JP2007178536A - 複屈折素子とその製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置 - Google Patents

複屈折素子とその製造方法、液晶装置、及び投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無機の複屈折素子において、湿度依存性を改善し、光学特性も良好なものとする。
【解決手段】複屈折素子1は、透光性基材11の表面に、誘電材料からなる単層又は複層の無機斜方蒸着膜13A〜13Dが積層されたものである。無機斜方蒸着膜13A〜13Dは、透光性基材11の表面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体と、多数の柱状構造体の間に形成され、柱状構造体と略同方向に延びる多数の空孔とからなる膜構造を有するものであり、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔の平均断面積が10〜7500nmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、透光性基材の表面に単層又は複層の無機斜方蒸着膜が積層された複屈折素子とその製造方法、該複屈折素子を備えた液晶装置及び投射型表示装置に関するものである。
液晶層を挟持して対向配置される一対の電極付き基板からなる液晶セルを基本構成とし、電圧無印加時と電圧印加時とで液晶層内の液晶分子の配向を変化させて表示等を行う液晶装置が広く用いられている。液晶装置には、液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う位相差補償素子(1/4波長位相差素子等)が備えられている。
従来は有機の位相差補償素子が広く用いられているが、耐熱性、耐光性、及び化学的安定性等に優れ、プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される液晶装置用等として好適なことから、無機の位相差補償素子が提案されている。
無機の位相差補償素子としては、透光性基材の表面に単層又は複層の無機斜方蒸着膜が積層された複屈折素子が提案されている。無機斜方蒸着膜は、多数の柱状構造体からなる膜構造を有し、垂直入射光に対して複屈折性を示すことが知られている(非特許文献1等)。
特許文献1には、無機斜方蒸着膜を用いた複屈折素子では、有機の複屈折素子に比して湿度依存性が大きいことが指摘されている。特許文献1では、無機斜方蒸着膜を用いた複屈折素子の湿度依存は、無機斜方蒸着膜中の空孔への水分の出入によって起こるとされており、湿度依存性を改善するために、複屈折素子に無機斜方蒸着膜の吸蔵水の蒸発を防止する保護膜を設けることが提案されている。
特開2000-47033号公報 Applied Optics Vol.28, No.13 p.2466
特許文献1に記載の技術は、無機斜方蒸着膜の吸蔵水の蒸発を防止する保護膜を設ける必要があるため、この保護膜の存在が素子の複屈折性や透過率等の光学特性に影響を与える恐れがある。製造工程が増えるため、製造容易性及び製造コストの面でも好ましくない。
また、特許文献1に記載の技術では、湿度依存性は保護膜のガスバリア性に大きく依存するため、リークのない保護膜を形成する必要があるが、多数の空孔のある無機斜方蒸着膜上にリークのない保護膜を形成することは容易ではない。保護膜にリークがあれば、リークを通じて水分の出入が起こるので、リークが大きければ、充分な湿度依存性の改善効果は得られなくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、製造工程を増やすことなく低コストに、しかも安定的に湿度依存性を改善することができ、複屈折性、透過率、ヘーズ値等の光学特性も良好な無機の複屈折素子、これを用いた液晶装置及び投射型表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、無機斜方蒸着膜の空孔の大きさによって湿度依存性が大きく異なり、無機斜方蒸着膜の空孔の大きさを規定することで、良好な湿度依存性の改善効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明の複屈折素子は、透光性基材の表面に、誘電材料からなる単層又は複層の無機斜方蒸着膜が積層された複屈折素子において、
前記無機斜方蒸着膜は、前記透光性基材の表面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体と、該多数の柱状構造体の間に形成され、該柱状構造体と略同方向に延びる多数の空孔とからなる膜構造を有するものであり、
前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜の前記空孔の平均断面積が10〜7500nmであることを特徴とするものである。
「最上層に位置する無機斜方蒸着膜」は、透光性基材から最も離れた位置にある無機斜方蒸着膜であり、無機斜方蒸着膜が単層の場合には、該無機斜方蒸着膜が最上層に位置する無機斜方蒸着膜である。
無機斜方蒸着膜において、多数の柱状構造体の成長は蒸着面内で大きくばらつかないので、無機斜方蒸着膜に形成された多数の空孔の大きさは蒸着面内で大きくばらつかない。また、空孔の断面積は厚み方向で大きくばらつかない。無機斜方蒸着膜の空孔の表面形状は例えば、略三角形状、略円形状、略楕円形状等である。
本明細書において、「無機斜方蒸着膜の空孔の平均断面積」は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて表面写真を撮像して任意の10個の空孔の面積を求め、これらの平均値により求めるものとする。
本発明によれば、60℃相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置したときのレターデーション値の減少率が、30%以下である複屈折素子を実現することができる。かかる湿度依存性を有する無機の複屈折素子自体が新規である。
上記温湿環境下に静置する前と静置した後のレターデーション値の測定は、測定光等の測定条件を同一として、実施するものとする。
レターデーション値Reは、d・Δnで表される値である。式中、dは膜厚、Δnは複屈折率である。単層の無機斜方蒸着膜を備えた複屈折素子では、該無機斜方蒸着膜の膜厚をd、複屈折率をΔnとして、Reを求める。複層の無機斜方蒸着膜を備えた複屈折素子では、すべての無機斜方蒸着膜の膜厚の合計をd、すべての無機斜方蒸着膜全体の複屈折率をΔnとして、Reを求める。
本発明の複屈折素子において、前記無機斜方蒸着膜は、金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸窒化物のうち少なくとも1種からなり、
前記複屈折素子は、該複屈折素子に入射する光の基準波長の透過率が75%以上であり、ヘーズ値が1%以下であることが好ましい。
本明細書において、「基準波長」とは、複屈折素子に入射する入射光の中心波長と定義する。光源にもよるが、基準波長は、入射光が赤色光の場合には例えば700nm、緑色光の場合には例えば546nm、青色光の場合には例えば430nmである。
「ヘーズ値」は、JIS K7136に準拠して測定するものとする。
本発明の複屈折素子において、前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜をなす前記柱状構造体の光軸は、前記透光性基材の蒸着面の法線方向から0°以上50°未満の角度方向であることが好ましい(図3の角度βを参照)。
前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜は、斜方蒸着方向を前記透光性基材の蒸着面の法線方向から40°以上90°未満の角度方向として、成膜されたものであることが好ましい。かかる斜方蒸着方向で蒸着を行うことで、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜をなす柱状構造体の光軸の角度を上記範囲とすることができる。
本明細書において、「斜方蒸着方向」は、透光性基材の蒸着面から見た蒸着源の方向である。
本発明の複屈折素子は、前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜が、0.001Pa以上の真空度で成膜されたものであることが好ましい。
本発明の複屈折素子は、前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜が、基材温度200℃以下で成膜されたものであることが好ましい。
本発明の複屈折素子は、前記透光性基材に対して正面方向に気相成長された無機正面気相成長膜をさらに備えた構成とすることができる。無機正面気相成長膜の成膜法は特に制限なく、スパッタ法やCVD法等が挙げられる。
本発明の複屈折素子が、液晶層を挟持して対向配置された一対の基板を備え、該一対の基板に前記液晶層に電圧を印加する電極が設けられた液晶セルと組み合わされて使用されるものである場合、前記無機正面気相成長膜は、略一軸配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行い、前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜は、ハイブリッド配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行うことができる。
本発明の複屈折素子において、光入射側及び/又は光出射側の最表面に反射防止層が備えられていることが好ましい。
本発明の液晶装置は、液晶層を挟持して対向配置され、電圧無印加時の前記液晶層内の液晶分子の配向を規定する配向膜を有する一対の基板を備え、該一対の基板に前記液晶層に電圧を印加する電極が設けられた液晶セルに、上記の本発明の複屈折素子が対向配置されたことを特徴とするものである。
本発明の投射型表示装置は、光源と、該光源から出射された光を変調する、上記の本発明の液晶装置からなる光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射光学系とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の複屈折素子は、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜の空孔の平均断面積を10〜7500nmに規定したものである。
上記構成の本発明によれば、製造工程を増やすことなく低コストに、しかも安定的に湿度依存性を改善することができ、複屈折性、透過率、ヘーズ値等の光学特性も良好な無機の複屈折素子を提供することができる。
本発明によれば、60℃相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置したときのレターデーション値の減少率が、30%以下である無機の複屈折素子を実現することができる。
「第1実施形態の複屈折素子、液晶装置」
図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の複屈折素子及びこれを備えた液晶装置について説明する。本実施形態では、電圧無印加時に明状態となるノーマリホワイトモードのTNモードの透過型液晶装置を例として説明する。また、プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載され、特定波長域の色光(赤色光、緑色光、青色光のうちいずれか)を変調する光変調装置として用いられる液晶装置を例として説明する。本実施形態は、特に光学系への影響が大きい紫外光に近い青色光(例えば、430nm)用の液晶装置に好ましく適用できる。
図1は複屈折素子の厚み方向断面図であり、図2は液晶装置の同方向の断面構造を示す概略構成図である(図2ではハッチング省略)。図1及び図2においては、図示上側が光入射側、図示下側が光出射側である。図中、光源から出射され第1の偏光子31に入射する光に符号L1、液晶セル20から出射され複屈折素子1に入射する光に符号L2、複屈折素子1から出射され第2の偏光子32に入射する光に符号L3、第2の偏光子32から出射される光に符号L4を付してある。
図1に示す如く、本実施形態の複屈折素子1は、透光性基材11の光入射側の表面に、略一軸配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う第一位相差補償層12と、ハイブリッド配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う第二位相差補償層13とが積層された位相差補償素子である。
第一位相差補償層12は複数の無機正面蒸着膜(無機正面気相成長膜)12A、12Bにより構成され、第二位相差補償層13は複数の無機斜方蒸着膜13A〜13Dにより構成されている。
複屈折素子1においては、第二位相差補償層13の表面及び透光性基材11の光出射側の表面(光入射側及び光出射側の最表面)に各々、反射防止層14、15が形成されている。
図2に示す如く、本実施形態の複屈折素子1は、電圧無印加時に明状態となるノーマリホワイトモードのTNモードの透過型液晶装置40に使用されるものである。
透過型液晶装置40は、液晶層27を挟持して対向配置された一対の基板(ガラス基板等)21、22からなる液晶セル20を基本構成とするものである。液晶装置40において、基板21が光入射側の基板、基板22が光出射側の基板であり、基板21の内面に電極23と配向膜25とが積層形成され、基板22の内面にも同様に電極24と配向膜26とが積層形成されている。液晶装置40はTNモードであるので、配向膜25と配向膜26の配向軸は互いに直交する関係にある。図では、配向膜25の配向軸が図示左右方向、配向膜26の配向軸が図示紙面垂直方向の場合について図示してある。
液晶装置40はパッシブマトリクス型又はアクティブマトリクス型の駆動方式を採用することができ、駆動方式に応じて、電極23及び電極24のパターンが設計される。例えば、アクティブマトリクス型の場合、電極23、24のうち一方は多数の画素電極により構成され、他方は1個の共通電極により構成される。
液晶セル20の光入射側の面(基板21の外面)に第1の偏光子31が対向配置され、液晶セル20の光出射側の面(基板22の外面)に複屈折素子1及び第2の偏光子32が対向配置されている。第1の偏光子31/液晶セル20/複屈折素子1/第2の偏光子32は互いに接合されることが好ましい。ただし、これらは互いに微小間隙を空けて離間配置されてもよい。
光源からの出射光L1は第1の偏光子31を介して液晶セル20に入射し、液晶セル20からの出射光L2は複屈折素子1に入射し、複屈折素子1からの出射光L3が第2の偏光子32に入射し、第2の偏光子32からの出射光L4が観察者側に出射されるようになっている。
ノーマリホワイトモードにおいては、第1の偏光子31及び第2の偏光子32は、偏光軸が互いに直交するクロスニコル配置とされる。本実施形態では、第1の偏光子31の偏光軸と配向膜21の配向軸が一致し、第2の偏光子32の偏光軸と配向膜22の配向軸が一致するよう、設計されている。
液晶層27内の液晶分子27mは、電圧無印加時には配向膜25、26による規制を受けて、ツイスト配向状態(ツイスト角90°)となり、電圧印加時には電極23、24間に発生する縦電界に沿って配向が変化し、略垂直配向状態(略一軸配向状態)となる。
電圧印加時には上記の如く、液晶層27内の液晶分子27mは全体的に略垂直配向状態(略一軸配向状態)となるが、配向膜25、26近傍については配向膜の影響を受けて、略垂直方向から配向膜の配向方向に向けて連続的に液晶分子27mの配向方向が変化するハイブリッド配向状態が現れることがある。
図2は電圧印加時の状態を示す図であり、液晶層27の略垂直配向状態の領域に符号V、ハイブリッド配向状態の領域に符号Hを付してある。なお、図では、ハイブリッド配向状態を説明しやすくするため、配向膜25、26に接した液晶分子27mの長軸方向が配向膜25、26の配向方向と略完全に一致している場合について図示してあるが、実際には、ハイブリッド配向状態の領域Hにおける液晶分子27mの配向不良のレベルは図示よりはるかに小さいものである。
本実施形態の複屈折素子1において、第一位相差補償層12は、電圧印加時に略垂直配向状態となる液晶分子27mの複屈折性に対して位相差補償を行う層であり、第二位相差補償層13は、電圧印加時に配向膜25、26近傍の液晶分子27mが配向膜25、26の影響を受けて、略垂直方向から配向膜の配向方向に向けて連続的に液晶分子27mの配向方向(チルト角等)が変化しハイブリッド配向状態となる液晶分子27mの複屈折性に対して位相差補償を行う層である。
(複屈折素子1の層構成)
以下、複屈折素子1の層構成について詳述する。本実施形態の複屈折素子1は無機の複屈折素子であり、すべての構成要素が無機材料により構成されている。本実施形態では、特に第二位相差補償層13の構成が特徴的である。
<透光性基材>
透光性基材11の材質は特に制限なく、ガラス、サファイヤ、水晶等が挙げられる。形状も特に制限なく、板状等が好ましい。本実施形態では、透光性基材11として液晶セル及び偏光子とは別個の基材を用いているが、液晶セルの基板又は偏光子を透光性基材11として用いることも差し支えない。
<第一位相差補償層>
第一位相差補償層12は、電圧印加時に略垂直配向状態(略一軸配向状態)となる液晶分子27m(図2で示す領域Vの液晶分子27m)の複屈折性に対して位相差補償を行う層である。
第一位相差補償層12は一軸性の負の複屈折性を示し、いわゆる負のC-plateの性質を示す層である。第一位相差補償層12は、相対的に屈折率の高い高屈折率膜12Aと相対的に屈折率の低い低屈折率膜12Bとが交互に積層された多層膜からなり、高屈折率膜12Aと低屈折率膜12Bはいずれも、誘電材料を透光性基材11の蒸着面に対して略垂直方向に蒸着した無機正面蒸着膜(無機正面気相成長膜)からなっている。高屈折率膜12Aと低屈折率膜12Bとを2層ずつ積層したものについて図示してあるが、層数については適宜設計できる。
高屈折率膜12Aと低屈折率膜12Bはいずれも、物理的膜厚と屈折率との積である光学膜厚が複屈折素子1に入射する入射光L2の基準波長λの1/100〜1/5、好ましくは1/50〜1/5、特に好ましくは1/30〜1/10とされている。
上記構成の第一位相差補償層12は、垂直入射光に対しては、電場が各膜の平面に平行に振動する波(TE波)だけになるため、複屈折性を示さない。これに対して、斜方入射光に対しては、電場が各膜に平行に振動する波(TE波成分)と電場が各膜に垂直に振動する波(TM波成分)とで有効屈折率NTE,NTMが異なり、複屈折性を示す。複屈折率Δnは、高屈折率膜12A及び低屈折率膜12Bの各々の屈折率と膜厚によって求められ、高屈折率膜12A及び低屈折率膜12Bの屈折率に差があるほど大きい値となる(光学第27巻第1号(1998)p. 12−17等参照)。
有効屈折率NTE,NTM及び複屈折率Δnは、下記式で表される。
TE=√{(an1 2+bn2 2)/(a+b)}
TM=√〔(a+b)/{(a/n1 2)+(b/n2 2)}〕
Δn=NTM−NTE
式中、n,nは各々高屈折率膜12A,低屈折率膜12Bの屈折率、a,bは各々、高屈折率膜12A,低屈折率膜12Bの物理的膜厚である。
すなわち、第一位相差補償層12は、電圧印加時に全体的に液晶分子27mが略垂直配向状態(略一軸配向状態)となる液晶層27が有する斜方入射光に対する複屈折性に対する位相差補償機能を有する層である。
第一位相差補償層12のレターデーション値Re=d・Δnは特に制限されず、良好な位相差補償機能を呈することから、第一位相差補償層12のレターデーション値をRe(0)とし、液晶層27の最大電圧印加時のレターデーション値をRe(LC)としたとき、下記条件を充足することが好ましい。
最大電圧印加時に液晶層27内において略垂直配向状態となる液晶分子27mの割合は、液晶の種類、セルギャップ、最大電圧値等によって異なる。例えば、液晶の種類とセルギャップが同一の条件であれば、最大電圧値が大きいほど略垂直配向状態となる液晶分子27mの割合が大きく、略垂直配向状態となる液晶分子27mによる複屈折性が大きくなる傾向にある。
また、第二位相差補償層13は液晶分子27mと同様に正の複屈折率を有するので、電圧印加時には液晶分子27mだけでなく、第二位相差補償層13も正のレターデーションを生じさせる要因となるから、第二位相差補償層13のレターデーション値Reも考慮する必要がある。例えば、第二位相差補償層13の厚み等に応じて、第一位相差補償層12の厚み等を考慮する必要がある。
本発明者らは上記点を考慮して、第一位相差補償層12のレターデーション値Re(0)と液晶層27の最大電圧印加時のレターデーション値をRe(LC)とが下記式(i)を充足することで、良好な位相差補償機能を呈することを見出している。
−2×Re(LC)≦Re(0)≦−0.5×Re(LC)・・・(i)
レターデーション値Re(0)=d・Δnにおいて、dは第一位相差補償層12の全体の膜厚、Δnは第一位相差補償層12の全体の複屈折率である。したがって、上記式(i)を充足するよう、高屈折率膜12A及び低屈折率膜12Bの各々の屈折率と膜厚、及び第一位相差補償層12の全体の膜厚dを設計すればよい。
また、Re(LC)は液晶装置40に入射する入射光L1の波長によって変わるから、入射光L1の基準波長λに対するRe(LC)を求め、上記式(i)を充足するようRe(0)を決定することが好ましい。
高屈折率膜12A、低屈折率膜12Bの構成材料としては特に制限なく、蒸着容易性や透光性等を考慮すれば、TiO(2.2〜2.4)、ZrO(2.20)、SiO(1.40〜1.48)、MgF(1.39)、CaF(1.30)、CeO(2.45)、SnO(2.30)、Ta(2.12)、In(2.00)、ZrTiO (2.01)、HfO(1.91)、Al(1.59〜1.70)、MgO(1.70)、ALF 、ダイヤモンド薄膜、LaTiO、酸化サマリウム等から、相対的に屈折率の高い材料と相対的に屈折率の低い材料とを選択して用いることが好ましい。高屈折率膜12A及び低屈折率膜12Bは各々、2種以上の上記構成材料を含むものであってもよい。( )内の数値は屈折率の概略値である。
高屈折率膜12A/低屈折率膜12Bの好適な構成材料の組合せとしては、TiO/SiO、Ta /Al 、HfO/SiO 、MgO/MgF 、ZrTiO/Al、CeO/CaF、ZrO/SiO、ZrO/Al等が挙げられる。
<第二位相差補償層>
第二位相差補償層13は、電圧印加時に配向膜25、26近傍の液晶分子27mが配向膜25、26の影響を受けて、略垂直方向から配向膜の配向方向に向けて連続的に液晶分子27mの配向方向が変化しハイブリッド配向状態となる液晶分子27mの複屈折性に対して位相差補償を行う層である。
第二位相差補償層13は正の複屈折率を有し、いわゆるO-plateの性質を有する層である。
第二位相差補償層13は、無機斜方蒸着膜13A〜13Dにより構成されている。本実施形態では、第二位相差補償層13をなす無機斜方蒸着膜が4層の場合を例として説明するが、第二位相差補償層13をなす無機斜方蒸着膜の数は適宜設計できる。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dはいずれも、誘電材料を透光性基材11の表面に対して斜め方向に蒸着して成膜された膜である。無機斜方蒸着膜13A〜13Dは、図4に断面を模式的に示すように、基材面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体Xと、多数の柱状構造体Xの間に形成され、柱状構造体Xと略同方向に延びる多数の空孔Yとからなる膜構造を有する。
図4(a)、(b)は、基材Bとその上に形成された2種類の無機斜方蒸着膜M1、M2を示す図である。無機斜方蒸着膜M1と無機斜方蒸着膜M2とは、柱状構造体X及び空孔Yの大きさが異なっている。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dは、柱状構造体Xと空孔Yとからなる構造によって複屈折性を示す。常光に対する屈折率n、異常光に対する屈折率n、及び偏光分離角φは、各々下記式で表される。
式中、nは空孔Yの屈折率、nは柱状構造体Xの屈折率、qは膜中において柱状構造体Xが占める割合(充填率、空孔がない場合q=1)である。
上記式で示されるように、無機斜方蒸着膜13A〜13Dでは、屈折率の比較的大きな材料で、適当な空孔率を有するように柱状構造体Xを成長することで、複屈折性が増して、より高い位相差補償機能が得られる。
「背景技術」の項において、無機斜方蒸着膜は有機膜に比して湿度依存性が大きい傾向にあることを述べた。無機斜方蒸着膜は上端が開口した多数の空孔Yを有しているので、無機斜方蒸着膜の湿度依存は、外部から空孔Yに水分が出入して空孔Yの屈折率が変化することによって起こると考えられる。
本発明者は、無機斜方蒸着膜は空孔Yの大きさによって湿度依存性が大きく異なり、空孔Yの大きさを規定することで、良好な湿度依存性の改善効果が得られることを見出している。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dの中では、上層に行く程、水分の出入が起こりやすく、湿度依存性が大きくなる傾向にある。したがって、本発明者は、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yの大きさを規定することで、湿度依存性の改善効果が効果的に得られることを見出している。
本発明者は、無機斜方蒸着膜13A〜13Dのうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yが大きい程、湿度依存性が改善される傾向にあり、具体的には、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yの平均断面積を10nm以上、好ましくは20nm以上とすることで、良好な湿度依存性の改善効果が得られることを見出している。本発明者はこの理由を以下のように推察している。
図4(a)、(b)に示す無機斜方蒸着膜M1、M2は、同じ空孔率(例えば50%)を有するが、無機斜方蒸着膜M1は柱状構造体X及び空孔Yの径が相対的に大きい膜であり、無機斜方蒸着膜M2は柱状構造体X及び空孔Yの径が相対的に小さい膜である。
図4(b)に示す如く、空孔Yの小さい無機斜方蒸着膜M2では、毛細管吸引現象により空孔Yに水分Hが吸引されやすく、しかも小さい空孔Yはごく少量の水分Hによって容易に閉塞されると考えられる。空孔Yが水分Hにより閉塞される、あるいはそれに近い状態になると、柱状構造体Xの屈折率と空孔Yの屈折率との差が小さくなり、複屈折性(レターデーション値Re)が低下すると考えられる。
これに対して、図4(a)に示す如く、空孔Yの大きい無機斜方蒸着膜M1では、毛細管吸引現象による水分Hの吸引力が小さく、しかも大きい空孔Yは無機斜方蒸着膜M2と同量の水分Hを吸着しても空隙に余裕があり、空孔Y全体が閉塞されるには到らない。かかる膜構造では、水分Hの吸着による空孔Yの屈折率の変化が抑えられ、複屈折性(レターデーション値Re)の変化が抑えられると考えられる。
一般的に、細孔内への物質の吸着はその径によって異なる挙動を示す。径の小さいマイクロ孔(一般に径2.0μm以下により定義される。)は、孔の内壁同士が互いに接近しているため、孔の内壁からのvan der Waalsポテンシャルが重なり、吸着物質に作用する力はメソ孔やマクロ孔に比べて大きく、低い飽和蒸気圧下においても吸着量が多くなる傾向にある。
上記を考慮して、本発明者は、無機斜方蒸着膜13A〜13Dのうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yの平均断面積を10nm以上、好ましくは20nm以上とすることで、van der Waalsポテンシャルによる水分の吸着を抑えることができると考えている。また、水分子の分子サイズは約0.3nmである。したがって、空孔Yの平均断面積が10nm以上、好ましくは20nm以上であれば、空孔Yの内壁に水分子が数層吸着しても、充分な空隙が残されると考えている。
本発明者は、上記条件を充足することで、60℃相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置したときのレターデーション値Reの減少率が、30%以下である複屈折素子1を実現できることを見出している。本発明者は、上記レターデーション値Reの減少率が、10%以下である複屈折素子1を実現できることも見出している。
空孔Yは大きくなる程、湿度依存性の改善効果は大きくなるが、空孔Yが大きくなりすぎると、柱状構造体Xを均一に成長させることが難しく、均一な膜構造を得るのが難しくなり、内部ヘーズも大きくなる傾向にある。
本発明者は、無機斜方蒸着膜13A〜13Dのうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yの平均断面積を7500nm以下、好ましくは2000nm以下とすることで、複屈折性、透過率、ヘーズ値等の光学特性が良好な膜を安定的に成膜できることを見出している。
湿度依存性の改善効果と、複屈折性、透過率、ヘーズ値等の光学特性とを考慮して、本実施形態では、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔Yの平均断面積を10〜7500nm、好ましくは20〜2000nmとする。
少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dが上記条件を充足すればよく、無機斜方蒸着膜13A〜13Dのうち上記条件を充足する膜の数は多い程、好ましい。
上記条件を充足する無機斜方蒸着膜は、斜方蒸着条件を調整することで、安定的に成膜できる。斜方蒸着条件は、膜が緻密にならない条件とする。
(1)斜方蒸着方向(蒸着面から見た蒸着源の方向)の極角(蒸着面の法線方向からの角度)が正面蒸着の条件に近くなる程、空孔Yが小さくなる傾向にある。斜方蒸着方向の極角は、正面蒸着の条件から離れる方が好ましく、具体的には40°以上90°未満が好ましい。
斜方蒸着方向の極角は、柱状構造体Xの構造性複屈折の効率のよい発現を考慮すれば大きい方が好ましく、50°以上、特に60°以上が好ましい。斜方蒸着方向の極角は90°付近では成膜速度が遅く生産効率が低下するため、成膜速度を考慮すれば、85°未満、特に80°未満が好ましい。
斜方蒸着方向の極角を40°以上90°未満として蒸着を行った場合、柱状構造体Xの光軸の極角β(図3を参照)は、0°以上50°未満となる。
(2)真空度が高い程、緻密な膜が形成される傾向にある。真空度は0.001Pa以上が好ましく、0.01Pa以上がより好ましい。また、真空度が低くなりすぎると、柱状構造体Xを均一に成長させることが難しくなり、内部ヘーズが大きくなる傾向にあるので、真空度は0.01〜0.1Paが特に好ましい。
(3)基材温度は高温になる程、緻密な膜が形成される傾向にある。基材温度は200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、非加熱が特に好ましい。
上記条件(1)〜(3)は少なくとも一つを充足すればよい。
無機斜方蒸着膜の成膜に際しては、水晶式の膜厚監視モニタ等によって、膜厚dをモニタリングしながら斜方蒸着を実施することが好ましい。また、エリプソメータ等によって複屈折率Δnを測定しながら斜方蒸着を実施することが好ましい。かかるモニタリングを実施することで、所望のレターデーション値Reを有する無機斜方蒸着膜を安定的に成膜することができる。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dの構成材料は誘電材料であれば制限なく、斜方蒸着容易性や透光性、屈折率等を考慮すれば、Ti、Si、Zr、Ta等の金属の酸化物、又は窒化物、又は酸窒化物等が好ましい。かかる材料は、屈折率が比較的高いので、屈折率が比較的低い材料を用いる場合に比して、同じレターデーション値Reの条件において、膜厚を比較的薄くすることができ、透光性等の点で好ましい。上記例示材料を用いることで、複屈折素子1に入射する光L2の基準波長の透過率が75%以上、好ましくは80%以上であり、ヘーズ値が1%以下、好ましくは0.7%以下である複屈折素子1を安定的に提供することができる。透過率及びヘーズ値がかかる条件を充足すれば、液晶装置40の明るさやコントラスト等の品質が良好となり、好ましい。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dは同一材料により構成してもよいし、異なる材料により構成してもよい。また、各無機斜方蒸着膜13A〜13Dは2種以上の上記構成材料を含むものであってもよい。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dは、結晶性を有しても有していなくてもよい。本発明者は、TiO及び/又はZrOからなる無機斜方蒸着膜では、空孔Yの大きさが同じでも、結晶構造を有する方が湿度依存性が大きく、アモルファス構造を有する方が湿度依存性が小さくなる傾向にあることを見出している。
TiOとZrOはいずれも光触媒として知られ、結晶性が高いものは光触媒性が高く、(超)親水性を示すことが知られている。(超)親水性を示す膜では、吸湿性が大きくなるため湿度依存性が大きくなると考えられ、光触媒性が小さく親水性が低いアモルファス構造の方が湿度依存性が小さくなると考えられる。
材料に関係なく上記傾向があるのか、上記傾向が光触媒の(超)親水性と関係しているのかは、定かではない。いずれにせよ、湿度依存性の改善効果を考慮すれば、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13DがTiO及び/又はZrOからなる場合には、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dは、アモルファス構造を有することが好ましい。無機斜方蒸着膜がアモルファス構造を有するか否かは、粉末X線回折測定により判定することができる。
第二位相差補償層13をなす4層の無機斜方蒸着膜13A〜13Dは各々、斜方蒸着方向が異なっていることが好ましい。「斜方蒸着方向が異なる」とは、斜方蒸着方向(蒸着面から見た蒸着源の方向)の方位角及び/又は極角が異なることを意味する。
図3に基づいて、無機斜方蒸着膜13A〜13Dの光軸(柱状構造体Xの光軸)について具体的に説明する。同図には、配向膜25、26の配向軸についても合わせて図示してある(膜の配列順序は適宜変えてある)。
図3は、第i番目(1≦i≦4)に成膜された無機斜方蒸着膜の光軸ベクトルP(x,y,z)を示すものである。また、透光性基材11の蒸着面に符号11Sを付してある。液晶セル20の複屈折素子1に近い側に位置する配向膜26の配向軸をx軸、配向膜26の面においてx軸と直交する軸をy軸、配向膜26の面に垂直な軸をz軸とし、各軸の+方向を図示してある。なお、原点、x〜z軸、各軸の±方向は便宜上定めたものであり、基準は適宜定めることができる。配向膜26の配向軸に符号X、配向膜25の配向軸に符号Yを付してある。
第i番目の無機斜方蒸着膜の光軸は、xy方向ベクトルP(x,y)とx軸とのなす角である方位角αと、xyz方向ベクトルP(x,y,z)とz軸とのなす角である極角βとによって、特定される。方位角αは便宜上、図示反時計回り方向を+方向としてある。
ハイブリッド配向状態の液晶分子27mの複屈折性に対する位相差補償機能が良好となることから、無機斜方蒸着膜13A〜13Dは各々、斜方蒸着方向の方位角及び/又は極角が異なる条件で成膜されることが好ましい。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dのそれぞれの斜方蒸着方向は特に制限されない。ただし、ハイブリッド配向状態の液晶分子27mの複屈折性に対する位相差補償機能が良好となることから、下記条件を充足することが好ましい。
無機斜方蒸着膜13A〜13Dはいずれも、xy方向ベクトルP(x,y)が、x軸、すなわち液晶セル20の複屈折素子1に近い側に位置する配向膜26の配向方向Xと一致しないことが好ましい。
さらに、無機斜方蒸着膜13A〜13Dの光軸ベクトルP(x,y,z)を各々下記式(ii)から求め、無機斜方蒸着膜13A〜13Dの光軸ベクトルの合成ベクトル(ΣP)を求め、そのxy成分(Ax,Ay)を求めたとき、Ax及びAyが下記式(iii)を充足することが好ましい。上記合成ベクトルは、複数の無機斜方蒸着膜13A〜13Dの平均的な光軸ベクトルに相当する。
(x,y,z)=(Re(i)×cosα×sinβ,Re(i)×sinα×sinβ,Re(i)×cosβ)・・・(ii)
0nm≦|Ax|≦100nm、50nm≦|Ay|≦200nm・・・(iii)
(反射防止層)
反射防止層14、15は複屈折素子1の表面反射を防止し、光の利用効率を高める層である。
反射防止層14、15としては特に制限なく、低屈折率材料であるMgFを光学膜厚λ/4で形成した単層膜、異種の蒸着材料を積層した複層膜(例えば、SiO膜(光学膜厚λ/4)/TiO膜(光学膜厚λ/2)/SiO膜(光学膜厚λ/4)の3層構造の複層膜)等が好ましい。反射防止層14と反射防止層15とは、同一の層構造でも異なる層構造でもよい。λは入射光L2の基準波長である。
上記の如く、光入射側及び光出射側の最表面に各々反射防止層14、15を設ける構成とすることが好ましいが、光入射側及び/又は光出射側の最表面に反射防止層を設ける構成とすればよい。
本実施形態の複屈折素子1及び液晶装置40は、以上のように構成されている。
本実施形態の複屈折素子1は、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜13Dの空孔の平均断面積を10〜7500nmに規定したものである。
かかる構成の本実施形態によれば、製造工程を増やすことなく低コストに、しかも安定的に湿度依存性を改善することができ、複屈折性、透過率、ヘーズ値等の光学特性も良好な無機の複屈折素子1を提供することができる。
本実施形態によれば、60℃相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置したときのレターデーション値Reの減少率が、30%以下である無機の複屈折素子1を実現することができる。本実施形態によれば、上記のレターデーション値Reの減少率が、10%以下である無機の複屈折素子1を実現することもできる。
本実施形態の複屈折素子1は無機の複屈折素子であるので、耐熱性、耐光性、及び化学的安定性等に優れ、熱や光の過酷な条件においても長期使用安定性に優れたものであり、プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される液晶装置用等として好適である。
本実施形態の複屈折素子1を備えた液晶装置40は、位相差が良好に補償され、コントラストや視野角等の表示品質に優れ、投射型表示装置の使用条件においても長期使用安定性に優れたものとなる。
「第2実施形態の複屈折素子」
図面を参照して、本発明に係る第2実施形態の複屈折素子について説明する。第1実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付して、説明は省略する。
図5に示す如く、本実施形態の複屈折素子2は、略一軸配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う第一位相差補償層12がなく、透光性基材11の光入射側の表面に、ハイブリッド配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う、単層の無機斜方蒸着膜13Aからなる第二位相差補償層13が積層された位相差補償素子である。
複屈折素子2においては、第1実施形態と同様、第二位相差補償層13の表面及び透光性基材11の光出射側の表面(光入射側及び光出射側の最表面)に各々、反射防止層14、15が形成されている。
本実施形態の複屈折素子2では、無機斜方蒸着膜が単層しかないので、無機斜方蒸着膜13Aが最上層に位置する無機斜方蒸着膜である。本実施形態では、無機斜方蒸着膜13Aの空孔Yの平均断面積を10〜7500nm、好ましくは20〜2000nmとすることで、第1実施形態と同様の効果が得られる。
「設計変更」
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明の複屈折素子は、上記実施形態の複屈折素子1及び/又は複屈折素子2を複数重ねた素子構成でもよい。かかる構成では、反射防止層は、少なくとも複数の複屈折素子1及び/又は複屈折素子2を重ねた状態の光入射側及び/又は光出射側の最表面に設ける構成とすればよい。
複屈折素子を液晶セルの光出射側にのみ配置する場合について説明したが、透過型液晶装置では、複屈折素子を液晶セルの光入射側及び/又は光出射側に配置することができる。
ノーマリーホワイトモードのTNモードの透過型液晶装置を例として説明したが、本発明の複屈折素子は、VAN方式やLCOSなどの他のタイプの液晶装置にも使用することができる。
投射型表示装置搭載用の液晶装置について説明したが、本発明の複屈折素子は、単独でディスプレイとして使用される液晶装置用としても使用することができる。本発明の複屈折素子は、液晶装置以外の用途にも使用することができる。
「投射型表示装置」
図6に基づいて、本発明に係る実施形態の投射型表示装置について説明する。本実施形態は、赤色光L(R)、緑色光L(G)、青色光L(B)を各々変調する液晶装置(光変調装置)40R、40G、40Bを搭載したフルカラーの投射型表示装置である。本実施形態では、プロジェクタを例として説明する。
液晶装置40R、40G、40Bはいずれも上記実施形態の液晶装置40からなり、各々上記第1実施形態の複屈折素子1である複屈折素子1R、1G、1Bが用いられている。複屈折素子1R、1G、1Bは同一の光学特性を有するものでもよいが、液晶層27のレターデーション値Re(LC)は入射光の波長によって変わるから、変調対象の色光の基準波長に応じて位相差補償機能が最適化された光学特性の異なる複屈折素子1R、1G、1Bを用いることが好ましい。
液晶装置40R、40G、40Bの複屈折素子1R、1G、1B以外の構成要素(液晶セル20及び偏光子31、32)は同一である。
本実施形態の投射型表示装置50は、1個の光源52と、光源52から出射された光を赤色光L(R)、緑色光L(G)、青色光L(B)に分離する色光分離光学系(符号略)と、赤色光L(R)、緑色光L(G)、青色光L(B)を各々変調する3個の液晶装置(光変調装置)40R、40G、40Bと、液晶装置40R、40G、40Bにより変調された光を合成する合成プリズム64(合成光学系)と、合成プリズム64により合成された光を投射する投射レンズ65(投射光学系)とから概略構成されている。
光源52は、高圧水銀ランプ、発光ダイオード(LED)、レーザ等からなり、光源52と色光分離光学系との間には、光源52から出射された光から不要な紫外光及び赤外光をカットするカットフィルタ53と、カットフィルタ53から出射された白色光をホモジナイズするインテグレータ(ロッドレンズ等)54と、インテグレータ54からの出射光を平行光束化するリレーレンズ55及びコリメートレンズ56と、コリメートレンズ56からの出射光を色光分離光学系側に反射させるミラー57とが設けられている。
色光分離光学系は、ダイクロイックミラー58R、58G、及びミラー58B、60により構成されている。
ミラー57で反射された白色光は、赤色光L(R)を選択的に透過し、他の波長域の光を反射するダイクロイックミラー58Rに入射し、分離される。ダイクロイックミラー58Rにより分離された赤色光L(R)は液晶装置40Rに入射し、画像信号に応じて変調される。ダイクロイックミラー58Rにより反射された光は、緑色光L(G)を選択的に反射し、他の波長域の光を透過するダイクロイックミラー58Gに入射し、分離される。ダイクロイックミラー58Gにより分離された緑色光L(G)は液晶装置40Gに入射し、画像信号に応じて変調される。ダイクロイックミラー58Gを透過した青色光L(B)は、ミラー58B及び60により反射され、液晶装置40Bに入射し、画像信号に応じて変調される。
液晶装置40R、40G、40Bにより変調された光は各々、同一の合成プリズム64(合成光学系)に入射する。合成プリズム64はその内部に2つのダイクロイック面64a,64bを有し、液晶装置40R、40G、40Bからの出射光を合成して一方向に出射する。本実施形態の投射型表示装置50はスクリーン70と組み合わせて使用され、合成プリズム64から出射された合成光は、投射レンズ65(投射光学系)を介してスクリーン70に拡大投射される。
本実施形態の投射型表示装置50は以上のように構成されている。本実施形態の投射型表示装置50は、上記実施形態の液晶装置40である液晶装置40R〜40Bを用いたものであるので、湿度依存性や光学特性に優れたものとなる。
液晶装置40R〜40Bがいずれも本発明の無機の複屈折素子を備える場合について説明したが、液晶装置40R及び/又は液晶装置40Gについては有機の複屈折素子を用いる構成としてもよい。紫外光に近い青色光L(B)は、赤色光L(R)及び緑色光L(G)よりも、複屈折素子に与える影響がはるかに大きい。したがって、少なくとも青色光L(B)用の液晶装置40Bについて、耐熱性や耐光性が良好な本発明の無機の複屈折素子を用いる構成とすればよい。
本実施形態では、プロジェクタを例として説明したが、本発明はリアプロジェクションディスプレイ等にも適用可能である。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
以下の手順にて、透光性基材の表面に単層の無機斜方蒸着膜を備えた、青色光(基準波長430nm)用の複屈折素子を製造した。
透光性基材としては、アセトンで洗浄し充分に乾燥したガラス基板(コーニング社製1737ガラス、50×50mm)を用いた。無機斜方蒸着膜の組成はZrO/TiO=90/10(質量比)の混合物とした。
蒸着装置として、斜方蒸着方向の方位角及び極角を変更できる基材治具を有する電子ビーム蒸着装置を用いた。用いた蒸着装置には、成膜中の蒸着膜の複屈折率を測定できるエリプソメータ、及び成膜中の蒸着膜の膜厚を測定できる水晶式膜厚計が備えられている。基材から見て蒸着源の方向が方位角−137°/極角80°となる位置に、基材をセットした(この蒸着源の方向が斜方蒸着方向である。)。
装置内の圧力を1×10−4Paとなるまで真空排気し、圧力が1×10−2Paになるまで酸素ガスを導入した。この真空度で加熱を行わず、斜方蒸着を実施して、レターデーション値Re=150nm(測定波長430nm)の無機斜方蒸着膜を成膜した。
得られた無機斜方蒸着膜の表面と断面について、SEM観察を実施した。表面写真及び断面写真を図7(a)、(b)に示す。
無機斜方蒸着膜は、基材面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体と、多数の柱状構造体の間に形成され、柱状構造体と略同方向に延びる多数の空孔とからなる膜構造を有するものであり、空孔の表面形状は略三角形状であった。空孔の平均断面積は約700nmであった。柱状構造体の光軸は極角β=45°の方向であった。粉末X線回折測定を実施したところ、無機斜方蒸着膜はアモルファス構造であった。
得られた複屈折素子は、測定波長430nmにおける透過率が85%、ヘーズ値が0.9%であった。
得られた複屈折素子を60℃相対湿度90%の雰囲気下に静置し、湿度依存性を評価した。1時間後、1日後、及び3日後に、レターデーション値Re、透過率、及びヘーズ値を測定した。結果を表1に示す。得られた複屈折素子は湿度依存性が小さく、高温高湿環境下においても、レターデーション値Reは製造直後の150nmからほとんど変化しなかった。透過率及びヘーズ値もほとんど変化が見られなかった。
得られた複屈折素子を液晶プロジェクタの液晶セルに取り付けてコントラストを測定したところ、複屈折素子を取り付ける前のコントラスト値556に対して、コントラスト値は約2倍の1125となった。また、この値は、上記の湿度依存性評価試験の前後で変化しなかった。
(比較例1)
比較例1においても、透光性基材の表面に単層の無機斜方蒸着膜を備えた、青色光(基準波長430nm)用の複屈折素子を製造した。
装置内の圧力を1×10−4Paとなるまで真空排気し、圧力が5×10−3Paになるまで酸素ガスを導入し、この真空度で基材を300℃に加熱して斜方蒸着を実施した以外は、実施例1と同様にして、レターデーション値Re=150nm(測定波長430nm)の無機斜方蒸着膜を成膜した。
得られた無機斜方蒸着膜の表面と断面について、SEM観察及びTEM観察を実施した。無機斜方蒸着膜は、基材面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体(光軸は極角β=45°の方向)からなる膜構造であり、空孔の平均断面積はTEM分解能以下(5nm以下)であった。
粉末X線回折測定を実施したところ、無機斜方蒸着膜はアモルファス構造であった。
得られた複屈折素子は、測定波長430nmにおける透過率が83%、ヘーズ値が0.6%であった。
実施例1と同様に、湿度依存性を評価した。結果を表1に示す。得られた複屈折素子は湿度依存性が大きく、高温高湿環境下に載置すると、レターデーション値Reは製造直後の150nmから大きく低下し、3日後にはほぼ半減した。
得られた複屈折素子を液晶プロジェクタの液晶セルに取り付けてコントラストを測定したところ、複屈折素子を取り付ける前のコントラスト値556に対して、コントラスト値は約2倍の1055となった。しかしながら、この値は、上記の湿度依存性評価試験の後には、751に低下した。
本発明の複屈折素子は、液晶装置用等、特に投射型表示装置に搭載される液晶装置用等として、好ましく利用することができる。
本発明に係る第1実施形態の複屈折素子の厚み方向断面図 本発明に係る実施形態の液晶装置の断面構造を示す図 無機斜方蒸着膜の光軸(柱状構造体の光軸)、及び無機斜方蒸着膜の光軸と配向膜の配向軸との関係を示す図 (a)、(b)は無機斜方蒸着膜の空孔と湿度依存性との関係を説明するための図 本発明に係る第2実施形態の複屈折素子の厚み方向断面図 本発明に係る実施形態の投射型表示装置を示す概略構成図 (a)、(b)は、実施例1で得られた無機斜方蒸着膜のSEM写真
符号の説明
1、1R、1G、1B、2 複屈折素子
11 透光性基材
12 第一位相差補償層
12A 高屈折率膜(無機正面気相成長膜)
12B 低屈折率膜(無機正面気相成長膜)
13 第二位相差補償層
13A〜13D 無機斜方蒸着膜
14、15 反射防止層
X 柱状構造体
Y 空孔
40 液晶装置
20 液晶セル
21、22 基板
23、24 電極
25、26 配向膜
27 液晶層
27m 液晶分子
V 電圧印加時に液晶分子が略垂直配向状態(略一軸配向状態)となる領域
H 電圧印加時に液晶分子がハイブリッド配向状態となる領域
50 投射型表示装置
52 光源
40R、40G、40B 液晶装置(光変調装置)
65 投射レンズ(投射光学系)

Claims (15)

  1. 透光性基材の表面に、誘電材料からなる単層又は複層の無機斜方蒸着膜が積層された複屈折素子において、
    前記無機斜方蒸着膜は、前記透光性基材の表面に対して斜め方向に延びる多数の柱状構造体と、該多数の柱状構造体の間に形成され、該柱状構造体と略同方向に延びる多数の空孔とからなる膜構造を有するものであり、
    前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜の前記空孔の平均断面積が10〜7500nmであることを特徴とする複屈折素子。
  2. 透光性基材の表面に、誘電材料からなる単層又は複層の無機斜方蒸着膜が積層された複屈折素子において、
    60℃相対湿度90%の雰囲気下に3日間静置したときのレターデーション値の減少率が、30%以下であることを特徴とする複屈折素子。
  3. 前記無機斜方蒸着膜は、金属酸化物、金属窒化物、及び金属酸窒化物のうち少なくとも1種からなり、
    前記複屈折素子は、該複屈折素子に入射する光の基準波長の透過率が75%以上であり、ヘーズ値が1%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複屈折素子。
  4. 前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜は、アモルファス構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複屈折素子。
  5. 前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜をなす前記柱状構造体の光軸は、前記透光性基材の蒸着面の法線方向から0°以上50°未満の角度方向であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折素子。
  6. 前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜は、0.001Pa以上の真空度で成膜されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複屈折素子。
  7. 前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜は、基材温度200℃以下で成膜されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複屈折素子。
  8. 前記透光性基材に対して正面方向に気相成長された無機正面気相成長膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複屈折素子。
  9. 液晶層を挟持して対向配置された一対の基板を備え、該一対の基板に前記液晶層に電圧を印加する電極が設けられた液晶セルと組み合わされて使用されるものであり、
    前記無機正面気相成長膜は、略一軸配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う層であり、前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜は、ハイブリッド配向状態の液晶分子の複屈折性に対して位相差補償を行う層であることを特徴とする請求項8に記載の複屈折素子。
  10. 光入射側及び/又は光出射側の最表面に反射防止層を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の複屈折素子。
  11. 請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折素子の製造方法であって、
    前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜を、斜方蒸着方向を前記透光性基材の蒸着面の法線方向から40°以上90°未満の角度方向として、成膜することを特徴とする複屈折素子の製造方法。
  12. 請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折素子の製造方法であって、
    前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜を、0.001Pa以上の真空度で成膜することを特徴とする複屈折素子の製造方法。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載の複屈折素子の製造方法であって、
    前記単層又は複層の無機斜方蒸着膜のうち、少なくとも最上層に位置する無機斜方蒸着膜を、基材温度200℃以下で成膜することを特徴とする複屈折素子の製造方法。
  14. 液晶層を挟持して対向配置され、電圧無印加時の前記液晶層内の液晶分子の配向を規定する配向膜を有する一対の基板を備え、該一対の基板に前記液晶層に電圧を印加する電極が設けられた液晶セルに、請求項1〜10のいずれかに記載の複屈折素子が対向配置されたことを特徴とする液晶装置。
  15. 光源と、該光源から出射された光を変調する、請求項14に記載の液晶装置からなる光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射光学系とを備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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