JP2007170215A - 内燃機関用部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温による変色や酸化を防止することができる内燃機関用部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による内燃機関用部品の製造方法は、金属から形成された部品本体を用意する工程と、第1のターゲットおよび第1のターゲットとは異なる角度で配置された第2のターゲットを有するチャンバ内に部品本体を配置する工程と、第1のターゲットおよび第2のターゲットをスパッタリングすることによって部品本体の外側を覆うセラミックス膜を形成する工程とを包含する。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気管などの内燃機関用部品およびその製造方法に関する。
内燃機関を備えた自動二輪車などでは、内燃機関を露出させてその外観を自動二輪車の意匠に利用するものが多い。こうした自動二輪車では、内燃機関から排気ガスを導くための排気管も自動二輪車の意匠に重要な役割を果たしている。また、内燃機関がカウルなどで覆われる場合であっても、排気管が完全にカウルやプロテクタで覆われることは少なく、排気管の少なくとも一部が外観に表れ、自動二輪車の意匠の一部を構成することが多い。
図11は、スポーツタイプの自動二輪車の一例を示す側面図である。図11に示す自動二輪車200は、V型エンジン201と、排気ガスを導くための排気管202とを備えている。排気管202は、V型エンジン201の2つのシリンダーのそれぞれから導かれて一本に集合され、車体後部から排気ガスを噴出させるように後輪側へ伸ばされている。本願明細書において、「排気管」とは、内燃機関からの排気ガスを導く流路を構成している部分全体をいい、消音器202aを構成している部分などを含む。
一般に、内燃機関201で発生した排気ガスを効率よく排出するために、排気管202は所定の太さを有していることが必要である。また、消音器202aを構成している部分では、消音のための構造を収納するために直径が大きくなる。このため、自動二輪車全体の外観に占める排気管の割合は比較的大きく、排気管の形状や色が自動二輪車全体の意匠に及ぼす影響は大きい。
こうした理由から、排気管の形状や色は、自動二輪車全体の意匠を決定する上で重要な要素となる。このため、排気管を滑らかに曲げることによってボリュームのある力強い印象を創出したり、排気管の表面を光沢のある金属色で仕上げることによって他の構成部分との対比を強調したりすることが行われている。あるいは、排気管の表面を他の構成部分と類似した色調に仕上げることによって周囲の構造との一体性を持たせることも行われている。
一般に、排気管は機械構造用炭素鋼(STKM)やステンレス(SUS)、チタンなどから形成されている。STKM材から排気管を形成する場合には、美観を高めるために、排気管の表面にクロムめっきが施されることが多い。
ところが、排気管を通る排気ガスは内燃機関から直接導かれるため、温度が高い。そのため、排気ガスが通過することによって排気管が高温となり、クロムめっきが施された排気管の表面が変色あるいは酸化したり劣化したりする。特に、赤茶に変色した領域が現れる。また、クロムめっきを施さないSUSやチタンにより形成された排気管でも高温により表面が赤茶けたり、生成した酸化膜が剥離したり、酸化膜の生成による色調の変化が生じたりする。
このようにして、金属光沢のある排気管に赤茶けた変色や表面の劣化が生じることにより、自動二輪車全体の意匠の外観を損ねてしまうという問題が生じる。特に、近年、内燃機関の性能が向上することにより、排気ガスの温度が上昇し、このような問題が生じやすくなっている。
この問題に対して、排気管の表面が高温にならないよう、排気管を二重あるいは三重の筒状構造に形成することも考えられる。しかし、二重あるいは三重の筒状構造を採用しても、排気管表面の温度を十分に下げることはできず、熱による表面の酸化や劣化を完全には防止できない。また、この場合、排気管の外形が大きくなってしまうという別の課題が生じる。さらに、重量の増加に伴って走行性能も低下してしまう。
排気管表面の変色や酸化、劣化に対して、排気管が外観に表れないようカウルやプロテクタで覆うことも考えられる。しかし、この場合、排気管が自動二輪車全体の意匠に現れないため、自動二輪車独特の美観を訴求しにくいものとなる可能性がある。
こうした問題を解決するために、本願発明者は、排気管の表面にシリコン酸化膜を形成し、排気管の変色を防止することを提案した(特許文献1)。特許文献1に開示されているように、ゾルゲル法を用いて酸化シリコン膜を0.05μm以上の厚さで排気管の表面に形成することにより、400℃程度に加熱されても変色の生じにくい排気管を得ることができる。
特開2002−332838号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術によって得られた排気管では、400℃を超える温度に曝されることによって、表面の変色が急激に生じることが分かった。このため、上述したように排気ガスの温度が高くなりやすい性能の高い内燃機関に特許文献1に開示されている排気管を用いても、十分に変色を防止できない場合がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温による変色や酸化を防止することができる内燃機関用部品およびその製造方法を提供することにある。
本発明による内燃機関用部品の製造方法は、金属から形成された部品本体を用意する工程と、第1のターゲットおよび前記第1のターゲットとは異なる角度で配置された第2のターゲットを有するチャンバ内に前記部品本体を配置する工程と、前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットをスパッタリングすることによって前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜を形成する工程とを包含し、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、本発明による内燃機関用部品の製造方法は、前記セラミックス膜を形成する工程の前に、前記第2のターゲットの角度を前記部品本体の形状に応じて調整する工程をさらに包含する。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜を形成する工程において、前記第2のターゲットの角度を変化させる。
ある好適な実施形態において、本発明による内燃機関用部品の製造方法は、前記セラミックス膜を形成する工程の前に、前記部品本体の表面をエッチングする工程をさらに包含する。
ある好適な実施形態において、前記エッチング工程は、プラズマ粒子を前記部品本体の表面に衝突させることによって行われる。
本発明による内燃機関用部品は、金属から形成された部品本体と、前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜とを備えた内燃機関用部品であって、前記セラミックス膜は、100nm以上500nm以下の厚さを有し、且つ、前記部品本体の表面に主として含まれる金属元素の含有率が0.5質量%以下であり、さらに、前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下であり、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが1以下である。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、厚さのばらつきが10%以下である。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、物理蒸着法により形成された膜である。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、スパッタリング法により形成された膜である。
あるいは、本発明による内燃機関用部品は、金属から形成された部品本体と、物理蒸着法により形成され前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜とを備え、前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下であり、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、スパッタリング法により形成された膜である。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、前記部品本体の表面に直接形成されている。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、Si、Ti、Al、Zr、Mo、Nb、W、Vの酸化物、窒化物、窒化酸化物およびホウ化物ならびにB4Cからなる群から選ばれる1つ以上を含む。
ある好適な実施形態において、前記セラミックス膜は、Siの酸化物、窒化物または窒化酸化物を含む。
ある好適な実施形態において、前記部品本体は0.4μm以上3.2μm以下の表面粗さRaを有する。
ある好適な実施形態において、前記部品本体は、チタン、チタン合金または鋼から形成されている。
ある好適な実施形態において、前記部品本体は表面にクロムめっき層を有している。
ある好適な実施形態において、本発明による内燃機関用部品は、前記部品本体と前記セラミックス膜との間に、前記部品本体の表面に主として含まれる金属元素の酸化膜を実質的に含んでいない。
ある好適な実施形態において、本発明による内燃機関用部品は、排気管である。
本発明による内燃機関は、上記構成を有する内燃機関用部品を備える。
本発明による輸送機器は、上記構成を有する内燃機関を備える。
本発明によるスパッタリング装置は、チャンバと、前記チャンバ内に設けられた第1のターゲットと、前記チャンバ内に前記第1のターゲットとは異なる角度で設けられた第2のターゲットとを有し、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記第2のターゲットの角度は可変である。
本発明による内燃機関用部品が備えるセラミックス膜は、100nm以上500nm以下の厚さを有しているので、美しい干渉色を呈する。このセラミックス膜には、部品本体の表面に主として含まれる金属元素が0.5質量%以下しか含まれておらず、実質的には含まれていないといえる。そのため、その金属元素が高温において酸化することによって変色が生じたり、表面の劣化が生じたりすることがない。それ故、部品が高温の排気ガスにより変色することがなく、美しい色を長期間に亘って維持することができる。さらに、このセラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下であるので、本発明による内燃機関用部品は、色のばらつきの少ない良好な外観を有する。
本発明による製造方法では、互いに異なる角度で配置された第1および第2のターゲットをスパッタリングすることによって、部品本体の外側を覆うセラミックス膜を形成する。第1および第2のターゲットの角度が異なっているため、それぞれのターゲットから放出されるスパッタ粒子を異なる方向に飛散させることができ、部品本体の全体に亘って表面に対して垂直に近い角度でスパッタ粒子を到達させることができる。そのため、複雑な三次元形状を有する部品本体上に、厚さのばらつきの少ないセラミックス膜を形成することができる。それ故、本発明の製造方法によれば、全体に亘って色差の少ない内燃機関用部品を製造することができる。
本願発明者は、ゾルゲル法によって形成された酸化シリコン膜では排気管表面における酸化や変色を十分に防止できない原因について詳細に検討した。その結果、ゾルゲル法による酸化シリコン膜には、排気管の表面に主として含まれる金属元素が含まれており、この金属が高温において酸化することにより、排気管の変色が生じたり、表面の劣化が生じたりすることが分かった。
また、ゾルゲル法では、焼成中にシリコンと結合していた有機系化合物の気化や分解が生じるため、得られる酸化シリコン膜には微細な空隙が生成し、ガスに対するバリア性が低下していると考えられる。このため、排気管が高温に曝されると、排気管表面の金属が酸化シリコン膜中へ拡散し、外部の酸素と結合して酸化したり、酸化シリコン膜を酸素が透過して排気管表面で金属の酸化を引き起こしたりするものと考えられる。このように酸化シリコン膜中に金属が含まれていたり、酸化シリコン膜中に微細な空隙が生成したりしている場合、排気管を構成する金属のうちの鉄が表面に赤茶けた酸化物として析出し、排気管の美観を損ねてしまう。
本発明による内燃機関用部品が備えるセラミックス膜は、部品本体の表面に主として含まれる金属元素(すなわち部品本体の表面を実質的に構成する金属元素)の含有率が0.5質量%以下であるように形成されており、部品本体表面の主成分元素が実質的に含まれていないといえる。そのため、部品表面の変色や酸化、劣化が防止される。
また、本発明による内燃機関用部品のセラミックス膜は、100nm以上500nm以下の厚さを有しており、美しい干渉色を呈する。既に述べたように、このセラミックス膜には、部品本体表面の主成分元素が実質的には含まれていないので、本発明による内燃機関用部品は、高温における酸化によって変色が生じたり、表面の劣化が生じたりすることがなく、美しい干渉色を長期間に亘って維持することができる。さらに、このセラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下であるので、本発明による内燃機関用部品は、色のばらつきの少ない良好な外観を有する。
また、本願発明者は、上述したような変色防止効果に優れたセラミックス膜の形成には、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの物理蒸着法が特に適していることを見出した。さらに、本願発明者は、互いに異なる角度で配置された複数のターゲットをスパッタリングすることにより、複雑な三次元形状を有する部品本体上に、厚さのばらつきの少ないセラミックス膜を形成し得ることを見出した。従来、物理蒸着法を用いた薄膜形成は、半導体装置のようなスケールの小さなものに対しては行われていたが、排気管のようなスケールの大きなものに対しては、蒸着装置内の真空度を確保することの困難性などから工業的に行われることはなかった。本願発明者は、このような技術常識にとらわれることなく検討を積み重ねることによって上記知見を得た。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、排気管を例として説明を行うが、本発明はこれに限定されず、排気管のカバーや吸気系の部品、エンジンのカバー部品などの内燃機関用部品に広く用いられる。
図1は、本発明による内燃機関用排気管(以下では単に排気管とも称する。)が用いられた自動二輪車100を示している。自動二輪車100は、内燃機関1と、内燃機関1に接続された排気管2とを備えている。
排気管2は、内燃機関1で生じた排気ガスを車体後方から排出するために設けられている。この排気管2は、内燃機関1の前方から排出された排気ガスを後方へ導くように大きく曲がった排気経路を構成している部分2aと、消音器2bとを含む。排気管2は、一体的に1つの部品によって構成されていてもよいし、複数の部品を接合することにより構成されていてもよい。
本実施形態では、排気管2は自動二輪車100の外観に表れるよう全体が露出しており、自動二輪車100全体の意匠の一部を構成している。以下において詳細に説明するように、排気管2全体が露出しているほうが、長期にわたって排気管2の変色が生じず、新車のような外観を保つという本発明の効果が顕著に外観に表れる。しかし、排気管2の少なくとも一部が外観に表れる限り、自動二輪車の意匠によっては、排気管2の一部がカウルやプロテクタによって覆われていてもよい。また、自動二輪車の形状は図1に示すものに限られるわけではなく、例えば、図11に示したような構造を備えた自動二輪車に本発明による排気管を採用してもよい。
図2は、排気管2の一部(排気経路を構成している部分2a)を示す断面図である。排気管2は、排気ガスが通過する通路6を囲む金属管5と、金属管5の外側を覆うセラミックス膜10とを含む。言い換えると、金属管5の内側には排気ガスが流れ、金属管5の外側にはセラミックス膜10が設けられている。
金属管5は、通路6を囲んでいればよく、通路6を直接囲む内管と内管の外側を囲むように保持された外管とから構成される二重管構造を採用していてもよい。ただし、通路6を直接囲む一重管構造の方が、金属管5の外側が高温になりやすいため、本発明を用いる効果が高い。また、セラミックス膜10は、酸化防止が求められる部分において、金属管5の外側を覆って酸素などの外気が金属管5に接しないように配置されていればよく、金属管5とセラミックス膜10との間に他の膜や層が形成されていたり、セラミックス膜10の外側をさらに他の膜が覆っていたりしてもよい。
金属管5は、機械構造用炭素鋼(STKM)やステンレス鋼(SUS)などの鋼、チタン、チタン合金、ニッケル合金、アルミ合金などから形成される。表面の金属光沢や装飾性を高めるために、金属管5の表面にクロムめっき等を施してめっき層を形成してもよい。STKM材は装飾性の高い十分な金属光沢を有しないので、STKM材から形成された金属管5を用いる場合には、クロムめっきか、ニッケルめっきおよびクロムめっきの両方が金属管5の表面に施されていることが好ましい。また、SUSから形成された金属管5を用いる場合には、表面が電解研磨されていてもよい。
セラミックス膜10は、緻密であり、高温においても酸化したり分解したりしにくい非晶質の材料からなる。具体的には、セラミックス膜10は、シリコン(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、バナジウム(V)などの元素の酸化物、窒化物、窒化酸化物またはホウ化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む。これらの材料は必ずしも化学量論比で元素を含んでいなくてもよい。セラミックス膜10は、B4C(炭化ホウ素)を含んでいてもよい。
なお、本願明細書における「セラミックス」は、金属または非金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物などの固体材料を広く指し、旧来よく用いられてきた焼成工程を含む手法によって形成されたものだけでなく、後に詳述するようにスパッタリング法などの物理蒸着法によって形成されたものも勿論含む。
形成方法が容易であり、材料の入手が容易であるという観点からは、セラミックス膜10として、シリコンの酸化物、窒化物または窒化酸化物を含む膜、つまり、酸化シリコン膜や窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜を用いることが好ましい。
本実施形態におけるセラミックス膜10には、金属管5の表面に主として含まれる(典型的には50%以上の比率で含まれる)金属元素が0.5質量%よりも少ない。金属管5表面の主成分元素がセラミックス膜10に0.5質量%よりも多く含まれる場合、高熱によって、セラミックス膜10の表面からこの金属元素が酸化され、排気管の表面が変色する可能性がある。また、酸化した金属から金属管5内部へ酸化が進む可能性もある。これに対し、本実施形態におけるセラミックス膜10は、金属管5表面の主成分元素の含有率が0.5質量%以下であるので、高熱による変色や酸化が防止される。セラミックス膜10に含まれる金属が酸化した場合の排気管2の外観を考慮すると、金属管5表面の主成分元素の含有率は0.4質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、金属管5表面の主成分元素の含有率は、セラミックス膜10内で局所的にばらつくことがあるが、少なくともセラミックス膜10の厚さ方向における中心部分において0.5質量%以下であることが好ましい。また、金属管5表面の主成分元素の含有率は、セラミックス膜10の内側(金属管5側)表面近傍および外側表面近傍(それぞれセラミックス膜10全体の厚さに対して10%の厚さを有する部分)を除いた部分(つまりセラミックス膜10全体の80%に相当する部分)において0.5質量%以下であることが好ましい。
金属管5表面の主成分元素の含有率を0.5質量%以下とするためには、セラミックス膜10を金属管5の外側に形成する際、金属管5表面の主成分元素がセラミックス膜10中に拡散しにくい方法を用いることが好ましい。本願発明者は、種々検討を重ねた結果、セラミックス膜10の形成にスパッタリング法やイオンプレーティング法などの物理蒸着法を用いると、金属管5表面の主成分元素がセラミックス膜10中に拡散しにくいことを見出した。また、物理蒸着法により形成されたセラミックス膜は緻密であるため、500℃程度の温度においても、高いガスバリア性を備え、金属管5の表面が酸化するのを防止することができることがわかった。
スパッタリング法を用いる場合には、DCスパッタリング装置、RFスパッタリング装置、マグネトロンスパッタリング装置、イオンビームスパッタリング装置などを用いることができる。また、これらの方法を用いる場合、セラミックス膜10を堆積する金属管5の表面にプラズマ粒子を衝突させ、金属管5の表面をエッチングすることができる。これを利用して、金属管5の表面に形成されている自然酸化膜を除去し、セラミックス膜10と金属管5との密着性を向上させることができる。つまり、セラミックス膜10と金属管5との間には、金属管5の表面に主として含まれる金属元素の酸化膜が実質的に形成されていないことが好ましい。プラズマを用いない堆積方法によってセラミックス膜10を形成する場合であっても、金属管5の表面に形成されている自然酸化膜を物理的あるいは化学的方法により、セラミックス膜10を形成する前に除去しておくことが好ましい。
スパッタリング法などの物理蒸着法により形成されたセラミックス膜10は基本的に非晶質膜であり、内燃機関の運転によって高温に加熱されても非晶質のままである。ここでいう非晶質膜とは、X線回折法により回折ピークとして観測されるような長周期構造を持たない膜をいう。なお、形成条件によっては、加熱された際に膜の一部が結晶化することもあるが、実用上ガスバリア性に問題はない。
ここで、本実施形態における排気管2の製造方法を説明する。
まず、部品本体である金属管5を用意する。金属管5の材料としてSTKM材を用いる場合には、金属光沢や装飾性を高めるために、金属管5の表面にクロムめっきを施しておくことが好ましい。
次に、用意した金属管5をスパッタリング装置のチャンバ内に配置する。本実施形態におけるスパッタリング装置20を図3および図4に示す。図3はスパッタリング装置20を模式的に示す側断面図であり、図4はスパッタリング装置20を模式的に示す上断面図である。
スパッタリング装置20は、金属管5を懸架して保持するホルダ24をチャンバ21内に複数備えている。各ホルダ24は、回転軸23を中心に自転しながらチャンバ21内で公転する。チャンバ21の内径φ1はたとえば1200mmであり、膜の形成が可能な有効な領域は、たとえば、直径φ2が1080mmであり、高さ1800mmの円柱形状である。
ホルダ24が回転する軌道の外側には、メインターゲット22aと、メインターゲット22aとは異なる角度で配置されたサブターゲット22bとが設けられている。メインターゲット22aおよびサブターゲット22bは、それぞれから放出されたスパッタ粒子が金属管5の表面になるべく垂直に到達するような角度に配置されている。本実施形態では、セラミックス膜10として窒化酸化シリコン膜を形成するので、シリコン(あるいは窒化シリコン)のターゲット22a、22bを用いる。
本実施形態におけるスパッタリング装置20は、角度の異なる2種類のターゲット22a、22bを有している点において、従来のスパッタリング装置と全く異なっている。このような構造を有するスパッタリング装置20を用いることにより、複雑な3次元形状を有する金属管5の外側全体に均一な厚さのセラミックス膜10を形成することができる。
なお、図3では、メインターゲット22aおよびサブターゲット22bのセットが1箇所のみに設けられているが、実際には、図4からもわかるように、ターゲット22aおよび22bはチャンバ21内の複数箇所に設けられている。ホルダ24の公転に伴い、金属管5はチャンバ21内を移動し、もっとも近接するターゲット22aおよび22bのセットからのスパッタ粒子によってセラミックス膜10の堆積が行われる。チャンバ21の中央付近には、反対側のターゲット22aおよび22bのセットからのスパッタ粒子の到達(厚さのばらつきの原因となる)を防止するための防着部材25が設けられている。
上述したようなスパッタリング装置20のチャンバ21内に金属管5を配置した後、チャンバ21内を図示しないポンプを用いて排気する。チャンバ21内の真空度が所定値に達したら、アルゴンをチャンバ21内に導入し、放電を開始する。ホルダ24を自転および公転させながら、放電により生成したプラズマ粒子が金属管5に衝突するようにバイアス電圧を印加し、逆スパッタにより金属管5の表面をエッチングする。逆スパッタは、金属管5の表面に形成されている自然酸化膜を完全に除去するまで行うことが好ましい。自然酸化膜の厚さは一般的には2nm〜3nm程度である。自然酸化膜を除去することによって、金属管5とセラミックス膜10との密着性を高めることができる。チャンバ21内に導入する気体としては、アルゴンの他、水素や窒素を用いることができる。また、これらの気体の混合物を用いてもよい。
このようにして自然酸化膜を除去した後、メインターゲット22aおよびサブターゲット22bをスパッタリングすることによって金属管5の外側を覆うセラミックス膜10を形成する。具体的には、まず、チャンバ21内に窒素ガスおよび酸素ガスを導入し、放電を開始する。次に、プラズマ粒子がターゲットに衝突するようにバイアス電圧を印加し、セラミックス膜10の堆積を開始する。本実施形態では、ターゲットから飛び出したシリコン粒子が窒素プラズマや酸素プラズマと反応し、窒化酸化シリコン膜が金属管5の表面に堆積される。堆積時間は、ターゲットの数や反応時の圧力、バイアス電圧などの条件を考慮した上で、生成するセラミックス膜の目標とする膜厚に応じて決定される。所定の時間、スパッタリングを行い、金属管5の外側に所定の厚さを有するセラミックス膜10を形成することによって、排気管2が得られる。
上述したようにして形成されたセラミックス膜10には、金属管5の表面に主として含まれる金属元素が0.5質量%以下しか含まれておらず、金属管5表面の主成分元素が実質的に含まれていないと言ってよい。このため、この金属元素が高温において酸化することによって排気管2の変色が生じたり、表面の劣化が生じたりすることがない。このため、排気管2が高温の排気ガスにより変色することがなく、優れた外観を維持することができる。スパッタリング法により形成されたセラミックス膜10は緻密であるため、バリア性が高く、外部の酸素が金属管5に達したり、金属管5に含まれた鉄が酸化して表面で析出したりするのを効果的に防止することができる。
また、本実施形態では、互いに異なる角度で配置されたターゲット22aおよび22bをスパッタリングすることによって、金属管5の外側を覆うセラミックス膜10を形成する。メインターゲット22aとサブターゲット22bの角度が異なっているため、それぞれのターゲット22a、22bから放出されたスパッタ粒子は、異なる方向に飛散する。メインターゲット22aおよびサブターゲット22bは、それぞれ、スパッタ粒子が金属管5の表面になるべく垂直に到達するような角度に設定されているので、堆積されるセラミックス膜10の厚さのばらつきが抑制される。そのため、複雑な三次元形状を有する金属管5上に、厚さのばらつきの少ないセラミックス膜10を形成することができる。従って、全体に亘って色差の少ない排気管2を製造することができる。色差を少なくするためには、セラミックス膜10の厚さのばらつきは10%以下であることが好ましい。
なお、サブターゲット22aの角度は可変であることが好ましい。図3に例示したスパッタリング装置20では、サブターゲット22bは回転軸22b1を中心にして回転し得るように構成されており、そのことによってサブターゲット22bの角度を変化させることができる。セラミックス膜10を形成する工程の前に、サブターゲット22bの角度を金属管5の形状に応じて適宜調整することにより、スパッタリング装置20を異なる立体形状の金属管5に対しても好適に用いることができる。
また、スパッタリング装置20が、セラミックス膜10を形成する工程中にサブターゲット22aの角度を変化させ得る構造を有していることも好ましい。ホルダ24の自転に伴ってサブターゲット22bに対する金属管5表面の角度は変化するので、その変化に応じてサブターゲット22bの角度を変化させることにより、より均一な厚さのセラミックス膜10を得ることができる。
なお、本実施形態では物理蒸着法としてスパッタリング法を例示したが、イオンプレーティング法を用いても、変色を防止する効果の高い緻密なセラミックス膜10を形成することができる。また、イオンプレーティング法を用いる場合であっても、均一な厚さのセラミックス膜10を形成し得る。例えば反応性イオンプレーティング法では、複数の蒸着源を設け、これらの位置を部品本体の立体形状に応じてそれぞれ適宜変化させることにより、厚さのばらつきを小さくすることができる。
セラミックス膜10の厚さは、十分なガスバリア性を確保し、金属管5の表面の酸化や変色を防ぐ観点からは、5nm以上であることが好ましい。また、ヒートサイクルによるクラックの発生を防止する観点や生産性の観点からは、1000nm以下であることが好ましい。
さらに、本願発明者が種々の検討を行った結果、セラミックス膜10の厚さを100nm以上500nm以下にすることにより、美しい干渉色が得られることがわかった。従来、排気管の商品価値を高めるために、金属を大気酸化させたり陽極酸化させたりすることによって着色(例えば金色)が行われてきた。しかしながら、このような手法により着色を行っても高温化での使用によってすぐに変色してしまう。上述したように金属管5表面の酸化や変色を防ぐセラミックス膜10そのものに干渉色を発現させることにより、高温化での退色が抑制された排気管2が得られる。
金属管5の表面は、図4に示すように、セラミックス膜10の厚さに比べて大きな表面粗さを有していることが好ましい。具体的には、金属管5の表面の平均粗さRaは、0.4μm以上であることが好ましい。平均粗さが0.4μmよりも小さい場合、可視光が金属管5の表面で反射する際、隣り合う溝から反射した波面間の光路差が波長の整数倍のときに強め合って回折光が見られるようになり、排気管2の美観を損ねる可能性がある。また、平均粗さが小さくなり、金属管5の表面が平滑になると、セラミックス膜10の密着性が低下する可能性がある。金属管5表面の平均粗さRaの値に上限は特にないが、金属管5表面の平均粗さRaが3.2μm以上になると、光の反射率が低下し、商品性や美観を損なうので好ましくない。
(分析および実験例)
まず、本発明による排気管および特許文献1に開示されている排気管における元素の深さ方向の分布を調べた。本発明の排気管として、SUS304から形成された金属管を用意し、セラミックス膜として、スパッタ法により窒化酸化シリコン膜を形成した。窒化酸化シリコン膜を形成するために、クロムめっきが施された金属管を、マグネトロンスパッタ装置のチャンバに配置し、3×10-3Paの真空度に到達するまで排気を行った。その後、100sccmの流量でチャンバ内にアルゴンを導入し、3×10-1Paの圧力を保ちながら、800V、5A(4KW)のパワーを投入して10分間逆スパッタを行い、金属管表面の自然酸化膜を除去した。その後、シリコンをターゲットとし、チャンバに窒素および酸素を導入し、3×10-1Paの圧力を保ちながら、800V、5A(4KW)のパワーを投入して5分間スパッタを行い、金属管表面に厚さ50nmの窒化酸化シリコン膜を形成した。
また、従来例として、STKM材からなる金属管の表面にニッケルめっきおよびクロムめっきが施されたものを用意し、ゾルゲル法によってセラミックス膜として酸化シリコン膜を形成した。得られた本発明の排気管および従来の排気管の深さ方向の元素分布をGDS法(グロー放電発光分光分析法)を用いて測定した。
図6(a)は、本発明の排気管の深さ方向の元素分布を示している。図6(b)は、図6(a)の表面近傍を拡大して示す図である。これらの図から明らかなように、本発明の排気管では、セラミックス膜である窒化酸化シリコン膜中に金属管表面の主成分元素である鉄はほとんど含まれていない。具体的には、窒化酸化シリコン膜中の鉄の元素濃度は、図6(b)に示すように約0.5質量%以下であり、窒化酸化シリコン膜と金属管との境界において鉄の濃度が急激に増加している。
図7(a)は、従来の排気管の深さ方向の元素分布を示している。図7(b)は、図7(a)の表面近傍を拡大して示す図である。これらの図から明らかなように、従来の排気管では、ゾルゲル法で形成した酸化シリコン膜中に金属管表面の主成分金属であるクロムが比較的多く含まれている。具体的には、酸化シリコン膜中のクロムの元素濃度は、約4質量%であり、酸化シリコン膜とクロムめっきとの境界ではクロムの濃度がややなだらかに増加している。また、酸素の濃度を示すプロファイルは、シリコンに比べてより内部まで多い割合で存在している。これは、クロムが、ゾルゲル法により形成された酸化シリコン膜へ拡散していること、および、酸化シリコン膜とクロムめっきとの境界において、クロムと結合した酸素、つまりクロムの酸化物が存在していることを示していると考えられる。
従来の排気管における酸化シリコン膜とクロムめっきとの境界の様子を調べるため、従来の排気管における元素濃度の深さ方向のプロファイルをXPS法(X線光電子分光分析法)により、さらに測定を行った。まず、クロムめっきの自然酸化膜がどの程度の厚さを有しているかを調べるためにクロムめっきを行った試料を作製し、その深さ方向の元素濃度をXPS法を用いて調べた。図8に示すように、クロムの自然酸化膜はおよそ、スパッタ時間に換算して5分程度の厚さである。
図9(a)はXPS法による従来の排気管の深さ方向の元素分布を示している。図から明らかなように、酸素(O1s)の濃度は、酸化シリコン膜中では一定であるが、クロムめっきとの界面において、破線C1およびC2で囲むように2段階で減少している。クロムめっきとの界面に近い側の酸素濃度の変化(C2)は、その変化がスパッタ時間に換算して5分程度であることがら、クロムの自然酸化膜に含まれる酸素を示していると考えられる。
一方、C1で示す酸素濃度の変化が生じている領域におけるクロムの状態を調べるために、スパッタ時間T1およびT2におけるクロムの2p価電子の結合エネルギを測定した。測定結果を図9(b)に示す。スパッタ時間T2においては、クロム以外の元素は実質的に検出されておらず、スパッタ時間T2で示される深さではクロムのみが存在していると考えられる。従って、図9(b)におけるT2のプロファイルは、クロム同士の(金属結合)結合エネルギを示している。これに対して、T1のプロファイルは、高エネルギ側にシフトしており、クロムが酸化された状態にあることを示している。このクロムの酸化物はゾルゲル法により酸化シリコン膜を形成する際に生成したものと考えられる。
このように、本発明の排気管2では、セラミックス膜10中に金属管5の表面に主として含まれる金属元素が実質的に含まれていない(0.5質量%以下である)ことが分かった。
なお、ここでは従来例としてゾルゲル法により形成した酸化シリコン膜を挙げたが、従来排気管のコーティングに用いられてきた他の手法、例えば、金属化合物を含む溶液を塗布法や浸漬法を用いて排気管表面に付与した後に焼成する手法によって形成された金属酸化物膜も、ゾルゲル法により形成した酸化シリコン膜と同様に緻密さに欠ける。例えば、金属化合物の溶液が有機系化合物を含む場合には、金属と結合していた有機系化合物の気化および分解が焼成中に生じて微細な空隙が生成され、そのことによって膜がポーラスな膜になってしまう。また、上述した手法は、一旦形成した膜中に含まれる金属を焼成によって後で酸化させる手法であるため、酸化によって膜の緻密さが低下するし、その後の使用中にも酸化がどんどん進行してしまう。
次に、セラミックス膜10の厚さと干渉色との関係を検証した結果を説明する。下記表1に、セラミックス膜10の厚さおよび屈折率と、セラミックス膜10が呈する色とを示す。
Figure 2007170215
表1に示すように、膜厚が大きくなるにつれ、干渉色が薄い金色、金色、紫色、青紫色、青色、薄い青色、薄い金色、金色と変化する。また、表1に示すように、屈折率が小さくなるほど、上記各色の現れる厚さ範囲が厚さの大きい方にシフトする。表1からわかるように、セラミックス膜10の屈折率に応じて厚さを100μm以上500μm以下の範囲で適宜設定することにより、所望の干渉色を得ることができる。
セラミックス膜10の厚さは、スパッタリングを行う時間を変化させることによって制御することができる。また、セラミックス膜10がシリコンを含む膜(つまりSixyz膜)である場合、膜の窒素含有率と酸素含有率とを変化させることにより、屈折率を調整することができる。Sixyz膜の窒素含有率および酸素含有率は、例えば、スパッタリング装置20のチャンバ21内に導入する窒素ガスと酸素ガスの流量比を調整することによって変化させることができる。
続いて、本実施形態における排気管2の色のばらつきを評価した結果を説明する。図10(a)に示す排気管2の8箇所(A、B、C、D、E、F、G、H点)についてO点を基準として色差ΔEを測定した結果を図10(b)に示す。図10(b)には、比較のために、サブターゲット22bが設けられていないスパッタリング装置によってセラミックス膜を形成した排気管についての結果を併せて示している。なお、ここでの色差ΔEは、L***表色系における色差ΔE*abである。
図10(b)に示すように、比較例の排気管のセラミックス膜は、最大の色差ΔEが3を超えており、全体にわたる色のばらつきが大きいことがわかる。表2に、米国標準技術局が設定する色差の評価基準を示す。表2からもわかるように、色差ΔEが3を超えると、色のばらつきが目立ってしまう。
Figure 2007170215
これに対し、本実施形態における排気管2のセラミックス膜10では、その全体にわたって色差ΔEが1よりも小さく、非常に色のばらつきが小さい。このことから、メインターゲット22aと角度の異なるサブターゲット22bを設けることにより、セラミックス膜10の厚さのばらつきを小さくできることが確認された。色のばらつきの少ない良好な外観を実現する観点からは、色差ΔEは2以下であることが好ましく、1以下であることがさらに好ましい。また、このような小さな色差ΔEを実現するためには、セラミックス膜10の厚さのばらつきは10%以下であることが好ましい。
本発明によると、高温による変色や酸化を防止することができる内燃機関用部品が提供される。また、本発明による内燃機関用部品は、美しい干渉色を長期間に亘って維持することができ、さらに、色のばらつきの小さい良好な外観を有する。
本発明は、内燃機関用部品に広く用いられ、特に、高温の排気ガスにさらされる排気管に好適に用いられる。本発明による内燃機関用部品は、内燃機関を備えた自動二輪車や全天候型四輪車両などの車両、内燃機関を備えた船舶、飛行機などの輸送機器に幅広く用いることができる。
本発明による内燃機関用排気管が用いられる自動二輪車の側面図である。 本発明の好適な実施形態における内燃機関用排気管の断面図である。 本発明による内燃機関用排気管の製造に用いるスパッタリング装置を模式的に示す側断面図である。 本発明による内燃機関用排気管の製造に用いるスパッタリング装置を模式的に示す上断面図である。 本発明の内燃機関用排気管の表面近傍の構造を示す模式図である。 (a)および(b)は、それぞれGDS分析による本発明の内燃機関用排気管の深さ方向における元素分布を示す図である。 (a)および(b)は、それぞれGDS分析による従来の内燃機関用排気管の深さ方向における元素分布を示す図である。 クロムめっき膜のXPS分析による深さ方向における元素分布を示す図である。 (a)は、XPS分析による従来の内燃機関用排気管の深さ方向における元素分布を示す図であり、(b)は、(a)に示す2点におけるクロムの結合エネルギを示す図である。 (a)は色差ΔEの測定箇所を示す図であり、(b)は色差ΔEの測定結果を示すグラフである。 自動二輪車の外観を示す側面図である。
符号の説明
1 内燃機関
2 排気管
5 金属管
6 通路
10 セラミックス膜
20 スパッタリング装置
21 チャンバ
22a メインターゲット
22b サブターゲット
23 軸
24 ホルダ
25 防着部材
100 自動二輪車

Claims (15)

  1. 内燃機関用部品の製造方法であって、
    金属から形成された部品本体を用意する工程と、
    第1のターゲットおよび前記第1のターゲットとは異なる角度で配置された第2のターゲットを有するチャンバ内に前記部品本体を配置する工程と、
    前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットをスパッタリングすることによって前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜を形成する工程と、
    を包含する内燃機関用部品の製造方法。
  2. 前記セラミックス膜を形成する工程の前に、前記第2のターゲットの角度を前記部品本体の形状に応じて調整する工程をさらに包含する請求項1に記載の内燃機関用部品の製造方法。
  3. 前記セラミックス膜を形成する工程において、前記第2のターゲットの角度を変化させる請求項1または2に記載の内燃機関用部品の製造方法。
  4. 金属から形成された部品本体と、
    前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜と、を備えた内燃機関用部品であって、
    前記セラミックス膜は、100nm以上500nm以下の厚さを有し、且つ、前記部品本体の表面に主として含まれる金属元素の含有率が0.5質量%以下であり、
    さらに、前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下である内燃機関用部品。
  5. 前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが1以下である請求項4に記載の内燃機関用部品。
  6. 前記セラミックス膜は、厚さのばらつきが10%以下である請求項4または5に記載の内燃機関用部品。
  7. 前記セラミックス膜は、物理蒸着法により形成された膜である請求項4から6のいずれかに記載の内燃機関用部品。
  8. 前記セラミックス膜は、スパッタリング法により形成された膜である請求項4から6のいずれかに記載の内燃機関用部品。
  9. 金属から形成された部品本体と、
    物理蒸着法により形成され前記部品本体の外側を覆うセラミックス膜と、を備え、
    前記セラミックス膜は、その全体にわたって色差ΔE*abが2以下である内燃機関用部品。
  10. 前記セラミックス膜は、スパッタリング法により形成された膜である請求項9に記載の内燃機関用部品。
  11. 排気管である請求項4から10のいずれかに記載の内燃機関用部品。
  12. 請求項4から11のいずれかに記載の内燃機関用部品を備えた内燃機関。
  13. 請求項12に記載の内燃機関を備えた輸送機器。
  14. チャンバと、
    前記チャンバ内に設けられた第1のターゲットと、
    前記チャンバ内に前記第1のターゲットとは異なる角度で設けられた第2のターゲットと、を有するスパッタリング装置。
  15. 前記第2のターゲットの角度が可変である請求項14に記載のスパッタリング装置。
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