険源までの距離は、3次元モデル上で計測することで特定される。危険部位抽出部108は、抽出基準記憶部110に記憶されている危険部位判別テーブルを利用して、特定された開口部の寸法と、危険源の種類と、危険源と開口部の距離から、その開口部が危険部位であるか否かを判別する。
抽出基準記憶部110は、利用者によって予め入力された危険部位判別テーブルを記憶している。図4に危険部位判別テーブルの例を示す。危険部位判別テーブルは、危険源の種別と、その危険源において許容される開口部の寸法と、その危険源において許容される危険源から開口部までの距離が、関連付けて記憶されている。
図4に例示するように、危険源の種別が、押しつぶしや裂断などの作業者と接触することで災害を生起する可能性があるものについては、許容される開口部の寸法は10mmとされる。開口部の寸法が10mm以下であれば、作業者の身体の最小部位である小指でも立入ることがないため、その開口部は危険部位候補から除外される。
また危険源の種別が、エックス線源やレーザ光源などの作業者と接触しなくとも災害を生起する可能性があるものについては、許容される開口部の寸法は0mmとされる。どのように小さな開口部からでも、エネルギーが漏洩することによって作業者が危険に曝されるため、このような危険源についてはどのように小さな開口部であっても危険部位と判断される。
図4に例示するように、危険源の種別が、押しつぶしや裂断などの作業者と接触することで災害を生起する可能性があるものについては、許容される開口部の寸法は10mmとされる。開口部の寸法が10mm以下であれば、作業者の身体の最小部位である小指でも立入ることがないため、その開口部は危険部位候補から除外される。
また危険源の種別が、エックス線源やレーザ光源などの作業者と接触しなくとも災害を生起する可能性があるものについては、許容される開口部の寸法は0mmとされる。どのように小さな開口部からでも、エネルギーが漏洩することによって作業者が危険に曝されるため、このような危険源についてはどのように小さな開口部であっても危険部位と判断される。
危険部位抽出部108は、危険部位の候補となる開口部における危険源の種類をキーとして危険部位判別テーブルを検索し、許容される開口部寸法と、許容される危険源から開口部までの距離を読み込む。危険部位抽出部108は、3次元モデル上で計測される開口部の寸法が許容される開口部寸法を超えている場合、あるいは3次元モデル上で計測される危険源から開口部までの距離が許容される危険源から開口部までの距離に満たない場合に、その開口部は危険部位であると判別する。逆に、危険部位抽出部108は、3次元モデル上で計測される開口部の寸法が許容される開口部寸法以下であり、かつ3次元モデル上で計測される危険源から開口部までの距離が許容される危険源から開口部までの距離以上の場合には、その開口部は危険部位ではないと判別する。
危険部位抽出部108は、危険部位候補として抽出された全ての開口部について、上記した危険部位か否かの判別を行い、危険部位である開口部を特定する。危険部位抽出部108は、危険部位として特定された開口部の情報を、危険部位情報114として出力する。危険部位情報114は、危険部位として特定された開口部の位置、寸法、対応する危険源の種類、危険源の動作条件および開口部から危険源までの距離の情報を備えている。
危険部位抽出部108によって機械設備の危険部位が全て特定されると、リスク値算出部122は、危険部位情報114に基づいて、それぞれの危険部位のリスク値を算出する。本実施例のリスク評価装置100では、危険部位のリスク値は、以下で詳細に説明する第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値、第4リスク値の総和で与えられる。
リスク値算出部122は、第1リスク値テーブルを利用して、危険部位の第1リスク値を特定する。第1リスク値は、生起する災害の重大さを表現している。作業者の死亡につながるような重大な災害の起因となりうる危険源に付随する危険部位の場合には、第1リスク値は高い値が設定され、作業者に影響がないか、作業者の軽傷につながる災害の起因となりうる危険源に付随する危険部位の場合には、第1リスク値は低い値が設定される。
第1リスク値テーブルは、算出基準記憶部120に予め記憶されている。図5に示すように、第1リスク値テーブルには、危険源の種類と、危険源の動作条件と、危険源に起因する災害の重大さ(すなわち第1リスク値)が、関連づけて記憶されている。リスク値算出部122は、算出基準記憶部120から第1リスク値テーブルを読込み、危険部位に付随する危険源の種類とその危険源の動作条件から、対応する第1リスク値を検索し、その危険部位の第1リスク値として特定する。
リスク値算出部122は、第2リスク値テーブルを利用して、危険部位の第2リスク値を特定する。第2リスク値は、作業者が作業を行う頻度を表現している。作業頻度が高い場合には、第2リスク値は高い値が設定され、作業者が作業を行う頻度が低い場合には、第2リスク値は低い値が設定される。
第2リスク値テーブルは、算出基準記憶部120に予め記憶されている。図6に示すように、第2リスク値テーブルには、作業者の作業頻度と、第2リスク値が関連付けて記憶されている。リスク値算出部122は、算出基準記憶部120から第2リスク値テーブルを読込み、作業者の作業頻度から、対応する第2リスク値を検索し、その危険部位の第2リスク値として特定する。
リスク値算出部122は、第3リスク値テーブルを利用して、危険部位の第3リスク値を特定する。第3リスク値は、その危険源に起因する危険状態発生時の作業者の回避可能性を表現している。危険な状態が発生しても作業者が回避可能である場合には、第3リスク値は低い値が設定される。危険な状態が発生した際に作業者が回避できない場合には、第3リスク値は高い値が設定される。
第3リスク値テーブルは、算出基準記憶部120に予め記憶されている。図7に示すように、第3リスク値テーブルには、危険源の種別と、危険源の動作条件と、安全方策の種別と、第3リスク値が関連付けて記憶されている。例えば、危険源が「押しつぶし」であって、安全方策として「警報」が施されている場合には、危険な状態が発生しても作業者は危険の接近を認識可能であるから、危険源の動作がそれほど高速でなければ作業者は回避可能であり、第3リスク値は「1」が設定される。しかしながら、危険源の動作が高速の場合には、作業者は危険の接近を認識しても回避できないおそれがあるから、第3リスク値は「2」が設定される。リスク値算出部122は、算出基準記憶部120から第3リスク値テーブルを読込み、危険源の種別と、危険源の動作条件と、安全方策の種別から、対応する第3リスク値を検索し、その危険部位の第3リスク値として特定する。
リスク値算出部122は、第4リスク値テーブルを利用して、危険部位の第4リスク値を特定する。第4リスク値は、その危険源における災害の生起可能性を表現している。危険源における災害の生起可能性は、安全方策を含む設備の信頼度と、安全方策の有効度などから推定される。設備の信頼度は、国際規格や国内規格などにより認証されている部品や回路構成を採用している場合は高いと考えられ、災害の生起可能性は低いと推定されるため、第4リスク値は低い値が設定される。また安全方策の有効度は作業者への依存が低い場合は高くなり、災害の生起確率は低いと推定されるため、第4リスク値は低い値が設定される。
第4リスク値テーブルは、算出基準記憶部120に予め記憶されている。図8に示すように、第4リスク値テーブルには、構成部品が適合する規格の種類と、安全方策の種別と、第4リスク値が関連付けて記憶されている。リスク値算出部122は、算出基準記憶部120から第4リスク値テーブルを読込み、構成部品が適合する規格の種類と、安全方策の種別から、対応する第4リスク値を検索し、その危険部位の第4リスク値として特定する。
第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値、第4リスク値がそれぞれ特定されると、リスク値算出部122は、これらのリスク値の総和を算出して、その危険部位の総合リスク値を算出する。リスク値算出部122は、上記の総合リスク値算出の処理を、全ての危険部位について実施する。リスク値算出部122は、全ての危険部位についての第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値、第4リスク値および総合リスク値を、リスク情報128として出力する。
なお総合リスク値の算出は、例えば第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値および第4リスク値を積算することによって行うこともできる。
なお総合リスク値の算出は、例えば第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値および第4リスク値を積算することによって行うこともできる。
リスク判定部130は、リスク情報128に基づいて、それぞれの危険部位のリスクレベルを特定する。リスク判定部130は、判定基準記憶部132に記憶されているリスクレベル判定テーブルを読み込み、それぞれの危険部位の総合リスク値から、それぞれの危険部位のリスクレベルを特定する。リスクレベル判定テーブルの例を図9に示す。特定されるリスクレベルが高いほど、深刻な事態を招く可能性が高い危険部位である。例えば、リスクレベルが「1」の危険部位は、取るに足らない危険部位であって、それ以上の対策を必要としない。またリスクレベルが「5」の危険部位は、非常に危険性の高い危険部位であって、追加の安全方策が必須となる。
全ての危険部位についてリスクレベルが特定されると、リスク判定部130は、特定されたリスクレベルが許容可能なものであるか、許容できないものかを判定する。本実施例では、リスクレベルが「1」の場合には、リスク判定部130はその危険部位のリスクレベルは許容可能と判断する。リスクレベルが「2」以上の場合には、リスク判定部130はその危険部位のリスクレベルは許容できないと判断する。
リスク判定部130は、リスクレベルが高く許容できないと判断された危険部位についての情報を、許容不可危険部位情報146として出力する。
安全方策追加部144は、許容不可危険部位情報146に基づいて、リスクレベルの高い危険部位について、リスクレベルを低減する安全方策を抽出する。
安全方策追加部144は、許容不可危険部位情報146に基づいて、リスクレベルの高い危険部位について、リスクレベルを低減する安全方策を抽出する。
安全方策追加部144は、許容不可危険部位情報146から、許容されていない危険部位のそれぞれの危険源の種類を抽出する。安全方策追加部144は、抽出された危険源の種類をキーとして安全方策DB112を検索し、その危険源に対する好適な追加の安全方策を抽出する。抽出された安全方策は、画面を備える表示部140に一覧形式で示される。利用者は、表示部140に表示された安全方策の一覧の中から望ましい安全方策を選択し、選択部142から選択結果を入力する。
安全方策追加部144は、利用者によって選択された安全方策を示す情報を、安全方策追加情報148として出力する。
安全方策追加部144は、利用者によって選択された安全方策を示す情報を、安全方策追加情報148として出力する。
安全方策追加部144は、上記した安全方策の追加の処理を、リスク判定部130で許容されなかった全ての危険部位について行う。
リスク判定部130で許容されなかった全ての危険部位について安全方策が追加されると、3次元モデル構築部104、危険部位抽出部108、リスク値算出部122、リスク判定部130は、追加された安全方策を反映して、上記した処理を繰り返し行う。
上記の処理の結果、リスク判定部130において全ての危険部位が許容されると、出力部116は、最終的な危険部位情報114、リスク評価情報128、安全方策追加情報148に基づいて、リスク評価結果118を出力する。リスク評価結果118は、全ての危険部位について、その開口部の位置、寸法、危険源までの距離、第1リスク値、第2リスク値、第3リスク値、第4リスク値、総合リスク値、およびリスクレベルが含まれており、安全方策が追加されている場合には、その安全方策を示すデータも含まれている。
また出力部116は、安全方策として標識を用いる方策が追加された場合には、その標識についても出力する。出力部116は、安全方策追加情報148を参照し、標識を用いる方策が追加された場合に、標識DB124から対応する標識のフォーマットを読込み、その標識を用いた安全方策が施される危険部位に関する情報を追加して、標識126を出力する。
図2は本実施例のリスク評価装置100が行う処理のフローチャートを示している。リスク評価装置100は処理を開始すると、ステップS210で機械設備の設計データを読み込む。ステップS212で読み込まれた設計データに基づいて、機械設備の3次元モデルを構築する。構築される3次元モデルには、設計データに含まれている危険源に関する情報と、安全方策に関する情報が反映される。ステップS214で構築された3次元モデルから作業者の作業領域を特定する。ステップS216で危険部位の候補となる開口部を抽出する。ステップS218で危険部位の候補から危険部位を特定する。ステップS220で特定された危険部位それぞれについて総合リスク値を算出する。ステップS222で危険部位それぞれについてのリスクレベルを特定する。特定されるリスクレベルが許容できないものである場合(ステップS224でNOの場合)、ステップS226で適当な安全方策を追加して、処理はステップS212へ移行する。特定されるリスクレベルが許容できるものである場合(ステップS224でYESの場合)、処理はステップS228へ移行する。ステップS228では、追加された安全方策に標識を用いるものが含まれているか否かを判断する。追加された安全方策に標識を用いるものが含まれており、安全標識を出力する場合(ステップS228でYESの場合)、ステップS230でその標識を出力し、処理はステップS232へ移行する。追加された安全方策に標識を用いるものが含まれていない場合(ステップS228でNOの場合)、処理はステップS232へ移行する。ステップS232でリスク評価の結果を出力して、リスク評価装置100は処理を終了する。
本発明のリスク評価装置100によれば、機械設備の詳細な設計仕様に基づいて、その機械設備を用いて作業を行う際のリスクを評価することができる。
また、本発明のリスク評価装置100によれば、評価されるリスクレベルが高い場合には、適切な安全方策を追加することで、リスクの低い機械設備を設計することができる。経験の浅い設計者であっても、重大な災害を引き起こす機械設備を設計してしまうことがない。
また、本発明のリスク評価装置100によれば、評価されるリスクレベルが高い場合には、適切な安全方策を追加することで、リスクの低い機械設備を設計することができる。経験の浅い設計者であっても、重大な災害を引き起こす機械設備を設計してしまうことがない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
100:リスク評価装置
102:設計データ記憶部
104:3次元モデル構築部
106:3次元モデル
108:危険部位抽出部
110:抽出基準記憶部
112:安全方策DB
114:危険部位情報
116:出力部
118:リスク評価結果
120:算出基準記憶部
122:リスク値算出部
124:標識DB
126:標識
128:リスク情報
130:リスク値判定部
132:判定基準記憶部
140:表示部
142:選択部
144:安全方策追加部
146:許容不可危険部位情報
148:安全方策追加情報
102:設計データ記憶部
104:3次元モデル構築部
106:3次元モデル
108:危険部位抽出部
110:抽出基準記憶部
112:安全方策DB
114:危険部位情報
116:出力部
118:リスク評価結果
120:算出基準記憶部
122:リスク値算出部
124:標識DB
126:標識
128:リスク情報
130:リスク値判定部
132:判定基準記憶部
140:表示部
142:選択部
144:安全方策追加部
146:許容不可危険部位情報
148:安全方策追加情報
Claims (3)
- 機械設備のリスクを評価する装置であって、
機械設備の設計データを読み込む手段と、
設計データに基づいて3次元モデルを構築する手段と、
危険源を3次元モデル上に反映する手段と、
安全方策を3次元モデル上に反映する手段と、
3次元モデルを用いて機械設備の作業領域を特定する手段と、
作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する手段と、
危険部位候補から危険部位を特定する手段と、
危険部位のリスク値を算出する手段と、
危険部位のリスク値を出力する手段
を備えるリスク評価装置。 - 危険部位のリスク値に応じてその危険部位のリスクレベルを特定する手段と、
所定のリスクレベルを超えるリスクレベルの危険部位について、追加されるべき安全方策を特定する手段
をさらに備える請求項1のリスク評価装置。 - 機械設備のリスクを評価する方法であって、
機械設備の設計データを読み込む工程と、
設計データに基づいて3次元モデルを構築する工程と、
危険源を3次元モデル上に反映する工程と、
安全方策を3次元モデル上に反映する工程と、
3次元モデルを用いて機械設備の作業領域を特定する工程と、
作業領域に隣接する開口部を危険部位候補として抽出する工程と、
危険部位候補から危険部位を特定する工程と、
危険部位のリスク値を算出する工程と、
危険部位のリスク値を出力する工程
を備えるリスク評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005376092A JP2007179233A (ja) | 2005-12-27 | 2005-12-27 | 機械設備のリスクを評価する装置と方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007179233A true JP2007179233A (ja) | 2007-07-12 |
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ID=38304367
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JP2005376092A Pending JP2007179233A (ja) | 2005-12-27 | 2005-12-27 | 機械設備のリスクを評価する装置と方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007179233A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018067054A (ja) * | 2016-10-17 | 2018-04-26 | 三菱電機株式会社 | 安全システムの開発支援装置 |
JP2018147179A (ja) * | 2017-03-03 | 2018-09-20 | Idec株式会社 | リスクアセスメント支援方法およびリスクアセスメント支援プログラム |
CN110443462A (zh) * | 2019-07-12 | 2019-11-12 | 中航物业管理有限公司 | 一种智慧物业平台系统的物业风险实施管控方法 |
JP2020095390A (ja) * | 2018-12-11 | 2020-06-18 | 株式会社フジタ | 不安全場所抽出システム |
-
2005
- 2005-12-27 JP JP2005376092A patent/JP2007179233A/ja active Pending
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