JP2007177661A - 車両の駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速比無限大無段変速機(IVT)を含む車両の駆動制御装置において、CVTが過負荷にならないこと。
【解決手段】アクセル操作量θ、車速V及びエンジン出力マップ36を用いて、エンジン出力Peを演算する。CVT入力軸回転速度ωi、CVT出力軸回転速度ωo及び許容最大エンジン出力マップ37を用いて、許容最大エンジン出力Pemaxを演算する。エンジン出力Pe が許容最大エンジン出力Pemaxを超えている場合、信号出力部31からエンジン制御部38に、エンジン2の出力を低下させるための信号を出力する。エンジン出力制御部38では、燃料供給量調節機構39を介して、エンジン出力Peを低下させる。これにより、CVT伝達動力PCVT を制限する。
【選択図】図1
【解決手段】アクセル操作量θ、車速V及びエンジン出力マップ36を用いて、エンジン出力Peを演算する。CVT入力軸回転速度ωi、CVT出力軸回転速度ωo及び許容最大エンジン出力マップ37を用いて、許容最大エンジン出力Pemaxを演算する。エンジン出力Pe が許容最大エンジン出力Pemaxを超えている場合、信号出力部31からエンジン制御部38に、エンジン2の出力を低下させるための信号を出力する。エンジン出力制御部38では、燃料供給量調節機構39を介して、エンジン出力Peを低下させる。これにより、CVT伝達動力PCVT を制限する。
【選択図】図1
Description
本発明は、変速比無限大無段変速機を含む車両においてエンジン出力を制御する、車両の駆動制御装置に関する。
変速比を無段階で変更することのできる無段変速機構(CVT)、例えばベルト伝動によるCVTでは、動力循環モードがないので、CVTの伝達する動力は、トランスミッションの変速比の変化にかかわらず、常に、エンジン出力よりも小さい。すなわち、図4において、エンジン出力Peに対するCVT伝達動力PCVT の比PCVT /Peが、常に、1より小さい〔(PCVT /Pe)<1〕。
一方、CVTと遊星ギヤ機構を組み合わせ、CVTにトルク循環を生じさせることで出力回転ゼロの状態(ギヤニュートラル)を含む変速状態を実現できる動力循環モードと、エンジントルクを、専らCVTを介してダイレクトに動力を伝達する直結モードとを実現することのできる変速比無限大無段変速機(IVT)が提供されている(例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照)。
特開2002−106709号公報
特表2004−211852号公報
特開2001−21027号公報
IVTでは、動力循環モードが存在するため、低車速において、CVT伝達動力PCVT が、エンジン出力Peを超える領域が存在する。すなわち、比PCVT /Peが1を超える領域〔(PCVT /Pe)≧1〕が存在する。
その領域において、CVT伝達動力PCVT が、CVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超える場合には、CVTの負荷が過大となり、破損するおそれがある。
その領域において、CVT伝達動力PCVT が、CVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超える場合には、CVTの負荷が過大となり、破損するおそれがある。
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、CVTの過負荷の発生を防止することができる、車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、変速比を無段階で変更することのできる無段変速機構(以下、CVTという)と、このCVTの入力軸および出力軸の間に介装された遊星ギヤ機構と、変速比無限大を含む変速比範囲で動力を伝達する動力循環モードを実現するときに連結される動力循環モードクラッチと、CVTのみで動力を伝達する直結モードを実現するときに連結される直結モードクラッチとを含む変速比無限大無段変速機(以下、IVTという)と、検出されたアクセル操作量および検出された車速に基づいて、エンジン出力を演算するエンジン出力演算部と、検出されたCVT速度比(CVT出力軸回転速度/CVT入力軸回転速度)に応じた、許容最大エンジン出力を演算する許容最大エンジン出力演算部と、上記エンジン出力が上記許容最大エンジン出力を超えているときに、エンジンの出力を低下するための信号を出力する信号出力部とを備えることを特徴とするものである。
本発明では、CVTを経由するパワーが、そのときの変速比における許容最大CVT伝達動力を超えることがないので、CVTの破損の発生を確実に防止することができる。
また、上記信号出力部からの信号を入力するエンジン制御部と、エンジン制御部が出力する制御信号によって動作するエンジン出力調節機構とを備える場合には、エンジン出力調節機構が動作され、エンジンの出力に関連する、エンジンのトルクまたは回転数の少なくとも一方が低下されることになる。上記エンジン出力調節機構としては、エンジンへの燃料供給量を調整する燃料供給量調整機構を用いることができ、例えばスロットルバルブの開度を調整するようにしてもよい。
また、上記信号出力部からの信号を入力するエンジン制御部と、エンジン制御部が出力する制御信号によって動作するエンジン出力調節機構とを備える場合には、エンジン出力調節機構が動作され、エンジンの出力に関連する、エンジンのトルクまたは回転数の少なくとも一方が低下されることになる。上記エンジン出力調節機構としては、エンジンへの燃料供給量を調整する燃料供給量調整機構を用いることができ、例えばスロットルバルブの開度を調整するようにしてもよい。
本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態の、車両の駆動トルク制御装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、変速比無限大無段変速機1(以下、IVT1という)は、エンジン2の出力軸3にトーショナルダンパ4を介して連結されたIVT入力軸5と、フルトロイダル型無段変速機からなるCVT6と、遊星ギヤ機構7と、IVT入力軸5と平行に設けられ駆動輪に連結されたIVT出力軸8とを備えている。このCVTは、いわゆるトルク制御型CVTである。
図1は本発明の一実施の形態の、車両の駆動トルク制御装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、変速比無限大無段変速機1(以下、IVT1という)は、エンジン2の出力軸3にトーショナルダンパ4を介して連結されたIVT入力軸5と、フルトロイダル型無段変速機からなるCVT6と、遊星ギヤ機構7と、IVT入力軸5と平行に設けられ駆動輪に連結されたIVT出力軸8とを備えている。このCVTは、いわゆるトルク制御型CVTである。
CVT4は、IVT入力軸5と同軸上に設けられたCVT入力軸9と、CVT入力軸9を挿通させる中空のCVT出力軸10とを備えている。CVT入力軸9には、一対の入力ディスク11,12が一体回転可能に設けられている。これらの入力ディスク11,12は、背中合わせに配置され、それぞれ、トロイダルレースを形成している。また、CVT出力軸10には、一対の入力ディスク11,12のトロイダルレースにそれぞれ対向するトロイダルレースをそれぞれ形成した一対の出力ディスク13,14が、一体回転可能に設けられている。
入力ディスク11,12と出力ディスク13,14のトロイダルレース間には、両ディスク11,13;12,14間にトルクを伝達するためのローラ15,16がそれぞれ配置されている。入力ディスク9からローラ13を介して出力ディスク11にトルクが伝達されるとともに、入力ディスク10からローラ14を介して出力ディスク12にトルクが伝達される。各ローラ13,14は、図示しないキャリッジにより支持されている。
両ディスク11,13;12,14には端末負荷が付与される一方、ローラ15,16はキャリッジを介して油圧による付勢力を受けて、両ディスク11,13;12,14に押し付けられている。
キャリッジに支持されたローラ15,16は、トルクを伝達することによりキャリッジに生ずるリアクション力と、出力ディスク13,14を駆動するのに必要なトルクとのアンバランスを解消するべく、キャリッジの軸線回りにローラ15,16の回転軸線が揺動角度を生ずるように傾斜させる。これにより、ローラ15,16の姿勢が変化し、両ディスク11,13;12,14間の速度比が連続的に変化するようになっている。
キャリッジに支持されたローラ15,16は、トルクを伝達することによりキャリッジに生ずるリアクション力と、出力ディスク13,14を駆動するのに必要なトルクとのアンバランスを解消するべく、キャリッジの軸線回りにローラ15,16の回転軸線が揺動角度を生ずるように傾斜させる。これにより、ローラ15,16の姿勢が変化し、両ディスク11,13;12,14間の速度比が連続的に変化するようになっている。
遊星ギヤ機構5は、サンギヤ17と、キャリア18によって支持された複数の遊星ギヤ19と、遊星ギヤ19に噛み合う内歯を有するリングギヤ20とを備えている。
遊星ギヤ機構5は、CVT入力軸9とCVT出力軸10との間に介在している。具体的には、まず、リングギヤ20が、IVT出力軸8に一体回転可能に連結されている。
また、CVT入力軸9の回転が、ギヤ列21および連結状態の動力循環モードクラッチ22(ロークラッチともいう)を介して、キャリア18に伝達されるようになっている。ギヤ列21は、CVT入力軸9と一体回転可能に連結されたギヤ21aと、ギヤ21aに噛み合いIVT出力軸8に回転自在に支持されたギヤ21bとを有している。動力循環モードクラッチ22は、ギヤ21bとキャリア18とを連結/解放可能な、例えば多板クラッチからなる。動力循環モードクラッチ22は、連結されたときに、変速比無限大を含む変速比範囲で動力を伝達する動力循環モードを実現する。
遊星ギヤ機構5は、CVT入力軸9とCVT出力軸10との間に介在している。具体的には、まず、リングギヤ20が、IVT出力軸8に一体回転可能に連結されている。
また、CVT入力軸9の回転が、ギヤ列21および連結状態の動力循環モードクラッチ22(ロークラッチともいう)を介して、キャリア18に伝達されるようになっている。ギヤ列21は、CVT入力軸9と一体回転可能に連結されたギヤ21aと、ギヤ21aに噛み合いIVT出力軸8に回転自在に支持されたギヤ21bとを有している。動力循環モードクラッチ22は、ギヤ21bとキャリア18とを連結/解放可能な、例えば多板クラッチからなる。動力循環モードクラッチ22は、連結されたときに、変速比無限大を含む変速比範囲で動力を伝達する動力循環モードを実現する。
また、CVT出力軸10の回転が、ギヤ列23を介して、サンギヤ17に伝達されるようになっている。ギヤ列23は、CVT出力軸10に一体回転可能に連結されたギヤ23aと、ギヤ23aに噛み合い、サンギヤ17に一体回転可能に連結されたギヤ23bとを有している。ギヤ23bとIVT出力軸8との間には、ギヤ23bとIVT出力軸8とを連結/解放可能な直結モードクラッチ23(ハイクラッチともいう)が介在している。直結モードクラッチ24は、連結されたときに、CVT6のみでのみで動力を伝達する直結モードを実現する。
直結モードクラッチ24が解放され、動力循環モードクラッチ22が連結された状態では、エンジン2の動力は、IVT入力軸5およびギヤ列21を介して、キャリア18に伝達され、その結果、遊星ギヤ機構7のリングギヤ20にトルク増幅されて伝達され、IVT出力軸8に出力される。
このとき、リングギヤ20にかかる駆動負荷による反力がサンギヤ17にもトルクを及ぼす。このサンギヤ17に作用するトルクは、ギヤ列23およびCVT出力軸10を介してCVT6に戻り、CVT入力軸9側でエンジン2の出力トルクと合わさって、ギヤ列21および動力循環モードクラッチ22を介して再びキャリア18に伝達される。
このとき、リングギヤ20にかかる駆動負荷による反力がサンギヤ17にもトルクを及ぼす。このサンギヤ17に作用するトルクは、ギヤ列23およびCVT出力軸10を介してCVT6に戻り、CVT入力軸9側でエンジン2の出力トルクと合わさって、ギヤ列21および動力循環モードクラッチ22を介して再びキャリア18に伝達される。
すなわち、エンジン動力がIVT出力軸8に出力されるとともに、CVT6と遊星ギヤ機構7を通って循環するいわゆる動力循環モードとなる。この動力循環モードは、車両発進、低速走行、中速急加速時等の大きな駆動トルクが必要とされるときに選択される。
一方、動力循環モードクラッチ22が解放され、直結モードクラッチ24が連結された状態では、エンジン2の動力は、CVT6を経てサンギヤ17に伝達され、直結モードクラッチ24を介して、IVT出力軸8から出力される、直結モードとなる。この直結モードは、中速時、高速加速時等のさほど大きな駆動トルクが必要とされないときに選択される。
一方、動力循環モードクラッチ22が解放され、直結モードクラッチ24が連結された状態では、エンジン2の動力は、CVT6を経てサンギヤ17に伝達され、直結モードクラッチ24を介して、IVT出力軸8から出力される、直結モードとなる。この直結モードは、中速時、高速加速時等のさほど大きな駆動トルクが必要とされないときに選択される。
IVT制御部25は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されており、コンピュータが所定のプログラム処理を実行することによってソフトウエア的に実現される複数の機能処理部を有している。すなわち、IVT制御部25は、エンジン出力演算部26と、CVT入力軸回転速度演算部27と、CVT出力軸回転速度演算部28と、CVT速度比演算部29と、許容最大エンジン出力演算部30と、信号出力部31とを有している。
IVT制御部25には、アクセル操作量を検出するアクセル操作量センサ32と、車両の走行速度を検出する車速センサ33と、CVT入力軸9の回転速度を検出するCVT入力軸回転速度センサ34と、CVT出力軸10の回転速度を検出するCVT出力軸回転速度センサ35とが接続されており、これらのセンサ32〜35からの信号がIVT制御部25に入力されるようになっている。
エンジン出力演算部26は、アクセル操作量センサ32によって検出されたアクセル操作量θおよび車速センサ33により検出された車速Vを入力し、予め記憶されたエンジン出力マップ37を用いて、エンジン出力Peを演算する。エンジン出力演算部26による演算結果は、信号出力部31に入力される。上記のエンジン出力マップ36は、アクセル操作量θおよび車速Vに応じたエンジン出力Peが予め記憶されたマップである。
CVT入力軸回転速度演算部27は、CVT入力軸回転速度センサ34からの検出信号に基づいて、CVT入力軸回転速度ωiを演算する。CVT出力軸回転速度演算部28は、CVT出力軸回転速度センサ35からの検出信号に基づいて、CVT出力軸回転速度ωoを演算する。検出されたCVT入力軸回転速度ωiおよびCVT出力軸回転速度ωoはCVT速度比演算部29に入力される。
CVT速度比演算部29は、入力されたCVT入力軸回転速度およびCVT出力軸速度ωoに基づいて、CVT速度比RCVT を、式 RCVT =ωo/ωi を用いてを演算する。CVT速度比演算部29による演算結果としてのCVT速度比RCVT は、許容最大エンジン出力演算部30に入力される。
許容最大エンジン出力演算部30は、入力されたCVT速度比RCVT における最大エンジン出力Pemaxを、予め記憶された許容最大エンジン出力マップ37を用いて演算する。最大エンジン出力マップ37は、CVT速度比RCVT に応じた許容最大エンジン出力Pemaxが予め記憶されたマップである。許容最大エンジン出力演算部30による演算結果としての許容最大エンジン出力Pemaxは、信号出力部31に入力される。
許容最大エンジン出力演算部30は、入力されたCVT速度比RCVT における最大エンジン出力Pemaxを、予め記憶された許容最大エンジン出力マップ37を用いて演算する。最大エンジン出力マップ37は、CVT速度比RCVT に応じた許容最大エンジン出力Pemaxが予め記憶されたマップである。許容最大エンジン出力演算部30による演算結果としての許容最大エンジン出力Pemaxは、信号出力部31に入力される。
入力されたエンジン出力Pe が入力された許容最大エンジン出力Pemaxを超えているときに(Pe >Pemax)、エンジン制御部38に、エンジン2の出力を低下させるための信号を出力する。信号出力部31からの信号を受けたエンジン制御部38は、燃料供給量調節機構39に、燃料供給量を低下させる制御信号を出力する。燃料供給量調節機構39としては、電子制御スロットルを例示することができる。
次いで、図2は、IVT制御部25の動作を示すフローチャートである。まず、各センサ32〜35からの検出結果としての、アクセル操作量θ、車速V、CVT入力軸回転速度ωiおよびCVT出力軸回転速度ωoがそれぞれ入力される(ステップS1)。
次いで、上記アクセル操作量θ、上記車速Vおよび上記エンジン出力マップ36を用いて、エンジン出力Peが演算され(ステップS2)、さらに、上記CVT入力軸回転速度ωi、上記CVT出力軸回転速度ωoおよび上記許容最大エンジン出力マップ37を用いて、許容最大エンジン出力Pemaxが演算される(ステップS3)。
次いで、上記アクセル操作量θ、上記車速Vおよび上記エンジン出力マップ36を用いて、エンジン出力Peが演算され(ステップS2)、さらに、上記CVT入力軸回転速度ωi、上記CVT出力軸回転速度ωoおよび上記許容最大エンジン出力マップ37を用いて、許容最大エンジン出力Pemaxが演算される(ステップS3)。
次いで、上記エンジン出力Peが許容最大エンジン出力Pemaxを超えているか否かが判断され(ステップS4)、上記エンジン出力Pe が上記許容最大エンジン出力Pemaxを超えていないときには、ステップS1に戻って、ステップS1〜S4の処理を繰り返す。
一方、ステップS4の判断において、上記エンジン出力Pe が上記許容最大エンジン出力Pemaxを超えていると判断されたときには(Pe >Pemax)、信号出力部31からエンジン制御部38に、エンジン2の出力を低下させるための信号が出力される(ステップS5)。
一方、ステップS4の判断において、上記エンジン出力Pe が上記許容最大エンジン出力Pemaxを超えていると判断されたときには(Pe >Pemax)、信号出力部31からエンジン制御部38に、エンジン2の出力を低下させるための信号が出力される(ステップS5)。
これにより、エンジン制御部38が、燃料供給量調節機構39を介して、燃料供給量を低下させるので、エンジン出力Peが、そのときのCVT速度比RCVT における許容最大エンジン出力Pemaxを超えないように調節されることになる。
すなわち、図3を参照して、CVT7の伝達するCVT伝達動力PCVT がエンジン出力Peよりも大きくなる領域(PCVT >Peとなる領域)において、エンジン出力Pe を所定の許容最大値(許容最大エンジン出力Pemax)以下に制限し、CVT伝達動力PCVT がCVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超えないようにする。これにより、CVT7が過度な動力を伝達することが防止され、CVT7の破損の発生を確実に防止することができる。
すなわち、図3を参照して、CVT7の伝達するCVT伝達動力PCVT がエンジン出力Peよりも大きくなる領域(PCVT >Peとなる領域)において、エンジン出力Pe を所定の許容最大値(許容最大エンジン出力Pemax)以下に制限し、CVT伝達動力PCVT がCVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超えないようにする。これにより、CVT7が過度な動力を伝達することが防止され、CVT7の破損の発生を確実に防止することができる。
特に、トルク制御型CVTを用いた場合には、例えばエンジン2の何らかの不具合によって一時的に上記エンジン出力Pe が上記許容最大エンジン出力Pemaxを超えてしまったとき(Pe >Pemax)にも、CVT伝達動力PCVT がCVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超えてしまうこと(PCVT >PCVTmax)を、次のような方法で、回避することができる。
通常、トルク制御型CVTでは、エンジン回転数をある回転数に維持する場合には、エンジン出力トルクTeをCVT7によるエンジン負荷トルクTCVT,Loadと等しくするか、或いは、エンジン出力トルクTeとCVT7によるエンジン負荷トルクTCVT,Loadとの間に、エンジン回転数を制御するのに必要なだけの差分を与えている。その制御則は、エンジンイナーシャをIeとし、エンジン回転数(エンジンの回転軸の回転速度に相当)をωeとして、下記式で表される。ただし、ω’eはωeを微分した回転加速度である。
Ie・ω’e =Te−TCVT,Load
しかしながら、上記のようにPe >Pemaxとなるような非常事態に、上記の制御則を遵守していると、CVT伝達動力PCVT がCVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超えてしまう。そこで、上記のような非常事態には、上記の制御則には従わず、これに代えて、PCVT ≦PCVTmaxを守るように、CVT負荷トルクを制御することで、問題を回避することができる。ただし、このとき、エンジン回転数が上昇して、やがて、変速レンジの限界に達し、その結果、変速比が一定となり、そうした場合には、トルク制御ができなくなる。
しかしながら、上記のようにPe >Pemaxとなるような非常事態に、上記の制御則を遵守していると、CVT伝達動力PCVT がCVTの許容最大伝達動力PCVTmaxを超えてしまう。そこで、上記のような非常事態には、上記の制御則には従わず、これに代えて、PCVT ≦PCVTmaxを守るように、CVT負荷トルクを制御することで、問題を回避することができる。ただし、このとき、エンジン回転数が上昇して、やがて、変速レンジの限界に達し、その結果、変速比が一定となり、そうした場合には、トルク制御ができなくなる。
したがって、上記のような非常事態の回避方法(すなわち、PCVT ≦PCVTmaxを達成するような回避方法)は、エンジン回転数が変速レンジ中の所定の領域にあるときのみに一時的に成立させるようにし、エンジン回転数が変速レンジの限界に達した場合には、エンジン回転数を元の状態に復帰させるか、またはエンジンを停止させる必要がある。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、遊星ギヤ機構7は、CVT入力軸9に連結される要素、CVT出力軸10に連結される要素、および駆動輪に連結される要素を有していればよい。ギヤ列21,23の少なくとも一方に代えて、チェーン・スプロュット機構を用いてもよい。また、CVTは、フルトロイダル式に限らず、ハーフトロイダル式であってもよく、また、ベルト式、チェーン式その他の各種のタイプのCVTであってもよい。その他、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、遊星ギヤ機構7は、CVT入力軸9に連結される要素、CVT出力軸10に連結される要素、および駆動輪に連結される要素を有していればよい。ギヤ列21,23の少なくとも一方に代えて、チェーン・スプロュット機構を用いてもよい。また、CVTは、フルトロイダル式に限らず、ハーフトロイダル式であってもよく、また、ベルト式、チェーン式その他の各種のタイプのCVTであってもよい。その他、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことができる。
1…IVT、2…エンジン、5…IVT入力軸、6…CVT、7…遊星ギヤ機構、8…IVT出力軸、9…CVT入力軸、10…CVT出力軸、17…サンギヤ、18…キリャア、19…遊星ギヤ、20…リングギヤ、22…動力循環モードクラッチ、24…直結モードクラッチ、25…IVT制御部、26…エンジン出力演算部、27…CVT入力軸回転速度演算部、28…CVT出力軸回転速度演算部、29…CVT速度比演算部、30…許容最大エンジン出力演算部、31…信号出力部、36…エンジン出力マップ、37…許容最大エンジン出力マップ、38…エンジン制御部、30…燃料供給量調整機構、θ…アクセル操作量、V…車速、Pe…エンジン出力、Pemax…許容最大エンジン出力、PCVT …CVT伝達動力、PCVTmax…CVTの許容最大伝達動力、RCVT …CVT速度比
Claims (3)
- 変速比を無段階で変更することのできる無段変速機構(以下、CVTという)と、このCVTの入力軸および出力軸の間に介装された遊星ギヤ機構と、変速比無限大を含む変速比範囲で動力を伝達する動力循環モードを実現するときに連結される動力循環モードクラッチと、CVTのみで動力を伝達する直結モードを実現するときに連結される直結モードクラッチとを含む変速比無限大無段変速機(以下、IVTという)と、
検出されたアクセル操作量および検出された車速に基づいて、エンジン出力を演算するエンジン出力演算部と、
検出されたCVT速度比(CVT出力軸回転速度/CVT入力軸回転速度)に応じた、許容最大エンジン出力を演算する許容最大エンジン出力演算部と、
上記エンジン出力が上記許容最大エンジン出力を超えているときに、エンジンの出力を低下するための信号を出力する信号出力部とを備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 請求項1において、上記信号出力部からの信号を入力するエンジン制御部と、エンジン制御部が出力する制御信号によって動作するエンジン出力調節機構とを備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。
- 請求項2において、上記エンジン出力調節機構は、エンジンへの燃料供給量を調整する燃料供給量調整機構を含むことを特徴とする車両の駆動制御装置。
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JP2009133482A (ja) * | 2007-10-31 | 2009-06-18 | Deere & Co | エンジン負荷に応じて自動的にivt出力を調節する作業機械 |
CN106436810A (zh) * | 2016-10-28 | 2017-02-22 | 贵州詹阳动力重工有限公司 | 一种挖掘机功率匹配方法及系统 |
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