JP2007173471A - ケース - Google Patents

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Abstract

【課題】所定物品を収容する内部空間に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間に収容された所定物品への結露を防止することが可能なケースを提供する。
【解決手段】ECUケース3に、ECU基板2を収容する内部空間34と外部とを連通する連通経路35を形成し、連通経路35の開口部35aをECUケース3の内部空間34におけるECU基板2の収容位置よりも低い位置に設け、連通経路35の開口部35aに臨む位置に弁部材33を設け、弁部材33を構成する材料の熱膨張係数をECUケース3を構成する材料の熱膨張係数よりも大きくした。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定の物品(所定物品)が収容された内部空間からの水の排出を容易とし、かつ、所定物品への結露を防止するケースの技術に関する。
従来、電子部品が実装された基板、電池、あるいはその他の精密機械等、水の接触を嫌う物品(以下、「所定物品」という)を収容するケースとして、特許文献1乃至特許文献3に記載のケースが提案されている。
特許文献1に記載のケースは、ケースの内部空間を水滴保持室と防滴室とに区画し、水滴保持室はケースの外部と直接連通し、防滴室は水滴保持室と連通するがケースの外部とは直接連通しない構造とすることにより、所定物品を収容する防滴室に容易に水滴等が浸入することを防止している。
特許文献2および特許文献3に記載のケースは、ケースの内部に収容された所定物品の周囲を結露防止板や壁で覆うことにより、湿気を含んだ空気がケースの内部空間に浸入した場合に結露防止板や壁の表面で結露させ、所定物品の表面で結露することを防止している。
特開2004−241715号公報 特開平9−102679号公報 特開平8−236927号公報
しかし、特許文献1乃至特許文献3に記載のケースは、いずれもケースが水没する等して大量の水が内部に浸入した場合には、所定物品を収容する内部空間から水を排出することが容易でないという問題がある。
所定物品を収容する内部空間から水を効率良く排出するためには所定物品を収容する内部空間と外部とを直接連通する経路(孔等)を設けることが望ましいが、このような経路を設けた場合、湿気を含んだ外気がケースの内部空間に大量に浸入することが容易となり、所定物品の表面に結露が発生する事態を招く。
本発明は以上の如き状況に鑑み、所定物品を収容する内部空間に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間に収容された所定物品への結露を防止することが可能なケースを提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
前記連通経路の開口部に臨む位置に弁部材が設けられ、
前記弁部材を構成する材料の熱膨張係数が前記ケースを構成する材料の熱膨張係数よりも大きいものである。
請求項2においては、
前記弁部材の一端が前記連通経路の開口部から離れた位置に固定され、
前記弁部材の他端が前記連通経路の開口部に臨む位置に配置されるものである。
請求項3においては、
所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
一端が前記連通経路の開口部から離れた位置に固定されるとともに他端が前記連通経路の開口部に臨む位置に配置されるバイメタルからなる弁部材が設けられるものである。
請求項4においては、
所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
前記連通経路の開口部に臨む位置に弁部材が設けられ、
前記弁部材は、
前記連通経路の開口部に臨む位置に配置される開口量調整部材と、
外部または内部空間の温度変化により伸長または収縮して開口量調整部材を移動または弾性変形させることにより、外部の温度が内部空間の温度以下の場合には前記連通経路の開口部の開口量を所定の開口量以上とし、外部の温度が内部空間の温度よりも高い場合には前記連通経路の開口部の開口量を所定の開口量より小さくする伸縮部材と、
を具備し、
前記弁部材のうち少なくとも前記伸縮部材を構成する材料の熱膨張係数が前記ケースを構成する材料の熱膨張係数よりも大きいものである。
請求項5においては、
前記開口量調整部材は、
一端が前記連通経路の開口部に臨み、他端が前記連通経路の開口部から離れた位置に回動可能に固定され、
前記伸縮部材は、
一端が前記回動部材の中途部に固定されるとともに他端が前記ケースに固定されるものである。
請求項6においては、
前記伸縮部材が巻きバネからなるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、所定物品を収容する内部空間に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間に収容された所定物品への結露を防止することが可能である。
請求項2においては、開口部の開口量を大きく変化させることが可能である。
請求項3においては、所定物品を収容する内部空間に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間に収容された所定物品への結露を防止することが可能である。
請求項4においては、所定物品を収容する内部空間に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間に収容された所定物品への結露を防止することが可能である。
請求項5においては、温度変化による伸縮部材の寸法の変化量を増幅して開口量調整部材の移動側の端部を開口量調整部材の固定側の端部から相対的に大きく移動させることが可能であり、開口部の開口量を大きく変化させることが可能である。
請求項6においては、狭いスペースでも伸縮部材の大きな伸長・収縮量を確保することが可能であり、開口部の開口量を大きく変化させることが可能である。
以下では、図1乃至図5を用いて、本発明に係るケースの実施の一形態であるECUケース3が適用されるECU(Electronic Control Unit)1について説明する。
図1に示す如く、ECU1はエンジンその他の自動車を構成する部材の電子制御を行うものであり、主としてECU基板2、ECUケース3、弁部材33等を具備する。
ECU基板2は本発明に係る所定物品の実施の一形態であり、ガラスエポキシ樹脂(一般にエポキシ樹脂にガラス不織布を織り込んで積層プレスしてつくられた材料)からなる基板21に半導体素子やコンデンサ等からなる電子部品22a・22b・22c等が実装されたものである。電子部品22a・22b・22cはECU1が搭載される自動車のエンジンに設けられた種々のセンサやアクチュエータ等と接続され、エンジンの動作を制御する。
なお、本発明に係る「所定物品」は、本実施例のECU基板2やその他精密機械等に限定されず、結露および水の接触を嫌うもの、換言すれば要求される機能が結露や水の接触により低下したり損なわれたりする虞があるもの、を広く含む。
ECUケース3は本発明に係るケースの実施の一形態であり、ECU基板2を衝撃や塵挨、水等から保護するものである。
ここで、本発明に係る「ケース」は本実施例のECUケース3に限定されず、所定物品を収容する内部空間を有するものを広く含む。
また、本実施例のECUケース3はECU1が搭載される自動車の他の部材と別部材であり、ボルト等により固定されるものであるが、本発明に係るケースはこれに限定されず、ケースが他の部材等の一部となっている(他の部材と一体的に形成されている)構成でも良い。
ECUケース3は主としてECUハウジング31、ECUベース32等を具備する。
ECUハウジング31はECUケース3の主たる構造体であり、下面に大きな凹みが形成される。
ECUベース32はECUケース3の下面を形成する板状の部材であり、ECUハウジング31の下面に取り付けられる。その結果、ECUハウジング31の下面の凹みとECUベース32とで囲まれた空間である内部空間34が形成される。
内部空間34は本発明に係る内部空間の実施の一形態であり、ECU基板2は内部空間34に収容され、ボルト41・41によりECUハウジング31に固定される。
ECUハウジング31とECUベース32の周縁部との間には隙間が形成されており、当該隙間が連通経路35を成す。
連通経路35は本発明に係る連通経路の実施の一形態であり、内部空間34とECUケース3の外部とを連通する。
連通経路35の開口部(より厳密には、外部側の開口部)35aはECUケース3の下面に設けられている。従って、連通経路35の開口部35aはECUケース3の内部空間34におけるECU基板2の収容位置よりも低い位置に設けられている。
このように構成することにより、仮にECU1を搭載した自動車が水没する等してECUケース3の内部空間34に大量の水が浸入するような事態が発生しても、水嵩が減ってECU1が水面よりも上に引き上げると、内部空間34に浸入した水は即座に連通経路35から外部に排出され、ECU基板2は水に接触した状態から解放される。
以下では、弁部材33の詳細について説明する。
図1および図2に示す如く、弁部材33は本発明に係る弁部材の実施の一形態であり、外気と接触し、かつ、連通経路35の開口部35aに臨む位置に設けられる。
本実施例の弁部材33は略長方形の板状の部材であり、弁部材33の一端にはボルト孔33aが形成される。
弁部材33の一端は、ボルト孔33aに貫装されたボルト42により、連通経路35の開口部35aから離れた位置であるECUベース32の周縁部に固定される。また、弁部材33の他端は、連通経路35の開口部35aに臨む位置に配置される。
弁部材33を構成する材料の熱膨張係数は、ECUケース3を構成する材料の熱膨張係数よりも大きい。なお、本発明に係る「熱膨張係数」は、線膨張係数および体膨張係数のいずれでも良い。
一般に、金属材料やセラミックスの熱膨張係数は1×10−6〜30×10−6[K−1]程度であり、樹脂材料の熱膨張係数は50×10−6から200×10−6[K−1]程度であることから、例えば、ECUケース3を金属材料あるいはセラミックスで構成し、弁部材33を樹脂材料で構成することにより、弁部材33を構成する材料の熱膨張係数がECUケース3を構成する材料の熱膨張係数よりも大きい状態を達成することができる。
弁部材33を構成する材料の熱膨張係数をECUケース3を構成する材料の熱膨張係数よりも大きくすると、弁部材33はECUケース3の内部空間34を占める空気の温度(内気温度)やECUケース3の外部の空気の温度(外気温度)に応じて以下の挙動を示す。
以下、説明の便宜上ECUケース3の内気温度Tiを一定とし、ECUケース3の外気温度Toが変化する場合を仮定する。
弁部材33は外気に接触しており、弁部材33の温度が外気温度Toと略同じとなる。そのため、外気温度Toが高くなると弁部材33が長手方向(本実施例の場合、図2乃至図4中の矢印Aの方向)に膨張し、外気温度Toが低くなると弁部材33が長手方向に収縮する。
図3に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toと同じである場合(Ti=To)における連通経路35の開口部35aの開口量はΔLa1である。
図4に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも高い場合(Ti>To)における連通経路35の開口部35aの開口量ΔLa2は、ΔLa1よりも大きくなる(ΔLa2>ΔLa1)。
図5に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも低い場合(Ti<To)における連通経路35の開口部35aの開口量ΔLa3は、ΔLa1よりも小さくなる(ΔLa3<ΔLa1)。
結果として、弁部材33における連通経路35の開口部35aに臨む部分が弁部材33の長手方向に進退することとなり、連通経路35の開口部35aの開口量(開口部35aの開口断面積)が変化する。
図3および図4に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toと同じである場合(Ti=To)およびECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも高い場合(Ti>To)には、ECUケース3の内部空間34に湿気の多い外気が浸入しても結露が発生することはないが、このとき、連通経路35の開口部35aの開口量は十分大きく(ΔLa1以上となるように)確保されており、内部空間34に水が浸入した場合に連通経路35から容易に水を排出可能としている。
一方、図5に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも低い場合(Ti<To)には、ECUケース3の内部空間34に湿気の多い外気が浸入すると結露が発生し得るが、このとき、連通経路35の開口部35aの開口量(ΔLa3)は十分小さくなっており、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)することが可能である。
結果として、ECUケース3の内部空間34に収容されたECU基板2に結露が発生することを防止することが可能である。
なお、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)するためには、必ずしも連通経路35の開口部35aの開口量をゼロとする必要はなく、「所定の開口量」以下とすれば良い。
なお、「所定の開口量」は、本実施例のECUケース3の場合0.1mm程度であるが、本発明に係るケースの「所定の開口量」はこれに限定されず、ケースが使用される環境(気温(の変化)や湿度等)、内部空間の容積、内部空間に収容される物品の性質等に応じて適宜選択される必要がある。
弁部材33の長手方向の一端を連通経路35の開口部35aから離れた位置に固定し、弁部材33の他端を連通経路35の開口部35aに臨む位置に配置することにより、温度が変化したときに弁部材33の寸法の変化が最も大きい方向を開口部35aに対して進退する方向に略一致することができ、開口部35aの開口量を大きく変化させることが可能である。
本実施例では、ECUケース3の左右二箇所に弁部材33・33を設けたが、本発明に係るケースはこれに限定されず、ケースに設けられる弁部材の個数についてはケースの使用条件等に応じて適宜選択することが望ましい。
なお、内部空間34や外部の温度が急激に変化した場合に弁部材33が即座に対応して開口部35aの開口量を調整するという観点からは、弁部材33の熱容量をECUケース3の熱容量よりも十分に小さくすることが望ましい。
ただし、熱容量を小さくすることは体積の減少ひいては弁部材の長手方向の長さが短くなることを意味し、熱膨張による長手方向の寸法の変化量が小さくなる場合もある。従って、弁部材の長手方向の長さは十分に確保しつつ、長手方向以外の方向には薄い形状とする(例えば、短冊状とする)ことが望ましい。
なお、本発明に係る弁部材の形状は、図1乃至図5に示す弁部材33の如き板状に限定されず、図6に示す弁部材133や図7に示す弁部材233の如き形状とすることも可能である。
以下では、図6を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材133について説明する。
弁部材133はECUケース3において外気と接触し、かつ、連通経路35の開口部35aに臨む位置に設けられるという点で図2に示す弁部材33と同じである。
また、弁部材133の一端にはボルト孔133aが形成され、弁部材133の一端がボルト孔133aに貫装されたボルト42により連通経路35の開口部35aから離れた位置であるECUベース32の周縁部に固定され、弁部材133の他端が連通経路35の開口部35aに臨む位置に配置されるという点においても弁部材33と同じである。
弁部材133が図2に示す弁部材33と異なる点は、弁部材133の他端に屈曲部133b・133bを形成し、屈曲部133b・133bで挟まれた位置に溝133cを形成している点である。
屈曲部133b・133bや溝133cの幅等を変更することにより、連通経路35の開口部35aの開口量を弁部材133の長手方向(図6中の矢印Aの方向)に調整するだけでなく、奥行き方向(図6中の矢印Bの方向)にも調整することが可能である。
以下では、図7を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材233について説明する。
弁部材233はECUケース3において外気と接触し、かつ、連通経路35の開口部35aに臨む位置に設けられるという点で図2に示す弁部材33と同じである。
また、弁部材233の一端にはボルト孔233aが形成され、弁部材233の一端がボルト孔233aに貫装されたボルト42により連通経路35の開口部35aから離れた位置であるECUベース32の周縁部に固定され、弁部材233の他端が連通経路35の開口部35aに臨む位置に配置されるという点においても弁部材33と同じである。
弁部材233が図2に示す弁部材33と異なる点は、弁部材233の他端に屈曲部233bを形成し、屈曲部233bに孔233cを形成している点である。
孔233cの大きさ(断面積)等を変更することにより、連通経路35の開口部35aの開口量を弁部材233の長手方向(図7中の矢印Aの方向)に調整するだけでなく、奥行き方向(図7中の矢印Bの方向)にも調整することが可能である。
以下では、図8を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材333について説明する。
弁部材333は、その一端がECUハウジング31にボルト142により固定され、他端がECUベース32の周縁部との間で隙間を形成することにより連通経路135の開口部135aを成すものである。
このように構成しても、ECU基板2を収容する内部空間34に浸入した水を排出することが可能であり、かつ、内部空間34に収容されたECU基板2への結露を防止することが可能である。
以下では、図9乃至図11を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材433について説明する。
弁部材433は、外気と接触し、かつ、一端が連通経路235の開口部235aから離れた位置に固定されるとともに他端が連通経路235の開口部235aに臨む位置に配置される点では、図2に示す弁部材33と同じである。
弁部材433が設けられるECUケース3にはECU基板2を収容する内部空間34と外部とを連通する連通経路235が形成され、連通経路235の開口部235aがECUケース3の内部空間34におけるECU基板2の収容位置よりも低い位置に設けられる点も図2に示す弁部材33と同じである。
弁部材433が弁部材33と異なる点は、弁部材433が金属材料433aおよび金属材料433bの二種類の金属材料のバイメタルからなることである。
このように構成することにより、弁部材433は以下の如き挙動を示す。
図9に示す如く、内部空間34の温度(内気温度)Tiと外部の温度(外気温度)Toが同じである場合(Ti=To)における弁部材433が平滑な板状の部材であり、そのときの開口部235aの開口量はΔLb1である。
図10に示す如く、内部空間34の温度(内気温度)Tiが外部の温度(外気温度)Toよりも高い場合(Ti>To)における弁部材433は、外部に向かって反る方向に変形し、開口部235aの開口量ΔLb2はΔLb1よりも大きくなる(ΔLb2>ΔLb1)。
図11に示す如く、内部空間34の温度(内気温度)Tiが外部の温度(外気温度)Toよりも低い場合(Ti<To)における弁部材433は、図10の場合とは逆に反る方向に変形し、開口部235aの開口量ΔLb3はΔLb1よりも小さくなる(ΔLb3<ΔLb1)。
結果として、弁部材433における連通経路235の開口部235aに臨む部分が弁部材433における固定側の端部に対して反ることとなり、連通経路235の開口部235aの開口量(開口部235aの開口断面積)が変化する。
図9および図10に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toと同じである場合(Ti=To)およびECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも高い場合(Ti>To)には、ECUケース3の内部空間34に湿気の多い外気が浸入しても結露が発生することはないが、このとき、連通経路235の開口部235aの開口量は十分大きく(ΔLb1以上となるように)確保されており、内部空間34に水が浸入した場合に連通経路235から容易に水を排出可能としている。
一方、図11に示す如く、ECUケース3の内気温度Tiが外気温度Toよりも低い場合(Ti<To)には、ECUケース3の内部空間34に湿気の多い外気が浸入すると結露が発生し得るが、このとき、連通経路235の開口部235aの開口量(ΔLb3)は十分小さくなっており、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)することが可能である。
結果として、ECUケース3の内部空間34に収容されたECU基板2に結露が発生することを防止することが可能である。
なお、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)するためには、必ずしも連通経路235の開口部235aの開口量をゼロとする必要はなく、「所定の開口量」以下とすれば良い。
また、弁部材433の金属材料433aおよび金属材料433bのうち、どちらの熱膨張係数を他方の熱膨張係数よりも大きくするかは、ECUケース3の使用環境等に応じて適宜選択することが望ましい。
例えば、内気または外気の温度変化に対する弁部材433の変形量を大きくする観点からは、内気温度の変化が外気温度の変化よりも大きい場合には連通経路235に面する(内気と接触する)金属材料433bの熱膨張係数を金属材料433aの熱膨張係数よりも大きくし、外気温度の変化が内気温度の変化よりも大きい場合には外気に面する(外気と接触する)金属材料433aの熱膨張係数を金属材料433bの熱膨張係数よりも大きくすることが望ましい。
なお、弁部材433を用いる場合には、ECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数は必ずしも弁部材433を構成するバイメタル(金属材料433aおよび金属材料433b)の熱膨張係数よりも小さい必要は無いが、開口部235aの開口量を精度良く制御する観点からはECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数を極力小さくすることが望ましい。
以下では、図12、図13および図14を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材533について説明する。
図12および図13に示す如く、弁部材533は主として開口量調整部材541、伸縮部材542a・542b、バネ543を具備する。
図12、図13および図14に示す如く、開口量調整部材541は本発明に係る開口量調整部材の実施の一形態であり、連通経路135の開口部135aに臨む位置に配置されるものである。
開口量調整部材541は胴体部541a、当接部541b、摺動部541c等を具備する。
胴体部541aは略長方形状の板状の部分であり、一端が連通経路135の開口部135aに臨む位置に配置され、他端には当接部541bが延設される。
当接部541bは胴体部541aとの延設部から先端に向かって先細りした形状(テーパー形状)の部分である。
摺動部541cは胴体部541aの上面に突設された部分であり、ECUハウジング31に形成された摺動溝36に摺動可能に係合する。その結果、開口量調整部材541は、開口部135aの開口量ΔLcを小さくする方向または大きくする方向に摺動可能である。
伸縮部材542a・542bは本発明に係る伸縮部材の実施の一形態である。
伸縮部材542a・542bは板状の部材であり、その一端はボルト242・242によりそれぞれECUハウジング31に固定され、他端は開口量調整部材541の当接部541bの左右のテーパー面にそれぞれ当接する。このとき、開口量調整部材541の摺動方向(図12および図13中の矢印Aの方向)と、伸縮部材542a・542bの長手方向(図13中の矢印Cの方向)とは略直交している。
バネ543は開口量調整部材541を開口部135aの開口量ΔLcを大きくする方向に付勢する部材である。
弁部材533のうち、少なくとも伸縮部材542a・542bを構成する材料の熱膨張係数はECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数よりも大きい。
外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも高い場合(Ti<To)には伸縮部材542a・542bが伸長し、伸縮部材542a・542bの隙間(当接部541bが伸縮部材542a・542bにより左右から挟まれている部分)が小さくなる。従って、開口量調整部材541はバネ543の付勢力に抗して開口部135aの開口量ΔLcを小さくする方向に摺動(移動)する。その結果、開口部135aの開口量は所定の開口量よりも小さくなり、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)することが可能である。
また、外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも低い場合(Ti>To)には伸縮部材542a・542bが収縮し、伸縮部材542a・542bの隙間(当接部541bが伸縮部材542a・542bにより左右から挟まれている部分)が大きくなる。従って、開口量調整部材541はバネ543の付勢力により開口部135aの開口量ΔLcを大きくする方向に摺動(移動)する。その結果、開口部135aの開口量は所定の開口量以上となり、内部空間34に水が浸入した場合に連通経路135から容易に水を排出可能としている。
特に、本実施例の場合、当接部541bの左右のテーパー面と開口量調整部材541の摺動方向との成す角度が小さいので、温度変化による伸縮部材542a・542bの寸法の変化量(伸長・収縮量)を増幅して開口量調整部材541を大きく摺動(移動)させることが可能であり、開口部135aの開口量を大きく変化させることが可能である。
さらに、当接部541bの左右のテーパー面と開口量調整部材541の摺動方向との成す角度を変更することにより、開口部135aの開口量の変化を調整することが可能である。
以下では、図15乃至図17を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材633について説明する。
図15に示す如く、弁部材633は主として開口量調整部材641、伸縮部材642を具備する。
図15に示す如く、開口量調整部材641は本発明に係る開口量調整部材の実施の一形態であり、連通経路335の開口部335aに臨む位置に配置されるものである。
開口量調整部材641は略長方形状の板状の部材であり、一端が連通経路335の開口部335aに臨む位置に配置され、他端がボルト142によりECUハウジング31に固定される。開口量調整部材641は薄い金属板等の弾性変形可能な材料からなる。
伸縮部材642は本発明に係る伸縮部材の実施の一形態である。
伸縮部材642は板状の部材であり、その一端は開口量調整部材641の中途部に固定され、他端はECUハウジング31に固定される。伸縮部材642は連通経路335の内部に収容される。
弁部材633のうち、少なくとも伸縮部材642を構成する材料の熱膨張係数はECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数よりも大きい。
外部の温度(外気温度To)が一定であり、内部空間34の温度(内気温度Ti)が変化すると仮定し、図15に示す如くTo=Tiの時の開口部335aの開口量をΔLd1とすると、図16に示す如く外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも低い場合(Ti>To)には、連通経路335の内部の空気と接触している伸縮部材642が伸長する。従って、開口量調整部材641は開口部335aの開口量ΔLd2を大きくする(ΔLd2>ΔLd1)方向に弾性変形する。その結果、開口部335aの開口量は所定の開口量以上となり、内部空間34に水が浸入した場合に連通経路335から容易に水を排出可能としている。
また、図17に示す如く外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも高い場合(Ti<To)には、連通経路335の内部の空気と接触している伸縮部材642が収縮する。従って、開口量調整部材641は開口部335aの開口量ΔLd3を小さくする(ΔLd3<ΔLd1)方向に弾性変形する。その結果、開口部335aの開口量は所定の開口量よりも小さくなり、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)することが可能である。
なお、本実施例の弁部材633は、熱膨張係数がECUケース3を構成する材料よりも大きい材料からなる伸縮部材642をECUケース3の内部(内部空間34または連通経路335)に配置するものであり、ECUケース3の内部の温度変化が大きい場合に有効であるが、本発明に係るケースはこれに限定されず、伸長部材をケースの内部または外部のいずれに配置するかは、ケースの使用状況に応じて適宜選択することが望ましい。
すなわち、弁部材による開口部の開口量の変化を大きくする観点からは、ケースの内部または外部のいずれかのうち、温度変化が大きい方に弁部材(特に伸縮部材)を配置することが望ましい。
特に、本実施例の場合、開口量調整部材641の中途部に伸縮部材642が固定されているため、てこの原理により、温度変化による伸縮部材642の寸法の変化量(伸長・収縮量)を増幅して開口量調整部材641の移動側の端部(開口部335aに臨む端部)を開口量調整部材641の固定側の端部から相対的に大きく移動させることが可能であり、開口部335aの開口量を大きく変化させることが可能である。
以下では、図18乃至図20を用いて本発明に係る弁部材の実施の一形態である弁部材733について説明する。
図18に示す如く、弁部材733は主として開口量調整部材741、伸縮部材742を具備する。
図18に示す如く、開口量調整部材741は本発明に係る開口量調整部材の実施の一形態であり、連通経路435の開口部435aに臨む位置に配置されるものである。
開口量調整部材741は略長方形状の板状の部材であり、一端が連通経路435の開口部435aに臨む位置に配置され、他端がピン342によりECUベース32の下面に回動可能に固定される。
伸縮部材742は本発明に係る伸縮部材の実施の一形態である。
伸縮部材742は巻きバネであり、その一端は開口量調整部材741の中途部に固定され、他端はECUベース32の下面に固定される。
弁部材733のうち、少なくとも伸縮部材742を構成する材料の熱膨張係数はECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数よりも大きい。なお、伸縮部材742は、構成する材料の熱膨張係数がECUケース3(ECUハウジング31およびECUベース32)を構成する材料の熱膨張係数よりも大きいものであれば、板状の金属片を巻いて巻きバネとしたものでも、樹脂を一体成型して巻きバネとしたものでも良い。
外部の温度(外気温度To)が一定であり、内部空間34の温度(内気温度Ti)が変化すると仮定すると、図19に示す如く外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも低い場合(Ti>To)には、外気と接触している伸縮部材742が収縮する。従って、開口量調整部材741は図18の時よりも反時計回りに回動して開口部435aの開口量(開口面積)を大きくする方向に移動する。その結果、開口部435aの開口量は所定の開口量以上となり、内部空間34に水が浸入した場合に連通経路435から容易に水を排出可能としている。
また、図20に示す如く外部の温度(外気温度To)が内部空間34の温度(内気温度Ti)よりも高い場合(Ti<To)には、外気と接触している伸縮部材742が伸長する。従って、開口量調整部材741は図18の時よりも時計回りに回動して開口部435aの開口量(開口面積)を小さくする方向に移動する。その結果、開口部435aの開口量は所定の開口量よりも小さくなり、内部空間34に湿気の多い外気が浸入するのを防止(抑制)することが可能である。
特に、伸縮部材742を巻きバネとすることにより、狭いスペースでも大きな伸長・収縮量を確保することが可能である。従って、温度変化による伸縮部材742の寸法の変化により、開口量調整部材741を大きく移動(回動)することが可能であり、開口部435aの開口量を大きく変化させることが可能である。
本発明に係るケースの実施の一形態を示す側面断面図。 本発明に係る弁部材の第一実施例を示す斜視図。 内気温度が外気温度と同じである場合における本発明に係る弁部材の第一実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より高い場合における本発明に係る弁部材の第一実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より低い場合における本発明に係る弁部材の第一実施例を示す側面要部断面図。 本発明に係る弁部材の第二実施例を示す斜視図。 本発明に係る弁部材の第三実施例を示す斜視図。 本発明に係る弁部材の第四実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度と同じである場合における本発明に係る弁部材の第五実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より高い場合における本発明に係る弁部材の第五実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より低い場合における本発明に係る弁部材の第五実施例を示す側面要部断面図。 本発明に係る弁部材の第六実施例を示す側面要部断面図。 本発明に係る弁部材の第六実施例を示す底面図。 本発明に係る弁部材の第六実施例を示す斜視図。 内気温度が外気温度と同じである場合における本発明に係る弁部材の第七実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より高い場合における本発明に係る弁部材の第七実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度より低い場合における本発明に係る弁部材の第七実施例を示す側面要部断面図。 内気温度が外気温度と同じである場合における本発明に係る弁部材の第八実施例を示す底面図。 内気温度が外気温度より高い場合における本発明に係る弁部材の第八実施例を示す底面図。 内気温度が外気温度より低い場合における本発明に係る弁部材の第八実施例を示す底面図。
符号の説明
1 ECU(Electronic Control Unit)
2 ECU基板(所定物品)
33 弁部材
34 内部空間
35 連通経路
35a 開口部

Claims (6)

  1. 所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
    前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
    前記連通経路の開口部に臨む位置に弁部材が設けられ、
    前記弁部材を構成する材料の熱膨張係数が前記ケースを構成する材料の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とするケース。
  2. 前記弁部材の一端が前記連通経路の開口部から離れた位置に固定され、
    前記弁部材の他端が前記連通経路の開口部に臨む位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のケース。
  3. 所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
    前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
    一端が前記連通経路の開口部から離れた位置に固定されるとともに他端が前記連通経路の開口部に臨む位置に配置されるバイメタルからなる弁部材が設けられることを特徴とするケース。
  4. 所定物品を収容する内部空間と外部とを連通する連通経路が形成されるケースにおいて、
    前記連通経路の開口部が前記ケースの内部空間における所定物品の収容位置よりも低い位置に設けられ、
    前記連通経路の開口部に臨む位置に弁部材が設けられ、
    前記弁部材は、
    前記連通経路の開口部に臨む位置に配置される開口量調整部材と、
    外部または内部空間の温度変化により伸長または収縮して開口量調整部材を移動または弾性変形させることにより、外部の温度が内部空間の温度以下の場合には前記連通経路の開口部の開口量を所定の開口量以上とし、外部の温度が内部空間の温度よりも高い場合には前記連通経路の開口部の開口量を所定の開口量より小さくする伸縮部材と、
    を具備し、
    前記弁部材のうち少なくとも前記伸縮部材を構成する材料の熱膨張係数が前記ケースを構成する材料の熱膨張係数よりも大きいことを特徴とするケース。
  5. 前記開口量調整部材は、
    一端が前記連通経路の開口部に臨み、他端が前記連通経路の開口部から離れた位置に回動可能に固定され、
    前記伸縮部材は、
    一端が前記回動部材の中途部に固定されるとともに他端が前記ケースに固定されることを特徴とする請求項4に記載のケース。
  6. 前記伸縮部材が巻きバネからなることを特徴とする請求項5に記載のケース。
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